区分行列(くぶんぎょうれつ)もしくはブロック行列 (block matrix) とは、いくつかの長方形のブロックに「区分け」された行列である。
例えば、4つの行列
を並べてできる 4 × 5 行列
を、A, B, C, D をブロックとする区分行列と呼ぶ。ブロックは小行列とも呼ばれる。行列をブロックに分けることを区分けという。
一般の区分けでは、行や列をそれぞれいくつに分割してもよい。Aij たちをブロックとする区分行列
が区分けの一般的な形である。ただし、同じ行にあるブロックの行数は等しくなければならず、同じ列にあるブロックの列数は等しくなければならない。Ai j が mi × nj 行列である場合、この形の区分けを (m1, …, mq; n1, …, nr) 型と呼ぶ。
ふたつの区分行列
の区分けがそれぞれ (l1, …, lp; m1, …, mq) 型、(m1, …, mq; n1, …, nr) 型であるとき、その積 AB の (l1, …, lp; n1, …, nr) 型の区分け
の各ブロックは
で与えられる。すなわち、区分行列の積は(適切に区分けされていれば)各ブロックをあたかも行列の成分のように見なして計算できる。
正方行列 P の区分け
において、主対角線上のブロック A1 1, A2 2, … Ar r がすべて正方行列であるとき、これを対称区分けという。特に、主対角線より下のブロックが全て零行列である場合、その行列式について
が成り立つ。よって、そのような P が正則であるための必要十分条件は、主対角線上のブロックが全て正則であることである。
2 × 2 の区分行列の逆行列
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本節では、A は正則行列、D は正方行列とし、区分行列
の逆行列を与える。
まず、行列式について、
が成り立つ。よって、P が正則であるための必要十分条件は、D − CA−1B も正則であることであり、このとき逆行列は
で与えられる。D も正則な場合は
と表される。さらに C が零行列 O に等しい場合は
となる。