迦陵頻しき

迦陵頻しき（かりょうびん）とは雅楽ががくの演目えんもく。「林はやし邑八楽たのし」（りんゆうはちがく）の一ひとつ。左ひだり方かた（唐とう）楽らくに属ぞくする童子どうじの四よん人にん舞まいで、番ばん舞まいは胡蝶こちょう。極楽浄土ごくらくじょうどに住すむという美声びせいの人面じんめん鳥とり身みたる霊鳥れいちょう・迦陵頻伽かりょうびんがに因ちなみ迦陵頻しき（かりょうびん）と呼よぶ。

中国ちゅうごくから渡来とらいした曲目きょくもくで、林はやし邑調であったが、後のちには壱いち越えつ調ちょうで舞まうようになったらしい。管絃かんげんの遊あそびにも用もちいられたが名前なまえの由来ゆらいからもわかるように、仏教ぶっきょう行事ぎょうじの舞楽ぶがくとして多おおく奏そうされた。神社じんじゃでは巫女ふじょが舞まう場合ばあいも多おおい。

構成こうせいとしては、古ふるくは序じょ・破やぶ・急きゅうを完備かんびしていたが、現在げんざいでは序じょは廃絶はいぜつし、舞楽ぶがくは急きゅうのみとなっており、また管絃かんげんとして破やぶ・急きゅうがある。壱いち越えつ調ちょうの場合ばあいはそのまま「迦陵頻しき破やぶ」「迦陵頻しき急きゅう」と呼よぶが、管絃かんげん向むけに双そう調ちょう・黄き鐘かね調ちょうに編曲へんきょく（渡わたり物ぶつ）されたものがあり、これらの渡わたり物ぶつは「鳥とり」という曲名きょくめいで呼よぶこともあり、その場合ばあいは「鳥とり破やぶ」「鳥とり急きゅう」と呼よぶ。「鳥とり急きゅう」は双そう調ちょう・黄き鐘かね調ちょうにあるが、「鳥とり破やぶ」は双そう調ちょうのみである。

装束しょうぞく、化粧けしょう

平絹ひらぎぬ白地しろじの袴はかまの上うえに、赤あか系統けいとうの地色じいろに小鳥ことりを散ちらした尻しり長ちょうの紗しゃの袍ほうを着きて、手てには銅どう拍子ひょうし（小型こがたのシンバルのような道具どうぐ）を持もつ。足あしには脚あし伴ともの形かたちをした鳥とり足あしというすね当あてをつけて絲いと鞋を履はき、背せと胸むねに、牛革ぎゅうかわ、又または重かさね貼ばりした和紙わしに胡粉ごふんを引ひき紅べにや緑青ろくしょうで羽はねを描えがいた翼つばさと胸当むねあてをつける。頭あたまに鍍金めっきした唐草からくさ模様もようの宝冠ほうかん（雅楽ががくでは、山形やまがたの額がく飾かざりと側がわ頭部とうぶに二に本ほんの剣けん形がたの飾かざりを備そなえた金属きんぞく製せいのヘッドバンドを指さす。）をつけて二に本ほんの桜さくらの枝えだをはさみ、図画ずが資料しりょうでは髪かみは下したの輪わのみの角髪みずらに結ゆうことが多おおい。化粧けしょうは稚児ちごと同様どうようの白しろ塗ぬりの厚化粧あつげしょうが原則げんそくとなるが、しない場合ばあいや薄化粧うすげしょうの場合ばあいもある。

この衣装いしょうをつけさせた童子どうじに宴会えんかいの際さいの舟ふねを漕こがせることなども行おこなわれていたらしい。

装束しょうぞく、化粧けしょう

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