鉦鼓しょうこ

鉦鼓しょうこ（しょうこ）とは、雅楽ががくで使つかわれる打楽器だがっきの一ひとつ。仏教ぶっきょうで使用しようされる場合ばあいは鉦かね（かね・しょう）とも称しょうされる。

雅楽ががくにおける鉦鼓しょうこ

雅楽ががくでは鉦鼓しょうこを「しょうこ」または「しょうご」という。釣つり鉦鼓しょうこ、大だい鉦鼓しょうこ、荷に鉦鼓しょうこの三種さんしゅあるが、通常つうじょうは釣つり鉦鼓しょうこを用もちいる。鉦鼓しょうこは「延喜えんぎ式しき」、「続ぞく日本にっぽん紀き」などにも登場とうじょうする。鉦鼓しょうこは主おもに舞楽ぶがくに使用しようするが、内側うちがわに鉤かぎを施ほどこし鉦鼓しょうこを懸かける。外輪がいりんの下したに柱はしらを施ほどこし脚あしを附つける。表面ひょうめんを向むかうむきに据すえ、裏面りめんから鉦鼓しょうこの真まん中なかを打うつ。なお大だい鉦鼓しょうこは内径ないけい一いち尺しゃく二に寸すんのもので、晴朝はるとも儀ぎ、大だい法要ほうよう、舞楽ぶがく等とうに用もちいる。

大だい鉦鼓しょうこは、御ご遊ゆうまたは宮中きゅうちゅうの盛儀せいぎにおける舞楽ぶがくで庭にわ上じょうで用もちいられ、大だい太鼓たいことならんで置おかれる。 釣つり鉦鼓しょうこは、釣つり太鼓たいことあわせて用もちいられ、ふつうの管絃かんげんまたは略式りゃくしきの舞楽ぶがくに用もちいられる。 荷に（にない）鉦鼓しょうこは、行道ぎょうどうの楽らくにおいて荷に太鼓たいことともにもちいられ、長ながい棒ぼうをとおしてこれをにない、歩あゆみながら奏そうする。 『教訓きょうくん抄しょう』には、「方ほう磬かおるを打うつときは鉦鼓しょうこを撃うつべからず」とある。 鉦かねを打うつには左右さゆう2本ほんのほそながいバチをもちい、楽譜がくふには左右さゆうともに生なままたは金かねの字じを用もちい、唱歌しょうかには左ひだりのバチをクととなえ、右みぎのバチをレイととなえる。 『続ぞく日本にっぽん紀き』には「霊れい亀かめ元年がんねん春はる正月しょうがつ甲かぶと申さる朔ついたち天皇てんのう大極殿たいきょくでんに御ぎょし朝あさを受く（省略しょうりゃく）陸奥むつ出羽でわ蝦夷えぞ竝なみ南島なんとう奄美あまみ夜や久度くど威信いしん覚さとし球たま美び等とう来朝らいちょう各各おのおの方かた物ぶつを貢みつげす其儀朱雀すざく門もんの左右さゆうに鼓吹こすい騎兵きへいを陣列じんれつす元もと会かい之の日にち鉦鼓しょうこを用もちいひるは是ぜより始はじめる矣」とある。

仏教ぶっきょうにおける鉦鼓しょうこ

仏教ぶっきょうにおける鉦鼓しょうこは、単たんに鉦かね（かね・しょう）とも称しょうされ、金属きんぞく（青銅せいどう）製せいのものを言いう。通常つうじょうは「架か」（か）と呼よばれる台だいにかけて一本いっぽんの槌づち（撞木しゅもく）でたたいて音おとを出だすが、京都きょうと六波羅蜜ろくはらみつ寺てらに伝つたわる空也くうや像ぞうのように首くびに「架か」をつけ、それに鉦鼓しょうこをかけて使用しようすることもある。形象けいしょうは、円盤えんばん状じょうで上方かみがた2箇所かしょに「架か」につるすための穴あながあけられている。日本にっぽんの寺院じいんにおける鉦鼓しょうこの歴史れきしは古ふるく、747年ねん（天平てんぺい19年ねん）に成立せいりつした『大安寺だいあんじ伽藍がらん縁起えんぎ並なみ流りゅう記き資財しざい帳ちょう』にも記載きさいされ、古ふるくは4面めん1組くみであったようである。

木き鉦かね

なお、主おもに日蓮宗にちれんしゅうの寺院じいんで使用しようされるものに木製もくせいの鉦かねがあり、通常つうじょう木き鉦かね（もくしょう）と称しょうされる。形状けいじょうは、円盤えんばん状じょうもしくは長方形ちょうほうけいの箱はこ型がたをしており、箱はこ型がたのものは内側うちがわがくりぬかれている。青銅せいどう製せいの鉦鼓しょうこが「架か」にかけて使用しようされるのに対たいし、木き鉦かねは通常つうじょうおいて使用しようされる。→詳細しょうさいについては木き鉦かねを参照さんしょうのこと。

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