コツメカワウソ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
コツメカワウソ
コツメカワウソ
コツメカワウソ Aonyx cinerea
保全ほぜんじょうきょう評価ひょうか[1][2]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
ワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょI
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
: 食肉しょくにく Carnivora
: イタチ Mustelidae
: カワウソ Lutrinae
ぞく : ツメナシカワウソぞく Aonyx
たね : コツメカワウソ A. cinerea
学名がくめい
Aonyx cinerea (Illiger, 1815)[1][3]
シノニム

Lutra cinerea Illiger, 1815[1][4]
Amblonyx concolor Rafinesque, 1832
Amblonyx cinereus Pocock, 1921[4]

和名わみょう
コツメカワウソ[3][5][6]
英名えいめい
Asian short-clawed otter[3]
Asian small-clawed otter[1][4][5]
Oriental short-clawed otter[3][4]
Oriental small-clawed otter[1]
Small-clawed otter[1]

分布域

コツメカワウソは、小爪こづめうそ[7]学名がくめい: Aonyx cinerea)は、哺乳ほにゅうつな食肉しょくにくイタチツメナシカワウソぞく分類ぶんるいされる、カワウソ一種いっしゅ東南とうなんアジア中国ちゅうごく大陸たいりく南部なんぶみなみアジア棲息せいそくする

分布ぶんぷ[編集へんしゅう]

インドインドネシアジャワ島じゃわとうスマトラ島すまとらとうボルネオとう)、カンボジアタイ王国おうこく中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく南部なんぶネパールバングラデシュフィリピンパラワンとう)、ブータンベトナムマレーシアミャンマーラオス[4]シンガポール香港ほんこんでは絶滅ぜつめつしたとかんがえられている[4]

しき標本ひょうほん産地さんち基準きじゅん産地さんち・タイプ産地さんちしき産地さんち)はジャワ[4]

形態けいたい[編集へんしゅう]

あたまどうちょう体長たいちょう)41 - 64センチメートル[3][5]尾長おなが25 - 35センチメートル[3][5]体高たいこう20センチメートル[6]体重たいじゅう2.7 - 5.4キログラム[3]背面はいめんはい褐色かっしょくうす黒褐色こっかっしょくで、のどしろ灰白色かいはくしょく[3][5]たね小名しょうみょうラテン語らてんごで「はい」のがあるcinerに由来ゆらいし、ほんしゅ毛色けいろ由来ゆらいする[4]

ゆび趾には、非常ひじょう小型こがたつめがある[3][5]あしはばせまく、水掻みずかきはゆび趾の最後さいご関節かんせつまでたっする[3][5]

染色せんしょくたいすうは2n = 38[4]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

ほんたねのみで、コツメカワウソぞくAmblonyx構成こうせいするせつもある[4][8]

1998ねん発表はっぴょうされたイタチ17しゅ最尤法さいゆうほうもちいたミトコンドリアDNAシトクロムb分子ぶんし系統けいとう解析かいせきでは、ツメナシカワウソるいとは5ひゃくまんねんまえ分岐ぶんきしたという解析かいせき結果けっかられている[9]

以下いか亜種あしゅ分類ぶんるい分布ぶんぷは、斉藤さいとうら(1991)にしたが[3]

Aonyx cinerea cinerea (Illiger, 1815)
インドネシア、ベトナム、マレーシア
Aonyx cinerea concolor (Rafinesque, 1832)
インド、ミャンマー。かたぎしき標本ひょうほん産地さんちアッサム(インド北東ほくとう[4]
Aonyx cinerea nirnai (Pocock, 1940)
インド南部なんぶ

飼育しいくではビロードカワウソぞくあいだ雑種ざっしゅ形成けいせいしたれい報告ほうこくされている[10]

生態せいたい[編集へんしゅう]

標高ひょうこう2,000メートル以下いかにある、河川かせん沼地ぬまち海岸かいがんマングローブりん水田すいでんなどに生息せいそくする[4]マレまれ半島はんとうではビロードカワウソがみずうみいけおも生息せいそくするのにたいほんたねしょう河川かせん渓流けいりゅう東南とうなんアジアではスマトラカワウソ利用りようしない水田すいでんなどの小規模しょうきぼみずじょう利用りようする[4]ひるぎょうせいであるが、水田すいでんなどの人間にんげんおお環境かんきょうでは夜間やかん活動かつどうする[6]動物どうぶつ放棄ほうきしたや、植生しょくせいふか場所ばしょなどを利用りようしてやす[6]家族かぞくぐん形成けいせい生活せいかつする[3]。ペアは長期ちょうきてき持続じぞくし、メスが優位ゆうい[6]。12種類しゅるい以上いじょうごえ使つかけているとかんがえられている[3][4]。ほかのカワウソるい比較ひかくすると、水中すいちゅうよりも陸上りくじょうごすことがおお[6]

甲殻こうかくるい貝類かいるい昆虫こんちゅう魚類ぎょるい爬虫類はちゅうるいなどをべる[4]同所どうしょてき分布ぶんぷするスマトラカワウソやビロードカワウソやユーラシアカワウソ比較ひかくすると、ほんしゅおも甲殻こうかくるいべる(しゅおも魚類ぎょるいべる)[4]おもあさ水辺みずべりをおこない、前足まえあしどろいししたって獲物えものさぐ[6]

繁殖はんしょく様式ようしき胎生たいせいしゅうねん繁殖はんしょく[5]発情はつじょう間隔かんかくは24 - 30にち[3]発情はつじょう期間きかんは3日間にちかん[3][4]妊娠にんしん期間きかんは60 - 64にち[3][5]。1かいに1 - 6とうようじゅう[5]としに2かい繁殖はんしょくすることもある[3]授乳期じゅにゅうきあいだは2かげつはんから3かげつ[3]ようじゅう生後せいご40にち開眼かいがんし、生後せいご9週間しゅうかんおよげるようになる[3]生後せいご2 - 3ねんせい成熟せいじゅくする[6]飼育しいくでの寿命じゅみょうは15ねんたっすることもある[4]

人間にんげんとの関係かんけい[編集へんしゅう]

マレーシアではらされたほんしゅ漁業ぎょぎょう利用りようされることもある[3]

水田すいでんらすがいじゅうとみなされることもある[6]

農地のうち開発かいはつ森林しんりん伐採ばっさいによる生息せいそく破壊はかい水質すいしつ汚濁おだくおよびそれらによる獲物えもの減少げんしょう毛皮けがわよう狩猟しゅりょうなどにより生息せいそくすう減少げんしょうしている[1]。1977ねんにカワウソ単位たんいワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょIIに、2019ねんにワシントン条約じょうやく附属ふぞくしょIに掲載けいさいされている[2]。これにより国際こくさいてき商取引しょうとりひき規制きせいされ、生息せいそくでは保護ほご対象たいしょうとされているが、密猟みつりょう密輸みつゆ横行おうこうしているとかんがえられている[1]

生息せいそく以外いがい動物どうぶつえん水族館すいぞくかんで、または家庭かていペットとして飼育しいくされている[11]

画像がぞう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d e f g h Wright, L., de Silva, P., Chan, B. & Reza Lubis, I. 2015. Aonyx cinereus. The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T44166A21939068. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-2.RLTS.T44166A21939068.en. Downloaded on 28 April 2021.
  2. ^ a b UNEP (2021). Aonyx cinerea. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. [Accessed 28/04/2021]
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 斉藤さいとうまさる東員とういんよし細田ほそだ孝久たかひさ西木にしき秀人ひでと「イタチ分類ぶんるい」『世界せかい動物どうぶつ 分類ぶんるい飼育しいく2(食肉しょくにく)』(今泉いまいずみよしのり監修かんしゅう東京とうきょう動物どうぶつえん協会きょうかい、1991ねん)22 - 57ぺーじ
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r Serge Larivière, "Amblonyx cinereus," Mammalian Species, No. 720, American Society of Mammalogists, 2003, Pages 1 - 5.
  5. ^ a b c d e f g h i j Nicole Duplaix 「カワウソ」今泉いまいずみ吉晴よしはるわけ動物どうぶつだい百科ひゃっか 1 しょく肉類にくるい』(今泉いまいずみよしのり監修かんしゅう、D.W.マクドナルドへん平凡社へいぼんしゃ、1986ねん)138 - 143ぺーじ
  6. ^ a b c d e f g h i Pat Morris and Amy-Jane Beer 「コツメカワウソ」鈴木すずきさとしやくられざる動物どうぶつ世界せかい 8 小型こがた肉食にくしょくじゅうのなかま』(本川ほんがわ雅治まさはる監訳かんやく朝倉書店あさくらしょてん、2013ねん)64-65ぺーじ
  7. ^ 古屋こや義男よしお. “「コツメカワウソ」の解説かいせつ”. 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)(コトバンク). 2021ねん10がつ31にち閲覧えつらん
  8. ^ Pat Morris and Amy-Jane Beer 「イタチ鈴木すずきさとしやくられざる動物どうぶつ世界せかい 8 小型こがた肉食にくしょくじゅうのなかま』(本川ほんがわ雅治まさはる監訳かんやく朝倉書店あさくらしょてん、2013ねん)26-27ぺーじ
  9. ^ K.-P. KoepØi & R. K. Wayne, "Phylogenetic relationships of otters (Carnivora: Mustelidae) based on mitochondrial cytochrome b sequences," Journal of Zoology, Volume 246, Issue 4, Zoological Society of London, 1998, Pages 401 - 416.
  10. ^ Yeen Ten Hwang & Serge Larivière, “Lutrogale perspicillata,” Mammalian Species, No. 786, AmericanSociety of Mammalogists, 2005, Pages 1 - 4.
  11. ^ 「かわいい!」だけではない コツメカワウソ、ペットのリスク毎日新聞まいにちしんぶん(2023ねん5がつ30にち)2024ねん5がつ5にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]