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併合へいごうざい

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併合へいごうざい(へいごうざい)とは、刑法けいほうつみすうろんじょう概念がいねんであり、(1) 確定かくてい裁判さいばんていない2以上いじょうつみ刑法けいほう45じょう前段ぜんだん)、または (2) 過去かこ禁錮きんこ以上いじょうけい確定かくてい裁判さいばんがあった場合ばあい、そのつみとその裁判さいばん確定かくていするまえおかしたつみどうじょう後段こうだん)をいう。

なお、かく法定ほうていけいもとづきけい加重かじゅうげんけい順序じゅんじょ刑法けいほう72じょう)により決定けっていした1けい処断しょだんけいとする。つまり、併合へいごうざい各々おのおの法定ほうていけいについて処断しょだんけいもとめるのではない。(「量刑りょうけい」も参照さんしょう)。

沿革えんかく

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日本にっぽんで、明治めいじ13ねん公布こうふされたきゅう刑法けいほうでは、「かずざい倶発」の場合ばあいには「いちじゅうキニしたがえ処断しょだんス」と規定きていされており(100じょう1こう)、吸収きゅうしゅう主義しゅぎがとられていた。これはフランス刑法けいほう影響えいきょうだけでなくりつ伝統でんとうによるものであるとされる[1]

日本にっぽん現行げんこう刑法けいほう明治めいじ40ねん法律ほうりつだい45ごう)は、ドイツ刑法けいほう影響えいきょうけ、併合へいごうざいについては吸収きゅうしゅう主義しゅぎから加重かじゅう主義しゅぎ有期ゆうき懲役ちょうえき禁錮きんこ場合ばあい)にあらためた。

刑法けいほう45じょう前段ぜんだん併合へいごうざい

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確定かくてい裁判さいばんていない2以上いじょうつみは、併合へいごうざいとされる(刑法けいほう45じょう前段ぜんだん)。確定かくてい裁判さいばん同時どうじであると意味いみで、同時どうじてき併合へいごうざいう。

「2以上いじょう」というのは、包括ほうかついちざいけいじょういちざい観念かんねんてき競合きょうごう牽連はん)にたらない場合ばあいかずざい場合ばあい)である。

したがって、犯人はんにんがAを殺害さつがいしたのちにBを殺害さつがいした場合ばあい、Aにたいする殺人さつじんざい刑法けいほう199じょう)とBにたいする殺人さつじんざい併合へいごうざいとなる。

処断しょだんけい

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併合へいごうざいのうちの1個いっこつみについて死刑しけいしょするときは、けいさない。ただし、没収ぼっしゅうすことができる(刑法けいほう46じょう1こう)。併合へいごうざいのうちの1個いっこつみについて無期むき懲役ちょうえき無期むき禁錮きんこしょするときも、けいさない。ただし、罰金ばっきん科料かりょう没収ぼっしゅう併科へいかすることができる(どうじょう2こう)。このように、死刑しけい無期むきけいについては吸収きゅうしゅう主義しゅぎがとられている。

併合へいごうざいのうちの2以上いじょうつみについて有期ゆうき懲役ちょうえき有期ゆうき禁錮きんこしょするときは、そのもっとおもつみけい[2]についてさだめたけい長期ちょうき刑期けいき上限じょうげん)にその2ぶんの1をくわえたものを長期ちょうきとする(どうほう47じょう本文ほんぶん)。たとえば、強盗ごうとうざいどうほう236じょう法定ほうていけいは5ねん以上いじょう20ねん以下いか懲役ちょうえき)と恐喝きょうかつざいどうほう249じょう法定ほうていけいは1がつ以上いじょう10ねん以下いか懲役ちょうえき)が併合へいごうざいとなるときは、おも強盗ごうとうざいけい長期ちょうきに1.5ばい加重かじゅうをして、5ねん以上いじょう30ねん以下いか懲役ちょうえき処断しょだんけいとなる。ただし、加重かじゅう上限じょうげんは30ねんであり(どうほう14じょう2こう)、また、それぞれのつみけい長期ちょうき合計ごうけいえることはできない(どうほう47じょうただししょ)。このように、有期ゆうきけいについては加重かじゅう主義しゅぎがとられている。

併合へいごうざいのうちの2以上いじょうつみについて罰金ばっきんしょするときは、それぞれのつみについてさだめた罰金ばっきん多額たがく罰金ばっきんがく上限じょうげん)の合計ごうけい以下いか処断しょだんする(どうほう48じょう2こう)。これは、併科へいか主義しゅぎているが、一種いっしゅ加重かじゅう主義しゅぎ加重かじゅう単一たんいつけい主義しゅぎ)であるとされる[3]

罰金ばっきん拘留こうりゅう科料かりょうけい、2以上いじょう拘留こうりゅう科料かりょう、2以上いじょう没収ぼっしゅうは、いずれも併科へいかする(どうほう48じょう1こう、49じょう、53じょう)。

刑法けいほう45じょう後段こうだん併合へいごうざい

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あるつみについて禁錮きんこ以上いじょうけいしょする確定かくてい裁判さいばんがあったときは、そのつみとその裁判さいばん確定かくていするまえおかしたつみとにかぎり、併合へいごうざいとされる(刑法けいほう45じょう後段こうだん)。確定かくてい裁判さいばん併合へいごうざい意味いみで、事後じごてき併合へいごうざいう。

併合へいごうざいのうちにすで確定かくてい裁判さいばんつみとまだ確定かくてい裁判さいばんていないつみとがあるときは、確定かくてい裁判さいばんていないつみについてさら処断しょだんする(どうほう50じょう)。

たとえば、AつみとBつみおかした犯人はんにんがBざいだけで起訴きそされてその有罪ゆうざい判決はんけつ禁錮きんこ以上いじょうけい)が確定かくていしたのち、Cつみおかし、そのAつみとCざい起訴きそされた場合ばあい、AつみとBざいは45じょう後段こうだんにより併合へいごうざいとなるが、Cざい併合へいごうざいとならない。この場合ばあい裁判所さいばんしょは、50じょうにより併合へいごうざいのうち確定かくてい裁判さいばんていないAざいについて宣告せんこくけいめ、それとはべつにCざいについて宣告せんこくけいめることとなり、両者りょうしゃ併科へいかされる。このように、あいだ確定かくてい裁判さいばんがあることによりAつみとCざい併合へいごうざい関係かんけい遮断しゃだんされ、主文しゅぶんを2いわたすこととなる。

事後じごてき併合へいごうざい量刑りょうけい

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前記ぜんき事例じれいでは、BつみとAざい事後じごてき併合へいごうざい関係かんけいにあるが、Bざい確定かくてい判決はんけつであり一事いちじさいこうはたらき、併合へいごうざい処理しょりのために変更へんこうすることはできない。この場合ばあいあらためてBつみとAつみ併合へいごうざいとしてAつみのみを処断しょだんする必要ひつようがあるが、そのAざい量刑りょうけいについて問題もんだいとなる。

刑法けいほうでは明文めいぶん規定きていいが、通説つうせつ判例はんれいでは事後じごてき併合へいごうざい処理しょりにつき「併合へいごうざいにつきすう裁判さいばんがあったときは、その執行しっこうたっては、併合へいごうざい趣旨しゅしらし、刑法けいほう51じょうただししょのほか、どうほう14じょう制限せいげんしたがうべきものとするのが相当そうとう」とする(平成へいせい6ねん9がつ16にち東京とうきょう高裁こうさい判決はんけつ)。よって原則げんそくとして、BざいけいとAざいけい同時どうじてき併合へいごうざいとみなした場合ばあいされるべきけいと、Bつみによる確定かくていけいとAざいけい併科へいかした場合ばあいけいどう程度ていどになるように、Aざいけい調整ちょうせいすることとなる。

さらに、かりにそのような調整ちょうせいえるようなAざいけい確定かくていした場合ばあいであっても、けい執行しっこう時点じてんで(同時どうじてき併合へいごうざい併科へいか制限せいげん刑法けいほう46じょう)を準用じゅんようするかたちとなる)けい執行しっこう併科へいか制限せいげん刑法けいほう51じょう)により必要ひつようてき制限せいげんける。

なお、あたらしい確定かくてい判決はんけつにより、死刑しけい執行しっこうすべきときは執行しっこうちゅうほかけい没収ぼっしゅうのぞく)の執行しっこう停止ていしされ、無期むき懲役ちょうえきまた禁錮きんこ執行しっこうすべきときは執行しっこうちゅうほかけい罰金ばっきん科料かりょうおよ没収ぼっしゅうのぞく)の執行しっこう停止ていしされる。ただし、すでに執行しっこうみのけい部分ぶぶん、または執行しっこうわったけい影響えいきょうはなく、51じょう1こうもとづき遡及そきゅうしてけい撤回てっかいはされない(あらたな判決はんけつにおいて量刑りょうけいじょうまたは執行しっこうじょう考慮こうりょされる可能かのうせいはある)。一方いっぽうで、いずれの確定かくてい判決はんけつ有期ゆうき懲役ちょうえきまた禁錮きんこふく場合ばあいは、51じょう2こうにより全体ぜんたいとして有期ゆうきけい執行しっこう併科へいか制限せいげんけることとなる。この場合ばあいも、すでに執行しっこうみのけい部分ぶぶん、または執行しっこうわったけいにつき遡及そきゅうしてけい撤回てっかいはされない。

併合へいごうざい遮断しゃだん

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さらに、禁錮きんこ以上いじょうけいしょ確定かくてい判決はんけつ以降いこうおかしたつみについては、併合へいごうざいとしての評価ひょうか処理しょりはなされず、原則げんそくとしてけい執行しっこう併科へいかされることとなる。この場合ばあい併合へいごうざいではないので51じょうによる併科へいか制限せいげんもされない。前記ぜんき事例じれいでは、AざいけいとBざいけいあいだでは51じょうもとづきけい執行しっこう併科へいか制限せいげんかるが、Cざいけいはそれとは独立どくりつして執行しっこうされる(量刑りょうけいじょう考慮こうりょ否定ひていされるわけではない)。なお、罰金ばっきん以下いかけい拘留こうりゅうまた科料かりょうふくむ)にしょ確定かくてい判決はんけつによっては併合へいごうざい遮断しゃだんされない(同時どうじてき併合へいごうざいとして処理しょりされる)。

その趣旨しゅしは、自由じゆうけい宣告せんこくにより犯人はんにんには強烈きょうれつ反省はんせい自己じこ矯正きょうせい機会きかいあたえられるところ、確定かくてい裁判さいばん以後いごおかしたつみは、こうした反省はんせい自己じこ矯正きょうせいるべきであったにもかかわらずおかしたつみであるという意味いみにおいて、よりおかせじょうわるつみとして評価ひょうかすべきであり、確定かくてい裁判さいばん以前いぜんおかしたつみとは別個べっこ処断しょだんすべきものとかんがえられることから、確定かくてい裁判さいばん区切くぎりとして一括いっかつ処断しょだんすべきつみ範囲はんいかくすることにある。

なお、昭和しょうわ45ねん刑法けいほう改正かいせいにより、「確定かくてい裁判さいばん」が「禁錮きんこ以上いじょうけいしょスル確定かくてい裁判さいばん」とあらためられた。これは、複数ふくすう犯行はんこうあいだ罰金ばっきん以下いか確定かくてい裁判さいばんがあったかかを確認かくにんしなければならないことによる実務じつむじょう煩雑はんざつさをけるための改正かいせいである。

事例じれいとして、オートバイ窃盗せっとうざい(Xとする)の確定かくてい判決はんけつよりまえに5けん強姦ごうかん致傷ちしょうざい(Aとする)、そのに4けん強姦ごうかん致傷ちしょうざい(Bとする)をおかした被告ひこくにつき、Aのつみ併合へいごうざいとし懲役ちょうえき24ねんけい、BのつみをAのつみとは別個べっこ併合へいごうざいとして懲役ちょうえき26ねんけいをそれぞれ宣告せんこくりょうけい執行しっこうじょう併科へいかされるため通算つうさん懲役ちょうえき50ねんけいこととなった判決はんけつがある(平成へいせい23ねん12月5にち静岡しずおか地裁ちさい判決はんけつ)。

このようなけいじょう取扱とりあつかいについては批判ひはんもあり、併合へいごうざい遮断しゃだん評価ひょうかについて通説つうせつかれている。

とく単純たんじゅんいちざい評価ひょうかされるような犯罪はんざい、つまり集合しゅうごうはん常習犯じょうしゅうはん営業えいぎょうはん)や包括ほうかついちざいについて、時期じき的中てきちゅうあいだにそのつみ確定かくてい判決はんけつがあった場合ばあい取扱とりあつかい問題もんだいとなる。

不可分ふかぶんせつ

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集合しゅうごうはんとう中途ちゅうとべつざい確定かくてい判決はんけつがある場合ばあいであっても当該とうがい集合しゅうごうはん本来ほんらいてきいちざいであるとする。

  • すうかい常習じょうしゅう暴行ぼうこうざい中途ちゅうと窃盗せっとうざい判決はんけつ確定かくていがある場合ばあい常習じょうしゅう暴行ぼうこうざい最後さいご暴行ぼうこうざいをもって包括ほうかついちざい評価ひょうかすべきである(昭和しょうわ27ねん3がつ20日はつか広島ひろしま高裁こうさい判決はんけつ
    • 一連いちれん常習じょうしゅう暴行ぼうこうざいすべてを包括ほうかついちざいとした。
  • 3ヶ月かげつあいだほど継続けいぞくして売春ばいしゅん防止ぼうしほう違反いはんつみおかし、その中途ちゅうと道路どうろ交通こうつう取締とりしまりほう違反いはん判決はんけつ確定かくていがある場合ばあい売春ばいしゅん防止ぼうしほう違反いはんつみ当該とうがい継続けいぞくした営業えいぎょう期間きかん全体ぜんたい包括ほうかつしていちざい評価ひょうかすべきであり、さらに、売春ばいしゅん防止ぼうしほう違反いはんつみにつき道路どうろ交通こうつう取締とりしまりほう違反いはん判決はんけつ確定かくていまえ行為こうい部分ぶぶん道路どうろ交通こうつう取締とりしまりほう違反いはんつみ事後じごてき併合へいごうざいとするのはあやまりである(昭和しょうわ35ねん2がつ16にち東京とうきょう高裁こうさい判決はんけつ
    • 営業えいぎょうはん期間きかんけてざいとする理由りゆうはないとした。
  • ふくすうかい常習じょうしゅう加重かじゅう窃盗せっとうざい(Aつみ)、窃盗せっとうざい(Bつみ)、窃盗せっとうざい(Cつみ)およびふくすうかい常習じょうしゅう加重かじゅう窃盗せっとうざい(Dつみ)のじゅんおかした被告ひこくにつきCつみとDざい中途ちゅうと道路どうろ交通こうつうほう違反いはん確定かくてい判決はんけつがある場合ばあいには、BつみとCつみ事後じごてき併合へいごうざいとし、AざいおよびDつみ常習犯じょうしゅうはんいちざい評価ひょうかし、前者ぜんしゃけい後者こうしゃけい併合へいごうざい遮断しゃだん関係かんけいにありふたつのけいすべきとした(昭和しょうわ39ねん7がつ9にち最高裁さいこうさい決定けってい不可分ふかぶんせつ

可分かぶんせつ

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包括ほうかついちざい評価ひょうかされうる犯罪はんざいであっても、犯罪はんざい性質せいしつによっては数個すうこ行為こうい評価ひょうかされ、または営業えいぎょうはんであっても確定かくてい判決はんけつけた状況じょうきょうによっては併合へいごうざい遮断しゃだんがなされるとする。

  • かくせいざい取締とりしまりほう違反いはん包括ほうかついちざい評価ひょうかされる場合ばあいであっても、中途ちゅうとざいにつき確定かくてい判決はんけつがある場合ばあいは、かくせいざい取締とりしまりほう違反いはんつみのうち当該とうがいざい確定かくてい判決はんけつより以前いぜんしたどうほう違反いはんつみ当該とうがいざいとは事後じごてき併合へいごうざい関係かんけいにあるとした(昭和しょうわ29ねん9がつ28にち東京とうきょう高裁こうさい判決はんけつ
  • たばこ専売せんばいほう違反いはん販売はんばいざい販売はんばい準備じゅんびざい)のつみ営業えいぎょうはん評価ひょうかされる場合ばあいにおいて、その中途ちゅうと傷害しょうがいざい道路どうろ交通こうつう取締とりしまりほう違反いはんつみかくせいざい取締とりしまりほう違反いはんの3ざいにつき確定かくてい判決はんけつけているような場合ばあいには、当該とうがい営業えいぎょうはんのうち当該とうがい確定かくてい判決はんけつ以前いぜんおこなわれた部分ぶぶん当該とうがい確定かくてい判決はんけつとを事後じごてき併合へいごうざい評価ひょうかし、かつ当該とうがい確定かくてい判決はんけつ以後いごおこなわれた部分ぶぶん併合へいごうざい遮断しゃだんして評価ひょうかし、けいじょう別個べっこ取扱とりあつかいをすべきとした(昭和しょうわ31ねん11月27にち名古屋なごや高裁こうさい判決はんけつ

通説つうせつ批判ひはん

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以上いじょうのように通説つうせつおよ判例はんれいとしては不可分ふかぶんせつ可分かぶんせつ折衷せっちゅうせつであり、集合しゅうごうはん包括ほうかついちざいについては(禁錮きんこ以上いじょうけいしょす)中途ちゅうと確定かくてい判決はんけつかかわらずいちざい評価ひょうかすべきとし、かつ、かくせいざい取締とりしまりほう違反いはん強制きょうせい性交せいこうとうざいどう致傷ちしょうざい反復はんぷくなどつみしつによっては包括ほうかついちざい評価ひょうかすべきであっても別個べっこ行為こうい評価ひょうかすべき場合ばあいもある、とうものである。

これにたいし、中途ちゅうと確定かくてい判決はんけつ感銘かんめいりょくみとめつつも(「警告けいこく理論りろん」とぶ)、反復はんぷくしたつみ中途ちゅうと確定かくてい判決はんけつつみとのあいだに、保護ほご法益ほうえき行為こういめん構成こうせい要件ようけん実質じっしつてきかさなりい(「刑法けいほうじょう錯誤さくご参照さんしょう)がみとめられない場合ばあいには、警告けいこく理論りろん有効ゆうこう機能きのうしないため実質じっしつてき併合へいごうざいとして処理しょりすべきと批判ひはんがある。この批判ひはんてば前記ぜんき平成へいせい23ねん12月5にち静岡しずおか地裁ちさい判決はんけつは、オートバイ窃盗せっとうざい強盗ごうとう致傷ちしょうざい反復はんぷくとのあいだ構成こうせい要件ようけん実質じっしつてきかさなりいがことから、けい併合へいごうざいてき処理しょりして懲役ちょうえき30ねんめることにもなりうる[4]。しかしどう控訴こうそしんにおいては、警告けいこく理論りろんやその要件ようけんまず「確定かくてい裁判さいばんおかしたつみについて併合へいごう利益りえきあたえないことには相応そうおう理由りゆうがあるというべき」として原審げんしん判決はんけつ支持しじした。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 小野おの清一郎せいいちろう犯罪はんざい構成こうせい要件ようけん理論りろん有斐閣ゆうひかく昭和しょうわ28ねん、364ぺーじ以下いか
  2. ^ この加重かじゅうをする場合ばあい基準きじゅんとなる刑期けいきは、法定ほうていけいたいし、けいじょういちざい処理しょりけいしゅ選択せんたく累犯るいはん加重かじゅう法律ほうりつじょうげんけいくわえた刑期けいきである(刑法けいほう69じょう、72じょう)。いずれのけいもっとおもいかは、刑法けいほう10じょうによりさだまる。
  3. ^ だんふじ重光しげみつ刑法けいほう綱要こうよう 総論そうろん』〔改訂かいていばんそうぶんしゃ昭和しょうわ54ねん)425ぺーじ併科へいかことなり、罰金ばっきんの寡額は、かくつみについてさだめられた寡額のおおいものによる。
  4. ^ もっとも、強姦ごうかん致傷ちしょうざい強制きょうせい性交せいこうとう致傷ちしょうざい)の最高さいこうけい無期むき懲役ちょうえきであり、無期むき懲役ちょうえき絶対ぜったいてき無期むきけい終身しゅうしんけい相当そうとう)としても機能きのうしうることかんがみると、ほん判決はんけつ事例じれいごとく9にんもの強姦ごうかん致傷ちしょうざい被害ひがいしゃした事案じあんにあっては、結局けっきょくところすべてのつみ併合へいごうざいてき処理しょりしたとしても最高さいこうけいとして無期むき懲役ちょうえき検討けんとうすべきともかんがえられる。すると、絶対ぜったいてき無期むきけいとしても機能きのうしうる無期むき懲役ちょうえきと、通算つうさん50ねん懲役ちょうえきとのあいだには重大じゅうだい差異さいはなく(どちらも仮釈放かりしゃくほう可能かのうであり、むしろ仮釈放かりしゃくほうまでの期間きかん前者ぜんしゃほうみじかい。)、たん併合へいごうざいいちざい有期ゆうき懲役ちょうえきけい上限じょうげんの30ねんえるにまるものであり、当該とうがい批判ひはん相当そうとうでないともかんがえられる。

参考さんこう文献ぶんけん

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関連かんれん項目こうもく

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