徐じょ (春秋しゅんじゅう)

徐じょ

前ぜん20世紀せいき - 前ぜん512年ねん
国くに姓せい	嬴姓
爵位しゃくい	侯爵こうしゃく 周しゅう穆きよし王おうの時ときより子爵ししゃく
国くに都と	現在げんざいの山東さんとう省しょう臨沂市し郯城県けん一帯いったい
分封ぶんぽう者しゃ	禹
始祖しそ	若木わかぎ
滅亡めつぼう原因げんいん	呉ごにより滅亡めつぼう
史書ししょの記載きさい	『荀子』非ひ相そう篇へん 『史記しき』 （巻まき四よん周しゅう本紀ほんぎ、巻まき五ご秦はた本紀ほんぎ） 『楚すわえ辞じ』七なな諫・沈江篇へん 『春秋しゅんじゅう左ひだり氏し伝でん』 （初はつ見みは荘そう公こう二に十じゅう六ろく年ねん）
周しゅう朝ちょう諸侯しょこう国こく一覧いちらん

徐じょ（じょ、紀元前きげんぜん20世紀せいき頃ごろ - 紀元前きげんぜん512年ねん）は、夏代なつよから春秋しゅんじゅう時代じだいにかけて中国ちゅうごくに存在そんざいした東夷あずまえびす諸国しょこくの一ひとつ。徐じょ戎えびすや徐じょ夷えびす、徐じょ方かた、舒とも称しょうされる。

概要がいよう

夏なつ代だいから周しゅう代だいにかけては現在げんざいの山東さんとう省しょう臨沂市し郯城県けんに位置いちしていた。周しゅう初はつに安徽あんき省しょう宿やど州しゅう市し泗県、江蘇ちぁんすー省しょう宿やど遷市泗洪県けん一帯いったいを中心ちゅうしんとした。東夷あずまえびす諸国しょこくのなかで強大きょうだいな勢力せいりょくを誇ほこったが、春秋しゅんじゅう時代じだいに楚すわえによる攻勢こうせいを受うけ、紀元前きげんぜん512年ねんに呉ごにより滅ほろぼされた。

『後こう漢書かんしょ』東夷あずまえびす伝でんに「管かん、蔡は周しゅうに畔ほとりき、すなわち夷狄いてきを招まねき誘さそう。周しゅう公こうこれを征せいし、遂ついに東夷あずまえびす定さだまる。康かん王おうの時とき、粛慎また至いたる。後のちに徐じょ夷えびす、僭号し、すなわち九きゅう夷えびすを率ひきいて以もって宗そう周あまねを伐うち、西にしして河かわの上うえに至いたる。穆きよし王おう、そのまさに熾おこんなるを畏おそれ、すなわち東方とうほう諸侯しょこうを分わかち、徐じょ偃王に命めいじてこれを主おもせしむ」とある。管かんは河南かなん省しょう鄭てい州しゅうの地ちでここに周しゅう武たけ王おうの弟おとうとの管かん叔鮮が封ふうじられ、蔡は河南かなん省しょう上うえ蔡県の地ちで管かん叔鮮の弟おとうとの蔡叔度どが封ふうじられた。管かん叔鮮と蔡叔度どは周しゅう武たけ王おうの死後しご、殷いん紂王の子この武たけ庚かのえ禄ろく父ちちとともに、周しゅう成なり王おうと周しゅう公こう旦だんらに反乱はんらんを起おこしたが、平定へいていされた。徐じょ夷えびすが僭号したとあるが、徐じょは徐じょ州しゅう付近ふきんの広域こういき地ちで、徐じょ地域ちいきの支配しはい者しゃが周しゅうの支配しはいに反乱はんらんし、徐じょ偃王を名なのって周しゅうから自立じりつした。徐じょ偃王は東夷あずまえびすの九きゅう夷えびすを率ひきいて周しゅうを攻せめ、周しゅう穆きよし王おうは、徐じょ偃王の軍勢ぐんぜいが強力きょうりょくであるのを恐おそれて、東方とうほうに封ふうじていた諸侯しょこうを分わけて徐じょ偃王に属ぞくさせた。

考証こうしょう

林はやし泰やすし輔は、朝鮮ちょうせんの「卵生らんせい説話せつわ」（赫居世よ居きょ西にし干ひ、鄒牟王おう、首くび露ろ王おう、五ご伽耶かや王おう、脱だつ解かい尼あま師し今いま）と『賢愚けんぐ経けい』『法ほう苑えん珠たま林りん』『新しん唐とう書しょ』『大越おおこし史記しき全書ぜんしょ』『山海さんかい経けい』『大明だいめい一統いっとう志こころざし』『博物はくぶつ志こころざし』『後こう漢書かんしょ』などにみられるインド古代こだい伝説でんせつとの類似るいじ性せい、および『三さん国こく遺のこ事こと』に抄録しょうろくされた『駕が洛らく国こく記き』に記しるされる金きむ官かん加か羅ら国こくの始祖しそ首くび露ろ王おうの夫人ふじんの許もと黄玉おうぎょくが天竺てんじく阿おもね踰陀国こくの王女おうじょであることを根拠こんきょにして、「古代こだいにインド人じんが馬うま剌加海峡かいきょうを渡わたって東方とうほうに交通こうつうし、ついに朝鮮半島ちょうせんはんとうの南岸なんがんに加か羅ら国こくを開ひらいた」と述のべており、加か羅らはインド人じんが切きり開ひらいたと指摘してきしているが、関連かんれんして、林はやし泰やすし輔は、張ちょう華はなが著あらわした『博物はくぶつ志こころざし』にみられる徐じょ偃王の卵生らんせい説話せつわにおけるインド古代こだい伝説でんせつとの類似るいじ性せいから、中国ちゅうごくもまたインドから流ながれてきたものと指摘してきしている。

関連かんれん項目こうもく

• 徐じょ偃王