住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ

住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ
日本にっぽんの法令ほうれい
通称つうしょう・略称りゃくしょう	住居じゅうきょ表示法ひょうじほう
法令ほうれい番号ばんごう	昭和しょうわ37年ねん法律ほうりつ第だい119号ごう
種類しゅるい	行政ぎょうせい法ほう
効力こうりょく	現行げんこう法ほう
成立せいりつ	1962年ねん5月がつ6日にち
公布こうふ	1962年ねん5月がつ10日とおか
施行しこう	1962年ねん5月がつ10日とおか
主おもな内容ないよう	住居じゅうきょ表示ひょうじ
関連かんれん法令ほうれい	民法みんぽう、地方ちほう自治じち法ほう
条文じょうぶんリンク	e-Gov法令ほうれい検索けんさく
ウィキソース原文げんぶん

住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ（じゅうきょひょうじにかんするほうりつ、昭和しょうわ37年ねん法律ほうりつ第だい119号ごう）は、住居じゅうきょ表示ひょうじの制度せいどとその実施じっしについての措置そちを定さだめた日本にっぽんの法律ほうりつである。略称りゃくしょうは住居じゅうきょ表示法ひょうじほう（じゅうきょひょうじほう）。この制度せいどが実施じっしされる区域くいき内ないの住所じゅうしょは、町名ちょうめい・字じ名めいと地番ちばんではなく、町名ちょうめい・字じ名めいと街まち区く符号ふごうと住居じゅうきょ番号ばんごうまたは道路どうろの名称めいしょうと住居じゅうきょ番号ばんごうで表あらわされる。

概要がいよう

明治めいじ以降いこうの日本にっぽんでは元来がんらい、字じ名めいと地番ちばんによって住所じゅうしょを表示ひょうじするのが慣例かんれいとなっていた。しかし、区画くかく割わりが変更へんこうされたり、あるいは都市としが密集みっしゅうしてくると、下記かきのような不便ふべんをきたすこととなった。

• 町まちの区域くいきの境界きょうかいが複雑ふくざつで不ふ明確めいかくである。
• 同どう一いち市町村しちょうそん内ないに同一どういつ・類似るいじの町名ちょうめいがある。
• 土地とちの並ならぶ順序じゅんじょと地番ちばんの順序じゅんじょとが一致いっちしない。
• 同どう一いち地番ちばんの土地とちの上うえに多数たすうの家屋かおくがある。

こうした状況じょうきょうは、郵便ゆうびん物ものや宅配たくはい便びんの配達はいたつに支障ししょうをきたすなど、行政ぎょうせい事務じむや経済けいざい活動かつどうの障害しょうがいとなっていることが明あきらかになってきた。

本法ほんぽうは、このような状況じょうきょうを解消かいしょうするために制定せいていされたものであり、住居じゅうきょ表示ひょうじの方法ほうほう（第だい2条じょう）、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし手続てつづき（第だい3条じょう）、町まち・字じの区域くいきの合理ごうり化か（第だい5条じょう第だい1項こう）、住居じゅうきょ表示ひょうじの使用しよう義務ぎむ（第だい6条じょう）、街まち区く表示ひょうじ板ばんの設置せっち義務ぎむ・住居じゅうきょ番号ばんごうの表示ひょうじ義務ぎむ（第だい8条じょう）などを規定きていする。また、本法ほんぽうの施行しこう後ご、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに際さいして、従来じゅうらいの町名ちょうめいと縁えんもゆかりもない新しん町名ちょうめいの採用さいようや従来じゅうらいの町まち区域くいきの全面ぜんめん的てき改編かいへんが住民じゅうみんの反発はんぱつを招まねいた事例じれいがあったことから、町まち・字じの変更へんこう手続てつづきの特例とくれい（第だい5条じょうの2）、旧きゅう町名ちょうめい・字じ名めいの継承けいしょう措置そち（第だい9条じょうの2）などの規定きていが追加ついかされている。

逐条ちくじょう解説かいせつ

• 条文じょうぶん中ちゅうの漢かん数字すうじは算用さんよう数字すうじに改あらためた。
• 条文じょうぶん中ちゅうの「つ」のうち促音そくおんを表あらわすものは、小書こがきの「っ」に改あらためた。
• この節ふし中ちゅう『自治省じちしょう解説かいせつ』は自治省じちしょう振興しんこう課か編へん『住居じゅうきょ表示ひょうじ制度せいどの解説かいせつ（改訂かいてい版ばん）』（政経せいけい書院しょいん、1986年ねん）の「第だい1章しょう 住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ」（pp. 1–36）を指さす。

第だい1条じょう（目的もくてき）

この法律ほうりつは、合理ごうり的てきな住居じゅうきょ表示ひょうじの制度せいど及およびその実施じっしについて必要ひつような措置そちを定さだめ、もって公共こうきょうの福祉ふくしの増進ぞうしんに資しすることを目的もくてきとする。

第だい2条じょう（住居じゅうきょ表示ひょうじの原則げんそく）

市街地しがいちにある住所じゅうしょ若もしくは居所きょしょ又または事務所じむしょ、事業じぎょう所しょその他たこれらに類るいする施設しせつの所在しょざいする場所ばしょ（以下いか「住居じゅうきょ」という。）を表示ひょうじするには、都道府県とどうふけん、郡ぐん、市し（特別とくべつ区くを含ふくむ。以下いか同おなじ。）、区く（地方ちほう自治じち法ほう（昭和しょうわ22年ねん法律ほうりつ第だい67号ごう）第だい252条じょうの20の区くをいう。）及および町村ちょうそんの名称めいしょうを冠かんするほか、次つぎの各号かくごうのいずれかの方法ほうほうによるものとする。

一いち　街まち区く方式ほうしき　市町村しちょうそん内うちの町まち又または字じの名称めいしょう並ならびに当該とうがい町まち又または字じの区域くいきを道路どうろ、鉄道てつどう若もしくは軌道きどうの線路せんろその他たの恒久こうきゅう的てきな施設しせつ又または河川かせん、水路すいろ等とうによって区画くかくした場合ばあいにおけるその区画くかくされた地域ちいき（以下いか「街まち区く」という。）につけられる符号ふごう（以下いか「街まち区く符号ふごう」という。）及および当該とうがい街がい区内くないにある建物たてものその他たの工作こうさく物ぶつにつけられる住居じゅうきょ表示ひょうじのための番号ばんごう（以下いか「住居じゅうきょ番号ばんごう」という。）を用もちいて表示ひょうじする方法ほうほうをいう。

二に　道路どうろ方式ほうしき　市町村しちょうそん内ないの道路どうろの名称めいしょう及および当該とうがい道路どうろに接せっし、又または当該とうがい道路どうろに通つうずる通路つうろを有ゆうする建物たてものその他たの工作こうさく物ぶつにつけられる住居じゅうきょ番号ばんごうを用もちいて表示ひょうじする方法ほうほうをいう。

• 住所じゅうしょ、居所きょしょ：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、民法みんぽう（明治めいじ29年ねん4月がつ27日にち法律ほうりつ第だい89号ごう）の住所じゅうしょ、居所きょしょと同義どうぎ。会社かいしゃの住所じゅうしょは、その本店ほんてんの所在地しょざいちにあるものとされる（会社かいしゃ法ほう第だい4条じょう）。
• 事務所じむしょ、事業じぎょう所しょその他たこれらに類るいする施設しせつ：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、官公庁かんこうちょうの庁舎ちょうしゃ、会社かいしゃの営業えいぎょう所しょ・出張所しゅっちょうしょ・工場こうじょう、市町村しちょうそんの会館かいかん・公園こうえん、貨物かもつの配達はいたつ先さきとなり得える倉庫そうこを含ふくむ。
• 軌道きどう：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、軌道きどう法ほう（大正たいしょう10年ねん4月がつ14日にち法律ほうりつ第だい76号ごう）にいう軌道きどう。
• 恒久こうきゅう的てきな施設しせつ：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、例たとえばコンクリートで築造ちくぞうされた強固きょうこな塀へいを含ふくむ。
• 街まち区く符号ふごう：「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」では、数字すうじを用もちいることとされている。
• 市町村しちょうそんの合併がっぺいの特例とくれいに関かんする法律ほうりつ（平成へいせい16年ねん5月がつ26日にち法律ほうりつ第だい59号ごう）第だい25条じょうに特とく則そくがあり、市町村しちょうそん合併がっぺい時じに設置せっちされる地域ちいき自治じち区く内うちの住居じゅうきょ表示ひょうじには、その地域ちいき自治じち区くの名称めいしょうも冠かんする。

第だい3条じょう（住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし手続てつづき）

1　市町村しちょうそんは、前条ぜんじょうに規定きていする方法ほうほうによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしのため、議会ぎかいの議決ぎけつを経へて、市街地しがいちにつき、区域くいきを定さだめ、当該とうがい区域くいきにおける住居じゅうきょ表示ひょうじの方法ほうほうを定さだめなければならない。

2　市町村しちょうそんは、前項ぜんこうの規定きていにより区域くいき及およびその区域くいきにおける住居じゅうきょ表示ひょうじの方法ほうほうを定さだめたときは、当該とうがい区域くいきについて、街まち区く符号ふごう及および住居じゅうきょ番号ばんごう又または道路どうろの名称めいしょう及および住居じゅうきょ番号ばんごうをつけなければならない。

3　市町村しちょうそんは、前項ぜんこうの規定きていにより街まち区く符号ふごう及および住居じゅうきょ番号ばんごう又または道路どうろの名称めいしょう及および住居じゅうきょ番号ばんごうをつけたときは、住居じゅうきょ表示ひょうじを実施じっしすべき区域くいき及および期日きじつ並ならびに当該とうがい区域くいきにおける住居じゅうきょ表示ひょうじの方法ほうほう、街まち区く符号ふごう又または道路どうろの名称めいしょう及および住居じゅうきょ番号ばんごうを告示こくじするとともに、これらの事項じこうを関係かんけい人じん及および関係かんけい行政ぎょうせい機関きかんの長ちょうに通知つうちし、かつ、都道府県とどうふけん知事ちじに報告ほうこくしなければならない。

4　市町村しちょうそんは、第だい1項こう及および第だい2項こうに規定きていする措置そちを行おこなうに当あたっては、住民じゅうみんにその趣旨しゅしの周知しゅうち徹底てっていを図はかり、その理解りかいと協力きょうりょくを得えて行おこなうように努つとめなければならない。

• 市街地しがいち：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、地方ちほう自治じち法ほう（昭和しょうわ22年ねん4月がつ17日にち法律ほうりつ第だい67号ごう）第だい8条じょう第だい1項こう第だい2号ごうにいう市街地しがいちと同義どうぎで、「常識じょうしき上じょうの概念がいねんで、客観きゃっかん的てきに市街地しがいちという概念がいねんにあてはまる地域ちいき」を指さす。市町村しちょうそんの区域くいき内ないのどこが市街地しがいちの区域くいきに当あたるかの認定にんていは、その市町村しちょうそんに任まかされている。市街地しがいちの「一応いちおうの参考さんこう基準きじゅん」は国勢調査こくせいちょうさの人口じんこう集中しゅうちゅう地区ちくである。
• 議会ぎかいの議決ぎけつ：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、「地方ちほう自治じち法ほう第だい7条じょう及および第だい260条じょうの議決ぎけつとは異ことなり、議会ぎかいにおいても修正しゅうせい権けんはあるものと解げする」。第だい5条じょうの2第だい7項こうも参照さんしょう。
• 住居じゅうきょ表示ひょうじの方法ほうほう：第だい2条じょうの街まち区く方式ほうしきまたは道路どうろ方式ほうしき。
• 関係かんけい人じん：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、住居じゅうきょ表示ひょうじを実施じっしすべき区域くいきの住民じゅうみん、その区域くいきに建物たてものを所有しょゆうする人ひと、その区域くいきに支店してんなどを有ゆうする法人ほうじんの本店ほんてんなど。
• 関係かんけい行政ぎょうせい機関きかん：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、郵便ゆうびん局きょく、地方ちほう法務局ほうむきょく、警察けいさつ署しょ、消防署しょうぼうしょ、都道府県とどうふけんの地方ちほう事務所じむしょ、税務署ぜいむしょなど。

第だい4条じょう（条例じょうれいへの委任いにん）

前条ぜんじょう第だい3項こうの告示こくじに係かかる区域くいきについて当該とうがい告示こくじに掲かかげる日ひ以後いご街まち区く符号ふごう、道路どうろの名称めいしょう又または住居じゅうきょ番号ばんごうをつけ、変更へんこうし、又または廃止はいしする場合ばあいにおける手続てつづきその他た必要ひつような事項じこうは、市町村しちょうそんの条例じょうれいで定さだめる。

• 条例じょうれい：ひな形がたは、「住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする条例じょうれい準則じゅんそく（街まち区く方式ほうしき）」として定さだめられている。

第だい5条じょう（町まち又または字じの区域くいきの合理ごうり化か等とう）

1　街まち区く方式ほうしきによって住居じゅうきょを表示ひょうじしようとする場合ばあいにおいて、街まち区く方式ほうしきによることが不合理ふごうりな町まち又または字じの区域くいきがあるときは、できるだけその区域くいきを合理ごうり的てきなものにするように努つとめなければならない。 2　前項ぜんこうの規定きていにより新あらたな町まち又または字じの区域くいきを定さだめた場合ばあいには、当該とうがい町まち又または字じの名称めいしょうは、できるだけ従来じゅうらいの名称めいしょうに準拠じゅんきょして定さだめなければならない。これにより難かたいときは、できるだけ読よみやすく、かつ、簡明かんめいなものにしなければならない。

• 本条ほんじょう改正かいせい：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）による改正かいせい（第だい1次じ改正かいせい）
• 本条ほんじょう後段こうだん削除さくじょ、第だい2項こう追加ついか：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ60年ねん6月がつ14日にち法律ほうりつ第だい59号ごう）による改正かいせい（第だい2次じ改正かいせい）
• 街まち区く方式ほうしきによることが不合理ふごうりな町まち又または字じの区域くいき：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」に適合てきごうしないもの。
• 読よみやすく、かつ、簡明かんめいなもの：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、常用漢字じょうようかんじを用もちいる、他たの町名ちょうめいと紛まぎらわしいものを避さけるなど。

第だい5条じょうの2（町まち又または字じの区域くいきの新設しんせつ等とうの手続てつづきの特例とくれい）

1　市町村しちょうそん長ちょう（特別とくべつ区くの区長くちょうを含ふくむ。以下いか同おなじ。）は、第だい2条じょうに規定きていする方法ほうほうによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしのため、地方ちほう自治じち法ほう第だい260条じょう第だい1項こうの規定きていにより町まち若もしくは字じの区域くいきの新設しんせつ若もしくは廃止はいし又または町まち若もしくは字じの区域くいき若もしくはその名称めいしょうの変更へんこう（以下いか「町まち又または字じの区域くいきの新設しんせつ等とう」という。）について議会ぎかいの議決ぎけつを経へようとするときは、あらかじめ、その案あんを公示こうじしなければならない。

2　前項ぜんこうの規定きていにより公示こうじされた案あんに係かかる町まち又または字じの区域くいき内ないに住所じゅうしょを有ゆうする者もので市町村しちょうそんの議会ぎかいの議員ぎいん及および長ちょうの選挙せんきょ権けんを有ゆうするものは、その案あんに異議いぎがあるときは、政令せいれいの定さだめるところにより、市町村しちょうそん長ちょうに対たいし、前項ぜんこうの公示こうじの日ひから30日にちを経過けいかする日ひまでに、その50人にん以上いじょうの連署れんしょをもって、理由りゆうを附ふして、その案あんに対たいする変更へんこうの請求せいきゅうをすることができる。

3　市町村しちょうそん長ちょうは、前項ぜんこうの期間きかんが経過けいかするまでの間あいだは、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしのための町まち又または字じの区域くいきの新設しんせつ等とうの処分しょぶんに関かんする議案ぎあんを議会ぎかいに提出ていしゅつすることができない。

4　第だい2項こうの変更へんこうの請求せいきゅうがあったときは、市町村しちょうそん長ちょうは、直ただちに当該とうがい変更へんこうの請求せいきゅうの要旨ようしを公表こうひょうしなければならない。

5　市町村しちょうそん長ちょうは、第だい2項こうの変更へんこうの請求せいきゅうがあった場合ばあいにおいて、当該とうがい変更へんこうの請求せいきゅうに係かかる町まち又または字じの区域くいきの新設しんせつ等とうの処分しょぶんに関かんする議案ぎあんを議会ぎかいに提出ていしゅつするときは、当該とうがい変更へんこうの請求せいきゅう書しょを添そえてしなければならない。

6　市町村しちょうそんの議会ぎかいは、第だい2項こうの変更へんこうの請求せいきゅうに係かかる町まち又または字じの区域くいきの新設しんせつ等とうの処分しょぶんに関かんする議案ぎあんについては、あらかじめ、公聴こうちょう会かいを開ひらき、当該とうがい処分しょぶんに係かかる町まち又または字じの区域くいき内ないに住所じゅうしょを有ゆうする者ものから意見いけんをきいた後のちでなければ、当該とうがい議案ぎあんの議決ぎけつをすることができない。

7　市町村しちょうそんの議会ぎかいは、第だい2項こうの変更へんこうの請求せいきゅうに係かかる町まち又または字じの区域くいきの新設しんせつ等とうの処分しょぶんに関かんする議案ぎあんについて、修正しゅうせいしてこれを議決ぎけつすることを妨さまたげない。

8　第だい2項こうの市町村しちょうそんの議会ぎかいの議員ぎいん及および長ちょうの選挙せんきょ権けんを有ゆうする者ものとは、第だい1項こうの公示こうじの日ひにおいて選挙せんきょ人じん名簿めいぼに登録とうろくされている者ものをいう。

• 地方ちほう自治じち法ほう第だい260条じょう第だい1項こうの規定きてい：「市町村しちょうそん長ちょうは、政令せいれいで特別とくべつの定さだめをする場合ばあいを除のぞくほか、市町村しちょうそんの区域くいき内ないの町まち若もしくは字じの区域くいきを新あらたに画かくし若もしくはこれを廃止はいしし、又または町まち若もしくは字じの区域くいき若もしくはその名称めいしょうを変更へんこうしようとするときは、当該とうがい市町村しちょうそんの議会ぎかいの議決ぎけつを経へて定さだめなければならない。」
• 本条ほんじょう追加ついか：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）による改正かいせい（第だい1次じ改正かいせい）
• 政令せいれい：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ施行しこう令れい（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか政令せいれい第だい246号ごう）

第だい6条じょう（住居じゅうきょ表示ひょうじ義務ぎむ）

1　何人なんにんも、住居じゅうきょの表示ひょうじについては、第だい3条じょう第だい3項こうの告示こくじに掲かかげる日ひ以後いごは、当該とうがい告示こくじに係かかる区域くいきについて、同どう条じょう第だい2項こうの規定きていによりつけられた街まち区く符号ふごう及および住居じゅうきょ番号ばんごう又または道路どうろの名称めいしょう及および住居じゅうきょ番号ばんごうを用もちいるように努つとめなければならない。 2　国くに及および地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの機関きかんは、住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょう、選挙せんきょ人じん名簿めいぼ、法人ほうじん登記とうき簿ぼその他たの公おおやけ簿ぼに住居じゅうきょを表示ひょうじするときは、第だい3条じょう第だい3項こうの告示こくじに掲かかげる日ひ以後いごは、当該とうがい告示こくじに係かかる区域くいきについて、他たの法令ほうれいに特別とくべつの定さだめがある場合ばあいを除のぞくほか、同どう条じょう第だい2項こうの規定きていによりつけられた街まち区く符号ふごう及および住居じゅうきょ番号ばんごう又または道路どうろの名称めいしょう及および住居じゅうきょ番号ばんごうを用もちいなければならない。

• 第だい2項こう一部いちぶ改正かいせい：住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょう法ほう（昭和しょうわ42年ねん7月がつ25日にち法律ほうりつ第だい81号ごう）附則ふそく第だい16条じょうによる改正かいせい
• 住居じゅうきょの表示ひょうじ：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、「日常にちじょう生活せいかつで使用しようする住居じゅうきょの表示ひょうじ」の全すべて。郵便ゆうびんの宛先あてさき、法令ほうれいに基もとづく申請しんせい書類しょるい、広告こうこく、名刺めいしなど。
• 用もちいるように努つとめなければならない：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、「国くにが何人なんにんに対たいしても、この住居じゅうきょ表示ひょうじの義務ぎむを強つよく要請ようせいしているという意味いみ」で、努力どりょく義務ぎむのような弱よわい意味いみではない。「用もちいなければならない」ではなくこのような表現ひょうげんとなっているのは、「たまたま知しらないで契約けいやく行為こうい等とうの法律ほうりつ行為こういに旧きゅう表示ひょうじが使つかわれた場合ばあい、直ただちにそのことをもってして本来ほんらいの法律ほうりつ行為こういについて違法いほう無効むこうの問題もんだいが、生しょうじないよう留意りゅういしたまでのこと」。
• 公おおやけ簿ぼ：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、「住民じゅうみんに対たいする行政ぎょうせい上じょう公おおやけに備そなえる必要ひつようのある公式こうしきの簿ぼ冊さつ」。条文じょうぶんに例示れいじされているもののほか、固定こてい資産しさん課税かぜい台帳だいちょうなど。「住居じゅうきょ表示ひょうじが実施じっしされた時期じきにおいて、現在げんざい行政ぎょうせい目的もくてきを持もって使用しようされていない帳簿ちょうぼ」は含ふくまれない。
• 『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、第だい2項こうは、「公おおやけ簿ぼにおける住居じゅうきょ表示ひょうじの方法ほうほうを一定いっていにする」意義いぎを有ゆうする。
• 第だい2項こうに関連かんれんして、法務省ほうむしょう民事みんじ局長きょくちょう通達つうたつによれば、戸籍こせきについて「本籍ほんせきと住所じゅうしょとは関係かんけいがないので、住居じゅうきょ表示法ひょうじほうに基もとづく住居じゅうきょ表示ひょうじの方法ほうほうを実施じっしした後のちにおいても、本籍ほんせき欄らんの記載きさいについては更正こうせいの手続てつづきを要ようしない」。
• 戸籍こせき法ほう施行しこう規則きそくの一部いちぶを改正かいせいする省令しょうれい（昭和しょうわ51年ねん11月5日にち法務省ほうむしょう令れい第だい48号ごう）によって戸籍こせき法ほう施行しこう規則きそく（昭和しょうわ22年ねん12月29日にち司法省しほうしょう令れい第だい94号ごう）が改正かいせいされ、1976年ねん（昭和しょうわ51年ねん）12月1日にち以降いこう、本籍ほんせきは地番ちばん号ごうのかわりに街まち区く符号ふごうで表示ひょうじすることもできるようになった。法務省ほうむしょう民事みんじ局長きょくちょう通達つうたつによれば、地番ちばん号ごうから街まち区く符号ふごうへの変更へんこうは、転籍てんせきの届出とどけでに基もとづく転籍てんせきによって行おこなわれる。

第だい7条じょう（手数料てすうりょうその他たの徴収ちょうしゅう金きんに関かんする特例とくれい）

第だい3条じょう第だい1項こう及および第だい2項こうの規定きていによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし並ならびに第だい4条じょうの規定きていによる街まち区く符号ふごう、道路どうろの名称めいしょう又または住居じゅうきょ番号ばんごうの設定せってい、変更へんこう又または廃止はいしに伴ともなう公おおやけ簿ぼ又または公証こうしょう書類しょるいの記載きさい事項じこうで住居じゅうきょの表示ひょうじに係かかるものの変更へんこうの申請しんせいについては、法令ほうれいの規定きていにより当該とうがい申請しんせいをする者ものの負担ふたんとされている手数料てすうりょうその他たの徴収ちょうしゅう金きんは、当該とうがい法令ほうれいの規定きていにかかわらず、徴収ちょうしゅうしない。

• 本条ほんじょう一部いちぶ改正かいせい：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）による改正かいせい（第だい1次じ改正かいせい）
• 本条ほんじょうに関連かんれんして、登録とうろく免許めんきょ税法ぜいほう（昭和しょうわ42年ねん6月がつ12日にち法律ほうりつ第だい35号ごう）第だい5条じょうでは、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしまたは変更へんこうに伴ともなう登記とうき事項じこうまたは登録とうろく事項じこうの変更へんこうの登記とうきまたは登録とうろくは非課税ひかぜいとされている。

第だい8条じょう（表示ひょうじ板ばんの設置せっち等とう）

1　市町村しちょうそんは、第だい3条じょう第だい3項こうの告示こくじに係かかる区域くいきの見みやすい場所ばしょに、当該とうがい区域くいき内ないの町まち若もしくは字じの名称めいしょう及および街まち区く符号ふごう又または道路どうろの名称めいしょうを記載きさいした表示ひょうじ板ばんを設もうけなければならない。 2　前項ぜんこうの区域くいきにある建物たてものその他たの工作こうさく物ぶつの所有しょゆう者しゃ、管理かんり者しゃ又または占有せんゆう者しゃは、市町村しちょうそんの条例じょうれいで定さだめるところにより、見みやすい場所ばしょに、住居じゅうきょ番号ばんごうを表示ひょうじしなければならない。

• 条例じょうれい：ひな形がたは、「住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする条例じょうれい準則じゅんそく（街まち区く方式ほうしき）」として定さだめられている。
• 第だい1項こうの表示ひょうじ板ばんは、街まち区く方式ほうしきの場合ばあい、「街まち区く表示ひょうじ板ばん」という。
• 第だい2項こうの表示ひょうじのための板いたは、「住居じゅうきょ番号ばんごう表示ひょうじ板ばん」という。
• 街まち区く表示ひょうじ板ばんと住居じゅうきょ番号ばんごう表示ひょうじ板ばんの設置せっち場所ばしょ、寸法すんぽう、表記ひょうき、色彩しきさいなどは、「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」に定さだめられている。

第だい9条じょう（住居じゅうきょ表示ひょうじ台帳だいちょう）

1　市町村しちょうそんは、第だい3条じょう第だい3項こうの告示こくじに係かかる区域くいきについて、当該とうがい区域くいきの住居じゅうきょ表示ひょうじ台帳だいちょうを備そなえなければならない。 2　市町村しちょうそんは、関係かんけい人じんから請求せいきゅうがあったときは、前項ぜんこうの住居じゅうきょ表示ひょうじ台帳だいちょう又またはその写うつしを閲覧えつらんさせなければならない。

• 関係かんけい人じん：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、「住居じゅうきょ表示ひょうじ実施じっし区域くいき内ないの住民じゅうみんに限かぎらず、もっと広ひろく解かいして差支さしつかえない」。
• 「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」では、住居じゅうきょ表示ひょうじ台帳だいちょうは、縮尺しゅくしゃく3,000分ぶんの1又または2,500分ぶんの1の都市とし計画けいかく図ずを基礎きそとして縮尺しゅくしゃく500分ぶんの1で街まち区くごとに作成さくせいすることとされている。
• 住居じゅうきょ表示ひょうじ台帳だいちょうは、電磁でんじ的てき記録きろくにより作成さくせいしてもよいことになった。

第だい9条じょうの2（旧きゅう町名ちょうめい等とうの継承けいしょう）

市町村しちょうそんは、由緒ゆいしょある町まち又または字じの名称めいしょうで住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに伴ともない変更へんこうされたものについて、その継承けいしょうを図はかるため、標識ひょうしきの設置せっち、資料しりょうの収集しゅうしゅうその他た必要ひつような措置そちを講こうずるように努つとめなければならない。

• 本条ほんじょう追加ついか：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ60年ねん6月がつ14日にち法律ほうりつ第だい59号ごう）による改正かいせい（第だい2次じ改正かいせい）
• 本条ほんじょうは、改正かいせい法ほうの施行しこう日び（1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）6月がつ14日にち）より前まえに住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに伴ともない変更へんこうされた町名ちょうめい・字じ名めいにも適用てきようされる。

第だい10条じょう（国くに又または都道府県とどうふけんの指導しどう等とう）

1　国くに又または都道府県とどうふけんは、この法律ほうりつの円滑えんかつな実施じっしのため、市町村しちょうそんに対たいし、この法律ほうりつの規定きていにより市町村しちょうそんが処理しょりする事務じむについて、必要ひつような指導しどうを行おこなうものとする。

2　総務そうむ大臣だいじん又または都道府県とどうふけん知事ちじは、この法律ほうりつの円滑えんかつな実施じっしのため必要ひつようがあると認みとめるときは、市町村しちょうそんに対たいし、第だい3条じょう第だい1項こう及および第だい2項こうに規定きていする措置そちをとるべきことを勧告かんこくすることができる。

3　総務そうむ大臣だいじん又または都道府県とどうふけん知事ちじは、この法律ほうりつの円滑えんかつな実施じっしのため必要ひつようがあると認みとめるときは、市町村しちょうそんに対たいし、第だい3条じょう、第だい5条じょう、第だい5条じょうの2及および第だい8条じょうから前条ぜんじょうまでの規定きていにより市町村しちょうそんが処理しょりする事務じむについて、報告ほうこくを求もとめ、又または技術ぎじゅつ的てきな援助えんじょ若もしくは助言じょげんをすることができる。

4　総務そうむ大臣だいじんは、この法律ほうりつの施行しこうに関かんし必要ひつようがあると認みとめるときは、都道府県とどうふけんに対たいし、報告ほうこくを求もとめ、又または援助えんじょ若もしくは助言じょげんをすることができる。

• 第だい2項こう一部いちぶ改正かいせい、第だい3項こう追加ついか：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）による改正かいせい（第だい1次じ改正かいせい）
• 見出みだし改正かいせい、第だい3項こう一部いちぶ改正かいせい、各項かくこう1項こうずつ繰下くりさげ、第だい1項こう追加ついか：行政ぎょうせい事務じむの簡素かんそ合理ごうり化か及および整理せいりに関かんする法律ほうりつ（昭和しょうわ58年ねん12月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい83号ごう）第だい51条じょうによる改正かいせい
• 第だい3項こう一部いちぶ改正かいせい：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ60年ねん6月がつ14日にち法律ほうりつ第だい59号ごう）による改正かいせい（第だい2次じ改正かいせい）
• 第だい2項こう、第だい3項こう、第だい4項こう一部いちぶ改正かいせい：中央ちゅうおう省庁しょうちょう等とう改革かいかく関係かんけい法ほう施行しこう法ほう（平成へいせい11年ねん12月22日にち法律ほうりつ第だい160号ごう）第だい227条じょうによる改正かいせい（「自治じち大臣だいじん」を「総務そうむ大臣だいじん」に改あらためる。）
• 第だい2項こうの必要ひつようがあると認みとめるとき：『自治省じちしょう解説かいせつ』によれば、「市街地しがいちである区域くいきで地番ちばんが混乱こんらんしそのため人ひとの訪問ほうもん、集金しゅうきん、集配しゅうはいの業務ぎょうむ、諸種しょしゅの行政ぎょうせい事務じむの遂行すいこう等とうに障害しょうがいが生しょうじている区域くいきについて、市町村しちょうそんが正当せいとうな理由りゆうがないまま住居じゅうきょ表示ひょうじを実施じっしせず、日常にちじょう生活せいかつ上じょうの障害しょうがいを放置ほうちしている場合ばあいなど」。
• 都道府県とどうふけんから市町村しちょうそんへの本条ほんじょうに基もとづく指導しどうなどの事務じむの区分くぶんは次つぎのとおり。
  • 1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）12月9日にちまで：機関きかん委任いにん事務じむ（都道府県とどうふけん知事ちじが国くにの機関きかんとして行おこなう事務じむ）
  • 1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）12月がつ10日とおかから2000年ねん（平成へいせい12年ねん）3月がつ31日にちまで：団体だんたい委任いにん事務じむ（国くにから都道府県とどうふけんに委任いにんされた事務じむ）
  • 2000年ねん（平成へいせい12年ねん）4月がつ1日にちから：自治じち事務じむ（都道府県とどうふけんの事務じむ）

第だい11条じょう（国くに及および都道府県とどうふけんの機関きかん等とうの協力きょうりょく）

国くに及および都道府県とどうふけんの機関きかん並ならびに公共こうきょう的てき団体だんたいは、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしが円滑えんかつに行おこなわれるよう市町村しちょうそんに協力きょうりょくしなければならない。

第だい12条じょう（委任いにん規定きてい）

この法律ほうりつの規定きていによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしについて必要ひつような技術ぎじゅつ的てき基準きじゅんは、総務そうむ大臣だいじんが定さだめる。

• 本条ほんじょう一部いちぶ改正かいせい：中央ちゅうおう省庁しょうちょう等とう改革かいかく関係かんけい法ほう施行しこう法ほう（平成へいせい11年ねん12月22日にち法律ほうりつ第だい160号ごう）第だい227条じょうによる改正かいせい（「自治じち大臣だいじん」を「総務そうむ大臣だいじん」に改あらためる。）
• 本条ほんじょうに基もとづいて、「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」が定さだめられている。
• 道路どうろ方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじのための基準きじゅんは定さだめられていない。

第だい13条じょう（政令せいれいへの委任いにん）

この法律ほうりつの施行しこうに関かんし必要ひつような事項じこうは、政令せいれいで定さだめる。

• 本条ほんじょう追加ついか：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）による改正かいせい（第だい1次じ改正かいせい）
• 政令せいれい：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ施行しこう令れい（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか政令せいれい第だい246号ごう）

附則ふそく（抄しょう）

（施行しこう期日きじつ）

1　この法律ほうりつは、公布こうふの日ひから施行しこうする。

（住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに関かんする経過けいか規定きてい）
2　市町村しちょうそんは、従前じゅうぜんのならわしによる住居じゅうきょの表示ひょうじが住民じゅうみんの日常にちじょう生活せいかつに不便ふべんを与あたえている市街地しがいちである区域くいきについて、すみやかにこの法律ほうりつの規定きていによる住居じゅうきょ表示ひょうじを実施じっしするように努つとめなければならない。

（公おおやけ簿ぼの整理せいり）

3　第だい3条じょう第だい1項こう及および第だい2項こうの規定きていによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに伴ともなう第だい6条じょう第だい2項こうの公おおやけ簿ぼの記載きさい事項じこうの変更へんこうについての必要ひつような手続てつづきは、主務しゅむ省令しょうれいで定さだめる。

• 第だい2項こう改正かいせい：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）による改正かいせい（第だい1次じ改正かいせい）
• 公布こうふの日ひ：1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）5月がつ10日とおか

沿革えんかく

年表ねんぴょう

• 制定せいてい：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ（昭和しょうわ37年ねん5月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい119号ごう）
  • 法律ほうりつ案あんは第だい40回かい国会こっかいに内閣ないかくから提出ていしゅつ。参議院さんぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいに付託ふたく。1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）3月がつ6日にち、委員いいん会かいで趣旨しゅし説明せつめい。13日にち・15日にち、委員いいん会かいで審議しんぎ。20日はつか、委員いいん会かいに参考さんこう人じん招致しょうち。同日どうじつ委員いいん会かいで可決かけつ。23日にち、参議院さんぎいん本ほん会議かいぎで可決かけつ。4月6日にち、衆議院しゅうぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいで趣旨しゅし説明せつめい。4月24日にち・5月6日にち、委員いいん会かいで審議しんぎ。5月6日にち、衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎで可決かけつ、成立せいりつ。
  • 1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）5月がつ10日とおか、公布こうふ・即日そくじつ施行しこう。
• 改正かいせい（第だい1次じ改正かいせい）：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）による改正かいせい
  • 法律ほうりつ案あんは、1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）7月がつ6日にち、第だい55回かい国会こっかいに衆議院しゅうぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいから提出ていしゅつ。同日どうじつ、衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎで可決かけつ。11日にち、参議院さんぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいで可決かけつ。12日にち、参議院さんぎいん本ほん会議かいぎで可決かけつ、成立せいりつ。
  • 1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）8月がつ10日とおか、公布こうふ・即日そくじつ施行しこう。
• 改正かいせい：住民じゅうみん基本きほん台帳だいちょう法ほう（昭和しょうわ42年ねん7月がつ25日にち法律ほうりつ第だい81号ごう）附則ふそく第だい16条じょうによる改正かいせい
  • 1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）11月がつ10日とおか、施行しこう。
• 改正かいせい：行政ぎょうせい事務じむの簡素かんそ合理ごうり化か及および整理せいりに関かんする法律ほうりつ（昭和しょうわ58年ねん12月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい83号ごう）第だい51条じょうによる改正かいせい
  • 1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）12月がつ10日とおか、施行しこう。
• 改正かいせい（第だい2次じ改正かいせい）：住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ60年ねん6月がつ14日にち法律ほうりつ第だい59号ごう）による改正かいせい
  • 法律ほうりつ案あんは、1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）5月がつ30日にち、第だい102回かい国会こっかいに衆議院しゅうぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいから提出ていしゅつ。31日にち、衆議院しゅうぎいん本ほん会議かいぎで可決かけつ。6月6日にち、参議院さんぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいで可決かけつ。7日にち、参議院さんぎいん本ほん会議かいぎで可決かけつ、成立せいりつ。
  • 1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）6月がつ14日にち、公布こうふ・即日そくじつ施行しこう。
• 改正かいせい：中央ちゅうおう省庁しょうちょう等とう改革かいかく関係かんけい法ほう施行しこう法ほう（平成へいせい11年ねん12月22日にち法律ほうりつ第だい160号ごう）第だい227条じょうによる改正かいせい
  • 2001年ねん（平成へいせい13年ねん）1月がつ6日にち、施行しこう。

制定せいてい

住居じゅうきょ表示法ひょうじほう制定せいていの経緯けいいは次つぎのとおりである。

江戸えど時代じだい以前いぜんの検地けんちでも、土地とちの区画くかくごとに番号ばんごうを付つけることがあったようだが、その番号ばんごうを住所じゅうしょの表示ひょうじに利用りようすることはなかったようである。明治めいじ初期しょきに発行はっこうされた地ち券けんでも、持主もちぬしの住所じゅうしょは「何なに国こく何なん郡ぐん何なん村むら字じ何なん」と記載きさいされており、住所じゅうしょに地番ちばんは使つかわれていない。1860年ねん9月がつ29日にち（万延まんえん元年がんねん8月がつ15日にち）に江戸えど幕府ばくふの代表だいひょうと欧米おうべいの領事りょうじとが結むすんだ「長崎ながさき地所じしょ規則きそく」では、外国がいこく人じんが長崎ながさきの外国がいこく人じん居留きょりゅう地ちの土地とちを借かり受うけるときは、土地とちの番号ばんごうを彫刻ちょうこくした境界きょうかい石せきが設置せっちされることになっていたので、江戸えど時代じだいに地番ちばんが一切いっさいなかったわけではない。

1871年ねん5月がつ22日にち（明治めいじ4年ねん4月がつ4日にち）に布告ふこくされた戸籍こせき法ほうでは、住所じゅうしょは番号ばんごうによって「何なん番ばん屋敷やしき」と記しるすことが定さだめられた。1872年ねん2月がつ21日にち（明治めいじ5年ねん1月がつ13日にち）の太政官だじょうかん布告ふこくには、戸籍こせきの番号ばんごうには土地とちごとに付ふす番号ばんごうを用もちいるが、戸とごとに番号ばんごうを付ふしても構かまわない、という意味いみに解釈かいしゃくできる規定きていがある。

1886年ねん（明治めいじ19年ねん）には、戸籍こせき法ほうの細則さいそくを定さだめる、という建前たてまえで、内務省ないむしょう令れいと内務省ないむしょう訓令くんれいにより、戸籍こせき制度せいどの実質じっしつ的てき改正かいせいが行おこなわれた。これにより、戸籍こせきの住所じゅうしょ（現代げんだいでいう本籍ほんせきでもあり、住民じゅうみん票ひょうの住所じゅうしょでもある）には地番ちばんが採用さいようされた。地方ちほうによっては、この改正かいせい後ごもなお、戸籍こせきの住所じゅうしょに屋敷やしき番ばんが使つかわれた。実際じっさい、戸籍こせきの記載きさいには、土地とちの番号ばんごう（何なん番地ばんち）、戸と番ばん（何なん番ばん戸と）、屋敷やしきごとの番号ばんごう（何なん番ばん屋敷やしき）のいずれかが用もちいられ、地方ちほうによりまちまちであったという。

1898年ねん（明治めいじ31年ねん）、戸籍こせき法ほうが全面ぜんめん改正かいせいされた。この戸籍こせき法ほうでは、戸籍こせきは地番ちばんの順じゅんに綴つづって帳簿ちょうぼとすること、地番ちばんの変更へんこうがあったときは戸籍こせきの地番ちばんの記載きさいは更正こうせいされたものとみなすこと、が定さだめられた。このような経緯けいいで、明治めいじ初期しょきに登場とうじょうした戸と番ばん、屋敷やしき番ばんは廃すたれ、日本にっぽんでは町名ちょうめい・字じ名めいと地番ちばんとの組合くみあわせで住所じゅうしょが表示ひょうじされるようになった。

その後ご、日本にっぽんの都市としでは、町名ちょうめい・地番ちばんの混乱こんらんにより、郵便ゆうびん物ぶつの配達はいたつが困難こんなんであるなどの社会しゃかい的てきな問題もんだいが生しょうじた。昭和しょうわ初期しょき、藤井ふじい崇たかし治ちの発案はつあんで逓信ていしん省しょうでは「郵便ゆうびん戸と番ばん」の研究けんきゅうが行おこなわれた。藤井ふじいは、町名ちょうめい・地番ちばんの混乱こんらんのために日本にっぽんの郵便ゆうびん配達はいたつが効率こうりつ的てきでないことを指摘してきし、六ろく大都市だいとしとその周辺しゅうへんでは街路がいろごとに整然せいぜんと付つけた戸と番ばんを郵便ゆうびんの宛先あてさきに使つかうべきであると論ろんじた。東京電力とうきょうでんりょくは、検針けんしん・集金しゅうきんのために地番ちばんがあてにならないとして、独自どくじの「画が標しるべ制度せいど」を考案こうあんし、1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）から使用しようした。画が標しるべ制度せいどは、航空こうくう写真しゃしんに基もとづいて、街まち区くに番号ばんごうを付つけ、街まち区くごとに家々いえいえに戸と番ばんを付つけるというものであった。1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）3月がつ、郵政省ゆうせいしょうなど多数たすうの団体だんたいによって番地ばんち整理せいり促進そくしん協議きょうぎ会かいが結成けっせいされた。同年どうねん12月がつ15日にち、第だい33回かい国会こっかいで、参議院さんぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいは、町名ちょうめい地番ちばんの混乱こんらんに対たいする対策たいさくを政府せいふに求もとめる決議けつぎをした。

自治省じちしょうは、当初とうしょ、地番ちばんを「ブロック地番ちばん方式ほうしき」で整理せいりすることにより地番ちばんの混乱こんらんが解消かいしょうできると考かんがえた。そこで、町名ちょうめいを所管しょかんする自治省じちしょうと地番ちばんを所管しょかんする法務省ほうむしょうは、1960年度ねんど（昭和しょうわ35年度ねんど）、荒川あらかわ区く、川越かわごえ市し、塩竈しおがま市しを町名ちょうめい地番ちばん整理せいり実験じっけん都市としに指定していし、その一部いちぶ区域くいきで町名ちょうめい地番ちばん整理せいりを実施じっしした。実験じっけんの結果けっか、町まち界かい・町名ちょうめいの整理せいりはともかく、地番ちばんの付つけ替がえは、測量そくりょうが必要ひつようになる場合ばあいもあり、時間じかんと経費けいひを要ようすることが明あきらかになった。法務省ほうむしょう民事局みんじきょく第だい三さん課長かちょう香川かがわ保ほ一いちは、当時とうじ、「いわゆる番地ばんちが乱みだれていることは事実じじつだが、これをいじるなら土地とちを再さい測量そくりょうしなければ困こまる。しかし、現状げんじょうからすると巨額きょがくな費用ひようがかかるから不可能ふかのう。」と述のべた。法務省ほうむしょうの登記とうき所しょは、当時とうじ、土地とち台帳だいちょう・家屋かおく台帳だいちょうを不動産ふどうさん登記とうき簿ぼに統合とうごうする作業さぎょうに忙いそがしく、地番ちばん整理せいりに取とり組くむ余裕よゆうがなかった。

1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）6月がつ、総理府そうりふは自治省じちしょうの依頼いらいにより町名ちょうめい地番ちばんの整理せいりに関かんする世論せろん調査ちょうさを実施じっしした。調査ちょうさは、人口じんこう20万まん人にん以上いじょうの市しの世帯せたい主ぬし3,000人にんを対象たいしょうに行おこなわれた。回答かいとう者しゃ中ちゅうの56%が「現在げんざいの町名ちょうめい地番ちばんは一般いっぱんにわかりにくという印象いんしょう」と答こたえた。町まち丁ひのとの境界きょうかいについては、「道路どうろ、河川かせんなどを基準きじゅんとしてきめた方ほうがよい」と回答かいとうした人ひとが61%、「商店しょうてん会かい、自治じち会かい、町内ちょうない会かい等とうを基準きじゅんとした方ほうがよい」と回答かいとうした人ひとが16%であった。過去かこ10年間ねんかんに町名ちょうめい地番ちばん整理せいりを経験けいけんした回答かいとう者しゃのうち56%が「よかった」と答こたえ、3%が「悪わるかった」と答こたえた。しかしながら、回答かいとう者しゃ自身じしんが当時とうじ居住きょじゅうしていた町まち丁ひのとの町名ちょうめいを変かえた方ほうがよいと答こたえた人ひとは4%にすぎず、83%は「今いまのままでよい」と答こたえた。1961年度ねんど（昭和しょうわ36年度ねんど）にはまた、福岡ふくおか市し、甲府こうふ市し、伊勢崎いせざき市しなど5市しが実験じっけん都市としに指定していされ、町名ちょうめい地番ちばん整理せいりが行おこなわれ、また、住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする実験じっけんが行おこなわれた。

1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）5月がつ、町名ちょうめい地番ちばん制度せいどについての根本こんぽん方針ほうしんについて審議しんぎさせるため、総理府そうりふに「町名ちょうめい地番ちばん制度せいど審議しんぎ会かい」が設置せっちされた。この審議しんぎ会かいの委員いいんは次つぎの15名めいであった：青木あおき均一きんいつ（東京電力とうきょうでんりょく社長しゃちょう）、大野木おおのき克彦かつひこ（東京とうきょう市政しせい調査ちょうさ会かい理事りじ）、荻田おぎた保たもつ（地方ちほう財政ざいせい審議しんぎ会かい委員いいん）、辰野たつの隆たかし（東京大学とうきょうだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ）、戸塚とつか文子ふみこ（評論ひょうろん家か）、牧田まきた弥太郎やたろう（弁護士べんごし）、松方まつかた三郎さぶろう（共同通信社きょうどうつうしんしゃ顧問こもん）、森もり昌也まさや（島田しまだ市し長ちょう）、川島かわしま武たけし宜よろし（東京大学とうきょうだいがく教授きょうじゅ）、高山たかやま英華えいか（東京大学とうきょうだいがく教授きょうじゅ）、田上たうえ穣治じょうじ（一橋大学ひとつばしだいがく教授きょうじゅ）、馬場ばば義よし続つづけ（法務ほうむ事務次官じむじかん）、石田いしだ正ただし（大蔵おおくら事務次官じむじかん）、加藤かとう桂一けいいち（郵政ゆうせい事務次官じむじかん）、小林こばやし與三次よそじ（自治じち事務次官じむじかん）。審議しんぎ会かいの第だい4回かい総会そうかいでは、東京電力とうきょうでんりょくの営業えいぎょう課長かちょうが画が標しるべ制度せいどの説明せつめいをした。

そして、審議しんぎ会かいは、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんからの諮問しもんを受うけて、1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）11月に「町名ちょうめい地番ちばん制度せいどの改善かいぜんに関かんする答申とうしん」を出だした。その答申とうしんでは、財産ざいさん番号ばんごうである地番ちばんの整理せいりには困難こんなんと多額たがくの経費けいひを要ようするので、市街地しがいちの住居じゅうきょ表示ひょうじのためには、地番ちばんではなく、諸しょ外国がいこくのハウスナンバーのような住居じゅうきょ表示ひょうじ自体じたいの目的もくてきのための番号ばんごうを採用さいようすべきであるとされた。

この答申とうしんを受うけて、住居じゅうきょ表示ひょうじ法案ほうあんが1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）の第だい40回かい国会こっかいに内閣ないかくから提出ていしゅつされ、成立せいりつした。参議院さんぎいん本ほん会議かいぎでは、住居じゅうきょ表示ひょうじ事業じぎょうについて「住民じゅうみんの理解りかいと協力きょうりょくを得えるに遺憾いかんなさを期きすること」、「出来でき得えるかぎり短期間たんきかんに完了かんりょうし得えるよう計画けいかく的てきに行おこなうこと」などを政府せいふに求もとめる附帯ふたい決議けつぎがなされた。附帯ふたい決議けつぎでは、「町まちおよび字じの区域くいきあるいは名称めいしょうの合理ごうり化か、平明へいめい化かをはかるべきものである」とされた。東京電力とうきょうでんりょくの社報しゃほうでは、街まち区く方式ほうしきの住居じゅうきょ表示ひょうじは「当社とうしゃの画が標しるべ制度せいどをモデルとして」生うまれたものとされている。

施行しこう

住居じゅうきょ表示法ひょうじほうは1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）5月がつ10日とおかから施行しこうされた。1962年度ねんど（昭和しょうわ37年度ねんど）は全国ぜんこくのモデル都市としで住居じゅうきょ表示ひょうじの実験じっけんが行おこなわれた。実験じっけんと並行へいこうして、自治省じちしょうに設置せっちされた住居じゅうきょ表示ひょうじ審議しんぎ会かいで住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅんについての審議しんぎが行おこなわれた。1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）7月がつ8日にち、住居じゅうきょ表示ひょうじ審議しんぎ会かいは「住居じゅうきょ表示ひょうじ実施じっし基準きじゅんに関かんする答申とうしん」を出だした。同月どうげつ30日にち、答申とうしんを受うけて自治じち大臣だいじんは、住居じゅうきょ表示法ひょうじほう第だい12条じょうの規定きていに基もとづく「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」を告示こくじした。以後いご、全国ぜんこく各かく都市としで本格ほんかく的てきに住居じゅうきょ表示ひょうじが実施じっしされた。制定せいてい当初とうしょの住居じゅうきょ表示法ひょうじほう附則ふそく第だい2項こうは、1962年ねん（昭和しょうわ37年ねん）5月がつ10日とおか時点じてんで市街地しがいちである区域くいきでは1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）3月がつ31日にちまでに住居じゅうきょ表示ひょうじ事業じぎょうを完了かんりょうすることを努力どりょく目標もくひょうとして規定きていしていた。

住居じゅうきょ表示法ひょうじほうの施行しこう当初とうしょ数すう年間ねんかんは、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしについて、自治省じちしょうから市町村しちょうそんに補助ほじょ金きんが交付こうふされていた。また、郵政省ゆうせいしょうからは、住居じゅうきょ表示ひょうじを実施じっしする市町村しちょうそんに対たいして、住居じゅうきょ番号ばんごう表示ひょうじ板ばんの寄贈きぞう、はがき（住居じゅうきょ表示ひょうじが実施じっしされる区域くいき内ないの各戸かっこに配布はいふして住所じゅうしょ表記ひょうきの変更へんこう通知つうちに使つかってもらうためのもの）の寄贈きぞうなどの支援しえんが行おこなわれた。

第だい1次じ改正かいせい

1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）7月がつ1日にち現在げんざいの住居じゅうきょ表示ひょうじの進捗しんちょく率りつは、全国ぜんこくで15.6%、東京とうきょう都との特別とくべつ区くで29.4%であった。1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）5月がつ1日にち現在げんざいでは、全国ぜんこくで40%程度ていど、特別とくべつ区くで60%程度ていど、政令せいれい指定してい都市とし6市しで8%程度ていどであった。このように、当時とうじ、全国ぜんこくの大都市だいとしの中なかでは東京とうきょう都との特別とくべつ区くにおいて際立きわだって急速きゅうそくに住居じゅうきょ表示ひょうじが実施じっしされた。東京とうきょう都とは、自治省じちしょうの「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」よりも厳きびしい独自どくじの基準きじゅんで各区かっくを指導しどうした。当時とうじ、この指導しどうは、国くにの機関きかんとしての東京とうきょう都知事とちじの権限けんげんで行おこなわれた（住居じゅうきょ表示法ひょうじほう第だい10条じょうの機関きかん委任いにん事務じむ）。

その結果けっか、特とくに東京とうきょう都との特別とくべつ区くにおいて、住居じゅうきょ表示ひょうじ実施じっしに伴ともなう町まち界かい・町名ちょうめい変更へんこうに関かんする紛争ふんそうが頻発ひんぱつした。1960年ねん（昭和しょうわ40年ねん）には、文京ぶんきょう区く向ヶ丘むこうがおか弥生やよい町まち2番地ばんち・3番地ばんちの住民じゅうみん83名めいが、根津ねづ一いち丁目ちょうめへの編入へんにゅうを不服ふふくとして、町まち区域くいき名称めいしょう変更へんこう処分しょぶんの取消とりけしを求もとめる訴うったえを提起ていきした。この訴訟そしょうの原告げんこくには団だん藤ふじ重光しげみつ（東京大学とうきょうだいがく法学部ほうがくぶ長ちょう）、勝本かつもと正晃まさあき（東北大学とうほくだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ）、サトウハチロー（詩人しじん）も加くわわっていた。この訴訟そしょうを嚆矢こうしとして、特別とくべつ区内くないでは、町まち界かい・町名ちょうめい変更へんこうの取消とりけしを求もとめる訴訟そしょうが数すう件けん提起ていきされた。このうちの1件けんが1960年ねん（昭和しょうわ40年ねん）に提起ていきされた「目白めじろ地名ちめい訴訟そしょう」であり、1973年ねん（昭和しょうわ48年ねん）1月がつ19日にちの最高さいこう裁判所さいばんしょ第だい2小しょう法廷ほうてい判決はんけつにより、住民じゅうみんは町まち界かい・町名ちょうめい変更へんこうの取消とりけしを求もとめる訴うったえの原告げんこく適格てきかくを欠かくとして住民じゅうみんの訴うったえを却下きゃっかした第だい1審しん判決はんけつが確定かくていした。また、訴訟そしょうに至いたらないまでも、町まち界かい・町名ちょうめい変更へんこうの反対はんたい運動うんどうが特別とくべつ区くの各地かくちで起おこった。

東京とうきょうがこのような状況じょうきょうにあった1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）6月がつ、自治省じちしょうからは「街まち区く方式ほうしきによる住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん」の運用うんように関かんする通知つうちが出だされた。この通知つうちでは、町まちの名称めいしょうについて「関係かんけい住民じゅうみんの意向いこうをも尊重そんちょうするように配慮はいりょすること」、町まちの規模きぼについて「地域ちいき社会しゃかいの実態じったいについても配慮はいりょすること」、町まちの境界きょうかいについて「住居じゅうきょ表示ひょうじ実施じっし区域くいきの状況じょうきょう等とうによっては、公共こうきょう溝渠こうきょ、コンクリート塀へい等とうであっても、それが恒久こうきゅう的てきな施設しせつとして認みとめられるものについては、これらによって町まちの境界きょうかいとすることもさしつかえない」、丁ひのと目めについて「町名ちょうめいを親したしみ深ふかいものにするため、丁ひのと目めを用もちいることの利害りがい得失とくしつを十分じゅうぶん検討けんとうして定さだめること」としている。

1966年ねん（昭和しょうわ41年ねん）11月、内閣ないかく総理そうり大臣だいじん佐藤さとう榮作えいさくは官房かんぼう長官ちょうかん愛知あいち揆一に対たいして、「複雑ふくざつな町名ちょうめいなどを整理せいりするための自治省じちしょうの行政ぎょうせい指導しどうが、部分ぶぶん的てきには行いき過すぎもあるようなので、町名ちょうめい変更へんこうに関かんしては自治省じちしょうからあまりに強つよい圧力あつりょく的てきなものはかけないよう」に指示しじをした。愛知あいちは記者きしゃ会見かいけんで「住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの適用てきようは佐藤さとう首相しゅしょうの指示しじでお役所やくしょの画一かくいつ的てきな運用うんようで歴史れきし的てき、文化ぶんか的てきな町名ちょうめいが失うしなわれることのないよう自治省じちしょうに注意ちゅういを促うながす」と述のべた。

その後ご、自由民主党じゆうみんしゅとう衆議院しゅうぎいん議員ぎいんの岡崎おかざき英えい城じょうの構想こうそうに基もとづき、各党かくとう協議きょうぎの上うえ、住居じゅうきょ表示法ひょうじほうの改正かいせい案あんが準備じゅんびされ、1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）の第だい55回かい国会こっかい（特別とくべつ会かい）に衆議院しゅうぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいから提出ていしゅつされた。提案ていあんの理由りゆうは、「これまでの実施じっし状じょう況きょうを見みますと、往々おうおうにして町まちの区域くいきの全面ぜんめん的てきな変更へんこうのなされるきらいがあるのみならず、町まちの名称めいしょうにつきましても、従来じゅうらいの町まちの名称めいしょうと縁えんもゆかりもない画一かくいつ的てきな名称めいしょうをつけられることが間あいだ々あり、このため各かく地区ちくで住民じゅうみん感情かんじょうを傷きずつけ、また、由緒ゆいしょある町名ちょうめいの消滅しょうめつを招まねくため、関係かんけい住民じゅうみんはもとより、世よの識者しきしゃからも批判ひはんを受うける事例じれいが少すくなくない」ことから、「住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしのための町まちまたは字じの区域くいきの変更へんこうにあたっては、できるだけ、従来じゅうらいの区域くいき及および名称めいしょうを尊重そんちょうするものとするとともに、住民じゅうみんの意思いしを尊重そんちょうしつつ慎重しんちょうに行おこなうよう手続てつづきを整備せいびしようとする」ためである。改正かいせいは同どう国会こっかいで成立せいりつし、1967年ねん（昭和しょうわ42年ねん）8月がつ10日とおかから施行しこうされた。

第だい2次じ改正かいせい

第だい1次じ改正かいせい後ごの1979年ねん（昭和しょうわ54年ねん）に実施じっしされた住居じゅうきょ表示ひょうじに伴ともなう町まち界かい・町名ちょうめい変更へんこうの無効むこう確認かくにんまたは取消とりけしを求もとめる訴うったえの上告じょうこく審しんにおいて、最高裁判所さいこうさいばんしょ第だい1小しょう法廷ほうていは、1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）3月がつ3日にちに「目白めじろ地名ちめい訴訟そしょう」の判決はんけつを踏襲とうしゅうする判決はんけつをした。

1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）9月がつ16日にちに自治省じちしょう振興しんこう課長かちょうは各かく都道府県とどうふけんの部長ぶちょうに通知つうちを出だした。この通知つうちによると、第だい1次じ改正かいせい後ごも、「なお一部いちぶの市町村しちょうそんにおいて、法ほう改正かいせいに伴ともなう住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする手続てつづき規定きていの手直てなおしが行おこなわれていない等ひとしのため、町名ちょうめいについて従来じゅうらいの名称めいしょうと縁えんもゆかりもない画一かくいつ的てきな名称めいしょうをつける等ひとし必かならずしも適正てきせいとはいいがたい事例じれいも見受みうけられ」た。そして、この通知つうちでは「現在げんざいの町まち区域くいき及および町名ちょうめいはそれ自体じたいが地域ちいきの歴史れきし、伝統でんとう、文化ぶんかを承継しょうけいするものである」から、「今後こんごの住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに当あたっては、住民じゅうみんの意思いしを尊重そんちょうしつつ、みだりに従来じゅうらいの町まち区域くいきを全面ぜんめん的てきに改編かいへんし、整一せいいち化かを図はかったり、また、町名ちょうめいを全面ぜんめん的てきに変更へんこうするということのないよう」都道府県とどうふけんが市町村しちょうそんを指導しどうすることを求もとめた。

1984年ねん（昭和しょうわ59年ねん）6月がつ26日にち、住居じゅうきょ表示法ひょうじほうの改正かいせいを目指めざす超党派ちょうとうはの「地名ちめい保存ほぞん議員ぎいん連盟れんめい」が発足ほっそくした。同日どうじつの第だい1回かい総会そうかいには、国会こっかい議員ぎいんとその代理だいり合計ごうけい約やく120名めいが出席しゅっせきし、総会そうかいでは、自由民主党じゆうみんしゅとうの宇野うの宗佑そうすけが会長かいちょうに、日本にっぽん社会党しゃかいとうの細谷ほそや治おさむ嘉よしみが副ふく会長かいちょうに、自由民主党じゆうみんしゅとうの与謝野よさの馨かおるが事務じむ局長きょくちょうに選出せんしゅつされた。そして、安易あんいな地名ちめい変更へんこうを阻止そしするために、次つぎの通常つうじょう国会こっかいにおける議員ぎいん立法りっぽうによる住居じゅうきょ表示法ひょうじほう改正かいせいを目指めざして活動かつどうすることが決きめられた。

この議員ぎいん連盟れんめいの活動かつどうの結果けっか、「なお一部いちぶの市町村しちょうそんにおきましては、町名ちょうめいについて従来じゅうらいの名称めいしょうと縁えんもゆかりもない名称めいしょうをつける等ひとし必かならずしも適正てきせいとは言いいがたい事例じれいも見受みうけられる」状況じょうきょうを踏ふまえ、「町名ちょうめい等とうはそれ自体じたいが地域ちいきの歴史れきし、伝統でんとう、文化ぶんかを承継しょうけいするものであることにかんがみ、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに当あたって旧来きゅうらいの町名ちょうめい等とうがより一層いっそう尊重そんちょうされるよう、町名ちょうめい等とうを定さだめるときは従来じゅうらいの名称めいしょうに準拠じゅんきょすることを基本きほんとするとともに、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっしに伴ともない変更へんこうされた由緒ゆいしょある町名ちょうめい等とうの継承けいしょうのための措置そちを講こうじようとする」ため、住居じゅうきょ表示法ひょうじほうの第だい2次じ改正かいせい案あんが第だい102回かい国会こっかいに衆議院しゅうぎいん地方ちほう行政ぎょうせい委員いいん会かいから提出ていしゅつされた。改正かいせいは同どう国会こっかいで成立せいりつし、1985年ねん（昭和しょうわ60年ねん）6月がつ14日にちから施行しこうされた。

解説かいせつ書しょ

自治省じちしょう振興しんこう課か編へん『住居じゅうきょ表示ひょうじ制度せいどの解説かいせつ（改訂かいてい版ばん）』（政経せいけい書院しょいん、1986年ねん）は、住居じゅうきょ表示法ひょうじほうの逐条ちくじょう解説かいせつ、住居じゅうきょ表示ひょうじの実施じっし基準きじゅん、住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする自治省じちしょうからの通知つうちなどを含ふくむ住居じゅうきょ表示ひょうじ制度せいどの解説かいせつ書しょである。なお、2015年ねん（平成へいせい27年ねん）現在げんざい、住居じゅうきょ表示ひょうじ制度せいどを所管しょかんするのは総務そうむ省しょう自治じち行政ぎょうせい局きょく住民じゅうみん制度せいど課かである。

関連かんれん項目こうもく

• 住居じゅうきょ表示ひょうじ
• 住居じゅうきょ番号ばんごう
• 旧きゅう町名ちょうめい復活ふっかつ運動うんどう
• 京都きょうと市し - 政令せいれい指定してい都市としで唯一ゆいいつ、例外れいがい的てきにほぼ町名ちょうめいの変更へんこうがされていない。

外部がいぶリンク

• 住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ（現行げんこう法ほう、e-Gov法令ほうれい検索けんさく）
• 住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ施行しこう令れい（現行げんこう法ほう、e-Gov法令ほうれい検索けんさく）
• 住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつ（昭和しょうわ37年ねん5月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい119号ごう）（制定せいてい当初とうしょ、衆議院しゅうぎいん公式こうしきサイト内ない）
• 住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ42年ねん8月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい133号ごう）（第だい1次じ改正かいせい、衆議院しゅうぎいん公式こうしきサイト内ない）
• 住居じゅうきょ表示ひょうじに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ（昭和しょうわ60年ねん6月がつ14日にち法律ほうりつ第だい59号ごう）（第だい2次じ改正かいせい、衆議院しゅうぎいん公式こうしきサイト内ない）