アフリカの人々 ひとびと (独 どく : Afrikanische Völker ): サハラ以南 いなん のアフリカ人 じん は、ドイツ 百科 ひゃっか 事典 じてん マイヤーズ・コンヴェルサシオン-レキシコン の第 だい 4版 はん の第 だい 1巻 かん のイラストで。
ネグロイド (Negroid )とは、身体 しんたい 的 てき 特徴 とくちょう に基 もと づく歴史 れきし 的 てき 人種 じんしゅ 分類 ぶんるい 概念 がいねん の一 ひと つ。日本 にっぽん では一般 いっぱん に黒色 こくしょく 人種 じんしゅ ・黒人 こくじん と同義 どうぎ に理解 りかい される。ドイツ の人類 じんるい 学者 がくしゃ ブルーメンバッハ によって提唱 ていしょう された五大 ごだい 人種 じんしゅ 説 せつ に基 もと づく。現在 げんざい でも便宜 べんぎ 的 てき ・慣用 かんよう 的 てき 、またしばしば政治 せいじ 的 てき に用 もち いられる。これに分類 ぶんるい される人々 ひとびと の主要 しゅよう な居住 きょじゅう 地 ち はサハラ 以南 いなん のアフリカ 大陸 たいりく である。ラテン語 らてんご のnigreos(ニグレオス、黒 くろ )に由来 ゆらい する。ニグロイド とも[ 注釈 ちゅうしゃく 1] 。
現生 げんなま 人類 じんるい は、生物 せいぶつ 学 がく 上 うえ ホモ・サピエンス というただ一 いち 種 しゅ に属 ぞく している。ただし、過去 かこ の自然 しぜん 人類 じんるい 学 がく や文化 ぶんか 人類 じんるい 学 がく では、ネグロイド、および北 きた アフリカ ・ヨーロッパ ・西 にし アジア ・アラブ ・南 みなみ アジア などに見 み られるコーカソイド (白色 はくしょく 人種 じんしゅ )、オセアニア に見 み られるオーストラロイド 、東 ひがし アジア・東南 とうなん アジア・ポリネシア・南北 なんぼく アメリカ大陸 あめりかたいりく などに見 み られるモンゴロイド (黄色 おうしょく 人種 じんしゅ )を4大人 おとな 種 しゅ として分類 ぶんるい していた。
DNA 分析 ぶんせき の成果 せいか によれば、現生 げんなま 人類 じんるい 発祥 はっしょう の地 ち はアフリカにあるとされ[要 よう 出典 しゅってん ] 、ネグロイドは出 で アフリカ をせずアフリカにとどまった集団 しゅうだん の直系 ちょっけい の子孫 しそん とされる。したがってネグロイドの遺伝 いでん 的 てき 多様 たよう 性 せい はその他 た すべての人種 じんしゅ の遺伝 いでん 的 てき 多様 たよう 性 せい よりも高 たか い。
なお、肌 はだ の色 いろ 、および肌 はだ の色 いろ を発現 はつげん させる遺伝子 いでんし は、ヒトという種 たね の集団 しゅうだん の分化 ぶんか の過程 かてい で最 もっと も選択 せんたく 圧 あつ を受 う けやすく短期間 たんきかん に変化 へんか する形質 けいしつ の一 ひと つであり、肌 はだ の色 いろ の類似 るいじ または相違 そうい だけでは、いわゆる「人種 じんしゅ 」を区別 くべつ することはできない。
伝統 でんとう 的 てき な区分 くぶん によれば、黒人 こくじん は更 さら に、
メラノ・アフリカ人種 じんしゅ (コンゴイド)
ナイロテック亜 あ 人種 じんしゅ 又 また はナイロート (メラノ・アフリカ人種 じんしゅ の亜種 あしゅ )
ネグリロ 人種 じんしゅ Negrillo(ピグミー)
コイサン人種 じんしゅ (カポイド)
マラガシー人種 じんしゅ (オーストロネシア語族 ごぞく )
などに分 わ けられてきた[ 1] 。2と6は[ 2] を参照 さんしょう し加 くわ えた。
ネグロイドをコンゴイド とカポイド の2人 ふたり 種 しゅ に分 わ け、これとモンゴロイド 、コーカソイド 、オーストラロイド を合 あ わせて5大人 おとな 種 しゅ とすることがある。また、アメリンド (インディアン )をモンゴロイドから分 わ け、6大人 おとな 種 しゅ とする場合 ばあい もある。
コンゴイドとカポイドは身体 しんたい 的 てき 特徴 とくちょう だけでなく、言語 げんご 及 およ び(欧米 おうべい 化 か 以前 いぜん の)生活 せいかつ 様式 ようしき によっても区分 くぶん された。
頭部 とうぶ はいわゆる、長 ちょう 頭 あたま である。グラベラ が発達 はったつ し、オトガイ は後退 こうたい 気味 ぎみ である[ 3] 。頭部 とうぶ 全体 ぜんたい は小 ちい さめである[ 4] 。
手足 てあし が長 なが く、特 とく に膝 ひざ から下 した が長 なが い[ 3] 。手首 てくび 、足首 あしくび は細 ほそ い[ 4] 。
腸 ちょう 腰 こし 筋 すじ が発達 はったつ しており、骨盤 こつばん が前 ぜん 傾 かたぶけ している。腸 ちょう 腰 こし 筋 すじ はももを引 ひ き上 あ げる役割 やくわり がある。
骨 ほね 密度 みつど が高 たか く、骨粗鬆症 こつそしょうしょう になりにくい[ 5] 。
西 にし アフリカのネグロイドは瞬発 しゅんぱつ 力 りょく に優 すぐ れると言 い われており[ 6] 、実際 じっさい もオリンピックなどの世界 せかい 的 てき な大会 たいかい において西 にし アフリカにルーツを持 も つ選手 せんしゅ が短距離 たんきょり 走 はし などで上位 じょうい を独占 どくせん している。東 ひがし アフリカのネグロイドは持久 じきゅう 力 りょく に優 すぐ れると言 い われており[ 6] 、マラソンなどではケニアやエチオピアにルーツを持 も つ選手 せんしゅ が世界 せかい 的 てき な大会 たいかい で上位 じょうい を独占 どくせん している。(マラソンの世界 せかい ランキング上位 じょうい 100選手 せんしゅ を輩出 はいしゅつ する率 りつ は、平均 へいきん を1とした場合 ばあい 、ケニア全体 ぜんたい で6.03、内陸 ないりく 部 ぶ のナンディ人 じん は22.9と言 い う驚 おどろ くべき数字 すうじ が確認 かくにん されている)。これらは異 こと なる国 くに や環境 かんきょう のもとで育 そだ ったアフリカ系 けい 移民 いみん の間 あいだ でも同様 どうよう に高 たか い確 かく 率 りつ で優 すぐ れた選手 せんしゅ が輩出 はいしゅつ されている。このことから遺伝 いでん 的 てき に、精神 せいしん 的 てき かつ肉体 にくたい 的 てき な優位 ゆうい 性 せい が元々 もともと 備 そな わっているという可能 かのう 性 せい も示唆 しさ されていたが、オリンピックのメダル数 すう に関 かん する統計 とうけい が一般 いっぱん 化 か したことから現在 げんざい [いつ? ] では黒人 こくじん の身体 しんたい 能力 のうりょく は極 きわ めて限定 げんてい 的 てき な領域 りょういき でしか発揮 はっき されていないことがデータによって明 あき らかにされている。
アフリカ大陸 たいりく のY染色 せんしょく 体 たい ハプログループ
ネグロイドは出 で アフリカ をせず、アフリカにとどまったグループである。人種 じんしゅ を特徴 とくちょう づけるY染色 せんしょく 体 たい ハプログループ としてA 、B 、E が挙 あ げられる[ 7] 。ネグロイドを除 のぞ いた現生 げんなま 人類 じんるい の核 かく 遺伝子 いでんし には絶滅 ぜつめつ したネアンデルタール人類 じんるい 特有 とくゆう の遺伝子 いでんし が1 - 4 %混入 こんにゅう しているとの研究 けんきゅう 結果 けっか もあるため、ホモ・サピエンスの原型 げんけい により近 ちか いとも言 い える。
2世紀 せいき のロ ろ ーマ帝国 まていこく の有名 ゆうめい な学者 がくしゃ ガレノス は、厚 あつ い唇 くちびる 、広 ひろ い鼻孔 びこう 、縮 ちぢ れた頭髪 とうはつ 、黒 くろ い目 め 、しわのある手 て と足 あし 、薄 うす い眉毛 まゆげ 、とがった歯 は 、長 なが い陰茎 いんけい 、際立 きわだ った陽気 ようき さを、黒人 こくじん 男性 だんせい の10の特徴 とくちょう として列挙 れっきょ している。そして、この際立 きわだ った陽気 ようき さが「欠陥 けっかん のある頭脳 ずのう とそれに由来 ゆらい する知性 ちせい の弱 よわ さゆえに、黒人 こくじん 男性 だんせい を支配 しはい している」と彼 かれ は述 の べている[ 8] 。1世紀 せいき のプリニウス は、エティオピアの地誌 ちし を記載 きさい している『博物 はくぶつ 誌 し 』6巻 かん 195節 せつ において「西 にし の方 ほう にニグロイ族 ぞく がおり、その王 おう はただひとつの眼 め が額 がく にある。主 おも にヒョウやライオンの肉 にく を主食 しゅしょく としている「野獣 やじゅう 食 しょく 人 じん 」、何 なん でもかんでも貪食 どんしょく する「貪食 どんしょく 族 ぞく 」、その食事 しょくじ が人 ひと 肉 にく である「食 しょく 人 じん 族 ぞく 」」がいる、と後述 こうじゅつ のイブン・ハルドゥーンの記載 きさい と類似 るいじ する内容 ないよう を記載 きさい している。
中世 ちゅうせい イスラム世界 せかい におけるネグロイド観 かん [ 編集 へんしゅう ]
預言 よげん 者 しゃ ムハンマド は最期 さいご の説教 せっきょう で「アラブ人 じん は非 ひ アラブ人 じん に優越 ゆうえつ せず、非 ひ アラブ人 じん はアラブ人 じん に優越 ゆうえつ しない。白人 はくじん は黒人 こくじん に優越 ゆうえつ せず、黒人 こくじん は白人 はくじん に優越 ゆうえつ しない。人 ひと はただ正 ただ しさによってのみ優越 ゆうえつ する」と言 い っている[ 9] 。この戒 いまし めは多 おお くのイスラム教徒 きょうと に順守 じゅんしゅ され、結果 けっか として黒人 こくじん の信徒 しんと も増 ふ えていったものの、ジャーヒリーヤ時代 じだい から続 つづ く黒人 こくじん への偏見 へんけん は根強 ねづよ く残 のこ り、イスラム史 し 初期 しょき の黒人 こくじん 詩人 しじん の詩 し からも差別 さべつ の存在 そんざい がうかがえる。
『もし私 わたし の肌 はだ がピンクならば、女性 じょせい たちは私 わたし を愛 あい すだろう。しかし、神 かみ は私 わたし を黒 くろ さと結婚 けっこん させた』と書 か いたスハイムは660年 ねん に亡 な くなったアフリカ出身 しゅっしん の奴隷 どれい であった。『私 わたし は奴隷 どれい であるが、私 わたし の魂 たましい は気高 けだか く自由 じゆう である。私 わたし は肌 はだ の色 いろ は黒 くろ いが、私 わたし の性格 せいかく は白 しろ いのである。』彼 かれ は詩 し の中 なか で彼 かれ の本質 ほんしつ 的 てき な尊厳 そんげん を表現 ひょうげん している。
ヌサイブ・ブン・ラバーブは726年 ねん に亡 な くなったが、アラブ人 じん の詩人 しじん からの肌 はだ の色 いろ を理由 りゆう とする自分 じぶん への非難 ひなん に対 たい し、彼 かれ 自身 じしん 、痛烈 つうれつ な応答 おうとう をしている。『私 わたし がこのものを言 い う舌 した とこの勇敢 ゆうかん な心 しん を持 も っている限 かぎ り、黒 くろ さが私 わたし の名誉 めいよ を貶 おとし めることはない。ある者 もの は血統 けっとう により引 ひ き立 た てられるが、私 わたし の詩 し の詩句 しく が私 わたし の血統 けっとう なのだ!ものを言 い わない白人 はくじん より、感受性 かんじゅせい の鋭 するど い心 しん とはっきりとものを言 い う黒人 こくじん のほうがどんなにすばらしいことか!』
イスラーム文化 ぶんか は女性 じょせい 美 び を例外 れいがい として、本質 ほんしつ 的 てき に肉体 にくたい 的 てき な資質 ししつ よりも知的 ちてき な資質 ししつ を重 おも んじた。独特 どくとく の肉体 にくたい 的 てき 強 つよ さを知的 ちてき に劣 おと ることと結 むす びつけることで、黒人 こくじん への侮蔑 ぶべつ が正統 せいとう 化 か され、助長 じょちょう された[ 8] 。
中世 ちゅうせい イスラーム世界 せかい での黒人 こくじん 奴隷 どれい による反乱 はんらん に、9世紀 せいき にアッバース朝 あさ 時代 じだい のメソポタミア 南部 なんぶ で発生 はっせい したザンジュの乱 らん が知 し られる[ 10] 。
11世紀 せいき の歴史 れきし 家 か バクリー は「スーダン人 じん たちは人間 にんげん よりも動物 どうぶつ に近 ちか く、彼 かれ らはもっぱら物欲 ぶつよく に興味 きょうみ を持 も ち、しばしば食 しょく 人 じん を行 おこな い、ほとんど羞恥心 しゅうちしん を持 も たない」と記 しる している[ 11] 。
11世紀 せいき のイスラーム時代 じだい の重要 じゅうよう 都市 とし トレドの裁判官 さいばんかん であるサイード・アルアンダルスィーは、「彼 かれ らの気質 きしつ は血 ち の気 け が多 おお くなり、気性 きしょう は激 はげ しく、彼 かれ らの色 いろ は黒 くろ く、彼 かれ らの頭髪 とうはつ は縮 ちぢ れている」「彼 かれ らは自制心 じせいしん と心 しん の安定 あんてい に欠 か け、移 うつ り気 ぎ と愚 おろ かさと無知 むち が勝 か っている。エチオピアの果 は てに住 す んでいる黒人 こくじん 、ヌビア人 じん 、ザンジなどがそれにあたる」と記 しる している[ 8] 。
12世紀 せいき の地理 ちり 学者 がくしゃ イドリースィー は「スーダン人 じん たちは最 もっと も堕落 だらく した人々 ひとびと であるが、子供 こども を生 う む能力 のうりょく は最 もっと もすぐれている人々 ひとびと である。彼 かれ らの生活 せいかつ はまるで動物 どうぶつ のようで、彼 かれ らは物 もの と女 おんな の欲求 よっきゅう 以外 いがい になんの関心 かんしん もしめさない」と記 しる している[ 11] 。
14世紀 せいき の旅行 りょこう 家 か イブン・バットゥータ は「彼 かれ らの教養 きょうよう の無 な さや白人 はくじん に対 たい する無礼 ぶれい な態度 たいど をみて、つくづくこんなところまで来 き てしまったことを後悔 こうかい した」と記 しる している[ 11] 。一方 いっぽう で、イブン・バットゥータはマリ王国 おうこく での記録 きろく において、「彼 かれ らの美徳 びとく とすべき行為 こうい として、(まず第 だい 一 いち に、)不正 ふせい 行為 こうい が少 すく ない点 てん にある。つまりスーダン人 じん (黒人 こくじん )のスルタンは、誰 だれ 一人 ひとり として、不正 ふせい 行為 こうい を犯 おか す事 こと を許 ゆる さない。次 つぎ には、彼 かれ らの地方 ちほう で安全 あんぜん の保障 ほしょう が行 い き届 とど いている点 てん であり、従 したが って、その地方 ちほう を旅 たび する者 もの は何 なん の心配 しんぱい 事 ごと も無 な く、(長 なが く)滞在 たいざい する者 もの でも強盗 ごうとう や追 お い剥 は ぎに遭 あ うことが無 な い。……彼 かれ らの美徳 びとく の他 ほか の一 ひと つとして、彼 かれ らが(イスラームの)礼拝 れいはい を厳守 げんしゅ し、それを社会 しゃかい 集団 しゅうだん の中 なか で彼 かれ らの義務 ぎむ 行為 こうい としていること……金曜日 きんようび には、一般 いっぱん の人々 ひとびと は早朝 そうちょう にモスクに行 い かないと、あまりの混雑 こんざつ のため、どこで礼拝 れいはい しているのかわからなくなってしまうほどである。と述 の べている[ 12] 。
中世 ちゅうせい イスラムの最 もっと も偉大 いだい な歴史 れきし 家 か イブン・ハルドゥーン は「黒人 こくじん の大半 たいはん は洞穴 どうけつ や密林 みつりん に住 す み、草 くさ を食 く い、野蛮 やばん のままで社会 しゃかい 的 てき 集団 しゅうだん 生活 せいかつ をせず、たがいに殺 ころ して食 た べる。黒人 こくじん は一般 いっぱん に軽率 けいそつ で興奮 こうふん しやすく、非常 ひじょう に情緒 じょうちょ 的 てき な性格 せいかく で、メロディを聞 き けばいつでも踊 おど りたがり、また、黒人 こくじん はどこにおいても愚 おろ か者 もの とされている」と記 しる している[ 11] 。
南 みなみ インド のドラヴィダ人 じん やオーストラリア のアボリジニ 、メラネシアン などオセアニア の先住民 せんじゅうみん たちは、その肌 はだ の色 いろ の濃 こ さ、メラネシア人 じん などに関 かん しては巻 ま き毛 げ の頭髪 とうはつ の形状 けいじょう からも黒人 こくじん と思 おも われる場合 ばあい もあるが、彼 かれ らはオーストラロイドである。またポリネシアン 、ミクロネシアン はモンゴロイドとオーストラロイドの混合 こんごう 人種 じんしゅ である。同様 どうよう にインド亜 あ 大陸 たいりく で人口 じんこう の70%を占 し めるアーリア人 じん も同 おな じく肌 はだ の色 いろ から黒人 こくじん だと思 おも われる場合 ばあい があるが、彼 かれ らの場合 ばあい はコーカソイドとオーストラロイドの混合 こんごう 人種 じんしゅ である。いずれもアフリカ人 じん とは遺伝 いでん 的 てき に異 こと なる集団 しゅうだん である。
戦国 せんごく 時代 じだい 、日本 にっぽん に到来 とうらい したイエズス会員 かいいん などの南蛮 なんばん 人 ひと たち。白人 はくじん の他 ほか 、黒人 こくじん も描 えが かれている。
「黒人 こくじん 」は人種 じんしゅ のひとつであるが、人種 じんしゅ 差別 さべつ 的 てき な見方 みかた からすれば蔑称 べっしょう として使用 しよう されることがあった。たとえば、イエズス会 かい 宣教師 せんきょうし のフランシスコ・カブラル は、日本人 にっぽんじん や韓国 かんこく 人 じん を黒人 こくじん とみなし、「黒人 こくじん 」を蔑称 べっしょう として使用 しよう している。
カブラルは、
日本人 にっぽんじん を
黒人 こくじん で
低級 ていきゅう な
国民 こくみん と
呼 よ び、その
他 た 、
侮蔑 ぶべつ 的 てき な
表現 ひょうげん を
用 もち いた。かれはしばしば
日本人 にっぽんじん にむかい、「とどのつまり、おまえたちは
日本人 にっぽんじん (
ジャポンイス )だ」というのがつねで、
日本人 にっぽんじん に
対 たい して、
日本人 にっぽんじん が
誤 あやま った
低級 ていきゅう な
人間 にんげん であることを
理解 りかい させようとした。また、イエスズ
会 かい は
韓国 かんこく 人 じん に
対 たい しても
黒人 こくじん で
低級 ていきゅう な
民族 みんぞく であり、
周辺 しゅうへん 民族 みんぞく で
最 もっと も
野蛮 やばん な
人種 じんしゅ としていた。
[ 13] 。
また、同 おな じくイエズス会 かい 巡察 じゅんさつ 師 し アレッサンドロ・ヴァリニャーノ もその著書 ちょしょ 『東 ひがし インド巡察 じゅんさつ 記 き 』において、インド人 じん を黒人 こくじん とみなし、「黒人 こくじん 」を蔑称 べっしょう として使用 しよう している[ 14] 。
(インド人 じん は)あまりに惨 みじ めであまりに卑劣 ひれつ なため、かれらが黒色 こくしょく 人種 じんしゅ とされても仕方 しかた がないのである。 — 『東 ひがし インド巡察 じゅんさつ 記 き 』第 だい 2章 しょう
黒色 こくしょく 人種 じんしゅ はみなほとんど知力 ちりょく がなく性癖 せいへき も悪 わる い。 — 『東 ひがし インド巡察 じゅんさつ 記 き 』第 だい 26章 しょう
ヴァリニャーノのこうした人種 じんしゅ 差別 さべつ 意識 いしき の根拠 こんきょ となったのが、アリストテレス 「政治 せいじ 学 がく 」第 だい 1巻 かん の先天的 せんてんてき 奴隷 どれい 説 せつ であるとされる[ 15] 。
なお、日本人 にっぽんじん を黒人 こくじん とみなしたカブラルと異 こと なり、ヴァリニャーノは日本人 にっぽんじん を白人 はくじん とみなした[ 16] 。
(日本人 にっぽんじん は)みな色 しょく が白 しろ く、洗練 せんれん されており、しかも極 きわ めて礼儀 れいぎ 正 ただ しい。
と、日本人 にっぽんじん を白人 はくじん と設定 せってい することにより、本国 ほんごく からの布教 ふきょう の支援 しえん を受 う けようとしていた(白人 はくじん とすると本国 ほんごく から金銭 きんせん と人的 じんてき 支援 しえん が得 え られたのである)。
米国 べいこく などではニグロイド(negroidの英語 えいご 発音 はつおん に基 もと づくカナ表記 ひょうき )というい方 いかた は差別 さべつ 用語 ようご とされ、政治 せいじ 的 てき に正 ただ しく 、丁寧 ていねい な呼 よ び方 かた として「アフリカ系 けい の○○ (African-○○)」を使 つか うことがある。例 たと えばアメリカ 人 ひと であった場合 ばあい 、アフリカ系 けい アメリカ人 じん (African-American) という。ネグロイドは元来 がんらい 、人種 じんしゅ に対 たい する呼称 こしょう であり、差別 さべつ 的 てき な意味合 いみあ いは主 おも に黒人 こくじん 奴隷 どれい を使用 しよう していた欧米 おうべい 諸国 しょこく の社会 しゃかい 的 てき 要因 よういん から派生 はせい したものである。ニグロと縮 ちぢ めて呼 よ ぶのは前 ぜん 時代 じだい 的 てき な語法 ごほう であり、現在 げんざい では明 あき らかな差別 さべつ 用語 ようご とされている。さらに「ニガー (nigger)」 とした場合 ばあい 、その差別 さべつ 的 てき 意味 いみ は強 つよ まる。
米国 べいこく 以外 いがい の英語 えいご 圏 けん では、ブラック・パーソン(black person、複数 ふくすう 形 がた はブラック・ピープル - black people)と呼 よ ぶのが社会 しゃかい 的 てき 、政治 せいじ 的 てき に正 ただ しいとされている。これは、南 みなみ アジア、カリブ、太平洋 たいへいよう 諸島 しょとう などアフリカ以外 いがい の地域 ちいき にも肌 はだ が黒 くろ い人種 じんしゅ が存在 そんざい し、彼 かれ らを誤 あやま って「アフリカ系 けい 」と呼 よ んでしまうことを避 さ けるためである。「ブラック」と縮 ちぢ めた場合 ばあい は、非公式 ひこうしき な意味合 いみあ いが強 つよ まる。
最近 さいきん の米国 べいこく では「アフリカ系 けい 」がよく使 つか われるが、米国 べいこく においても、必 かなら ずしも「ブラック」という呼称 こしょう が差別 さべつ 用語 ようご にあたるとは限 かぎ らない。実際 じっさい に黒人 こくじん は自分 じぶん 達 たち のことをブラックと呼 よ ぶことも多 おお く、テレビのニュース番組 ばんぐみ でも「ブラック」という言葉 ことば はしばしば用 もち いられる。ただし、明確 めいかく な差別 さべつ 用語 ようご であるニガーという呼称 こしょう も、アフリカ系 けい 同士 どうし の間 あいだ では、仲間 なかま 意識 いしき を込 こ めた呼 よ びかけとしても使用 しよう されることからもわかるように、こうした用語 ようご をアフリカ系 けい の人 ひと が使用 しよう する場合 ばあい と他 た 人種 じんしゅ の人 ひと が使用 しよう する場合 ばあい では意味合 いみあ いや受 う け取 と られ方 かた が異 こと なる。白人 はくじん や黄色 おうしょく 人種 じんしゅ が用 もち いる際 さい は用 もち いる文脈 ぶんみゃく に考慮 こうりょ し慎重 しんちょう を期 き さねば差別 さべつ 語 ご 的 てき 意味 いみ を汲 く み取 と られる可能 かのう 性 せい もあることに注意 ちゅうい する必要 ひつよう がある。すなわち「ブラック」という呼称 こしょう はある意味 いみ で転換 てんかん されたスティグマ であり、当該 とうがい の主体 しゅたい が用 もち いる場合 ばあい と、第三者 だいさんしゃ が用 もち いることには全 まった く意味 いみ が違 ちが うことに留意 りゅうい すべきである。
さらに米国 べいこく における黒人 こくじん 自 みずか らの文脈 ぶんみゃく で「ブラック」を用 もち いた例 れい として、黒人 こくじん 公民 こうみん 権 けん 運動 うんどう の中 なか で用 もち いられてきた「黒 くろ は美 うつく しい(ブラック・イズ・ビューティフル ) 」というスローガンは象徴 しょうちょう 的 てき である。同様 どうよう に黒人 こくじん コミュニティに関係 かんけい した団体 だんたい 組織 そしき の多 おお くが自 みずか ら名称 めいしょう に「ブラック」を用 もち いている。また『Black Hair Style』という黒人 こくじん 専 せん 門 もん のヘアスタイル情報 じょうほう 誌 し や、『Black Enterprise』といった黒人 こくじん 専 せん 門 もん のビジネス 雑誌 ざっし の存在 そんざい もこの用例 ようれい であろう。
日本 にっぽん では「黒人 こくじん 」のい換 いか え語 ご として研究 けんきゅう 者 しゃ は「アフリカン・アメリカン」を使 つか うことが多 おお いが、アフリカ人 じん 全 すべ てが黒人 こくじん ではなく、またアメリカにいる黒人 こくじん 全 すべ てがアフリカ出身 しゅっしん でもないため、この用語 ようご には疑問 ぎもん も出 で ている[ 17] 。しかし、米国 べいこく などにおいても、アフリカ以外 いがい の土地 とち の出身 しゅっしん 者 しゃ であっても、黒人 こくじん ならば「アフリカン・アメリカン」と呼 よ ばれてしまうことが多 おお いのが実情 じつじょう である。なお、アメリカに於 お いては過去 かこ の奴隷 どれい 政策 せいさく の反省 はんせい 等 とう から、州 しゅう ごとに黒人 こくじん に対 たい する様々 さまざま な優遇 ゆうぐう 措置 そち があり、これが州法 しゅうほう に違反 いはん しているとして問題 もんだい 化 か したこともある。
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく は1995年 ねん に、人種 じんしゅ ・民族 みんぞく の自称 じしょう についての国勢調査 こくせいちょうさ を行 おこな っている。これは、彼 かれ ら自身 じしん を白人 はくじん 、黒人 こくじん 、ヒスパニック 、インディアン 、アラスカ先住民 せんじゅうみん (インディアン、エスキモー 、アレウト )であると特定 とくてい した人々 ひとびと 、あるいは混血 こんけつ に対 たい して、それぞれの人種 じんしゅ ・民族 みんぞく グループの呼称 こしょう で、定 さだ まった呼 よ び名 な を好 この まない人 ひと や、特 とく に選 えら ぶものがなかった人 ひと も含 ふく めて、好 す きな呼称 こしょう はどれか選 えら んでもらったものである。黒人 こくじん の場合 ばあい は、以下 いか の通 とお りであった。混血 こんけつ も含 ふく め、単純 たんじゅん に「アフリカ系 けい 」でない者 もの も含 ふく まれて、一番 いちばん 好 この まれている呼称 こしょう は「ブラック(黒人 こくじん ) 」だった[ 18] 。
1. 黒人 こくじん (Black)
44.15 %
2. アフリカ系 けい アメリカ人 じん (African American)
28.07 %
3. アフロ=アメリカン(Afro-American)
12.12 %
4. ニグロ(Negro)
0 3.28 %
5. その他 た の呼称 こしょう
0 2.19 %
6. 色 いろ つき(Colored)
0 1.09 %
7. 無 む 回答 かいとう
0 9.11 %
ネグロイド コーカソイド モンゴロイド オーストラロイド 混血 こんけつ 肌 はだ の色 いろ による分類 ぶんるい ※2
※1:インドネシア・マレー人種 じんしゅ の古 こ モンゴロイド的 てき 特徴 とくちょう はオーストラロイドとの混血 こんけつ によるものとする。 ※2:肌 はだ の色 いろ による人種 じんしゅ 分類 ぶんるい の類縁 るいえん 関係 かんけい は科学 かがく 的 てき に否定 ひてい されている。
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