酸 さん と塩基 えんき (さんとえんき、英語 えいご :acid and base)は、化学 かがく 反応 はんのう にて物質 ぶっしつ がもつとされる性質 せいしつ である。化学 かがく の初期 しょき では、水素 すいそ イオン と水酸化物 すいさんかぶつ イオン のはたらきに基 もと づいて、酸 さん と塩基 えんき が定義 ていぎ された(アレニウスの定義 ていぎ )。化学 かがく の発展 はってん によってその定義 ていぎ は拡張 かくちょう され、今日 きょう では、電子 でんし 対 たい の授受 じゅじゅ に基 もと づいて酸 さん と塩基 えんき が定義 ていぎ される(ルイスの定義 ていぎ )。
酸 さん と塩基 えんき の定義 ていぎ は、化学 かがく の進展 しんてん により何 なん 度 ど か拡張 かくちょう されているが、義務 ぎむ 教育 きょういく で習 なら う初歩 しょほ 的 てき な定義 ていぎ は水溶液 すいようえき に関 かん する。最初 さいしょ に、水溶液 すいようえき の酸 さん と塩基 えんき を解説 かいせつ する。
リトマス試験紙 りとますしけんし
水 みず に溶質 ようしつ (物質 ぶっしつ )を溶 と かし、その水溶液 すいようえき をリトマス試験紙 りとますしけんし につけると、溶 と かした溶質 ようしつ によってリトマス試験紙 りとますしけんし の色 いろ が赤 あか になるものと青 あお になるものがある事 こと が知 し られている。前者 ぜんしゃ のものを酸性 さんせい の水溶液 すいようえき 、後者 こうしゃ のものを塩基 えんき 性 せい (塩基 えんき の中 なか でも特 とく に水 みず に溶 と け易 やす いものはアルカリ性 あるかりせい と呼 よ ばれる)の水溶液 すいようえき といい、酸性 さんせい 、塩基 えんき 性 せい の水溶液 すいようえき を作 つく り出 だ した溶質 ようしつ をそれぞれ酸 さん 、塩基 えんき という。酸性 さんせい でも塩基 えんき 性 せい でもない、両者 りょうしゃ の中間 ちゅうかん に相当 そうとう する水溶液 すいようえき を中性 ちゅうせい という。
リトマス以外 いがい の化学 かがく 物質 ぶっしつ に対 たい しても、水溶液 すいようえき が酸性 さんせい であるか塩基 えんき 性 せい であるかに応 おう じて、その化学 かがく 物質 ぶっしつ を水溶液 すいようえき に入 い れた時 とき に起 お こる化学 かがく 反応 はんのう が大 おお きく異 こと なる事 こと が知 し られており、例 たと えば酸性 さんせい の水溶液 すいようえき は鉄 てつ を溶 と かして水素 すいそ を生 しょう じるが、塩基 えんき 性 せい の水溶液 すいようえき ではそのような反応 はんのう は起 お こらない。したがって溶質 ようしつ が酸 さん であるか塩基 えんき であるかを知 し ることは実用 じつよう 上 じょう 非常 ひじょう に重要 じゅうよう である。
酸 さん の例 れい としては塩酸 えんさん 、硫酸 りゅうさん 、硝酸 しょうさん 、酢酸 さくさん などが挙 あ げられ、塩基 えんき の例 れい としては水酸化 すいさんか ナトリウム 、水酸化 すいさんか カリウム 、アンモニア などが挙 あ げられる。
酸 さん 塩基 えんき 反応 はんのう [ 編集 へんしゅう ]
酸性 さんせい と塩基 えんき 性 せい は逆 ぎゃく の性質 せいしつ であり、酸性 さんせい の水溶液 すいようえき と塩基 えんき 性 せい の水溶液 すいようえき を混 ま ぜると、酸 さん 塩基 えんき 反応 はんのう という化学 かがく 反応 はんのう が生 しょう じて、より中間 ちゅうかん 的 てき な状態 じょうたい へと近 ちか づき、同時 どうじ に何 なん らかの物質 ぶっしつ (塩 しお :えん)ができる。特 とく に、酸性 さんせい の水溶液 すいようえき と塩基 えんき 性 せい の水溶液 すいようえき を適切 てきせつ な量 りょう だけ混 ま ぜると、互 たが いの性質 せいしつ を打 う ち消 け しあうようになる。この変化 へんか を中和 ちゅうわ と呼 よ ぶ。
水溶液 すいようえき がどの程度 ていど 酸性 さんせい ないし塩基 えんき 性 せい であるかは、水素 すいそ イオン指数 しすう (pH ) という尺度 しゃくど で測 はか る事 こと ができる。室温 しつおん ではpHが7のとき中性 ちゅうせい 、7より小 ちい さいとき酸性 さんせい 、7よりも大 おお きいとき塩基 えんき 性 せい である。なお、厳密 げんみつ な定義 ていぎ は省 はぶ くが、酸性 さんせい の度合 どあ いが非常 ひじょう に強 つよ い場合 ばあい を強酸 きょうさん 、酸性 さんせい の度合 どあ いが少 すく ない水溶液 すいようえき を弱酸 じゃくさん という。強 つよ 塩基 えんき 、弱 じゃく 塩基 えんき も同様 どうよう に定義 ていぎ する。
なお、酸 さん ・塩基 えんき の強 つよ さを測 はか る指標 しひょう はpH以外 いがい にも、規定 きてい 度 ど ・酸 さん 解離 かいり 定数 ていすう (pK a ) ・酸度 さんど 関数 かんすう (H 0 ) などがある。また、酸 さん と塩基 えんき には、「硬 かた い」「軟 やわ らかい」という表現 ひょうげん をされる定性的 ていせいてき な性質 せいしつ がある。詳 くわ しくはHSAB則 そく を参照 さんしょう 。
「酸 さん 」という名称 めいしょう は、酸 さん には必 かなら ず酸素 さんそ が含 ふく まれるのではないかというラヴォアジエ の説 せつ によるMF1 (p144) 。しかし後 のち にデービー が、塩酸 えんさん という水素 すいそ と塩素 えんそ しか含 ふく んでいない物質 ぶっしつ も酸 さん になる事 こと を示 しめ した為 ため 、この説 せつ は修正 しゅうせい が必要 ひつよう になったMF1 (p144) 。そしてデービーの成果 せいか は、酸素 さんそ よりむしろ水素 すいそ が酸 さん の定義 ていぎ に重要 じゅうよう である事 こと を示唆 しさ していたMF1 (p144) 。
前節 ぜんせつ で説明 せつめい した、デービーによる成果 せいか を踏 ふ まえ、アレニウス は、酸 さん と塩基 えんき を以下 いか のように定義 ていぎ したMF1 (p144) :
アレニウスの定義 ていぎ は、水分 すいぶん 子 こ
H
2
O
{\displaystyle {\ce {{H2O}}}}
が水素 すいそ イオン
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
と水酸化物 すいさんかぶつ イオン
OH
−
{\displaystyle {\ce {OH^{-}}}}
とに分解 ぶんかい できる事 こと を考 かんが えると理解 りかい しやすい。この事実 じじつ を鑑 かんが みると、なんら物質 ぶっしつ を溶 と かしていない純 じゅん 水 みず の場合 ばあい 、そこに含 ふく まれる
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
と
OH
−
{\displaystyle {\ce {OH^{-}}}}
とは同 おな じ量 りょう である。それに対 たい し、酸性 さんせい の水溶液 すいようえき では、酸 さん が
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
を生 しょう じるので
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
の方 ほう が
OH
−
{\displaystyle {\ce {OH^{-}}}}
よりも多 おお く、逆 ぎゃく に塩基 えんき 性 せい の水溶液 すいようえき では塩基 えんき が
OH
−
{\displaystyle {\ce {OH^{-}}}}
を生 しょう じるので、
OH
−
{\displaystyle {\ce {OH^{-}}}}
の方 ほう が
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
よりも多 おお い。
酸性 さんせい の水溶液 すいようえき と塩基 えんき 性 せい の水溶液 すいようえき を混 ま ぜ合 あ わせた時 とき に起 お こる中和 ちゅうわ は、酸性 さんせい の水溶液 すいようえき にある
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
と塩基 えんき 性 せい の水溶液 すいようえき にある
OH
−
{\displaystyle {\ce {OH^{-}}}}
が反応 はんのう して水分 すいぶん 子 こ
H
2
O
{\displaystyle {\ce {{H2O}}}}
に変 か わる過程 かてい であると解釈 かいしゃく できる。
しかしアレニウスの定義 ていぎ は以下 いか のような欠点 けってん を持 も つことが知 し られている:
ブレンステッド・ローリーの定義 ていぎ [ 編集 へんしゅう ]
アレニウスの定義 ていぎ における欠点 けってん を補 おぎな うため、ブレンステッド とローリー は、アレニウスの定義 ていぎ において中心 ちゅうしん 的 てき な役割 やくわり を果 は たしている
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
、すなわちプロトン(陽子 ようし )をベースとして、酸 さん と塩基 えんき の概念 がいねん を以下 いか のように再 さい 定義 ていぎ した:
よってブレンステッド・ローリーの定義 ていぎ における酸 さん と塩基 えんき をそれぞれプロトン供与 きょうよ 体 たい 、プロトン受容 じゅよう 体 たい ともいうMF2 (p320) 。なおブレンステッド・ローリーの定義 ていぎ では通常 つうじょう の分子 ぶんし である場合 ばあい はもちろん、イオン化 いおんか した分子 ぶんし に対 たい しても酸 さん や塩基 えんき が定義 ていぎ できる。
アレニウスの定義 ていぎ との関係 かんけい [ 編集 へんしゅう ]
アレニウスによる酸 さん の定義 ていぎ は、ブレンステッド・ローリーによる酸 さん の定義 ていぎ における「他 た の物質 ぶっしつ 」が水分 すいぶん 子 こ であり、しかも
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
を水分 すいぶん 子 こ に渡 わた す原因 げんいん が解離 かいり である場合 ばあい に相当 そうとう するので、ブレンステッド・ローリーによる酸 さん の定義 ていぎ はアレニウスによる酸 さん の定義 ていぎ を含意 がんい する。
一方 いっぽう ブレンステッド・ローリーによる塩基 えんき の定義 ていぎ はアレニウスによる塩基 えんき の定義 ていぎ と見 み かけ上 じょう 大幅 おおはば に異 こと なるが、アレニウスによる塩基 えんき の中 なか に存在 そんざい する
OH
−
{\displaystyle {\ce {OH^{-}}}}
が「他 た の物質 ぶっしつ 」である反 はん 応 おう 相手 あいて の酸 さん から
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
を奪 うば って水分 すいぶん 子 こ
H
2
O
{\displaystyle {\ce {{H2O}}}}
を生成 せいせい すると考 かんが えれば、ブレンステッド・ローリーによる塩基 えんき の定義 ていぎ がアレニウスによる塩基 えんき の定義 ていぎ を含意 がんい する事 こと が分 わ かる。
欠点 けってん の解消 かいしょう [ 編集 へんしゅう ]
アレニウスの定義 ていぎ と違 ちが い、定義 ていぎ の範囲 はんい を水溶液 すいようえき に限定 げんてい していないので、アレニウスの定義 ていぎ にあった「水溶液 すいようえき にしか定義 ていぎ できない」という欠点 けってん は解消 かいしょう されている。
また、ブレンステッド・ローリーの定義 ていぎ は、アレニウスの定義 ていぎ と違 ちが い、アンモニアが水 みず に対 たい して塩基 えんき になる事 こと を説明 せつめい できる。実際 じっさい 、アンモニアが水分 すいぶん 子 こ と反応 はんのう して加水 かすい 分解 ぶんかい する過程 かてい
NH
3
+
H
2
O
↽
−
−
⇀
NH
4
+
+
OH
−
{\displaystyle {\ce {{NH3}+H2O\ <=>\ {NH4^{+}}+OH^{-}}}}
において、アンモニアは水分 すいぶん 子 こ から
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
を奪 うば っているので、ブレンステッド・ローリーの定義 ていぎ における塩基 えんき であるMF2 (p321) 。
定義 ていぎ の相対 そうたい 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
アレニウスの定義 ていぎ と違 ちが い、ブレンステッド・ローリーによる酸 さん と塩基 えんき の定義 ていぎ は、反応 はんのう 相手 あいて となる「他 た の物質 ぶっしつ 」の存在 そんざい があって初 はじ めて意味 いみ を持 も つものである。したがってある物質 ぶっしつ Aが「他 た の物質 ぶっしつ 」Xに対 たい しては酸 さん であるにもかかわらず、Xとは異 こと なる「他 た の物質 ぶっしつ 」Yに対 たい しては塩基 えんき であるという事 こと も起 お こりうる。例 たと えば水 みず は塩酸 えんさん に対 たい して塩基 えんき であるがMF2 (p321) 、アンモニアに対 たい しては酸 さん として働 はたら くMF2 (p321) 。
共役 きょうやく 塩基 えんき と共役 きょうやく 酸 さん [ 編集 へんしゅう ]
酸 さん (acid)を HA、塩基 えんき (base)を B とすると、ブレンステッド・ローリーによる酸 さん 塩基 えんき 反応 はんのう は一般 いっぱん に次 つぎ の化学 かがく 反応 はんのう 式 しき で表 あらわ されるMF2 (p321) :
H
A
+
B
⟵
→
A
−
+
H
B
+
a
c
i
d
b
a
s
e
c
o
n
j
u
g
a
t
e
b
a
s
e
c
o
n
j
u
g
a
t
e
a
c
i
d
{\displaystyle {\begin{matrix}&{\rm {HA}}&+&{\rm {B\ }}&{\overrightarrow {\longleftarrow }}\ &{\rm {A^{-}}}&+&{\rm {HB^{+}}}\\&{\rm {^{acid}}}&&{\rm {^{base}}}&&{\rm {^{conjugate\ base}\ }}&&{\rm {^{conjugate\ acid}}}\\\end{matrix}}}
この式 しき は、左辺 さへん から右辺 うへん への反応 はんのう と、右辺 うへん から左辺 さへん への反応 はんのう がともに起 お こる反応 はんのう (可逆 かぎゃく 反応 はんのう )であることを意味 いみ する(この化学 かがく 平衡 へいこう の平衡 へいこう 定数 ていすう から酸 さん 解離 かいり 定数 ていすう を定義 ていぎ する)。
そこで逆 ぎゃく に、右辺 うへん から左辺 さへん への反応 はんのう 過程 かてい を見 み てみると、(ブレンステッド・ローリーの定義 ていぎ における)塩基 えんき
A
−
{\displaystyle {\ce {{A-}}}}
と酸 す
HB
+
{\displaystyle {\ce {{HB+}}}}
が反応 はんのう して、HAとBとを生成 せいせい していると解釈 かいしゃく できる。
こうした理由 りゆう により、
A
−
{\displaystyle {\ce {{A-}}}}
を酸 さん HAの共役 きょうやく 塩基 えんき (conjugate base)と呼 よ び、
HB
+
{\displaystyle {\ce {{HB+}}}}
を塩基 えんき Bの共役 きょうやく 酸 さん というMF2 (p321) 。
ルイス による以下 いか の電子 でんし 対 たい の授受 じゅじゅ による酸 さん と塩基 えんき の定義 ていぎ は、ブレンステッド・ローリーの定義 ていぎ より更 さら に広範 こうはん な範囲 はんい をカバーする:
酸 さん :電子 でんし 対 たい の受容 じゅよう 体 たい MF2 (p346)
塩基 えんき :電子 でんし 対 たい の供与 きょうよ 体 たい MF2 (p346)
ブレンステッド・ローリーの塩基 えんき Bは、プロトン
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
を受 う け取 と る際 さい 、B内 ない にある電子 でんし 対 たい を
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
に供与 きょうよ する事 こと により、
HB
+
{\displaystyle {\ce {{HB+}}}}
を作 つく るので、ブレンステッド・ローリーの塩基 えんき はルイスの塩基 えんき でもあるMF2 (p346) 。同様 どうよう の理由 りゆう により、ブレンステッド・ローリーの酸 さん はルイスの酸 さん でもあるMF2 (p346) 。
しかしルイスの定義 ていぎ は、プロトン
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
の授受 じゅじゅ を伴 ともな わない反応 はんのう に対 たい しても酸 さん や塩基 えんき を定義 ていぎ できる事 こと に利点 りてん がある。例 たと えば反応 はんのう
A
l
3
+
+
6
H
2
O
{\displaystyle \mathrm {Al} ^{3+}+6\mathrm {H_{2}O} }
↽
−
−
⇀
{\displaystyle {\ce {\ <=>\ }}}
A
l
(
H
2
O
)
6
3
+
{\displaystyle \mathrm {Al} (\mathrm {H_{2}O} )_{6}{}^{3+}}
ではプロトン
H
+
{\displaystyle {\ce {{H+}}}}
の授受 じゅじゅ は行 おこな われないが、
H
2
O
{\displaystyle \mathrm {H_{2}O} }
が電子 でんし 対 たい を供与 きょうよ し
A
l
3
+
{\displaystyle \mathrm {Al} ^{3+}}
が受容 じゅよう するため、ルイスの定義 ていぎ における酸 さん
A
l
3
+
{\displaystyle \mathrm {Al} ^{3+}}
と塩基 えんき
H
2
O
{\displaystyle \mathrm {H_{2}O} }
であるMF2 (p346) 。
1939年 ねん にソビエト連邦 れんぽう のウサノビッチ (М. Усанович ) が提出 ていしゅつ した定義 ていぎ では、酸 さん は水素 すいそ イオンおよびその他 た の陽 ひ イオンを放出 ほうしゅつ するもの、あるいは陰 かげ イオンおよび電子 でんし と結合 けつごう する能力 のうりょく のあるものはすべて含 ふく まれる田中 たなか 71[要 よう ページ番号 ばんごう ] 。
この定義 ていぎ では陰 かげ イオンおよび電子 でんし (および電子 でんし を放出 ほうしゅつ するもの)まで塩基 えんき となり、電子 でんし の授受 じゅじゅ といった酸化 さんか 還元 かんげん 反応 はんのう までを酸 さん 塩基 えんき 反応 はんのう と解釈 かいしゃく し、究極 きゅうきょく にはすべての化学 かがく 反応 はんのう を包括 ほうかつ することになり拡張 かくちょう 解釈 かいしゃく が過 す ぎるため、今日 きょう ではこの定義 ていぎ が用 もち いられることはほとんどない。
N
a
+
H
2
O
⟵
→
N
a
+
+
O
H
−
+
1
2
H
2
b
a
s
e
a
c
i
d
a
c
i
d
b
a
s
e
b
a
s
e
{\displaystyle {\begin{matrix}&{\rm {Na}}&+&{\rm {H_{2}O\ }}&{\overrightarrow {\longleftarrow }}\ &{\rm {Na^{+}}}&+&{\rm {OH^{-}}}&+&{\rm {{\dfrac {~1~}{2}}H_{2}}}\\&{\rm {^{base}}}&&{\rm {^{acid}}}&&{\rm {^{acid}}}&&{\rm {^{base}}}&&{\rm {^{base}}}\\\end{matrix}}}
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ある溶液 ようえき の酸性 さんせい (塩基 えんき 性 せい )の強弱 きょうじゃく は、それに溶 と けている酸 さん (塩基 えんき )固有 こゆう の「強度 きょうど 」と、溶液 ようえき 中 ちゅう のその物質 ぶっしつ の「濃度 のうど 」に依存 いぞん する。例 たと えば、硫酸 りゅうさん は物質 ぶっしつ としては強 つよ い酸 さん であるが、もし濃度 のうど が低 ひく ければ、溶液 ようえき 全体 ぜんたい の酸性 さんせい は弱 よわ い。
それぞれの物質 ぶっしつ 固有 こゆう の(濃度 のうど に依存 いぞん しない)強度 きょうど の指標 しひょう としては、酸 さん 解離 かいり 定数 ていすう (pK a ) がある。また、濃度 のうど を加味 かみ した溶液 ようえき としての性質 せいしつ の指標 しひょう として水素 すいそ イオン指数 しすう (pH) 、酸度 さんど 関数 かんすう (H 0 ) および規定 きてい 度 ど がある。これらは場合 ばあい によって使 つか い分 わ けがされる。酸性 さんせい 度 ど をあらわすために希薄 きはく 水溶液 すいようえき 中 ちゅう では pH を用 もち いるのが一般 いっぱん 的 てき であるが、濃厚 のうこう 溶液 ようえき および非 ひ 水溶 すいよう 媒 なかだち 中 ちゅう においては酸度 さんど 関数 かんすう を用 もち いる。
また有機 ゆうき 溶媒 ようばい 中 ちゅう での反応 はんのう を議論 ぎろん することの多 おお い有機 ゆうき 化学 かがく では、反応 はんのう 物 ぶつ の水素 すいそ イオンの解離 かいり の程度 ていど を pK a によって議論 ぎろん することが多 おお い。
物質 ぶっしつ 固有 こゆう の強度 きょうど [ 編集 へんしゅう ]
水中 すいちゅう で電離 でんり する化合 かごう 物 ぶつ の酸性 さんせい (塩基 えんき 性 せい )の強弱 きょうじゃく は、その物質 ぶっしつ の電離 でんり 度 ど によっておおまかに分類 ぶんるい される。電離 でんり 度 ど は電解 でんかい 質 しつ が溶液 ようえき 中 ちゅう で解離 かいり (電離 でんり )しているモル比 ひ をあらわす値 ね で、電離 でんり 度 ど がほぼ 1 である酸 さん (塩基 えんき )を強酸 きょうさん (強 つよ 塩基 えんき )、電離 でんり 度 ど が小 ちい さいものを弱酸 じゃくさん (弱 じゃく 塩基 えんき )と呼 よ ぶ。また、純 じゅん 硫酸 りゅうさん よりも強 つよ い酸性 さんせい 媒体 ばいたい を超 ちょう 酸 さん ということがある。
より定量 ていりょう 的 てき に酸 さん (塩基 えんき )の強 つよ さを示 しめ す場合 ばあい は、解離 かいり 平衡 へいこう を考 かんが え、その平衡 へいこう 定数 ていすう K a の対数 たいすう に負号 ふごう をつけた酸 さん 解離 かいり 定数 ていすう pK a で表 あらわ すことが多 おお い。塩基 えんき に対 たい しては、共役 きょうやく 酸 さん の pK a か、特 とく に水中 すいちゅう の場合 ばあい では塩基 えんき 解離 かいり 定数 ていすう pK b = 14 − pK a が用 もち いられる。
例 たと えば、酢酸 さくさん の pK a は 4.76 、ギ酸 ぎさん の pK a は 3.77 である[1] 。pK a は定義 ていぎ から数値 すうち が小 ちい さいほど水素 すいそ イオンを解離 かいり しやすい、すなわち強 つよ い酸 さん であることを示 しめ す。したがって、同 おな じ弱酸 じゃくさん でもギ酸 ぎさん のほうが酢酸 さくさん より 10 倍 ばい 強 つよ いことが分 わ かる。
また、この表記 ひょうき 法 ほう を用 もち いると、有機物 ゆうきぶつ など通常 つうじょう 電離 でんり するとは考 かんが えない化合 かごう 物 ぶつ に対 たい しても酸 さん ・塩基 えんき の強度 きょうど すなわちプロトン解離 かいり の指標 しひょう として用 もち いることができる。例 たと えば、水中 すいちゅう でのメタン の pK a は 48、ベンゼン は 43 であり、ベンゼンの水素 すいそ の方 ほう がはるかに酸性 さんせい が強 つよ い(すなわち、プロトンとして引 ひ き抜 ぬ かれやすい)ことが分 わ かる。[2]
塩基 えんき の強 つよ さは共役 きょうやく 酸 さん の pK a から判断 はんだん することができる。例 たと えば、プロトン化 か されたアンモニア (アンモニウム)のpK a は 9.2、トリエチルアミン は 10.75 である。すなわち、トリエチルアミンに配 はい 位 い したプロトンはアンモニアの場合 ばあい に比 くら べて 1 桁 けた ほど解離 かいり しにくい。このことは、トリエチルアミンがアンモニアに比 くら べて 10 倍 ばい 強 つよ い塩基 えんき であることを示 しめ している。
酸 さん 解離 かいり 定数 ていすう を指標 しひょう として用 もち いることで、クライゼン縮 ちぢみ 合 あい など、水素 すいそ 引 ひ き抜 ぬ きが関与 かんよ する反応 はんのう に必要 ひつよう な塩基 えんき を推量 すいりょう することができる。
濃度 のうど を含 ふく めた強度 きょうど [ 編集 へんしゅう ]
ある物質 ぶっしつ の溶液 ようえき の酸 さん ・塩基 えんき を議論 ぎろん する際 さい には、その物質 ぶっしつ の濃度 のうど も重要 じゅうよう な要素 ようそ となる。濃度 のうど を含 ふく めた酸 さん ・塩基 えんき の指標 しひょう としては、規定 きてい 度 ど や水素 すいそ イオン濃度 のうど がある。
規定 きてい 度 ど は酸 さん ・塩基 えんき の価 あたい 数 すう とモル濃度 のうど の積 せき で表 あらわ される値 ね で、単位 たんい N で示 しめ される。ただし、IUPAC [3] ならびに日本 にっぽん の計量 けいりょう 法 ほう [注釈 ちゅうしゃく 1] 等 ひとし では使用 しよう が推奨 すいしょう されていない。
水素 すいそ イオン濃度 のうど は、通常 つうじょう は水溶液 すいようえき 中 ちゅう において、水素 すいそ イオンの濃度 のうど を対数 たいすう で示 しめ したものである。水素 すいそ イオン濃度 のうど は現実 げんじつ 的 てき な酸 さん ・塩基 えんき の強度 きょうど にあった指標 しひょう であるが、単純 たんじゅん に酸 さん ・塩基 えんき の濃度 のうど に比例 ひれい するものではないため、値 ね を知 し りたい場合 ばあい には酸 さん 塩基 えんき 指示 しじ 薬 やく などによって調 しら べる必要 ひつよう がある。また、水溶液 すいようえき 以外 いがい に適用 てきよう する場合 ばあい には、自己 じこ 解離 かいり や水平 すいへい 化 か 効果 こうか を考 かんが える必要 ひつよう がある。
代表 だいひょう 的 てき な酸 さん ・塩基 えんき [ 編集 へんしゅう ]
^ 平成 へいせい 9年 ねん 9月 がつ 30日 にち までは法定 ほうてい 計量 けいりょう 単位 たんい とみなされていた[4] 。
[田中 たなか 71] 田中 たなか 元治 もとはる 『酸 さん と塩基 えんき 』裳 も 華 はな 房 ぼう 〈基礎 きそ 化学 かがく 選書 せんしょ 8〉、1971年 ねん 、6-7頁 ぺーじ 。
[F67]H・Freiser、Q・Fernando 藤永 ふじなが 太一郎 たいちろう 、関戸 せきと 栄一 えいいち 訳 やく (1967/8). イオン平衡 へいこう ―分析 ぶんせき 化学 かがく における . 化学 かがく 同人 どうじん
[MF1] J. McMurry、R. C. Fay 著 ちょ 、荻野 おぎの 博 ひろし 、 山本 やまもと 学 まなぶ 、大野 おおの 公一 こういち 訳 やく 「7章 しょう 「水溶液 すいようえき 内 ない の反応 はんのう 」」『マクマリー 一般 いっぱん 化学 かがく (上 うえ )』東京 とうきょう 化学 かがく 同人 どうじん 、2010年 ねん 11月24日 にち 。ISBN 9784807907427 。
[MF2] J. McMurry、R. C. Fay 著 ちょ 、荻野 おぎの 博 ひろし 、 山本 やまもと 学 まなぶ 、大野 おおの 公一 こういち 訳 やく 「13章 しょう 「水溶液 すいようえき 内 ない 平衡 へいこう 酸 さん と塩基 えんき 」」『マクマリー 一般 いっぱん 化学 かがく (下 した )』東京 とうきょう 化学 かがく 同人 どうじん 、2011年 ねん 2月 がつ 23日 にち 。ISBN 9784807907434 。