奥州おうしゅう工藤くどう氏し

厨川くりやがわ工藤くどう氏し
	?
本姓ほんせい	藤原ふじわら南みなみ家か為ため憲けん流りゅう伊豆いず工藤くどう庶流
家いえ祖そ	工藤くどう長光ちょうこう
種別しゅべつ	武家ぶけ
出身しゅっしん地ち	甲斐かい国こく
主おもな根拠地こんきょち	陸奥みちのく国こく岩手いわて郡ぐん栗屋くりや河かわ（厨川くりやがわ）
支流しりゅう、分家ぶんけ	坂さか牛うし氏し（武家ぶけ）など
	凡例はんれい / Category:日本にっぽんの氏族しぞく

奥州おうしゅう工藤くどう氏し
	庵あんに木瓜ぼけ（いおりにもっこう）
本姓ほんせい	藤原ふじわら南みなみ家か為ため憲けん流りゅう伊豆いず工藤くどう庶流
家いえ祖そ	工藤くどう景けい任にん
種別しゅべつ	武家ぶけ
出身しゅっしん地ち	伊豆いず国こく
主おもな根拠地こんきょち	甲斐かい国こく巨摩こま郡ぐん
支流しりゅう、分家ぶんけ	厨川くりやがわ工藤くどう氏し（武家ぶけ）など
	凡例はんれい / Category:日本にっぽんの氏族しぞく

奥州おうしゅう工藤くどう氏し（おうしゅうくどうし）は、日本にっぽんの氏族しぞく。藤原ふじわら南みなみ家か・乙おつ麻呂まろの後裔こうえい・藤原ふじわら為ため憲けんを祖そとする工藤くどう氏しの支流しりゅうである伊豆いず工藤くどう氏しの庶流。

概要がいよう[編集へんしゅう]

伊豆いず工藤くどう氏しはその名なの通とおり伊豆いず国こくを本拠ほんきょにしていたが、奥州おうしゅう工藤くどう氏しの祖そとされている工藤くどう景けい任にんは甲斐かい国こくに移うつり住すみ、同国どうこく巨摩こま郡ぐんを本拠ほんきょとしており、源みなもと頼朝よりともに臣従しんじゅうした玄孫げんそんの工藤くどう景けい光こうも当初とうしょは甲斐かい源はじめ氏しの安田やすだ義よし定じょうと行動こうどうしている^[1]。源みなもと頼朝よりともによる文治ぶんじ5年ねん（1189年ねん）の奥州おうしゅう合戦かっせんの際さい、工藤くどう景けい光こう・行光ゆきみつ父子ふしは一家いっかを挙あげて従軍じゅうぐんしそれぞれ軍功ぐんこうをたて、同どう文治ぶんじ5年ねん（1189年ねん）9月がつ12日にちに工藤くどう行光ゆきみつに対たいして岩手いわて郡ぐんに所領しょりょうを給きゅうされその地ちに代官だいかんを置おいた。また、工藤くどう景けい光こうの長男ちょうなん・行ぎょう光こうを祖そとする鎌倉かまくら御家人ごけにん厨川くりやがわ工藤くどう氏しの末裔まつえいと称しょうする諸しょ士しが岩手いわて郡ぐんに広ひろがり、戦国せんごく期きまで各地かくちに蟠踞ばんきょ（ばんきょ）していた。

伊豆いず工藤くどう氏しの子孫しそんは全国ぜんこくに展開てんかいし、工藤くどう祐ゆう経けいの長子ちょうし・祐時すけときは伊豆いずを出でて奥州おうしゅうに下向げこう、祐時すけときの次男じなん・祐ゆう先さきは三さん戸この名久井なくい館かんに居住きょじゅうし、葛巻くずまき工藤くどう氏しの祖そとなったともあり^{[要よう出典しゅってん]}、その子孫しそんと伝つたえられる八戸はちのへ工藤くどう氏しは^{[要よう出典しゅってん]}、鎌倉かまくら期きに北条ほうじょう氏し被官ひかんとして、得とく宗そう領りょうの糠ぬか部ぶ郡ぐんや津軽つがる郡ぐんへ地頭じとう代だいに任にんじられた。

工藤くどう氏しは鎌倉かまくら幕府ばくふ滅亡めつぼうに際さいしては、幕府ばくふ側がわと朝廷ちょうてい方かたに一族いちぞくが分裂ぶんれつして多おおくは幕府ばくふ方かたに付ついて衰退すいたいしたが、八戸はちのへ郷きょうの工藤くどう孫まご四よん郎ろう・孫次まごじ郎ろう経けい光こうのようにいったん朝廷ちょうてい方かたにつきながら日和見ひよりみをしたために所領しょりょうを没収ぼっしゅうされた者ものもいる。

南北なんぼく朝あさ時代じだいには岩手いわて郡ぐんの工藤くどう光ひかり家かも建たて武たけし元年がんねん（1334年ねん）に建たて武たけし政権せいけんに反旗はんきを翻ひるがえし、南部なんぶ信長のぶながに討うたれている。そうした中なかで、工藤くどう貞行さだゆきの朝廷ちょうてい方かたとしての活躍かつやくは目覚めざましく、その勲功くんこうの賞しょうとして山辺やまべ郡ぐん・田舎いなか郡ぐん・鼻和はなわ郡ぐん・外浜そとはまなどの所領しょりょうを得えて、これらは女じょ加か伊い寺てら（南部なんぶ信政のぶまさ妻つま）を通つうじて後のちに南部なんぶ氏しに伝でん領りょうされた。^[2]

系図けいず[編集へんしゅう]

伊豆いず工藤くどう氏し

祐成すけなり

(曽我そが十郎じゅうろう)

^{河津かわづ三郎さぶろう}
祐ゆう泰やすし

祐ゆう家か

^{伊東いとう入道にゅうどう}
祐親すけちか

時致ときむね

(曽我そが五郎ごろう)

^{伊東いとう九郎くろう}
祐ゆう清きよし

^{伊豆いず押領使し}
維職

^{工藤くどう}
定てい経けい

祐ゆう経けい

^{大和やまと守まもる}
祐時すけとき

(八戸はちのへ工藤くどう氏し)

祐ゆう継つぎ

^{宇佐美うさみ三郎さぶろう}
祐ゆう茂しげる

祐ゆう長ちょう

^{駿河するが権守ごんもり}
維景

宗そう光ひかり

政せい茂しげる

^狩野かの
茂光しげみつ

行光ゆきみつ

為ため佐さ

親光ちかみつ

永光ながみつ

^{工藤くどう中務なかつかさ}
行光ゆきみつ

(厨川くりやがわ工藤くどう氏し)

^{工藤くどう庄司しょうじ}
景けい光こう

資し光こう

景けい任にん

資し広ひろ

行くだり景けい

景けい澄きよし

朝光ともみつ

重光しげみつ

時どき澄きよし

「岩手いわて県けん史し」

厨川くりやがわ工藤くどう氏し[編集へんしゅう]

工藤くどう行光ゆきみつの死後しご、長子ちょうし・中務なかつかさ太郎たろう長光ちょうこうは建たて久ひさ年間ねんかんに下向げこうして厨川くりやがわ（くりやがわ）に居住きょじゅうしたとあり、厨川くりやがわ館かんを定さだめ岩手いわて郡ぐんを統治とうちして「岩手いわて殿どの」と呼よばれた。また行光ゆきみつの弟おとうと・三郎さぶろう資し光こうも岩手いわて郡ぐんに住すみ、その子孫しそんが糠ぬか部ぶ郡ぐんに分ぶん住じゅうしたとあり、南北なんぼく朝あさ時代じだい以降いこう南部なんぶ氏しに従したがって三戸さんのへ郡ぐん坂牛さかうし村むらに住じゅうし坂さか牛うし氏しの祖そとなった。（『奥おく南みなみ落穂おちぼ集しゅう』）

南北なんぼく朝あさの争乱そうらんの際さいに北朝ほくちょう方かたにつき、三さん戸こ南部なんぶ氏しに討うたれて地頭じとう職しょくを停止ていしされ、近郊きんこう10か村そんを領りょう知ちするに至いたり厨川くりやがわ氏しを称しょうした。、厨川くりやがわ（栗谷川くりやがわ）氏しは南北なんぼく朝あさ期き以後いごも有力ゆうりょく氏族しぞくとの婚姻こんいんを重かさね、最終さいしゅう的てきには南部なんぶ家かの家臣かしんに組くみ込こまれていった^[3]。

安土あづち桃山ももやま時代じだいまで領りょうしていた北上川きたかみがわ西岸せいがんの厨川くりやがわ城じょう(栗ぐり谷川たにがわ古城こじょう)が居館きょかんであったが、天正てんしょう20年ねん(1592年ねん)「諸しょ城しろ破やぶ却令」に廃はい城じょうされた。

系図けいず[編集へんしゅう]

厨川くりやがわ工藤くどう氏し系図けいず

<鎌倉かまくら期き>

^{工藤くどう中務なかつかさ}
行光ゆきみつ

^{工藤くどう中務なかつかさ・住じゅう厨川くりやがわ}
長光ちょうこう

徳光とくみつ

繁光しげみつ

光敏みつとし

^{工藤くどう主計かずえ}
種たね光こう

光永みつなが

^{工藤くどう中務なかつかさ}
光ひかり文ぶん

(※伊豆いず工藤くどう氏し)

^{工藤くどう庄司しょうじ}
景けい光こう

吉よし隆たかし

祐ゆう如

^{住じゅう岩手いわて郡ぐん}
資し光こう (祐光ゆうこう)

朝光ともみつ

重光しげみつ

<室町むろまち期き>

^{工藤くどう中務なかつかさ}
光永みつなが

^{工藤くどう中務なかつかさ}
光ひかり文ぶん

光興みつおき

千せん光ひかり

光武みつたけ

^{厨川くりやがわ兵部ひょうぶ少しょう輔}
光ひかり林りん

光勝こうしょう

如光

「岩手いわて県けん史し」

室町むろまち期き系図けいずの出典しゅってんは(岩手いわて県けん編纂へんさん 1961b, pp. 388–389)。

得とく宗むね被官ひかん工藤くどう氏し[編集へんしゅう]

系図けいず[編集へんしゅう]

助光すけみつ（資し光こう）流りゅう

景けい光こう - 助光すけみつ - 光ひかり泰やすし（光長みつなが） - 頼光よりみつ - 宗そう光ひかり - 貞光さだみつ

工藤くどう光ひかり泰やすし - 小しょう侍さむらい所しょ所司しょし
工藤くどう貞光さだみつ - 御ご内侍所ないしどころ

重光しげみつ流りゅう

景けい光こう―重光しげみつ―高こう光ひかり――祐光ゆうこう
　　　　　　　　 └―時どき光こう―貞祐ていゆう――高こう景けい
　　　　　　　　　　　　　　　 　└祐ゆう景けい

工藤くどう時じ光ひかり - 工藤くどう右みぎ衛門えもん入道にゅうどう。工藤くどう杲禅。工藤くどう杲暁。得とく宗むね家いえ公文こうぶん所しょ執事しつじ、若狭わかさ国こく（得とく宗むね分ぶん国こく）守護しゅご代だい。
工藤くどう貞祐ていゆう - 工藤くどう次じ(二に)郎ろう右みぎ衛門えもん尉じょう。若狭わかさ国こく（得とく宗むね分ぶん国こく）守護しゅご代だい、摂津せっつ国こく多田院ただいん造営ぞうえい惣そう奉行ぶぎょう。
工藤くどう高だか景けい - 工藤くどう次じ(二に)郎ろう右みぎ衛門えもん尉じょう。赤坂あかさか城じょう合戦かっせん・千早ちはや城じょう合戦かっせん時どきの大和やまと道どう軍ぐん軍ぐん奉行ぶぎょう。

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

今野こんの慶信よしのぶ「藤原ふじわら南みなみ家か武智たけち麿まろ四男乙麻呂流鎌倉御家人の系図けいず」峰岸みねぎし純夫すみお他た編へん『中世ちゅうせい武家ぶけ系図けいずの史料しりょう論ろん』上巻じょうかん高志こうし書院しょいん、2007年ねん ISBN 978-4-86215-029-5
細川ほそかわ重男しげお『鎌倉かまくら幕府ばくふの滅亡めつぼう』（吉川弘文館よしかわこうぶんかん〈歴史れきし文化ぶんかライブラリー〉、2011年ねん）P.187
北条ほうじょう氏し研究けんきゅう会かい『北条ほうじょう氏し系譜けいふ人名じんめい辞典じてん』（新人物往来社しんじんぶつおうらいしゃ、2001年ねん）
｢若狭わかさ国こく守護しゅご職しょく次第しだい｣（所収しょしゅう：『群ぐん書しょ類従るいじゅう』四よん）
｢若狭わかさ国こく今富いまとみ名めい領主りょうしゅ次第しだい｣（所収しょしゅう：『群ぐん書しょ類従るいじゅう』四よん）

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 今野こんの 2007, p. ^{[要ようページ番号ばんごう]}.
^ 浪岡なみおか町まち史し編集へんしゅう委員いいん会かい 2000, p. 757.
^ ^a ^b ^c 太田おおた 1934, p. 2195.

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

今野こんの慶信よしのぶ著ちょ「藤原ふじわら南みなみ家か武智たけち麿まろ四男乙麻呂流鎌倉御家人の系図けいず」、峰岸みねぎし純夫すみお; 入間田いりまだ宣夫のりお; 白根しらね靖やすし大だい編へん『中世ちゅうせい武家ぶけ系図けいずの史料しりょう論ろん』上じょう、高志こうし書院しょいん、2007年ねん。ISBN 978-4-86215-029-5。
岩手いわて県けん編纂へんさん『岩手いわて県けん史し』第だい2巻かん (中世ちゅうせい篇へん上じょう)、杜もり陵りょう印刷いんさつ、1961年ねん3月がつ25日にち。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:49007681。
岩手いわて県けん編纂へんさん『岩手いわて県けん史し』第だい3巻かん (中世ちゅうせい篇へん下か)、杜もり陵りょう印刷いんさつ、1961年ねん10月がつ20日はつか。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:50005767。
太田おおた亮あきら「国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかんデジタルコレクション厨川くりやがわ　クリヤガハ」『姓氏せいし家系かけい大だい辞典じてん』第だい2、上田うえだ萬年かずとし、三上みかみ参さん次じ監修かんしゅう、姓氏せいし家系かけい大だい辞典じてん刊行かんこう会かい、1934年ねん、2194-2195頁ぺーじ。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:47004572。
「角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん」編纂へんさん委員いいん会かい『角川かどかわ日本にっぽん地名ちめい大だい辞典じてん』 3 岩手いわて県けん、角川書店かどかわしょてん、1985年ねん3月がつ8日にち。ISBN 4-04-001030-2。
「角川かどかわ日本にっぽん姓氏せいし歴史れきし人物じんぶつ大だい辞典じてん」編纂へんさん委員いいん会かい『岩手いわて県けん姓氏せいし歴史れきし人物じんぶつ大だい辞典じてん』第だい3巻かん、角川書店かどかわしょてん〈角川かどかわ日本にっぽん姓氏せいし歴史れきし人物じんぶつ大だい辞典じてん〉、1998年ねん5月がつ18日にち。ISBN 4-04-002030-8。
浪岡なみおか町まち史し編集へんしゅう委員いいん会かい編へん『浪岡なみおか町まち史し』第だい1、浪岡なみおか町まち、2000年ねん3月がつ15日にち。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:20046857。
松岡まつおか孝一こういち『青森あおもり県けん百科ひゃっか事典じてん』東奥日報社とうおうにっぽうしゃ、1981年ねん3月がつ1日にち。ISBN 4885610001。