有機ゆうきヨウ素す化合かごう物ぶつ

最もっとも単純たんじゅんな有機ゆうきヨウ素す化合かごう物ぶつ。ヨードメタン。

有機ゆうきヨウ素す化合かごう物ぶつ（ゆうきヨウそかごうぶつ、Organoiodine compound）とは、少すくなくとも1つ以上いじょうの炭素たんそ - ヨウ素もと結合けつごうを持もつ有機ゆうき化合かごう物ぶつのことである。有機ゆうき合成ごうせい化学かがくでは広ひろく用もちいられるが、自然しぜん界かいで生しょうじることはあまり無ない。ホルモンの一ひとつであるチロキシン（サイロキシン）は人体じんたいに必須ひっすな有機ゆうきヨウ素す化合かごう物ぶつである。

C-I結合けつごうは他たの炭素たんそ-ハロゲン結合けつごうの中なかでは最もっとも弱よわい。これはヨウ素もとが他たのハロゲンに比くらべて電気でんき陰性いんせい度どが最もっとも小ちいさく、原子げんし半径はんけいが最もっとも大おおきいことによる。CH₃X（X=F, Cl, Br, I）を例れいにすると、それぞれの結合けつごう解離かいりエネルギーは115, 83.7, 72.1, および 57.6 kcal/molとなる。これらのことから、他たのハロゲン基もとに比くらべてヨウ素す基もとは優秀ゆうしゅうな脱だつ離はなれ基もとであると言いえる。この他ほか、有機ゆうきヨウ素す化合かごう物ぶつは密度みつどが大おおきいことでも知しられている。例たとえば、ジヨードメタンの密度みつどは 3.325 g/cm³である。

利用りよう

造影ぞうえい剤ざいとして使つかわれるイオベルソール。

先述せんじゅつの通とおり、炭素たんそ-ヨウ素す結合けつごうは脱だつ離はなれが容易よういであるため有機ゆうき化合かごう物ぶつの工業こうぎょう的てき合成ごうせい法ほうの中なか間あいだ体たいとして用もちいられている。

ヨードメタン、ヨウ化かメチレン、ヨードホルムは殺菌さっきん剤ざい、殺虫さっちゅう剤ざいとして使つかわれている。

ポリヨード化合かごう物ぶつは医用いよう画像がぞう処理しょりの一ひとつである蛍光けいこう透視とうし法ほうにおいて造影ぞうえい剤ざいとして使つかわれる。これは、ヨウ素もとの大おおきな原子核げんしかくがX線せんを吸収きゅうしゅうするという性質せいしつを利用りようしている。市販しはんされているのは専せんら1,3,5-トリヨードベンゼンの誘導体ゆうどうたいで、その重量じゅうりょうの50%はヨウ素もとである。水みずに溶とけやすく、毒性どくせいも無なく、すぐに排泄はいせつされるため広ひろく使つかわれている。

C-I結合けつごうの合成ごうせい

有機ゆうきヨウ素す化合かごう物ぶつは様々さまざまなスキームで合成ごうせいされるが、位置いち選択せんたく性せいの度合どあいや前駆ぜんく体たいの性質せいしつ、目的もくてき物ぶつに依存いぞんする。直接ちょくせつヨウ素もと化かする方法ほうほうとしては不ふ飽和ほうわ化合かごう物ぶつとヨウ素もととの反応はんのうがある。

${\ce {{RHC=CH2}+ I2 -> RHIC-CIH2}}$

フィンケルシュタイン反応はんのうにおいて、ヨウ素すイオンは優秀ゆうしゅうな求もとめ核かく試薬しやくであり、塩素えんそ、トシラート、臭素しゅうそおよび他たの脱だつ離はなれ基もとと置換ちかんする。ザンドマイヤー反応はんのうではジアゾニウム塩しおを経由けいゆしてヨウ素もとの芳香ほうこう族ぞく化合かごう物ぶつを合成ごうせいする。

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