潜水せんすい艇ていタイタン沈没ちんぼつ事故じこ

潜水せんすい艇ていタイタン沈没ちんぼつ事故じこ

日付ひづけ	2023年ねん6月18日にち頃ころ
場所ばしょ	カナダ・ニューファンドランド島とう沖合おきあいから南東なんとう740キロメートルの北大西洋きたたいせいよう タイタニック号ごう沈没ちんぼつ地点ちてん付近ふきん
座標ざひょう	北緯ほくい41度ど43分ふん32秒びょう 西経せいけい49度ど56分ふん49秒びょう
関係かんけい者しゃ	乗員じょういん・乗客じょうきゃく 5人にん
結果けっか	水圧すいあつによる船体せんたいの圧あつ潰つぶせ
生存せいぞん者しゃ	0人にん
死者ししゃ	5人にん

潜水せんすい艇ていタイタン沈没ちんぼつ事故じこ（せんすいていタイタンちんぼつじこ）は、2023年ねん6月18日にち頃ころ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの観光かんこう会社かいしゃオーシャンゲート社しゃが運航うんこうする潜水せんすい艇ていタイタン号ごうが、カナダのニューファンドランド島とう沖合おきあいから南東なんとう740キロメートルの北大西洋きたたいせいよう上うえで潜水せんすい中ちゅうに圧あつ潰つぶせ・沈没ちんぼつした海難かいなん事故じこである。

概要がいよう

2023年ねん6月がつ18日にち、タイタニック号ごうの残骸ざんがいの観覧かんらんを目的もくてきとするオーシャンゲート社しゃの潜水せんすい艇ていタイタン号ごう（乗員じょういん・乗客じょうきゃく5人にん）との連絡れんらくが途絶とだえ、カナダ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく、フランスなどの合同ごうどうによって「前例ぜんれいのない」と評ひょうされるほどの大だい規模きぼな捜索そうさくが行おこなわれた。行方ゆくえ不明ふめいから4日にち後ごの6月22日にち、アメリカ沿岸えんがん警備けいび隊たいはタイタニック号ごうの残骸ざんがい付近ふきんで潜水せんすい艇ていの破片はへんのようなものを発見はっけん、潜水せんすい艇ていは水圧すいあつにより圧あつ潰つぶしたとみられ、潜水せんすい艇ていを運用うんようするオーシャンゲート社しゃのCEOを始はじめとする乗員じょういん・乗客じょうきゃく5人にん全員ぜんいんの生存せいぞんが絶望ぜつぼう的てきであることを発表はっぴょうした。

この事故じこは、世界せかい的てきに名なの知しられているタイタニック号ごうの残骸ざんがいの観覧かんらんを目的もくてきとしたものだったこと、行方ゆくえ不明ふめい直後ちょくごは圧あつ潰つぶせの事実じじつが判明はんめいせず、乗員じょういん・乗客じょうきゃくの生存せいぞんの可能かのう性せいを否定ひていできなかったことから世界中せかいじゅうの注目ちゅうもくを集あつめ、捜索そうさくの拠点きょてんとなったボストンを中心ちゅうしんに世界中せかいじゅうのメディアが駆かけつける事態じたいとなった。

背景はいけい

オーシャンゲート社しゃ

オーシャンゲート社しゃは、ストックトン・ラッシュとギレルモ・シェンラインによって2009年ねんに設立せつりつされたアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの観光かんこう会社かいしゃで、2010年ねんより商用しょうよう潜水せんすい艇ていのリースによる観光かんこう事業じぎょうをカリフォルニア沖おき、メキシコ湾わん、大西洋たいせいようで実施じっししていた。その後ご、ラッシュは難破なんぱ船せんを訪おとずれるツアーによってメディアの注目ちゅうもくを集あつめることができると考かんがえ、2016年ねん、潜水せんすい艇ていサイクロプス1号ごうによってアンドレア・ドーリア号ごうの沈没ちんぼつ現場げんばを訪おとずれるツアーを実施じっしした。2019年ねん、ラッシュは雑誌ざっし『スミソニアン』によるインタビューで「誰だれもが知しっている沈没ちんぼつ船せんは1つしかない。（中略ちゅうりゃく）水中すいちゅうにあるものを何なにか挙あげろと問とわれれば、みんなサメ、クジラ、タイタニック号ごうと答こたえるはずだ」と述のべ、タイタニック号ごうの沈没ちんぼつ現場げんばを訪おとずれるツアーに意欲いよくを示しめしていた。

タイタニック号ごう

詳細しょうさいは「タイタニック号ごう沈没ちんぼつ事故じこ」を参照さんしょう

タイタニック号ごうは、1912年ねん4月がつ15日にち、北大西洋きたたいせいようで氷山ひょうざんと衝突しょうとつして沈没ちんぼつしたイギリスの豪華ごうか客船きゃくせんである。沈没ちんぼつによって1,514人にんが亡なくなり、これは海難かいなん事故じことしては当時とうじ史上しじょう最悪さいあくのものであった。1985年ねん、タイタニック号ごうの残骸ざんがいが発見はっけんされ、カナダのニューファンドランド島とうの沖合おきあいから南東なんとう740キロメートルの北大西洋きたたいせいよう上うえ、水深すいしん約やく3,810メートルに沈しずんでいることが判明はんめいした。水圧すいあつは水深すいしん10メートルごとに1気圧きあつずつ増ましていくため、タイタニック号ごうの沈没ちんぼつ現場げんばを訪おとずれるためには約やく380気圧きあつに耐たえる潜水せんすい艇ていが必要ひつようとなる。

タイタン号ごう

タイタン
潜水せんすい時じの想像そうぞう図ず
基本きほん情報じょうほう
船ふね種しゅ	潜水せんすい艇てい
所有しょゆう者しゃ	オーシャンゲート社しゃ
運用うんよう者しゃ	オーシャンゲート社しゃ
経歴けいれき
処女しょじょ航海こうかい	2018年ねん
引退いんたい	2023年ねん6月がつ18日にち
最後さいご	北大西洋きたたいせいようで圧あつ潰つぶせ
要目ようもく
総トン数そうとんすう	10.432 t
全長ぜんちょう	6.7 m
幅はば	2.8 m
高たかさ	2.5 m
推進すいしん器き	インナースペース1002スラスター4基き
速力そくりょく	3ノット (5.6 km/h)
旅客りょかく定員ていいん	5名めい
乗組のりくみ員いん	2名めい

設計せっけい

タイタン号ごうは、オーシャンゲート社しゃが運航うんこうする5人にん乗のりの潜水せんすい艇ていである。全長ぜんちょう6.7メートル、重量じゅうりょう10,432キログラムの船体せんたいは炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチックとチタンからなり、耐たい圧あつ殻からとなる2つのチタンの半球はんきゅうが炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチックの筒つつで接続せつぞくされている。チタンの半球はんきゅうの一方いっぽうには、直径ちょっけい380ミリメートルのアクリル樹脂じゅし製せいの窓まどが設もうけられている。チタンの半球はんきゅうはハッチも兼かねており、乗員じょういん・乗客じょうきゃくが乗のり込こんだ後のちにボルト締じめされ、外部がいぶからしか開あけられないようになっていた。

制御せいぎょ装置そうちに用もちいられたロジクール製せいのゲームコントローラー「F710」。

タイタン号ごうは水平すいへい方向ほうこうに2基き、垂直すいちょく方向ほうこうに2基き配置はいちされた電動でんどう推進すいしん器きを使用しようして、最大さいだい3ノット（時速じそく5.6キロメートル）で移動いどうすることが可能かのうであった。制御せいぎょ装置そうちにはロジテック製せいのゲームコントローラー「F710」が用もちいられているが、潜水せんすい艇ていのような3次元じげん的てき操縦そうじゅうを必要ひつようとされる乗のり物ものにおいて既製きせい品ひんのゲームコントローラーが用もちいられるのは特とくに珍めずらしいことではない。オーシャンゲート社しゃによれば、タイタン号ごうは5人にんが96時じ間あいだ生存せいぞんできる生命せいめい維持いじ装置そうちと、船体せんたいの強度きょうどを監視かんしするモニタリングシステムを備そなえていた。モニタリングシステムはラッシュが特許とっきょを取得しゅとくした独自どくじのシステムで、潜水せんすいするにつれて増加ぞうかする圧力あつりょくの影響えいきょうを音響おんきょうセンサーとひずみゲージを使つかって分析ぶんせきし、船体せんたいの安全あんぜん性せいをリアルタイムで監視かんしすることで、船体せんたいの問題もんだいを早期そうきに発見はっけんし、海面かいめんに戻もどる時間じかん的てき余裕よゆうを確保かくほするのに役立やくだつとしている。また、緊急きんきゅう時じに船体せんたいを浮上ふじょうさせるための投棄とうき可能かのうなバラスト、気球ききゅう、スラスターなど7種類しゅるいのバックアップシステムがあった。その中なかには乗員じょういん・乗客じょうきゃく全員ぜんいんが意識いしきを失うしなっても機能きのうするように設計せっけいされたものもあり、一定いっていの時間じかんが経過けいかすると溶とけるフックを用もちいることで、船体せんたいに固定こていされた土嚢どのうが外はずれて船体せんたいが浮上ふじょうするようになっていた。

2020年ねん、タイタン号ごうは繰くり返かえし疲労ひろうの兆候ちょうこうが表あらわれたため、潜航せんこう深度しんどが3,000メートルに格下かくさげされており、その後ご、船体せんたいは修理しゅうりないし再建さいけんされている。ラッシュはトラベル・ウィークリー誌しの編集へんしゅう長ちょうに対たいして、航空機こうくうきに使用しようするための基準きじゅんを超こえていた炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチックをボーイング社しゃから格安かくやすで調達ちょうたつすることができたと述のべている。オーシャンゲート社しゃによれば、タイタン号ごうはアメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょく、ボーイング社しゃ、ワシントン大学だいがくと共同きょうどうで設計せっけいされた。ワシントン大学だいがくの応用おうよう物理ぶつり学がく研究所けんきゅうじょではサイクロプス2号ごう（のちのタイタン号ごう）の試験しけんが行おこなわれており、圧力あつりょく容器ようきの3分ぶんの1模型もけいを用もちいて291.6気圧きあつ（水深すいしん約やく3,000メートルに相当そうとう）に耐たえることができたという。しかし、事故じこの発生はっせい後ご、アメリカ航空こうくう宇宙うちゅう局きょくの広報こうほう担当たんとう者しゃは、マーシャル宇宙うちゅう飛行ひこうセンターがオーシャンゲート社しゃと宇宙うちゅう法ほう協定きょうていを結むすんではいるものの、タイタン号ごうの試験しけんや建造けんぞうにおいて人員じんいんや施設しせつが関与かんよしたことはないと述のべている。また、ボーイング社しゃの広報こうほう担当たんとう者しゃもタイタン号ごうのパートナーではなく、設計せっけいも製造せいぞうもしていないと述のべた。

運用うんよう

2021年ねん7月がつ、オーシャンゲート社しゃはタイタニック号ごうの沈没ちんぼつ現場げんばを訪おとずれるツアーを初はじめて実施じっしした。ニューファンドランド島とうのセントジョンズを出発しゅっぱつ地ちとし、北大西洋きたたいせいようのタイタニック号ごう沈没ちんぼつ地点ちてんへ移動いどう、水深すいしん約やく3,810メートルの沈没ちんぼつ現場げんばへの潜水せんすいにはタイタン号ごうを使用しようすることとしていた。ツアー一いち行ぎょうは通常つうじょう、パイロット、ガイド、3人にんの乗客じょうきゃくで構成こうせいされていた。タイタニック号ごうが沈しずんでいる水深すいしんまでの降下こうかに2時じ間あいだ、全ぜん行程こうていには約やく8時間じかんかかった。タイタン号ごうに自身じしんの位置いちを把握はあくする機能きのうはなく、タイタン号ごうが15分ふんごとに発信はっしんする信号しんごうを支援しえん船せんによって監かん視しし、距離きょりと方向ほうこうを示しめすテキスト・メッセージを送信そうしんすることで誘導ゆうどうが行おこなわれた。

乗客じょうきゃくが8日間にちかんのツアーに対たいして支払しはらった料金りょうきんは、約やく25万まんドルとされている。ツアーは2021年ねんに6回かい、2022年ねんに7回かい行おこなわれた。2023年ねんにもツアーが複ふく数すう回かい行おこなわれる予定よていだったが、ニューファンドランド島とう付近ふきんの天候てんこうが悪わるかったため、事故じこ時じがその年とし最初さいしょのツアーであった。

安全あんぜん性せいへの疑念ぎねん

タイタン号ごうは港みなとにいる時点じてんでは乗客じょうきゃくを乗のせず、公海こうかい上うえのみで運用うんようするため安全あんぜん規制きせいの対象たいしょう外がいであり、いかなる規制きせい機関きかんや第三者だいさんしゃ機関きかんからも認証にんしょうを受うけていなかった。2022年ねんに『CBSニュース サンデーモーニング』の取材しゅざいでツアーに同行どうこうしたデヴィッド・ポーグによれば、タイタン号ごうに乗のる乗客じょうきゃくは全員ぜんいん、タイタン号ごうが「実験じっけん的てきな」船ふねであるためいかなる規制きせい機関きかんからも承認しょうにんや認定にんていを受うけていないことや、身体しんたい的てき傷害しょうがい、障害しょうがい、トラウマ、死亡しぼうといった事態じたいが起おこりうるという内容ないようの権利けんり放棄ほうき書しょに署名しょめいするという。同様どうようにツアーに参加さんかしたテレビプロデューサーのマイク・ライスは「権利けんり放棄ほうき書しょの最初さいしょのページに『死し』という単語たんごが3回かいも出でてきた」と指摘してきしている。上述じょうじゅつの雑誌ざっし『スミソニアン』のインタビューでは、1993年ねんに制定せいていされた船舶せんぱく安全あんぜん法ほうについて「乗客じょうきゃくの安全あんぜんを不ふ必要ひつように優先ゆうせんさせて商業しょうぎょう的てきなイノベーションを犠牲ぎせいにした」と述のべたラッシュのことを「命知いのちしらずの発明はつめい家か」と評ひょうしている。ラッシュは、2021年ねんのインタビューでは「私わたしは（タイタン号ごうを）建造けんぞうするためにいくつかのルールを破やぶってきた。私わたしの論理ろんりと優すぐれたエンジニアリングがそれを可能かのうにしたのだと思おもう。炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチックとチタンにはこれこれこういうことをするなというルールがあるが、まあ、私わたしはそれをやったよ」、2022年ねんの別べつのインタビューでは「ある時点じてんで安全あんぜんというものは完全かんぜんに無駄むだになる。何なにが言いいたいかというと、安全あんぜんがどうしてもいいというなら、ベッドから出でなければいいし、車くるまに乗のらなければいいし、何なにもしなければいいんだ」と述のべた。

2018年ねん、オーシャンゲート社しゃの海洋かいよう事業じぎょう部長ぶちょうであったデイヴィッド・ロクリッジは、タイタン号ごうの安全あんぜん上じょうの懸念けねんについての報告ほうこく書しょを作成さくせいした。ロクリッジは懸念けねん点てんとして、タイタン号ごうの前ぜん端はしにあるアクリル樹脂じゅし製せいの窓まどがツアーに必要ひつような水深すいしんの3分ぶんの1である水深すいしん約やく1,300メートルまでしか認証にんしょうされていなかったこと、有人ゆうじんでの運用うんようの前まえに船体せんたいの非破壊ひはかい検査けんさを実施じっししていないことを挙あげている。非破壊ひはかい検査けんさを実施じっししていない理由りゆうとして、「船体せんたいの厚あつさのために、船体せんたいの部材ぶざいや接合せつごう部ぶをスキャンして、層間そうかん剥離はくり、気孔きこう、接着せっちゃく剤ざいの接着せっちゃく力不足ちからぶそくなどを確認かくにんすることはできない」と繰くり返かえし言いわれたという。ロクリッジはオーシャンゲート社しゃ側がわに何なんらかの機関きかんに評価ひょうか・認証にんしょうしてもらうよう促うながしたが、オーシャンゲート社しゃ側がわは費用ひようがかさむことを理由りゆうにそれを拒否きょひし、タイタン号ごうの船体せんたいに対たいする社内しゃないのエンジニアリングチームの評価ひょうかは、エンジニアではないロクリッジが必要ひつようと主張しゅちょうする第三者だいさんしゃ評価ひょうかよりも強つよいと主張しゅちょうした。その後ご、ロクリッジは解雇かいこされ、タイタン号ごうの安全あんぜん性せいに対たいし懸念けねんを示しめしたため内部ないぶ告発こくはつ者ものとして不当ふとうに解雇かいこされたと訴訟そしょうを起おこしたが、数すうか月げつ後ごに和解わかいに応おうじている。

同年どうねん、海洋かいよう技術ぎじゅつ学会がっかいは「タイタン号ごうの開発かいはつとタイタニック号ごう探検たんけん計画けいかくに関かんする満場一致まんじょういっちの懸念けねん」を表明ひょうめいする書簡しょかんをラッシュに送おくり、「現在げんざいの実験じっけん的てき手法しゅほうでは（中略ちゅうりゃく）業界ぎょうかい全体ぜんたいに深刻しんこくな影響えいきょうをもたらすであろう否定ひてい的てきな結果けっか（軽微けいびなものから破滅はめつ的てきなものまで）が起おこりうる」ことを伝つたえた。ラッシュは書簡しょかんを読よんだのち署名しょめい者しゃの1人ひとりに電話でんわをかけ、業界ぎょうかいの基準きじゅんがイノベーションを阻害そがいしていると述のべたという。また、同年どうねん3月がつ、海洋かいよう探査たんさの第一人者だいいちにんしゃであるロブ・マッカラムは顧客こきゃくを危険きけんにさらす可能かのう性せいがあると警告けいこくするメールをラッシュに送おくり、独立どくりつした機関きかんによって試験しけんし適切てきせつにクラス分わけされるまでは潜水せんすい艇ていを商業しょうぎょう利用りようしないよう助言じょげんしたが、ラッシュは「安全あんぜん性せいの議論ぎろんを持もち出だしてイノベーションを止とめようとする業界ぎょうかい関係かんけい者しゃにはうんざりしている…。誰だれかが死しぬことになるという根拠こんきょのない主張しゅちょうはもうききたし、私わたしはこれを個人こじん的てきな侮辱ぶじょくであると思おもっている」と解ほぐさなかった。これに対たいし、マッカラムは「あなたは自分じぶん自身じしんと顧客こきゃくを潜在せんざい的てきな危険きけんに晒さらしており、タイタニック号ごうが『不ふ沈』と呼よばれた過あやまちと同おなじことをしている」というメールをラッシュに送おくり、以後いご、オーシャンゲート社しゃの弁護士べんごしはマッカラムへの法的ほうてき措置そちを検討けんとうすることになった。

2022年ねんの遭難そうなん

映像えいぞう外部がいぶリンク
A visit to RMS Titanic (YouTube) 『CBSニュース サンデーモーニング』でのデヴィッド・ポーグによるレポート映像えいぞう（2022年ねん11月27日にち放送ほうそう）

上述じょうじゅつの『CBSニュース サンデーモーニング』の取材しゅざいの際さい、タイタン号ごうが一時いちじ的てきに遭難そうなんし位置いちが特定とくていできなくなる事態じたいが発生はっせいした。タイタン号ごうの安全あんぜん性せいに疑問ぎもんを呈ていしたこのレポート映像えいぞうは、2023年ねんの事故じこの発生はっせい後ご、ソーシャルメディア上じょうで一気いっきに拡散かくさんした。レポート映像えいぞうの中なかで、ポーグは「『冒険ぼうけん野郎やろうマクガイバー』に出でてくる有あり合あわせで何なにとかした即席そくせきっぽさがこの潜水せんすい艇ていにはある」とコメントし、制御せいぎょ装置そうちにはロジテック製せいのゲームコントローラー「F710」が用もちいられていること、バラストには建設けんせつ用ようパイプが用もちいられていることを指摘してきした。タイタニック号ごう探検たんけんとは別べつの潜水せんすい時じには、推進すいしん器きの1つが誤あやまって逆ぎゃく向むきに設置せっちされていたため、前進ぜんしんしようとしたときに船体せんたいがぐるぐる回転かいてんし始はじめた。この問題もんだいは制御せいぎょ装置そうちを横向よこむきに持もちながら操縦そうじゅうすることで回避かいひされた。2022年ねん11月に裁判所さいばんしょに提出ていしゅつされた書類しょるいによれば、2022年ねんに実施じっししたある潜水せんすいにおいて、バッテリー問題もんだいのため手動しゅどうで昇降しょうこうプラットフォームに取とり付つけなければならなくなり、その際さいに外部がいぶコンポーネントに損傷そんしょうが生しょうじたと報告ほうこくされている。

事故じこの発生はっせい

2023年ねん6月19日にち、アメリカ沿岸えんがん警備けいび隊たいは潜水せんすい艇ていが潜航せんこう後ご1時じ間あいだ半はんが経過けいかした時点じてんで連絡れんらくが途絶とだえたことを発表はっぴょう、捜索そうさく活動かつどうが行おこなわれることとなった。遭難そうなんしたと思おもわれるアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくマサチューセッツ州しゅうケープコッドの東ひがし約やく900マイルの海域かいいきには複数ふくすうの捜索そうさく船せんが駆かけ付つけた。カナダの哨戒しょうかい機きはソナーで海中かいちゅうを探索たんさくし打撃だげき音おんを感知かんちした。6月21日にちには、アメリカ海軍かいぐんが大型おおがたの物体ぶったいを深海しんかいから回収かいしゅうする装備そうびを現地げんちに送おくり込こむことを表明ひょうめいした。6月22日にちには、フランスの海中かいちゅう探査たんさ機きも捜索そうさくに加くわわった。

6月22日にちの記者きしゃ会見かいけん

6月22日にち、アメリカ沿岸えんがん警備けいび隊たいは無人むじん海中かいちゅう探査たんさ機きがタイタニック号ごうの残骸ざんがい付近ふきんで潜水せんすい艇ていの破片はへんのようなものを発見はっけんしたと発表はっぴょうした。のち記者きしゃ会見かいけんを行おこない、潜水せんすい艇ていは「『壊滅かいめつ的てきな破壊はかい』に見舞みまわれ、乗船じょうせんしていた5人にんの生存せいぞんは絶望ぜつぼう的てき」だと発表はっぴょうした。

乗船じょうせんしていたのは、以下いかの5名めいとされる。

• ストックトン・ラッシュ - タイタン号ごうを建造けんぞう・運用うんようするオーシャン・ゲートのCEO。
• シャーザダ・ダウッド - パキスタンの富豪ふごう。
• スレマン・ダウッド (Suleman Dawood) - ストラスクライド大学だいがくの学生がくせい。シャーザダ・ダウッドの息子むすこ。
• ハミッシュ・ハーディング - アラブ首長しゅちょう国こく連邦れんぽうを拠点きょてんに、ビジネスジェットの販売はんばい事業じぎょうを行おこなうイギリスの実業じつぎょう家か。
• ポール＝アンリ・ナルジョレット - フランスの深海しんかい探検たんけん家かであり、タイタニック号ごう事故じこの研究けんきゅう者しゃ。

反応はんのう

奇くしくも、事故じこの発生はっせい後ごである2023年ねん6月がつ24日にちおよび7月がつ1日にちに、日本にっぽんのフジテレビでは『土曜どようプレミアム』にてタイタニック号ごう沈没ちんぼつ事故じこを主題しゅだいとした映画えいが『タイタニック』の放送ほうそうが予定よていされていた。6月23日にち、同局どうきょくは追悼ついとう文ぶんを自社じしゃのウェブサイト上じょうで掲載けいさいするとともに、映画えいがの放送ほうそうを予定よてい通どおり行おこなうと発表はっぴょうした。この対応たいおうにSNS上じょうなどでは賛否さんぴが分わかれたものの、翌よく24日にちにはタイタン号ごうの事故じこに対たいし心理しんり的てき重圧じゅうあつを受うける視聴しちょう者しゃへ注意ちゅういを促うながすメッセージを冒頭ぼうとうに表示ひょうじし、予定よてい通どおり前編ぜんぺんの放送ほうそうが行おこなわれた。

同どう映画えいがの監督かんとくで、自身じしんもタイタニック号ごうの沈没ちんぼつ現場げんばを33回かい訪おとずれた経験けいけんがあるジェームズ・キャメロンは、耐たい圧あつ殻からに用もちいられた炭素たんそ繊維せんい強化きょうかプラスチックには水圧すいあつに耐たえる圧縮あっしゅく強度きょうどがないこと、船体せんたいの安全あんぜん性せいをリアルタイムで監視かんしするモニタリングシステムは瞬間しゅんかん的てきな圧あつ壊の対策たいさくとしては役やくにたないことを指摘してきし、安全あんぜん性せいの軽視けいしによって事故じこを招まねいたタイタニック号ごうとタイタン号ごうの類似るいじ性せいに衝撃しょうげきを受うけたと述のべた。

関連かんれん項目こうもく

• 潜水せんすい艇てい
• タイタニック号ごう沈没ちんぼつ事故じこ
• 海難かいなん事故じこ