田中たなか栄三えいざ

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たなか えいぞう
田中たなか 栄三えいざ
田中 栄三
『雁かり』（1953年ねん）
生年月日せいねんがっぴ (1886-11-03) 1886年ねん11月3日にち
没ぼつ年月日ねんがっぴ (1968-06-13) 1968年ねん6月13日にち（81歳さい没ぼつ）
出生しゅっしょう地ち 日本の旗 日本にっぽん・東京とうきょう市し日本橋にほんばし区く兜かぶと町まち（現在げんざいの東京とうきょう都と中央ちゅうおう区く日本橋にほんばし兜かぶと町まち）
死没しぼつ地ち 日本の旗 日本にっぽん・東京とうきょう都と世田谷せたがや区く池尻いけじり[1]
職業しょくぎょう 映画えいが監督かんとく、脚本きゃくほん家か、俳優はいゆう
活動かつどう期間きかん 1911年ねん - 1955年ねん
活動かつどう内容ないよう 1917年ねん：日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょに入社にゅうしゃ
1918年ねん：監督かんとくデビュー
1923年ねん：日本にっぽん映画えいが俳優はいゆう学校がっこう講師こうしとなる
1949年ねん以降いこう：映画えいがに出演しゅつえん
主おもな作品さくひん
『京屋きょうや襟えり店てん』
『髑髏しゃれこうべの舞まい』
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田中たなか 栄三えいざ（たなか えいぞう、1886年ねん11月3日にち - 1968年ねん6月13日にち）は、日本にっぽんの映画えいが監督かんとく、脚本きゃくほん家か、俳優はいゆうである。

新劇しんげき俳優はいゆうから日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょで映画えいが監督かんとくとなる。純じゅん映画えいが劇げき運動うんどうの旗手きしゅとして、「革新かくしん映画えいが」と呼よばれる『生いける屍かばね』や、『京屋きょうや襟えり店てん』などの画期的かっきてき作品さくひんを作つくり、日本にっぽん映画えいがの芸術げいじゅつ的てき革新かくしん者しゃ[2]の一人ひとりとなった。晩年ばんねんは後進こうしんの指導しどうを行おこない、俳優はいゆうとして自みずから映画えいがにも出演しゅつえんした。著書ちょしょも多おおい[3]。

来歴らいれき・人物じんぶつ[編集へんしゅう]

1886年ねん（明治めいじ19年ねん）11月3日にち、東京とうきょう都と日本橋にほんばし兜かぶと町まちに生うまれる[4]。父親ちちおやの伝吉でんきちは株かぶ屋やを営いとなんでいた[5]が、3歳さいの時ときに父ちちと死別しべつしている[1]。1905年ねん（明治めいじ38年ねん）に国民こくみん英えい学会がっかい英文えいぶん科かを卒業そつぎょうし、校長こうちょうの推薦すいせんで[5]同校どうこうの講師こうしとなる[6]。

1908年ねん（明治めいじ41年ねん）11月、藤沢ふじさわ浅二郎あさじろうの主宰しゅさいする東京とうきょう俳優はいゆう養成ようせい所しょ（後のちに東京とうきょう俳優はいゆう学校がっこうに改称かいしょう）に第だい一いち期生きせいとして入所にゅうしょ。同期どうきには上山うえやま草人そうじん、諸口しょくち十じゅう九きゅう、岩田いわた祐吉ゆうきちがいた。田中たなかはそこで教授きょうじゅをしていた小山内おさない薫かおるから近代きんだい劇げきのドラマトゥルギーや演技えんぎのリアリズムを学まなび[2]、3年ねん後ごの1911年ねん（明治めいじ44年ねん）6月がつ、同校どうこうを卒業そつぎょう。俳優はいゆう学校がっこう第だい一いち回かい卒業生そつぎょうせい試演しえん『廃はい馬ば』（佐藤さとう紅緑こうろく作さく）に岩田いわた、諸口しょくちらとともに出演しゅつえんした[7]。卒業そつぎょう後ごは小山内おさないの土曜どよう劇場げきじょうや新しん劇場げきじょうに参加さんかして新劇しんげき俳優はいゆうとなるが、上手うまくいかなかった。

1917年ねん（大正たいしょう6年ねん）4月がつ、桝本ますもと清きよしの勧すすめで日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょに入社にゅうしゃ[6]。はじめの7ヶ月かげつ間あいだは小口おぐち忠ただし監督かんとくの助手じょしゅを務つとめており[8]、翌よく1918年ねん（大正たいしょう7年ねん）1月がつに監督かんとくとなり、3月16日にち公開こうかいの『暁あかつき』で映画えいが監督かんとくデビューした。

当時とうじの日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょは、新派しんぱ映画えいがを作つくっており、女おんな役やくを女形おんながたが演えんじるなど、旧態きゅうたい依然いぜんとした製作せいさく体制たいせいをとっていた。そんな中なか、田中たなかは日活にっかつの新派しんぱ映画えいがの革新かくしんを志こころざし、山本やまもと嘉一きいち、桝本ますもとらと同志どうし的てき結合けつごうを結むすび[2]、同年どうねんに監督かんとく第だい2作さくとして、レフ・トルストイの同名どうめい小説しょうせつの映画えいが化かである『生いける屍かばね』を発表はっぴょう。同どう作さくでは、カットバックや移動いどう撮影さつえい、逆光線ぎゃくこうせん撮影さつえいなどの技法ぎほうを効果こうか的てきに使つかった[2]ほか、これまでの書割かきわりからロケーション撮影さつえいを行おこなったり、イタリア映画えいがを真似まねてこれまでの映画えいがにはなかったアヴァンタイトルの監督かんとく名めい等とうのクレジットをつけるなど、旧来きゅうらいの作品さくひんからの脱却だっきゃくを試こころみ「革新かくしん映画えいが」の第だい1作さくとされた[8]。また、田中たなかが行おこなった試こころみは帰山かえりやま教正のりまさによって理論りろん化か・実践じっせんされており、二人ふたりは純じゅん映画えいが劇げき運動うんどうの旗手きしゅ的てき存在そんざいとなった。

1919年ねん（大正たいしょう7年ねん）に製作せいさくした『己おのれが罪つみ』では、陰かげゼリフを止とめ、スポークンタイトルを入いれ、ショットを細こまかく割わってみせた[9]が、全国ぜんこくの活動かつどう弁士べんしから日活にっかつ営業えいぎょう部ぶあてに抗議こうぎが寄よせられた。

1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）、日活にっかつ向島むこうじまに女優じょゆうを採用さいようした映画えいがを製作せいさくする、新劇しんげき部門ぶもんの「第だい三さん部ぶ」を設もうけ、田中たなかはその第だい1作さくとなる『朝日あさひさす前まえ』を監督かんとく。同どう作さくは12月31日にちに正月しょうがつ映画えいがとして封切ふうぎられ、以降いこうは第だい三さん部ぶ映画えいがを作つくるが、1921年ねん（大正たいしょう10年ねん）11月26日にちにチフスにかかって東京とうきょう病院びょういんに入院にゅういん[10]し、半年はんとし間あいだ休業きゅうぎょうすることとなった。この頃ころに第だい三さん部ぶは解体かいたいされた。

復帰ふっき後ごの1922年ねん（大正たいしょう11年ねん）12月30日にち、『京屋きょうや襟えり店てん』が公開こうかい。同どう作さくは下町したまちの老舗しにせの没落ぼつらくを四季しきの移うつり変かわりの中なかで描えがき、日活にっかつ最後さいごの女形おんながた映画えいがとなったが、日本人にっぽんじんの生活せいかつと欲望よくぼうをなまなましく表現ひょうげんした画期的かっきてきな作品さくひんとなり[11]、最高さいこう傑作けっさくと評ひょうされた。1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）3月15日にちには、岡田おかだ嘉子よしこ主演しゅえんの『髑髏しゃれこうべの舞まい』が公開こうかいされ、日活にっかつ向島むこうじまも新派しんぱ劇げきから現代げんだい劇げきへと転換てんかんすることとなった。同年どうねん5月がつ、同どう撮影さつえい所しょを退社たいしゃした[12]。また、同年どうねん11月10日にちに開校かいこうした日本にっぽん映画えいが俳優はいゆう学校がっこうでは、森もり岩雄いわお、近藤こんどう伊い与吉よきち、帰山きさん、仲木なかぎ貞一さだいちらとともに講師こうしを務つとめた。

1926年ねん（大正たいしょう15年ねん）、東京とうきょうの日活にっかつ本社ほんしゃに同社どうしゃの企画きかく本部ほんぶ「金曜きんよう会かい」の結成けっせいに参加さんか[13]。森もり岩雄いわおや益田ますだ甫はじめ、村田むらた実みのるらも参加さんかして日活にっかつ現代げんだい劇げき向上こうじょうのためにシナリオを提供ていきょうする。田中たなかも溝口みぞぐち健二けんじ監督かんとくの『紙かみ人形にんぎょう春はるの囁ささやき』と、阿部あべ豊ゆたか監督かんとくの『彼かれを繞にょうる五ご人にんの女おんな』のシナリオを書かく。

以降いこうは、日本にっぽん大学だいがく芸術げいじゅつ学部がくぶ映画えいが科かや、大映だいえいの演技えんぎ研究所けんきゅうじょなどで後進こうしんの育成いくせいを行おこなった。戦後せんごは、今井いまい正ただし監督かんとくの『また逢あう日ひまで』（1950年ねん）や豊田とよだ四郎しろう監督かんとくの『雁かり』など、各社かくしゃの映画えいがに俳優はいゆうとして出演しゅつえんした。その傍かたわら、『トーキー俳優はいゆう読本とくほん』等とうの著書ちょしょを執筆しっぴつ、上梓じょうしし続つづけた。

1968年ねん（昭和しょうわ43年ねん）6月13日にち午前ごぜん6時じ、東京とうきょう都と世田谷せたがや区く池尻いけじりの古畑ふるはた病院びょういんで老衰ろうすいのため死去しきょ[14]。享年きょうねん81。

おもなフィルモグラフィ[編集へんしゅう]

監督かんとく[編集へんしゅう]

Category:田中たなか栄三えいざの監督かんとく映画えいが

  • 『暁あかつき』（1918年ねん3月がつ16日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『金色きんいろ夜叉やしゃ』（1918年ねん4月がつ12日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『生いける屍かばね』（1918年ねん2月がつ1日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『黒くろ水晶すいしょう』（1918年ねん5月がつ13日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『乳ちち姉妹しまい』（1918年ねん5月がつ17日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『女おんなの生命せいめい』（1919年ねん1月がつ14日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『復活ふっかつ』（1919年ねん2月がつ1日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『オセロ』（1919年ねん3月がつ16日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『不如帰ふじょき』（1919年ねん4月がつ1日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『己おのれが罪つみ』（1919年ねん11月がつ20日はつか、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『朝日あさひさす前まえ』（1920年ねん12月31日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ第だい三さん部ぶ）
  • 『乳ちち姉妹しまい』（1922年ねん1月がつ7日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ）
  • 『京屋きょうや襟えり店てん』（1922年ねん12月30日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ） - 兼けん原作げんさく・脚本きゃくほん
  • 『髑髏しゃれこうべの舞まい』（1923年ねん3月がつ15日にち、日活にっかつ向島むこうじま撮影さつえい所しょ） - 兼けん原作げんさく・脚本きゃくほん
  • 『浪子なみこ』（1932年ねん5月がつ19日にち、オリエンタル映画えいが）

脚本きゃくほん[編集へんしゅう]

出演しゅつえん[編集へんしゅう]

ビブリオグラフィ[編集へんしゅう]

国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん蔵書ぞうしょ[3]。

註[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 『映画えいが年鑑ねんかん』p.198
  2. ^ a b c d 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん 第だい2版はん「田中たなか栄三えいざ」の項こう
  3. ^ a b OPAC NDL 検索けんさく結果けっか、国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん、2009年ねん12月4日にち閲覧えつらん。
  4. ^ JLogos 芸能人げいのうじん物ぶつ事典じてん「田中たなか栄三えいざ」の項こう
  5. ^ a b 『映画えいが評論ひょうろん 第だい19巻かん』p.92-97
  6. ^ a b 佐藤さとう忠男ただお著ちょ『日本にっぽんの映画えいが人じん 日本にっぽん映画えいがの創造そうぞう者しゃたち』p.373
  7. ^ 『日本にっぽん演劇えんげき史し年表ねんぴょう』p.236
  8. ^ a b 田中たなか純一郎じゅんいちろう著ちょ『日本にっぽん映画えいが発達はったつ史しI 活動かつどう写真しゃしん時代じだい』p.275-277
  9. ^ 今村いまむら昌平しょうへい著ちょ『日本にっぽん映画えいがの誕生たんじょう』p.34
  10. ^ 『映画えいが評論ひょうろん 第だい20巻かん』p.128
  11. ^ 世界せかい大だい百科ひゃっか事典じてん内ないの《京屋きょうや襟えり店てん》の言及げんきゅうより
  12. ^ 田中たなか純一郎じゅんいちろう著ちょ『日本にっぽん映画えいが発達はったつ史しI 活動かつどう写真しゃしん時代じだい』p.370
  13. ^ 田中たなか純一郎じゅんいちろう著ちょ『日本にっぽん映画えいが発達はったつ史しII 無声むせいからトーキーへ』p.41
  14. ^ キネマ旬報きねまじゅんぽう[1976], p.249
  15. ^ ある映画えいが監督かんとくの生涯しょうがい 溝口みぞぐち健二けんじの記録きろく、日本にっぽん映画えいがデータベース、2009年ねん12月4日にち閲覧えつらん。

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]

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