職務しょくむ質問しつもん

兵庫ひょうご県警けんけい警察官けいさつかんによる職務しょくむ質問しつもんの様子ようす

職務しょくむ質問しつもん（しょくむしつもん、英語えいご：Police Questioning）とは、警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう第だい2条じょうに基もとづき、日本にっぽんの警察官けいさつかんが異常いじょうな挙動きょどうその他た周囲しゅういの事情じじょうから合理ごうり的てきに判断はんだんして何なんらかの犯罪はんざいを犯おかし、若もしくは犯おかそうとしていると疑うたがうに足たりる相当そうとうな理由りゆうのある者もの又または既すでに行おこなわれた犯罪はんざいについて、若もしくは犯罪はんざいが行おこなわれようとしていることについて知しっていると認みとめられる者ものを停止ていしさせて質問しつもんする行為こうい。第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん前まえの日本にっぽんでは不審ふしん尋問じんもんと称しょうされていた。

職務しょくむ質問しつもんの内容ないようは通常つうじょう、行先いきさきや用件ようけんから住所じゅうしょ、氏名しめい、年齢ねんれい、職業しょくぎょう、さらに所持しょじ品ひんなどに及およぶ。職務しょくむ質問しつもんをその場ばで行おこなうことが本人ほんにんにとって不利ふりとなり、あるいは交通こうつうの妨害ぼうがいとなるときには、付近ふきんの警察けいさつ署しょ、交番こうばんなどに任意にんい同行どうこうを求もとめることができるが、相手方あいてがたの意思いしに反はんして連行れんこうしたり、答弁とうべんを強要きょうようすることはできない。判例はんれいでは、その者ものが逃にげ出だしたので追跡ついせきして腕うでをかけて停止ていしを求もとめる行為こういは正当せいとうな職務しょくむ執行しっこうの範囲はんい内ないとしている。

職務しょくむ質問しつもんの役割やくわり・性質せいしつ

一般いっぱん的てきに、警察官けいさつかんによる職務しょくむ質問しつもんは行政ぎょうせい警察けいさつ作用さようとみなされており、「何なんらかの犯罪はんざい」について捜査そうさの端緒たんしょを得えること等とうを目的もくてきとして行おこなわれる。

職務しょくむ質問しつもんをきっかけとして犯罪はんざいが発覚はっかくすることもあるが、他たの警察官けいさつかんに職務しょくむ質問しつもんの指導しどうを行おこなう「職しょく質しつのプロ」であっても、一いち晩ばんで30人にん以上いじょうに声こえを掛かけても検挙けんきょ者しゃが0人にんである日ひも珍めずらしくない。職務しょくむ質問しつもんは警察官けいさつかんにすれば、犯罪はんざい検挙けんきょの有力ゆうりょくな武器ぶきであるが、市民しみんの協力きょうりょくを前提ぜんていとする任意にんいの手段しゅだんであるため、相手方あいてがたが何なんらかの理由りゆうで拒否きょひするときには、説得せっとくして応おうじてもらうほかない。そのため、警察官けいさつかんには難むずかしい技能ぎのうが要求ようきゅうされる。警察けいさつでは警察官けいさつかんの職務しょくむ執行しっこう力りょく強化きょうかのために職務しょくむ質問しつもん能力のうりょく向上こうじょうのための研修けんしゅうや、職務しょくむ質問しつもん技能ぎのう指導しどう官かんによる実践じっせん的てきな指導しどうにより、警察官けいさつかん全体ぜんたいの技能ぎのうの向上こうじょうが目指めざされているが、ジャーナリストの原田はらだ宏ひろし二には「十分じゅうぶんな成果せいかが上あがっていないのが現状げんじょうだろう」としている。なお、原田はらだは地域ちいき警察官けいさつかん13万まん9000人にんに対たいし、年間ねんかんの職務しょくむ質問しつもんによる検挙けんきょ件数けんすうは3万まん5334件けんであることを理由りゆうに挙あげて、「地域ちいき警察官けいさつかんの職しょく質しつによる検挙けんきょは、決けっして市民しみんが期待きたいするような成果せいかを上あげていない」としている。

濫用らんようの禁止きんし規定きてい

国民こくみんの権利けんりを侵害しんがいしない様よう、無制限むせいげんな職務しょくむ質問しつもんの乱発らんぱつ・濫用らんようを防ふせぐ目的もくてきで、活用かつようは必要ひつよう最小限さいしょうげんに留とめるよう定さだめられている。

この法律ほうりつに規定きていする手段しゅだんは、前項ぜんこうの目的もくてきのため必要ひつような最小さいしょうの限度げんどにおいて用もちいるべきものであつて、いやしくもその濫用らんようにわたるようなことがあつてはならない。 — 警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう、第だい一いち条じょう第だい二に項こう

職務しょくむ質問しつもんの法的ほうてき根拠こんきょ

警察官けいさつかんによる職務しょくむ質問しつもんの法的ほうてき根拠こんきょは、警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう（警職法ほう）2条じょう1項こうである。同どう条じょうには警察官けいさつかんによる質問しつもん、同行どうこう、凶器きょうき所持しょじ検査けんさの権限けんげんが明記めいきされている。以下いか警職法ほう第だい2条じょうを列挙れっきょする。

1. 警察官けいさつかんは、異常いじょうな挙動きょどうその他た周囲しゅういの事情じじょうから合理ごうり的てきに判断はんだんして何なんらかの犯罪はんざいを犯おかし、若もしくは犯おかそうとしていると疑うたがうに足たりる相当そうとうな理由りゆうのある者もの又または既すでに行おこなわれた犯罪はんざいについて、若もしくは犯罪はんざいが行おこなわれようとしていることについて知ちつていると認みとめられる者ものを停止ていしさせて質問しつもんすることができる。
2. その場ばで前項ぜんこうの質問しつもんをすることが本人ほんにんに対たいして不利ふりであり、又または交通こうつうの妨害ぼうがいになると認みとめられる場合ばあいにおいては、質問しつもんするため、その者ものに附近ふきんの警察けいさつ署しょ、派出所はしゅつじょ又または駐在ちゅうざい所しょに同行どうこうすることを求もとめることができる。
3. 前ぜん二に項こうに規定きていする者ものは、刑事けいじ訴訟そしょうに関かんする法律ほうりつの規定きていによらない限かぎり、身柄みがらを拘束こうそくされ、又またはその意いに反はんして警察けいさつ署しょ、派出所はしゅつじょ若もしくは駐在ちゅうざい所しょに連行れんこうされ、若もしくは答弁とうべんを強要きょうようされることはない。
4. 警察官けいさつかんは、刑事けいじ訴訟そしょうに関かんする法律ほうりつにより逮捕たいほされている者ものについては、その身体しんたいについて凶器きょうきを所持しょじしているかどうかを調しらべることができる。

同どう法ほう第だい2条じょう第だい2項こうが定さだめているのが任意にんい同行どうこうである。上記じょうきのように、同どう項こうが定さだめる任意にんい同行どうこうとは、その場ばの職務しょくむ質問しつもんが、質問しつもんされる本人ほんにんに不利ふりである、または交通こうつうの妨さまたげになる場合ばあいに、付近ふきんの警察けいさつ署しょに同行どうこうを求もとめることができる、というものである。任意にんい同行どうこうは、職務しょくむ質問しつもんの1つのバリエーションである。

なお、警察けいさつ法ほう2条じょう1項こうは組織そしき規範きはんであって、通常つうじょう、職務しょくむ質問しつもんのような具体ぐたい的てき職務しょくむ権限けんげんを基礎きそづける根拠こんきょとは解ほぐされていない。警察けいさつ法ほう2条じょう1項こう所定しょていの目的もくてきを逸脱いつだつして行おこなわれた職務しょくむ質問しつもんは違法いほうといい得えるが、あくまで根拠こんきょ規範きはんは警職法ほう2条じょう1項こうである。ただし、警職法ほう2条じょう3項こうは刑事けいじ訴訟そしょう法ほうや刑事けいじ訴訟そしょう規則きそくの規定きていや令状れいじょうに依よらない限かぎり、身柄みがらを拘束こうそくされ、又またはその意いに反はんして警察けいさつ署しょ、派出所はしゅつじょ若もしくは駐在ちゅうざい所しょに連行れんこうされ、若もしくは答弁とうべんを強要きょうようされることはないと定さだめている。

職務しょくむ質問しつもんの要件ようけん

職務しょくむ質問しつもんを適法てきほうに行おこなうことのできる要件ようけんは、以下いかのとおり、警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう2条じょう1項こうに細こまかく定さだめられている。

1. 異常いじょうな挙動きょどうその他た周囲しゅういの事情じじょうから合理ごうり的てきに判断はんだんして何なんらかの犯罪はんざいを犯おかし、若もしくは犯おかそうとしていると疑うたがうに足たりる相当そうとうな理由りゆうのある者もの
2. 既すでに行おこなわれた犯罪はんざいについて、若もしくは犯罪はんざいが行おこなわれようとしていることについて知しっていると認みとめられる者しゃ

1. は、挙動きょどう不審ふしん者しゃに対たいする質問しつもんを規定きていし、2. は、犯罪はんざいに関係かんけいする者ものへの質問しつもんを規定きていしている。1. の要件ようけんは、不審ふしん事由じゆう（ふしんじゆう）といわれる。

このように、警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう第だい2条じょう1項こうに明記めいきされている、職務しょくむ質問しつもんに必要ひつような「停止ていしと質問しつもん」の要件ようけんは相当そうとうに厳きびしい。

これらの要件ようけんが備そなわっているかどうか（適法てきほうな職務しょくむ質問しつもんかどうか）は、職務しょくむ質問しつもんをする警察官けいさつかんの主観しゅかん的てき判断はんだんによって決定けっていされるのではなく、「普通ふつうの社会しゃかい人じんがその場合ばあいに臨のぞんだら当然とうぜんにそう考かんがえたであろう客観きゃっかん性せい」が必要ひつようという事ことになっている。このように、客観きゃっかん的てきに要件ようけんが備そなわっていることが要求ようきゅうされるため、単たんなる主観しゅかんだけの職務しょくむ質問しつもんは許ゆるされないが、警察官けいさつかん独自どくじの知識ちしき、経験けいけんその他たの自身じしんだけが知しりうる情報じょうほうを併あわせて合理ごうり的てきな不審ふしん点てんが認みとめられる場合ばあいは許ゆるされる。

しかしながら、現実げんじつの職務しょくむ質問しつもんにおいてこれらの要件ようけんは守まもられておらず、警察官けいさつかんはとにかく無差別むさべつに通行人つうこうにんを呼よびとめて質問しつもんしているという見解けんかいがある。また、「職務しょくむ質問しつもんの違法いほう性せい」が判決はんけつにおいて認みとめられるケースが後こうを絶たたない。例たとえば、明確めいかくに所持しょじ品ひん検査けんさを拒否きょひされたにもかかわらず、令状れいじょうを取とらないまま荷物にもつを検査けんさし発見はっけんされた犯罪はんざい行為こういの証拠しょうこ品ひんについて、当該とうがい所持しょじ品ひん検査けんさは違法いほうであるとした裁判さいばん例れい（京都きょうと地裁ちさい）がある。

職務しょくむ質問しつもんにおいて許ゆるされる行為こうい

有形ゆうけい力りょくの行使こうし

職務しょくむ質問しつもんは、任意にんいの捜査そうさであるため原則げんそくとして腕うでを掴つかむといった有形ゆうけい力りょくは行使こうしできないが、犯罪はんざい予防よぼうという目的もくてきとの兼かね合あいで判断はんだんされる 。つまり、比例ひれい原則げんそくに従したがって判断はんだんされる。ただし、強制きょうせい手段しゅだんにあたる場合ばあいには、直ただちに違法いほうとされる（強制きょうせい処分しょぶん法定ほうてい主義しゅぎ）。

職務しょくむ質問しつもんで許容きょようされる有形ゆうけい力りょく行使こうしの限界げんかいに関かんしては、任意にんい性せいを厳格げんかくに求もとめるものから、強制きょうせい捜査そうさに至いたらないなら広ひろく自由じゆうの制約せいやくを認みとめる説せつまであり、学説がくせつが対立たいりつしている。

職務しょくむ質問しつもんの要件ようけんが備そなわっている場合ばあいには、具体ぐたい的てき状況じょうきょうに応おうじて、「質問しつもんを継続けいぞくする」という目的もくてきの達成たっせい手段しゅだんとしての行為こういも適法てきほうとされ得える。たとえば、最高裁判所さいこうさいばんしょで問題もんだいとなったものとしては、質問しつもんに応おうじるよう説得せっとくする行為こうい、質問しつもんの対象たいしょう者しゃが閉しめようとしたドアを押おし開あけて足あしを挟はさんでドアが閉しまらないようにする行為こうい、質問しつもん対象たいしょう者しゃが運転うんてんする自動車じどうしゃのエンジンを切きってエンジンキーを抜ぬき取とる行為こうい、質問しつもん途中とちゅうで逃走とうそうを図はかった対象たいしょう者しゃを追跡ついせきして、その腕うでをつかんで停止ていしさせた行為こうい、などがある。

所持しょじ品ひん検査けんさ

職務しょくむ質問しつもんに際さいして、対象たいしょう者しゃの携行けいこう品ひんを取とり出だして調しらべたり、中身なかみを検査けんさしたり、身みにつけている衣服いふく等とうの検査けんさをすることが一般いっぱん的てきに行おこなわれている。このことを所持しょじ品ひん検査けんさと呼よんでいる。所持しょじ品ひん検査けんさを行おこなうことが主しゅ目的もくてきで職務しょくむ質問しつもんを行おこなっているとさえ言いわれているが、所持しょじ品ひん検査けんさを明確めいかくに定さだめた法律ほうりつは存在そんざいしない。

それにもかかわらず、衣服いふくや携帯けいたい品ひんの上うえから手てで触さわる程度ていどの手段しゅだんは対象たいしょう者しゃの承諾しょうだくなしに実施じっしできるという解釈かいしゃくが一般いっぱん的てきに通用つうようしている。また、職務しょくむ質問しつもんに付随ふずいする活動かつどうとして、所持しょじ品ひん検査けんさを実施じっしすることが、判例はんれい上じょう認みとめられている。

例たとえば、米子よなご銀行ぎんこう強盗ごうとう事件じけんで最高裁さいこうさいは所持しょじ品ひん検査けんさを、職務しょくむ質問しつもんの付随ふずい行為こういだと位置付いちづけ、必要ひつよう性せい、緊急きんきゅう性せい、相当そうとう性せいが認みとめられれば、対象たいしょう者しゃの合意ごういは不要ふようであると判示はんじしている (最高裁さいこうさい第だい3小しょう法廷ほうてい判決はんけつ、昭和しょうわ53年ねん6月がつ20日はつか、刑けい集しゅう32巻かん4号ごう670頁ぺーじ) 。一方いっぽうで、一般いっぱん的てき基準きじゅんとして同おなじものを用もちいながら、違法いほうとした判例はんれいも存在そんざいする (最高裁さいこうさい第だい1小しょう法廷ほうてい判決はんけつ、昭和しょうわ53年ねん9月がつ7日にち、刑けい集しゅう32巻かん6号ごう1672頁ぺーじ)。

その他たの例れいでは、施錠せじょうされていないバッグのファスナーを開あけて中身なかみを一瞥いちべつする行為こういを適法てきほうとした判例はんれいがある。その一方いっぽうで、対象たいしょう者しゃの上着うわぎのポケットに手てを入いれて行おこなう所持しょじ品ひん検査けんさ、自動車じどうしゃを停止ていしさせて車内しゃないを細こまかく調しらべる検査けんさ、被疑ひぎ者しゃが逃にげたので取とり押おさえて靴下くつしたの中なかにある覚かくせい剤ざいを取とり出だした行為こういを違法いほうと判断はんだんした判例はんれいが存在そんざいする。このように、任意にんい手段しゅだんの限度げんどを超こえた所持しょじ品ひん検査けんさの適法てきほう・違法いほうの判断はんだんは判例はんれいによって異ことなっている。

職務しょくむ質問しつもんと捜査そうさとの関係かんけい

職務しょくむ質問しつもんは、「何なんらかの犯罪はんざい」といったような抽象ちゅうしょう的てきな犯罪はんざいの予防よぼう等とうを目的もくてきとする行政ぎょうせい警察けいさつ活動かつどうであるから、具体ぐたい的てきな犯罪はんざいの事件じけん処理しょりに向むけて行おこなわれる司法しほう警察けいさつ活動かつどうであるところの捜査そうさとは区別くべつされる。しかし現実げんじつには、職務しょくむ質問しつもんにおける司法しほう・行政ぎょうせい警察けいさつ活動かつどうの境目さかいめはあいまいであり、職務しょくむ質問しつもん、強制きょうせいに至いたらないまでの実力じつりょくの行使こうし、所持しょじ品ひん検査けんさの方法ほうほうなど、合法ごうほう・非合法ひごうほうの判断はんだんは極きわめて難むずかしい。特とくに、初はじめから犯罪はんざい捜査そうさを目的もくてきとして職務しょくむ質問しつもんを行おこなうことについては争あらそいがある。

職務しょくむ質問しつもんから犯罪はんざい捜査そうさへと移行いこうする例れいは多おおい。その場合ばあい、職務しょくむ質問しつもんの段階だんかいにおける違法いほうは、それに引ひき続つづき行おこなわれた捜査そうさ（取調とりしらべ等ひとし）の違法いほうに影響えいきょうする。職務しょくむ質問しつもんの実質じっしつが捜査そうさに相当そうとうするなら、職務しょくむ質問しつもんと言いえども警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほうだけでなく刑事けいじ訴訟そしょう法ほうによる規制きせいも受うけることは論ろんをまたない。

職務しょくむ質問しつもんに類似るいじする活動かつどう

警察官けいさつかんは不審ふしんな点てんがあるかどうかにかかわらず、通行人つうこうにんや通行つうこう車輌しゃりょうを停止ていしさせて質問しつもんを行おこなうことがある。自動車じどうしゃに対たいする交通こうつう検問けんもんが、その典型てんけいである。

「検問けんもん」を参照さんしょう

警察けいさつの職務しょくむ質問しつもん奨励しょうれい策さく

各かく都道府県とどうふけん警共は、年間ねんかんの職務しょくむ質問しつもんによる検挙けんきょ実績じっせきの目標もくひょう (ノルマ) を課かしているだけでなく、組織そしきとして職務しょくむ質問しつもん奨励しょうれい策さくをとっている。

具体ぐたい的てきには、地域ちいき警察官けいさつかんに対たいする「職務しょくむ質問しつもん競技きょうぎ会かい」を開ひらく、職務しょくむ質問しつもんによる犯罪はんざい検挙けんきょ強化きょうか月間げっかんの実施じっしを行おこなう、職務しょくむ質問しつもんによる犯罪はんざい検挙けんきょを表彰ひょうしょうの対象たいしょうにする、 などである。なお、警察けいさつの現場げんばでは、警察官けいさつかんは積極せっきょく的てきに職務しょくむ質問しつもんをするよう指示しじされているが、要件ようけんや限度げんどに関かんしては指導しどうされていない。必然ひつぜん的てきに無理むりな職務しょくむ質問しつもんが横行おうこうし、警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう第だい2条じょう1項こうにある職務しょくむ質問しつもんの要件ようけんを欠かいたり、任意にんい性せいの限度げんどを超こえた職務しょくむ質問しつもんがまかり通とおっている。

職務しょくむ質問しつもん濫用らんようの懸念けねん

民主みんしゅ主義しゅぎの日本にっぽんでは、人権じんけんを保障ほしょうする日本国にっぽんこく憲法けんぽうが存在そんざいし、日本にっぽんの公務員こうむいんは日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい99条じょうにより、憲法けんぽう尊重そんちょう擁護ようご義務ぎむを負おう。現行げんこう犯はんである以外いがいでは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい34条じょうが不当ふとうな拘束こうそくを禁きんじている。このため、職務しょくむ質問しつもんは被疑ひぎ者しゃの同意どういが無なければ行おこなえない、任意にんいの行為こういである。そのため、強制きょうせい的てきな逮捕たいほや捜査そうさには令状れいじょうが必要ひつようであり、これに反はんして行おこなわれた職務しょくむ質問しつもんは、違法いほう収集しゅうしゅう証拠しょうこ排除はいじょ法則ほうそくに則のっとり無効むこうとなる。

2004年ねん（平成へいせい16年ねん）と2006年ねん（平成へいせい18年ねん）の2度ど、国家こっか公安こうあん委員いいん長ちょう（1996年ねん（平成へいせい8年ねん） - 1997年ねん（平成へいせい9年ねん））を歴任れきにんした白川しらかわ勝彦かつひこが、本人ほんにんの弁べんで犯罪はんざい性せいのない状態じょうたいで職務しょくむ質問しつもんを受うけるなど、職務しょくむ質問しつもんが濫用らんようされたとしている。令状れいじょうのない状態じょうたいで腕うでを掴つかむなどの実質じっしつ的てきな拘束こうそくや、令状れいじょうのない状態じょうたいでの捜査そうさによる逮捕たいほが、違法いほうな捜査そうさであるとして無罪むざいがい渡いわたされた判例はんれいがあり、2014年ねん（平成へいせい26年ねん）には、裁判官さいばんかんもこのように警察官けいさつかんが無む理解りかいである状態じょうたいに言及げんきゅうし、今後こんごの違法いほう捜査そうさを抑制よくせいするために無罪むざいをい渡いわたしたとも述のべている。

違法いほうな職務しょくむ質問しつもんとした判例はんれい・裁判さいばん例れい

• 2000年ねん（平成へいせい12年ねん）4月がつ24日にち、荻野おぎの昌弘まさひろ・関西学院大学かんせいがくいんだいがく教授きょうじゅが、兵庫ひょうご県けん西宮にしのみや市しのさくら銀行ぎんこう西宮にしのみや支店してんでATMを操作そうさしていた際さい、当時とうじ発生はっせいしていた横浜よこはま小しょう2男児だんじ誘拐ゆうかい事件じけんの犯人はんにんと勘違かんちがいした兵庫ひょうご県けん西宮にしのみや警察けいさつ署しょの署員しょいんが、荻野おぎのに暴行ぼうこうを加くわえ誤認ごにん逮捕たいほする事件じけんが発生はっせいした。この誤認ごにん逮捕たいほの間あいだにも犯人はんにんから脅迫きょうはく電話でんわがかかってきていたが、署員しょいんは職務しょくむ質問しつもんと称しょうして返答へんとうを強制きょうせい。無断むだんで荻野おぎのの携帯けいたい電話でんわの交信こうしん記録きろくを調しらべ、容貌ようぼうをデジタルカメラで撮影さつえいした上うえ、荻野おぎのの手てを引ひっ張ぱって西宮にしのみや警察けいさつ署しょへ強制きょうせい連行れんこうした。荻野おぎのは一連いちれんの署員しょいんの行動こうどうは職務しょくむ質問しつもんを逸脱いつだつした違法いほう行為こういであるとして5月26日にちに兵庫ひょうご県けんを国家こっか賠償ばいしょう法ほうに基もとづき提訴ていそした。神戸こうべ地方裁判所ちほうさいばんしょは「誘拐ゆうかい事件じけんを捜査そうさする上じょうで必要ひつような職務しょくむ質問しつもんだ」などの兵庫ひょうご県けんの主張しゅちょうを退しりぞけ、逮捕たいほから連行れんこうに至いたる一連いちれんの過程かていを職務しょくむ質問しつもんを逸脱いつだつした違法いほう行為こういと認定にんてい。兵庫ひょうご県けんに対たいし330万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを命めいじた。県けん側がわは控訴こうそしたものの、2003年ねん（平成へいせい15年ねん）7月がつ4日にち、大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょは兵庫ひょうご県けんの控訴こうそを棄却ききゃくし、一いち審しん・神戸こうべ地方裁判所ちほうさいばんしょの判決はんけつを支持しじする判決はんけつを出だした。
• 2006年ねん（平成へいせい18年ねん）3月がつ25日にち、神奈川かながわ県けん横浜よこはま市しの男性だんせいが妹いもうと所有しょゆうの車くるまに知人ちじん2人にんを乗のせて東京とうきょう都と世田谷せたがや区く内うちを運転うんてん中ちゅう、警視庁けいしちょうの警察官けいさつかんから職務しょくむ質問しつもんを受うけ、車内しゃないを見みせるよう求もとめられたが、男性だんせいは一貫いっかんして拒否きょひしたため、職務しょくむ質問しつもんは約やく3時じ間あいだ半はんの長時間ちょうじかんに及およんだ。そのため、警察官けいさつかんは立たち去さろうとする男性だんせいに対たいして「車くるまのドアミラーが当あたった」などとし、自動車じどうしゃの窓まどを警棒けいぼうで割わって、男性だんせいを公務こうむ執行しっこう妨害ぼうがいで現行げんこう犯はん逮捕たいほした。逮捕たいほ後ご車内しゃないの捜索そうさくにより大麻たいまが見みつかったとして、男性だんせいは大麻たいま取締とりしまり法ほう違反いはんの罪つみにも問とわれたものの、東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょ・東京とうきょう高等こうとう裁判所さいばんしょで一連いちれんの職務しょくむ質問しつもんが違法いほうであることが認定にんていされ、大麻たいまの証拠しょうこ能力のうりょくと逮捕たいほが無効むこうとなり、2007年ねん（平成へいせい19年ねん）10月がつに男性だんせいの無罪むざいが確定かくていした。
• 2007年ねん（平成へいせい19年ねん）6月がつ22日にち、ミニバイクを運転うんてん中ちゅうに大阪おおさか府ふ大阪おおさか市し天王寺てんのうじ区くで信号しんごう待まちしていた堺さかい市し在住ざいじゅうの女性じょせいに対たいし、大阪おおさか府ふ南みなみ警察けいさつ署しょの警察官けいさつかんが職務しょくむ質問しつもんをしたが、当該とうがいの警察官けいさつかんは私服しふくのままで、しかも警察官けいさつかんだと名乗なのらずに職務しょくむ質問しつもんし、また、質問しつもんの際さいに女性じょせいの腕うでをつかんだ。女性じょせいは、不審ふしん者しゃに絡からまれたのと勘違かんちがいし逃にげようとしたが転倒てんとうし、負傷ふしょうしたのみならず、持病じびょうの精神せいしん疾患しっかんが悪化あっかしたとして、大阪おおさか府ふに対たいし約やく1,200万まん円えんの国家こっか賠償ばいしょうを求もとめる訴訟そしょうを提起ていき。一いち審しんの大阪おおさか地方裁判所ちほうさいばんしょは「腕うでをつかむ前まえに、警察けいさつ手帳てちょうを示しめしていた」として訴うったえを退しりぞけたが、二に審しんの大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょは2011年ねん（平成へいせい23年ねん）5月がつ26日にちに、「名乗なのらないまま腕うでをつかんでおり、警察官けいさつかんの行為こういは違法いほうである」として、大阪おおさか府ふに対たいし約やく300万まん円えんの支払しはらいを命めいじる判決はんけつをい渡いわたした。
• 2007年ねん（平成へいせい19年ねん）10月がつ7日にち、求人きゅうじん情報じょうほう誌しを持もっていた無職むしょくの男性だんせいが、奈良なら県けん生駒いこま市しのパチンコ店てん駐車ちゅうしゃ場じょうに、駐車ちゅうしゃしていた乗用車じょうようしゃに乗のろうとしていた際さい、奈良なら県けん生駒いこま警察けいさつ署しょの警察官けいさつかんから職務しょくむ質問しつもんを受うけ、「職業しょくぎょうに就つく意思いしがないままうろついた」などとして、軽犯罪法けいはんざいほう違反いはん（浮浪ふろう）の現行げんこう犯はんで逮捕たいほされた。拘束こうそく中ちゅうに尿にょう検査けんさで覚醒剤かくせいざい反応はんのうが出でたことから、翌よく10月がつ8日にちに釈放しゃくほうした2分ふん後ごに覚かくせい剤ざい取締とりしまり法ほう違反いはん（使用しよう）容疑ようぎで逮捕たいほされた。その後ご、男おとこは覚かくせい剤ざい取締とりしまり法ほう違反いはん（使用しよう）の罪つみで起訴きそされたが、2009年ねん（平成へいせい21年ねん）3月がつ3日にち、大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょは男性だんせいが就職しゅうしょく活動かつどう中なかであったこと、及およびマンションを賃借ちんしゃくしていた事実じじつがあることから、奈良なら県けん警察けいさつの逮捕たいほは「浮浪ふろう」の要件ようけんを満みたさない違法いほうな逮捕たいほに当あたると認定にんてい。覚醒剤かくせいざい使用しようについても、違法いほうな逮捕たいほ中ちゅうに行おこなわれた尿にょう検査けんさの証拠しょうこ能力のうりょくが無効むこうとなり、懲役ちょうえき3年ねんの一いち審しん・奈良なら地方裁判所ちほうさいばんしょの判決はんけつが破棄はきされ、無罪むざいとなった。
• 2010年ねん（平成へいせい22年ねん）3月がつ、東京とうきょう都と千代田ちよだ区く外神田そとかんだ（秋葉原あきはばら）の路上ろじょうを歩行ほこう中ちゅうに、警視庁けいしちょう万世橋まんせいばし警察けいさつ署しょの警察官けいさつかんから、職務しょくむ質問しつもんと、それに続つづいて所持しょじ品ひん検査けんさを受うけ、マルチツールの所持しょじが見みつかり没収ぼっしゅうの上うえ、軽犯罪法けいはんざいほう違反いはんで東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょうに書類しょるい送検そうけんされた（不ふ起訴きそ）。男性だんせいについて、東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょの都築つづき政則まさのり裁判さいばん長ちょうは2013年ねん（平成へいせい25年ねん）5月がつ28日にちの判決はんけつで「当人とうにんに明あきらかに異常いじょうな行動こうどうが見みられない限かぎりは、犯罪はんざい行為こういを疑うたがう理由りゆうはなく違法いほう」として、職務しょくむ質問しつもん及および所持しょじ品ひん検査けんさを違法いほうと認定にんていし、男性だんせいの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうを認みとめ、東京とうきょう都とに対たいして5万まん円えんの損害そんがい賠償ばいしょうを命めいじた。
• 2011年ねん（平成へいせい23年ねん）に、東京とうきょう都内とないで警視庁けいしちょうの警察官けいさつかんが男性だんせいの腕うでを掴つかむなどして、令状れいじょうなしに実質じっしつ的てきに拘束こうそくし、覚醒剤かくせいざいを発見はっけんし逮捕たいほしたが、違法いほうな捜査そうさとした。なお、公文書こうぶんしょを加くわえたとして、公用こうよう文書ぶんしょ毀棄きき罪ざいが成立せいりつし一部いちぶ無罪むざいとなった。
• 2012年ねん（平成へいせい24年ねん）1月がつ、神戸こうべ市し須磨すま区く内うちのレンタルビデオ店てんの駐車ちゅうしゃ場じょうに車くるまを駐車ちゅうしゃさせた50歳さい代だいの男性だんせいが、兵庫ひょうご県けん須磨すま警察けいさつ署しょ員いんらから職務しょくむ質問しつもんを受うけ、車くるまの車内しゃないやトランクの検査けんさには応おうじたものの、助手じょしゅ席せきに置おいていた鞄かばんの検査けんさを拒否きょひしたところ、同どう署員しょいん3人にんにパトカーの後部こうぶ座席ざせきで取とり囲かこまれ、最終さいしゅう的てきには鞄かばんの中身なかみを見みせたものの、男性だんせいは県警けんけいの対応たいおうが違法いほうであるとして、2015年ねん1月がつに神戸こうべ地方裁判所ちほうさいばんしょに提訴ていそ。2017年ねん1月がつ12日にちに同どう地裁ちさいは、「犯罪はんざいを窺うかがわせる事情じじょうが存在そんざいしなかった」などとして、兵庫ひょうご県けんに対たいし3万まん円えんの支払しはらいを命めいじる判決はんけつをい渡いわたした。
• 2013年ねん（平成へいせい25年ねん）に、東京とうきょう都と新宿しんじゅく区くで、警視庁けいしちょう四谷よつや警察けいさつ署しょの警察官けいさつかんが職務しょくむ質問しつもんにより、捜索そうさく令状れいじょうなしに捜査そうさを行おこない、覚醒剤かくせいざいを発見はっけんし現行げんこう犯はん逮捕たいほした。刑事けいじ裁判さいばんで東京とうきょう地方ちほう検察庁けんさつちょう側がわは、被告人ひこくにんに対たいし覚かくせい剤ざい取締とりしまり法ほう違反いはんで懲役ちょうえき4年ねんを求刑きゅうけいしたが、東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょは、令状れいじょうなしの違法いほうな捜索そうさくであり、被告人ひこくにんを無罪むざいとした。東京とうきょう地方裁判所ちほうさいばんしょの西山にしやま志帆しほ裁判さいばん長ちょうは、判決はんけつにおいて警察けいさつの無む理解りかいが甚はなはだしく、違法いほう捜査そうさを抑制よくせいするため、無罪むざいをい渡いわたしたことを述のべた。
• 2014年ねん（平成へいせい26年ねん）6月がつ22日にち未明みめいに、大阪おおさか市し西成にしなり区くの路上ろじょうで大阪おおさか府ふ西成にしなり警察けいさつ署しょの署員しょいんから職務しょくむ質問しつもんを受うけた、イラン国籍こくせきの貿易ぼうえき業ぎょうの男性だんせいが、駐車ちゅうしゃ中ちゅうの自動車じどうしゃ車内しゃないを捜索そうさくされた際さい、車内しゃないにあった鞄かばんを調しらべようとした所ところ、男性だんせいが承諾しょうだくしていないにもかかわらず鞄かばんを捜索そうさくした為ため、男性だんせいは抵抗ていこうしたが、警察官けいさつかん4人にんに取とり押おさえられ、うち1人にんの腕うでや指ゆびに噛かみ付ついて軽傷けいしょうを負おわせた。男性だんせいは公務こうむ執行しっこう妨害ぼうがいと傷害しょうがいで現行げんこう犯はん逮捕たいほされ、その後ごの捜索そうさくで自宅じたくや自動車じどうしゃから覚醒剤かくせいざいや大麻たいまなどが押収おうしゅうされ、後のちに覚かくせい剤ざい取締とりしまり法ほう違反いはんや大麻たいま取締とりしまり法ほう違反いはん容疑ようぎでも逮捕たいほされたが、2015年ねん（平成へいせい27年ねん）3月がつ5日にちに、大阪おおさか地方裁判所ちほうさいばんしょの長井ながい秀典ひでのり裁判さいばん長ちょうは、大阪おおさか地方ちほう検察庁けんさつちょう側がわの懲役ちょうえき1年ねん6ヶ月かげつの求刑きゅうけいを棄却ききゃくし、被告人ひこくにんに無罪むざい判決はんけつをい渡いわたした。判決はんけつでは「警察官けいさつかんへの暴行ぼうこうは、警察官けいさつかんが承諾しょうだくなく行いった違法いほうな所持しょじ品ひん検査けんさへの抵抗ていこうで、正当せいとう防衛ぼうえいに当あたる」と認定にんていし、さらに「違法いほう行為こういに基もとづく押収おうしゅう物ぶつは証拠しょうこ能力のうりょくが無ない」と違法いほう収集しゅうしゅう証拠しょうこ排除はいじょ法則ほうそくを適用てきようし、逮捕たいほ後ごに警察官けいさつかんが捜索そうさくし発見はっけんされ押収おうしゅうされた覚醒剤かくせいざいなども、証拠しょうこ能力のうりょくが無効むこうと判断はんだんした。
• 2018年ねん（平成へいせい30年ねん）6月がつ30日にち未明みめい、滋賀しが県けん大津おおつ市し在住ざいじゅうの男性だんせいが、京都きょうと市し内うちで京都きょうと府ふ警察けいさつの警察官けいさつかんから職務しょくむ質問しつもんを受うけた。男性だんせいは職務しょくむ質問しつもん及および任意にんい同行どうこうや採尿さいにょうを拒否きょひし、タクシーと列車れっしゃを乗のり継ついで大津おおつ駅えきで下車げしゃし線路せんろ内うちに立たち入いったところを京都きょうと府警ふけいに鉄道てつどう営業えいぎょう法ほう違反いはんの現行げんこう犯はんで逮捕たいほされ、さらに、付近ふきんから液体えきたい大麻たいまなどが発見はっけんされたことで、滋賀しが県けん警察けいさつが大麻たいま取締とりしまり法ほう違反いはん容疑ようぎで逮捕たいほし、男性だんせいはその後ご大津おおつ地方裁判所ちほうさいばんしょに起訴きそされた。2022年ねん（令れい和わ4年ねん）5月がつ23日にちに同どう地裁ちさいは、薬物やくぶつ事犯じはんの疑うたがいは濃厚のうこうとした一方いっぽうで、京都きょうと府警ふけい側がわが捜査そうさ車両しゃりょう数すう台だいをタクシーの周囲しゅういに止とめるなどして降車こうしゃを促うながしたことや、走はしり出だした男性だんせいを転倒てんとうさせた捜査そうさ員いんの行為こういを違法いほう行為こういと認定にんていし、押収おうしゅうした薬物やくぶつについても、違法いほう捜査そうさにより収集しゅうしゅうした証拠しょうこであるとして証拠しょうこ能力のうりょくを否定ひていし、男性だんせいに無罪むざい判決はんけつをい渡いわたした。

職務しょくむ質問しつもんに関かんする不当ふとう事例じれい

• 鳥取とっとり県けん米子よなご警察けいさつ署しょの署員しょいんが、2008年ねん（平成へいせい20年ねん）10月がつ28日にち、ポルフィリン症しょうによる皮膚ひふの光ひかり過敏かびん症しょう防止ぼうしの為ため、上半身じょうはんしんを覆おおう黒くろい頭巾ずきんを着用ちゃくようしていた鳥取とっとり県けん境港さかいみなと市しの高校こうこう3年生ねんせいの男子だんし生徒せいとに対たいし、「その変へんな格好かっこうしたやつ、止とまれ。おまえはタリバンか」などと暴言ぼうげんを伴ともなう職務しょくむ質問しつもんを行おこない、頭巾ずきんを取とることを強制きょうせいしたことが、2009年ねん（平成へいせい21年ねん）3月がつ6日にちの鳥取とっとり県議会けんぎかいにおいて発覚はっかくした。鳥取とっとり県けん警察けいさつ本部ほんぶ長ちょうは「不適切ふてきせつだった」と謝罪しゃざいし、病気びょうきへの理解りかいを深ふかめるためのDVDを全ぜん署しょに配布はいふすると答弁とうべんした。
• 2012年ねん（平成へいせい24年ねん）5月がつ27日にち、神奈川かながわ県けん川崎かわさき臨港りんこう警察けいさつ署しょの捜査そうさ員いんが、令状れいじょう無なくカトリック貝塚かいづか教会きょうかいの敷地しきち内ないに無断むだんで入はいり、不法ふほう滞在たいざいの疑うたがいがあるフィリピン国籍こくせきの信徒しんとに対たいして職務しょくむ質問しつもんを行おこなった。同どう教会きょうかいの司祭しさいが、令状れいじょうのない敷地しきちへの立たち入いりは違法いほうとして、敷地しきち外がいに立たち去さるよう求もとめたにもかかわらず、捜査そうさ員いんはミサの最中さいちゅうの教会きょうかい内ないへの立たち入いりを強行きょうこうした。このような令状れいじょうのない敷地しきち立たち入いりを伴ともなう職務しょくむ質問しつもんに任意にんい性せいが無なく、適正てきせい手続てつづきの保障ほしょうを伴ともなわない捜査そうさは、信教しんきょうの自由じゆうを侵害しんがいするものだとし、カトリック中央ちゅうおう協議きょうぎ会かいが川崎かわさき臨港りんこう警察けいさつ署しょに申もうし入いれを行おこない、国家こっか公安こうあん委員いいん会かい委員いいん長ちょうと警察庁けいさつちょう長官ちょうかんあてに要請ようせい書しょを手渡てわたした。その結果けっか、川崎かわさき臨港りんこう警察けいさつ署しょは、令状れいじょうのない立たち入いりによる職務しょくむ質問しつもんが不適切ふてきせつであったこと、今後こんごの警察けいさつ活動かつどうにおいて、信教しんきょうの自由じゆうを含ふくむ基本きほん的てき人権じんけんを尊重そんちょうするとのお詫わびを行おこない、警察庁けいさつちょうの白川しらかわ警視けいし長ちょうは「警察庁けいさつちょうとしましては、今後こんごとも、信教しんきょうの自由じゆうを始はじめとした憲法けんぽうで保障ほしょうされた基本きほん的てき人権じんけんを尊重そんちょうした警察けいさつ活動かつどうを徹底てっていしてまいりたいと考かんがえております」とのお詫わびを表明ひょうめいし、『基本きほん的てき人権じんけんに留意りゅういした適切てきせつな警察けいさつ活動かつどうの推進すいしんについて』との通達つうたつを全国ぜんこくの警察けいさつに発出はっしゅつした。
• 2013年ねん（平成へいせい25年ねん）2月がつ21日にち、職務しょくむ質問しつもんを利用りようして女子高じょしこう生せいを盗ぬすめ撮うつした大阪おおさか府ふ河内長野かわちながの警察けいさつ署しょ地域ちいき課か巡査じゅんさが公務員こうむいん職権しょっけん乱用らんよう罪ざいと迷惑めいわく防止ぼうし条例じょうれい違反いはんで逮捕たいほされ、その後ご、懲戒ちょうかい免職めんしょくになった。巡査じゅんさはパトロール中ちゅう、女子高じょしこう生せいに「持もち物もの見みせて。たばことか持もっている子こがいるから」 などと職務しょくむ質問しつもんと所持しょじ品ひん検査けんさを行おこない、女子高じょしこう生せいにかばんを開あけさせている隙すきに、携帯けいたい電話でんわのカメラで太ふとももを盗ぬすめ撮うつしていた。巡査じゅんさの携帯けいたい電話でんわからは盗ぬすめ撮ど画像がぞうが約やく460枚まい見みつかり、約やく350枚まいは勤務きんむ中ちゅうのものであったことから、職務しょくむ質問しつもんを利用りようし、職権しょっけんを濫用らんようし盗ぬすめ撮つまみを繰くり返かえしていたことが発覚はっかくした。
• 2013年ねん（平成へいせい25年ねん）6月がつ10日とおか、職務しょくむ質問しつもんを受うけたことにより、世間体せけんていが悪わるくなることを見越みこした兵庫ひょうご県けん相生あいおい警察けいさつ署しょ地域ちいき課か巡査じゅんさ部長ぶちょうが、それ（職務しょくむ質問しつもんを受うけたこと）をネタに職務しょくむ質問しつもんした女性じょせいに対たいして、職務しょくむ質問しつもんで知しった女性じょせいの住所じゅうしょ氏名しめいを利用りようして、後日ごじつ金銭きんせんを要求ようきゅうする恐喝きょうかつ事件じけんも発生はっせいしている。

職務しょくむ質問しつもんを受うけやすい人ひと

• 警視庁けいしちょう地域ちいき部ぶ地域ちいき指導しどう課か職務しょくむ質問しつもん指導しどう第だい一いち班はんに所属しょぞくするある警察官けいさつかんは、靴くつが汚きたない人ひと、季き節ぶしに関係かんけいなく汗あせだくになっている人ひと、呂律ろれつが回まわらない人ひと等とうは不審ふしん者しゃの可能かのう性せいが高たかく、声こえ掛かけを行おこなっているという。
• 有色ゆうしょく人種じんしゅの外国がいこく人じんは対象たいしょうとなりやすい（レイシャル・プロファイリング）。

関連かんれん項目こうもく

• 行政ぎょうせい警察けいさつ活動かつどう
• 警察官けいさつかん職務しょくむ執行しっこう法ほう
• 黙秘もくひ権けん
• 違法いほう収集しゅうしゅう証拠しょうこ排除はいじょ法則ほうそく
• デュー・プロセス・オブ・ロー
• 体感たいかん治安ちあん
• 冤罪えんざい
• 拷問ごうもん
• 公安こうあん委員いいん会かい#苦情くじょう申出もうしで制度せいど

外部がいぶリンク

• 『職務しょくむ質問しつもん』 - コトバンク
• 『不審ふしん尋問じんもん』 - コトバンク
• 『不審ふしん尋問じんもん・不審ふしん訊問じんもん』 - コトバンク