ココヤシ

ココヤシ
ココヤシ
分類ぶんるい（APG III）
界さかい : 植物しょくぶつ界かい Plantae 階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms 階級かいきゅうなし : 単たん子葉しよう類るい monocots 階級かいきゅうなし : ツユクサ類るい commelinids 目め : ヤシ目め Arecales 科か : ヤシ科か Arecaceae 属ぞく : ココヤシ属ぞく Cocos 種たね : ココヤシ C. nucifera
学名がくめい
Cocos nucifera L. (1753)
和名わみょう
ココヤシ

ココヤシ（ココ椰子ここやし、古いにしえ々椰子やし、学名がくめい: Cocos nucifera）は、単たん子葉しよう植物しょくぶつヤシ科かの高木たかぎである。おそらくヤシ科か植物しょくぶつの中なかで最もっとも有名ゆうめいで、最もっとも利用りよう価値かちが高たかい。単たんにヤシ（椰子やし）と言いえばこれを指さす。果実かじつはココナッツとして有名ゆうめいであり、他ほかにも多方面たほうめんで利用りよう価値かちが高たかく、世界中せかいじゅうの熱帯ねったい地域ちいきで栽培さいばいされている。

リンネの『植物しょくぶつの種たね』(1753年ねん) で記載きさいされた植物しょくぶつ種しゅの一ひとつである。

特徴とくちょう

ココヤシと果実かじつ（図ず）

樹高きだかは大おおきいもので約やく30メートル (m) にまで成長せいちょうする。幹みきはまっすぐには直立ちょくりつせずやや斜ななめに伸のび、途中とちゅうがよく屈曲くっきょくする。葉はの長ながさは5 mにもなる羽はね状じょう複葉ふくようで、基部きぶから先端せんたんまで細長ほそながい小しょう葉はを両側りょうがわに付つける。葉はは幹みきの先端せんたん部ぶに集あつまり、その部分ぶぶんには葉はの付つけ根ねとそこから出でる繊維せんいが密集みっしゅうする。それより下したでは比較的ひかくてき滑なめらかな樹皮じゅひが露出ろしゅつしている。樹皮じゅひには輪状りんじょうの葉は痕こんがよく目立めだつ。

雌雄しゆう同どう株かぶで大おおきな円錐えんすい花序かじょをつけ、その先端せんたん部ぶは雄花おばなで、基部きぶに雌花めばなをつける。果実かじつは熟じゅくすと30センチメートル (cm) 程ほどにもなり、やや先さきがとがった楕円だえん形がたで、緑色みどりいろ。その外側そとがわは丈夫じょうぶな繊維せんいを含ふくむ厚こうい層そうからなり、その内側うちがわに非常ひじょうに固かたい殻からに包つつまれた種子しゅしがある。果実かじつは海水かいすいによく浮うかび、遠距離えんきょりへの種子しゅしの散布さんぷが可能かのうである。

ポリネシアから熱帯ねったいアジアが原産げんさんとされるが、現在げんざいでは世界中せかいじゅうの熱帯ねったい地方ちほうで栽培さいばいされている。

利用りよう

ココナッツ

非常ひじょうに利用りよう価値かちの高たかい植物しょくぶつで、世界せかい各地かくちで栽培さいばいされる。茎くきは材ざいとして用もちいられ、特とくにポリネシアなどの海洋かいようの小島こじまでは唯一ゆいいつの材木ざいもくとなる場合ばあいもある。古代こだいから近世きんせいまでアラビア海かい・東ひがしアフリカ・インド貿易ぼうえきで利用りようされた船ふね（ダウ船せん）の建材けんざいとして利用りようされた。葉はは屋根やねを葺ふき、あるいは繊維せんいを編あんで敷物しきものやカゴなどに加工かこうされる。

果実かじつはココナッツと言いわれ、主しゅとして食用しょくようになる。固かたい殻からの内部ないぶの周縁しゅうえん部ぶには固形こけい胚乳はいにゅうの層そうがあり、中心ちゅうしん近ちかくには液状えきじょう胚乳はいにゅうが入はいっている。液状えきじょう胚乳はいにゅうはそのまま飲用いんようされる。これは、熱帯ねったいでは多おおくの場合ばあいに野外やがいの生水なまみずは衛生えいせい的てきに危険きけんなことから、非常ひじょうに重宝ちょうほうされる。1個いっこの果実かじつには約やく1リットルの液状えきじょう胚乳はいにゅうココナッツジュースが入はいっている。

胚乳はいにゅうはそのまま食たべられるほか、ココナッツミルクやナタデココなどに加工かこうして料理りょうりにもよく使つかわれる。また、これを乾燥かんそうさせてコプラを作つくる。これは油分ゆぶんが多おおく、工業こうぎょう原料げんりょうにもなる。

果実かじつの皮かわからは繊維せんいを取とり出だしてロープやたわしなどができる。内側うちがわの固かたい殻からは容器ようきとして用もちいられるほか、細工ざいく物ぶつにも使つかわれる。熱帯ねったい地方ちほうの観光かんこう土産みやげの定番ていばんである。

種子しゅし散布さんぷ

砂浜すなはまに漂着ひょうちゃくしたココヤシの実み
西表島いりおもてじま・まるまの浜はま

果実かじつは非常ひじょうによく海水かいすいに浮うかぶので、海うみに落おちれば海流かいりゅうに乗のってかなり遠方えんぽうまで流ながされ、砂浜すなはまに打うち上あげられればそこで発芽はつがすることで分布ぶんぷを広ひろげる。

日本にっぽんにもしばしば漂着ひょうちゃくすることで有名ゆうめいである。柳田やなぎだ國男くにおは渥美半島あつみはんとうの浜辺はまべに漂着ひょうちゃくしたココヤシの実じつに触発しょくはつされて南海なんかいからの文化ぶんか伝達でんたつを論ろんじ、『海上かいじょうの道みち』を書かいた。島崎しまざき藤村とうそんの抒情詩じょじょうしおよびそれに曲きょくを付つけた歌曲かきょく『椰子やしの実み』は、柳田やなぎだから直接ちょくせつこの話はなしを聞きいた島崎しまざきが触発しょくはつされて作つくったものである。

自生じせい北限ほくげん

ココヤシの分布ぶんぷ域いき。

日本にっぽんでは、鹿児島かごしま県けん奄美あまみ群島ぐんとうのごく一部いちぶと沖縄おきなわ県けん、東京とうきょう都との小笠原諸島おがさわらしょとう以外いがいの地域ちいきでは冬ふゆの寒さむさのため自生じせいできない。沖縄おきなわ本島ほんとうでは、街路がいろ樹じゅやホテルの庭園ていえんなどに植うえ栽されているが生育せいいくは良よくない。近年きんねんは温暖おんだん化かの影響えいきょうもあり、奄美あまみ群島ぐんとうでも実みをつけていると言いう情報じょうほうがある。

沖縄おきなわ県けん宮古みやふる諸島しょとう伊良部島いらぶじまの渡口とぐちの浜はまや先さき島とう諸島しょとう西表いりおもて島とうの北部ほくぶ海岸かいがん、小笠原諸島おがさわらしょとう父島ちちじまと母島ははじま、硫黄いおう島とう、南鳥島みなみとりしまで自生じせいしている。特とくに父島ちちじまと母島ははじまには街中まちじゅうや民家みんかの庭先にわさきに樹齢じゅれい数すう十じゅう年ねんを越こえる大おおきな株かぶがあり異国いこく情緒じょうちょを漂ただよわせている。

耐寒たいかん温度おんどは12℃といわれ、自生じせい北限ほくげんはケッペンの気候きこう区分くぶんで熱帯ねったい気候きこうと温帯おんたい気候きこうの境界きょうかいとされる最さい寒月かんげつ平均へいきん気温きおん18℃のラインとほぼ一致いっちする。1981 - 2010年ねんの平均へいきん値ちから推測すいそくすると、そのラインは父島ちちじまから大東諸島だいとうしょとうを通とおり、宮古島みやこじまから西表島いりおもてじまの北方ほっぽうを横切よこぎる線せんとなっている。

その他た

各地かくちで利用りようされるが、大おおきな果実かじつが非常ひじょうに高たかいところに生なるので、それなりの苦労くろうが必要ひつようになる。まず、果実かじつを採とりに行いくのが大変たいへんな労働ろうどうであり、木き登のぼりの技術ぎじゅつは地元じもとの人間にんげんにとって重要じゅうような能力のうりょくとなる。マレーシアやタイでは、ブタオザルを調教ちょうきょうしてこの役割やくわりをさせる地方ちほうもある。クレーンの先さきにゴンドラのついたクレーン車しゃなどの機械きかいを使つかって大量たいりょうに収穫しゅうかくする方法ほうほうもある。

他方たほう、果実かじつが自然しぜんに落下らっかした場合ばあいは、人間にんげんなどに当あたれば大だい怪我けがをする。（ココナッツによる死しも参照さんしょう）。観光かんこう地ちでは、熟じゅくした果実かじつをあらかじめ落おとして回まわることも重要じゅうような作業さぎょうであるという。

なお、ヤシガニは木きに登のぼってこの実みを取とると誤解ごかいされていたことに由来ゆらいする名前なまえである。

画像がぞう

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  ココヤシ
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  ビーチのココヤシ
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  庭にわに植うえられたココヤシ
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  ココナッツの幹みき
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  芽吹めぶいたばかりのココヤシ
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  ココヤシの花はな
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  木きになった状態じょうたいのココナッツ
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  ココナッツの成熟せいじゅく果はて
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  インドのクンブ・メーラで使つかわれるココナッツ

関連かんれん項目こうもく

• ヤシ油ゆ
• ダウ船せん
• ココナッツカダンカダンウイロイド