衝突しょうとつ回避かいひ (宇宙うちゅう開発かいはつ)

宇宙うちゅう飛行ひこう分野ぶんやにおいて衝突しょうとつ回避かいひ（しょうとつかいひ、英えい: collision avoidance）とは宇宙うちゅう機きが他たの物体ぶったいとの衝突しょうとつを防止ぼうしする手段しゅだんである。

打上うちあげウインドウ

宇宙うちゅう機きを打うち上あげた場合ばあい、投入とうにゅう軌道きどうがすでに宇宙うちゅうに存在そんざいする他ほかの物体ぶったいと接近せっきんしすぎないことを保証ほしょうできない、すなわち打うち上あげを回避かいひすべき打上うちあげウィンドウ内うちの区間くかんを、英語えいごではCOLA(COLlision Avoidance)、ブラックアウト・ピリオド（blackout period）と呼よぶ。

実際じっさいにJAXAではペイロード側がわの条件じょうけんを考慮こうりょして設定せっていした打上うちあげウィンドウが、飛翔ひしょう中ちゅうのロケットと軌道きどう上じょうにある有人ゆうじん飛翔ひしょう体たい（ISSや宇宙船うちゅうせん）と干渉かんしょうのないことを確認かくにんしている。ただしスペースデブリとの干渉かんしょうについては考慮こうりょしていない。

軌道きどう上じょうでの回避かいひ

衝突しょうとつ回避かいひマヌーバ（collision avoidance manoeuvre; CAM）とは軌道きどう上じょうに存在そんざいする他ほかの物体ぶったいとの衝突しょうとつを回避かいひするために、宇宙うちゅう機きが実行じっこうするマヌーバである。回避かいひする対象たいしょうがデブリの場合ばあい、デブリ回避かいひマヌーバ（Debris Avoidance Manoeuvre; DAM）とも呼よばれる。

国際こくさい宇宙うちゅうステーションが行おこなうデブリ回避かいひマヌーバは、ドッキングしている無人むじん宇宙うちゅう補給ほきゅう機きのエンジンを短時間たんじかん燃焼ねんしょうさせることによって行おこなわれる。このマヌーバの結果けっか、ステーションの軌道きどうが数すうキロメートル上昇じょうしょう、もしくは下降かこうすることとなる。

国際こくさい宇宙うちゅうステーションが行おこなう衝突しょうとつ回避かいひマヌーバには、自動じどうドッキングをアボート（中止ちゅうし）することによっても行おこなわれる。例たとえば、欧州おうしゅう補給ほきゅう機きのドッキング制御せいぎょを行おこなうソフトウェアにはCAMの手続てつづきが組くみ込こまれている。この CAM はISSのクルーがドッキングの最中さいちゅうに問題もんだいが発生はっせいしたとき、緊急きんきゅうオーバーライドとして作動さどうさせることができる。欧州おうしゅう補給ほきゅう器きの初号しょごう機きであるジュール・ヴェルヌでは打上うちあげからすぐにこのマヌーバを実証じっしょうし、その後ご2008年ねん3月がつ末まつに行おこなわれたデモ・デイ2では宇宙うちゅうステーションに接近せっきん中ちゅうに宇宙うちゅう飛行ひこう士しがアボートをシミュレートした。

宇宙うちゅうステーション補給ほきゅう機きにも衝突しょうとつ回避かいひマヌーバ機能きのうが搭載とうさいされており、初号しょごう機きのHTV技術ぎじゅつ実証じっしょう機きでは飛行ひこう3日にち目めの運用うんよう検証けんしょう試験しけんにおいて衝突しょうとつ回避かいひマヌーバの機能きのうが試験しけんされている。

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