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ケントゥム語 ご 派 は の諸語 しょご は西 にし ヨーロッパの青 あお く塗 ぬ られた部分 ぶぶん を主 おも とした地域 ちいき と東 ひがし の果 は てのトカラ語 ご (Tocharian )の地域 ちいき に分 わ かれる。 その両者 りょうしゃ の間 あいだ にピンクで塗 ぬ られた部分 ぶぶん を主 おも としたサテム語 ご 派 は 諸語 しょご の地域 ちいき が広 ひろ がり、そのうち赤 あか で塗 ぬ られた地域 ちいき (コーカサス山脈 さんみゃく 一帯 いったい )はサテム語 ご 派 は の発音 はつおん の源 みなもと 郷 きょう と推定 すいてい される地域 ちいき 。 この赤 あか い地域 ちいき は青銅器 せいどうき 時代 じだい のシンタシタ文化 ぶんか 、アバシェヴォ文化 ぶんか 、およびスルプナ文化 ぶんか に相当 そうとう する。
紀元前 きげんぜん 500年 ねん ごろのインド・ヨーロッパ語族 ごぞく の諸語 しょご および他 た のいくつかの言語 げんご の分布 ぶんぷ の境界 きょうかい 。 インド・ヨーロッパ語族 ごぞく のうち *-tt- > -ss- の転訛 てんか をした諸語 しょご (ケルト語 ご 派 は 、イタリック語 ご 派 は 、ゲルマン語 ご 派 は )
インド・ヨーロッパ語族 ごぞく のうち *-tt- > -st- の転訛 てんか をした諸語 しょご (ギリシャ語 ご 派 は 、イラン語 ご 派 は 、スラヴ語 ご 派 は 、バルト語 ご 派 は 、アルメニア語 ご 派 は )
ケントゥム語 ご ( ケントゥムご ) とサテム語 ご ( サテムご ) は、インド・ヨーロッパ語族 ごぞく に属 ぞく する言語 げんご の、音 おと 変化 へんか による分類 ぶんるい である。
標準 ひょうじゅん 的 てき なインド・ヨーロッパ祖語 そご (印 しるし 欧 おう 祖語 そご )の再建 さいけん では、以下 いか の3系列 けいれつ の舌 した 背 せ 破裂 はれつ 音 おん が想定 そうてい されている。
これら3系列 けいれつ の舌 した 背 せ 破裂 はれつ 音 おん は、ほとんどの娘 むすめ 言語 げんご で2系列 けいれつ に合流 ごうりゅう した。硬 かた 口蓋 こうがい 音 おん と軟口蓋 なんこうがい 音 おん が合流 ごうりゅう した言語 げんご をケントゥム語 ご 、軟口蓋 なんこうがい 音 おん と両 りょう 唇 くちびる 軟口蓋 なんこうがい 音 おん が合流 ごうりゅう した言語 げんご をサテム語 ご という。サテム語 ご では、硬 かた 口蓋 こうがい 破裂 はれつ 音 おん が破 やぶ 擦 ず 音 おと (tʃ - ts ) や摩擦音 まさつおん (ʃ - s ) に変化 へんか した(口蓋 こうがい 化 か )。サテム語 ご では印 しるし 欧 おう 祖語 そご に見 み られた k と kʷ の区別 くべつ は失 うしな われていることが多 おお い。
ケントゥム語 ご
印 しるし 欧 おう 祖語 そご
サテム語 ご
*k
*ḱ
*ḱ
*k
*k
*kʷ
*kʷ
サテム語 ご とケントゥム語 ご の違 ちが いは「百 ひゃく 」を表 あらわ す単語 たんご に見 み ることができる。ケントゥム (centum ) とサテム (satem ) は、「百 ひゃく 」を表 あらわ すラテン語 らてんご の centum とアヴェスタ語 ご の satəm に由来 ゆらい する。この二 ふた つの語 かたり は同系 どうけい で、最初 さいしょ の音 おと は印 しるし 欧 おう 祖語 そご では *ḱ として再建 さいけん される。ラテン語 らてんご の語頭 ごとう の /k/ の音 おと (文字 もじ では c )は、印 しるし 欧 おう 祖語 そご の *ḱ が *k と合流 ごうりゅう したことを示 しめ している。それに対 たい して、アヴェスタ語 ご の語頭 ごとう の s は、 *ḱ が *k との区別 くべつ を保 たも ち、後 のち に口蓋 こうがい 化 か したことを表 あらわ している。この語 かたり は祖語 そご の段階 だんかい で *kʲmtom という形 かたち であったが、サテム語 ご に属 ぞく するイラン のアヴェスタ語 ご で satəm 、リトアニア語 ご で šimtas 、ロシア語 ご では сто /sto/ などに変化 へんか している。一方 いっぽう 、ケントゥム語 ご に属 ぞく するラテン語 らてんご では centum /kentũ/ 、ギリシャ語 ご では (he-)katon (現 げん : εκατόν )、英語 えいご では hund(-red) (*k > h の変化 へんか はグリムの法則 ほうそく による)などとなっている。
ギリシャ語 ご 、イタリック語 ご 派 は 、ケルト語 ご 派 は 、ゲルマン語 ご 派 は はケントゥム語 ご であり、インド・イラン語 ご 派 は 、バルト・スラヴ語 ご 派 は はサテム語 ご である。これらのケントゥム語 ご はサテム語 ご よりも西側 にしがわ に分布 ぶんぷ しているため、ケントゥム語 ご とサテム語 ご の違 ちが いは、方言 ほうげん 的 てき なものであったと考 かんが えられている意見 いけん がある。
ところが、以下 いか の発見 はっけん によって、ケントゥム語 ご とサテム語 ご は系統 けいとう の違 ちが いを表 あらわ すものではなく、このような音 おと 変化 へんか はそれぞれの言語 げんご で独立 どくりつ に起 お きたと考 かんが えられる意見 いけん もある。
他 た のサテム語 ご よりも東 ひがし で話 はな されていたトカラ語 ご がケントゥム語 ご であったこと。
ルウィ語 ご (アナトリア語 ご 派 は )では一部 いちぶ の環境 かんきょう で印 しるし 欧 おう 祖語 そご の舌 した 背 せ 破裂 はれつ 音 おん の3系列 けいれつ が区別 くべつ されていたこと。
アルメニア語 ご ・アルバニア語 ご の2 ふた つのサテム語 ご では、比較的 ひかくてき 遅 おそ い段階 だんかい まで軟口蓋 なんこうがい 音 おん と両 りょう 唇 くちびる 軟口蓋 なんこうがい 音 おん が区別 くべつ されていたこと。
バルト・スラヴ語 ご 派 は では多 おお くの単語 たんご がケントゥム語 ご と同 おな じような変化 へんか を遂 と げていること。
とくにスラヴ語 ご 派 は とバルト語 ご 派 は はどちらもサテム語 ご 派 は に属 ぞく するものの、同時 どうじ にケントゥム語 ご 派 は の音声 おんせい 的 てき 特徴 とくちょう も残 のこ しており、またこのスラヴ語 ご 派 は とバルト語 ご 派 は は文法 ぶんぽう 的 てき にはゲルマン語 ご 派 は (ケントゥム語 ご 派 は に属 ぞく する)との間 あいだ で明確 めいかく な共通 きょうつう 性 せい があるため、スラヴ語 ご 派 は 、バルト語 ご 派 は 、ゲルマン語 ご 派 は の3つの言語 げんご の共通 きょうつう 祖語 そご (インド・ヨーロッパ祖語 そご の北西 ほくせい 語 ご 群 ぐん )を想定 そうてい する学説 がくせつ も有力 ゆうりょく となってきている[ 1] [ 2] 。
インド・ヨーロッパ語族 ごぞく に属 ぞく する諸 しょ 言語 げんご 話者 わしゃ を特徴 とくちょう づける遺伝子 いでんし はハプログループR1b (Y染色 せんしょく 体 たい ) およびハプログループR1a (Y染色 せんしょく 体 たい ) [ 3] [ 4] であるが、R1bはヨーロッパ西部 せいぶ やアナトリア 、ウイグル (旧 きゅう トカラ語 ご 分布 ぶんぷ 域 いき )などケントゥム語 ご 話者 わしゃ に高 こう 頻度 ひんど で、R1aはバルト・スラブ語 ご 派 は やインド・イラン語 ご 派 は などサテム語 ご 話者 わしゃ に高 こう 頻度 ひんど である[ 5] 。印 しるし 欧 おう 祖語 そご が話 はな されたヤムナ文化 ぶんか の人骨 じんこつ からはハプログループR1b (Y染色 せんしょく 体 たい ) が91.5%の高 こう 頻度 ひんど で検出 けんしゅつ されているが、R1aは検出 けんしゅつ されていない[ 6] 。そのため、元来 がんらい の印欧語 いんおうご 族 ぞく 話者 わしゃ はケントゥム語 ご を話 はな すR1b集団 しゅうだん であり、ある時点 じてん でR1a集団 しゅうだん が新 あら たに印欧語 いんおうご に言語 げんご 交替 こうたい を起 おこ したものと考 かんが えられ、その際 さい にR1a集団 しゅうだん の基層 きそう 言語 げんご の特徴 とくちょう がサテム語 ご の特徴 とくちょう として受 う け継 つ がれたものと思 おも われる。
^ Renfrew, Colin Archaeology and language (1990), pg 107
^ Baldi, Philip The Foundations of Latin (1999), pg 39
^ T. Zerjal et al, The use of Y-chromosomal DNA variation to investigate population history: recent male spread in Asia and Europe, in S.S. Papiha, R. Deka and R. Chakraborty (eds.), Genomic Diversity: applications in human population genetics (1999), pp. 91–101.
^ L. Quintana-Murci et al., Y-Chromosome lineages trace diffusion of people and languages in Southwestern Asia, American Journal of Human Genetics vol. 68 (2001), pp.537–542.
^ eupedia.com/genetics
^ Eupedia