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きょく体制たいせい

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きょく体制たいせい(たきょくたいせい、えい: Multipolar System)、もしくは多極化たきょくか(たきょくか、えい: Multipolarization)とは、複数ふくすう国家こっかもしくはグループ[ちゅう 1]世界せかい影響えいきょうあたえている国際こくさい社会しゃかい[1]

歴史れきし

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だい世界せかい大戦たいせん以前いぜん

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1898ねん当時とうじ帝国ていこく主義しゅぎ列強れっきょう勢力せいりょく

きょく体制たいせい起源きげん19世紀せいき末期まっきから20世紀せいき初期しょき帝国ていこく主義しゅぎ植民しょくみん主義しゅぎ時代じだいもとめることができる。当時とうじ数多かずおお列強れっきょうがしのぎをけずり、それぞれのくに複雑ふくざつ対立たいりつ同盟どうめい関係かんけい形成けいせいしていた。しかし、だいいち世界せかい大戦たいせん帝国ていこく主義しゅぎ国家こっか植民しょくみん主義しゅぎ国家こっか衰退すいたいはじまり、だい世界せかい大戦たいせん帝国ていこく主義しゅぎ植民しょくみん主義しゅぎ時代じだい終結しゅうけつした。

1945ねんだい世界せかい大戦たいせんわると、世界せかい資本しほん主義しゅぎ名目めいもくとするアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくと、社会しゃかい主義しゅぎ名目めいもくとするソビエト連邦れんぽうの2かこく覇権はけんにぎ両極りょうきょく体制たいせいへと移行いこうした。両極りょうきょく体制たいせいにおいて、小国しょうこくは2つのちょう大国たいこくのいずれかから援助えんじょける外交がいこう展開てんかいしていた。しかし、1991ねんソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかい。これ以後いご2000年代ねんだいにかけて、唯一ゆいいつちょう大国たいこくであるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくによるいちきょく体制たいせいつづくことになる。

9.11テロといちきょく体制たいせい衰退すいたい

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ソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかいし、1992ねんからはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくいちきょく体制たいせいパクス・アメリカーナ)の時代じだいはじまった。しかし、2001ねん9月11にちこったイスラム過激かげきによるアメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけんがねとして、アメリカのいちきょく体制たいせいかげりがはじめる。2000年代ねんだい後半こうはんはいるとロシア連邦れんぽう中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくイランなど、アメリカによるいちきょく体制たいせい否定ひていする大国たいこくあらわはじめる。ロシアは「冷戦れいせん敗戦はいせんこく」であったが、豊富ほうふ天然てんねん資源しげん景気けいき好転こうてんし、とくに9.11テロ以後いご冷戦れいせん時代じだい復活ふっかつ夢見ゆめみ21世紀せいき世界せかいにおけるあらたなきょくになろうとしており、「アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくによるいちきょく支配しはいれられない」「世界せかいきょくてきであるべきだ」とアメリカを批判ひはんしている。

リーマンショックときょく

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世界せかい各国かっこく軍事ぐんじてき勢力せいりょく
青色あおいろ北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう加盟かめいこく
水色みずいろ上海しゃんはい協力きょうりょく機構きこうおよ集団しゅうだん安全あんぜん保障ほしょう条約じょうやく加盟かめいこく
緑色みどりいろアフリカ連合れんごう加盟かめいこく
赤色あかいろ南米なんべい防衛ぼうえい評議ひょうぎかい

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくいちきょく体制たいせい原因げんいんで2007ねんから2010ねんにかけて世界せかい同時どうじきょうこしており、ロシアや中国ちゅうごく、イランをはじめとする反米はんべい国家こっかからおおきな批判ひはんびている。そして、世界せかい同時どうじきょう象徴しょうちょうする2008ねん9がつ15にちリーマン・クライシスならびに同年どうねん11がつ14にちだい1かいG20首脳しゅのう会議かいぎによって、アメリカのいちきょく体制たいせい時代じだいわることになった。2008ねん以後いごきょく体制たいせい象徴しょうちょうとされたG20嚆矢こうしにして、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくともEU中国ちゅうごくインドラテンアメリカ諸国しょこくロシア中東ちゅうとう諸国しょこくなどが世界せかい経済けいざい牽引けんいんしてゆく状況じょうきょうになっている。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくは「世界せかい警察けいさつ」として、強大きょうだい発言はつげんりょく軍事ぐんじりょくほこっていた。しかし中国ちゅうごくやロシア、イランの国力こくりょく増大ぞうだいや、ラテンアメリカの「だつアメリカ」志向しこうは、アメリカのいちきょく体制たいせいおどかしつつある。2014ねん3がつ18にち、ロシアが軍事ぐんじりょく背景はいけいクリミア編入へんにゅう[ちゅう 2]強行きょうこうしたことについて、専門せんもんからはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくちからよわまり、世界せかい多極化たきょくかすすんでいることが指摘してきされている。ただ、2014ねん時点じてん世界せかいは「きょく体制たいせい」ではなく、「きょく体制たいせい」であるとするきもあり、地球ちきゅうじょうからどこにも絶対ぜったいてきちから国家こっかヘゲモニー)がくなっていることで世界せかい流動りゅうどう不安定ふあんてい、いわばカオスすすんでいるという見方みかたもあった。

BRICSおよびGSと多極化たきょくか

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BRICSばれるブラジル、ロシア、インド、中国ちゅうごくみなみアフリカで構成こうせいする5かこくは、多極化たきょくかする世界せかいでリーダーシップの発揮はっき目指めざすとし、欧米おうべい大国たいこくG7)に対抗たいこうする姿勢しせいしめしている[2]。2024ねん1がつにはエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽうの4かこく正式せいしき加盟かめいこくとなり、BRICSは9かこく体制たいせいとなった。これにより習近ひらた国家こっか主席しゅせきねらう「アメリカいちきょく体制たいせいから多極化たきょくかへ」の地殻ちかく変動へんどうが、実現じつげんけてふかまりをせている[3]

2022ねんロシアのウクライナ侵攻しんこう以後いご多極化たきょくかする世界せかい影響えいきょうりょくつよめてグローバルサウスなどのだい3こく陣営じんえいもうとするせめぎいが、欧米おうべい(G7)とちゅう(BRICS)あいだはげしさをしており、競合きょうごうする複数ふくすう陣営じんえいからる『多極化たきょくかした世界せかい』がおとずれようとしている[4]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ たとえばG7BRICSなど。
  2. ^ 詳細しょうさいは「ロシアによるクリミアの併合へいごう」を参照さんしょう

出典しゅってん

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関連かんれん項目こうもく

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