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しょう悪魔あくまアザゼル18の物語ものがたり

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しょう悪魔あくまアザゼル18の物語ものがたり』(こあくまアザゼルじゅうはちのものがたり、Azazel )は、アイザック・アシモフファンタジー[1]小説しょうせつたん編集へんしゅうアザゼルばれるしょう悪魔あくま活躍かつやくする18の短編たんぺん小説しょうせつ構成こうせいされている。

概要がいよう

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1980ねんにアシモフはミステリー小説しょうせつ連載れんさい依頼いらいけ、グリズウォルドという主人公しゅじんこう身長しんちょう2センチのしょう悪魔あくまについてかた小説しょうせつ『Getting Even』を執筆しっぴつ採用さいようされた。そしてだい2としてまたグリズウォルドがしょう悪魔あくまはなしをする『一夜いちや歌声うたごえ』という作品さくひん仕上しあげたが、編集へんしゅうしゃよりファンタジー要素ようそいてほしいと注文ちゅうもんされたためぼつとなり、これ以降いこうしょう悪魔あくま登場とうじょうしないミステリーのみを連載れんさいすることとなる(この連載れんさいが『ユニオン・クラブ奇談きだん』となった)。そして『一夜いちや歌声うたごえ』は主人公しゅじんこうをジョージに変更へんこうし、しょう悪魔あくまにアザゼルという名前なまえをつけて雑誌ざっしファンタジイ・アンド・サイエンス・フィクション』に掲載けいさいされた。そのアイザック・アシモフズ・サイエンス・フィクション・マガジン』に連載れんさいうつし、1988ねん単行本たんこうぼんとして出版しゅっぱんされた[2]

ほん作品さくひん内容ないようは、主人公しゅじんこうの「わたし」がジョージのかたしょう悪魔あくまアザゼルのはなしくという形式けいしきっている。どのはなしもジョージの知人ちじんなやごとこり、アザゼルにその解決かいけつねがうが、おもわぬ見落みおとしから予想よそうがい結末けつまつむかえるという展開てんかいになっている。

登場とうじょう人物じんぶつ

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ジョージ・ビターナット
いかにもひとのよさそうなかおをした中年ちゅうねん男性だんせいじつ怠惰たいだうそつきで借金しゃっきんへきのある問題もんだい人物じんぶつだが、不思議ふしぎにくまれにくい。先祖せんぞからつたわる魔術まじゅつによって、しょう悪魔あくまアザゼルをすことに成功せいこうしたといいはっている。
アザゼル
ジョージのはなしてくるしょう悪魔あくま身長しんちょうやく2センチで、全身ぜんしんあかく、尻尾しっぽつ。悪魔あくまなのか宇宙うちゅうじんなのかは曖昧あいまいにぼかされておりわからない。不思議ふしぎちからっており、人間にんげんには不可能ふかのうなことを軽々かるがるとやってのける。
わたし
小説しょうせつでありジョージの友人ゆうじんほん作品さくひんは「わたし」の一人称いちにんしょう記述きじゅつされている。作中さくちゅう名前なまえかされないが、正体しょうたいはアイザック・アシモフ本人ほんにんである。

かくはなしあらすじ

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身長しんちょう2センチの悪魔あくま
ジョージとアザゼルの出会であいのはなし大学だいがくバスケットボールチームに所属しょぞくするリンダー・トムソンは、さほど優秀ゆうしゅう選手せんしゅではなかった。そこでジョージはアザゼルに、リンダーのげたボールはかならずリングにとおるようにとたのむ。
一夜いちや歌声うたごえ
アンドリュー・モートンソンはとある女性じょせいにこっぴどくふられた。しかしモートンソンは、彼女かのじょ教会きょうかい独唱どくしょうするそのだけ完璧かんぺき歌声うたごえをプレゼントしたいといいだす。
ケヴィンの笑顔えがお
ロージー・オドネルのおっとであるケヴィンは、普段ふだん仏頂面ぶっちょうづらだが彼女かのじょにだけは素晴すばらしい笑顔えがおせるときがあった。ロージーはその瞬間しゅんかん写真しゃしんにおさめたいとおもい、ジョージに相談そうだんする。
つよしゃ
ジョージの友人ゆうじんテオフィルスは女性じょせい見向みむきもされないおとこで、本人ほんにんもそれをにしていた。ジョージはそれを解決かいけつできないかと相談そうだんすると、アザゼルはフェロモン利用りようしようとした。
なぞ地響じひび
あるときジョージに洞窟どうくつ学者がくしゃのハンニバル・ウェストがおそろしい事実じじつける。人類じんるい大半たいはん死滅しめつさせることのできる秘密ひみつかくされた洞窟どうくつ発見はっけんしたというのだ。ジョージはアザゼルにたのんで、ハンニバルの記憶きおくそうとする。
人類じんるいすくおとこ
メナンダー・ブロックは奇妙きみょう運勢うんせいぬしで、かれ周囲しゅういではなぜか他人たにん不幸ふこう事故じこ頻発ひんぱつした。そのなやみをけられたジョージは、解決かいけつできると保証ほしょうする。だがメナンダーは、運勢うんせい改善かいぜんするだけではなく人類じんるいすくうような能力のうりょくしいと注文ちゅうもんをつけた。
主義しゅぎ問題もんだい
ゴットリーブ・ジョーンズは有能ゆうのうコピーライターだが、本人ほんにん小説しょうせつになりたいとねがっていた。だがかれはアイデアはあっても最後さいごまでることができない欠点けってんがあった。ジョージはかれ金持かねもちの小説しょうせつにしてやるからもうけを山分やまわけにしようとちかける。
さけ諸悪しょあくのもと
イシュタル・ミスティクは素晴すばらしい美女びじょだったが、男性だんせいたち敬遠けいえんさせるような貞淑ていしゅくさがあってなやんでいた。ジョージはさけいきおいをりろとアドバイスするが、彼女かのじょ下戸げこだった。そこでジョージはアザゼルに、彼女かのじょさけえるようにならないかと相談そうだんする。
ときかねなり
小説しょうせつのモルデカイ・シムズは、なぜか他人たにんによくたされる傾向けいこうがあり、いつもはらてていた。ジョージはアザゼルに、かれ二度にどたされないようにかくりつ法則ほうそくをいじろうと相談そうだんする。
ゆきなか
小説しょうせつのセプティマス・ジョンスンは、山奥やまおく素晴すばらしい別荘べっそうっていた。だがその別荘べっそうふゆゆきざされるために使つかえなくなる。それをしんだジョージは、かれゆきうえすべるようにうごけるようアザゼルにたのみ、見事みごと成功せいこうする。だがしばらくしてセプティマスに恋人こいびとができると、おもわぬ事件じけんこった。
当然とうぜん
アリステア・トバゴ・クランプ6せいは、富裕ふゆう家柄いえがら容姿ようし素晴すばらしい人物じんぶつだったが、ジョーク下手へたなことをにやんでいた。ジョージはかれ口下手くちべたなおるようにはからう。
たびはやさは世界一せかいいち
フィフィは旅行りょこうきだったが、かれおっとはケチでつま旅行りょこうゆるそうとしなかった。フィフィの知人ちじんであるジョージは、彼女かのじょのためにアザゼルのちからりておっと旅行りょこうきにしようとする。
ひとれば
メリサンド・オットは素晴すばらしい人格じんかく女性じょせいだったが、外観がいかんひどわるかった。あるときメリサンドはおっとのためにうつくしくなりたいとジョージに相談そうだんする。
てん
アメリカにある経済けいざい学者がくしゃ団体だんたいCDRには、奇妙きみょうなジンクスがあった。初代しょだい会長かいちょうは32ねん任期にんきのち死亡しぼうし、代目だいめは16ねん死亡しぼうさん代目だいめは8ねんよん代目だいめは4ねんと、死亡しぼうするまでの任期にんき半分はんぶんになりつづけているのだ。ヴィサリオン・ジョンスンはCDRのろく代目だいめ会長かいちょうさい有力ゆうりょく候補こうほだったが、えらばれたいちねんぬのではと恐怖きょうふしていた。かれ友人ゆうじんであるジョージはアザゼルにたのみ、ヴィサリオンにこの地上ちじょうのどんなちからでもなないようなからだあたえた。
しんのありよう
刑事けいじのヴァンドヴァンター・ロビンスンは他人たにん言葉ことばをすぐしんじてしまう性格せいかくで、刑事けいじとしては失格しっかくだった。だがジョージがアザゼルにたのみ、ヴァンドヴァンターにうそ見破みやぶれる能力のうりょくさづけたのでかれ大成たいせいする。しかしヴァンドヴァンターはあるとき、不貞ふてい見破みやぶったために婚約こんやく破棄はきしてしまう。その婚約こんやくしゃはジョージにきついたため、かれはヴァンドヴァンターを説得せっとくすることとなった。
青春せいしゅん時代じだい
大学生だいがくせいのアルタクセルクセス・シュネルは周囲しゅういからいじめをけていた。ジョージはかれうでっぷしをつよくしてくれとアザゼルにたのむ。アザゼルは、かれ戦闘せんとう状態じょうたいにあるときの回避かいひ能力のうりょくたかめることにし、アルタクセルクセスは見事みごとつよくなっていじめもなくなり、学生がくせいボクシングでチャンピオンにもなる。だがかれにはあらたななやみが発生はっせいしていた。
ガラテア
女流じょりゅう彫刻ちょうこくのエルダベリー・マッグスは、自分じぶんつくった青銅せいどう男性だんせいぞう「ハンク」にこいをして、それが生身なまみ人間にんげんになるようにとねがった。ジョージはそのねがいをかなえれば、彼女かのじょ貯金ちょきん半分はんぶんけてもらうという約束やくそくける。
空想くうそう飛行ひこう
バルデュア・アンダーソンは自分じぶん身一みひとつでそらぶことがゆめだった。ジョージはアザゼルのちからつくったはん重力じゅうりょく装置そうちわたすことにより、かれねがいをかなえる。他人たにんられぬよう屋内おくないだけでそらんでいたバルデュアだが、あるとき我慢がまんできず屋外おくがい飛行ひこうすることを計画けいかくする。

その

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アシモフのべつ短編たんぺん小説しょうせつ「キャル」(『ゴールド-黄金おうごん』に収録しゅうろく)には作中さくちゅうさくとして、ロボットのいた小説しょうせつ完璧かんぺき正式せいしき』というはなし登場とうじょうするが、これは『しょう悪魔あくまアザゼル18の物語ものがたり』の番外ばんがいへんである。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ アシモフは当初とうしょはファンタジーともミステリーともつかない小説しょうせつっていたが、その『アイザック・アシモフズ・サイエンス・フィクション・マガジン』で連載れんさいするにあたり宇宙うちゅうじんもののSF小説しょうせつということになった。しかし単行本たんこうぼんさい編集へんしゅうしゃジェニファー・ブレイルの要請ようせいにより宇宙うちゅうじんという設定せっていはなくなり、ふたたびファンタジー小説しょうせつとなった。
  2. ^ 単行本たんこうぼん収録しゅうろくの10へんたん編集へんしゅうThe Asimov Chronicles』『Magic』(ともわけ)に収録しゅうろくされている。