十じゅう二に律りつ

「和漢洋わかんよう十じゅう二に音律おんりつ対照たいしょう表ひょう」。大塚おおつか寅蔵とらぞう『明あきら清しん楽らく独どくまなび』1909年刊ねんかんより。

十じゅう二に律りつ（じゅうにりつ）とは、中国ちゅうごくや朝鮮ちょうせん、日本にっぽんの伝統でんとう音楽おんがくで用もちいられる12種類しゅるいの標準ひょうじゅん的てきな高たかさの音おと。三さん分ふん損益そんえき法ほうに基もとづく、1オクターヴ内うちの12の音おとである。律りつとは本来ほんらい、音おとを定さだめる竹たけの管かんであり、その長ながさの違ちがいによって12の音おとの高たかさを定さだめた。周しゅう代だいにおいて確立かくりつした。

中国ちゅうごくの律りつを低ひくいものから高たかいものへと並ならべ、西洋せいよう音楽おんがくの音おと名めいと対照たいしょうすると以下いかのようになる（規準きじゅん音おんである黄き鐘がねをAとした場合ばあい）。

1. 黄き鐘がね（こうしょう） : A
2. 大呂おおろ（たいりょ） : A♯
3. 太ふと簇むらが（たいそう） : B
4. 夾鐘（きょうしょう） : C
5. 姑しゅうと洗あらい（こせん） : C♯
6. 仲なか呂りょ（ちゅうりょ） : D
7. 蕤賓（すいひん） : D♯
8. 林はやし鐘かね（りんしょう） : E
9. 夷えびす則そく（いそく） : F
10. 南みなみ呂りょ（なんりょ） : F♯
11. 無む射い（ぶえき） : G
12. 応おう鐘がね（おうしょう） : G♯

なお十じゅう二に律りつは陰陽いんように分わけられ、奇数きすうの各かく律りつは陽ひ律りつであり、律りつと呼よばれ、六ろく律りつ（りくりつ）と総称そうしょうされる。偶数ぐうすうの各かく律りつは陰かげ律りつであり、呂りょと呼よばれ、六ろく呂りょ（りくりょ）と総称そうしょうされる。よって律りつ呂りょの名ながある。

上記じょうきの名称めいしょうは朝鮮ちょうせんの伝統でんとう音楽おんがくでも用もちいられるが、現代げんだいの朝鮮ちょうせんの伝統でんとう音楽おんがくでは黄き鐘がねはE♭（D♯）にほぼ相当そうとうする。

日本にっぽんにおける十じゅう二に律りつは、中国ちゅうごくや朝鮮ちょうせんとは異ことなり、下記かきの通とおりとなっている。

1. 壱いち越こし（いちこつ） : D
2. 断金だんきん（たんぎん） : D♯
3. 平たいら調ちょう（ひょうじょう） : E
4. 勝かち絶ぜっ（しょうぜつ） : F
5. 下した無な（しもむ） : F♯
6. 双そう調ちょう（そうじょう） : G
7. 鳧けり鐘がね（ふしょう） : G♯
8. 黄き鐘がね（おうしき） : A
9. 鸞鏡（らんけい） : A♯
10. 盤ばん渉わたる（ばんしき） : B
11. 神仙しんせん（しんせん） : C
12. 上うえ無な（かみむ） : C♯

関連かんれん項目こうもく

• 律りつ管かん
• 三さん分ふん損益そんえき法ほう
• 五ご声こえ
• 七なな声こえ
• 六ろく十じゅう律りつ
• 音おと名めいと階かい名めい