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やくおっとこうまい

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

やくおっとこうまい(やくぶくまい/やくぶたくまい)とは、中世ちゅうせい日本にっぽんにおいて、20ねんに1おこなわれた伊勢神宮いせじんぐう式年しきねん遷宮せんぐう造営ぞうえい費用ひようとして諸国しょこくおおやけりょう荘園しょうえんされた臨時りんじ課税かぜい正式せいしきにはみやつこ大神宮だいじんぐうやくおっとこうまい伊勢神宮いせじんぐうやくおっとこうまいばれていた。

概要がいよう

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律令りつりょう制度せいどしたでは伊勢神宮いせじんぐう式年しきねん遷宮せんぐうやくおっと伊勢いせこく尾張おわりこく美濃みのこく三河みかわこく遠江とおとうみこくから徴発ちょうはつされ、同地どうち国司こくし郡司ぐんじのうちから1めいひきいて造営ぞうえい事業じぎょうにあたった。また、造営ぞうえいにかかる費用ひようおよやくおっと食料しょくりょうなどは神郡かんごおり神田かんだ神戸こうべからのかみみつぐ官衙かんが国衙こくがからの出費しゅっぴによってまかなわれていた。ところが、10世紀せいき以後いごやくおっとかみぜい徴収ちょうしゅう困難こんなんとなっていき、11世紀せいき後期こうき確認かくにんできるものでは、よしみ2ねん1095ねん)の内宮ないくう遷宮せんぐううけたまわとく元年がんねん1097ねん)の外宮げくう遷宮せんぐう以後いご造営ぞうえい経費けいひおよやくおっとわるだいべいいちこく平均へいきんやくとして大宰府だざいふ管内かんない以外いがいすべての地域ちいき対象たいしょう賦課ふかされるようになった(大宰府だざいふ管内かんない諸国しょこくには宇佐うさ八幡宮はちまんぐう遷宮せんぐう(33ねんに1)の造営ぞうえい負担ふたんされていたため、対象たいしょうからはずされていた)。

伊勢神宮いせじんぐう設置せっちされていたみやつこみや使から諸国しょこく派遣はけんされた催使・やくおっとこう使おおくは神宮じんぐう神官しんかん)が、国衙こくが作成さくせいしたはいもとにして現地げんち在庁ざいちょうかんじんとともに徴収ちょうしゅうにあたった(現地げんち実情じつじょう在庁ざいちょうかんじん実際じっさい徴収ちょうしゅうにおいてはしゅたる役割やくわりたした)。各国かっこくやくおっとこうまい負担ふたん中央ちゅうおう決定けっていされたがくてられてその弁済べんさい責任せきにん国司こくしったことや神宮じんぐう神官しんかん直接ちょくせつ徴収ちょうしゅう関与かんよしたことでよりきびしい徴収ちょうしゅうおこなわれたことから、荘園しょうえん領主りょうしゅ現地げんちそうかんそうみんはげしい抵抗ていこうけた。荘園しょうえんがわ朝廷ちょうていなどにはたらきかけてやくおっとこうまい免除めんじょ宣旨せんじ獲得かくとくして徴収ちょうしゅう対抗たいこうする場合ばあいもあった。

鎌倉かまくら時代ときよはいると幕府ばくふ守護しゅご徴収ちょうしゅう関与かんよするようになり、またぜにおさめすすんだ。室町むろまち時代ときよはいると朝廷ちょうていわって幕府ばくふやくおっとこうまい徴収ちょうしゅう免除めんじょ決定けっていけん掌握しょうあくするようになった。だが、幕府ばくふ権力けんりょく衰退すいたいとともにやくおっとこうまい徴収ちょうしゅうとどこおるようになり、ひろしただし3ねん1462ねん)の内宮ないくう遷宮せんぐうさいやくおっとこうまい徴収ちょうしゅう最後さいごとして徴収ちょうしゅうおこなわれなくなり、式年しきねん遷宮せんぐう一時いちじ中断ちゅうだんすることとなった。

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 詫間たくま直樹なおきみやつこ大神宮だいじんぐうやくおっとこうまい」(『国史こくしだい辞典じてん 9』(吉川弘文館よしかわこうぶんかん、1988ねんISBN 978-4-642-00509-8
  • 小山田おやまだ義男よしおやくおっとこうまい」(『日本にっぽんだい事典じてん 6』(平凡社へいぼんしゃ、1994ねんISBN 978-4-582-13106-2
  • 上島うえしまとおるやくおっとこうまい」(『日本にっぽん歴史れきしだい事典じてん 3』(小学館しょうがくかん、2001ねんISBN 978-4-095-23003-0
  • たいらぐんさやか「伊勢神宮いせじんぐうやくおっとこうまい」(『日本にっぽん古代こだい事典じてん』(朝倉書店あさくらしょてん、2005ねんISBN 978-4-254-53014-8
  • 小山田おやまだ義夫よしお伊勢神宮いせじんぐうやくおっとこうまい制度せいどについて」(初出しょしゅつ:『流通経済大学りゅうつうけいざいだいがく論集ろんしゅう』2かん2ごう(1967ねん)/所収しょしゅう: 『いちこく平均へいきんやく中世ちゅうせい社会しゃかい』(岩田いわた書院しょいん、2008ねんISBN 978-4-87294-504-1
  • 小山田おやまだ義夫よしお鎌倉かまくらやくおっとこうまいについてのいち考察こうさつ」(初出しょしゅつ:『日本にっぽん社会しゃかいにおける王権おうけん封建ほうけん』(東京とうきょうどう出版しゅっぱん、1997ねん)) ISBN 978-4-49020-316-5/改題かいだい所収しょしゅう: 「鎌倉かまくらやくおっとこうまいについて」『いちこく平均へいきんやく中世ちゅうせい社会しゃかい』(岩田いわた書院しょいん、2008ねんISBN 978-4-87294-504-1

. 関連かんれん項目こうもく

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