ズミ

ズミ
ズミの花はな
分類ぶんるい
界さかい : 植物しょくぶつ界かい Plantae 門もん : 被子植物ひししょくぶつ門もん Magnoliophyta 綱つな : 双そう子葉しよう植物しょくぶつ綱つな Magnoliopsida 目め : バラ目め Rosales 科か : バラ科か Rosaceae 亜あ科か : ナシ亜あ科か Maloideae 属ぞく : リンゴ属ぞく Malus 種たね : ズミ M. toringo
学名がくめい
Malus toringo (Siebold) Siebold ex de Vriese (1856)
シノニム
Malus sieboldii (Regel) Rehder (1915) Malus baccata (L.) Borkh. subsp. toringo (Siebold) Koidz. (1911) Malus toringo (Siebold) Siebold ex de Vriese var. sargentii (Rehder) (1906)
和名わみょう
ズミ（酸さん実み、桷） ヒメカイドウ（姫ひめ海棠かいどう） ミツバカイドウ（三さん葉よう海棠かいどう） ミヤマカイドウ（深山ふかやま海棠かいどう） コリンゴ（小しょう林檎りんご） コナシ（小梨こなし） サナシ、エゾズミ
英名えいめい
Toringo crabapple Siebold's crabapple

ズミ（酸さん実み・桷・棠梨、学名がくめい: Malus toringo）は、バラ科かリンゴ属ぞくの1種しゅである。リンゴに近きん縁えんな野生やせい種しゅである。

名称めいしょう

和名わみょう「ズミ」の語源ごげんは、染料せんりょうとなることから「染しみ（ず）み」、あるいは、実みが酸すっぱいことから「酢す実み」ともよばれる。

カイドウ、リンゴ（リンゴ属ぞく）、ナシ（同どう科かナシ属ぞく）に似にることから、ヒメカイドウ、ミツバカイドウ、ミヤマカイドウ、コリンゴ、コナシ、サナシなどとも呼称こしょうされる。これら別名べつめいは、花はなをナシに、赤あかい実みをリンゴなどに例たとえたものが多おおい。ただし、サナシは地方ちほうによっては別べつの種たね（ヤマナシなど）を意味いみすることもある。棠梨という表記ひょうきもある。中国ちゅうごく名めいは「三さん葉よう海棠かいどう」。

分布ぶんぷ

日本にっぽん（北海道ほっかいどう・本州ほんしゅう・四国しこく・九州きゅうしゅう）と朝鮮半島ちょうせんはんとうに分布ぶんぷする。山地さんちや山野さんやの日当ひあたりのよい場所ばしょに自生じせいする。

特徴とくちょう

ズミの実み

落葉らくよう広葉樹こうようじゅの小しょう高木たかぎから高木たかぎで、高たかさ10メートル (m) ほどになる。枝えだはよく分ぶん枝えだし、横よこ広ひろがりの樹き形がたになる。短たん枝えだや小しょう枝えだはトゲ状じょうになることが多おおい。樹皮じゅひは灰はい褐色かっしょくで、しだいに縦たてに細ほそく裂さけてはがれる。一いち年ねん枝えだは赤褐色せきかっしょくで細ほそく、皮かわ目めは円形えんけいで少すくなく、はじめのうちは毛けがあるが後のちに無む毛けとなる。葉はは花はなのつく短たん枝えだにつく葉はでは、長ちょう楕円だえん形がたから卵たまご状じょう長ちょう楕円だえん形がたで長ながさ3 - 8センチメートル (cm) 、長ちょう枝えだにつく葉はでは少すこし大おおきく、ときに3 - 5裂きれすることが多おおい。葉はの縁えんには細ほそい鋸歯きょしがある。

花期かきは晩春ばんしゅんから初夏しょかにかけて（5 - 6月がつ）。花はなは直径ちょっけい20 - 35ミリメートル (mm) で、白色はくしょくまたは、淡紅あわべに色しょくの花はなを3 - 7個こ散ち形状けいじょうに咲さかせる。花弁はなびらは5枚まいで、雄蕊おしべは20個こつく。果はて期きは9 - 11月。直径ちょっけい6 - 10 mmの小ちいさな球形きゅうけいの果実かじつをつけ、秋あきに赤あかく熟じゅくす。落葉らくよう後ご、冬ふゆでも果実かじつが残のこっていることが多おおい。実じつは食たべることができる。

冬芽とうがは仮かり頂いただき芽めが枝えだ先さきにつき、側がわ芽めが枝えだに互生ごせいして、枝えだと同色どうしょくの芽め鱗うろこ3 - 4枚まいに包つつまれて長ちょう卵たまご形がたをしている。仮かり頂いただき芽めは側がわ芽めよりやや大おおきく、側がわ芽めは枝えだに寄より添そうようにつく。葉は痕こんは三角形さんかっけいやV字形じけいで、維管束たば痕あとが3個こみられる。

利用りよう

樹皮じゅひを煮に出だして黄色おうしょくの染料せんりょうが取とれる。これが和名わみょうの語源ごげんとする説せつがある。明礬みょうばんなどを加くわえて絵えの具ぐにもする。

庭木にわきや器具きぐ材ざいとしても使つかわれ、材ざいは家具かぐや細工ざいくに利用りようする。果実かじつは果実かじつ酒しゅにされる。

リンゴの台木だいぎとして、種たねから育そだてたズミが使つかわれる。ただし近年きんねんはリンゴと同おなじ真正しんせいリンゴ区く（ズミはズミ区く）のマルバカイドウなどが主おもである。

参考さんこう文献ぶんけん

• 鈴木すずき庸夫みちお・高橋たかはし冬ふゆ・安やす延のべ尚文なおふみ『樹皮じゅひと冬芽とうが：四季しきを通つうじて樹木じゅもくを観察かんさつする 431種しゅ』誠まこと文ぶん堂どう新光しんこう社しゃ〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年ねん10月がつ10日とおか、164頁ぺーじ。ISBN 978-4-416-61438-9。 
• 西田にしだ尚道なおみち監修かんしゅう 学習がくしゅう研究けんきゅう社しゃ編へん『日本にっぽんの樹木じゅもく』 5巻かん、学習研究社がくしゅうけんきゅうしゃ〈増補ぞうほ改訂かいてい ベストフィールド図鑑ずかん〉、2009年ねん8月がつ4日にち、86頁ぺーじ。ISBN 978-4-05-403844-8。 
• 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてん編へん『樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997年ねん5月がつ10日とおか、244頁ぺーじ。ISBN 4-522-21557-6。