タイタンI (ミサイル)

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タイタン I
ケープカナベラルから発射されるタイタンI
ケープカナベラルから発射はっしゃされるタイタンI
機能きのう ICBM
製造せいぞう グレン・L・マーティン・カンパニー
開発かいはつこく アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく
げコスト (1962ねん) $150まんドル
おおきさ
ぜんこう 31 m
直径ちょっけい 3.05 m
質量しつりょう 105,140 kg
段数だんすう 2
積載せきさいりょう
LEOへのペイロード 1,800 (衛星えいせいげには使用しようされなかった)
実績じっせき
状態じょうたい 退役たいえき
射場いば ケープカナベラル LC-15, LC-16, LC-19 & LC-20
ヴァンデンバーグ空軍くうぐん基地きち OSTF SLTF LC-395
そう回数かいすう 70かい
成功せいこう 53かい
失敗しっぱい 17かい
はつ 1959ねん2がつ6にち
最終さいしゅう 1965ねん3がつ5にち
だい1だん
1だん名称めいしょう
1だん全長ぜんちょう
1だん直径ちょっけい
エンジン 2LR-87
推力すいりょく 1 900 kN (430 000 lbf)
推力すいりょく 290びょう
燃焼ねんしょう時間じかん 140びょう
燃料ねんりょう RP-1/液体えきたい酸素さんそ
だい2だん
2だん名称めいしょう
2だん全長ぜんちょう
2だん直径ちょっけい
エンジン 1LR-91
推力すいりょく 356 kN (80 000 lbf)
推力すいりょく 308びょう
燃焼ねんしょう時間じかん 155びょう
燃料ねんりょう RP-1/液体えきたい酸素さんそ

タイタンI (Titan I) はアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく開発かいはつしたはつ多段ただんしき大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイル (ICBM) である。アメリカ空軍くうぐん運用うんようされた。アトラスならび ICBM としては最初さいしょのものである。のち衛星えいせいようタイタンロケットシリーズに発展はってんした。

開発かいはつ性能せいのう[編集へんしゅう]

アトラス・ミサイルとの並行へいこう開発かいはつであり、アトラス開発かいはつ保険ほけんとして1955ねん1がつより開発かいはつ開始かいしされた。当初とうしょ記号きごうばくげき系統けいとうの XB-68。のちに SM-68 をて、HGM-25A に変更へんこうされている。はつ飛行ひこう1959ねん2がつ6にち識別しきべつ番号ばんごうの XB-68 は当初とうしょマーティンしゃ設計せっけい段階だんかい中止ちゅうしされたちょう音速おんそく爆撃ばくげき使用しようされていた。空軍くうぐんがタイタン計画けいかくした目的もくてきは2つあり、ひとはアトラスが失敗しっぱいした場合ばあい代替だいたいとして、ふたがより大型おおがたちょう射程しゃていの2段式だんしきのミサイルで人工じんこう衛星えいせいげも視野しやれたより大型おおがたのペイロードも同様どうようげられるようにすることである。

グレン・L・マーティン・カンパニー(1957ねんにマーティンしゃになる)によって生産せいさんされたタイタン I は液体えきたい燃料ねんりょうロケットエンジンもちいた段式だんしきミサイルであり、タイタンシリーズで唯一ゆいいつ酸化さんかざいには液体えきたい酸素さんそ燃料ねんりょうにはケロシン (RP-1) をもちいている。のタイタンシリーズはすべ常温じょうおん貯蔵ちょぞう可能かのう推進すいしんざい使用しようしている。タイタン I はアトラスミサイルと同様どうようRP-1まえ地下ちか貯蔵ちょぞうタンクから注入ちゅうにゅうされる液体えきたい酸素さんそ燃焼ねんしょうする。タイタン I の1だんは300,000ポンド (1,330 kN) の推力すいりょくし、2だんは80,000ポンド (356 kN) の推力すいりょくみだした。

ミサイルの追尾ついび誘導ゆうどう修正しゅうせいについては、慣性かんせい誘導ゆうどうシステムをゆうさず、外部がいぶからの無線むせん誘導ゆうどう必要ひつようとした。そのため、タイタンIは、3発射はっしゃもとみにし運用うんようしていたが、誘導ゆうどう修正しゅうせいのため、同時どうじに1はつずつしか発射はっしゃできなかった。配備はいび基地きちには生存せいぞんせいたかめるため、ミサイルサイロ設置せっちされた。タイタンIはサイロ方式ほうしき配備はいびされるはじめてのミサイルであった。ミサイルは地下ちか垂直すいちょくかれ格納かくのうされており、発射はっしゃ直前ちょくぜん推進すいしんざい充填じゅうてん、エレベーターにより地上ちじょうへと鉛直えんちょく移動いどうし、それから発射はっしゃおこなわれる。燃料ねんりょう充填じゅうてん移動いどうなど発射はっしゃまでにはやく15ふんかかり即応そくおうせいたかくないほか、発射はっしゃ直前ちょくぜんにはミサイルが地上ちじょう露出ろしゅつ防御ぼうぎょにも問題もんだいがあった。

たん弾頭だんとうミサイルであり、弾頭だんとうにはMk.4さい突入とつにゅうたいもちいられ、W38核弾頭かくだんとう搭載とうさいされた。慣性かんせい誘導ゆうどうシステムがミサイルに搭載とうさいされるようになったのはあと開発かいはつされたアトラス E ミサイルからである。アトラスシリーズはだいいち世代せだいの ICBM でタイタン II はタイタン I とは対照たいしょうてきだい世代せだいである。タイタン I に発射はっしゃあらかじ入力にゅうりょくした標的ひょうてき自立じりつてきかっていく慣性かんせい誘導ゆうどう装置そうち搭載とうさいする計画けいかくがあった。タイタン I ははつしん多段ただんしき(2段式だんしき)設計せっけいでもあった。アトラスはエンジンの信頼しんらいせいため発射はっしゃ(小型こがた姿勢しせい制御せいぎょエンジンもふくむ)すべてのエンジンに点火てんかしたが、タイタン I は2だんのエンジンの信頼しんらいせい十分じゅうぶんだったので1だんはなしたのち点火てんかした。タイタン I はだん点火てんかまえに1だん放棄ほうきするので依然いぜん、アトラスに搭載とうさいされる燃料ねんりょうほうおおかったにもかかわらず、到達とうたつ距離きょりはアトラスよりも大幅おおはばえた。(そして2だん燃料ねんりょう重量じゅうりょうあたりの距離きょり大幅おおはばえた。)

運用うんよう[編集へんしゅう]

1962ねんよりアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく本土ほんど中西部ちゅうせいぶから西部せいぶにかけてのアメリカ空軍くうぐん基地きち配備はいびにつけられた。5ヶ所かしょ空軍くうぐん基地きちの6戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたい運用うんようおこなった。かく戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたいは9のミサイルをゆうし、うち3即応そくおう状態じょうたいいていた。

燃料ねんりょう貯蔵ちょぞう保管ほかんやサイロないからの発射はっしゃなど、即応そくおうせいすぐれたタイタンIIミニットマンI配備はいびともない、1965ねんには退役たいえきしている。

配備はいび部隊ぶたい[編集へんしゅう]

  • だい568戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたい(568th Strategic Missile Squadron):ラーソン空軍くうぐん基地きち
  • だい569戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたい(569th Strategic Missile Squadron):マウンテンホーム空軍くうぐん基地きち
  • だい724戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたい(724th Strategic Missile Squadron):ローリー空軍くうぐん基地きち
  • だい725戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたい(725th Strategic Missile Squadron):ローリー空軍くうぐん基地きち
  • だい850戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたい(850th Strategic Missile Squadron):エルスワース空軍くうぐん基地きち
  • だい851戦略せんりゃくミサイル中隊ちゅうたい(568th Strategic Missile Squadron):ビール空軍くうぐん基地きち

要目ようもく[編集へんしゅう]

  • 全長ぜんちょう:31m
  • 重量じゅうりょう:105.14t
  • ペイロード:1.8t
  • 射程しゃてい:10,140km
一段いちだん
  • 全長ぜんちょう:16.0m
  • 胴体どうたい直径ちょっけい:3.1m
  • エンジン:アエロジェット LR-87-3 ロケットエンジン2
  • 噴射ふんしゃ時間じかん:138びょう
だん
  • 全長ぜんちょう:9.8m
  • 胴体どうたい直径ちょっけい:2.3m
  • エンジン:アエロジェット LR-87-3 ロケットエンジン1
  • 噴射ふんしゃ時間じかん:225びょう
  • 発射はっしゃ回数かいすう:70かい うち成功せいこう53かい

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]