ブラッドタイプ・ハラスメント

ブラッドタイプ・ハラスメント（略称りゃくしょうブラハラ、和製わせい英語えいご: blood-type harassment）とは、血液けつえき型がたを理由りゆうにして行おこなわれる嫌いやがらせである。心理しんり学者がくしゃのサトウタツヤが1994年ねんに提唱ていしょうした。こうした嫌いやがらせは、血液けつえき型がた性格せいかく分類ぶんるいと関連かんれんしている。

日本にっぽんでの提唱ていしょう

1994年ねん、当時とうじ福島大学ふくしまだいがくの助教授じょきょうじゅ（後のちに立命館大学りつめいかんだいがく教授きょうじゅ）であった心理しんり学者がくしゃのサトウタツヤ（佐藤さとう達哉たつや）は、少数しょうすう派はの集団しゅうだんの方ほうが評価ひょうかが低ひくいという2個この研究けんきゅうを元もとにして、このことが日本にっぽんでの血液けつえき型がたの小しょう集団しゅうだんであるAB型がたの人々ひとびとの印象いんしょうが悪わるかった調査ちょうさ結果けっかの原因げんいんだと考かんがえ、不当ふとうな評価ひょうかが行おこなわれる小しょう集団しゅうだんのAB型がたの人々ひとびとは苦痛くつうになっている可能かのう性せいが高たかい、とした。このことは、血液けつえき型がたと性格せいかくに関係かんけいがあるかどうかということではない。単たんに人数にんずう的てきに少数しょうすうというだけで、セクシャルハラスメントのような嫌いやがらせを受うけることにつながるため、ブラッドタイプ・ハラスメントという用語ようごを作つくり『現代げんだいのエスプリ』で発表はっぴょうした。加害かがい者しゃは、多数たすう派はの血液けつえき型がたであることが想像そうぞうされるとし、血液けつえき型がたを話題わだいにすることで、ある一部いちぶの人ひとに心理しんり的てきな苦痛くつうを味あじわわせている、とした。

心理しんり学者がくしゃの菊池きくち聡さとしは、1997年ねんに思想しそう雑誌ざっし『望もち星ぼし』でこの考かんがえを紹介しょうかいし、B型がたやAB型がたは、わがまま、自己じこ中ちゅう、二に重じゅう人格じんかくとよくないイメージで表現ひょうげんされ、これは人口じんこう比ひが少すくないことと関係かんけいがあり、こうした人ひとが血液けつえき型がたの話題わだいを持もち出だされた時ときの嫌いやな思おもいは、多数たすう派はにはなかなか理解りかいできないとしている。菊池きくち聡さとしは1998年ねんに文化ぶんか雑誌ざっし『月間げっかん百科ひゃっか』でも佐藤さとうによるAB型がたの評価ひょうかの研究けんきゅうを紹介しょうかいしながら、特とくにAB型がたによくない評価ひょうかが集中しゅうちゅうする少数しょうすう派は差別さべつの構造こうぞう的てきな差別さべつ性せいに言及げんきゅうし、ブラッドタイプ・ハラスメントという言葉ことばで取とり上あげられていると紹介しょうかいする、また講義こうぎでこのように紹介しょうかいしていくと最後さいごに学生がくせいが「ところで先生せんせいの血液けつえき型がたは？」と質問しつもんするので心理しんり学者がくしゃの戦たたかいは続つづく、と結むすんでいる。

サトウの1992年ねんの論文ろんぶん「血液けつえき型がた性格せいかく関連かんれん説せつがなぜ日常にちじょう生活せいかつに欠かかせない話題わだいとして定着ていちゃくしているのかを考察こうさつするために」や大村おおむら政男まさおの著作ちょさくのように血液けつえき型がた論ろんが持続じぞくする原因げんいんを考察こうさつした場合ばあい、血液けつえき型がたについての非ひ科学かがく的てきな考かんがえだが人間にんげん関係かんけいの構築こうちくを促うながす側面そくめんがあるため役立やくだつ面めんが多おおく、そのため受うけ入いれられている状況じょうきょうが続つづいているとしている。血液けつえき型がた論ろんの批判ひはん者しゃにとっても、肯定こうてい的てきにとらえた場合ばあいには人間にんげん関係かんけい構築こうちくという利点りてんが見出みいだされ、否定ひてい的てきにとらえた場合ばあいにはハラスメントや差別さべつを生うみ出だされるものとなる。話題わだいとして喚起かんきすることで「サトウがブラッドタイプハラスメントという少数しょうすう者しゃ差別さべつを作つくり出だしている」と批判ひはんを受うけたこともある。

報道ほうどう

英国えいこく放送ほうそう協会きょうかいは2012年ねんに、日本にっぽんの文化ぶんかとしての血液けつえき型がた性格せいかく分類ぶんるいを紹介しょうかいし、少数しょうすう派はのAB型がたとB型がたが悪わるく言いわれ差別さべつされることがあるため、日本にっぽんでは「ブラハラという言葉ことばまで存在そんざいしている」と報道ほうどうしている。

サトウタツヤは2008年ねんに『朝日新聞あさひしんぶんbe』への寄稿きこうでも、少数しょうすう派はの血液けつえき型がたの方ほうが不利ふりな性格せいかくが示しめされており、嫌きらわれないかと思おもった女性じょせいが彼氏かれしに嘘うその血液けつえき型がたを教おしえていた例れいを紹介しょうかいして、性格せいかくが悪わるくみられれば偏見へんけんや差別さべつにつながりかねないとした。

サトウは、2013年ねんの『読売新聞よみうりしんぶん』への寄稿きこうでも、少数しょうすう派はの血液けつえき型がたへの評価ひょうかが否定ひてい的てきになりがちで、ブラッドタイプハラスメントだと紹介しょうかいしている。サトウによる問題もんだい提起ていきとは異ことなるが、『読売新聞よみうりしんぶん』がブラッドタイプ・ハラスメントに言及げんきゅうし、1行ぎょうにも満みたない言及げんきゅうで、血液けつえき型がたによる人事じんじなどでの差別さべつに言及げんきゅうしたこともある。

詳細しょうさいは「血液けつえき型がた性格せいかく分類ぶんるい」を参照さんしょう

意識いしき調査ちょうさ

聖徳大学せいとくだいがく心理しんり学科がっか講師こうしの山岡やまおか重行しげゆきは血液けつえき型がたによるイメージを調査ちょうさし、1999年ねん、2005年ねん、2009年ねんの調査ちょうさでも多数たすう派はのA型がたとO型がたのイメージが良よいのに対たいし、少数しょうすう派はのB型がたとAB型がたは悪わるかったが、AB型がたのイメージは2009年ねんに向むけて改善かいぜんされていき、B型がたよりもよくなった。AB型がたのイメージが「変人へんじん」から「天才てんさい」へとい換いかえられてきたためで、これに対応たいおうして血液けつえき型がたと性格せいかくにまつわる不快ふかい体験たいけんの経験けいけん率りつは、AB型がたは1999年ねんに約やく50%だったが2009年ねんには約やく30%となった。いずれの年度ねんどでもB型がたは約やく50%、O型がたとAB型がたは20%前後ぜんごと変かわりがない。

2016年ねんに30超ちょうのハラスメントを800人にんにアンケートを実施じっししたところ、62%の人ひとがすべての種類しゅるいがハラスメントに該当がいとうすると答こたえたものの、これを除のぞいてハラスメントだと「思おもわないもの」の2位いにブラハラが該当がいとうした。

約やく2割わりがブラハラという言葉ことばを認知にんちしており、約やく1割わりが内容ないようを知しっており、約やく4割わりが経験けいけんありと回答かいとう、Timersが2015年ねんに男女だんじょ649人にんに実施じっしした「ブラハラに関かんする意識いしき調査ちょうさ」による。日本にっぽんの成人せいじん男女だんじょの中なかで「血液けつえき型がたを聞きかれると不快ふかい」との回答かいとうは15.7％で、この調査ちょうさはしらべぇ編集へんしゅう部ぶが2014年ねんから2015年ねんに成人せいじん1500名めいに対たいし実施じっしした。