高木たかぎ卓たく

高木たかぎ 卓たく （たかぎ たく）
誕生たんじょう	安藤あんどう 煕ひろし (1907-01-18) 1907年ねん1月がつ18日にち 東京とうきょう市し本郷ほんごう区く西片にしかた町まち
死没しぼつ	(1974-12-28) 1974年ねん12月28日にち（67歳さい没ぼつ）
職業しょくぎょう	小説しょうせつ家か ドイツ文学ぶんがく者しゃ 音楽おんがく評論ひょうろん家か
言語げんご	日本語にほんご
国籍こくせき	日本にっぽん
最終さいしゅう学歴がくれき	東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく独どく文科ぶんか
ジャンル	小説しょうせつ 翻訳ほんやく 評論ひょうろん

高木たかぎ 卓たく（たかぎ たく、1907年ねん〈明治めいじ40年ねん〉1月がつ18日にち - 1974年ねん〈昭和しょうわ49年ねん〉12月28日にち）は、日本にっぽんの小説しょうせつ家か、ドイツ文学ぶんがく者しゃ、音楽おんがく評論ひょうろん家か。本名ほんみょうは安藤あんどう 煕ひろし(あんどう ひろし)。

経歴けいれき

ヴァイオリニストで、女性じょせい初はつの文化ぶんか功労こうろう者しゃに選えらばれた安藤あんどう幸みゆきと、英えい文学ぶんがく者しゃ・安藤あんどう勝一郎かついちろうの子ことして東京とうきょう市し本郷ほんごう区く西片にしかた町まちに生うまれる。東京とうきょう帝国ていこく大学だいがく独どく文科ぶんか卒そつ。

水戸みと高等こうとう学校がっこうや第一高等学校だいちこうとうがっこう教授きょうじゅなどをつとめながら、同人どうじん雑誌ざっし『作家さっか精神せいしん』に小説しょうせつを書かいた。1936年ねん「遣や唐船とうせん」で芥川賞あくたがわしょう候補こうほ、1940年ねん（昭和しょうわ15年ねん）、大伴家持おおとものやかもちを描えがいた歴史れきし短篇たんぺん「歌うたと門もんの盾たて」で芥川賞あくたがわしょうを授与じゅよされるが辞退じたいする。菊池きくち寛ひろしは「恥はじを掻かかされた」と言いって怒おこっている。高木たかぎは、自分じぶんが辞退じたいすれば『作家さっか精神せいしん』の桜田さくらだ常久つねひさがくりあげ受賞じゅしょうすると誤認ごにんしたという説せつもある（桜田さくらだは次回じかい受賞じゅしょう）。そうではないと分わかり、自分じぶんが辞退じたいしたことで『作家さっか精神せいしん』の同人どうじんが候補こうほから外はずされることを恐おそれ、菊池きくちに謝あやまりに行いった。

戦後せんごは東京大学とうきょうだいがく教養きょうよう学部がくぶ教授きょうじゅ、67年ねん定年ていねん退官たいかん、獨協大どっきょうだい学がく教授きょうじゅ。古典こてんの子供こども向むけ翻案ほんあんなどの仕事しごとをするに留とどまった。

『ムツゴロウの青あお春記はるき』によると、畑はた正憲まさのりが東大とうだいでドイツ語ごの授業じゅぎょうを受うけている。授業じゅぎょうや試験しけんについては、かなり不愉快ふゆかいなものだったらしく、サ行ぎょう、とくに「せ」の発音はつおんが「しぇ」になってしまう畑はた正憲まさのりは、それをからかわれるような扱あつかいを受うけたと書かいている。

戦後せんごの活動かつどうで最もっとも重要じゅうようなものは音楽おんがく関係かんけいの仕事しごとであり、ワーグナーの楽劇がくげき作品さくひんの殆ほとんどを翻訳ほんやくし、作品さくひんの上演じょうえんやレコード解説かいせつにも数多かずおおく携たずさわり、日本にっぽんでのワーグナー受容じゅよう史しに於おける重要じゅうような存在そんざいである。また僅わずかながら作曲さっきょく作品さくひんもある。

家族かぞく・親族しんぞく

母方ははかたの伯父おじに郡司ぐんじ成忠しげただ、幸田こうだ露伴ろはん、幸田こうだ成友しげとも、伯母おばに幸田こうだ延のべがいる。露伴ろはんの娘むすめ・幸田こうだ文あやは従姉じゅうしにあたる。弟おとうとに、富士通ふじつう社長しゃちょうなどを務つとめた安藤あんどう馨かおる。次女じじょに、児童じどう文学ぶんがく作家さっか・作詞さくし家かである高木たかぎあきこ。

作品さくひん

著書ちょしょ

• 『歌うたと門もんの盾たて』三笠みかさ書房しょぼう 1940
• 『北方ほっぽうの星座せいざ』大観たいかん堂どう 1941
• 『遣や唐船とうせんものがたり』学習がくしゅう社しゃ 1942　
• 『復讐ふくしゅう譚たん』今日きょうの問題もんだい社しゃ 1943
• 『聖徳太子しょうとくたいし』至文しぶん堂どう 1943
• 『安やす南みなみものがたり』東京とうきょう出版しゅっぱん 1945
• 『獄門ごくもん片影へんえい』大だい日本にっぽん雄弁ゆうべん会かい講談社こうだんしゃ 1947
• 『人間にんげん露伴ろはん』丹頂たんちょう書房しょぼう 1948
• 『血ちと血ち』八雲やくも書店しょてん 1948
• 『おのづから物語ものがたり』宝たから文ぶん館かん 1949
• 『紫式部むらさきしきぶ』偕成社かいせいしゃ 1951
• 『ベートーヴェン』講談社こうだんしゃ(世界せかい伝記でんき全集ぜんしゅう) 1955　新版しんぱん 1981
• 『唐から琴きん童子どうじ』講談社こうだんしゃの絵本えほん 1956
• 『むらさき物語ものがたり』雲井くもい書店しょてん 1957
• 『芥川あくたがわ龍之介りゅうのすけ読本とくほん』（編へん）学習がくしゅう研究けんきゅう社しゃ(近代きんだい日本にっぽん文学ぶんがく読本とくほん) 1958
• 『シューベルト』偕成社かいせいしゃ(世界せかい偉人いじん伝でん全集ぜんしゅう) 1966
• 『ヴァーグナー』音楽之友社おんがくのともしゃ　(大だい音楽家おんがくか・人にんと作品さくひん9) 新版しんぱん1988　
• 『露伴ろはんの俳話はいわ』講談社こうだんしゃ学術がくじゅつ文庫ぶんこ 1990

再話さいわ・現代げんだい語ご訳やく

• 『曽我そが物語ものがたり』小学館しょうがくかん 1943
• 『太平たいへい記き物語ものがたり』小学館しょうがくかん 1944
• 『八犬伝はっけんでんものがたり』筑摩書房ちくましょぼう 1952
• 『東海道とうかいどう膝栗毛ひざくりげ』偕成社かいせいしゃ 1953
• 『ニーベルゲン物語ものがたり』偕成社かいせいしゃ 1954
• 『義経よしつねものがたり』筑摩書房ちくましょぼう 1956
• 『平家ひらか物語ものがたり』福村ふくむら書店しょてん (少年しょうねん少女しょうじょのための国民こくみん文学ぶんがく)　1956　
• 『かぐやひめ』講談社こうだんしゃ 1956 (講談社こうだんしゃの二に年生ねんせい文庫ぶんこ)
• 『お伽草子とぎぞうし』福村ふくむら書店しょてん (少年しょうねん少女しょうじょのための国民こくみん文学ぶんがく)　1957　
• 『日本にっぽん少年しょうねん少女しょうじょ古典こてん文学ぶんがく全集ぜんしゅう 15 義経よしつね・弁慶べんけい物語ものがたり』弘文こうぶん堂どう 1958
• 『源氏物語げんじものがたり』講談社こうだんしゃ(少年しょうねん少女しょうじょ日本にっぽん名作めいさく物語ものがたり全集ぜんしゅう) 1959　新版しんぱん1995
• 『平安朝へいあんちょう物語ものがたり』五ご月がつ書房しょぼう 1959
• 『現代げんだい語ご訳やく義経よしつね記き』河出かわで文庫ぶんこ 2004

翻訳ほんやく

• リヒャルト・ワアグナア『ベェトオヴェンまゐり』岩波いわなみ文庫ぶんこ　1943
• ワアグナア『第だい九きゅう交響曲こうきょうきょく』八雲やくも書店しょてん, 1948
• ワアグナァ『タンホイザァ』弘文こうぶん堂どう, 1948
• ワアグナァ『さすらいのオランダ人じん・タンホイザア』岩波いわなみ文庫ぶんこ 1951
• ワアグナァ『ベエトオヴェン』音楽之友社おんがくのともしゃ, 1953
• ワアグナァ『ロオエングリイン・トリスタンとイゾルデ』岩波いわなみ文庫ぶんこ　1953
• ワーグナー『指揮しきについて』音楽之友社おんがくのともしゃ, 1959
• エーリッヒ・ケストナー『飛とぶ教室きょうしつ』ポプラ社ぽぷらしゃ, 1968

作曲さっきょく

• オペラ『神代かみしろものがたり』 作詞さくし・作曲さっきょく 高木たかぎ卓たく, 1974

参考さんこう文献ぶんけん

• 萩谷はぎや由喜子ゆきこ『幸田こうだ姉妹しまい』ショパン、2003