『平成天才バカボン』(へいせいてんさいバカボン)は、赤塚不二夫の漫画『天才バカボン』を原作とするテレビアニメ。『天才バカボン』のアニメ化作品としては、3作目となる。通称『平成バカボン』。
フジテレビ、スタジオぴえろ、読売広告社制作。1990年1月6日 〜 12月29日に放送。制作局のフジテレビなどでは毎週土曜日18:30〜19:00に放送(各地の放送時間は後述)。全46回(全92話)。
『元祖天才バカボン』から13年ぶりのアニメ化となった本作は、1987~88年にテレビ東京で行われた『元祖』の再放送が高視聴率を獲得したことがきっかけで制作された。制作会社は東京ムービーからスタジオぴえろ(現・ぴえろ)に変更となり、以降ぴえろは全テレビシリーズの制作に関与している。監督にはタツノコプロ制作の『タイムボカンシリーズ』などギャグアニメの演出に定評のある笹川ひろしが起用され、「タツノコ系」のスタッフによってリメイクされることとなった[1]。キャラクターデザインは『おそ松くん』に引き続き岸義之。画調は原作を尊重しつつもかなりアレンジされており、ママやハジメ、レレレのおじさん[注 1]などのサブキャラクターの造形に独自のアレンジが加えられているほか、本官さん以外にも目ン玉つながりのキャラが普通に存在する。美女キャラクターはしばしば原作と全く違う当時のアニメの美少女風の画調で描かれる。『元祖』同様に背景画は線を狂わせて描かれている。
キャストは全面的にリニューアルが行われ、パパ役は前作までパパを演じていた雨森雅司が放送6年前の1984年4月に死去したことから富田耕生に交代した[注 2]。富田のキャスティングに関しては6人のベテラン声優の中からオーディションで選ばれたが[2]、それ以前にも、第1作『天才バカボン』開始直後の1971年12月に朝日ソノラマから発売されたソノシート付き絵本「天才バカボン うたとえほん」や、本作の2年前に放送されたCM『セガ・マークIII用ソフト・天才バカボン』でもバカボンのパパを担当していた。バカボン役は山本圭子から林原めぐみ、ハジメ役は貴家堂子から坂本千夏に交代し、オリジナルキャストはママ役の増山江威子のみとなった。「本官さん」と「レレレのおじさん」は『おそ松くん』と同じキャストで千葉繁が一人二役で演じている。
『元祖』から10年以上が経過し、一家の家が洋風建築になるなど時代の変化が盛り込まれている。放映当時(バブル景気)の時事ネタも随所に盛り込まれており、放送終了時の提供クレジットの後に出てくる「次回おたのしみに」の画面では、パパがことわざや慣用句に対してツッコミを入れるのが毎回の恒例だった(例:「目は口ほどに物を言う」というが、そんな目があったら、うるさくて夜も寝られないのだ!!)。「『油を売る』というが、どっかの国の大統領は、戦争しないで油を売ればいいのだ!!」など、放送当時の時事ネタが盛り込まれることもあった。このツッコミは最終回を除く全ての放送回の分が制作されていた。ただし、本放送時は次週がプロ野球中継で放送中止となる場合はプロ野球中継の告知画面に差し替えられたため、このツッコミは放送されなかった。なお、再放送では本放送で放送できなかったこれらの放送回のツッコミも全て放送されている。
本作は1990年内に放送されたため、1・2・4作目とは異なり越年しておらず、また「正月の話」や「ご挨拶」も存在しない。
2015年6月にはアニマックスでリマスター版が初放送。2017年4月18日から2017年9月25日までテレビ大阪にて、1話を2回に分けて18分枠でリマスター版が放送された、その際CMのアイキャッチと次回予告がカットされている。
本作の次回予告はパパとバカボンの掛け合いで構成され、最後はパパの「楽しみに待つのだ」で締めとなる。なお、5作品の次回予告の中でパパ以外のキャラクターが担当したのは本作と『深夜!天才バカボン』の2作のみである。
制作局のフジテレビでの前番組は同じく赤塚の原作による『おそ松くん』であった。このため、同作品のスタッフがほぼスライドで参加しており、両作品のキャラクターが競演する特別編が製作された。
各種TVやCM、パチンコ版などでは、第3作の声優が多く起用されている。
- オープニングテーマ - 『タリラリラーンロックンロール』
- 作詞・作曲・歌 - 嘉門達夫 / 編曲 - 工藤隆 / レーベル - ビクター音楽産業
- パパなどのレギュラーも、ノンクレジットながら台詞を発している。
- エンディングテーマ - 『その日は朝から夜だった』
- 作詞・作曲・歌 - 嘉門達夫 / 編曲 - 工藤隆 / レーベル - ビクター音楽産業
- 『おそうじ行進曲』(第19話)
- 作詞 - 西紀寺史雄 / 作曲・編曲 - 本間勇輔 / 歌 - 千葉繁 / レーベル - ビクター音楽産業
- 『ママ大好き』(第19話)
- 作詞 - 西紀寺史雄 / 作曲・編曲 - 本間勇輔 / 歌 - 増山江威子、富田耕生、坂本千夏、林原めぐみ / レーベル - ビクター音楽産業
阪口和久によれば、2曲の完成度の高さから、「本編の中でイメージアニメーションとして挿入しよう」という案が浮上し、ストーリー中に挿入された[3]。
本作ではバカボン、バカボンのパパ、ママ、本官さん、レレレのおじさん、ウナギイヌが同時に登場し、踊りながらタイトルテロップに変わっていく。この時タイトルが「平成天才ハカボン」になっているがその後ハジメちゃんが少し遅れて登場し、転んだ弾みで「゛」に変わり、「平成天才バカボン」になる。
スタッフロールの出演者表記ではオープニングでバカボン一家が、エンディングでその他のキャストが紹介されていた。
全作品とも原則としては1回で2話放送。
全46回、92話。本放送ではプロ野球中継で番組が6回休止となった[注 4] 。
タイトルコールは最終回までに3回変更されている。
- 第1回~第13回:各サブタイトルに纏わるショートアニメ
- 第14回~第36回:バラバラになったピースが組み立てるとバカボンのパパの顔になる
- 第37回~第46回:ウナギイヌ、バカボン一家と本官が逆さまで駆けた後でレレレのおじさんの影絵が出る
回 |
話数 |
サブタイトル |
脚本 |
コンテ |
演出 |
作画監督 |
放送日
|
1 |
1 |
バカボンのパパなのだ |
星山博之 |
笹川ひろし |
阿部紀之 |
岸義之 |
1990年 1月6日
|
2 |
ウソは世のため人のためなのだ
|
2 |
3 |
バカ田大学の後輩なのだ |
照井啓司 |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
1月13日
|
4 |
ネコババではないひろったのだ
|
3 |
5 |
天才ハジメちゃんなのだ |
浦沢義雄 |
うえだひでひと |
増谷三郎 |
1月20日
|
6 |
夕焼けは赤いドレスのマドモアゼルなのだ
|
4 |
7 |
アチョ〜のキエ〜なのだ |
池野文雄 |
アベ正己 |
1月27日
|
8 |
犯人はワシが決めるのだ |
野館誠一
|
5 |
9 |
物置みたいな人なのだ |
星山博之 |
水野和則 |
川端宏 |
2月3日
|
10 |
英語は自分でつくるのだ
|
6 |
11 |
夜廻りは昼廻りなのだ |
照井啓司 |
笹川ひろし |
阿部紀之 |
増谷三郎 |
2月10日
|
12 |
神様のおつげのかたぐるまなのだ
|
7 |
13 |
空頭の大先生なのだ |
浦沢義雄 |
池野文雄 |
小柴純弥 |
岸義之 |
2月17日
|
14 |
強盗殺人の予約なのだ |
アベ正己
|
8 |
15 |
ウナギイヌ登場なのだ |
うえだひでひと |
大西雅也 |
2月24日
|
16 |
ウナギイヌの秘密なのだ |
中山勝一
|
9 |
17 |
私は石になりたいのだ |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
3月3日
|
18 |
パパはそうじ大臣なのだ
|
10 |
19 |
パパは警官になったのだ |
大橋志吉 |
水野和則 |
川端宏 |
3月10日
|
20 |
鳥さんは王子様だったのだ
|
11 |
21 |
靴みがきは恐ろしいのだ |
星山博之 |
阿部紀之 |
野館誠一 |
3月17日
|
22 |
ミイラの殿様どこ行ったのだ |
アベ正己
|
12 |
23 |
イヌのようなイスなのだ |
橋本裕志 |
うえだひでひと |
中山勝一 |
3月24日
|
24 |
交番取り調べ日記なのだ |
岸義之
|
13 |
25 |
アメリカのパパなのだ |
照井啓司 |
笹川ひろし |
小柴純弥 |
増谷三郎 |
3月31日
|
26 |
アメリカは外人ばかりなのだ
|
14 |
27 |
本官さんのサオ竹なのだ |
浦沢義雄 |
横山広行 |
大西雅也 |
4月7日
|
28 |
よってないけどヨッパライなのだ |
岸義之
|
15 |
29 |
三本立ての夢なのだ |
照井啓司 |
水野和則 |
4月14日
|
30 |
突撃芸能お巡りさんなのだ |
アベ正己
|
16 |
31 |
ドロボーは二度くるのだ |
大橋志吉 |
うえだひでひと |
川端宏 |
4月21日
|
32 |
二度きたドロボーは四度くるのだ
|
17 |
33 |
電送マシンの先輩なのだ |
橋本裕志 |
阿部紀之 |
増谷三郎 |
5月5日
|
34 |
秘密結社紅トカゲ団なのだ
|
18 |
35 |
何でもカケる人生なのだ |
星山博之 |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
5月12日
|
36 |
困った人の神様なのだ
|
19 |
37 |
パパは家出するのだ! |
西紀寺史雄 |
うえだひでひと |
岸義之 |
5月19日
|
38 |
家出で迷子になったのだ!
|
20 |
39 |
強いおくさんコワイのだ |
浦沢義雄 |
横山広行 |
アベ正己 |
6月2日
|
40 |
百万円をひろうのだ!
|
21 |
41 |
長い舌はいいことなのだ |
大橋志吉 |
水野和則 |
増谷三郎 |
6月9日
|
42 |
パパは何でもうめるのだ |
橋本裕志
|
22 |
43 |
パパはひいきするのだ! |
照井啓司 |
阿部紀之 |
川端宏 |
6月16日
|
44 |
いやな雨でもほしくなるのだ |
水野和則 |
大西雅也
|
23 |
45 |
一つぶ飲んでふとるのだ |
星山博之 |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
6月30日
|
46 |
犯人はやさしさによわいのだ
|
24 |
47 |
魚をとったのだれなのだ |
大橋志吉 |
笹川ひろし |
アベ正己 |
7月7日
|
48 |
親切にしたら死にそうなのだ |
橋本裕志 |
川端宏
|
25 |
49 |
ロボットはパパなのだ |
西紀寺史雄 |
うえだひでひと |
アベ正己 |
7月28日
|
50 |
スイカのためならなんでもするのだ |
増谷三郎
|
26 |
51 |
にせものバカボンなのだ |
阿部紀之 |
大西雅也 |
8月4日
|
52 |
パパはワンでバカボンはニャーなのだ |
増谷三郎
|
27 |
53 |
パパは運転名人なのだ |
照井啓司 |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
8月11日
|
54 |
バイオリンでゲゲゲのゲなのだ
|
28 |
55 |
アップアップの海なのだ |
浦沢義雄 |
水野和則 |
アベ正己 |
8月18日
|
56 |
パパの思い出日記なのだ |
うえだひでひと |
岸義之
|
29 |
57 |
ママは日本製がいいのだ |
照井啓司 |
横山広行 |
増谷三郎 |
8月25日
|
58 |
おきたらコワイ犯人なのだ
|
30 |
59 |
パパの大工の家なのだ |
浦沢義雄 |
笹川ひろし |
小柴純弥 |
アベ正己 |
9月8日
|
60 |
ワシのみがわりのワシなのだ |
水野和則 |
大西雅也
|
31 |
61 |
絶対はずれる占いなのだ |
西紀寺史雄 |
阿部紀之 |
川端宏 |
9月15日
|
62 |
お巡りさんよりいばるのだ
|
32 |
63 |
入院は金しだいなのだ |
照井啓司 |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
9月22日
|
64 |
お化粧したらその気になるのだ
|
33 |
65 |
正直者は裸を見るのだ |
西紀寺史雄 |
うえだひでひと |
岸義之 |
9月29日
|
66 |
死んだふりして死にそうなのだ
|
34 |
67 |
レレレのソージ鬼なのだ |
浦沢義雄 |
横山広行 |
増谷三郎 |
10月6日
|
68 |
借金は忘れたころに思い出すのだ |
水野和則 |
アベ正己
|
35 |
69 |
約束はおなかがすくのだ |
照井啓司 |
横山広行 |
川端宏 |
10月13日
|
70 |
星空にギョーザにウメボシものほしなのだ |
水野和則
|
36 |
71 |
一万円の家なのだ!? |
浦沢義雄 |
阿部紀之 |
大西雅也 |
10月20日
|
72 |
借金トリはなんとなくのだ? |
増谷三郎
|
37 |
73 |
小さくなったパパなのだ |
西紀寺史雄 |
横山広行 |
アベ正己 |
10月27日
|
74 |
お巡りさんのシンマイなのだ |
阿部紀之 |
川端宏
|
38 |
75 |
魔法使いのパパなのだ! |
浦沢義雄 |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
11月3日
|
76 |
またまた魔法使いのパパなのだ!
|
39 |
77 |
もうケッコウな鳥なのだ |
西紀寺史雄 |
水野和則 |
中山勝一 |
11月10日
|
78 |
約束は神様のいうとおりなのだ |
小柴純弥 |
増谷三郎
|
40 |
79 |
三歩で忘れるパパなのだ |
照井啓司 |
榎本明広 |
小柴純弥 |
11月17日
|
80 |
ワシは野口英世で医者なのだ |
阿部紀之 |
大西雅也
|
41 |
81 |
家庭教師のパパなのだ |
西紀寺史雄 |
増谷三郎 |
11月24日
|
82 |
仮病で優しくされるのだ |
水野和則 |
アベ正己
|
42 |
83 |
モク山さんの禁煙なのだ |
浦沢義雄 |
横山広行 |
増谷三郎 |
12月1日
|
84 |
それでもパパ禁煙てつだうのだ |
本山浩司
|
43 |
85 |
お客様はカメ様なのだ |
照井啓司 |
高橋資祐 |
小柴純弥 |
高橋資祐 |
12月8日
|
86 |
お巡りさんは幸せになるのだ |
西紀寺史雄
|
44 |
87 |
手ぶらでスキーなのだ! |
照井啓司 |
阿部紀之 |
中山勝一 |
12月15日
|
88 |
地獄へ行くのは誰なのだ |
西紀寺史雄 |
川端宏
|
45 |
89 |
たたえよ鉄カブトなのだ |
照井啓司 |
水野和則 |
大西雅也 |
12月22日
|
90 |
とけて流れりゃ爆発なのだ |
横山広行 |
増谷三郎
|
46 |
91 |
ネコになったパパなのだ |
西紀寺史雄 |
12月29日
|
92 |
パパのようだが猫なのだ |
水野和則 |
本山浩司
|
フジテレビ系列の土曜18時台はローカルセールス枠のため、一部地域では遅れネットもしくは非ネットとなった。
放送日時は個別に出典が掲示されてあるものを除き、1990年12月終了時点、放送系列は放送当時のものとする[4]。
台湾では、1996年にJET日本台が中国語吹き替え版を『平成天才』のタイトルで放送した。
韓国では、2011年にJEI TVが韓国語吹き替え版を「얼렁뚱땅 반쪽이네」(オルロントゥンタン バンチョクイネ) のタイトルで放送した。
- 映像ソフト
以前はDVD-BOXがエイベックスから発売されていた。廉価版は全作ともハピネット・ピクチャーズより発売。
- 平成天才バカボン … 全12巻(各3 - 4回分ずつ収録)
- ^ 目がシンメトリーになっている。
- ^ 富田も2020年に亡くなっている。
- ^ 後年の再放送(主に独立UHF局やテレビ大阪)では映像は不変のまま、「フジテレビ」の部分のみ省く事が多い。
- ^ 放送当時のフジテレビ系列では土曜日のプロ野球中継が18時30分スタートだった。
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アニメ |
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登場人物 | |
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楽曲 | |
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ゲーム | |
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関連作品 | |
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関連項目 | |
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劇場アニメ |
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|
- 1:第1回 - 第106回を担当
- 共:共同制作
- カテゴリ
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1:総監督 2:原作担当 3:エグゼクティブディレクター |