内海うつみ重典しげのり

内海うつみ 重典しげのり（うつみ しげのり、1915年ねん11月10日にち - 1999年ねん3月1日にち）は、宝塚歌劇団たからづかかげきだんの劇げき作家さっか、演出えんしゅつ家か。白井しらい鐵造てつぞう、高木たかぎ史朗しろうとともに三さん巨匠きょしょうの一角いっかくに数かぞえられる。名前なまえは音読おんよみで「じゅうてん」と呼よばれることが多おおい。

大阪おおさか府ふ大阪おおさか市し生うまれ。妻つまは元もとタカラジェンヌで宝塚歌劇団たからづかかげきだん卒業生そつぎょうせいの加古かこまち子こ（在ざい団だん1938年ねん - 1944年ねん）。

略歴りゃくれき・人物じんぶつ

1939年ねんに宝塚歌劇団たからづかかげきだんに入団にゅうだん。1941年ねんに「高原こうげんの秋あき」で初はつ演出えんしゅつ。以降いこう、1988年ねんの「南みなみの哀愁あいしゅう」（剣けん幸こう主演しゅえん）の再演さいえんまで、実じつに数すう多おおくの作品さくひんに携たずさわった。

また、1970年ねんの日本にっぽん万国博覧会ばんこくはくらんかいや神戸こうべポートアイランド博覧はくらん会かいなどにおける式典しきてん、御堂筋みどうすじパレードや2000人にんの吹奏楽すいそうがくなど数々かずかずのイベントの構成こうせい・演出えんしゅつも担当たんとうした。

41年ねんに上演じょうえんした『宝塚たからづかかぐや姫ひめ』でかぐや姫ひめ役やくの小夜さよ福子ふくこが歌うたった「さよなら皆様みなさま」（作詞さくしは内海うつみ、作曲さっきょくは河崎かわさき一朗いちろう）は、宝塚たからづか大だい劇場げきじょうや東京とうきょう宝塚劇場たからづかげきじょうの終演しゅうえん後ごに流ながされる曲きょくのひとつとなっている。

戦時せんじ中ちゅう、宝塚たからづか大だい劇場げきじょうが閉鎖へいさされると『移動いどう隊たい』として十じゅう数すう名めいのメンバーを率ひきいて地方ちほうをまわり、慰問いもん公演こうえんを続つづけた。妻つまは元もと宝塚歌劇団たからづかかげきだんの内海うつみ明子あきこ（芸名げいめい：加古かこまち子こ）。

妻つまの内海うつみ明子あきこが、園井そのい恵子えこと懇意こんいにしていた。園井そのいが原爆げんばくに被爆ひばくし、神戸こうべ六甲ろっこうの中井なかい家かに身みを寄よせていた際さい、

原爆げんばく症しょうに罹患りかんした園井そのいの退職たいしょく金きんを出だすように、宝塚たからづかに掛かけ合あったのは内海うつみ重典しげのりである。内海うちうみは園井そのいの臨終りんじゅうにも立たち会あっている。

舞台ぶたい上じょうのドライアイス演出えんしゅつを考案こうあん

舞台ぶたい効果こうか面めんでの創意そうい工夫くふうで特とくに知しられており、1952年ねんには紗幕しゃまくの使用しようを発案はつあん、55年ねんにはドライアイスを使用しようしたスモークを舞台ぶたいで初はじめて使用しようしている。また明石あかし照子てるこの歌唱かしょう場面ばめんで、当時とうじ主流しゅりゅうのスタンドマイクではなく、ワイヤードハンドマイクを採用さいようしたことが、松下電器まつしたでんき工業こうぎょうのワイヤレスマイク発明はつめいに貢献こうけんしたともいわれている。

昭和しょうわ30年ねん～40年代ねんだいをして、白井しらい鐵造てつぞう、高木たかぎ史朗しろう、内海うつみ重典しげのりら巨匠きょしょうの時代じだいなどと称しょうし、この演出えんしゅつ陣じんには菊田きくた一夫かずおもより古ふるくから加くわわっている。

1988年ねんに演出えんしゅつ活動かつどうから身みを退しりぞくまで、戦中せんちゅう派は最後さいごの生いき残のこりとして長ながく活躍かつやく、歌劇かげき団だん理事りじも務つとめた。

2014年ねん、『宝塚歌劇たからづかかげきの殿堂でんどう』最初さいしょの100人にんのひとりとして殿堂でんどう表彰ひょうしょう。

大阪おおさか万博ばんぱく・開会かいかい式しきで天皇てんのうに花束はなたばを

日本にっぽん万国博覧会ばんこくはくらんかい開催かいさい当時とうじは天皇てんのう・皇后こうごうが国内こくないの式典しきてんで花束はなたばを受うけ取とったことはなく、企画きかく段階だんかいでは反対はんたいされたが、内海うつみはどうしても開会かいかい式しきのヤマ場やまばにしたかった。結局けっきょく宮内庁くないちょうが「あくまでハプニングとして。また、天皇てんのう・皇后こうごう両りょう陛下へいかへ子供こどもが直接ちょくせつ手渡てわたしてはならない。両りょう陛下へいかの前まえのテーブルの上うえに置おくこと。他たの皇族こうぞく方かたへは直接ちょくせつ渡わたしてもよい」との条件じょうけん付つきで承認しょうにんした。内海うつみが「もし陛下へいかが直接ちょくせつお受うけ取とりになられたらどうしますか」と宮内庁くないちょうの担当たんとう者しゃに尋たずねると「それは我々われわれの知しるところではない」と返答へんとうした。結局けっきょく本番ほんばんでは、天皇てんのう・皇后こうごうが立たち上あがって子こどもから花束はなたばを直接ちょくせつ受うけ取とり、子こどもに「ありがとう」と3回かい発言はつげんした。

主おもな演出えんしゅつ作品さくひん

• ミモザの花はな（1946年ねん）
• ファイン・ロマンス（1947年ねん）
• 南みなみの哀愁あいしゅう（1947年ねん）
• レインボーの歌うた（1948年ねん）
• ブギウギ巴里ぱり（1949年ねん）
• ロマンス・パリ（1949年ねん）
• 白しろき花はなの悲歌ひか（1951年ねん）
• 薔薇ばらの大地だいち（1953年ねん）
• たそがれの維納（1954年ねん）
• 緑みどりのハイデルベルヒ（1956年ねん）
• 帰かえらざる女おんな（1956年ねん）
• 高校こうこう三さん年生ねんせい（1957年ねん）
• 青あおい珊瑚礁さんごしょう（1958年ねん）
• 君きみありてこそ（1959年ねん）
• ビバ・ピノキオ（1960年ねん）
• カルメン・カリビア（1960年ねん）
• ポニイ・レディー（1961年ねん）
• 明日あしたに鐘かねは鳴なる（1961年ねん）
• 絢爛けんらんたる休日きゅうじつ（1962年ねん）
• 哀愁あいしゅうの巴里ぱり（1962年ねん）
• ボン・ビアン・パリ（1965年ねん）
• ラ・グラナダ（1965年ねん）
• 我わが歌うた君くんがため（1966年ねん）
• 世界せかいはひとつ（1967年ねん）
• ヒット・キット（1967年ねん）
• アプソディ〜ハンガリア物語ものがたり〜（1968年ねん）
• 追憶ついおくのアンデス（1968年ねん）
• 嵐あらしが丘おか（1968年ねん）
• パレード・タカラヅカ（1973年ねん）
• ラムール・ア・パリ〜サラ・ベルナールの恋こい〜（1975年ねん）
• 愛あい限かぎりなく（1982年ねん）

ほか多数たすう

ディスコグラフィー

• ミュージカルCD 宝塚歌劇団たからづかかげきだん/内海うつみ重典しげのり 宝塚歌劇たからづかかげき作品さくひん集しゅう～『ファイン・ロマンス』 (TCAC-129 2枚まい組ぐみ 宝塚たからづかクリエイティブアーツ 他た)

主おもな構成こうせい・演出えんしゅつイベント

• 日本にっぽん初はつのホテルディナーショーを開催かいさい　　新大阪しんおおさかホテル　(1954年ねん)　　　　　　
• 「春はるの吹奏楽すいそうがく～1000人にんの合同ごうどう演奏えんそう」　西宮にしのみや球場きゅうじょう　（1961年ねん～） ＊翌年よくねんから名称めいしょう変更へんこう　2000人にんの吹奏楽すいそうがく→3000人にんの吹奏楽すいそうがく
• 「日本にっぽん万国博覧会ばんこくはくらんかい」　開会かいかい式しき　（1970年ねん）
• 「日本にっぽんの祭まつり」　明治めいじ神宮じんぐう外苑がいえん　（1970年ねん～）
• 「自衛隊じえいたい音楽おんがくまつり」　日本武道館にほんぶどうかんほか　（1971年ねん～）
• 「宝塚たからづかまつり」　(1972年ねん～）
• 「国際こくさいロータリークラブ世界せかい大会たいかい」　開会かいかい式しき　（1978年ねん）
• 「神戸こうべポートアイランド博覧はくらん会かい」　開会かいかい式しき・閉会へいかい式しき　（1981年ねん）
• 「御堂筋みどうすじパレード」　（1983年ねん～）
• 「ユニバーシアード神戸こうべ大会たいかい」　開会かいかい式しき・閉会へいかい式しき　（1985年ねん）
• 「国際こくさい花はなと緑みどりの博覧はくらん会かい」　鶴見緑地つるみりょくち　（1990年ねん）

ほか多数たすう