白米はくまい城じょう

白米はくまい城じょう（はくまいじょう）は、日本にっぽん各地かくちの城しろに残のこる類似るいじした伝承でんしょう。あるいは、そうした伝承でんしょうが残のこる城しろの通称つうしょう。また、城しろの名前なまえ。

概要がいよう

山城やましろの落城らくじょうを語かたる伝説でんせつで、籠城ろうじょう戦せんで敵てきに包囲ほういされて水みずを断たたれた時ときに、城しろにはまだ水みずが豊富ほうふにあると攻せめ手しゅを欺瞞ぎまんするため、兵糧ひょうろうの白米はくまいを水みずに見立みたてたというもの。攻撃こうげき側がわから見みえるように白米はくまいを流ながし落おとして滝たきに見みせたり、馬うまを白米はくまいで洗あらう光景こうけいを見みせたりした。

結末けつまつとしては、鳥とりが白米はくまいをついばんだり、内通ないつう者しゃが密告みっこくしたりして欺瞞ぎまんが露呈ろていする場合ばあいが殆ほとんどである。しかし、欺瞞ぎまんが成功せいこうして、水源すいげん遮断しゃだんの効果こうかがないと判断はんだんした攻せめ手しゅが包囲ほういを解とくパターンもある。

起源きげん

この伝説でんせつのある場所ばしょから焼やき米まいが出土しゅつどする場合ばあいがあり、事実じじつと信しんじられることもあるが、語かたり物ものなどにより全国ぜんこく各地かくちに伝播でんぱされた話はなしであり史実しじつではないと見みられている。柳田やなぎだ國男くにおは、口寄くちよせたちにより創作そうさくされた物語ものがたりと推測すいそくした。

また、中国ちゅうごく（呉ご）の伍ご子こ胥が、土どを盛もった上うえに薄うすく米こめで覆おおって米べいの山やまがあるように見みせかけたという「兵糧ひょうろう塚づか伝説でんせつ」が起源きげんだとする説せつもある。この説せつによると、この兵糧ひょうろう塚づか伝説でんせつが朝鮮ちょうせんに伝つたわって「洗馬せば台だい伝説でんせつ」（文ぶん禄ろくの役やくで加藤かとう清正きよまさに攻せめられた権けん慄が、山上さんじょうで馬うまを白米はくまいで洗あらうことで敵てきを欺あざむいたという伝説でんせつ）となり、百済くだら系けいの渡来とらい人じんを通つうじて日本にっぽんに入はいってきたと考かんがえられている。

分布ぶんぷ

北海道ほっかいどう南東なんとう部ぶを除のぞく日本にっぽん各地かくちに広ひろく分布ぶんぷしており、特とくに地方ちほうの軍記ぐんき物ぶつに記録きろくされている例れいが多おおい。

伝説でんせつが残のこる主おもな城しろ

• 岩切いわきり城しろ - 宮城みやぎ県けん仙台せんだい市し
• 逆ぎゃく井城いぎ - 茨城いばらき県けん坂東ばんどう市し
• 松山まつやま城じょう - 埼玉さいたま県けん吉見よしみ町まち
• 石神いしがみ井城いぎ - 東京とうきょう都と練馬ねりま区く
• 枡形ますがた城じょう - 神奈川かながわ県けん川崎かわさき市し多摩たま区く
• 葛山かつらやま城じょう (信濃しなの国こく) - 長野ながの県けん長野ながの市し
• 戸石といし城しろ - 長野ながの県けん上田うえだ市し
  • 「砥石といし米まい山城やましろまつり」では村上むらかみ義清よしきよが白米はくまいで馬うまを洗あらった「白米はくまい伝説でんせつ」を再現さいげんするイベントがある。
• 神かみ之の峰みね城じょう - 長野ながの県けん飯田いいだ市し
• 阿寺あてら城じょう - 岐阜ぎふ県けん中津川なかつがわ市し
• 阿坂あさか城しろ - 三重みえ県けん松阪まつさか市し
• 天てん霧きり城じょう - 香川かがわ県けん善通寺ぜんつうじ市し
• 神森かみもり城じょう - 高知こうち県けん高知こうち市し
• 赤谷山あかたにやま城じょう - 岐阜ぎふ県けん郡上こおりかみ市し

その他た

石見いわみ国こくの青屋あおや友とも梅うめの居城きょじょうを攻せめた毛利もうり元就もとなりが、白米はくまいで馬うまを洗あらって水みずの窮乏きゅうぼうを欺あざむこうとした友とも梅うめの策さくを見破みやぶったと伝つたわる。

実際じっさいに白米はくまい城じょうという名前なまえの城しろ

• 平田ひらた城じょう (豊前ぶぜん国こく) - 大分おおいた県けん中津なかつ市し耶馬溪やばけい町まち……平田ひらた城じょうというのは最近さいきんの呼称こしょうであり、白米はくまい城じょうというのが本当ほんとうである。