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司書ししょ

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司書ししょ
英名えいめい Librarian
実施じっしこく 日本の旗 日本にっぽん
資格しかく種類しゅるい 国家こっか資格しかく
分野ぶんや 教育きょういく教養きょうよう
認定にんてい団体だんたい 文部もんぶ科学かがくしょう生涯しょうがい学習がくしゅう政策せいさくきょく
等級とうきゅう称号しょうごう 司書ししょ司書ししょ
根拠こんきょ法令ほうれい 図書館としょかんほう
公式こうしきサイト www.mext.go.jp
特記とっき事項じこう 認定にんてい団体だんたい根拠こんきょ法令ほうれいとう日本にっぽん場合ばあい
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格しかく
ウィキポータル ウィキポータル 資格しかく
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司書ししょ」(ジュゼッペ・アルチンボルド1556ねん

司書ししょ(ししょ)は、図書館としょかんかれる専門せんもんてき職員しょくいん専門せんもんしょく)のことである。図書館としょかんがくひとしでは厳密げんみつには、英語えいごの Librarian に相当そうとうする図書館としょかん専門せんもんしょく翻訳ほんやくとしてもちいられるが、日本語にほんごにおける一般いっぱんてき用例ようれいとしては、図書としょ資料しりょうあつか仕事しごとをしている図書館としょかん職員しょくいん専門せんもんてき職員しょくいんであるかかをわずひろ司書ししょぶこともしばしばられる。

日本にっぽんでは、図書館としょかんほう規定きていされた日本にっぽんほう制度せいどじょう資格しかくとして「司書ししょとなる資格しかく」があり、図書館としょかんほうじょうの「司書ししょ」は図書館としょかんほうにいう「図書館としょかん」(公共こうきょう図書館としょかん)に勤務きんむし、資格しかくゆうする図書館としょかん専門せんもん職員しょくいん[1]。このほか、図書館としょかんほう根拠こんきょたないけれども法律ほうりつにもとづいて「司書ししょ」の肩書かたがゆうするれいとして、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん職員しょくいん職名しょくめいにみられる「司書ししょ」があり、また学校がっこう図書館としょかん大学だいがく図書館としょかん専門せんもん図書館としょかん図書館としょかん専門せんもん職員しょくいんに「司書ししょ」の職名しょくめいあたえている場合ばあいがある。しかし、これらの公共こうきょう図書館としょかん以外いがいの「司書ししょ」は、図書館としょかんほうにいう「司書ししょとなる資格しかく」にもとづく司書ししょではない。

一般いっぱんてき定義ていぎ

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図書館としょかんがくにおいて司書ししょとは、図書館としょかん情報じょうほうがく知識ちしき技術ぎじゅつけ、図書館としょかん固有こゆうサービス従事じゅうじする図書館としょかん専門せんもんてき職員しょくいん定義ていぎされている。したがってこの定義ていぎにおいては、図書館としょかんにおいて施設しせつ管理かんり情報じょうほうシステム管理かんり運用うんようなどの図書館としょかん固有こゆうではない専門せんもんてき業務ぎょうむおこなもの司書ししょにはふくまれないといえる。

司書ししょおこな具体ぐたいてき業務ぎょうむは、その勤務きんむする図書館としょかんかんしゅによって細部さいぶことなるが、図書館としょかん資料しりょう収集しゅうしゅう整理せいり保管ほかん[注釈ちゅうしゃく 1]提供ていきょうや、参考さんこう調査ちょうさレファレンス)、図書館としょかんとの連携れんけい協力きょうりょくふく[2]、さらに電子でんし図書館としょかん開発かいはつや、電子でんし情報じょうほう発信はっしんなどの電算でんさんシステム運用うんよういたるまで図書館としょかん利用りようしゃ要求ようきゅうおうずるためのあらゆる専門せんもんてき職務しょくむ司書ししょおこな仕事しごととなりうる[3]。また図書館としょかん設置せっち母体ぼたい関連かんれん機関きかん団体だんたいとの連絡れんらく図書館としょかん広報こうほう図書館としょかんのサービス計画けいかく企画きかく立案りつあん予算よさん人員じんいん確保かくほ職員しょくいん指導しどう監督かんとくなどの図書館としょかん経営けいえいてきしょ業務ぎょうむも、ひろ意味いみでの司書ししょ仕事しごと一部いちぶである[4]

歴史れきし

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西洋せいよう

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古代こだいローマではそのぜん図書館としょかん財務ざいむ運営うんえい管理かんり統括とうかつするしょくとして図書館としょかん総裁そうさいかれていた[5]皇帝こうていティベリウスいてからウェスパシアヌス皇帝こうていとなるまでは皇帝こうてい事務じむかん出身しゅっしん解放かいほう奴隷どれい任命にんめいされた[5]。ウェスパシアヌス以降いこう時代じだいになると上層じょうそう階級かいきゅうものから任命にんめいされるようになった[5]

古代こだいローマでは司書ししょ(biblio thecarius)は図書館としょかん職員しょくいんひきいるしょくであった[5]司書ししょした図書館としょかん職員しょくいん(a biblio theca)がかれ、ギリシャ区画くかくラテン語らてんご区画くかくけて配属はいぞくされた[5]

東洋とうよう

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古代こだい中国ちゅうごくではしゅう時代じだいには資料しりょう収集しゅうしゅう保存ほぞんする機関きかんがあり史官しかん設置せっちされていた[5]ひがししゅうには国書こくしょ保存ほぞんするぞうしつという図書館としょかんがあった[5]老子ろうしは「まもりぞうしつこれ」という司書ししょであったといわれている[5]

日本にっぽんにおける司書ししょ

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資格しかく要件ようけん

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日本にっぽんではあらゆる種別しゅべつ図書館としょかんにわたって図書館としょかん専門せんもんしょくとして勤務きんむすることを保障ほしょうするような司書ししょ資格しかく要件ようけん存在そんざいしない。日本にっぽん一般いっぱんに「司書ししょ資格しかく」としょうされているものは、公共こうきょう図書館としょかんについて規定きていする法律ほうりつである図書館としょかんほうによる「司書ししょとなる資格しかく司書ししょ資格しかく要件ようけん)」である[1]

図書館としょかんほうにおける司書ししょ資格しかく図書館としょかんほうだい5じょう取得しゅとく条件じょうけん規定きていされており、「大学だいがく短期大学たんきだいがく高等こうとう専門せんもん学校がっこうのいずれかを卒業そつぎょうしたうえ司書ししょ講習こうしゅう相当そうとう科目かもく履修りしゅうする」「大学だいがくに2ねん以上いじょう在学ざいがくし62単位たんい以上いじょう修得しゅうとく、もしくは短期大学たんきだいがく高等こうとう専門せんもん学校がっこう卒業そつぎょうしたうえ司書ししょ講習こうしゅう修了しゅうりょうする」「司書ししょとして3ねん以上いじょう勤務きんむしたうえで司書ししょ講習こうしゅう修了しゅうりょうする」の3とおりの方法ほうほうからえらぶことになる[6][7]。このうち、司書ししょ司書ししょ専門せんもんてき職務しょくむたすける事務じむ従事じゅうじする資格しかく[8]高等こうとう学校がっこう卒業そつぎょうしゃ中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう卒業そつぎょうしゃ高等こうとう専門せんもん学校がっこうだい3学年がくねん修了しゅうりょうしゃのいずれかの資格しかくもの大学だいがくとう実施じっしされる司書ししょ講習こうしゅうけることであたえられる[9]

司書ししょ講習こうしゅう相当そうとう科目かもく修得しゅうとくする場合ばあい在学ざいがくちゅう科目かもく習得しゅうとくせず卒業そつぎょうあらためて通信つうしんせい大学だいがく夜間やかん大学だいがく科目かもくとう履修りしゅうなどで必要ひつよう単位たんい修得しゅうとくしてもみとめられる[7]。ただし司書ししょ講習こうしゅう相当そうとう科目かもく履修りしゅうによる司書ししょ資格しかく証明しょうめいしょ大学だいがく短期大学たんきだいがく高等こうとう専門せんもん学校がっこう卒業そつぎょう発行はっこうされる慣例かんれいがあり、この方法ほうほうえらんだ場合ばあい司書ししょ資格しかく証明しょうめいしょ用意よういされない場合ばあいおおいため、単位たんい修得しゅうとく証明しょうめいしょなどをもちいなければならない[7]。また在学ざいがくちゅう司書ししょ講習こうしゅう相当そうとう科目かもく履修りしゅうおこなった場合ばあいでも証明しょうめいしょ発行はっこうしない教育きょういく機関きかんもあり、この場合ばあい単位たんい修得しゅうとく証明しょうめいしょなどを提出ていしゅつすることになる。

分類ぶんるい 取得しゅとく条件じょうけん 資格しかく
司書ししょ 司書ししょ講習こうしゅう相当そうとう科目かもく履修りしゅう 大学だいがく短期大学たんきだいがく高等こうとう専門せんもん学校がっこう卒業そつぎょうしゃ
司書ししょ講習こうしゅう修了しゅうりょう 3ねん以上いじょう司書ししょとして勤務きんむ経験けいけんのあるもの大学だいがくに2ねん以上いじょう在学ざいがくし62単位たんい以上いじょう修得しゅうとくしたもの短期大学たんきだいがく高等こうとう専門せんもん学校がっこう卒業そつぎょうしゃ
司書ししょ 司書ししょ講習こうしゅう修了しゅうりょう 高等こうとう学校がっこう卒業そつぎょうしゃ中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう卒業そつぎょうしゃ高等こうとう専門せんもん学校がっこうだい3学年がくねん修了しゅうりょうしゃ

図書館としょかんほうにもとづかない図書館としょかんではおおくの場合ばあい図書館としょかんほうによる司書ししょとなる資格しかく就職しゅうしょく勤務きんむ必須ひっす要件ようけんとはならない[10]たとえば、公開こうかい試験しけんにより職員しょくいん採用さいようおこなっている図書館としょかんほうにもとづかない図書館としょかんとして、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん国立こくりつ大学だいがく図書館としょかんがあげられるが、これらはいずれも試験しけん受験じゅけん資格しかくとく資格しかく要求ようきゅうしていない[注釈ちゅうしゃく 2]。また図書館としょかんほうにもとづく図書館としょかんであっても司書ししょは必置を義務付ぎむづけられておらず、資格しかくゆうする司書ししょいていない図書館としょかんすくなくない(後述こうじゅつ)。しかし図書館としょかん司書ししょとなる要件ようけん保障ほしょうする資格しかく存在そんざいしないため、私立しりつ大学だいがく図書館としょかん学校がっこう図書館としょかん専門せんもん図書館としょかんのなかには図書館としょかんほうによる司書ししょとなる資格しかく職員しょくいん採用さいよう条件じょうけんとしていることもある[12]

なお、司書ししょ資格しかく取得しゅとくには年齢ねんれい制限せいげんはない[13]

たて種別しゅべつ司書ししょ歴史れきし

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国立こくりつ図書館としょかん司書ししょ

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だい世界せかいだい戦前せんぜん日本にっぽんにおいて国立こくりつ図書館としょかん機能きのうをはたした帝国ていこく図書館としょかんでは、1897ねん施行しこう帝国ていこく図書館としょかん官制かんせいにもとづいて、館長かんちょうしたに「司書ししょちょう(のち司書ししょかん)」および「司書ししょ」としょうする職員しょくいん規定きてい員数いんずうくことがさだめられていた。司書ししょかんそう任官にんかん司書ししょ判任官はんにんかんであり、おおよそ前者ぜんしゃ管理かんりしょく後者こうしゃせい職員しょくいん相当そうとうする。また、これらのしたやとい嘱託しょくたく身分みぶん図書館としょかんせんもん仕事しごとおこな職員しょくいんがいた。

帝国ていこく図書館としょかんにおける司書ししょかん司書ししょは、図書館としょかん専門せんもんしょくとしての特殊とくしゅせいから特別とくべつ任用にんようれい制定せいていされ、一般いっぱん官吏かんり文官ぶんかん)とことなり、図書としょについて学術がくじゅつ経験けいけんのあるもの試験しけんずに任用にんようすることができることになっていた。

ところが、戦後せんご1946ねん官職かんしょくめい整理せいり統合とうごうされ、司書ししょかん司書ししょは「文部もんぶ事務じむかん」に官職かんしょくめい変更へんこうされたため、国立こくりつ図書館としょかんにおける「司書ししょ」はいったん消滅しょうめつした。

その1948ねん新設しんせつされた機関きかんである国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんにおいて、「文部もんぶ事務じむかんとう相当そうとうするせい職員しょくいん職名しょくめいとして「国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん司書ししょ」が採用さいようされたことにより、国立こくりつ図書館としょかんにおける職名しょくめいとしての「司書ししょ」は復活ふっかつした。

国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん職員しょくいん採用さいようでは、ごく初期しょきのぞいて司書ししょとなるものとく区分くぶんしての採用さいようおこなわれておらず、また採用さいよう司書ししょとなる資格しかく必要ひつようとされたことは過去かこにない[14]採用さいよう試験しけんでは、選択せんたくしき専門せんもん試験しけん科目かもくちゅう図書館としょかん情報じょうほうがく存在そんざいするが、図書館としょかん情報じょうほうがく区分くぶんとしての採用さいようおこなっておらず、かずある選択せんたく科目かもくのひとつでしかない[14]採用さいよう本人ほんにん希望きぼう適性てきせいにより調査ちょうさ業務ぎょうむ司書ししょ業務ぎょうむ一般いっぱん事務じむとうおこなうさまざまな部署ぶしょ配属はいぞくするとしているが[14]、「司書ししょ」の職名しょくめいはこのうちの司書ししょ業務ぎょうむおこな部署ぶしょ配属はいぞくされたものあたえられるものであり、調査ちょうさ業務ぎょうむ一般いっぱん事務じむおこな部署ぶしょ異動いどうすれば調査ちょうさいん参事さんじというべつ職名しょくめい発令はつれいされる。

公共こうきょう図書館としょかん司書ししょ

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戦前せんぜん公立こうりつ私立しりつ公共こうきょう図書館としょかん根拠こんきょ法令ほうれいである図書館としょかんれいに「司書ししょ」にかんする規定きていがあらわれるのは1906ねんのことである。図書館としょかんれいでは公共こうきょう図書館としょかん学校がっこうじゅんじる教育きょういく機関きかんととらえていたため、公立こうりつ図書館としょかんについて、その専任せんにん職員しょくいんである館長かんちょう司書ししょは、公立こうりつ学校がっこう職員しょくいんじゅんじた待遇たいぐうけるとされていた。その1933ねん改正かいせい図書館としょかんれい図書館としょかんに「相当そうとう員数いんずう司書ししょ」をくとしたが、その職務しょくむ内容ないようについてはあきらかではなかった。また、同時どうじ改正かいせいされた公立こうりつ図書館としょかん職員しょくいんれいでは「司書ししょ検定けんてい試験しけん制度せいど」の導入どうにゅうさだめられ、1936ねんには「公立こうりつ図書館としょかん司書ししょ検定けんてい試験しけん規定きてい」(昭和しょうわ11ねん文部省もんぶしょうれいだい18ごう)がさだめられて翌年よくねんにはだい1かい試験しけんおこなわれた。だが、そのいっぽうでこの改正かいせいでは同時どうじそう任官にんかん判任官はんにんかん経験けいけんしゃであれば司書ししょにんずることが可能かのうとされ、戦時せんじ体制たいせい強化きょうかされると専門せんもん知識ちしき検定けんてい試験しけん合格ごうかくしゃよりも国策こくさく忠実ちゅうじつもと官吏かんり司書ししょ採用さいようされるれいおおくなった。

戦後せんご1950ねん制定せいていされた図書館としょかんほうでは、だい4じょう司書ししょ図書館としょかんかれる専門せんもんてき職員しょくいん定義ていぎし、またその資格しかく要件ようけん前述ぜんじゅつ)をさだめた[15]図書館としょかんほうにより公立こうりつ図書館としょかんにおける司書ししょとは、司書ししょとなる資格しかくゆうする図書館としょかんいんのことを意味いみすることになった。

公立こうりつ公共こうきょう図書館としょかん場合ばあい図書館としょかん設置せっち主体しゅたい自治体じちたい)が司書ししょとなる資格しかくゆうする職員しょくいん図書館としょかん勤務きんむさせることにより、図書館としょかん司書ししょ設置せっちされる。現在げんざい公立こうりつ図書館としょかん司書ししょ設置せっちのされかたについては自治体じちたいによってそれぞれことなるが、せい職員しょくいんであれば、以下いかのような事例じれいがありうる。

  • 司書ししょとなる資格しかくゆうするもの公開こうかい競争きょうそう試験しけんにより、図書館としょかん専任せんにん職員しょくいん採用さいようする。
  • とく司書ししょとなる資格しかく採用さいよう要件ようけんとしない一般いっぱん事務じむ職員しょくいんとして任用にんようした職員しょくいんのうち、司書ししょとなる資格しかくゆうする職員しょくいん図書館としょかん配属はいぞくする。

またこのそれぞれに職名しょくめい補職ほしょくめいとして「司書ししょ」を発令はつれいする自治体じちたいと、肩書かたがきのうえではとく一般いっぱん事務じむ職員しょくいん区別くべつしない自治体じちたいがある。たとえば東京とうきょう場合ばあい図書館としょかん専門せんもん職員しょくいんとして司書ししょとなる資格しかくゆうするもの試験しけんによって採用さいようし、事務じむ職員しょくいん職務しょくむめいとして「司書ししょ」を発令はつれいしており、かく特別とくべつ現在げんざい図書館としょかん専門せんもん職員しょくいん採用さいようおこなっておらず、事務じむ職員しょくいん職務しょくむめいには「司書ししょ」は存在そんざいしない。近年きんねん行政ぎょうせい合理ごうりなか地方ちほう公務員こうむいん職名しょくめい整理せいり統合とうごうされる傾向けいこうがあり、「司書ししょ」の職名しょくめい正式せいしき発令はつれいする自治体じちたい減少げんしょう傾向けいこうにある。

図書館としょかんかなら司書ししょかなければならないとはほう解釈かいしゃくされず、また公立こうりつ図書館としょかん役割やくわり実態じったい機能きのう地方ちほう公共こうきょう団体だんたいにおける人事じんじ行政ぎょうせい方針ほうしんその総合そうごうてき勘案かんあんして決定けっていされるべきであるともほう解釈かいしゃくされる。

現状げんじょう日本にっぽんでは公立こうりつ図書館としょかんにかならずしも司書ししょかれていない。また公民館こうみんかん図書としょしつなどの設置せっちをもって図書館としょかん機能きのう代替だいたいしている自治体じちたいおおいが、こうした図書館としょかん代替だいたい施設しせつ図書館としょかんほうにいう図書館としょかんにはあたらないため、そもそも司書ししょ制度せいど適用てきようがいである。

専門せんもん職制しょくせい確立かくりつくわえて、公立こうりつ図書館としょかんにおける職員しょくいん正規せいき雇用こよう司書ししょ職制しょくせいおおきな問題もんだいとして存在そんざいする[16]。もともと公立こうりつ図書館としょかん開館かいかん時間じかんながさなどをおぎなうために、非常勤ひじょうきん職員しょくいん嘱託しょくたく職員しょくいん数多かずおお雇用こようされてきた。さらに近年きんねん、これにくわえてしカウンターなどの定型ていけいてきとみなされる業務ぎょうむ外部がいぶ委託いたくや、あるいは指定してい管理かんりしゃ制度せいどPFI活用かつようによる図書館としょかん全体ぜんたい運営うんえい外部がいぶ委託いたくひろがっている[16]

受託じゅたくしゃとして図書館としょかん業務ぎょうむおこなもの職員しょくいんのなかには司書ししょとなる資格しかくゆうし、公共こうきょう図書館としょかん業務ぎょうむかんしてたか意欲いよくものすくなくないが、おおくは正規せいき雇用こようものであり、公務員こうむいん司書ししょのような安定あんていてき雇用こようにない。また図書館としょかん職員しょくいん外部がいぶ委託いたく進展しんてんにより、地方ちほう公共こうきょう団体だんたい職員しょくいんとして専任せんにん司書ししょ採用さいようするわくはますますせばまるとかんがえられる[16]。その結果けっか公共こうきょう図書館としょかんにおける司書ししょのありかた近年きんねんおおきな変動へんどうのなかにある。

2022ねん日本にっぽん図書館としょかん協会きょうかい調査ちょうさによると、国内こくない公立こうりつ図書館としょかん職員しょくいんの76%が正規せいき職員しょくいんで、2008ねんくらべ18ポイントえた。2021年度ねんど文部もんぶ科学かがくしょう調査ちょうさによると、職員しょくいんの81%が女性じょせいで、女性じょせい職員しょくいんの80%が正規せいき職員しょくいんだった。2018~2019ねん日本にっぽん図書館としょかん協会きょうかい神奈川かながわけん実施じっしした調査ちょうさによると、正規せいき職員しょくいん平均へいきん月給げっきゅうやく13まん5000えんで、図書館としょかん賃金ちんぎん家計かけいおも収入しゅうにゅうげんであるとこたえたひとは17.9%であった[17]

大学だいがく図書館としょかん司書ししょ

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大学だいがく図書館としょかんにおける司書ししょ状況じょうきょうは、国立こくりつ大学だいがく公立大こうりつだいがく私立しりつ大学だいがくのそれぞれによって事情じじょうことなる。

国立こくりつ大学だいがくでは、戦前せんぜん官立かんりつ大学だいがく附属ふぞく図書館としょかんのなかに、それぞれの設置せっち根拠こんきょである官制かんせいにもとづいて、司書ししょかん司書ししょしょうする図書館としょかん専任せんにん職員しょくいんかれていた。これらの待遇たいぐうなどについては帝国ていこく図書館としょかんのそれとほぼ同様どうようである。かれらは1946ねんたん文部もんぶ事務じむかん(のち文部もんぶ科学かがく事務じむかん)としょうされてからは司書ししょ公的こうてき肩書かたがきとすることはなかった。

専門せんもんしょくとしての採用さいようについては、1963ねん以降いこう人事院じんじいんおこな国家こっか公務員こうむいん採用さいよう試験しけんきゅう上級じょうきゅうげんIIしゅ)で「図書館としょかんがく区分くぶんおこなわれるようになったため、国立こくりつ大学だいがく図書館としょかん安定あんていてき図書館としょかん専門せんもん分野ぶんやとする職員しょくいんかれることとなった。その2004ねん国立こくりつ大学だいがく独立どくりつ法人ほうじん職員しょくいん公務員こうむいんにともなって人事院じんじいん試験しけんから図書館としょかんがく区分くぶん廃止はいしされたが、同年どうねんから国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんとう自主じしゅてきおこなっている国立こくりつ大学だいがく法人ほうじんとう職員しょくいん採用さいよう試験しけん事務じむけい職種しょくしゅひとつとして「図書としょ区分くぶんかれ、図書館としょかんがく専門せんもん知識ちしきをもつもの図書館としょかん採用さいようする努力どりょくつづけられている[14]

公立大こうりつだいがくについては、設置せっち主体しゅたいである自治体じちたい大学だいがく自身じしん人事じんじかんする方針ほうしんによって司書ししょしょくかれかたはまちまちである。公立こうりつ図書館としょかんのように、とく図書館としょかん専任せんにん職員しょくいん採用さいようするわくもうけずに事務じむ職員しょくいん図書館としょかん配属はいぞくする場合ばあいと、図書館としょかん専任せんにん職員しょくいんもうける場合ばあいとがあり、図書館としょかん職員しょくいん職名しょくめい司書ししょしょうする場合ばあいと、とく司書ししょとはわない場合ばあいがありえる。また、図書館としょかん専任せんにん職員しょくいん場合ばあいも、採用さいよう方法ほうほうには自治体じちたい公立こうりつ図書館としょかん公立こうりつ学校がっこう学校がっこう図書館としょかん共通きょうつう司書ししょしょく採用さいよう試験しけんもちいる場合ばあいと、公立大こうりつだいがく図書館としょかん司書ししょ別途べっと採用さいようする場合ばあいがある。

私立しりつ大学だいがく公立大こうりつだいがく同様どうよう設置せっち主体しゅたいである学校がっこう法人ほうじん経営けいえい方針ほうしんによって図書館としょかん専門せんもんしょくかれかたがまちまちである。早稲田大学わせだだいがくのように歴史れきしがあり規模きぼおおきい大学だいがくでは、戦前せんぜんはや時期じきから図書館としょかん選任せんにん事務じむ職員しょくいんいたことがあるが、経営けいえい方針ほうしん転換てんかんによって図書館としょかん専門せんもんしょくとしての採用さいよう場合ばあいもある。また、図書館としょかん職員しょくいん司書ししょしょうするかしょうさないかもまちまちである。

また、大学だいがく図書館としょかんのすべてに共通きょうつうする特色とくしょくとして、ほとんどの大学だいがくでは図書館としょかんちょう教員きょういんから選任せんにんされることがある。もともと戦前せんぜん官立かんりつ図書館としょかんなどではかならずしも教員きょういんから図書館としょかんちょう任命にんめいするという規定きてい存在そんざいしていなかったが、時代じだいくだると図書館としょかん日常にちじょう事務じむ司書ししょかん仕切しきり、図書館としょかんちょう教授きょうじゅ兼任けんにんして全体ぜんたい監督かんとくするという慣行かんこうしょうじた。こうした図書館としょかんちょうのありかた司書ししょかん戦後せんご図書館としょかん事務じむ部長ぶちょうあらためてからもつづき、またきゅう官立かんりつ大学だいがく以外いがい大学だいがく図書館としょかんにも波及はきゅうして現在げんざいいたっている。

学校がっこう図書館としょかん司書ししょ

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学校がっこう図書館としょかんほう規定きていされている学校がっこう図書館としょかん専門せんもんてき職員しょくいんには司書ししょ教諭きょうゆ学校がっこう司書ししょがある。司書ししょ教諭きょうゆ1953ねん制度せいどとして発足ほっそくした。司書ししょ教諭きょうゆ省令しょうれいさだめられた司書ししょ教諭きょうゆ講習こうしゅう修了しゅうりょうした教諭きょうゆてられるもので、教員きょういんとしての立場たちばから学校がっこう図書館としょかん専門せんもんてき職務しょくむおこなうことが期待きたいされている。しかし実際じっさいには司書ししょ教諭きょうゆとなる資格しかくゆうする教諭きょうゆ不足ふそくしていたことなどから、かつては学校がっこう図書館としょかんほう附則ふそくにもとづいて司書ししょ教諭きょうゆかないことができるとされ[18]附則ふそく廃止はいしされた2003ねん以降いこう司書ししょ教諭きょうゆ学級がっきゅう担任たんにん教科きょうか担任たんにんねていることがおお[19]

司書ししょ教諭きょうゆほか教員きょういんではなく学校がっこう図書館としょかん専任せんにん職員しょくいんとして学校がっこう司書ししょがある。しかしながらく設置せっちかんする法的ほうてき根拠こんきょがなく、2015ねん学校がっこう図書館としょかんほう改正かいせいによってようや法制ほうせいされ、設置せっち努力どりょく義務ぎむさだめられた。またその身分みぶん常勤じょうきん事務じむ職員しょくいん非常勤ひじょうきん職員しょくいん、ボランティアなどさまざまであり、常勤じょうきん職員しょくいん場合ばあい公立こうりつ図書館としょかんから司書ししょ異動いどうしてくるものと、学校がっこう事務じむ職員しょくいんてられるものがある。

専門せんもん図書館としょかん司書ししょ

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専門せんもん図書館としょかん設置せっち主体しゅたい官公庁かんこうちょうから企業きぎょうまで多種たしゅ多様たようであり[19]図書館としょかん司書ししょかれかた設置せっちしゃ方針ほうしんによるところがおおきい[12]。したがって、図書館としょかん専任せんにん職員しょくいんとして雇用こようされるかか、司書ししょという職名しょくめいゆうするかかはさまざまである。

司書ししょかんする課題かだい

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司書ししょ養成ようせい制度せいど問題もんだい

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司書ししょ資格しかく取得しゅとく方法ほうほうは、大学だいがく正規せいき教育きょういく課程かてい一部いちぶとして設置せっちされている司書ししょ課程かていと、夏季かき大学だいがく集中しゅうちゅうしておこなわれる司書ししょ講習こうしゅうがある。

司書ししょ課程かてい司書ししょ課程かていのための全国ぜんこく統一とういつてきなカリキュラムが図書館としょかんほう制定せいてい以来いらい現在げんざいいたるまで作成さくせいされておらず、実際じっさいには本来ほんらい現職げんしょくしゃけであり取得しゅとくもとめられる単位たんいすうすくない司書ししょ講習こうしゅう相当そうとうする科目かもく単位たんい認定にんていけて、大学だいがく卒業そつぎょうすれば司書ししょ資格しかく取得しゅとくできてしまう。

また、司書ししょ実習じっしゅう必修ひっしゅうではない。実習じっしゅう必須ひっすではないがために、司書ししょ資格しかく夏期かき集中しゅうちゅう開講かいこう講習こうしゅうでも取得しゅとく可能かのうである[注釈ちゅうしゃく 3]

このようなカリキュラムじょう問題もんだいのために司書ししょ資格しかく取得しゅとくしゃ非常ひじょうおおく、年間ねんかん1まんにんわれているが、司書ししょ資格しかく取得しゅとくしゃ求人きゅうじんはすべてのかんしゅわせてもすうひゃくにんにもたない[16]

人事じんじ制度せいど問題もんだい

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日本にっぽんにおいては、司書ししょとなる資格しかく図書館としょかんほう規定きていする公共こうきょう図書館としょかん専門せんもん職員しょくいんとなるための資格しかくであるが、公共こうきょう図書館としょかんだい部分ぶぶんめる公立こうりつ図書館としょかんでは、司書ししょ資格しかく取得しゅとくしたもの自治体じちたいせい職員しょくいんとして採用さいようする人事じんじ制度せいどがかならずしも確立かくりつしていない。

司書ししょ自治体じちたい一般いっぱん職員しょくいんのなかで、たまたま司書ししょ資格しかくゆうするもの短期間たんきかん人事じんじ異動いどう司書ししょ業務ぎょうむかせるといった雇用こよう仕方しかたをする自治体じちたいおおく、そもそも司書ししょ嘱託しょくたく職員しょくいん、または非常勤ひじょうきん職員しょくいんとしてしか採用さいようしない事例じれいすらある。さらには一部いちぶ自治体じちたいでは司書ししょ派遣はけん会社かいしゃからの派遣はけん社員しゃいんでまかなっている。

また大都市だいとしけん大学だいがく図書館としょかんでも、司書ししょ派遣はけん会社かいしゃからの派遣はけん社員しゃいんでまかなったり、図書館としょかん業務ぎょうむ一部いちぶを(あるいは全面ぜんめんてきに)業者ぎょうしゃ委託いたくしたりして図書館としょかん運営うんえいする傾向けいこうがある。大学だいがく図書館としょかん業務ぎょうむ一部いちぶを(あるいは全面ぜんめんてきに)受託じゅたくしている企業きぎょうのスタッフ大半たいはんわりが異様いようはげしいてんとう大学だいがくがわ問題もんだいになっているケースもあるといわれる。

いっぽう、図書館としょかん職員しょくいんとしての採用さいようわく確立かくりつしている国立こくりつ大学だいがく図書館としょかん運営うんえいする職員しょくいんであっても、その選考せんこう要件ようけんではかならずしも司書ししょとなる資格しかくゆうする必要ひつようはないものとされている。これは直接ちょくせつには日本にっぽんにおける司書ししょ資格しかく法的ほうてきにはあくまで公共こうきょう図書館としょかん司書ししょとなるための資格しかくであるからである。

また司書ししょ司書ししょ上級じょうきゅうしょくとして昇進しょうしんする人事じんじ制度せいど確立かくりつしていないために、図書館としょかん管理かんりしょく司書ししょからは登用とうようされにくいという問題もんだいもある。自治体じちたい大学だいがく図書館としょかんでは館長かんちょうなど運営うんえい責任せきにんしゃ司書ししょ経験けいけんしゃ就任しゅうにんすることはそれほどおおくなく、司書ししょ意思いしがじゅうぶんに図書館としょかん運営うんえい反映はんえいされないこともめずらしくない。

こうした司書ししょ人事じんじ制度せいど問題もんだいは、博物館はくぶつかんにおける学芸がくげいいん地位ちいひくさや、公文書こうぶんしょかんにおけるアーキビストしょく法制ほうせい整備せいびといった日本にっぽんにおける図書館としょかんとよく機能きのう蓄積ちくせきがた文化ぶんか施設しせつ現状げんじょうとも共通きょうつうした問題もんだいとみなすことができ、これらの施設しせつ日本にっぽんにおいてその起源きげんである欧米おうべいのそれらとくらべて多様たよう機能きのうたか社会しゃかいてき位置いちづけを獲得かくとくできていないことをものがたっている。

一般いっぱんに、日本にっぽん近代きんだい図書館としょかん制度せいどつたえた欧米おうべいにおいては、司書ししょゆう資格しかくしゃ相当そうとう高度こうど専門せんもんしょくであるとみなされている。たとえば、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくカナダでは、アメリカ図書館としょかん協会きょうかい (American Library Association,ALA) によって認定にんていされている専門せんもんしょく大学院だいがくいん課程かてい修了しゅうりょうしなければ、司書ししょとなる資格しかくることはできない。これらのくにでは、図書館としょかん運営うんえいにはかならず司書ししょ任用にんようしており、大学だいがく図書館としょかん勤務きんむ司書ししょ場合ばあいは、教員きょういんじゅんずる教育きょういく研究けんきゅう専門せんもんしょくとしての立場たちば確立かくりつされている。こうした司書ししょ地位ちいたかさは裏返うらがえすと、図書館としょかんという施設しせつ社会しゃかいてきたか地位ちいあたえられ、その多様たよう機能きのう市民しみんから認知にんちされ、また社会しゃかい基礎きそインフラとして高度こうど活用かつようされていることを意味いみしている。つまりそのような重要じゅうよう施設しせつ運営うんえいにかかわる専門せんもんしょくはそれなりにたか専門せんもんせい期待きたいされていることを意味いみしている。

労働ろうどう環境かんきょう問題もんだい

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前節ぜんせつれたように、現在げんざい図書館としょかん職員しょくいん直接ちょくせつ雇用こよう図書館としょかん全体ぜんたい急減きゅうげんする事態じたいきている。これには地方自治体ちほうじちたい財政ざいせい悪化あっかによる図書館としょかん運営うんえい費用ひよう削減さくげん指定してい管理かんりしゃ制度せいど影響えいきょうもあるとおもわれる[16]

各国かっこくにおける司書ししょ

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米国べいこく

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資格しかく要件ようけん

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アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではアメリカ図書館としょかん協会きょうかい合衆国がっしゅうこくないプエルトリコカナダにある学校がっこう設置せっちされている図書館としょかん情報じょうほう学修がくしゅう課程かてい認定にんていおこなっており、これらの認定にんていこう学位がくい図書館としょかんいん資格しかくになっている[20]

司書ししょ総数そうすう

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公共こうきょう図書館としょかん9,129かんの2001ねん現在げんざいそう専任せんにん職員しょくいんすうは13まん3,455にんで、司書ししょは4まん4,427にんである[20]

司書ししょ設置せっちりつ

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司書ししょ配置はいちりつしゅうによってことなり、ジョージアしゅうとメリーランドしゅう公立こうりつ図書館としょかんで100%となっている[20]一方いっぽう、ネブラスカしゅうでは司書ししょ設置せっちりついちわり程度ていどである[20]

英国えいこく

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図書館としょかん情報じょうほう専門せんもんしょく協会きょうかい(CILIP)によりlibrarianの資格しかく認定にんていされる[21]最低さいてい学歴がくれき学士がくしである[21]

フランス

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べいえい専門せんもんしょく団体だんたいによる資格しかく認定にんてい傾向けいこうつよいが、たいして、フランス行政ぎょうせいシステムにこうした機関きかん位置いちづけ、伝統でんとうてき図書館としょかん専門せんもん職員しょくいん養成ようせい国家こっかてき行政ぎょうせいかん養成ようせいシステムであるグランセゴールがになってきた[22]。 フランスにおける司書ししょにあたる専門せんもん職員しょくいんは、conservateur(資料しりょう管理かんり専門せんもん)である[21]国立こくりつ古文書こもんじょ学校がっこう(Ecole nationale des Chartes)、国立こくりつ情報じょうほう図書館としょかんがく高等こうとう専門せんもん学校がっこう(ENSSIB)で公的こうてき機関きかん資料しりょう管理かんりしゃ養成ようせいするほか、大学だいがく専門せんもんしょく団体だんたいでも養成ようせい実施じっししている[21]

韓国かんこく

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韓国かんこくでは、文化ぶんか観光かんこう司書ししょ認定にんていする[21]じゅん司書ししょ、2きゅう司書ししょ、1きゅう司書ししょ存在そんざいし、最低さいてい学歴がくれきは、じゅん司書ししょ短大たんだい、2きゅう司書ししょ学士がくし修士しゅうし、1きゅう司書ししょ博士はかせである[21]短大たんだい・4ねんせい大学だいがく大学院だいがくいん修士しゅうし課程かてい文献ぶんけん情報じょうほうがく専攻せんこうなどで養成ようせい実施じっししている[21]

インターネット時代じだいにおける司書ししょ

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インターネット普及ふきゅうによって情報じょうほう発信はっしん入手にゅうしゅ容易よういになりほん地位ちい低下ていかしていること、Google代表だいひょうされる検索けんさくサイトの機能きのう向上こうじょうによってだれでもりたい情報じょうほう調しらべやすくなってきていることにより、情報じょうほう入手にゅうしゅにおける図書館としょかん従来じゅうらい役割やくわり変動へんどうしつつあることも重要じゅうよう課題かだいである[23][24]。インターネット時代じだいにおいては市民しみんにとって日常にちじょう生活せいかつ情報じょうほう入手にゅうしゅ行動こうどうのなかで司書ししょ必要ひつようせい実感じっかんされる機会きかいはよりうしなわれつつある。いっぽうで、インターネットでも入手にゅうしゅできない、あるいはインターネット由来ゆらい情報じょうほう正確せいかくせい検証けんしょうする場合ばあい必要ひつようとされるような専門せんもんせいたか情報じょうほう入手にゅうしゅや、コンピューターをあつかうのが苦手にがて利用りようしゃ依頼いらいこたえるため[25]には司書ししょたか専門せんもんせいかせないとわれている[26][25]

今後こんご図書館としょかん司書ししょはインターネットの普及ふきゅうなど技術ぎじゅつ進展しんてんによる情報じょうほう入手にゅうしゅ手段しゅだん多様たよう対応たいおうし、さまざまな情報じょうほう蓄積ちくせきした図書館としょかん高度こうど専門せんもんせいゆうする司書ししょがそろわなければできない付加ふか価値かちたかいサービスを構築こうちくし、提供ていきょうしていくことがもとめられている[27][28]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 図書館としょかん保管ほかんできる資料しりょうかぎりがあるのでどの資料しりょう廃棄はいきするのか判断はんだんするのも司書ししょ重要じゅうよう仕事しごとである。
  2. ^ 国立こくりつ大学だいがく採用さいよう試験しけん合格ごうかくしゃには司書ししょ資格しかくったもの割合わりあいたかいとわれる[11]
  3. ^ ただし通学つうがく課程かてい大学だいがくによっては実習じっしゅうもうけているところもある。

出典しゅってん

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  1. ^ a b もり 2016, p. 69.
  2. ^ もり 2016, pp. 73–75.
  3. ^ もり 2016, pp. 114–119.
  4. ^ もり 2016, pp. 76–77.
  5. ^ a b c d e f g h つくだ いち図書としょ図書館としょかんむらぼう、2012ねん、22ぺーじ 
  6. ^ もり 2016, p. 134.
  7. ^ a b c 司書ししょについて 1.司書ししょになるためには 文部もんぶ科学かがくしょう
  8. ^ 司書ししょについて 3.図書館としょかん職員しょくいんになるためには 文部もんぶ科学かがくしょう
  9. ^ もり 2016, p. 135.
  10. ^ もり 2016, pp. 143–144, 145.
  11. ^ もり 2016, pp. 143–144.
  12. ^ a b もり 2016, p. 145.
  13. ^ 司書ししょについて:文部もんぶ科学かがくしょう”. www.mext.go.jp. 2018ねん11月29にち閲覧えつらん
  14. ^ a b c d もり 2016, p. 144.
  15. ^ もり 2016, p. 61.
  16. ^ a b c d e もり 2016, p. 142.
  17. ^ 作家さっかぎょう司書ししょつづけるため 正規せいきはたら執筆しっぴつ佐原さわらひかりさんにく:朝日新聞あさひしんぶんデジタル”. 朝日新聞あさひしんぶん. 2023ねん11月5にち閲覧えつらん
  18. ^ もり 2016, p. 66.
  19. ^ a b もり 2016, p. 67.
  20. ^ a b c d しょ外国がいこく公共こうきょう図書館としょかんかんする調査ちょうさ報告ほうこくしょ アメリカの公共こうきょう図書館としょかん”. 文部もんぶ科学かがくしょう. 2019ねん5がつ10日とおか閲覧えつらん
  21. ^ a b c d e f g 石川いしかわ徹也てつや,根本ねもとあきら,吉見よしみ俊哉としや へん 2011, p. 16.
  22. ^ 石川いしかわ徹也てつや,根本ねもとあきら,吉見よしみ俊哉としや へん 2011, p. 18.
  23. ^ もり 2016, p. 89.
  24. ^ 常世田とこよだ 2003, pp. 148–149.
  25. ^ a b 福嶋ふくしま 2014, pp. 142–143.
  26. ^ 常世田とこよだ 2003, pp. 50–52.
  27. ^ 常世田とこよだ 2003, pp. 60–62.
  28. ^ 大串おおぐし & 常世田とこよだ 2010, pp. 110–115.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • もり智彦ともひこ、2016、『司書ししょになるには初版しょはんだい1さつ、ぺりかんしゃ〈なるにはBOOKS〉 ISBN 978-4831514202
  • 常世田とこよだりょう、2003、『浦安うらやす図書館としょかんにできること-図書館としょかんアイデンティティだい1はんだい1さつ、勁草書房しょぼう図書館としょかん現場げんば〉 ISBN 978-4326098279
  • 大串おおぐしなつ常世田とこよだりょう共著きょうちょ、2010、『図書館としょかん概論がいろんだい1はんだい1さつ、1、学文社がくぶんしゃ図書館としょかん情報じょうほうがくシリーズ〉 ISBN 978-4762020599
  • これからの図書館としょかんかた検討けんとう協力きょうりょくしゃ会議かいぎ『これからの図書館としょかんぞう地域ちいきささえる情報じょうほう拠点きょてんをめざして-(報告ほうこく)』2006ねん< http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/04/06032701.htm >
  • だい10分科ぶんかかい図書館としょかんがく教育きょういく : 司書ししょ養成ようせい専門せんもんしょく制度せいど現状げんじょう展望てんぼう」『平成へいせい17年度ねんどだい91かい全国ぜんこく図書館としょかん大会たいかい茨城いばらき大会たいかい記録きろく』、2005ねん(CD-ROMばん分科ぶんかかい記録きろくへん)< http://www.lib.pref.ibaraki.jp/home/ila/jla/jla_index.htm >)
  • 日本にっぽん図書館としょかん協会きょうかい図書館としょかんハンドブック編集へんしゅう委員いいんかいへん)『図書館としょかんハンドブック』だい6はん日本にっぽん図書館としょかん協会きょうかい、2005ねん
  • 薬袋みない秀樹ひでき図書館としょかん運動うんどうなにのこしたか : 図書館としょかんいん専門せんもんせい』勁草書房しょぼう、2001ねん
  • 文部もんぶ科学かがくしょう科学かがく研究けんきゅう補助ほじょきん研究けんきゅう成果せいか報告ほうこくしょ情報じょうほう専門せんもんしょく養成ようせいけた図書館としょかん情報じょうほうがく教育きょういく体制たいせいさい構築こうちくかんする総合そうごうてき研究けんきゅう』2006ねん http://wwwsoc.nii.ac.jp/jslis/liper/report06/report.htm
  • いわざる敏生としお日本にっぽん図書館としょかん概説がいせつ日外にちがいアソシエーツ、2007ねんISBN 9784816920233
  • 図書館としょかん用語ようご辞典じてん編集へんしゅう委員いいんかい へん最新さいしん図書館としょかん用語ようごだい辞典じてん柏書房かしわしょぼう、2004ねんISBN 9784760124893
  • 福嶋ふくしまさとし、2014、『かみほんは、ほろびないだい1さつポプラ社ぽぷらしゃ〈ポプラ新書しんしょ〉 ISBN 978-4-591-13742-0
  • 石川いしかわ徹也てつや,根本ねもとあきら,吉見よしみ俊哉としや へん『つながる図書館としょかん博物館はくぶつかん文書ぶんしょかん-デジタル時代じだい基盤きばんづくりへ』東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱんかい、2011ねん 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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