寵臣
この
寵臣 の出世 と失脚
[エリザベス1
トマス・ウルジー
寵臣 の衰退
[イングランドでは、
イングランドとは
スペイン・ハプスブルク
文学 における寵臣
[
偉大 な国王 や君主 が、われわれの論 じている友情 の効果 を、実 に高 く評価 しているのを見 るのは意外 である。彼 らはしばしば自分 の安全 や王位 を危険 にさらしても、それを買 い求 めるほどである。それというのも王侯 は、自分 の身分 と臣下 や召使 のそれとがかけ離 れているので、この友情 の効果 を収 めるには(自分 にはそれができるために)2、3の者 を引 き上 げて、いわば自分 の仲間 とし、ほとんど対等 の者 とせずにはいられないが、そうすることはしばしば面倒 なことにもなるからである。近代 の言語 はこういう人々 に対 して、寵臣 (favorites)とか側近 (privadoes)とかの名称 を与 えている。…またわれわれは、こうしたことが無気力 な、怒 りやすい王侯 によってばかりでなく、かつて君臨 した最 も賢明 で慎重 な王侯 によってもなされたことを明 らかに知 っている。彼 らは随従 者 の幾 人 かを同列 に扱 い、平民 の間 で受 け入 れられている言葉 を用 いて、互 いに友 と呼 び、他 の人々 にも同様 に自分 たちをそのように呼 ぶことを許 した[11]。
ジョージ3
著名 な寵臣 の例
[- 『
旧約 聖書 』の登場 人物 のうち、サウル王 に仕 えた時期 のダヴィデ、ファラオに仕 えたヨセフは寵臣 としての要素 を多 く備 えている。 籍 孺、前漢 の高祖 に寵愛 された侍童 。- 閎孺、
前漢 の恵 帝 に寵愛 された侍童 。 - セイヤヌス、ローマ
皇帝 ティベリウスに重用 されたが、31年 皇帝 の命令 で処刑 された。 - カピラル、サンガム
時代 のタミル語 詩人 、タミラカムの王 ヴェール・パーリの寵愛 を受 けたとされ、125年 頃 に王 が戦死 すると、儀礼 的 な自殺 法 「ヴァタキルッタル」によって後 を追 った。 - アンティノウス、ローマ
皇帝 ハドリアヌスの寵 童 。130年 に早世 した後 、皇帝 によって神格 化 された。 - クレアンデル、ローマ
皇帝 コンモドゥスに重用 された解放 奴隷 、190年 皇帝 の命令 で処刑 された。 - バシレイオス1
世 、ビザンツ帝国 マケドニア・テマの農民 出身 だったが、ミカエル3世 に気 に入 られて共同 皇帝 に取 り立 てられた。さらに恩人 のミカエル3世 を殺害 して単独 皇帝 となり、マケドニア王朝 の始祖 となった。 - ムハンマド・イブン・アンマル、
詩 とチェスの才能 でセビリア・タイファ国 の君主 アル=ムータミド・イブン・アッバードの親友 となるが、王国 の領土 の一部 を奪 おうと画策 したことが露見 して、1086年 君主 自身 の手 で絞殺 された。 - ピアーズ・ギャヴィストン、
初代 コーンウォール伯爵 。イングランド王 エドワード2世 の同性 の恋人 だったと考 えられ、国王 不在 時 の摂政 を含 む高位 高官 を歴任 したが、1312年 反乱 者 に捕 らえられて処刑 された。 - ヒュー・ル・ディスペンサー(
小 ディスペンサー)、ギャヴィストン死後 のエドワード2世 の新 しい同性 の恋人 と考 えられ、彼 もまた、1326年 に王妃 イザベラ・オブ・フランスの指揮 する反乱 軍 に捕 らえられ、残酷 な方法 で処刑 された。 - アルバロ・デ・ルナ、
初代 トルヒージョ公爵 、カスティーリャ王 フアン2世 の寵臣 として長 くその治世 を支 えたが、王妃 イサベル・デ・ポルトゥガル及 びカスティーリャ貴族 層 から強 い敵意 を向 けられ、1453年 処刑 された。 - ロバート・コクラン、スコットランド
王 ジェームズ3世 の寵臣 、アンガス伯爵 を指導 者 とする貴族 の反乱 軍 に捕 らえられ、ローダーの橋上 で王 の他 のお気 に入 りたちと一緒 に絞首刑 になった。 - パルガル・イブラヒム・パシャ、
キリスト教徒 の平民 家庭 の生 まれながら、オスマン帝国 のスレイマン1世 に重用 されて大 宰相 となる。しかし反逆 を疑 われ、1536年 スルタンの命令 で処刑 された。 - ロバート・ダドリー、
初代 レスター伯爵 。イングランド女王 エリザベス1世 の寵臣 として30年 以上 側 近 くに仕 え、女王 の恋人 だと噂 され、長 い期間 女王 の結婚 相手 候補 と見 なされていた。エリザベス朝 宮廷 の指導 的 な政治 家 かつ芸術 のパトロンだった。 - ロバート・デヴァルー、
第 2代 エセックス伯爵 。上記 のレスター伯 の継子 で、継父 の後 を継 いで女王 の新 しい寵臣 となった。向 こう見 ずな性格 で、成功 の見込 みのないクーデタを起 こそうとして失敗 し、1601年 処刑 された。 - レ・ミニョン、フランス
王 アンリ3世 の寵愛 した若者 の取 り巻 き集団 で、女性 的 な振 る舞 いやファッションなどが批判 に晒 された。 - フランシスコ・デ・サンドバル・イ・ロハス、
初代 レルマ公爵 、17世紀 スペインの寵臣 政治 を最初 に担 った政治 家 で、20年 以上 にわたり国政 を壟断 した。 - ガスパール・デ・グスマン・イ・ピメンテル、
初代 オリバーレス伯 公爵 、17世紀 スペインの寵臣 政治 を代表 する政治 家 で、上記 のレルマ公 の失脚 後 、20年 以上 にわたり国政 を担 った。 - シャルル・ダルベール、リュイヌ
公爵 。フランス王 ルイ13世 の幼少 期 以来 の腹心 。1617年 、王命 により王 母 マリー・ド・メディシスの寵臣 コンチーノ・コンチーニ暗殺 を指揮 した。 - エズメ・ステュワート、
初代 レノックス公爵 。イングランド王 ジェームズ1世 (6世 )のスコットランド時代 の寵臣 。カトリックのフランス貴族 ながら摂政 にまでのぼるが、貴族 の反発 でパリに追放 された。 - ロバート・カー、
初代 サマセット伯爵 。ジェームズ1世 の寵臣 だが、下記 のバッキンガム公 の台頭 で王 の寵愛 を失 い、1616年 毒殺 事件 に関与 して宮廷 から追放 された。 - ジョージ・ヴィリアーズ、
初代 バッキンガム公爵 。ジェームズ1世 ・チャールズ1世 父子 2代 に仕 えた寵臣 で、17世紀 前半 のイングランド国政 を主導 したが、多 くの国民 の敵意 を受 けて1628年 暗殺 された。 - アクセル・オクセンシェルナ、1612
年 から1645年 の死去 まで40年 以上 にわたり大 法官 としてスウェーデンの国政 を主導 し、同国 に国際 的 威信 をもたらした。 - アンリ・コワフィエ・ド・リュゼ、サン=マール
侯爵 。ルイ13世 の寵 童 となり多 くの高位 官職 を得 た。1642年 、スペインと内通 したことが原因 で、庇護 者 だったリシュリュー枢機卿 により処刑 された。 - ジュール・マザラン
枢機卿 、リシュリューの後継 者 として20年 近 くにわたりフランス国政 を主導 したが、貴族 に憎悪 されフロンドの乱 に直面 した。1661年 の彼 の死 は、ルイ14世 の親政 開始 と寵臣 政治 の終焉 という画 期 となった。 - ルイス・デ・ヴァスコンセロス・イ・スーザ、カステロ・メリョー
伯爵 。心身 に問題 のあったポルトガル王 アフォンソ6世 の寵臣 として国政 を壟断 、王 を説得 して王 母 ルイサ・デ・グスマンを修道院 に追放 させたことが有名 。 - コルフィッツ・ウルフェルト、デンマーク
王 クリスチャン4世 の娘 婿 として国政 の要職 を占 めた。王 の死後 、義兄 である新 王 フレゼリク3世 に反逆 罪 に問 われ、スウェーデン王 に仕 えた。 - シドニー・ゴドルフィン、
初代 ゴドルフィン伯爵 。イングランド王 チャールズ2世 の被 保護 者 だが変 わり身 の早 い人物 で、議会 政治 の中心 に長 く居 続 けた。 - マリー・アンヌ・ド・ラ・トレモイユ、ユルサン(ウルシノス)
女 公 。フェリペ5世 夫妻 に随行 してヴェルサイユ宮廷 からスペインに移 り、王妃 女官 長 の肩書 で王室 の助言 者 の役目 を果 たした。王 の後妻 エリザベッタ・ファルネーゼに追放 された後 も、ローマのジャコバイト亡命 宮廷 で重 きをなした。 - コンスタンティン・フォールコン、ギリシア
出身 で、タイのアユタヤ王朝 ・ナーラーイ王 の顧問 官 、王 の重用 は1688年 のシャム革命 を招 き、この革命 で殺 された。 - サラ・チャーチル、
初代 マールバラ公 ジョン・チャーチル夫人 。アン英国 女王 の公私 にわたる生活 を差配 していた親友 であったが、従妹 のアビゲイル・メイシャムに取 って代 わられた。 - アレクサンドル・メーンシコフ、ロシア
皇帝 ピョートル1世 の生涯 の親友 で、極 めて卑 しい生 まれから高官 にのし上 がった身分 上昇 は当時 としては類 を見 ない。1725年 の皇帝 の死後 、事実 上 の最高 権力 者 に上 り詰 めるが、2年 後 には失脚 しシベリアに流刑 となった。 - ハインリヒ・フォン・ブリュール、アウグスト2
世 (強 王 )に仕 えたザクセン選 帝 侯 領 首席 大臣 で、欲 深 く、金 に汚 く、全 く無能 な政治 家 であった。 - ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセ、
精神 を病 んだデンマーク王 クリスチャン7世 の国王 侍医 で、王妃 カロリーネ・マティルデとの愛人 関係 と王 の重 い症状 を利用 して事実 上 の最高 権力 者 となるが、1772年 に逮捕 され、残酷 な方法 で処刑 ・死体 損壊 を受 けた。 - ヘシェン(
和 珅)、清 の乾 隆 帝 の駙馬にして軍機 大臣 となり、中国 史上 空前 の個人 資産 所有 者 と言 われた。乾 隆 帝 の死後 、専 横 を苦々 しく思 っていた新帝 嘉 慶 帝 の命令 で賜 死 となった。 - グリゴリー・ポチョムキン、1774
年 から1776年 までの2年間 、ロシア女帝 エカチェリーナ2世 の愛人 であったが、男女 関係 の絶 えたのちも女帝 の絶大 な信任 を得 て、1791年 に死 ぬまで強大 な権力 を握 り続 けた。 - プラトン・ズーボフ、エカチェリーナ2
世 の生涯 最後 の愛人 であり、その息子 で後継 者 のパーヴェル1世 の暗殺 事件 に重要 な役割 を果 たした。 - マリー・ルイーズ・ド・サヴォワ、ランバル
公 妃 、フランス王妃 マリー・アントワネット最初 の寵臣 で、王妃 家政 機関 総監 。フランス革命 後 も王室 の側近 に留 まり続 けたほぼ唯一 の高位 貴族 で、1792年 の九月 虐殺 での悲惨 な末路 で知 られている。 - ガブリエル・ド・ポラストロン、ポリニャック
公爵 夫人 、フランス王妃 マリー・アントワネット最後 の寵臣 で、王家 養育 係 主任 女官 。王妃 の夫 ルイ16世 の信任 も勝 ち得 た稀有 な女性 であったが、王妃 との同性愛 を噂 され、国民 からは憎 まれた。 - マヌエル・デ・ゴドイ、デ・ラ・パス(
平和 )公 、王妃 マリア・ルイサ・デ・パルマの信任 を得 て首相 となるが、自身 の不人気 とナポレオンのスペイン支配 の野心 が祟 って、1808年 主君 のカルロス4世 は退位 に追 い込 まれた。 - グリゴリー・ラスプーチン、
祈祷 僧 、ロシア皇帝 ニコライ2世 一家 の絶大 な信任 を得 たが、国民 からは憎悪 の目 を向 けられ、1916年 に暗殺 された。2年 後 に処刑 された皇帝 一家 は最後 までラスプーチンへの崇拝 心 を捨 てなかった。
関連 項目
[引用 ・脚注
[- ^ Elliott:5, summarising the work of French historian Jean Bérenger
- ^ "favourite". Oxford English Dictionary (3rd ed.). Oxford University Press. September 2005. 2019
年 1月 23日 閲覧 。 (要 購読 、またはイギリス公立 図書館 への会員 加入 。) - ^ “Much Ado About Nothing 3.1”. www.shakespeare-online.com. 2019
年 1月 23日 閲覧 。 - ^ s:Edward the Second
- ^ Elliott:6
- ^ Adams pp. 17–18
- ^ Elliott:1
- ^ Elliott:2-3
- ^ Blair Worden in Elliott:171
- ^ Bacon, Francis (1597
年 ). “On Friendship”. authorama.com. 2020年 11月7日 閲覧 。。訳文 は、日本語 訳 版 である渡辺 義雄 訳 『ベーコン随想 集 』岩波 文庫 、1983年 、P120を参照 。 - ^ Published 1597, perhaps the earliest use of the word in English, it is missed by the OED, who give the Shakespeare use quoted above, perhaps written in 1598.[10]
- ^ Essay on "The Earl of Chatham", quoted Elliott:1
- ^ Portraits of Sarah Churchill. National Portrait Gallery (United Kingdom). Retrieved on 7 August 2007.
参考 文献
[- Adams, Simon: Leicester and the Court: Essays in Elizabethan Politics Manchester UP 2002 ISBN 0719053250
- J.H. Elliott and LWB Brockliss, eds, The World of the Favourite,1999, Yale UP, ISBN 0-300-07644-4