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ゴス (サブカルチャー)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドイツのGruftie
ベルギーの写真しゃしん Viona Ielegems

ゴスは、おおくのくにられる、現代げんだいてきサブカルチャーである。1980年代ねんだい初頭しょとうのイギリスにおいて、ポスト・パンク一派いっぱであるゴシック・ロックシーンからこのサブカルチャーははじまった。ゴスはどう時代じだいほか文化ぶんかよりもずっとながびており、多様たようしてきている。César Fuentes Rodríguez とキャロル・シーゲル(Carol Siegel)によると、ゴスの継承けいしょうおよび文化ぶんかてき傾向けいこうは、ホラー映画えいがや19世紀せいきゴシック文学ぶんがくなどせま範囲はんいBDSM文化ぶんかからの影響えいきょうけている[1][2]

誕生たんじょう発達はったつ

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1970年代ねんだい後半こうはんまでに、ゴシックとばれるイギリスのポストパンクバンドがいくつかあった。しかしながら、ゴシック・ロックがポストパンクないのサブジャンルになったのは1980年代ねんだい前半ぜんはんであり、これらのバンドのファンははっきりとした活動かつどうおこなはじめた。そのシーンは1981ねん2がつ21にちにスティーブ・キートンが執筆しっぴつし、UKロックウィークリーサウンズから出版しゅっぱんされた『The face of Punk Gothique』から名前なまえった。1982ねん7がつ、ロンドンのソーホーでおこなわれたバットケイブとう、頭角とうかくあらわしつつあるシーンに焦点しょうてんてた重要じゅうよう集会しゅうかいニュー・ミュージカル・エクスプレスによって一時いちじてきにポジティブパンクとばれるようになった。[3] のちにバットケイブという言葉ことばは、ふるいゴスをすのに使つかわれるようになった。

イギリスのシーンとはべつに、1970年代ねんだい後半こうはん~1980年代ねんだい初頭しょとうにかけて、アメリカでは、アメリカン・パンクからデスロックが分流ぶんりゅうをなした。[4] 1980年代ねんだいから1990年代ねんだい初頭しょとうにかけて、ドイツに頭角とうかくあらわしつつあるサブカルチャーにたずさわる人間にんげんは、Grufti[e]s英語えいご納骨のうこつどうもの墓場はかばもののことをあらわす)とばれ、かれらはニューロマンティック影響えいきょうでゴシックとニュー・ウェイヴ融合ゆうごう関心かんしんけ、ダーク・カルチャー(かつてはダーク・ウェーブ・カルチャーとばれていた)の初期しょき段階だんかい形成けいせいしていった。

ポスト・パンク

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2003ねん2がつ3にちおこなわれたバウハウスのライブ

ポスト・パンクのいきおいがおとろえたのち、サブカルチャーは音楽おんがく・ビジュアル双方そうほうめん多様たようしていった。これによってスタイル(ゴスの‘典型てんけい’)に多様たようせいがでてきた。通常つうじょうそれぞれのゴスの‘典型てんけい’があらわれるさい思考しこう傾向けいこう反映はんえいするが、かならずしもそうとはかぎらない。地方ちほうのシーンもまた、この多様たようせい貢献こうけんした。1990ねんまで、ヴィクトリア様式ようしきのファッションが、19世紀せいきなかばのゴシック・リヴァイヴァルやより不健全ふけんぜんヴィクトリア文化ぶんかいちめん利用りようしてゴスシーンでいきおいをもどした。

現在げんざいにおけるゴス文化ぶんかのサブカルチャーてき限界げんかい

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1990年代ねんだいまでに、ゴスという言葉ことば適合てきごうしたサブカルチャーはより論争ろんそうぶようなものになっていった。一般人いっぱんじん有名ゆうめいなメディアによって、ゴス文化ぶんか同一どういつしてしまうようなあたらしいサブカルチャーが発生はっせいし、より人気にんきあつめた。この同一どういつは、ゴシックロックバンドの音楽おんがくてきなジャンルというよりもむしろ、社会しゃかいてき習慣しゅうかん類似るいじせいやサブカルチャーファッションによってこされたものである。がたつにつれ、ゴスという単語たんごはよりひろ意味いみ使つかわれるようになり、ときとしてもとのゴス文化ぶんかとは音楽おんがくてきにもファッションてきにもかけはなれたグループをはっきりさせるためにも使つかわれた。

また、これにより、いくつかのゴス文化ぶんかじんや、一般人いっぱんじんがゴスとはあまり関係かんけいのないひとやサブカルチャーのことをぶのに使つかわれるゴス・スラングがまれた。アメリカにおけるmall goths、ラテンアメリカやイタリアにおけるdark、ニュージーランドにおけるhackians、そしてイギリスにおけるmoshersやmini-moshersはほんのいちれいである。一方いっぽうではよい意味いみ言葉ことばとして、年長ねんちょうのゴス文化ぶんかじん目立めだちたがりいち段階だんかいじょうのゴスへの階段かいだんのぼりつつある年少ねんしょうものたちのことをぶ、mini-gothsやbaby batsなどがある。インターネットをもとにしたゴス関係かんけい情報じょうほうは、現実げんじつやオフライン、われているところによると、えいべい以外いがい国々くにぐに使つかわれているスラングをゆが誇張こちょうする結果けっかこした。

ふるいサブカルチャーからあたらしいグループへの反応はんのうわりつつある。いくつかの分裂ぶんれつしたサブカルてきアイデンティティのなか地位ちい確立かくりつしているものたちは、最初さいしょ立場たちばにおいてゴスとばれることに抵抗ていこうする一方いっぽう、その言葉ことばばれているサブカルチャーに参加さんかするものもいる。しかしながらその存在そんざい無視むしし、ゴスという言葉ことば自体じたいのぞき、自分じぶんたちのイメージのなかかんがえに定義ていぎしなおすものもいる。流行りゅうこう変化へんかというのは、ゴスの限界げんかいをはっきりとしめすことの複雑ふくざつせいをもあらわしている。

ゴス・シーン

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ゴシック・ロックおよびデス・ロックのシーンをはじめたバンドはかずかぎられており、そのなかにはバウハウススペイシメン(Specimen)、スージー・アンド・ザ・バンシーズダムド、 Southern Death Cult、 Ausgang, セックス・ギャング・チルドレン(en:Sex Gang Children), 45 Grave, UK Decay,ヴァージン・プルーンズen:The Virgin Prunes), Kommunity FK, Alien Sex Fiend やクリスチャン・デス(en:Christian Deathなどがいた。Gloria Mundi、ジョイ・ディヴィジョンザ・キュアーデッド・カン・ダンス初期しょきアダム&ジ・アンツキリング・ジョークもこのころにバンドをはじめた。

1980年代ねんだい、The Sisters of Mercy、 The Mission(アメリカではThe Mission UKとしてられている)、Xmal Deutschland、The Bolshoi や Fields of the Nephilimなどといったバンドが急増きゅうぞうはじめ、人気にんき急上昇きゅうじょうしょうした。1990年代ねんだいになると、1980年代ねんだい活躍かつやくしたバンドがおおきく成長せいちょうして、おおくのあたらしいバンドがてくるようになった。ファクトリー・レコード、4ADレコードや ベガーズ・バンケット・レコードといったレコード会社かいしゃがヨーロッパでゴシック・ロックの楽曲がっきょくした一方いっぽうクレオパトラ・レコードはニューヨークやカリフォルニアしゅうのロサンゼルス、オレンジぐんなどといったゴス・サブカルチャーの成長せいちょういちじるしくおおくのナイトクラブで‘ゴシック/インダストリアル’バンドの楽曲がっきょくをかける地域ちいきでアメリカのゴシック・ロックの楽曲がっきょくをリリースした。これによって、ダークウェイヴミュージックのサブジャンルのひとつであるイセリアルウェイヴという口語こうごまれた。

1990年代ねんだいなかばまでにゴス文化ぶんかじん専心せんしんする場所ばしょかれる音楽おんがくのスタイルが、ゴシック・ロックやデス・ロックから インダストリアル、 EBM、アンビエント、 experimental, synthpop, シューゲイザー, パンク・ロック、1970年代ねんだいグラム・ロックや indie rock、さらには1980年代ねんだいのダンスミュージックまで幅広はばひろくなった。この多様たようせいによって、ゴス文化ぶんかじんあいだにも電気でんきてき要素ようそはいるようになった。

近年きんねんアグロテックフューチャーポップシンセポップ反動はんどう初期しょきのポジティブパンクやデス・ロックのもきが復活ふっかつしているのがえており、おおくのゴスクラブをやしている。Cinema Strange, Bloody Dead And Sexy, Black IceやAntiworldといった初期しょきのゴスサウンドを再現さいげんしたバンドがとてもおおきな人気にんきあつめている。Nights like Ghoul School と Release The Bats は精力せいりょくてきにデスロックをアピールしており、Drop Dead Festival は世界中せかいじゅうのデスロックファンから評価ひょうかされている。 Drop Dead Magazine(Drop Dead Festival の手引てびきしょ)などといったゴスやデスロックの雑誌ざっし人気にんき一役ひとやくっている。

今日きょうのゴス・ミュージックシーンは西にしヨーロッパとくにドイツで活発かっぱつになっており、 Wave-Gotik-Treffenや M'era Luna、その世界中せかいじゅうから10~100にんのファンをあつめているおおきなフェスティバルがひらかれているほどである。しかしきたアメリカでもまだ、Chamber's Dark Art & Music Festival といっただいスケールのイベントをいまでもっている。[1]

歴史れきしてき文化ぶんかてき影響えいきょう

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語源ごげん

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最初さいしょ、Gothという単語たんごは、マ帝国まていこく滅亡めつぼうにおいて重要じゅうよう役割やくわりたした、ひがしゲルマンの一部いちぶぞく、ゴートぞくことしていた。いくつかのグループにおいてゴスという単語たんごのち野蛮やばんじんや、マ帝国まていこく滅亡めつぼうによって教育きょういくけることのできなかったもの、そしてヨーロッパでのキリスト教化きょうかちゅうおよび教化きょうか異教徒いきょうとであるゴートぞくしめ軽蔑けいべつてき意味合いみあいをふくむようになった。

ヨーロッパにおけるルネサンスのさなか、従来じゅうらい中世ちゅうせい建築けんちくは、遡及そきゅうてきに「ゴシック建築けんちく」とばれるようになり、その当時とうじ最新さいしん様式ようしきであった古典こてん建築けんちくとは対照たいしょうてき上品じょうひんでない野卑やひなものとされていた。

しかしながら、1700年代ねんだいイギリスでは、中世ちゅうせいへの郷愁きょうしゅうから人々ひとびと中世ちゅうせいのゴシック建築けんちく廃墟はいきょ魅力みりょくかんじるようになった。この魅力みりょくはしばしば中世ちゅうせいのロマンス文学ぶんがく、ローマ・カトリック、そしてちょう自然しぜんへとつながった。イギリスにおけるゴシック・リバイバル建築けんちくへの熱中ねっちゅうは、ホレス・ウォルポールこしたもので、かれ時折ときおりゴスとあだされ、はじめてゴスという単語たんごがよい意味いみ使つかわれたのだった。18世紀せいき後半こうはんのゴシック小説しょうせつというのは、かれが1764ねん出版しゅっぱんした『オトラントじょうたん』によってジャンルが確立かくりつされ、現在げんざいのゴシックという単語たんご意味いみによりちかくなっている。かれは、自分じぶんつけ、ふたたせた、本当ほんとう中世ちゅうせいのロマンが自分じぶんほんであるといいはった。かくして、ゴシック文学ぶんがくというのは影響えいきょうりょく拡大かくだいさせるための偽書ぎしょむすびついた。

以後いご、ゴスという言葉ことばは、セルフパロディやキャンプてきなものだけでなく、怪奇かいきてき病的びょうてき、そしてくら超自然ちょうしぜんてき雰囲気ふんいきむすけられるようになった。墓場はかばすたれたしろ教会きょうかい幽霊ゆうれい吸血鬼きゅうけつき悪夢あくむのろわれた一家いっかめ、メロドラマてきストーリーといったゴシック小説しょうせつのアイテムは、後世こうせい怪奇かいき小説しょうせつやホラー映画えいが影響えいきょうあたえた。追加ついかすべき要素ようそとしては、おどろおどろしい造形ぞうけい悪役あくやくのちにバイロンてき英雄えいゆうへと発展はってんしていったことである。

ゴシック作品さくひんなかもっと有名ゆうめい悪役あくやくは、ブラム・ストーカーしたドラキュラ伯爵はくしゃくであり、ホラー映画えいがにおける中世ちゅうせいを、より有名ゆうめいにしたキャラクターでもある。

ホラー映画えいが強大きょうだいなイメージは1920年代ねんだいのGerman expressionist cinemaにはじまり、1930年代ねんだいは、ユニバーサル・スタジオ優勢ゆうせいち、それからプラン9・フロム・アウタースペースといったBきゅうホラーからハマー・フィルム・プロダクションへとうつっていった。

1960年代ねんだいまでに、「アダムズのお一家いっか」やThe Munstersといった作品さくひんに、キャンプ・コメディのステレオタイプが使つかわれた。

あるしゅつよ要素ようそが、ポスト・パンクシーンにおける音楽おんがく衣装いしょうにはっきりとゴシックのセンスがあらわれていた。

こういった音楽おんがくやファンを表現ひょうげんする形容詞けいようしとしてのゴシックという言葉ことば使つかわれたことによって、ゴスという単語たんご使つかわれるようになった。

20世紀せいきにおける影響えいきょう

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ゴス・サブカルチャーにおけるゴシック小説しょうせつ影響えいきょうは、ホラー映画えいがおよびホラー番組ばんぐみによくあるイメージをとおして、ゴスの音楽おんがくなどといった非常ひじょうおおくのところでられるが、時折ときおりこの影響えいきょう古臭ふるくさいものになってしまうことがある。とくに、バイロニックヒーロー英語えいごばんというのは、ゴス男性だんせいおおきな先駆せんくしゃであり、ベラ・ルゴシドラキュラ伯爵はくしゃくのイメージは初期しょきのゴスを力強ちからづよ激励げきれいした。

人々ひとびとは、ベラ・ルゴシの、危険きけんだが優雅ゆうが神秘しんぴてきなドラキュラのオーラに魅了みりょうされた。おおくの人々ひとびとは、美術びじゅつてき建築けんちくぶつが、ゴシック・ファッションやゴシック・スタイルに影響えいきょうあたえたとしんじるが、1979ねん8がつにバウハウスというバンドがリリースした1stシングル『ベラ・ルゴシの英語えいごばん』がゴス・サブカルチャーの幕開まくあけだとしんじるひともいる。

初期しょきのゴスを象徴しょうちょうするもののなか特筆とくひつすべきものとしては、音楽おんがくグループ、スージー・アンド・ザ・バンシーズのメンバーであるスージー・スー や、ダムドのデイヴ・ヴァニアンなどもいた。バウハウスのメンバーのなかにはだいせい活動かつどうてき芸術げいじゅつもいた。

初期しょきのゴシック・ロックやデス・ロックのミュージシャンのなかには伝統でんとうてきなホラー映画えいがのイメージや、そのサウンドトラックからインスピレーションをけて世界せかいかんつくげるものもいた。それによって観客かんきゃくかれらの服装ふくそうものれるようになった。

渦巻うずまけむりや、キイキイときながらばたくコウモリ、そしてクモくもなどといったホラー映画えいが小道具こどうぐは、バットケイブがはじまったころからゴシック・クラブの装飾そうしょくとして使つかわれるようになった。かれらの音楽おんがくやイメージというのは、もともと皮肉ひにくめいた冗談じょうだんだったが、ときがたつにつれ、バンドやゴス文化ぶんかじんたちはより真剣しんけんにそのつながりについてかんがえるようになった。

結果けっかとして、病的びょうてきちょう自然しぜんてきで、オカルトてきなテーマが、ゴス・サブカルチャーにおいてさらに際立きわだって注目ちゅうもくされるようになった。

恐怖きょうふとゴスの関係かんけいは、デヴィッド・ボウイカトリーヌ・ドヌーヴスーザン・サランドン出演しゅつえんし1983ねん公開こうかいされた映画えいがハンガー』によって強調きょうちょうされた。この映画えいがなかでは、ゴシック・ロックバンドのバウハウスがナイトクラブで 『ベラ・ルゴシの英語えいごばん』を演奏えんそうするシーンがある。

イギリスにあるウィットビー・ゴス・ウィークエンドにん

1993ねんブラム・ストーカーの『吸血鬼きゅうけつきドラキュラ』をんだ結果けっかとして、イングランドノース・ヨークシャー北海ほっかいめんするにある港町みなとちょうウィットビーとし2かい開催かいさいされるだい規模きぼなゴスとスチームパンクウィットビー・ゴス・ウィークエンド (en:Whitby Goth Weekend)のフェスティバルである。

独立どくりつ戦争せんそうのときからかたがれる『くびなし騎士きし怪談かいだん』は、ワシントン・アーヴィングの『スリーピー・ホロウの伝説でんせつ英語えいごばん』(ファンタジー小説しょうせつリップ・ヴァン・ウィンクル同時どうじに1920ねん出版しゅっぱん)が、ニューヨークのやみをロマンティックにかたることで、不滅ふめつのものとなった。このはなしはアーヴィングがイギリスにんでいるときにニューヨークのハドソンがわ流域りゅういきむオランダ移民いみんあいだでよくかたがれているはなしもとにして(一対いっついはなし片方かたがたとして)かれた。

Ichabod Craneという白黒しろくろ無声むせい映画えいがとして、1922ねんウィル・ロジャース主演しゅえん最初さいしょ映画えいがされたが、1949ねん公開こうかいされたディズニーのオムニバス映画えいがイカボードとトード』は、20世紀せいきのポップ・カルチャーとしてつよのこっている。9ねん、 Wind in the Willows からこの作品さくひんけられ、The Legend of Sleepy Hollowは毎年まいとし恒例こうれいのハロウィン・ウィーク特集とくしゅうとしてNBCで放送ほうそうされるディズニーのディズニーランドにおいて人気にんき作品さくひんとなった。

1980ねん実写じっしゃされたものの、もっとあつかいがよかったのは、ティム・バートン監督かんとくし、1999ねん公開こうかいの『スリーピー・ホロウ』である。『シザーハンズ』や『ビートルジュース』、『バットマン』などといった神秘しんぴせい魔術まじゅつてきなものとおそろしさをうまく融合ゆうごうさせた作品さくひんつくってきたバートンは、暗黒あんこくかげちたストーリーをつくるのに全力ぜんりょくそそいだ。一般いっぱんによくられている、ディズニーばんとスリーピー・ホロウとのおおきなちがいは、クレインと騎士きし平等びょうどうあつかわれていることである。アーヴィングのはなしにおいて、クリストファー・ウォーケンえんじるくびなし騎士きしはヘッセンじん傭兵ようへいのアンデッドだが、バートンは伝統でんとうてきなゴシックふうで、恐怖きょうふちていて、中世ちゅうせいてき異端いたん審問しんもん思想しそうみずからの作品さくひんなかすべれた。ゴス・サブカルチャーの進化しんかにおいて、古典こてんロマンスとゴシックおよびホラー文学ぶんがくおおきな役割やくわりたしている。キーツやポー、ボードレールやのロマンス悲劇ひげき作家さっかくろいアイライナーやくろ服装ふくそうをしていくことで、ゴス・サブカルチャーの象徴しょうちょうになっていった。実際じっさい、ボードレールは自身じしん文学ぶんがくしゅうあくはな』のなかでゴシックてきくら言葉ことばをできるだけおおつらねている。

C'est l'Ennui! —l'œil chargé d'un pleur involontaire,

Il rêve d'échafauds en fumant son houka.

Tu le connais, lecteur, ce monstre délicat,

—Hypocrite lecteur,—mon semblable,—mon frère! It is ennui! — an eye brimming with an involuntary tear,

he dreams of the gallows in the fumes of his water-pipe.

You apprehend, reader, this fragile monster,

—hypocrite reader,—my mirror,—my brother!

starfarmerによる英訳えいやく

ゴシック・シーンに文学ぶんがくてき影響えいきょうあたえたもののなかで、比較的ひかくてきあたらしいのは、アン・ライスによる吸血鬼きゅうけつきのイメージの大幅おおはば変更へんこうである。ライスのはなしてくる登場とうじょう人物じんぶつ永遠えいえん孤独こどくにさいなまれていて、それがゆえてくる反対はんたい感情かんじょう悲劇ひげきてきせいは、おおくのゴスファンたちをふかくひきつけ、80年代ねんだいから90年代ねんだいにかけて、彼女かのじょ作品さくひんをとても人気にんきのあるものにした。近年きんねん彼女かのじょ作品さくひんもとにした映画えいががいくつか公開こうかいされ、そのうちで代表だいひょうてきなものは、インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアであり、本編ほんぺんなかにおいてゴシック趣味しゅみがはっきりとあらわれたりとおまわしにあらわれたりした。

近年きんねんのメディアの影響えいきょう

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ゴス文化ぶんか定着ていちゃくし、ホラーとゴシックの関係かんけいはほとんどまり文句もんく状態じょうたいとなり、ゴス文化ぶんかにはホラー小説しょうせつ映画えいがのキャラクターがてくるようになった。たとえば、ザ・クロウは、ゴシック音楽おんがくやゴス・スタイルを直接的ちょくせつてきえがいている。ニール・ゲイマン人気にんきグラフィックノベル『サンドマン』における、くらくて不気味ぶきみ主人公しゅじんこうドリームと、そのあねデスといった要素ようそは、ゴスの影響えいきょうけている。アン・ライスのシリーズほんThe Vampire Chronicles と、ワールド・オブ・ダークネスあつかった人気にんきRPG(とくにヴァンパイア:ザ・マスカレード)もまた、ゴシック音楽おんがくやゴス文化ぶんか直接的ちょくせつてき題材だいざいとしており、シーンを活性かっせいさせた。

日本にっぽんのアニメおよび『マトリックス』や『シャドウラン』といったサイバーパンク作品さくひんも、ゴスとは関連かんれんせいがないものの、ゴス・シーンに影響えいきょうあたえ、サイバー・サブカルチャーやインダストリアル・サブカルチャーとむすびついて影響えいきょうりょくし、サイバー・ゴス英語えいごばんというジャンルがまれた。

人気にんきのあるゴス・キャラクターが積極せっきょくてきえがかれたアメリカのテレビドラマシリーズは『NCIS 〜ネイビー犯罪はんざい捜査そうさはん』である。ポーリー・ペレットえんじるアビー・シュートは、風変ふうがわりなゴスではあるが、有能ゆうのう法科ほうか学者がくしゃとして中心ちゅうしん人物じんぶついちめんっている。

ヴィジュアル・アートの影響えいきょう

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ゴス・サブカルチャーというのは、さまざまな芸術げいじゅつ、つまり音楽家おんがくかだけでなく絵師えし写真しゃしんにも影響えいきょうあたえた。とくかれらの作品さくひん神秘しんぴてき不気味ぶきみだが、ロマンティックなモチーフをもとにしてできている。写真しゃしん絵画かいが範囲はんいは、エロティックなものから吸血鬼きゅうけつき幽霊ゆうれいあつかったロマンティックなものまでさまざまである。現在げんざい、ゴシック文学ぶんがくやラファエルまえ、アール・ヌーヴォーのように、くらいろ使づかいや感傷かんしょうこのまれている。絵画かいがにおいてもAnne Sudworthは、よるのようにくら作品さくひんつよいゴシックてきイメージでよくられる。

ゴスにちかいグラフィック・アーティストはジェラルド・ブロム英語えいごばんネネ・トーマス英語えいごばんルイス・ロヨデイヴ・マッキーン英語えいごばんジョーネン・バスケス、トレバー・ブラウンであり、アメコミ作家さっかでゴスにちか人物じんぶつは『ザ・クロウ』などでられるジェームズ・オバーである。

スイスのH・R・ギーガーは、リドリー・スコット監督かんとく映画えいがエイリアン』において、現代げんだい映画えいがなかにゴスとインダストリアルをれた最初さいしょのグラフィック・アーティストである。

思想しそう

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ゴシック・サブカルチャーを明確めいかく思想しそうとしてとらえるには、いくつかの問題もんだいてんがある。まず、ゴス・サブカルチャーというのは雰囲気ふんいき美学びがくといったものに影響えいきょうけているからである。これはニューロマンティックなどの一部いちぶから影響えいきょうけているからである。くら神秘しんぴてきでかつ病的びょうてき思想しそう雰囲気ふんいきといったゴスの魅力みりょくは、おなじロマン主義しゅぎのゴシック小説しょうせつにある。18世紀せいき後半こうはんから19世紀せいきにかけて恐怖きょうふ感情かんじょうちょう自然しぜんてきなものにたいする畏怖いふねん人気にんき文学ぶんがくなかにおいてもひろ使つかわれるモチーフとなり、それはホラー映画えいがというかたち現代げんだいつづけている。雰囲気ふんいき美学びがく強調きょうちょうするためのバランスをとるべく、ゴシック文化ぶんかじんにとって重要じゅうよう要素ようそとして、慎重しんちょうなキャンプてき演技えんぎ自己じこ脚色きゃくしょくがあり、ゴス文化ぶんか同様どうようゴシック文学ぶんがくにも存在そんざいする。

ゴス・サブカルチャーにぞくするものをあらわ単語たんごとしてのゴスは、たいてい暴力ぼうりょくてきなものというよりはむしろ寛容かんようなものを支援しえんしている。おおくのメディアはマイノリティの嫌悪けんおおよびゴス・サブカルチャーが暴力ぼうりょくてきなものとむすびついているという誤解ごかいおちいっている。しかし、暴力ぼうりょく嫌悪けんおというのはゴス思想しそう要素ようそはいっておらず、むしろこの思想しそう理解りかい同一どういつ、そしておおくの文化ぶんか無視むししたりわすれたいとおもっている社会しゃかいてきおよび個人こじんてき嫌悪けんおへのかなしみでできている。これらはゴス音楽おんがくにおいてひろ使つかわれているテーマである。 ゴス思想しそう定義ていぎづけるうえでのあしかせとして、ゴシック文化ぶんか政治せいじ関心かんしんであるという性質せいしつがある。19世紀せいきあいだ社会しゃかい基準きじゅんたいして一個人いっこじんかうということは危険きけん仕事しごとであったが、今日きょうとなれば社会しゃかいてき過激かげき仕事しごとではなくなる。

ゴスのサブカルチャーてき復讐ふくしゅう意義いぎというものはかぎられており、ゴスの思想しそう自体じたい西洋せいよう文化ぶんかもとづいたものである。ゴス・サブカルチャーというのは、ヒッピーやパンクといった活動かつどうちが政治せいじてきメッセージや社会しゃかい活動かつどう要求ようきゅうをあげていない。このサブカルチャーは個人こじん主義しゅぎ強調きょうちょう多様たようへの寛容かんよう創作そうさくへのつよ情熱じょうねつやインテリ主義しゅぎ社会しゃかいてき保守ほしゅへの嫌悪けんおそしてやわらかな皮肉ひにく主義しゅぎといったものが目立めだちがちだが、すべてがそうとはかぎらない。ゴス思想しそうというものは、民族みんぞく政治せいじよりもむしろ美学びがくもとにしたものである。

たしかにゴスというのはリベラル左派さはから無政府むせいふ主義しゅぎまで政治せいじてき教育きょういくけているかもしれないが、文化ぶんかてきなアイデンティティの一部いちぶとして表現ひょうげんするといったことはしていない。 ゴス文化ぶんかというのは宗教しゅうきょうといった政治せいじてき協力きょうりょくをするのではなく、個人こじんてき良心りょうしんにかかわったものである。

サブカルチャーをふく個人こじんてきなゴスというのは創作そうさくめんにおいてとてもやく反面はんめん自己じこ満足まんぞくおちいりやすい。しかもそれは危険きけんなものであり、とく若者わかものにとって危険きけんであるのは、若者わかもの世間せけんのゴスにたいするネガティヴな誤解ごかいにひきつけられてしまうからである。若者わかものがゴス・ムーヴメントのなかつける価値かちは、ニューロマンティックなど80年代ねんだいあいだ存在そんざいつづけたサブカルチャーがえることによってあきらかになる。

個人こじん主義しゅぎ消費しょうひしゃ保護ほご主義しゅぎ

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Paul Hodkinsonの著書ちょしょ『Goth: Identity, Style and Subculture』のなかでは、消費しょうひしゃ主義しゅぎとおして表現ひょうげんされる個人こじん主義しゅぎという西洋せいようのカルト思想しそうがどのようにしてゴスやのサブカルチャーにあらわれているかがしめされている。社会しゃかい存在そんざいのノルマにえられうなくなった文化ぶんか表現ひょうげんする人々ひとびとや、ゴス・サブカルチャーに参加さんかする人々ひとびとは、そと世界せかいにはつからない共同きょうどうたいおよび認識にんしき感覚かんかく経験けいけんするための重要じゅうよう方法ほうほう提供ていきょうしてくれる。HodkinsonはバンドやDJの活動かつどう被服ひふく制作せいさく、デザイン、芸術げいじゅつてき創作そうさく活動かつどう、fanzineをいたりすることといったゴス・サブカルチャーへの熱狂ねっきょうてき参加さんか創作そうさく活動かつどうをとおして、ゴス・サブカルチャーがない定期ていきステータスをあげているかをしめしている。また、かれはサブカルチャーの自己じこ認識にんしきてき人工じんこうぶつが、一般いっぱんてき消費しょうひしゃ主義しゅぎとマスメディアのえないいとあやつられているとたとえられるポストも段階だんかいでもうひとつの妥当だとう選択肢せんたくしであることを、しめしている。

宗教しゅうきょうてき思想しそう

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ゴス思想しそうをスピリチュアルで超自然ちょうしぜんてき宗教しゅうきょう思想しそうむすびつけることのできる普遍ふへんてき宗教しゅうきょう思想しそうはないが、宗教しゅうきょう思想しそうというのは、ゴシック・ファッションや歌詞かし、ヴィジュアル・アートにおいて役割やくわりたしている。とくにカトリシズムからの美学びがく要素ようそというのはゴス・カルチャーにおいておおきな役割やくわりになっており、こういった思想しそう理由りゆうは、風刺ふうし目的もくてき、ただたんにおしゃれに影響えいきょうされたためなどとひとそれぞれである。

ファッション

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ゴシック・ファッションのいちれい

ゴス・ファッションのステレオタイプというのは、くら病的びょうてきでありながら好色こうしょくなファッションのドレススタイルである。典型てんけいてきなゴシック・ファッションというのはくろめたかみに、くろいアイライナーにマニキュアにくろことごとくめの服装ふくそうというのもふくまれ、ピアスをするものもいる。エリザベスさましきやヴィクトリア様式ようしき影響えいきょうけたスタイルがおおく、十字架じゅうじかアンクといった宗教しゅうきょうてきモチーフを使つかったものがある。正統せいとうのゴスがみなこういった要素ようそっている一方いっぽう、このようなスタイルは地域ちいきによってさまざまである。

ヘヴィメタル・ファッションとの混同こんどう

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ゴス・ファッションというのはしばしばヘヴィメタルのファッションと混同こんどうされる。ゴスのことをよくらないひとがヘヴィメタルとゴスのファンを間違まちがえるおも理由りゆうのひとつに、くろいトレンチコートを羽織はおったりコープスペイント(ブラックメタルシーンに関係かんけいする単語たんご)をほどこす、ヘヴィメタルファンがいることがあげられる。しかしながらゴシック・メタル音楽おんがくてき文化ぶんかてき側面そくめん双方そうほうでゴシック・ロックの影響えいきょうつよけているため、このファンを嚆矢こうしにレザーやスパイク、リベットといった従来じゅうらいのヘヴィメタルファッションにくわえ、ヘヴィメタルシーンにもゴス・ファッションの一部いちぶ流入りゅうにゅうしており、状況じょうきょう複雑ふくざつしている。またヘヴィメタルの元祖がんそといわれるブラック・サバスと、そのボーカリストオジー・オズボーンは、1970年代ねんだい前半ぜんはんから吸血鬼きゅうけつき十字架じゅうじか髑髏しゃれこうべといった、ゴス文化ぶんかでも一般いっぱんてきなビジュアルイメージをれながら活動かつどうおこなってきたため、かれらのつよ影響えいきょうにあるヘヴィメタルというジャンル自体じたいにも、混同こんどうされやすい土壌どじょう当初とうしょからある。

議論ぎろん

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のイメージとむすびついているゴシック・ファッションは、その着用ちゃくようしゃ精神せいしん健全けんぜんであっても、まわりの人物じんぶつ不安ふあんにさせる。 マスメディアは、ゴシック・サブカルチャーもしくはそれに関係かんけいしている人々ひとびと悪意あくいちたられていることをほうじているが、これには異論いろんもあり、ゴス・サブカルチャー自体じたい暴力ぼうりょくてきであるとほうじられていることもすくなくない。[5]

A.S.H.Aがおこなったどう領域りょういき専門せんもんによる2つの調査ちょうさは、ゴス・サブカルチャーの人間にんげんは、他人たにんたいして暴力ぼうりょくをふるうよりも自分じぶん自身じしんたいする暴力ぼうりょくや、文章ぶんしょうにおける暴力ぼうりょく表現ひょうげんを することがおおいという結論けつろんみちびした[6][7]

ゴスを自称じしょうしていたり、まわりからゴスとしてられているものなかには、スクールシューティングといった暴力ぼうりょく犯罪はんざいこすものがいるこのような事件じけんにより、ゴスにたいする視線しせんはよりきびしいものとなる[8] [9]

ゴスと犯罪はんざい

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コロンバイン高校こうこうじゅう乱射らんしゃ事件じけん2人ふたり高校生こうこうせいによってこされたとき世間せけんのゴス・サブカルチャーにたいする不安ふあん最高潮さいこうちょうたっし、事件じけんはゴス・サブカルチャーと関連かんれんがあるという誤解ごかいまねいた。 その結果けっか誤解ごかいひろまり、北米ほくべいのゴス・サブカルチャーに打撃だげきあたえた。 事件じけんから5かげつ犯人はんにんたちはゴス・ミュージックをあなどり、ゴス・サブカルチャーとは無関係むかんけいであると警察けいさつ発表はっぴょうした[10]

カナダできたドーソン・カレッジじゅう乱射らんしゃ事件じけんもまた、ゴスにたいする不安ふあんをあおった。 この事件じけんにおいて1人ひとり殺害さつがいし19にんにけがをわせたキムビア・ギルVampireFreaksというウェブサイトに投稿とうこうしており、そのサイトのプロフィールには自分じぶんじゅうきのゴスであることがかれていた[11]

事件じけん翌日よくじつ、「おなじような事件じけんふたたこり、ゴス・ミュージックやインダストリアル・ミュージックの愛好あいこうはつらいおもいをするだろう」という、ギルがゴスであるような報道ほうどうがされた[11]

ギルの自宅じたく家宅かたく捜索そうさく結果けっか、コロンバイ事件じけん犯人はんにん2人組にんぐみ称賛しょうさんする内容ないよう手紙てがみと、 "Shooting sprees ain't no fun without Ozzy and friends LOL".というタイトルのCDがつかった[12] 。ギルはゴスにりつかれていると自称じしょうしていたが、マスコミは、かれきな音楽おんがくはヘビーメタルであるとほうじた[13]

ジャーナリストとしても有名ゆうめいで、ゴス・ミュージック歴史れきしくわしい作家さっかである、ミック・マーサーは、「ヘヴィメタル否定ひていしているつもりはなく、かれがどのような音楽おんがくいていようが、事件じけんとの関連かんれんはない」としたうえで、ギルについて以下いかのようにはなしている[14]

わたしかれがゴスであるはずがないと断言だんげんする。かれきな音楽おんがくというのはなく轟音ごうおんひびメタルや、普通ふつうグランジロック、インダストリアル風味ふうみゴスメタルだ。」

かれはメタルをいていた。かれはゴスと関係かんけいがない。」

かれのちつづ犯罪はんざいしゃたちは、かれがゴスとは関係かんけいがないということを見落みおとして、かれがゴスだとおもむだろう。」

おなじくカナダできたリチャードソン一家いっか殺害さつがい事件じけんen:Richardson family murders)でもゴスとの関連かんれんうたがわれたが、ドーソン・カレッジ事件じけんほどの関心かんしんられなかった[15][16]

ゴスにたいする暴力ぼうりょく

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ゴスの美学びがくたいする誤解ごかい理解りかいによって、ゴスは偏見へんけん差別さべつ寛容かんようにさらされている。ほかの議論ぎろんびそうなサブカルチャーや前衛ぜんえいてきなライフスタイルによくあることだが、部外ぶがいしゃたちは故意こい過失かしつわず、ゴスを主流しゅりゅうからはずすときがある。ゴスのように前衛ぜんえいてきなサブカルチャーというのはおどしや屈辱くつじょくうことがあり、場合ばあいによっては暴力ぼうりょく沙汰ざたになることもある。

2006ねん、カリフォルニアしゅうサンディエゴで4にんのゴスが海軍かいぐん兵士へいしとその兄弟きょうだいおそわれる事件じけんがあり、ゴスの1人ひとりであるジム・ハワードが手術しゅじゅつける羽目はめになった。2007ねん8がつ加害かがいしゃ有罪ゆうざい実刑じっけい判決はんけつけた。サブカルチャーに貢献こうけんしただけという理由りゆうでゴスが攻撃こうげきけたのはあきらかなことだった。これは凶悪きょうあく犯罪はんざいともれるが、そのときサンディエゴの裁判所さいばんしょはそこまでかんがえていなかった。

2007ねん8がつ11にち、イギリスのランカシャーしゅうベイカップにあるスタビリー公園こうえん散歩さんぽしていた2人ふたり人間にんげんが、ゴスだったという理由りゆうだけでティーンエイジャーの集団しゅうだんおそわれ、2人ふたりのうちの一人ひとりであるソフィー・ランカスターがこのときの負傷ふしょうもと死亡しぼうするという事件じけんきた。2008ねん4がつ29にち、ライアン・ハーバーととブレンダン・ハリスという2人ふたり若者わかものがランカスターを殺害さつがいしたとして終身しゅうしんけいをいいわたされ、の3にんはランカスターのボーイフレンドロバート・モルトビーをおそったとして終身しゅうしんけいよりかるけいをいいわたされた。このような判決はんけつくだした理由りゆうとして、アンソニー・ラッセル判事はんじは、「これはみなさんとちがうというだけの理由りゆうつみなきひとおそうという凶悪きょうあく犯罪はんざいである。」とかたった。判事はんじは「まったくもって平和へいわで、法的ほうてきひとおそうことのないものたち」として、ゴス・コミュニティを擁護ようごした。また、議会ぎかい命令めいれいのなかった凶悪きょうあく犯罪はんざいであることをさとり、判決はんけつ内容ないよう理由りゆうとした。この規則きそくかかわらず、イギリスのほうではみとめられていない凶悪きょうあく犯罪はんざいへの片棒かたぼうかつぎ、サブカルチャーをもとにした差別さべつくわえるべき決定けっていがある。 [17]

批判ひはん

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ゴスは人権じんけんしゃてき意味いみくるしみつつも西洋せいようてきであるとポストコロニアリズム文学ぶんがく文化ぶんか評論ひょうろんとは対照たいしょうてきに、映画えいが研究けんきゅうのデイヴィッド・J・スカルは、ホラー映画えいががいつも社会しゃかいてきれられる範囲はんい社会しゃかい批判ひはん量産りょうさんし、そのホラーてきなイメージも拡大かくだいしたゴシックカルチャーも、これらの批判ひはんによってえつけられた描写びょうしゃ忠実ちゅうじつでないとかたっている。[18]漫画まんがジョーネン・バスケス自身じしん漫画まんが Johnny the Homicidal Maniac、I Feel Sickや Fillerbunnyにおいてゴス・サブカルチャーを風刺ふうししてきた。バスケスはこういった傾向けいこうをバックバイティングでうぬぼれじみていて、そしてどこかでたことあるようなものとしてえがいた。おなじくして、殺人さつじん憂鬱ゆううつといったJohnny the Homicidal Maniacでしばしば使つかわれるテーマが本編ほんぺんちゅうてくると、セルフパロディじみてくる傾向けいこうがある。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b César Fuentes Rodríguez "Mundo Gótico", pages 18 & ss./pages 206 & ss.
  2. ^ Carol Siegel "Goth's Dark Empire", pages 8-13 and ss.
  3. ^ Batcave club history Scathe.demon.co.uk. URL Accessed April 23, 2006.
  4. ^ Archived Interview with Ms. Dinah Cancer Alicebag.com. URL Accessed April 23, 2006.
  5. ^ Goth subculture may protect vulnerable children”. New Scientist (2006ねん4がつ14にち). 2009ねん4がつ25にち閲覧えつらん
  6. ^ Vulnerable Goth Teens: The Role of Schools in This Psychosocial High-Risk Culture - Rutledge - 2008 - Journal of School Health - Wiley Online Library”. .interscience.wiley.com (2008ねん8がつ6にち). 2011ねん12月27にち閲覧えつらん
  7. ^ Peer Group Self-Identification as a Predictor of Relational and Physical Aggression Among High School Students - Pokhrel - 2010 - Journal of School Health - Wiley Online Library”. .interscience.wiley.com (2009ねん7がつ17にち). 2011ねん12月27にち閲覧えつらん
  8. ^ Eric Lipton Disturbed Shooters Weren't True Goth from the Chicago Tribune, 27 April 1999
  9. ^ Montenegro, Marcia. “The World According to Goth”. christiananswersforthenewage.org. 18-3-12閲覧えつらん
  10. ^ Cullen, Dave (1999ねん9がつ23にち). “Inside the Columbine High investigation Everything you know about the Littleton killings is wrong. But the truth may be scarier than the myths”. salon.com. 18-3-12閲覧えつらん
  11. ^ a b Shooting by Canadian trench coat killer affects industrial / goth scene”. Side-line.com (2006ねん9がつ14にち). 18-3-12閲覧えつらん
  12. ^ CTV News (2007ねん3がつ20日はつか). “Details of Kimveer Gill's apology note revealed”. http://www.ctv.ca/servlet/ArticleNews/story/CTVNews/20070320/gill_note_070320/20070320/ 18-3-12閲覧えつらん 
  13. ^ Singh, Raman (2006ねん9がつ14にち). “NRI Kimveer Gill, Montreal native gunman called himself 'angel of death', kills one and injuring 20”. nriinternet.com. 18-3-12閲覧えつらん
  14. ^ Mercer, Mick (2007ねん3がつ23にち). “Mick Mercer talks about Kimveer Gill]”. mickmercer.livejournal.com. 18-3-12閲覧えつらん
  15. ^ Reynolds, Richard (2006ねん4がつ28にち). “Accused killer, 12, linked to goth site”. The Sydney Morning Herald. 18-3-12閲覧えつらん
  16. ^ Johnsrude, Larry (2006ねん4がつ26にち). “Goths say Medicine Hat killings give them bad name”. canada.com. 18-3-12閲覧えつらん
  17. ^ Call for hate crimes law change
  18. ^ David J. Skal: "The Monster Show: A Cultural History of Horror" Faber and Faber, Inc., 1993 ISBN 0-571-19996-8

関連かんれん項目こうもく

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