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アカメ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アカメ
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : じょうひれつな Actinopterygii
: スズキ Perciformes
: アカメ Latidae
ぞく : アカメぞく Lates
たね : アカメ L. japonicus
学名がくめい
Lates japonicus
Katayama et Taki, 1984
和名わみょう
本文ほんぶん参照さんしょう
英名えいめい
Japanese lates,
Japanese barramundi
頭部とうぶ
赤目あかめ

アカメ赤目あかめえい: Japanese lates学名がくめい Lates japonicus )は、アカメ分類ぶんるいされるさかな一種いっしゅ西日本にしにほん太平洋たいへいよう沿岸えんがんだけに分布ぶんぷし、河口かこうなどの水域すいいきによく侵入しんにゅうする大型おおがた肉食にくしょくぎょである[1][2]希少きしょうせいおおきさから「日本にっぽんさんだいかいぎょ」としてあつかわれることがある[3]

別名べつめい

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別名べつめいはメヒカリ(徳島とくしまけん)、ミノウオ(高知こうちけん)、マルカ(宮崎みやざきけん)、カワヌベ(志布志湾しぶしわん沿岸えんがん)、オキノフナ、オキノコイ(種子島たねがしま屋久島やくしま)など。なお、「アカメ」はキントキダイるいまた「メヒカリ」はアオメエソるい方言ほうげん呼称こしょうなど、さかなすことがあり注意ちゅういようする。

特徴とくちょう

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成魚せいぎょ全長ぜんちょう1mをえる大型おおがたぎょである。成魚せいぎょからだ一様いちようぎん白色はくしょくで、背中せなかがわはややはい褐色かっしょくがかっている。一方いっぽう幼魚ようぎょ黒褐色こっかっしょくがく黄白こうはくしょくたてせん体側たいそくにも黄白こうはくしょくよこしまや斑点はんてんがあり、成魚せいぎょとは外見がいけんことなる。かおつきはスズキるが、背中せなかおおきくがっていて体高たいこうたかい。通常つうじょうさかな同様どうようくろいが、くら場所ばしょひかり反射はんしゃすると角度かくどによってはあかひかり、「赤目あかめ」の和名わみょうもここに由来ゆらいする。

きんえんしゅバラマンディ L. calcarifer がいるが、バラマンディの金色きんいろひかる。またアカメのしりひれは2番目ばんめとげじょう一番いちばんながいのにたいし、バラマンディでは3番目ばんめとげじょう一番いちばんながい。アカメとバラマンディはかつてどう一種いっしゅとされたこともあったが、片山かたやま正夫まさお多紀たき保彦やすひこによって1984ねん別種べっしゅとして記載きさいされた[1]

九州大学きゅうしゅうだいがく農学のうがく研究けんきゅういん三品みしな達平たっぺいじょきょうがアカメのゲノム解析かいせきおこなったところ、アカメの遺伝いでんてき多様たようせいひくく、やく3まんねんまえから個体こたいすうやく1000個体こたい前後ぜんこうきわめてすくないまま生存せいぞんしてきたこと、そしてバラマンディとことなりゆたか帯域たいいき独自どくじ進化しんか生存せいぞんしてきたことが判明はんめいした[4]

生態せいたい

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黒潮くろしおめんした西日本にしにほん太平洋たいへいよう沿岸えんがんいきだけに分布ぶんぷする日本にっぽん固有こゆうしゅである。種子島たねがしま屋久島やくしまから静岡しずおかけんまで記録きろくがあるが、おもな分布ぶんぷいき宮崎みやざきけん高知こうちけんである。

成魚せいぎょ沿岸えんがんあさうみ生息せいそくするが、河口かこう内湾ないわん水域すいいき頻繁ひんぱん侵入しんにゅうすることがられる。これはえささがほかにも、浸透しんとうあつ低下ていかする汽水域すいいきからだについた寄生虫きせいちゅうよわらせてとす目的もくてきもあるとかんがえられている。しょくせい肉食にくしょくせいで、おもにしょうさかな捕食ほしょくする。ほんしゅ夜行やこうせい警戒けいかいしんつよく、よるあめに汽水域すいいき侵入しんにゅうすることがおおい。

産卵さんらんについてはよくわかっていないが、なつ海域かいいき産卵さんらんするとみられる。稚魚ちぎょは汽水域すいいきあつまり、コアマモなどがえたじょう生活せいかつする。稚魚ちぎょ幼魚ようぎょじょうあたましたにしてとどまる習性しゅうせいがあり、しょうさかな甲殻こうかくるい捕食ほしょくして成長せいちょうする。

定置網ていちあみなどで漁獲ぎょかくされ食用しょくようになる。スズキちか白身しろみで、刺身さしみ塩焼しおやなどでべられる。また、大型おおがた肉食にくしょくぎょだけにりの対象たいしょうとしても人気にんきたかい。

記録きろく

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2016ねん6がつ3にち高知こうちけん高知こうち浦戸湾うらどわんおもさ39キロ、全長ぜんちょう131センチのアカメがげられ、日本にっぽん固有こゆうしゅであることから、これが重量じゅうりょうとしては世界せかい記録きろくとみられている。しかし戦前せんぜんからかわ漁師りょうしいとなんでいるものなかには、「ひと背丈せたけあった。」とう証言しょうげんいくつもかれる。[5]

保全ほぜん状態じょうたい評価ひょうか

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絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい (EN)環境省かんきょうしょうレッドリスト

分布ぶんぷせま生息せいそくすうすくないため、各地かくち保護ほご活動かつどうおこなわれている。しかし希少きしょう価値かちがあるために稚魚ちぎょ密漁みつりょうされるほか環境かんきょう汚染おせん海辺うみべ開発かいはつなどで稚魚ちぎょ生息せいそくとなるじょう消失しょうしつしている。環境省かんきょうしょうレッドリストでは1991ねんばんで「希少きしょうしゅ」、1999年版ねんばんでは「じゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐ(NT)」だったが、2007年版ねんばんでは2段階だんかいがり「絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい(EN)」として掲載けいさいされた。

また2006ねんには、宮崎みやざきけん指定してい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ一種いっしゅとしてアカメを指定していし、捕獲ほかくなどを禁止きんしした[6]。これはニホンカモシカひとしおなあつかいである。高知こうちけん同様どうよう指定していしようとしたがじんらの反発はんぱつい、指定していにはいたっていない。

地方ちほうばんレッドリストカテゴリー

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  • 徳島とくしまけんじゅん絶滅ぜつめつ危惧きぐ (NT)
  • 愛媛えひめけん情報じょうほう不足ふそく (DD)
  • 高知こうちけん注目ちゅうもくしゅ
  • 大分おおいたけん情報じょうほう不足ふそく
  • 宮崎みやざきけん絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい

きんえんしゅ

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バラマンディ (Barramundi) Lates calcarifer (Bloch1790)
ペルシアわんからインド洋いんどよう沿岸えんがん東南とうなんアジア台湾たいわんオーストラリア北部ほくぶ沿岸えんがんまでひろ分布ぶんぷする。分布ぶんぷいきでは重要じゅうよう食用しょくようぎょひとつである。
ナイルパーチ (Nile perch) Lates niloticus (Linnaeus1758)
全長ぜんちょう193cm、体重たいじゅう200kgの記録きろくがある大型おおがたぎょアフリカねつ帯域たいいきかわしおみずうみ、汽水域すいいき分布ぶんぷする。食用しょくようぎょとしてアフリカ各地かくちみずうみ放流ほうりゅうされているが、同時どうじ生態せいたいけいおおきな影響えいきょうおよぼし問題もんだいとなっており、とくヴィクトリアでは固有こゆうしゅ激減げきげんしている。IUCNの「世界せかい侵略しんりゃくてき外来がいらいしゅワースト100」に選定せんていされている。日本にっぽんにも輸入ゆにゅうされ、環境省かんきょうしょうによる要注意ようちゅうい外来がいらい生物せいぶつにリストアップされている[7]
アカメモドキ (えい: Waigeo seaperch学名がくめいPsammoperca waigiensis) (Cuvier1828)
全長ぜんちょう45cmほどまでで、アカメよりは小型こがた分布ぶんぷいきはバラマンディとほぼ同様どうようだが、日本にっぽん南西諸島なんせいしょとうにも分布ぶんぷする。海藻かいそうおお岩礁がんしょういきサンゴ礁さんごしょう生息せいそくするが、汽水域すいいきにも侵入しんにゅうする。アカメ同様どうようひかりてるとあかひかる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b 片山かたやま正夫まさお, 多紀たき保彦やすひこ, 「アカメ'Lates japonicus sp.nov.の記載きさい」『魚類ぎょるいがく雑誌ざっし』 30かん 4ごう 1983-1984ねん p.361-367, doi:10.11369/jji1950.30.361, はら記載きさい論文ろんぶん
  2. ^ 中村なかむら庸夫みちおさかな名前なまえ』2006ねん 東京書籍とうきょうしょせき ISBN 4487801168
  3. ^ 日本にっぽんさんだいかいぎょアカメ 50ねんはつ?駿河湾するがわん発見はっけん 水族館すいぞくかん飼育しいく”. 毎日新聞まいにちしんぶん (2022ねん5がつ12にち). 2022ねん5がつ12にち閲覧えつらん
  4. ^ ゲノム解析かいせきからさぐる「まぼろしかいぎょ」アカメの進化しんか生存せいぞん歴史れきし九州大学きゅうしゅうだいがく、2024ねん9がつ24にち
  5. ^ “39キロのアカメ 高知こうち浦戸湾うらどわんで“世界せかいしん記録きろく””. 高知新聞こうちしんぶん. (2016ねん6がつ4にち). オリジナルの2016ねん6がつ5にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160605101424/http://www.kochinews.co.jp/article/26231/ 2016ねん6がつ5にち閲覧えつらん 
  6. ^ 指定してい希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ概要がいよう(アカメ)、2012ねん12月21にち更新こうしん宮崎みやざきけんHP
  7. ^ 外来がいらい生物せいぶつほう 要注意ようちゅうい外来がいらい生物せいぶつリスト 魚類ぎょるい ひょう”. 環境省かんきょうしょう. 2006ねん5がつ21にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2018ねん12月25にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 三浦みうら知之ともゆき干潟ひがたきもの図鑑ずかん南方みなかたしんしゃ ISBN 978-4-86124-139-0
  • 岡村おかむらおさむあまおか邦夫くにお監修かんしゅう さんけいカラー名鑑めいかん日本にっぽん海水かいすいぎょ』(アカメ解説かいせつ : 宮原みやはらはじめISBN 4-635-09027-2
  • かわ浩哉ひろや水野みずの信彦のぶひこ細谷ほそやかずうみへんやまけいカラー名鑑めいかん 改訂かいていばん 日本にっぽん淡水魚たんすいぎょ』(アカメ解説かいせつ : 木下きのしたいずみISBN 4-635-09021-3
  • 鹿児島かごしま自然しぜん記録きろくするかいへんかわもの図鑑ずかん 鹿児島かごしま水辺みずべから』(魚類ぎょるい解説かいせつ : 四宮しのみや明彦あきひこ米沢よねざわ俊彦としひこ南方みなかたしんしゃ ISBN 4-931376-69-X
  • 木下きのしたいずみ岩槻いわつき幸雄ゆきお アカメ. 日本にっぽん希少きしょう野生やせい水生すいせい動物どうぶつかんする基礎きそ資料しりょう (III):103-106. 1996. 日本水産にっぽんすいさん資源しげん保護ほご協会きょうかい.
  • Iwatsuki, Y., K. Tashiro and T. Hamasaki. 1993. Distribution and fluctuations in occurrence of a Japanese centropomid fish, Lates japonicus. Japan. J. Ichthyol., 40(3): 327-332.
  • Iwatsuki, Y., K. Tashiro, M. Endo and H. Ono. 1994. The matured female of the Japanese centropomid fish from the Oyodo River estuary, Miyazaki Prefecture. Bull. Fac. Agri., Miyazaki Univ., 41(1): 11-14.
  • いわけやき幸雄ゆきお 2014. アカメ 小倉おぐら紀雄としお竹村たけむらこう太郎たろう谷田たにだ一三かずみ松田まつだ芳夫よしおへん水辺みずべひと環境かんきょうがく ISBN 978-4-254-18538-6
  • 井本いもとかい瀬能せのうひろし遠藤えんどう広光ひろみつ増田ますだ元保もとやす田中たなか文也ふみや岩槻いわつき幸雄ゆきお、2012 ミトコンドリア DNA の D-loop 領域りょういきからみた日本にっぽんさんアカメの遺伝いでんてき集団しゅうだん構造こうぞう 日本にっぽん魚類ぎょるい学会がっかい年会ねんかい講演こうえん番号ばんごう111
  • 田代たしろ一洋かずひろ岩槻いわつき幸雄ゆきお、「アカメの飼育しいくにおける成長せいちょうえさ特性とくせい」『日本水産にっぽんすいさん学会がっかい』 61かん 5ごう 1995ねんp.684-688, NAID 10004847502, doi:10.2331/suisan.61.684
  • 山本やまもと圭吾けいご波戸はとおかきよしほう 1994. 大阪おおさかわんでアカメがとれた.Nature Study 40(3): 2-4
  • Lates japonicusFroese, R. and D. Pauly. Editors. 2008.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version(09/2008).
  • NHKダーウィンがた! 〜きものしん伝説でんせつDVDブック36ごう四万十川しまんとがわ潜入せんにゅう巨大きょだいぎょアカメ」, 朝日新聞あさひしんぶん出版しゅっぱん,(2011)
  • Tanoue, H., T. Komatsu, T. Tsujino, I. Suzuki, M. Watanabe, H. Goto, and N. Miyazaki. 2012. Feeding events of Japanese lates Lates japonicus detected by a high-speed video camera and three-axis micro-acceleration data-logger. Fish. Sci., 78:533-538.

外部がいぶリンク

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