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ひらたももえん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
扁桃腺へんとうせんえんから転送てんそう
ひらたももえん
うみせんしゅだい発赤はっせきしたひらたももみとめられる
概要がいよう
診療しんりょう 家庭かてい医療いりょう, 感染かんせんしょうない科学かがく, 耳鼻咽喉じびいんこう科学かがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 J03, J35.0
ICD-9-CM 463
DiseasesDB 13165
eMedicine ent/314
Patient UK ひらたももえん
MeSH D014069

ひらたももえん(へんとうえん、えい: Tonsillitis)は、ウイルス細菌さいきん病原びょうげんたいとなって炎症えんしょうこす病気びょうきである。扁桃腺へんとうせんえんともいわれていた[注釈ちゅうしゃく 1]。ウイルスせいおおく、ライノウイルスやアデノウイルスなどが原因げんいんとなり、ときにEBウイルスや単純たんじゅんヘルペスウイルスなどもこしうる。つねざいきんには溶連菌ようれんきんブドウ球菌きゅうきん肺炎はいえん球菌きゅうきんなどがあり、溶連菌ようれんきん感染かんせん場合ばあい合併症がっぺいしょうこしやすい。おも小児しょうにこりやすいが、大人おとなになっても感染かんせんするれいもあり、またつねざいきんであるため、体力たいりょく低下ていかしたさいなどに再発さいはつすることもある。ウイルスせい場合ばあい単純たんじゅんヘルペスウイルスをのぞいて基本きほんてきには治療ちりょうやくはなく症状しょうじょうおうじた治療ちりょうとなる。細菌さいきんせい場合ばあい治療ちりょうにはおも抗生こうせい物質ぶっしつもちいられる。再発さいはつ頻度ひんどたかい(としに3 - 4かい以上いじょう場合ばあいひらたもも摘出てきしゅつ手術しゅじゅつおこなわれることもある。

ひらたももえんこる原因げんいん

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ひらたももには免疫めんえき細胞さいぼうおお[1]はなくちから気管きかんはい侵入しんにゅうする病原びょうげんたいウイルス細菌さいきんたいしての防御ぼうぎょ機能きのうたす。一方いっぽう[1]表面ひょうめんせんおおいため細菌さいきんになりやすく、感染かんせんげんとなってしまうこともある。ひらたもも病原びょうげんたい感染かんせんし、炎症えんしょうきた状態じょうたいひらたももえん急性きゅうせいひらたももえん)である。ひらたももらしはじめるのは2 - 3さいごろからで、6 - 9さいでピークをむかえる。ひらたももくちおくにあり、ここが炎症えんしょうこすとあかくなり、しろうみせんくこともある[1]

口蓋こうがいひらたももは4さいから8さい時期じきもっと活発かっぱつになり、おおきさも最大さいだいになるが、その徐々じょじょちいさくなり。大人おとなではほとんどわからなくなる。大人おとなになってもひらたももちいさくならずに炎症えんしょうつづき、ある程度ていどおおきさをたもっているのを、慢性まんせいひらたももえんぶ。この場合ばあいひらたもも病原菌びょうげんきんつねましましていると、抵抗ていこうりょくよわったときや、あらたに細菌さいきん侵入しんにゅうけたときなどに、ひらたももにある病原菌びょうげんきんちからからだ抵抗ていこうりょく上回うわまわるため、ひらたももえんきる。

症状しょうじょう

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通常つうじょうひだり)とひらたももえんみぎ)の比較ひかくひらたももえんかかると咽喉いんこうひらたももあかれてしろうみせんがあらわれる。

おも症状しょうじょうとしては38以上いじょう発熱はつねつ咽頭いんとういたみ、悪寒おかん戦慄せんりつ倦怠けんたいかん頭痛ずつう関節かんせつつうくわ[1]あごもと頚部けいぶリンパぶしれなどで、いたみがみみがわ頭部とうぶひろがることもある[2]高熱こうねつすため、高熱こうねつ特徴とくちょうてき症状しょうじょうおお[1]ひらたももえんはなかぜからこることもあり、また、ひらたももえんがもとではな喉頭こうとう気管きかんなどに炎症えんしょうこって、結果けっかてき風邪かぜ症状しょうじょうとなるため、ひらたももらす傾向けいこうのあるひと風邪かぜをひきやすい、あるいは、風邪かぜをひくとすぐ咽頭いんとうれるとみなされがちである。また関節かんせつつうることもある。風邪かぜつづいてこることがおおい。またうみせんひろがって、ひらたもも表面ひょうめんにあるかげ窩を白色はくしょくまくおおうようになる。これをかげ窩性ひらたももえんという。原因げんいんとなるのは溶連菌ようれんきんブドウ球菌きゅうきん肺炎はいえん球菌きゅうきんひとしがあげられる。しかし事前じぜん風邪かぜいている段階だんかい抗生こうせい物質ぶっしつもちいられると、原因げんいん特定とくていできない場合ばあいおお[2]

急性きゅうせいひらたももえんで、さらにおくにあるひらたもも炎症えんしょうおよぶとひらたもも周囲しゅういえんとなる。ひらたもも周囲しゅういえんは、急性きゅうせいひらたももえんなおりかけたころに手当てあてをおこたり、悪化あっかした結果けっか症状しょうじょうで、高熱こうねつはげしい咽頭いんとういたみがある。片側かたがわ口蓋こうがいひらたももうえ膿瘍のうようができ、あかれて化膿かのうするため口臭こうしゅうつよくなる[2]

ひらたももえんこすウイルス

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[1]

ひらたももえんこす細菌さいきん

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溶連菌ようれんきん

溶連菌ようれんきん感染かんせん場合ばあい合併症がっぺいしょうとして、下記かきの3つがあげられる[1]

慢性まんせいひらたももえん

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ひらたももえんよう検査けんさキット

慢性まんせいひらたももえんは、としなんかいひらたももえんかえして高熱こうねつす。ひらたもものくぼみに細菌さいきん蓄積ちくせきされ、これが原因げんいん全身ぜんしん感染かんせんこすこともある。また、扁桃腺へんとうせん周囲しゅういえん状態じょうたいうみがたまると扁桃腺へんとうせん周囲しゅうい膿瘍のうようになる。このような症状しょうじょう溶連菌ようれんきん感染かんせんによるものがおおいとされるが、黄色おうしょくぶどう球菌きゅうきん肺炎はいえん球菌きゅうきん、およびウイルスによるものがある。暴飲ぼういん暴食ぼうしょく過労かろう咽頭いんとう乾燥かんそうなどがおも原因げんいんで、血液けつえき検査けんさをすると、白血球はっけっきゅうかず増加ぞうかCRP炎症えんしょう程度ていどしめ検査けんさ)の上昇じょうしょうみとめられる。また、細菌さいきん検査けんさをすれば発生はっせい原因げんいんとなるきん検出けんしゅつされる。ワンサン・アンギーナたんかく細胞さいぼうせいアンギーナ顆粒かりゅう細胞さいぼうせいアンギーナがあり、たんかく細胞さいぼうせいアンギーナは、骨髄こつづい病気びょうきである伝染でんせんせいたんかくしょうによってこされる[2]

急性きゅうせいひらたももえん慢性まんせいしたのが慢性まんせいひらたももえんである。慢性まんせいひらたももえんには突然とつぜん急性きゅうせいする場合ばあいがあり、急性きゅうせい症状しょうじょうを、1ねんに3かいから5かいにわたりかえ場合ばあいとく習慣しゅうかんせいひらたももえんぶ。習慣しゅうかんせいひらたももえんでは、病巣びょうそう感染かんせんといって関節かんせつ腎臓じんぞう皮膚ひふなど、ほかの部位ぶいにも病気びょうきこることがある。

慢性まんせいひらたももえん種類しゅるい

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慢性まんせいひらたももえんは「習慣しゅうかんせいひらたももえん」、「慢性まんせい単純たんじゅんせいひらたももえん」、そして「ひらたもも病巣びょうそう感染かんせんしょう」の3種類しゅるいけられる。

習慣しゅうかんせいひらたももえん

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子供こどもおおい。3さいごろから発症はっしょうはじまり、6さいがピークとなる。通常つうじょう成人せいじんするまでにはおさまるが、大人おとなになってから発症はっしょうすることもある。

症状しょうじょう

  • 咽頭いんとうつう
  • 高熱こうねつ
  • 嚥下えんかいた
  • みみ放散ほうさんつう
  • 倦怠けんたいかん

ただし、安定あんてい症状しょうじょうることはない。

慢性まんせい単純たんじゅんせいひらたももえん

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ほとんどの場合ばあい大人おとな感染かんせんする。原因げんいん飲酒いんしゅ喫煙きつえんなどで、急性きゅうせいひらたももえんからそのまま移行いこうすることもある。

症状しょうじょう

  • 咽頭いんとういた
  • 微熱びねつ
  • 乾燥かんそう
  • 刺激しげきぶつをとるとしみる
  • のど異物いぶつかん

ひらたもも病巣びょうそう感染かんせんしょう

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腎臓じんぞう皮膚ひふ関節かんせつなどの病気びょうき併発へいはつする。

症状しょうじょう

治療ちりょう方法ほうほう

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薬物やくぶつによる治療ちりょう

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セフェムけい抗生こうせい物質ぶっしつ

合併症がっぺいしょうけるためにも、医師いし治療ちりょうけるほうがいい。安静あんせいうがい湿布しっぷ口内こうないじょうトローチなどにくわえ、水分すいぶんや、抗体こうたいさんせいうながされるビタミンC必要ひつようである。薬物やくぶつとしては抗生こうせい物質ぶっしつくわえ、炎症えんしょうおさえるこうプラスミンざいステロイドけいこう炎症えんしょうざいもちいられる。ルゴるごル液るえき塗布とふもある[2]日頃ひごろはよくうがいをし、不規則ふきそく生活せいかつつつしむことが大事だいじである。またのどのいたみがある場合ばあいは、入浴にゅうよく飲酒いんしゅ喫煙きつえんけるべきである。

ウイルスが原因げんいん場合ばあいは、単純たんじゅんヘルペス以外いがい特効薬とっこうやくがないので、抗生こうせい物質ぶっしつ使用しようせずに、症状しょうじょうおうじた治療ちりょうおこなわれる。単純たんじゅんヘルペスの場合ばあいは、水疱瘡みずぼうそうおなやくアシクロビル(ゾビラックス)、バラシクロビル(バルトレックス)などをもちいる。EBウイルスが原因げんいん伝染でんせんせいたんかくしょうによるひらたももえんは、肝炎かんえんこしたり肝臓かんぞうれたりすることがあり、また発熱はつねつつづいたりもする。発熱はつねつたいしては解熱剤げねつざい関節かんせつつうにはいための内服薬ないふくやく湿布しっぷやくなどがもちいられる[1]

細菌さいきん原因げんいんこるひらたももえんは、抗生こうせい物質ぶっしつによる治療ちりょうおこなわれる。当該とうがい細菌さいきんにもっとも効果こうかたか抗生こうせい物質ぶっしつ使用しようするために、綿棒めんぼうでノドをこすり、その綿棒めんぼう培地ばいちれて、3日間にちかんほど細菌さいきん繁殖はんしょくさせるが、溶血ようけつせい連鎖れんさ球菌きゅうきん溶連菌ようれんきん)では、迅速じんそく審査しんさにより15ふん程度ていどわかることがある。溶連菌ようれんきんによるひらたももえん場合ばあいは、除菌じょきんのぞましく、ペニシリンけい抗生こうせい物質ぶっしつを10日間にちかん、またはセフェムけい抗生こうせい物質ぶっしつを5日間にちかん使つか[1]。またアジスロマイシン(ジスロマック)をもちいることもある。

手術しゅじゅつによる治療ちりょう

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ひらたもも除去じょきょ手術しゅじゅつ2にち患部かんぶ

ひらたももらす頻度ひんどたか場合ばあいは、ひらたもも摘出てきしゅつじゅつおこなうことがある。この目的もくてき扁桃腺へんとうせん炎症えんしょうこさないことと、病巣びょうそう感染かんせんふせぐためである。病巣びょうそう感染かんせん要注意ようちゅういなのは、関節かんせつでは関節かんせつリューマチ腎臓じんぞうではじんえんIgAじんしょうなどの合併症がっぺいしょうである。ひらたもも摘出てきしゅつ手術しゅじゅつについては、習慣しゅうかんせいひらたももえんで、目安めやすとして1ねんに4かい以上いじょう扁桃腺へんとうせんらすような場合ばあいだいさん肥大ひだいくらいでものをみにくい、あるいは呼吸こきゅう困難こんなんおもわれる場合ばあいけたほうがいい。このときにアデノイドも摘出てきしゅつすることがある。

手術しゅじゅつ全身ぜんしん麻酔ますいまたは局所きょくしょ麻酔ますいおこなわれ、術後じゅつご1週間しゅうかん安静あんせいにして、1かげつほどってからもと生活せいかつもどして[2]術後じゅつご口内こうないいたみがおさまれば、かおこえにも影響えいきょうのこらず、じゅつまえのようにひらたももらすこともなくなる。アメリカでは幼少ようしょう積極せっきょくてき手術しゅじゅつ治療ちりょうおこな除去じょきょすることが慣習かんしゅうとなっている[3][出典しゅってん無効むこう]

ひらたもも膿瘍のうよう場合ばあいは、膿汁のうじゅう排泄はいせつ目的もくてきとなる。膿瘍のうようがどこにあるか、どのような状態じょうたいであるかを考慮こうりょしたうえで、注射ちゅうしゃはり穿刺せんし吸引きゅういんする場合ばあいと、局所きょくしょ麻酔ますいにメスで切開せっかいする場合ばあいとがある[4]

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 元々もともとは「扁桃腺へんとうせん」とよばれていたが、分泌ぶんぴつせんではないので「ひらたもも」が正式せいしき名称めいしょうである。ひらたももには、口蓋こうがいひらたもも(こうがいへんとう)、したひらたもも(ぜつへんとう)、咽頭いんとうひらたもも(いんとうへんとう=アデノイド)、みみかんひらたもも(じかんへんとう)などの種類しゅるいがあるが、一般いっぱんひらたももえば口蓋こうがいひらたもものことである。

出典しゅってん

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  1. ^ a b c d e f g h i j しんえきこうひろし. “ひらたももえん症状しょうじょう原因げんいん治療ちりょう [子供こども病気びょうき]”. All About. 2014ねん2がつ2にち閲覧えつらん
  2. ^ a b c d e f 小学館しょうがくかん家庭かてい医学いがくだい事典じてん編纂へんさん委員いいんかい へん『ホーム・メディカ 家庭かてい医学いがくだい事典じてん小学館しょうがくかん、1992ねん7がつ、884-890ぺーじISBN 4-09-304502-X 
  3. ^ 扁桃腺へんとうせん切除せつじょ手術しゅじゅつについて”. 予防よぼう接種せっしゅまるわかり. 2016ねん3がつ4にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2015ねん10がつ14にち閲覧えつらん
  4. ^ ひらたもも周囲しゅうい膿瘍のうようひらたもも周囲しゅういえん”. gooヘルスケア. 2014ねん1がつ12にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2014ねん2がつ2にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく

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