たん因子いんし

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スミス標準ひょうじゅんがたから転送てんそう

代数だいすうがくにおいて、行列ぎょうれつたん因子いんし(たんいんし)とは、その「標準ひょうじゅんがた」をさだめる変量へんりょうのことである。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

D単項たんこうイデアルせいいき(たとえば整数せいすうたまき Z複素ふくそ係数けいすう一変いっぺんすう多項式たこうしきたまき C[x] などのユークリッドせいいき)とする。また Mn×m(D)D 成分せいぶんn×m 行列ぎょうれつ全体ぜんたいとし、とくm = n のときは、これを Mn(D)あらわすことにする。すべての行列ぎょうれつ A ∈ Mn×m(D) は、ある可逆かぎゃく行列ぎょうれつ P ∈ Mn(D)Q ∈ Mm(D)使つかってつぎかたち変形へんけいできる[1]

ここで e1, …, er ≠ 0 かつ e1D ⊇ … ⊇ erD である。このような e1, …, er単数たんすうばいのぞいて一意いちいさだまり[2]、これを行列ぎょうれつ Aたん因子いんしという。右辺うへん行列ぎょうれつAスミス標準ひょうじゅんがた Smith normal form[3] あるいはたん因子いんし標準ひょうじゅんがたばれる。 この行列ぎょうれつ P, Q行列ぎょうれつ基本きほん変形へんけいをしてもとめることができる[4]

性質せいしつ[編集へんしゅう]

Fからだとする。

  • 行列ぎょうれつ A ∈ Mn(F)最小さいしょう多項式たこうしき行列ぎょうれつ xIA ∈ Mn(F[x])最大さいだい次数じすうたん因子いんし(を規格きかくしたもの)と一致いっちする[6]

れい[編集へんしゅう]

D複素ふくそ係数けいすう一変いっぺんすう多項式たこうしきたまき C[x] とする。つぎ行列ぎょうれつ A ∈ M2(C[x])たん因子いんし可逆かぎゃく行列ぎょうれつ P, Q ∈ M2(C[x]) として以下いか行列ぎょうれつれば 1, (xλらむだ)2 とわかる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Jacobson 2009, Theorem 3.8.
  2. ^ Jacobson 2009, p. 185.
  3. ^ Hazewinkel, Gubareni & Kirichenko 2004, p. 181.
  4. ^ Jacobson 2009, p. 182.
  5. ^ 斎藤さいとう 1966, けい6.1.4, 定理ていり6.1.8.
  6. ^ 斎藤さいとう 1966, 定理ていり6.3.3.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • Hazewinkel, M.; Gubareni, N.; Kirichenko, V. V. (2004). Algebras, Rings and Modules. 1. Kluwer Academic Publishers. ISBN 1-4020-2690-0 
  • Jacobson, Nathan (2009). Basic Algebra I (Second ed.). Dover. ISBN 978-0-486-47189-1. https://books.google.co.jp/books?id=JHFpv0tKiBAC&lpg=PP1&hl=ja&pg=PA181#v=onepage&q&f=false 
  • 斎藤さいとう正彦まさひこ線型せんけい代数だいすう入門にゅうもん』(初版しょはん東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、1966ねんISBN 978-4-13-062001-7 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]