木星もくせいいます

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』

木星もくせいいます』(もくせいかいます、Buy Jupiter and Other Stories)は、アイザック・アシモフSF小説しょうせつたん編集へんしゅう、またその表題ひょうだいさくBuy Jupiter)。たん編集へんしゅう1975ねん刊行かんこうされた。

概要がいよう[編集へんしゅう]

1950ねんから1973ねんまでにかれたたん編集へんしゅう収録しゅうろく作品さくひんあつめたもの。元々もともとボストン世界せかいSF大会たいかい限定げんてい出版しゅっぱんされたしょう冊子さっしに、さらに短編たんぺんしてさい構成こうせいしたものである。

かく作品さくひん前後ぜんごにはアシモフ自身じしん解説かいせつしるされているが、たん作品さくひん内容ないようのみならず、『アシモフ初期しょき作品さくひんしゅう』をかたち執筆しっぴつ当時とうじ自身じしん状況じょうきょうが、かなり重大じゅうだい事件じけんボストン大学だいがく辞職じしょく、ガートルード夫人ふじんとの離婚りこんキャンベル死去しきょ、ジャネット夫人ふじんとの再婚さいこんなど)もふくめて詳細しょうさいしるされており、さながら自伝じでん様相ようそうていしている。

表題ひょうだいさく木星もくせいいます』(Buy Jupiter)のタイトルは、英語えいごおどろき・よろこびをあらわ成句せいく「By Jupiter」をもじったもの。元々もともとアシモフ自身じしんどうさくべつ題名だいめいけていたのを、雑誌ざっし掲載けいさい編集へんしゅうしゃ勝手かって変更へんこうされたのであるが(通常つうじょうアシモフは編集へんしゅうしゃらのこうした行為こうい憤慨ふんがいしている)、駄洒落だじゃれきのアシモフはこれをすっかりってしまい、たん編集へんしゅうのタイトルにも採用さいようしたという経緯けいいがある。

収録しゅうろくさくひとつ『エヴェレスト』は、エベレストやま人間にんげん絶対ぜったい登頂とうちょうできない理由りゆうえがいた作品さくひんだったが、掲載けいさい出版しゅっぱん準備じゅんびちゅうエドモンド・ヒラリーらが登頂とうちょう成功せいこう、それでも掲載けいさいりやめずに出版しゅっぱんされてしまったため、アシモフは本書ほんしょちゅうでも「わたしが『エベレストは登頂とうちょう不可能ふかのう』と予言よげんしたのは、それが登頂とうちょうされた6ヶ月かげつのちだった」とべている。

収録しゅうろくされている短編たんぺん[編集へんしゅう]

ダーウィンの玉突たまつじょう  Darwinian Pool Room (1950)[編集へんしゅう]

おとこたちがはなっていた。玉突たまつじょうかんがえてみよう。ゲームがわったあとで、それぞれのポケットにはたまはいっている。これらのたまが、時間じかんをさかのぼってどううごいたのかを想像そうぞうすると、いくつもの選択肢せんたくしがある。またぼうかずに、れたのか、最初さいしょからはいっていたのかもしれない。生物せいぶつ進化しんかも、たま過去かこうごきをさぐるように……。

狩人かりゅうど  Day of the Huters (1950)[編集へんしゅう]

居酒屋いざかやおとこたちが、原子げんしばくだんタイムマシンはなしをしていた。恐竜きょうりゅうなんせんまんねんまえ姿すがたしたという話題わだいで、がっていたところ、となりせきから「やい」とこえをかけられた。こえをかけたおとこは、タイムマシンをつくって実際じっさい中生代ちゅうせいだいまでき、恐竜きょうりゅうがどうなったかをてきたとう。なんでも大学だいがく関係かんけい仕事しごとをしていて、むすめとともにタイムマシンをつくったらしい。タイムマシンのありかをくと、のこしておきたくなかったので、こわしたともう。そのおとこ時間じかんたびはこんな内容ないようだった。はく亜紀あきったが、我々われわれ想像そうぞうしているような恐竜きょうりゅう世界せかいではなかった。天気てんきそらあかるかったが、5とうちいさな恐竜きょうりゅうしかかけなかった。それらはたかさ4フィートほどで2ほんあしち、こしには金属きんぞくのベルトをつけてじゅうっていた。わたし姿すがたつけるとそれらはちかづいてきて、わたし意識いしきむのをかんじた。そのときおかほうに、10フィートはある1とう大型おおがた恐竜きょうりゅう姿すがたあらわした。5とうはたちまちじゅうくと、おおきな恐竜きょうりゅうかってはしっていった。そいつらは恐竜きょうりゅう世界せかい狩人かりゅうどで、大型おおがた恐竜きょうりゅう絶滅ぜつめつした原因げんいんだというではないか。そして大型おおがた恐竜きょうりゅうがいなくなったあとは、同士討どうしうちをはじめたことも。

シャー・ギード・G  Shah Guido G. (1951)[編集へんしゅう]

ギード・ガーシュタヴァストラは、父親ちちおや地位ちい世襲せしゅうしただけの役立やくだたずだ。それでも国際こくさい連合れんごう事務じむ総長そうちょうである。その地位ちいは2世紀せいきまえならば、公選こうせんえらばれる名誉めいよある地位ちいだったのに。その役立やくだたずなおとこは、ギード・Gとばれるほかに、東洋とうよう称号しょうごう「シャー」をつけて、シャー・ギード・Gともばれていた。そいつのんでいるかぶ都市としは「アトランティス」とばれていた。この都市としでは、上流じょうりゅう階級かいきゅうぜいをこらした増築ぞうちくつづけたので、浮揚ふようシステムの余力よりょくはわずかしかなかった。あるおとこが、シャー・ギード・Gの暗殺あんさつ計画けいかくした。とある式典しきてんのときに、ウエイブスたちの操縦そうじゅうする巡洋艦じゅんようかん7500せき着陸ちゃくりくさせるように仕組しくんだのである。そのおもさにえかねて浮揚ふようシステムは停止ていしし、空中くうちゅう都市としアトランティスは地上ちじょう落下らっかして破壊はかいされた。やはりアトランティスは、ウエイブス(なみ)のしたになったのであった。

バトン、バトン  Button,Button (1953)[編集へんしゅう]

2人ふたりおとこが、タイムマシンのような機械きかいつくった。それは過去かこ物体ぶったいってくることができた。現存げんそんする物体ぶったい焦点しょうてんをあてることができれば、それの「過去かこ本物ほんもの」をってこられるのだ。しかしエネルギーの関係かんけいで、ってくる重量じゅうりょうは1オンスまでが限界げんかいだった。2人ふたりかるくて価値かちあるものにをつけた。それはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく独立どくりつ宣言せんげんしょだった。その宣言せんげんしょ署名しょめいのなかでも、バトン・グウィネットのものは貴重きちょうだ。かれはこの署名しょめいのあとにんでしまったので、署名しょめいそのものがすくないのだ。バトンの署名しょめい部分ぶぶんだけをってくる準備じゅんびができた2人ふたりは、機械きかいのスイッチをれた。その瞬間しゅんかんショートがこり、機械きかいこわれたが、目的もくてきのものはれることができた。それを鑑定かんていしてもらうためワシントンD.C.っていった。1週間しゅうかん結果けっかた。それは、バトンの署名しょめい本物ほんもの間違まちがいないのだが、かれている羊皮紙ようひしあたらしすぎる、というものだった。

さるゆび  The Monkey's Finger (1953)[編集へんしゅう]

マーミー・タリンはSF作家さっか、ホスキンズはSF雑誌ざっし編集へんしゅうしゃだった。2人ふたりはタリンの原稿げんこうかれた内容ないようについてあらそいをしていた。どちらもいちゆずらない。タリンが、科学かがくてき実験じっけんめようとった。かれいの科学かがくしゃが、文章ぶんしょう創作そうさくできるさるっているというのだ。心理しんり力学りきがくのトーゲッソン教授きょうじゅのところには、ロローというオマキザルがいた。それには脳外科のうげか手術しゅじゅつほどこされていて、のうない電線でんせんでつながれ、コンピューターのような機能きのう発揮はっきするというのだ。ロローは、シェークスピア一節いっせつを、自分じぶんかんがえてタイプできるという。ためしにチェスタートンの「レパント」を、途中とちゅうまでかせたところ、ゆっくりではあるがそのつづきをタイプした。それは原文げんぶんつづきと、おな内容ないようだった。2人ふたりがいいあらそっていた原稿げんこう内容ないようも、この要領ようりょうつづきをタイプしてもらえれば決着けっちゃくがつけられる。

エヴェレスト  Everest (1953)[編集へんしゅう]

人間にんげんがまだのぼったことのないエヴェレストの山頂さんちょうに、飛行機ひこうきから人間にんげんろすという計画けいかくてられた(※この作品さくひんかれたときは、人間にんげんはまだ登頂とうちょうだった)。ジミー・ロボンズは宇宙うちゅうふくて、飛行機ひこうきからパラシュート降下こうかし、エヴェレスト山頂さんちょうりた。その様子ようす飛行機ひこうきからの無線むせん連絡れんらく確認かくにんされた。しかし悪天候あくてんこうのため、つぎ飛行機ひこうきべるまでには2週間しゅうかんかかった。ふたたんだ飛行機ひこうきは、かれ死体したいさがした。ところがけむりえた。かぎのついたロープをくだすと、宇宙うちゅうふく姿すがたかれがってきた。病院びょういんにいるかれに2週間しゅうかんびられたわけいた。かれは、知能ちのうのあるものたちが、空気くうき圧縮あっしゅくし、保温ほおんのための電源でんげんをくれたし、けむり信号しんごうおくってくれた、とうではないか。そして我々われわれのぼろうとすれば邪魔じゃまするだろうとも。つづけてかれった。「人間にんげん原子げんしばくだんやロケットを、エヴェレストからかんしている。かれらは、低温ていおん希薄きはく空気くうきでもきられる「火星かせいじん」なのだ」と。

休止きゅうし  The Pause (1954)[編集へんしゅう]

放射線ほうしゃせんりょう計測けいそくする装置そうちが、突然とつぜんカウントをしなくなった。故障こしょうかとおもったが、装置そうち同様どうようにカウントしなかった。不思議ふしぎなことに自然しぜんかいかならずあるはずの、バックグラウンド雑音ざつおんまったくない。上司じょうし原子げんしばくだんはどうなっているかとくと、そのこたえは「原子げんしばくだんとはなにかね?」だった。同僚どうりょう原子げんしエネルギーのほんしてくれといえば、そんなほんたことがないという。元素げんそ周期しゅうきりつひょうには、原子げんし番号ばんごう81までの放射線ほうしゃせんさない元素げんそしか掲載けいさいされていない。科学かがくしゃウランという元素げんそめいいたことがないというのだ。いったいどうしたのだろう。じつはこの現象げんしょうは、そと宇宙うちゅうから生物せいぶつによって、地球ちきゅうじょうでの5年間ねんかんのあいだ、原子力げんしりょくかんする知識ちしきうしなわれるというものだった。ただし世界中せかいじゅうで100にん男女だんじょ知識ちしき記憶きおくだけは、手付てつかずでのこされるらしい。5ねんたてば元素げんそはもとにもどるが、そのあいだに原子力げんしりょく利用りようただしい知識ちしきを、記憶きおくうしなった人々ひとびとあたえてもらうのが目的もくてきだというのだ。

望郷ぼうきょう  Let's Note (1954)[編集へんしゅう]

青酸せいさんカリもうとしていたおとこから、コップがたたおとされた。コップをっていた物理ぶつり学者がくしゃは、むかしのことをしみじみとかたった。学校がっこうがあったこと、新鮮しんせん空気くうきがあったこと、人間にんげんがたくさんいたこと。ここ「避難ひなんしょ」には、そういったものはない。惑星わくせい地下ちかはんマイルにつくられた避難ひなんしょには、100にんほどの人間にんげんしかいなかった。そして教育きょういくおこなうことができるのは、コップをっていた物理ぶつり学者がくしゃのほかに1にんだけ。かれらの使命しめいは、科学かがく存続そんぞくさせ、地球ちきゅうあたらしいスタートをることだった。それでも年月としつきぎれば、いま教育きょういくしている若者わかものたちが知識ちしきをたくわえ、あらたな教師きょうしになってくれるだろう。できるかぎりのことは、しなければならない。コップをたたおとしたおとこは、保護ほごふく惑星わくせい表面ひょうめんつことを想像そうぞうした。そして日没にちぼつ火星かせいそらに、あかるくかがやよい明星みょうじょう地球ちきゅうという惑星わくせいながめることを。

それぞれが開拓かいたくしゃ  Each an Explorer (1956) べつだい媒介ばいかいしゃ[編集へんしゅう]

2人ふたり実地じっち探査たんさいん、シューンズとスミスのった宇宙船うちゅうせんが、ちょう空間くうかんジャンプの完了かんりょう直後ちょくご原子げんしエンジンに故障こしょうこした。この恒星こうせいけいには2つの居住きょじゅう可能かのう惑星わくせいがあり、どちらにも植物しょくぶつしょう確認かくにんされた。はじめにちかいほうのだい惑星わくせい着陸ちゃくりくすることにした。いつもは適当てきとう着陸ちゃくりくするシューンズが、植物しょくぶつ場所ばしょつけて着陸ちゃくりくした。その植物しょくぶつは、みどり淡紅あわべにしょくはなち、開花かいかしていた。小屋こやのような建物たてものからは原住民げんじゅうみんあらわれた。それらはかたまでのたかさが3フィートで、4ほんあしあるき、二股ふたまたにわかれたっていた。そして植物しょくぶつ世話せわをしていた。スミスがはなつまもうとすると、原住民げんじゅうみんにさえぎられた。やがて族長ぞくちょうらしいものがあらわれた。そのさきには2だいちょう空間くうかん照準しょうじゅんがあった。宇宙船うちゅうせんなかでテストするとちゃんと機能きのうする。しかしなぜ地球ちきゅう機器ききがここにあるのか。もっとしいという身振みぶりをすると、原住民げんじゅうみんたちはだいいち惑星わくせいしめした。そのあいだに、はなるしぼんでいった。

シューンズが、エンジンは故障こしょうしたままだとうと、スミスが、いつのにかなおっているとこたえる。2人ふたりった宇宙船うちゅうせん無事ぶじ離陸りりくだいいち惑星わくせいかった。その惑星わくせい恒星こうせいちかぶん気温きおんたかかったのだが、さきほどの惑星わくせいおな植物しょくぶつえていた。ちかくのあなからは、直径ちょっけい1フィート、ながさ10フィートのへびのような生物せいぶつあらわれた。それらは植物しょくぶつ手入ていれをはじめた。そのうちの1ひきちかづいてくると、身体しんたい一部いちぶふくらんでれ、そこには2だいちょう空間くうかん照準しょうじゅんがあった。そこでも2人ふたりは、はなじかけているのに気付きづいた。スミスが、帰還きかんしようとった。シューンズはめかねていたが、やがて同意どういした。かえりの船内せんないで、2人ふたりはこれまでの出来事できごとはなった。2つの惑星わくせいおな植物しょくぶつ。それらを手入ていれする動物どうぶつかれらは植物しょくぶつ惑星わくせいあいだ空間くうかんえて、交配こうはいするのではとかんがえた。交配こうはいさせたのは自分じぶんたちの宇宙船うちゅうせんである。

空白くうはく!  Blank! (1957)[編集へんしゅう]

タイムマシンを発明はつめいしたおとこと、その友人ゆうじんはなしていた。友人ゆうじんう。「タイムマシンは安全あんぜんか?」。おとここたえる。「エレベーターよりも安全あんぜんだ」。2人ふたりはタイムマシンにんだ。マシンがきゅうまった。エレベーターがかいかい中間ちゅうかんまったようなもので、まわりにはなにかった。

蜜蜂みつばちにかけない  Does a Bee Care? (1957)[編集へんしゅう]

宇宙船うちゅうせん工場こうじょうに、ケインという白痴はくちがいた。人事じんじおとこかれをクビにしようとしたが、技術ぎじゅつしゃおとこ反対はんたいした。その理由りゆうは、ケインがそばにいると、あたらしいアイデアが次々つぎつぎいてくるからだという。ケインはおとこの、おまもりだともいう。ケインは人間にんげんではなかった。はるか8000ねんまえに、地球ちきゅうじょうとされたほしじんたまごだったのだ。たまごから孵化ふかした幼虫ようちゅうは、人間にんげん姿すがたになり、人類じんるい宇宙うちゅうつことを目的もくてきにしていたのだ。ケインは歴史れきしじょう人物じんぶつ様々さまざま助言じょげんあたえてきた。ニュートンリーゼ・マイトナー、そしてアインシュタインなどに。そして科学かがく進歩しんぽした。いまや宇宙船うちゅうせん完成かんせいした。ケインの姿すがたをしたほしじんふねしのみ、げのときをっている。やがてほしじん惑星わくせいつけて、そこでたまごむのだ。はなみつった蜜蜂みつばちは、つときに、あとにのこされたはなのことまでにかけないだろう。

ばかものども  Silly Assec (1958)[編集へんしゅう]

リゲルひと長命ちょうめい種族しゅぞくだった。そのうちの一人ひとりであるナロンは、銀河系ぎんがけい記録きろく仕事しごと代々だいだいつづけていた。かれ手元てもとにある帳簿ちょうぼには、銀河系ぎんがけいないまれ知能ちのうつにいたったおおくの種族しゅぞくのリストが記載きさいされていた。もちろん滅亡めつぼうした種族しゅぞく名前なまえは、抹消まっしょうされることになっている。あるとき、あたらしいゆう機体きたいのグループが、成熟せいじゅくたっしたという報告ほうこくがあった。ナロンは帳簿ちょうぼ達筆たっぴつで「地球ちきゅう」としるした。この生物せいぶつは、知能ちのうってから成熟せいじゅくたっするまでの時間じかんしん記録きろく達成たっせいしていた。さらに報告ほうこくでは、かく融合ゆうごうエネルギーの水準すいじゅんまで到達とうたつしているという。ナロンがたずねた。「原子力げんしりょく宇宙船うちゅうせん連盟れんめい接触せっしょくするのもちかいことだろう」。報告ほうこくしゃった。「いいえ。宇宙船うちゅうせんつくっておらず、自分じぶん惑星わくせいじょう実験じっけんおこなっています」。ナロンはいたばかりの名前なまえ抹消まっしょうしてからつぶやいた。「ばかものども」。

木星もくせいいます  Buy Jupiter (1958)[編集へんしゅう]

ほしじんしんじられないもうをしてきた。木星もくせいってほしいというのだ。その対価たいかは、地球ちきゅうのエネルギー需要じゅようたすだけの、エネルギー・ボックスを毎年まいとし提供ていきょうするという。理由りゆうけば、ラムベリーの連中れんちゅう秘密ひみつにしておきたいので、それははなせないという。地球ちきゅうがわでは、そのほしじんがラムベリーと戦争せんそうをしており、その軍事ぐんじ拠点きょてんとして木星もくせい必要ひつようとしているのかとかんがえた。だがほしじんはきっぱりと否定ひていした。地球ちきゅうがわは、その契約けいやく同意どういした。木星もくせいれたほしじんは、そのよるがわ表面ひょうめんに「広告こうこくサイン」を投影とうえいした。健康けんこう食品しょくひんのCMだった。ほしじん宇宙船うちゅうせん毎日まいにち7せきあまりが、太陽系たいようけいのそばを通過つうかするという。それらのふねからえる惑星わくせいは、絶好ぜっこう広告塔こうこくとうになるのだ。ラムベリーは、おなじような食品しょくひんつくっているライバル会社かいしゃらしい。1人ひとりおとこった。「ラムベリーの連中れんちゅうがこのことをきつけてきたときは、もっとたか対価たいかで、をつけて土星どせいればいい」。

ちち彫像ちょうぞう  A Statue for Father (1959) べつだい人類じんるい恩人おんじん[編集へんしゅう]

物理ぶつり学者がくしゃ父親ちちおやとその息子むすこは、タイムトラベルの研究けんきゅうおこなっていた。時間じかんトンネルの研究けんきゅうたいして、はじめは大学だいがくからの補助ほじょきんたがやがてそれもくなり、父親ちちおや大学だいがくをやめて自宅じたく研究けんきゅうすすめた。ある偶然ぐうぜんにも中生代ちゅうせいだい短時間たんじかんだが焦点しょうてんわせることができ、2人ふたりアヒルたまごほどのおおきさの恐竜きょうりゅうたまごを、14にいれた。時間じかんトンネルのことは、公表こうひょうすると邪魔じゃまされるおそれがあったので、秘密ひみつにしたまま研究けんきゅうつづけた。たまごからは、成長せいちょうしても中型ちゅうがたいぬ程度ていどおおきさにしかならない恐竜きょうりゅうたちがまれた。3ねんぎたが、時間じかんトンネルの研究けんきゅうすすまない。一方いっぽう恐竜きょうりゅう繁殖はんしょくし、50とうほどになっていた。あるとき、実験じっけんしつまよんできた1とう恐竜きょうりゅうが、2つの接点せってんのあいだを横切よこぎった。猛烈もうれつなショートがこって火花ひばなり、時間じかんトンネルの機械きかい完全かんぜん破壊はかいされた。2人ふたり一瞬いっしゅん破産はさんしてしまったのだ。

呆然ぼうぜんとする2人ふたりに、なんともえないかぐわしいかおりがただよってきた。それはげた恐竜きょうりゅうからかおりで、かわしたにくニワトリのようだった。2人ふたり至福しふく表情ひょうじょう恐竜きょうりゅうをむさぼりった。かれらは銀行ぎんこうから融資ゆうしけて、恐竜きょうりゅうだい規模きぼ飼育しいくし「ダイナチキン」として販売はんばいした。いまやそのあじ世界中せかいじゅうひろまり、2人ふたりげたレストランチェーンだけで、独占どくせん販売はんばいされている。恐竜きょうりゅうれを飼育しいくするのは、かれらの一族いちぞくだけであり、一族いちぞく大金持おおがねもちになった。そのあいだも、父親ちちおやのほかに20くみものチームが、時間じかんトンネルの研究けんきゅうつづけているが、なんの成果せいかられていない。ダイナチキンのあじ感動かんどうした人々ひとびとは、父親ちちおや彫像ちょうぞう山腹さんぷくつくった。その碑文ひぶんには「世界せかいにダイナチキンをもたらしたもの」ときざまれている。父親ちちおやゆめはただひとつ、タイムトラベルの秘密ひみつ解明かいめいすることだったのに…。

あめあめこうへけ  Rain, Rain, Go Away (1959)[編集へんしゅう]

あたらしくジョージ・ライトのとなりしてきた一家いっかは、とんでもないあめ恐怖症きょうふしょうだった。名前なまえは「サッカロ」という。しょっちゅうそらながめてくも確認かくにんしているし、すこしでもくもがあれば絶対ぜったい外出がいしゅつしない。ある、ジョージのつまリリアンが、サッカロ一家いっかゆう園地えんち約束やくそくをしてきた。かなり説得せっとく時間じかんがかかったが、なんとか同意どういさせたらしい。約束やくそく当日とうじつ、ジョージのくるまんだサッカロ一家いっかの3にんってきたのは、携帯けいたいラジオアネロイド気圧きあつけいゆう園地えんちではたのしくあそんでいたいちぎょうだったが、そらくもがかかってくるとサッカロ一家いっかは、ラジオをいて不安ふあん表情ひょうじょうをした。サッカロ夫人ふじんふるえていた。ジョージはかえることにめ、いちぎょうくるま帰途きとについた。ラジオでは、局地きょくちてき雷雨らいう予報よほうこえ、気圧きあつけいはりがってきたとサッカロのぼうやがさけんでいる。サッカロ夫人ふじんにせかされて、ジョージはくるまのスピードをあげた。突風とっぷうき、稲妻いなづまはしるようになった。ほどなくサッカロ前庭ぜんていまったくるまから、サッカロ一家いっかの3にんびだして玄関げんかんかった。そのとき突然とつぜん大粒おおつぶあめってきた。あめれたサッカロ一家いっかは、みるみるうちに…。

創建そうけんしゃ  Founding Father (1965) べつだい入植にゅうしょくしゃ[編集へんしゅう]

5にん銀河系ぎんがけい探検たんけん隊員たいいんった宇宙船うちゅうせんが、複数ふくすう不運ふうん事故じこ連続れんぞくして見舞みまわれ、もついていない惑星わくせい不時着ふじちゃくした。宇宙船うちゅうせん船体せんたい無事ぶじだったが、エンジンは故障こしょう無線むせん回路かいろれてしまった。もう離陸りりくすることも、救難きゅうなん信号しんごうはっすることもできない。救助きゅうじょされる可能かのうせいはゼロにひとしい。この惑星わくせい大気たいきは、きわめてめずらしい「窒素ちっそ - 二酸化炭素にさんかたんそ - アンモニアかた」だった。かれらは船体せんたい地下ちかめて基地きちにした。アンモニアの大気たいきえるため、地球ちきゅうからってきた植物しょくぶつたねいたが、土壌どじょうふくまれるアンモニアのためにれてしまった。そしてこの惑星わくせい時間じかんで5ねん地球ちきゅうれきでは6ねんきょう年月としつきぎた。

そのあいだもおとこたちは、できるだけのことをした。土壌どじょういてアンモニア塩分えんぶん除去じょきょしたものにたねいたが、貧弱ひんじゃくにしかそだたなかった。新芽しんめにドームをかぶせて、アンモニアの空気くうきおくってもダメだった。土壌どじょう化学かがくてき組成そせいを、いろいろとえてみても効果こうかはなかった。長期間ちょうきかんにわたるアンモニア摂取せっしゅにより、おとこたちは衰弱すいじゃくしていった。いまや3にん昏睡こんすい状態じょうたい1人ひとり寝込ねこんでおり、1人ひとりだけが自分じぶんあしっている。4にんんだとき、最後さいごまでのこったおとこは、かれらの死体したいめ、そのうえたねいた。やがて最後さいごおとこ自分じぶん死期しきをさとり、地上ちじょう菜園さいえんまえにひざまずいた。地球ちきゅう植物しょくぶつ緑色みどりいろをして、まだびていた。地球人ちきゅうじん死体したいから栄養分えいようぶん供給きょうきゅうされ、酸素さんそすようになった植物しょくぶつは、まわりのアンモニアをはらっていたのだ。なが年月としつきのうちに、それらは成長せいちょう繁殖はんしょくするだろう。惑星わくせい全体ぜんたいが、おとこたちの記念きねんとなるのだ。

地獄じごくへの流刑りゅうけい  Exile to Hell (1968)[編集へんしゅう]

そこでは、おおきな犯罪はんざいおかしたものは、地獄じごくばれる場所ばしょおくられることになっていた。あるおとこが、ひとつの地域ちいき停電ていでんさせるという最悪さいあく犯罪はんざいをしてしまった。裁判さいばん判決はんけつは、もちろん地獄じごくきだった。ひるがたあつさ、よるこごえるさむさ、そして強力きょうりょく重力じゅうりょくによる拘束こうそく星空ほしぞらに、あおみどりかがやくそれは「地球ちきゅう」とばれていた。

問題もんだいかぎ  Key Item (1968)[編集へんしゅう]

1人ひとりおとこがマルティヴァックの中枢ちゅうすうからてきた。かれ機械きかい点検てんけんするためにはいったのだが、故障こしょう原因げんいんはつかめなかった。6チームの技術ぎじゅつしゃが3にちかけてもわからないのだ。マルティヴァックがときどき、こたえをさないことがあったので、なんひゃくまんもの部品ぶひん点検てんけんしているのである。こたえなかった質問しつもん分析ぶんせきしてみても、故障こしょうとの関連かんれんせいかんがえられない。そのおとこは、機械きかい複雑ふくざつになったので、人間にんげんのうおなじくらいの理解りかいりょくったからではないかとかんがえた。かれはテープ入力にゅうりょくではなく、口頭こうとうによる入力にゅうりょくためしてみることにした。はじめは問題もんだいってから「すぐに返事へんじをしてくれ」とったが、マルティヴァックからのこたえはなかった。つぎには問題もんだいってから「返事へんじをしてくれ」のつぎに「ませんか(英語えいごではプリーズ)」という「かぎ言葉ことば」をくわえた。するとマルティヴァックはうれしそうなおとててうごした。

適切てきせつ研究けんきゅう課題かだい  The Proper Study (1968)[編集へんしゅう]

その研究けんきゅうについて、将軍しょうぐん公表こうひょうすることに反対はんたいしていた。研究けんきゅうしゃは、世界中せかいじゅう研究けんきゅうしてもらいたいとかんがえていた。ある将軍しょうぐんまねいての神経しんけい分光ぶんこうがく実験じっけんおこなわれた。1人ひとり被験者ひけんしゃてきて、将軍しょうぐん姿すがたにすると、空間くうかんにはいくつものひかりあらわれた。それらは不調和ふちょうわで、ものたちの気持きもちを不安ふあんにさせた。つぎ実験じっけんでは、被験者ひけんしゃしん方式ほうしきのアニメーションをせた。空間くうかんむらがる色彩しきさいパターンは調和ちょうわたもち、いろ変化へんかおだやかになった。ものたちはほっと溜息ためいきをつき、安堵あんど表情ひょうじょうかべた。ここで研究けんきゅうしゃった。「将軍しょうぐん研究けんきゅう公開こうかいしてください」。不思議ふしぎなことに、将軍しょうぐん同意どういした。あとで研究けんきゅうしゃった。「まずはじめに、将軍しょうぐん不安ふあんかんじさせてから、幸福こうふく気分きぶんにさせた。そうすれば抵抗ていこうできないはずだから」。そして神経しんけい分光ぶんこうがく研究けんきゅう経過けいかは、世界中せかいじゅう報道ほうどう機関きかんおくられている。人類じんるいは、ついに適切てきせつ研究けんきゅう課題かだいれたのだ。

よんさんねん  2430 A.D. (1970)[編集へんしゅう]

地球ちきゅうがいへの植民しょくみん断念だんねんした人類じんるいは、15ちょう人口じんこうかかえていた。陸地りくちはすべて建物たてもの利用りようされ、海洋かいようでは食料しょくりょうプランクトン養殖ようしょくされていた。こんな状況じょうきょうなか1人ひとりおとこが、地球ちきゅう最後さいごハツカネズミモルモットウサギとり、トカゲなどのしょう動物どうぶつっていた。これらを始末しまつして、人間にんげんのために空間くうかんをあけろ、という命令めいれいた。

最大さいだい資産しさん  The Greatest Asset (1972)[編集へんしゅう]

地球ちきゅう自然しぜんは、徹底的てっていてき管理かんりされていた。森林しんりん木々きぎは、種類しゅるい位置いち指定していされてえられ、はたけには作物さくもつ規則正きそくただしく栽培さいばいされ、家畜かちくには番号ばんごうがつけられていた。おおきな動物どうぶつは、動物どうぶつえんにしかおらず、ちいさな動物どうぶつ姿すがたせれば、ニュースになるほどだった。人間にんげん地下ちか居住きょじゅうし、地表ちひょうものはまれだった。ほとんど変化へんかしない充足じゅうそくした惑星わくせいだった。地球ちきゅう生態せいたいきょく長官ちょうかんアドラストゥスに、月世界げっせかい研究所けんきゅうじょからルーというおとこ面会めんかいた。ルーは、昆虫こんちゅうから哺乳類ほにゅうるいまでの多様たよう生物せいぶつ使つかった遺伝子いでんし実験じっけんをしたいという。そのために10小惑星しょうわくせいがほしいという。この要請ようせいをコンピューターは却下きゃっかしたが、長官ちょうかんは5小惑星しょうわくせい許可きょかした。長官ちょうかんった。「人類じんるい最大さいだい資産しさん充足じゅうそくらぬ精神せいしんである」。かれがコンピューターの決定けっていくつがえしたのは、たとえ達成たっせいすることができなくても、研究けんきゅう活動かつどうつづけさせるためだった。充足じゅうそくらぬ精神せいしんたせるために。

好敵手こうてきしゅ  Take a Match (1972)[編集へんしゅう]

タキオン宇宙うちゅう空間くうかんジャンプした宇宙船うちゅうせんまわりは、暗黒あんこく空間くうかんだった。ほしえないということは、宇宙うちゅうくもなかたらしい。くも観測かんそくした乗組のりくみいんは、水酸基すいさんきフォルムアルデヒド主体しゅたいで、水素すいそは5パーセントしかふくまれていないことを確認かくにんした。かく融合ゆうごうった。「水素すいそすくないとスクープして燃料ねんりょうにできないし、水酸基すいさんきとフォルムアルデヒドはエンジンを故障こしょうさせてしまう。このままの慣性かんせい速度そくどでは、宇宙うちゅうくもるのになんヶ月かげつも、いやなんねんもかかってしまう」と。かく融合ゆうごう自分じぶん部屋へやじこもってしまった。かれ宇宙船うちゅうせん航行こうこうについては、船長せんちょう以上いじょう権限けんげんっているので、船長せんちょうもうかつに命令めいれいできない。ふねまどからそとている乗客じょうきゃくたちのあいだにも、ほしえないことへの不安ふあんはじめていた。そのなか1人ひとり小学校しょうがっこう8学年がくねん教師きょうしである初老しょろうおとこマルタンは、ふねかれている状況じょうきょう見抜みぬき、その解決かいけつさくかんがえだした。

それは学校がっこうでもおしえている簡単かんたん化学かがく反応はんのう不純物ふじゅんぶつをなくす方法ほうほうだった。人生じんせい経験けいけんながいマルタンは、ほこたかかく融合ゆうごうという職業しょくぎょうっていたので、直接ちょくせつにはつたえなかった。そのわりに、かく融合ゆうごう仲良なかよくなったわか女性じょせい乗客じょうきゃくウインターにさりげなくヒントをはなし、伝言でんごんしてもらった。最初さいしょ小学校しょうがっこう先生せんせいはなしなどみみたなかったかく融合ゆうごうだが、やがては真剣しんけんかんがえるようになった。

やがてマルタンが船長せんちょうしつされていると、れい奇妙きみょう感覚かんかくがしてまどそとにはほしあらわれた。ふねがジャンプに成功せいこうしたのだ。船長せんちょうは「宇宙船うちゅうせんすくわれたこ とは、あなたがアイデアをしたとしても、かく融合ゆうごう手柄てがらにしなければならない。それを口外こうがいされないために、ふね到着とうちゃくするまであなたは軟禁なんきん状態じょうたいにおかれる」とった。マルタンが「口外こうがいするかもしれないもう1人ひとり乗客じょうきゃく、ミス・ウインターと一緒いっしょ軟禁なんきんしてほしい」とこたえた。船長せんちょう同意どういした。

チオチモリン、ほしく  Thiotimoline to the Stars (1973)[編集へんしゅう]

宇宙うちゅう軍兵ぐんびょう学校がっこう卒業そつぎょうしきおこなわれた。ヴァーノン提督ていとくチオチモリンについての講演こうえんはじめた。チオチモリンは、みずくわえられる1びょうまえにはすでにみずけていること…、うんぬん。チオチモリンには吸時せいがあって、それで宇宙船うちゅうせん外壁がいへきおおえば、時間じかんじく前進ぜんしんでも後退こうたいでもできること…、あれやこれや。チオチモリンで時間じかんじく前進ぜんしんするなら、2ケ月かげつ宇宙船うちゅうせんもどったときは…、などなど。やがて提督ていとくおどろくべきはなしをした。「みんながいるのは講堂こうどうではなく、宇宙船うちゅうせんなかであり、わたし講演こうえんはじめた瞬間しゅんかんふね出発しゅっぱつし、わたしはなしをしているあいだに太陽系たいようけい外縁がいえんまで到達とうたつした。慣性かんせい効果こうかかんじないからわからないはずだ。そして宇宙うちゅう空間くうかんんで土星どせい軌道きどうネブラスカしゅうかえってきた」。そと確認かくにんした大尉たいいは、インディアンのれがいるという。宇宙船うちゅうせんはネブラスカしゅうではなくインドカルカッタかえってきたのだった(インディアンはインドじん意味いみ)。

ひかり韻律いんりつ  Light Verse (1973)[編集へんしゅう]

ラードナー夫人ふじんひかり彫刻ちょうこくつくることで有名ゆうめいだった。それはひかり交響曲こうきょうきょくとでもいうべきもので、そのひかり曲線きょくせん立体りったいるものを驚嘆きょうたんさせた。ラードナー夫人ふじんは、たくさんのロボットを使つかっていて、ひかり工芸こうげいひん番人ばんにんやくもまかせていた。それらのロボットのなかに、マックスとばれる無能むのうちかいものもいたが、夫人ふじんけっして調整ちょうせいさせたことがなかった。マックスはあいすべき性格せいかくなので、調整ちょうせいしていまの性格せいかくわってしまってはこまる、というのがその理由りゆうだった。あるよる夫人ふじんいえでパーティがおこなわれた。それに招待しょうたいされた1人ひとりのロボット技術ぎじゅつしゃが、のろまな行動こうどうをするマックスの不調ふちょううたが勝手かって調整ちょうせいしてしまった。そのことをいたラードナー夫人ふじんは、激怒げきどした。ひかり彫刻ちょうこくつくっていたのは、マックスだったのだ。調整ちょうせいされたマックスには、もう彫刻ちょうこくつくることはできない。ラードナー夫人ふじんは、パーティ会場かいじょうかざってあった短剣たんけんで、その技術ぎじゅつしゃころした。