周しゅう公こう旦だん

周しゅう公こう 姫ひめ旦だん
周しゅう
初代しょだい周しゅう公こう
周しゅう公こう像ぞう（『三さん才さい図会ずえ』より）
王朝おうちょう	周しゅう
在位ざいい期間きかん	不明ふめい–紀元前きげんぜん1037年ねん
姓せい・諱いみな	姫ひめ旦だん
没年ぼつねん	紀元前きげんぜん1037年ねん?
父ちち	周しゅう文ぶん王おう
母はは	太ふとし姒
子こ	伯はく禽
※※周しゅうは周しゅうとは異ことなる

周しゅう公こう旦だん
生年月日せいねんがっぴ	不ふ詳しょう
没ぼつ年月日ねんがっぴ	不ふ詳しょう
称号しょうごう	周しゅう文ぶん公こう
親族しんぞく	文ぶん王おう（父ちち）
周しゅうの摂政せっしょう
在任ざいにん期間きかん	紀元前きげんぜん1043年ねん？ - 紀元前きげんぜん1037年ねん？
王おう	成なり王おう

周しゅう公こう旦だん
各種かくしゅ表記ひょうき
繁体字はんたいじ：	周しゅう公こう旦だん
簡体字かんたいじ：	周しゅう公こう旦だん
拼音：	Zhōugōng Dàn
ラテン字じ：	Zhou Gong Dan
発音はつおん転記てんき：	ツォウコンタン
英語えいご名めい：	Dan,Duke of Zhou
発音はつおん転記てんき：	チータン

周しゅう公営こうえい造づくり洛らく邑（洛陽らくよう市し）

周しゅう公こう旦だん（しゅうこう たん）は、中国ちゅうごく周しゅう王朝おうちょうの政治せいじ家かで且かつ、周しゅう邑の君主くんしゅ。姓せいは姫ひめ、諱いみなは旦だん。周しゅう文ぶん公こうとしても知しられる。魯の初代しょだいの公おおやけである伯はく禽の父ちち。呂りょ尚ひさし（太公望たいこうぼう）や召公奭と並ならぶ、周しゅう建国けんこくの功臣こうしんの一人ひとりである。

生涯しょうがい

「周しゅう公こう」は称号しょうごうと思おもわれる。周しゅうの西伯さいはく昌あきら（文ぶん王おう）の四よん男なんで、母ははは太ふとし姒。

次兄じけいにあたる初代しょだい武たけ王おう存命ぞんめい中ちゅうは兄あにの補佐ほさをして殷いん打倒だとうに当あたったとだけとしかわからない。

周しゅうが成立せいりつすると曲きょく阜に封ふうじられて魯公となるが、天下てんかが安定あんていしていないので魯に向むかうことはなく、嫡子ちゃくしの伯はく禽に赴おもむかせてその支配しはいを委ゆだね、自みずからは中央ちゅうおうで政治せいじにあたっていた。

建国けんこく間あいだもない時期じきに武ぶ王おうは病やまいに倒たおれ、余命よめいいくばくもないという状態じょうたいに陥おちいった。これを嘆なげいた旦だんは自みずからを生贄いけにえとすることで武たけ王おうの病やまいを治なおしてほしいと願ねがった。武たけ王おうの病やまいは一時いちじ回復かいふくしたが、再ふたたび悪化あっかして武たけ王おうは崩御ほうぎょした。

武たけ王おうの死しにより、武たけ王おうの少子しょうし（年少ねんしょうの子こ）の成なり王おうが位くらいに就ついた。成なり王おうは未いまだ幼少ようしょうであったため、旦だんは摂政せっしょうとなり、三公みつきみの太ふとし傅でんとなって建国けんこく直後ちょくごの周しゅうを安定あんていさせた。

その中なかで三さん監かんの乱らんが起おきた。殷いんの帝みかど辛からしの子この武たけ庚かのえ（禄ろく父ちち）は旦だんの三さん兄けいの管かん叔鮮と五ご弟おとうとの蔡叔度ど、さらに八はち弟おとうとの霍叔処しょら三さん監かんに監かん視しされていた。だが、霍叔処しょを除のぞく二人ふたりは旦だんが成なり王おうの摂政せっしょうに就ついたのは簒奪さんだつの目論見もくろみがあるのではと思おもい、武たけ庚かのえを担かつぎ上あげて乱らんを起おこしたのである。反乱はんらんを鎮圧ちんあつした旦だんは武たけ庚かのえと同母どうぼ兄けいの管かん叔鮮を誅殺ちゅうさつし、同母どうぼ弟おとうとの蔡叔度どは流罪るざい、霍叔処しょは庶人に落おとし、蔡叔度どの子この蔡仲に蔡の家督かとくを継つがせた。

さらに、引ひき続つづき唐とうが反乱はんらんを起おこしたので、再ふたたび旦だん自みずからが軍勢ぐんぜいを率ひきいて、これを滅ほろぼした。

その後ご、7年ねんが経たち成なり王おうも成人せいじんしたので旦だんは成なり王おうに政権せいけんを返かえして臣下しんかの地位ちいに戻もどった。その後ご、洛らく邑（洛陽らくよう、成なり周しゅうと呼よばれる）を営築し、ここが周しゅうの副ふく都ととなった。

また旦だんは、礼れい学がくの基礎きそを形作かたちづくった人物じんぶつとされ、周しゅう代だいの儀式ぎしき・儀礼ぎれいについて書かかれた『周しゅう礼あや』、『儀礼ぎれい』を著あらわしたとされる。旦だんの時代じだいから遅おくれること約やく500年ねんの春秋しゅんじゅう時代じだいに儒学じゅがくを開ひらいた孔子こうしは魯の出身しゅっしんであり、文武両道ぶんぶりょうどうの旦だんを理想りそうの聖人せいじんと崇あがめ、常つねに旦だんのことを夢ゆめに見み続つづけるほどに敬慕けいぼし、ある時ときに夢ゆめに旦だんのことを見みなかった（「吾われ不ふ復ふく夢見ゆめみ周しゅう公こう」）ので「年としを取とった」と嘆なげいたという。

「周しゅう公こう」の称号しょうごうについては旦だんは周しゅうの故こ地ちである岐山きざんに封ふうじられて周しゅうの公おおやけ（君主くんしゅ）となったのでこう呼よばれるのではないかとの説せつもある。また、武たけ王おうが崩御ほうぎょした後のちに旦だんは本当ほんとうは即位そくいして王おうになっており、その後ご成なり王おうに王位おういを返かえしたのではないかとの説せつもある。

周しゅう公こうの墓はかはどこにあるのかは未いまだ謎なぞであるが、2004年ねんに陝西せんせい省しょう宝たから鶏にわとり市し岐山きざん県けんの周しゅう公こう廟びょう付近ふきんで、それらしい墓はかが発見はっけんされている。

評価ひょうか

『尚書しょうしょ大伝だいでん』は、「一いち年ねんで乱らんを収おさめ、二に年ねんで殷いんを滅ほろぼし、三さん年ねん奄を践ふみ、四よん年ねんで封建ほうけんし、五ご年ねんで成なり周しゅうを営いとなみ、六ろく年ねんで礼れいを制せいし、七なな年ねんで政権せいけんを返還へんかんした」と旦だんを評ひょうする。

前漢ぜんかん末まつの思想家しそうか賈誼は旦だんを「文ぶん王おう、武たけ王おうのあらゆる功績こうせきを一身いっしんにまとい、黄き帝みかどより後ご、孔子こうしより前まえの人物じんぶつでは右みぎに出でるものが無ない」と評ひょうした。

周しゅう公こう旦だんは賢人けんじんが訪おとずれると、何なん度どでも、食事しょくじ中ちゅうなら口くちの中なかの食たべ物ものを吐はき出だし、洗髪せんぱつの折おりは髪かみを握にぎったまま出迎でむかえたとされる。

握にぎ髪かみ吐哺

（あくはつとほ）

吐哺握髪かみともいう。為政者いせいしゃの、賢者けんじゃを求もとめ、得える気持きもちの強つよく熱心ねっしんなたとえ。周しゅう公こうは賢者けんじゃの訪問ほうもんを受うけたときは、洗髪せんぱつ中ちゅうでもたびたび洗あらいかけの髪かみを手てに握にぎったまま、また食事しょくじ中ちゅうでもいったん口くちにふくんだ食たべ物ものでもそれを吐はき出だして、待またせることなくすぐに出でて面接めんせつしたという故事こじ。『史記しき』魯周公こう世よ家かによる。

周しゅう公こうを題材だいざいとした作品さくひん

『周しゅう公こう解かい夢ゆめ』

周しゅう公こうが夢ゆめの解釈かいしゃくにまつわる伝承でんしょうをまとめて編あませたと伝つたわる夢ゆめ占うらないの古書こしょ。ただし、今日きょうではこの書しょは後代こうだいのものであり、名君めいくんと謳うたわれた周しゅう公こうに仮託かたくするかたちでその名なを書名しょめいに冠かんしたものであるという見方みかたが定説ていせつとなっている。

『短歌たんか行ぎょう』

詩人しじんとしても知しられた『三国志さんごくし』の曹操そうそう作さくの漢詩かんし。人材じんざいを得えることに専心せんしんして天下てんかの民みんを心服しんぷくさせた周しゅう公こうの姿勢しせいを高たかく評価ひょうかして、自みずからの手本てほんとしている。

『周しゅう公こう旦だん』

酒見さかみ賢一けんいち著ちょの歴史れきし小説しょうせつ、第だい19回かい新田にった次郎じろう文学ぶんがく賞しょう受賞じゅしょう作さく（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう1999年ねん、文春ぶんしゅん文庫ぶんこ2003年ねん）。

その他た

周しゅう公こう祠ほこら

山東さんとう省しょう曲きょく阜の孔あな廟びょうの東北とうほくには、周しゅう公こう旦だんを祀まつる周しゅう公こう廟びょう（曲きょく阜周公こう廟びょう）が現存げんそんしている。

周しゅう公こうを訪たずねる

広東かんとん語ごでは孔子こうしが夢ゆめで旦だんに教おしえを請こうた故事こじから、「周しゅう公こうを訪たずねる」という意味いみの「揾周公こう」（wán jāu gūng）という語句ごくが「寝ねる」という意味いみで使つかわれている。