(Translated by https://www.hiragana.jp/)
ニレ - Wikipedia コンテンツにスキップ

ニレ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ニレぞく
セイヨウハルニレ
セイヨウハルニレ (Ulmus glabra 'Lutescens')
分類ぶんるい
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : 真正しんしょうそう子葉しようるい eudicots
: バラ Rosales
: ニレ Ulmaceae
ぞく : ニレぞく Ulmus
たね

本文ほんぶん参照さんしょう

ニレにれ)はニレニレぞく樹木じゅもく総称そうしょうである。英名えいめいはエルム (Elm) [1]日本にっぽんでニレというと、一般いっぱんにニレぞくの1しゅであるハルニレのことを[2]

形態けいたい

[編集へんしゅう]

広葉樹こうようじゅであり、かつ基本きほんてき落葉樹らくようじゅだが[3]南方なんぽう分布ぶんぷする一部いちぶはん常緑樹じょうりょくじゅのものがある。だかは10メートル (m) 未満みまんのものからおおきいと40 mをすものまである。最大さいだいしゅ中米ちゅうべい熱帯ねったい雨林うりん分布ぶんぷするUlmus mexicanaというたねだか80 mにたっする。がた比較的ひかくてきひくたかさからみき分岐ぶんきさせ、どうケヤキ(ニレケヤキぞく)などとよくたねおおいが、比較的ひかくてきみきばすものもある。樹皮じゅひ灰色はいいろがかった褐色かっしょくたてれるたねおおいが、一部いちぶ平滑へいかつなものもある。

えだぐでなく左右さゆうにジグザグにびる(かりじく分岐ぶんき)。えだ互生ごせいし、基部きぶ左右さゆう非対称ひたいしょうになることがおお[3]先端せんたんかうにつれてきゅうとがる。オヒョウのように複数ふくすう先端せんたんつものもおおい。葉脈ようみゃく形態けいたい中央ちゅうおうの1ほん主脈しゅみゃくからがわみゃく左右さゆう分岐ぶんきするかたちはねじょうみゃく)である[4]。ニレでもエノキぞく (Celtis)、ウラジロエノキぞく (Trema)、ムクノキぞく (Aphananthe)などは主脈しゅみゃくが3ほんえるさんぎょうみゃくである[4]。ただし、これらは最近さいきんはニレでなくアサれることがおおい。えんには鋸歯きょし[3]。ニレぞくじゅう鋸歯きょしばれる鋸歯きょしち、おおきな鋸歯きょし同士どうしあいだちいさい鋸歯きょしはさむ。これにたいし、ケヤキぞく普通ふつう鋸歯きょしである。

はな両性りょうせいはな花粉かふん散布さんぷ方式ほうしきふうなかだちでありはな地味じみである。種子しゅし扁平へんぺいけんはて膜質まくしつつばさ[4]

生態せいたい

[編集へんしゅう]

斜面しゃめん下部かぶたに沿い、かわ沿いなど湿潤しつじゅん肥沃ひよくところこのしゅおおい。また、じゅであり日当ひあたりをこの性質せいしつで、けた場所ばしょがきられる[3]はな風媒花ふうばいかであり、ほとんどの種類しゅるいはるはなかせる。たねによって芽吹めぶまえはなけるもの、芽吹めぶいたのちはなけるものがある。一部いちぶ種類しゅるいあきはなける。果実かじつ開花かいかすう週間しゅうかんじゅくす。種子しゅしふう散布さんぷ萌芽ほうが更新こうしん倒木とうぼく更新こうしんもよくおこなう。

なに種類しゅるいもの昆虫こんちゅうがニレの色々いろいろ部分ぶぶんえさとして利用りようしている。

びょう

[編集へんしゅう]

ニレのびょう別名べつめいオランダニレびょうともばれ、もとはひがしアジアからきた病気びょうきであるが、病原菌びょうげんきん最初さいしょ特定とくていされたのがオランダだったことに由来ゆらいする[3]。ニレのびょうは、病原菌びょうげんきんとなる胞子ほうしをつけた甲虫かぶとむしキクイムシが樹皮じゅひしたもぐみ、あなどうとよばれるあなることによってひろまる[3]。この病気びょうき汚染おせんされると、初夏しょかひろ範囲はんい黄色きいろくなり、茶色ちゃいろくなってしおれていき、ニレの巨木きょぼくでも1かげつほどで枯死こししてしまう[5]。ニレのびょう最初さいしょ流行りゅうこうしたのは1920年代ねんだいで、これはほどなく収束しゅうそくしたが、1970年代ねんだい毒性どくせいつよきんこした流行りゅうこう環境かんきょう災害さいがいとなり、イギリスだけで2500まんほん、ヨーロッパと北米ほくべいではすうおくほんのニレが枯死こしした[3]原因げんいんは、古代こだいローマじんがブドウの仕立したてるために支柱しちゅうとして西にしヨーロッパにオウシュウニレ別名べつめい:ヨーロッパニレ)をみ、萌芽ほうがからやしていったところ、遺伝いでんてき同一どういつのクローンばかりになっておな病虫害びょうちゅうがいけやすくなったためといわれている[3]現在げんざいニレの大木たいぼくのこっている場所ばしょは、自然しぜん障壁しょうへきによって隔離かくりされたイングランド南東なんとう沿岸えんがんや、市民しみん努力どりょくのこったアムステルダムなど数カ所すうかしょだけである[5]。こうしたことからアムステルダム当局とうきょくでは徹底的てっていてき監視かんし衛生えいせい管理かんりおこなわれている[5]。またじゅうすうねんにわたる地道じみち交配こうはいによって、菌類きんるいたいせいがある栽培さいばい品種ひんしゅが10種類しゅるい以上いじょうつくされ、アムステルダムなどで大量たいりょうけられている[5]

人間にんげんとのかかわり

[編集へんしゅう]

象徴しょうちょう

[編集へんしゅう]

ヨーロッパではニレ(にれ)とブドウ(葡萄ぶどう)は良縁りょうえん象徴しょうちょうとされる。この風習ふうしゅう元々もともとはイタリア由来ゆらいとされ、以下いかのようなはなしがある。古代こだいローマ時代じだいからイタリアではブドウを仕立したてる支柱しちゅうとしてニレを使つかうために、ブドウはたけでニレも一緒いっしょ栽培さいばいしていた。成長せいちょうしたニレはだか3m程度ていどのところでみき切断せつだんする。ニレは萌芽ほうがすのでこれをよこ方向ほうこう仕立したててぶどうのづるからませてやるのだという。古代こだいローマの詩人しじんオウィディウス(Ovidius、紀元前きげんぜん43-紀元前きげんぜん26ねん)はこれをていたく感動かんどうし、ulmus amat vitem, vitis non deserit ulmum意訳いやくにれはブドウをあいしている。ブドウもきずついたにれ見捨みすてない)というんだ。

このはなしローマ神話しんわかみ恋仲こいなかだったぶしかみウェルトゥムヌスと果実かじつかみポーモーナはなしとしてもこのまれ、ルネサンス時代じだいには絵画かいが題材だいざいとしてもよくえがかれた。

ほかにも北欧ほくおう神話しんわ(スカンディナヴィア神話しんわ)に登場とうじょうする人類じんるい最初さいしょ男女だんじょアスクとエムブラのうちのエムブラ(おんな)が最高さいこうしんオーディンいききかけられたニレのからまれたとされる[1]。エムブラ(Embla)がニレをあらわ英語えいごのエルム (Elm) になったといわれ、その語源ごげんケルトの Ulme からきたといわれる[1]

ギリシア神話しんわでは、詩人しじん竪琴たてごと名手めいしゅだったオルペウスが、つま黄泉よみくにからもどそうとして失敗しっぱいし、かなしみにれて現世げんせい竪琴たてごとかなでた。すると、その音色ねいろ感動かんどうした大地だいちがエルム(ニレ)のもりつくげたという逸話いつわのこ[6]

きたアメリカの東海岸ひがしかいがんでは、マサチューセッツしゅうボストンイギリスから脱出だっしゅつして到着とうちゃくした清教徒せいきょうとたちがむらつくったときに、周辺しゅうへんインディアン親切しんせつにもエルムを土地とち条件じょうけん指標しひょうにすることをおしえ、その土地とち肥沃ひよく耕作こうさくにもてきし、みず容易よういられ洪水こうずい危険きけんもないことをたという[7]。この有益ゆうえき情報じょうほうから、ボストンをはじめおおくのうつくしい都市としまれた[7]

ヨーロッパのその地域ちいきでは、ニレ(エルム)を重要じゅうよう位置いちづけている[1]。ニレの大木たいぼくになることからくる巨木きょぼく信仰しんこうだけでなく、着火ちゃっかしやすいニレからたというれいおおいからといわれる[1]

景観けいかん

[編集へんしゅう]

成長せいちょうはや移植いしょく容易ようい、またがたあざやかな新緑しんりょく魅力みりょくてきさわやかな印象いんしょうあたえるためか街路がいろじゅ庭園ていえんじゅへの利用りようおおしゅである。あき紅葉こうよう見事みごとであり、ヨーロッパなどでは風景ふうけい題材だいざいとしてもよくえがかれ、13 - 17世紀せいき巨匠きょしょう絵画かいがによくえがかれた[3]。オランダのハーグアムステルダムでは世界一せかいいちのニレがられ、アムステルダムでは運河うんが街路がいろ沿いに7まん5000ほん以上いじょうのニレがえられている[3]日本にっぽんでは北海道大学ほっかいどうだいがく北海道ほっかいどう札幌さっぽろ構内こうないのニレ並木なみき有名ゆうめい盆栽ぼんさいにもなる。

木材もくざい

[編集へんしゅう]

心材しんざいあたりざいさかい明瞭めいりょう、ややかたい。比重ひじゅうは0.6程度ていど空気くうきれなければくさりにくいといい、ヨーロッパでは水道すいどうかんもちいた[3]。またイチイの代用だいようとしてゆみにも使つかったという。かず太鼓たいこどうざいにはケヤキが最高さいこうとされるが、ニレが代用だいようされることもあるという。

しなやかさがあることから古代こだいエジプトではチャリオット車軸しゃじく使つかわれていた[8]

食料しょくりょう薬用やくよう

[編集へんしゅう]

飢饉ききんなどに種子しゅしなどを食用しょくようとする場合ばあいがある。延喜えんぎしきではとく香気こうきのないほんしゅ樹皮じゅひこな使つかった楡木たまのき(ニレギ)という漬物つけもの記録きろくされている[9]。アメリカさんU. rubraというたねうち樹皮じゅひのど炎症えんしょうしずめる効果こうかがあり、FDA認可にんかされた数少かずすくない生薬きぐすりひとつとなっている[10]しょうえだ家畜かちく飼料しりょうとしても使つかえ、ヒマラヤ地域ちいきなどではいま使つかうという。

世界せかいのニレぞく植物しょくぶつ

[編集へんしゅう]

ニレぞくUlmus)は北半球きたはんきゅう温帯おんたいやく20しゅがあり、アジアきたアメリカヨーロッパにかなりちかたね分布ぶんぷする[11]とくアメリカニレヨーロッパニレ性質せいしつ形状けいじょうがよくている[11]。ヨーロッパのニレはどのたねたがいによくており、樹高きだかが30 mにたっすることもめずらしくない[3]。 ニレは身近みぢかにある関心かんしんたかく、それでいて地域ちいきはげしいのか、研究けんきゅうしゃによって相当そうとう相違そういがある。学名がくめい異名いみょうであるシノニム数多かずおおく、ずらっと10以上いじょうならたねもある。日本にっぽんにはハルニレアキニレオヒョウの3しゅ分布ぶんぷする。

Ulmus bergmanniana
中国ちゅうごく標高ひょうこう1500-2500mの山岳さんがく地帯ちたい分布ぶんぷだか20-25m、直径ちょっけい1m程度ていど中型ちゅうがたしゅ中国ちゅうごくめいおきさんにれ
U. castaneifolia
中国ちゅうごく南部なんぶひろ分布ぶんぷ中国ちゅうごくめいみゃくにれや銹毛にれたね小名しょうみょうcastaneifoliaは「クリ」の意味いみ
U. changii
中国ちゅうごく南部なんぶ分布ぶんぷ個体こたいすう減少げんしょうしており、一部いちぶ保護ほごされている
U. chumila
U. elongata
中国ちゅうごく南部なんぶ分布ぶんぷし、だか30mにたっする大型おおがたしゅ中国ちゅうごくめいちょうじょにれたね小名しょうみょうelongata細長ほそながいの意味いみ[12]でともにはなながさに由来ゆらいする。
U. gausseni
エルム U. glabra[13]
アイルランドからウラル山脈さんみゃくいたるヨーロッパに広範囲こうはんい分布ぶんぷ。スカンジナビア半島はんとう分布ぶんぷなどではわずかながら北極圏ほっきょくけんにもはいる。だか40mにたっする大型おおがたしゅで、かたち後述こうじゅつのオヒョウ (U. laciniata) によくる。アジアからの侵入しんにゅう病害びょうがいであるニレ立枯たちがれびょうよわい。
U. glaucescens
乾燥かんそうにもえることから中国ちゅうごくめいひでりにれ
オヒョウ U. laciniata[14]
樹高きだかは25m程度ていどとハルニレよりやや小型こがたがたもハルニレやケヤキにくらべるとみきばす傾向けいこうつよいという[15]先端せんたんで3-7つに分裂ぶんれつし、日本にっぽんさんニレるいではほんしゅだけの特徴とくちょうてきける。葉柄ようへいみじか目立めだたない[15]たね小名しょうみょうlaciniataは「こまかく分裂ぶんれつした」の意味いみ[12]
U. lamellosa
中国ちゅうごく分布ぶんぷだか10m未満みまんのことがおお小型こがたしゅ
チョウセンニレ U. macrocarpa[16]
朝鮮半島ちょうせんはんとう中国ちゅうごく東北とうほくからチベットにかけての一帯いったいひろ分布ぶんぷたね小名しょうみょうmacrocarpaは「おおきい果実かじつ」の意味いみ[12]中国ちゅうごくめいだいはてにれだが地域ちいきめいおおい。
U. mexicana
メキシコ南部なんぶからパナマいた中米ちゅうべい地域ちいき標高ひょうこう800-2000mの山岳さんがく地帯ちたい分布ぶんぷ現地げんち降水こうすいりょう年間ねんかん2000-4000mmにごうするという。ニレぞく最大さいだいたねだか80m、直径ちょっけい2.5mをえることもある。
U. microcarpa
最近さいきん報告ほうこくされたたね中国ちゅうごく西部せいぶチベットの標高ひょうこう3000m付近ふきん局地きょくちてき分布ぶんぷだか30mにたっするといい、結構けっこうおおきいしゅである。たね小名しょうみょうmicrocarpaは「ちいさい果実かじつ」の意味いみ[12]
U. prunifolia
中国ちゅうごく中部ちゅうぶ湖北こほくしょう標高ひょうこう1000 -1500m付近ふきん分布ぶんぷだか30m以上いじょうたっする大型おおがたしゅ
U. rubra
アメリカ東部とうぶから中西部ちゅうせいぶにかけてひろ分布ぶんぷだか20m、直径ちょっけい50cm程度ていど中型ちゅうがたしゅ樹皮じゅひ鎮痛ちんつうやく使つかう。オートミールちか栄養えいようがあり、アメリカ先住民せんじゅうみん初期しょき入植にゅうしょくしゃ食用しょくようとして利用りようしたが、そのつかみどころのないあじからslippery elmのばれている[10]
アリサンニレ U. uyematsui[17]
台湾たいわんおもね里山さとやま周辺しゅうへん標高ひょうこう800-2500m付近ふきん分布ぶんぷし、日本人にっぽんじん植物しょくぶつ学者がくしゃ早田そうだ文蔵ぶぞうによって報告ほうこくされたたねだかは25m程度ていどたっする中型ちゅうがたしゅ和名わみょう漢字かんじ表記ひょうき現地げんちめいともにおもね里山さとやまにれ
U. wallichiana
ヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃく西部せいぶカシミール地方ちほう分布ぶんぷする。後述こうじゅつするU. villosa分布ぶんぷこうむるが、U. villosa湿潤しつじゅんたに沿いをこのむのにたいし、ほんしゅ乾燥かんそうにもえてけしているという。
U. canescens
地中海ちちゅうかい東部とうぶ地域ちいき、イタリア南部なんぶからイスラエルにかけて分布ぶんぷする。この地域ちいき地中海ちちゅうかいせい気候きこうなつ高温こうおん乾燥かんそうきびしい、ほんしゅ比較的ひかくてき海沿うみぞいの湿しめった森林しんりんによくられるという。U. minor亜種あしゅかんがえる学者がくしゃもいる。
U. chenmoui
中国ちゅうごく南東なんとう江蘇ちぁんすーしょう安徽あんきしょう分布ぶんぷだか20m未満みまんのことがおお小型こがたしゅ個体こたいすう減少げんしょうしている。
トウニレ U. davidiana[18]
中国ちゅうごく東北とうほくから朝鮮半島ちょうせんはんとう日本にっぽんにかけて分布ぶんぷだか30m、直径ちょっけい1mにたっする大型おおがたしゅ日本にっぽんさんニレるいとしては最大さいだいしゅ葉柄ようへい比較的ひかくてきながくよく目立めだ[15]日本にっぽんさんしゅハルニレ大陸たいりくさんのものとくらべて果実かじつえてないことからは U. davidiana var. japonicaとし変種へんしゅあつかいすることもおお[19]。かつてはU. japonicaとされ、大陸たいりくさんしゅとは別種べっしゅあつかいされていた。和名わみょう漢字かんじ表記ひょうきはるにれとされこれははるはなくことからといわれる。もっとも、ほとんどのニレははるはなくものである。
U. harbinensis
中国ちゅうごく東北とうほく黒竜江こくりゅうこうしょう分布ぶんぷだか15m以下いかのことがおお小型こがたしゅ中国ちゅうごくめいは哈尔滨楡(ハルビンのニレ)。
U. ismaeris
U. lanceifolia
東南とうなんアジア地域ちいき中国ちゅうごく南部なんぶからインドシナ半島いんどしなはんとう一帯いったいとインドネシアの島嶼とうしょ分布ぶんぷ。インドネシアの分布ぶんぷ赤道あかみちわずかにえ、南半球みなみはんきゅう分布ぶんぷする唯一ゆいいつのニレである。だか45mにたっする大型おおがたしゅ
ヨーロッパニレ U. minor[20]
U pseudopropinqua
中国ちゅうごく東北とうほく黒竜江こくりゅうこうしょう局地きょくちてき分布ぶんぷ中国ちゅうごくめいにせはるにれ
ノニレ U. pumila[21]
ひがしシベリアモンゴルから西にしカザフスタンいたるまで分布ぶんぷ乾燥かんそうにもよくえるだか10m-20mのしょう中型ちゅうがたしゅ寒冷かんれいでは落葉らくようするが、温暖おんだんだとはん常緑じょうりょくだという。たね小名しょうみょうpumilaは「ちいさい」の意味いみ中国ちゅうごくめいたれえだにれ基本きほんてきにニレ立枯たちがれびょうつよいとされる。
U. szechuanica
中国ちゅうごくちゅう南部なんぶ長江ながえ沿って江蘇ちぁんすーしょうから内陸ないりく四川しせんしょうにかけて分布ぶんぷする。たね小名しょうみょうszechuanicaは「四川しせんの」の意味いみ分布ぶんぷちなむ。中国ちゅうごくめいべにはてにれ
U. villosa
ヒマラヤ山脈ひまらやさんみゃく西部せいぶカシミール地方ちほう標高ひょうこう1200-2500mの山岳さんがく地帯ちたい分布ぶんぷなめらかな樹皮じゅひかわ発達はったつし、サクラなどバラ樹木じゅもくおもわせる様相ようそうになる。
U. alata
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく南東なんとうから南部なんぶにかけてのひろ範囲はんい分布ぶんぷえだにはコルクしつつばさ発達はったつする。アジアから侵入しんにゅうしたニレ立枯たちがれびょうよわい。
アメリカニレ U. americana[22]
北米ほくべい大陸たいりく東部とうぶひろ分布ぶんぷだか30m、直径ちょっけい1.2m以上いじょうになる大型おおがたしゅ英名えいめいもAmerican elm(アメリカのニレ)、たね小名しょうみょうamericanaは「アメリカの」で名実めいじつともにアメリカを代表だいひょうするニレ。ニレ立枯たちがれびょうよわ壊滅かいめつてき被害ひがいけた。
U. laevis
西にしフランスからひがしウラル山脈さんみゃくいたるまで南部なんぶのぞくヨーロッパにひろ分布ぶんぷ
U. thomasii
五大ごだいみずうみ南岸なんがん中心ちゅうしん分布ぶんぷ樹皮じゅひ荒々あらあらしくけ、えだにはコルクしつつばさ発達はったつする。英名えいめいrock elm, cork elm。
U. crassifolia
アメリカ南部なんぶ地域ちいきミシシッピがわより西にしからテキサスしゅうメキシコ国境こっきょうリオグランデがわいた範囲はんい分布ぶんぷ英名えいめいcedar elm(針葉樹しんようじゅのようなニレ)、針葉樹しんようじゅなかでもテキサス周辺しゅうへんとく目立めだビャクシンぞくしているといわれる。だか25m程度ていど中型ちゅうがたしゅは3-5cm程度ていどちいさくかつあつい。たね小名しょうみょうcrassifoliaは「分厚ぶあつ」の意味いみ[12]はな晩夏ばんかから初秋しょしゅうにかけてめずらしいたね後述こうじゅつU. serotinaとは簡単かんたん交雑こうざつ雑種ざっしゅつくるという。
アキニレ U. parvifolia[23]
中国ちゅうごく中部ちゅうぶ以南いなんひろ範囲はんい朝鮮半島ちょうせんはんとう日本にっぽん分布ぶんぷ日本にっぽんでは西日本にしにほん分布ぶんぷ河原かわらとう水辺みずべこのむ。だかは15mほど小型こがたしゅで、ハルニレにくらべるとだいぶちいさく、樹皮じゅひかんじも平滑へいかつ鱗片りんぺんじょうがれるところなどハルニレというよりはケヤキにている。このため別名べつめいイシゲヤキ(イシは木材もくざいかた由来ゆらい)やカワラゲヤキなどとぶこともある。たね小名しょうみょうparvifoliaは「ちいさい」の意味いみ[12]で、実際じっさいは3cm程度ていど小型こがたである。えんにはじゅう鋸歯きょしつが、ちいさいでは発達はったつわるくしばしばたん鋸歯きょしえる。世界せかいでも3しゅしかないあきはなめずらしい種類しゅるい和名わみょうはこれに由来ゆらい中国ちゅうごくめいは榔楡。ニレ立枯たちがれびょうつよい。
U. serotina
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく南部なんぶテネシーしゅう中心ちゅうしん隣接りんせつするしゅうにも点々てんてん分布ぶんぷする。だかは20m以下いかのことがおお小型こがたしゅはなは9がつごろくことから英名えいめいをSeptember elm(9がつのニレ)という。たね小名しょうみょうserotinaは「晩生ばんせいの」の意味いみ[12]で、これもおそらくははな時期じき由来ゆらいする。かつては公園こうえんじゅなどとしてもちいられたが、アジアから侵入しんにゅうしたニレ立枯たちがれびょうよわ現在げんざいはほとんど姿すがたした。
オウシュウニレ U. procera[24]

脚注きゃくちゅう

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b c d e 辻井つじいたちいち 1995, p. 135.
  2. ^ 平野ひらの隆久たかひさ監修かんしゅう 永岡書店ながおかしょてんへん樹木じゅもくガイドブック』永岡書店ながおかしょてん、1997ねん5がつ10日とおか、202ぺーじISBN 4-522-21557-6 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l ドローリ 2019, p. 24.
  4. ^ a b c 北村きたむら四郎しろう村田むらたはじめ (1980)原色げんしょく日本にっぽん植物しょくぶつ図鑑ずかん 木本もくほんへん2. 保育ほいくしゃ. 大阪おおさか.
  5. ^ a b c d ドローリ 2019, p. 25.
  6. ^ 瀧井たきいやすししょう『366にち 誕生たんじょうはなほん日本にほんグ社ぐしゃ、1990ねん11月30にち、252ぺーじ 
  7. ^ a b 辻井つじいたちいち 1995, pp. 134–135.
  8. ^ 古代こだいエジプトじん痛恨つうこんのミス 日本にっぽん科学かがくがツタンカーメンにいどむ|中東ちゅうとう解体かいたい新書しんしょ - NHK
  9. ^ 漬物つけものポータルサイト:全日本ぜんにほん漬物つけもの協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかい
  10. ^ a b ジョンソン et al. 2014, pp. 178–181.
  11. ^ a b 辻井つじいたちいち 1995, p. 132.
  12. ^ a b c d e f g 豊国とよくに秀夫ひでおへん). (2009) 復刻ふっこく拡大かくだいばん植物しょくぶつがくラテン語らてんご辞典じてん. ぎょうせい. 東京とうきょう.
  13. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus glabra Huds. エルム(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  14. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus laciniata (Trautv.) Mayr ex Schwapp. オヒョウ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  15. ^ a b c 宮部みやべ金吾きんご工藤くどうゆうしゅん原田はらだ忠助ちゅうすけ (1988) 普及ふきゅうばん北海道ほっかいどう主要しゅよう樹木じゅもく図譜ずふ. 北海道大学ほっかいどうだいがく図書としょ刊行かんこうかい.札幌さっぽろ.
  16. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus macrocarpa Hance チョウセンニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  17. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus uyematsui Hayata アリサンニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  18. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus davidiana Planch. var. davidiana トウニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  19. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus davidiana Planch. var. japonica (Rehder) Nakai ハルニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  20. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus minor Mill. ヨーロッパニレ”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  21. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus pumila L. ノニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  22. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus americana L. アメリカニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  23. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus parvifolia Jacq. アキニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  24. ^ 米倉よねくら浩司こうじ梶田かじたただし (2003-). “Ulmus procera Salisb. オウシュウニレ(標準ひょうじゅん”. BG Plants 和名わみょう学名がくめいインデックス(YList). 2024ねん2がつ19にち閲覧えつらん

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • ジョナサン・ドローリ ちょ三枝さえぐさ小夜子さよこ やく世界せかい樹木じゅもくをめぐる80の物語ものがたり柏書房かしわしょぼう、2019ねん12月1にちISBN 978-4-7601-5190-5 
  • 辻井つじい達一たついち日本にっぽん樹木じゅもく中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、1995ねん4がつ25にちISBN 4-12-101238-0 
  • レベッカ・ジョンソン、スティーブン・フォスター、ティエラオナ・ロウ・ドッグ、デビッド・キーファー ちょせき利枝子りえこ倉田くらた真木まき やく『メディカルハーブ事典じてん日経にっけいナショナル ジオグラフィックしゃ、2014ねんISBN 9784863132726 

関連かんれん項目こうもく

[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]