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極端きょくたんヘリウムぼし

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極端きょくたんヘリウムぼし[1] (Extreme helium star、EHe) は、水素すいそをほとんどたないてい質量しつりょうちょう巨星きょせいである。宇宙うちゅうもっと普遍ふへんてき存在そんざいする元素げんそである水素すいそいた恒星こうせい形成けいせいするような環境かんきょう分子ぶんしくもはないことから、ヘリウムかくつタイプ (DB, DO) と炭素たんそ酸素さんそかくつタイプ (DQ) の2つの白色はくしょく矮星融合ゆうごうしてしょうじたものだとかんがえられている[2][3][4]

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

極端きょくたんヘリウムぼしは、「水素すいそ欠乏けつぼうぼし」とばれる、よりひろいカテゴリーのなかで1つのサブグループを形成けいせいしている。水素すいそ欠乏けつぼうぼしには、かんむりRほしのようなつめたい炭素たんそぼしや、ヘリウム過剰かじょうがたOBほし種族しゅぞくIウォルフ・ライエぼしりょうけんAMがたほし、[WC]がた白色はくしょく矮星、PG1159がたほしのような遷移せんいほしとうふくまれる[5]。かんむりRがたほし極端きょくたんヘリウムぼしとはスペクトルがたおおきなちがいはないが、かんむりRかたぼしには8等級とうきゅうにもおよふかげんこうられるてん差異さいがある[3]

最初さいしょ確認かくにんされた極端きょくたんヘリウムぼしであるHD 124448は、1942ねんアメリカテキサスしゅうオースティンマクドナルド天文台てんもんだいで、ダニエル・M・ポッパーによって発見はっけんされた[6]。この恒星こうせいは、スペクトルちゅう水素すいそせんられず、つよいヘリウムの吸収きゅうしゅうせん炭素たんそ酸素さんそ吸収きゅうしゅうせん存在そんざいしていた[6]。2番目ばんめぼうえんきょうPVほしは、1952ねん発見はっけんされ、1996ねんまでに候補こうほ天体てんたいが25発見はっけんされている[4]。これらの恒星こうせい共通きょうつうする特徴とくちょうとして、炭素たんそたいするヘリウムの比率ひりつがいずれも0.3%から1%であることがげられる[7]元素げんそ組成そせいは、極端きょくたんヘリウムぼしなかでもおおきな差異さいられるにもかかわらず、炭素たんそとヘリウムの組成そせいはこの範囲はんいおさまっている[7]

既知きち極端きょくたんヘリウムぼしちょう巨星きょせいで、水素すいそは1まんぶんの1以下いかとなっている。表面ひょうめん温度おんどは9,000ケルビン (K) から35,000Kである。もっとおおいヘリウムと2番目ばんめおお炭素たんそ原子げんしすうは、やく100:1である。このような化学かがく組成そせいは、進化しんか過程かていのある段階だんかいで、水素すいそ燃焼ねんしょうとヘリウム燃焼ねんしょう両方りょうほうてきたことを示唆しさしている[4]

理論りろんモデル[編集へんしゅう]

極端きょくたんヘリウムぼし形成けいせいについて、以下いかの2つのシナリオが提案ていあんされた[4]

  1. じゅう生成せいせいモデル(DDモデル)」では、軽量けいりょうのヘリウム白色はくしょく矮星とよりおも炭素たんそ-酸素さんそ白色はくしょく矮星からなるれんほしけい形成けいせいされた、と説明せつめいした。2つのほしすでかく融合ゆうごうによるエネルギー生成せいせいをやめ、コンパクト天体てんたいとなっている。りょうほし公転こうてん運動うんどう重力じゅうりょく放出ほうしゅつされることによりおたがいの軌道きどうちいさくなり、最終さいしゅうてき合体がったいいたる。合体がったいしたさい質量しつりょうチャンドラセカール限界げんかいえなければ、炭素たんそ-酸素さんそ白色はくしょく矮星に降着こうちゃくしたヘリウムが着火ちゃっかし、ちょう巨星きょせいへと進化しんかする。こうして極端きょくたんヘリウムぼしまれ、またやがて冷却れいきゃくして白色はくしょく矮星となる[4]
  2. 「ファイナルフラッシュモデル(FFモデル)」では、漸近ぜんきん巨星きょせいぶんえだはなれたのち極端きょくたんヘリウムぼしへと進化しんかする可能かのうせい示唆しさした。白色はくしょく矮星へと冷却れいきゃくすすあいだに、コアをかこむヘリウムからのヘリウムが着火ちゃっかして、外層がいそう急激きゅうげき膨張ぼうちょうすることがある。このエンベロープのなか水素すいそ消費しょうひされくすと、ほし水素すいそ欠乏けつぼう状態じょうたいとなり、収縮しゅうしゅくして極端きょくたんヘリウムぼし形成けいせいする[4]

7つの極端きょくたんヘリウムぼし元素げんそりょう調査ちょうさした結果けっか、DDモデルによって予測よそくされた一致いっちした[4]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ extreme helium starとは”. weblio. 2020ねん4がつ16にち閲覧えつらん「JST科学かがく技術ぎじゅつ用語ようごにちえい対訳たいやく辞書じしょ」より。
  2. ^ Saio, Hideyuki; Jeffery, C. Simon (2002). “Merged binary white dwarf evolution: rapidly accreting carbon-oxygen white dwarfs and the progeny of extreme helium stars”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 333 (1): 121-132. Bibcode2002MNRAS.333..121S. doi:10.1046/j.1365-8711.2002.05384.x. ISSN 0035-8711. 
  3. ^ a b とき英行ひでゆき. “恒星こうせい末期まっき進化しんか”. 2020ねん4がつ16にち閲覧えつらん
  4. ^ a b c d e f g Pandey, Gajendra et al. (2006). “An Analysis of Ultraviolet Spectra of Extreme Helium Stars and New Clues to Their Origins”. The Astrophysical Journal 638 (1): 454-471. arXiv:astro-ph/0510161. Bibcode2006ApJ...638..454P. doi:10.1086/498674. ISSN 0004-637X. 
  5. ^ Jeffery, C. S.; Heber, U.; Hill, P. W.; Dreizler, S.; Drilling, J. S.; Lawson, W. A.; Leuenhagen, U.; Werner, K. (1996ねん). "A catalogue of hydrogen-deficient stars". In Jeffery, C. S.; Heber, U. (ed.). Hydrogen deficient stars, Proceedings. Vol. 96. Bamberg, Germany: Astronomical Society of the Pacific Conference Series. Bibcode:1996ASPC...96..471J
  6. ^ a b Popper, Daniel M. (1942). “A Peculiar B-Type Spectrum”. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 54: 160-161. Bibcode1942PASP...54..160P. doi:10.1086/125431. ISSN 0004-6280. 
  7. ^ a b Pandey, Gajendra et al. (2001). “Abundance analyses of cool extreme helium stars”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 324 (4): 937–959. arXiv:astro-ph/0101518. Bibcode2001MNRAS.324..937P. doi:10.1046/j.1365-8711.2001.04371.x. ISSN 0035-8711. 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]