宮本みやもと研けん

宮本みやもと 研けん（みやもと けん、1926年ねん〈大正たいしょう15年ねん〉12月2日にち - 1988年ねん〈昭和しょうわ63年ねん〉2月がつ28日にち）は、熊本くまもと県けん出身しゅっしんの劇げき作家さっかである。

人物じんぶつ

熊本くまもと県けん宇土うと郡ぐん不知火しらぬい町まち（現げん宇城市し）生うまれ。父ちちの仕事しごとの関係かんけいで中学ちゅうがく時代じだいの六ろく年間ねんかんを北京ぺきんで暮くらす。大分おおいた経済けいざい専門せんもん学校がっこう在学ざいがく中ちゅうに学徒がくと動員どういん。九州きゅうしゅう帝国ていこく大学だいがく経済学部けいざいがくぶ卒業そつぎょう後ご、大分おおいた県けんの公立こうりつ高校こうこうの教諭きょうゆとなり、続つづいて上京じょうきょうし在ざい日本にっぽん大韓たいかん人じん厚生会こうせいかい勤務きんむを経へて、法務省ほうむしょうに勤務きんむ。法務省ほうむしょう在職ざいしょく中ちゅうに労働ろうどう者しゃ演劇えんげきサークル「麦むぎの会かい」の助言じょげん者しゃとなって演出えんしゅつを担当たんとうし、戯曲ぎきょくを執筆しっぴつするようになり、演劇えんげき界かいに頭角とうかくを現あらわした。実質じっしつ的てきに処女しょじょ作さくの「僕ぼくらが歌うたを歌うたうとき」（1957年ねん）で職場しょくば演劇えんげきサークル内ないの葛藤かっとうと希望きぼうを描えがき、注目ちゅうもくされる。法務省ほうむしょう勤務きんむの関係かんけいで久保田くぼた万太郎まんたろうと知しり合あい、作品さくひんを激賞げきしょうされる。「日本人にっぽんじん民みん共和きょうわ国こく」、「メカニズム作戦さくせん」で第だい8回かい岸田きしだ國士くにお戯曲ぎきょく賞しょうを受賞じゅしょうした。1962年ねん法務省ほうむしょうを退職たいしょくし、職業しょくぎょう劇げき作家さっかとなる。舞台ぶたいだけでなく、ドラマや映画えいがの脚本きゃくほんも手掛てがけた。

戦後せんご三さん部ぶ作さくの「反応はんのう工程こうてい」「日本人にっぽんじん民みん共和きょうわ国こく」「ザ・パイロット」、革命かくめい四よん部ぶ作さくの「明治めいじの棺かん」（初演しょえん1962年ねん11月2日にち-11日にち、厚生こうせい年金ねんきんホール、ぶどうの会かい）、「美うつくしきものの伝説でんせつ」「阿Ｑあきゅー外伝がいでん」「聖せいグレゴリーの殉教じゅんきょう」など1970年代ねんだい前半ぜんはんまでの作品さくひんの多おおくは、革命かくめい運動うんどうの中なかの革命かくめい党とう、革命かくめい指導しどう者しゃと民衆みんしゅうの矛盾むじゅんを描えがくことが多おおかった。二に・一いちゼネストの顛末てんまつを末端まったん組合くみあいから描えがいた「日本人にっぽんじん民みん共和きょうわ国こく」初演しょえんでは、劇げきの内容ないように怒おこった日本にっぽん共産党きょうさんとう員いんの観客かんきゃくが上演じょうえん中ちゅうに次々つぎつぎと退席たいせきしたという（大だい笹ささ吉雄よしお『宮本みやもと研けん戯曲ぎきょく集しゅう』第だい一いち巻かん解説かいせつ）。

1970年代ねんだい後半こうはん以降いこうは、「からゆきさん」など男性だんせいと女性じょせいの関係かんけいを指導しどう者しゃと民衆みんしゅうの関係かんけいに見立みたてて、女性じょせいを描えがくことが多おおくなった。また商業しょうぎょう演劇えんげきの台本だいほんを手てがけるようにもなった。少年しょうねん時代じだいを中国ちゅうごくで過すごしたことから中国ちゅうごくにも思おもい入いれがあり、「阿Ｑあきゅー外伝がいでん」「夢ゆめ－桃中軒とうちゅうけん牛うし右みぎ衛門えもんの」「花はないちもんめ」など中国ちゅうごくと日本にっぽんを描えがいた作品さくひんもある。「夢ゆめ－桃中軒とうちゅうけん牛うし右みぎ衛門えもんの」（1976年ねん）上演じょうえんにあたっては、文化ぶんか大だい革命かくめい期きの政治せいじ思潮しちょうの影響えいきょうで中国ちゅうごく大使館たいしかんから干渉かんしょうを受うけた。

1988年ねん肺はいガンで逝去せいきょした。

文学ぶんがく座ざ、青年せいねん座ざなど新劇しんげき系けい劇団げきだんに作品さくひんを提供ていきょうするとともに「変身へんしん」など小しょう劇場げきじょう劇団げきだんとも関かかわりがあった。大逆だいぎゃく事件じけん後ごの大正たいしょう期き知識ちしき人じん群像ぐんぞうを描えがいた「美うつくしきものの伝説でんせつ」など、その作品さくひんは21世紀せいきの今日きょうまで繰くり返かえし上演じょうえんされている。

作品さくひんほか

• 「日本人にっぽんじん民みん共和きょうわ国こく」
• 「メカニズム作戦さくせん」
• 「明治めいじの柩ひつぎ」（芸術げいじゅつ祭さい奨励しょうれい賞しょう脚本きゃくほん賞しょうを受賞じゅしょう）
• 「阿Ｑあきゅー外伝がいでん」
• 「美うつくしきものの伝説でんせつ」

  日本にっぽん劇げき作家さっか協会きょうかいのオンデマンド出版しゅっぱん(21世紀せいき戯曲ぎきょく文庫ぶんこ)で入手にゅうしゅ可能かのう。

• 「夢ゆめ－桃中軒とうちゅうけん牛うし右みぎ衛門えもんの」- 宮崎みやざき滔天とうてんが主人公しゅじんこう
• 「花はないちもんめ」
• 「ブルーストッキングの女おんなたち」
• 「うしろ姿すがたのしぐれてゆくか　漂泊ひょうはくの俳人はいじん 種田山頭火たねださんとうか」ほか
• 『ドラマの書かき方かた』（明治めいじ書院しょいん、改訂かいてい版ばん1979）

著作ちょさく集しゅう

• 『宮本みやもと研けん戯曲ぎきょく集しゅう』全ぜん6巻かん（白水しろみず社しゃ、1989）
• 『宮本みやもと研けんエッセイ・コレクション』全ぜん4巻かん（一葉いちよう社しゃ、2017-20）、宮本みやもと新編しんぺん

参考さんこう文献ぶんけん

• 『宮本みやもと研けん戯曲ぎきょく集しゅう』各巻かくかん解説かいせつ（第だい一いち巻かん大だい笹ささ吉雄よしお、第だい二に巻かん扇田おうぎた昭彦あきひこ、第だい三さん巻かん森もり秀男ひでお、第だい四よん巻かん岩波いわなみ剛つよし、第だい五ご巻かん石沢いしざわ秀二しゅうじ、第だい六ろく巻かん木村きむら光一こういち）
• 日本にっぽん近代きんだい演劇えんげき史し研究けんきゅう会かい編へん『革命かくめい伝説でんせつ・宮本みやもと研けんの劇げき世界せかい』（社会しゃかい評論ひょうろん社しゃ　2017.2）

関連かんれん項目こうもく

• 八木はちぼく柊ひいらぎ一郎いちろう

外部がいぶリンク

• 学校がっこう図書としょ・国語こくご中学ちゅうがく2年ねん（宮本みやもと研けん・花はないちもんめ）
• 日本にっぽん劇げき作家さっか協会きょうかいオンデマンド出版しゅっぱん・宮本みやもと研けん『美うつくしきものの伝説でんせつ』ページ