2009年ねんウイグル騒乱そうらん

2009年ねんウルムチ市し騒乱そうらん事件じけん
中国ちゅうごく語ご
繁体字はんたいじ	烏魯木齊うるむち7·5騷亂そうらん
簡体字かんたいじ	乌鲁木き齐7·5骚乱
文字通もじどおりの意味いみ	Ürümqi 7·5 riots
発音はつおん記号きごう 標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくご 漢語かんご拼音 Wūlǔmùqí 7·5 Sāoluàn 注ちゅう音符おんぷ号ごう ㄨㄌㄨˇㄇㄨˋㄑㄧˊ 7·5 ㄙㄠㄌㄨㄢˋ 呉ご語ご ロろーマ字まじ u平ひらた lu上うえ moh入いれ zi平ひらた 7·5 sau平ひらた loe去さ 客きゃく家か語ご 客きゃく家か語ご拼音 vu24 lu24 mug2 ce11 7·5 so55 lon55 粤語 粤拼 wu1 lou5 muk6 cai4 7.5 sou1 lyun6 閩南語ご 閩南語ご白話はくわ字じ oo-lóo-bo̍k-tsè 7·5 so-luān
中国ちゅうごく語ご（別名べつめい）
繁体字はんたいじ	烏魯木齊うるむち七なな·五ご暴力ぼうりょく事件じけん
簡体字かんたいじ	乌鲁木き齐七なな·五ご暴力ぼうりょく事件じけん
文字通もじどおりの意味いみ	Ürümqi 7·5 Violent Incident
発音はつおん記号きごう 標準ひょうじゅん中国語ちゅうごくご 漢語かんご拼音 Wūlǔmùqí 7·5 Bàolìshìjiàn 注ちゅう音符おんぷ号ごう ㄨㄌㄨˇㄇㄨˋㄑㄧˊ ㄑㄧ · ㄨˇ ㄅㄠˋㄌㄧˋ ㄕˋㄐㄧㄢˋ 呉ご語ご ロろーマ字まじ u平ひらた lu上うえ moh入いれ zi平ひらた tshih入いれ · u上うえ bau去さ lih入いれ zy去さ jie上うえ 客きゃく家か語ご 客きゃく家か語ご拼音 vu24 lu24 mug2 ce11 qid2 · ng31 pau55 lid5 sii55 kien55 粤語 粤拼 wu1 lou5 muk6 cai4 ng5 bou6 lik6 si6 gin6*2 閩南語ご 閩南語ご白話はくわ字じ oo-lóo-bo̍k-tsè tshit-ngóo pō-li̍k sū-kiānn
ウイグル語ご
ウイグル語ご	5- ئىيۇل ۋەقەسى 5-Iyul Weqesi "7月がつ5日にち事件じけん"

ウルムチ

ウルムチ市しの位置いち

2009年ねんウイグル騒乱そうらん（にせんきゅうねんウイグルそうらん）は、2009年ねん7月がつ5日にちに、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく新疆しんきょうウイグル自治じち区くウルムチ市しにおいて発生はっせいした騒乱そうらん事件じけんである。最初さいしょのデモ（同どう節ふし参照さんしょう）に先立さきだち、6月がつに広東かんとん省しょうで、デマを発端ほったんとして玩具おもちゃ工場こうじょうのウイグル人じん労働ろうどう者しゃが漢かん族ぞく労働ろうどう者しゃの襲撃しゅうげきにより死亡しぼうしたことについて、襲撃しゅうげき側がわの刑事けいじ処分しょぶんが曖昧あいまいにされたことからウイグルでの不満ふまんが高たかまったことが本ほん事件じけんの引ひき金がねとなったとされる。 新華社通信しんかしゃつうしんによると（2009年ねん7月がつ15日にち現在げんざい）、死者ししゃ192名めい、負傷ふしょう者しゃ1,721名めいに上のぼる犠牲ぎせい者しゃが出でたとしている。

新疆しんきょうウイグル自治じち区くにおける抗議こうぎ事件じけんとしては2008年ねん3月のホータン市しでの抗議こうぎデモ以来いらいの事件じけんであり、1997年ねんに起おきたグルジャ市しでの大だい規模きぼな官民かんみん衝突しょうとつに匹敵ひってきする犠牲ぎせい者しゃを出だした。

概要がいよう

事件じけんの背景はいけいには、中国共産党ちゅうごくきょうさんとう当局とうきょくによるウイグル人じんに対たいする差別さべつ的てきな政策せいさく、新しん疆に国策こくさくで移住いじゅうさせられている漢かん族ぞく住民じゅうみんとウイグル人じん住民じゅうみんの間あいだの経済けいざい的てき格差かくさやウイグル人じん固有こゆうの文化ぶんか的てき、宗教しゅうきょう的てき権利けんりが中国ちゅうごくにおいて尊重そんちょうされていないとするウイグル人じん住民じゅうみんの不満ふまんがあるといわれる。

2009年ねん6月25日にちから26日にちにかけ、広東かんとん省しょう韶関市しの香港ほんこん系けい玩具おもちゃ工場こうじょうで、「ウイグル族ぞくによる漢かん族ぞく女性じょせい暴行ぼうこう事件じけんが相次あいつぐ」とのデマをきっかけに、100名めい以上いじょうの漢かん族ぞく従業じゅうぎょう員いんがウイグル族ぞく従業じゅうぎょう員いんを襲撃しゅうげきした。ウイグル族ぞく2人にんが死亡しぼうし、ウイグル族ぞく・漢かん族ぞく双方そうほう合あわせて約やく120人にんが負傷ふしょうした。ウイグル族ぞくが殺傷さっしょうされたことについて、襲撃しゅうげき側がわの刑事けいじ処分しょぶんが曖昧あいまいにされたことからウイグルでの不満ふまんが高たかまり、ウルムチ市しでの事件じけんの引ひき金がねとなったとされる。

7月がつ5日にち夜よる、ウルムチ市内しないでウイグル族ぞく住民じゅうみん約やく1,000人にんが事件じけんに対たいする当局とうきょくへの抗議こうぎデモを始はじめた。やがて暴徒ぼうと化かしたデモ隊たいは漢かん族ぞく住民じゅうみんを襲撃しゅうげきし、建物たてものや車両しゃりょうに放火ほうかした。

およそ3,000名めいがデモに参加さんかし、デモを鎮圧ちんあつしようとして治安ちあん部隊ぶたいがデモ隊たいに発砲はっぽうし、デモ参加さんか者しゃとの間あいだで衝突しょうとつが発生はっせいした。

デモの発生はっせい契機けいきやデモ隊たいが暴徒ぼうと化かした経緯けいい、デモの鎮圧ちんあつ過程かていについては中国ちゅうごく当局とうきょくとウイグル族ぞく住民じゅうみんの間あいだで大おおきく見解けんかいが異ことなる。

中国ちゅうごく当局とうきょくが、海外かいがいの独立どくりつ運動うんどう組織そしきの煽動せんどうにより計画けいかく的てきに引ひき起おこされた「暴力ぼうりょく犯罪はんざい」と主張しゅちょうする一方いっぽうで、亡命ぼうめいウイグル人じん組織そしきの世界せかいウイグル会議かいぎは自発じはつ的てきに発生はっせいした平和へいわ的てきなデモに中国ちゅうごく当局とうきょくが発砲はっぽうし、これに刺激しげきされたデモ参加さんか者しゃの一部いちぶが暴徒ぼうと化かしたと主張しゅちょうしている。

死傷ししょう者しゃについても、中国ちゅうごく当局とうきょくは7月がつ10日とおかに死者ししゃは184人にんであり、そのうち漢かん族ぞくが137人にんであるとして死傷ししょう者しゃの大半たいはんが漢かん族ぞくであると発表はっぴょうする一方いっぽうで、同日どうじつ、世界せかいウイグル会議かいぎは中国ちゅうごく当局とうきょくの武力ぶりょく弾圧だんあつや漢かん族ぞくの攻撃こうげきにより殺ころされたウイグル族ぞくの死者ししゃは最大さいだいで3,000人にんに上のぼる可能かのう性せいがあると主張しゅちょうし、デモ鎮圧ちんあつの過程かていで当局とうきょくによる武力ぶりょく弾圧だんあつがあったことを示唆しさしている。7月19日にちには中国ちゅうごく当局とうきょくは、警察官けいさつかんが少すくなくとも12人にんを射殺しゃさつしたことを認みとめている。

7月がつ10日とおか、モスク周辺しゅうへんでは漢かん族ぞくによるウイグル族ぞく襲撃しゅうげきが発生はっせいし、多おおくのモスクではイスラムの金曜きんよう礼拝れいはいは中止ちゅうしされ、武装ぶそう警察けいさつや治安ちあん当局とうきょくはモスクに人ひとを近ちかづけさせなかった。

中国ちゅうごく当局とうきょくは民族みんぞく間あいだの緊張きんちょうが高たかまるのを危惧きぐし、「民族みんぞく団結だんけつ」を呼よびかけ両りょう民族みんぞくの融和ゆうわを求もとめるキャンペーンを展開てんかいした。

事件じけんは新疆しんきょうウイグル自治じち区く各地かくちに波及はきゅうし、ウイグル人じん人口じんこうの多おおい西部せいぶカシュガル市しでも、住民じゅうみんと治安ちあん部隊ぶたいの衝突しょうとつが報ほうじられた。

中国ちゅうごく当局とうきょくは、新しん疆全域ぜんいきに3万まん人にん超ちょうの軍ぐん、武装ぶそう警察けいさつを投入とうにゅうし、治安ちあん維持いじに当あたらせた。

中国ちゅうごく当局とうきょくは2008年ねんのチベット騒乱そうらんの際さいにもインターネットの遮断しゃだんなどの厳きびしい報道ほうどう管制かんせいを敷しいて国際こくさい的てきな非難ひなんを招まねいたが、今回こんかいは事件じけんの発生はっせい時じから積極せっきょく的てきな情報じょうほう開示かいじを行おこなうことで情報じょうほう管理かんりの主導しゅどう権けんを握にぎろうとした。7月5日にち夜よるには早はやくも新華社しんかしゃが事件じけんの発生はっせいを速報そくほうとして配信はいしんし、翌よく7月がつ6日にち朝あさには、国営こくえいテレビで「暴動ぼうどう」の様子ようすが詳くわしく放映ほうえいされた。

海外かいがいメディア向むけに対たいしても、自由じゆうな取材しゅざいが認みとめられている訳わけではないものの取材しゅざい活動かつどうが認みとめられ、当局とうきょくによる取材しゅざいツアーやプレスセンター設置せっち等とうの便宜べんぎ供与きょうよも行おこなわれた。一方いっぽうで中国ちゅうごく政府せいふは、新疆しんきょうウイグル自治じち区内くないのインターネット、携帯けいたい電話でんわ、国際こくさい電話でんわの通信つうしんを遮断しゃだんし、国内こくないメディアには厳きびしい報道ほうどう管制かんせいを維持いじした。

こうした中国ちゅうごく政府せいふの対応たいおうを「暴徒ぼうと」の残虐ざんぎゃく性せいを強調きょうちょうし、当局とうきょくの対応たいおうの正当せいとう性せいを印象いんしょう付つけるための、新あたらしい報道ほうどう統制とうせいのやり方かたであるとする指摘してきもある。

2007年ねんミャンマー反はん政府せいふデモなどでもネット遮断しゃだんはあったものの、このような大だい規模きぼかつ長期ちょうきのネット遮断しゃだんは例れいがなく、こういった手法しゅほうは2011年ねんにアラブの春はるが起おきたエジプトなど後のちに世界せかい各地かくちでみられることになる。

名称めいしょう・表記ひょうき

中国共産党ちゅうごくきょうさんとう当局とうきょくは、この事件じけんを一貫いっかんして「暴力ぼうりょく犯罪はんざい事件じけん」として規定きていし、公的こうてき発表はっぴょうなどでは「ウルムチ市し7月がつ5日にち暴力ぼうりょく・破壊はかい・略奪りゃくだつ・放火ほうか重大じゅうだい犯罪はんざい事件じけん（乌鲁木き齐市“7・5”打だ砸抢烧严重じゅう暴力ぼうりょく犯罪はんざい事件じけん）」と呼称こしょうしている。一方いっぽうで、亡命ぼうめいウイグル人じん組織そしきの世界せかいウイグル会議かいぎは、事件じけんを「7月がつ5日にちウルムチ虐殺ぎゃくさつ事件じけん（5-ﺋىﻴﯘﻝ ﺋﯜﺭﯛﻣﭽﻰ قىرغىنچىلىﻗﻰ , 5-Iyul Ürümqi Qirghinchiliqi）」と呼称こしょうしているほか、ラジオ・フリー・アジア等ひとしのウイグル語ごメディアでは、「7月がつ5日にちウルムチ事件じけん（5- ﺋىﻴﯘﻝ ﺋﯜﺭﯛﻣﭽﻰ ﯞﻩﻗﻪﺳى , 5- Iyul Ürümqi Weqesi）」等とうと呼よばれている。大だい紀元きげんでは、「新しん疆7.5事件じけん」という表現ひょうげんを用もちいている。

この事態じたいについて、日本にっぽんの報道ほうどうでは表記ひょうきに揺ゆれが見みられ、「ウイグル騒乱そうらん」、「ウイグル暴動ぼうどう」などさまざまな表現ひょうげんで呼称こしょうされた。これは、日本にっぽんのメディアは今回こんかいの事件じけんの真相しんそうについて分わかっていないからであると思おもわれる。

「暴動ぼうどう」表記ひょうきについて

2009年ねん8月がつに元もと日本にっぽん外交がいこう官かんの佐藤さとう優ゆうは「暴動ぼうどう」との表記ひょうきは中国共産党ちゅうごくきょうさんとう・政府せいふ側がわの立場たちばに基もとづく表現ひょうげんと指摘してきし、中立ちゅうりつ的てきな観点かんてんから「騒擾そうじょう」や「事件じけん」と表記ひょうきすべきとしている。

そのうえで、多おおくの新聞しんぶんが当初とうしょ「暴動ぼうどう」と報ほうじた点てんを問題もんだい視ししており、当初とうしょから「騒乱そうらん」と表記ひょうきした『朝日新聞あさひしんぶん』に対たいしては「民族みんぞく紛争ふんそうに関かんする報道ほうどうでは、こういう細部さいぶへの配慮はいりょが重要じゅうよう」と評価ひょうかしている。一方いっぽうで、「暴動ぼうどう」と表記ひょうきし続つづける『産経新聞さんけいしんぶん』に対たいして「なぜ中国ちゅうごく当局とうきょくと同おなじ『暴動ぼうどう』という表現ひょうげんを用もちいるのか?」と疑問ぎもんを呈ていしている。

また世界せかいウイグル会議かいぎも、“暴動ぼうどう”というのは明あきらかに中国ちゅうごく政府せいふ側がわに立たった表現ひょうげんだとし、「もし暴動ぼうどうという呼よび方かたをするのであれば、日本にっぽんのマスコミは現地げんちに記者きしゃを派遣はけんして徹底的てっていてきに取材しゅざいし、デモに参加さんかしたウイグル人じんたちが最初さいしょに暴力ぼうりょく事件じけんを起おこしたという証拠しょうこを提示ていじしたうえでそう呼よぶべきでしょう。

しかし実際じっさいには、現地げんちでそんな詳細しょうさいな調査ちょうさ・取材しゅざいを行おこなっている日本にっぽんのマスコミは、テレビでも新聞しんぶんでも一いち社しゃもありません。にもかかわらずマスコミは、中国ちゅうごく政府せいふに都合つごうの良よい報道ほうどうを毎日まいにちのように繰くり返かえしているのです」として、そのような日本にっぽんのマスコミの態度たいどの原因げんいんを1964年ねんに中国ちゅうごく政府せいふと日本にっぽんの大手おおてマスコミとの間あいだで締結ていけつされた日にち中ちゅう記者きしゃ交換こうかん協定きょうていにあるのではないかとした。実際じっさいに同どう協定きょうていのなかには「(日本人にっぽんじんの記者きしゃは）中国ちゅうごく政府せいふに不利ふりな言動げんどうを行おこなわない・台湾たいわん独立どくりつを肯定こうていしない」という取とり決きめが含ふくまれているとされ、1968年ねん3月がつの「日にち中ちゅう覚書おぼえがき貿易ぼうえき会談かいだんコミュニケ」では、日にち中ちゅう双方そうほうが遵守じゅんしゅすべきとして「政治せいじ三さん原則げんそく」が明記めいきされた。「政治せいじ三さん原則げんそく」とは、周しゅう恩来おんらい・初代しょだい国務こくむ院いん総理そうりをはじめとする中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく政府せいふが、従来じゅうらいから主張しゅちょうしてきた日にち中ちゅう交渉こうしょうにおいて前提ぜんていとする要求ようきゅうで、以下いかの三さん項目こうもくからなる

1. 日本にっぽん政府せいふは中国ちゅうごくを敵視てきししてはならないこと。
2. 米国べいこくに追随ついずいして「二ふたつの中国ちゅうごく」をつくる陰謀いんぼうを弄ろうしないこと(台湾たいわん問題もんだい）。
3. 中日ちゅうにち両国りょうこく関係かんけいが正常せいじょう化かの方向ほうこうに発展はってんするのを妨さまたげないこと。

このうち項目こうもく2は、中華民国ちゅうかみんこくを正統せいとうの政府せいふと認みとめないという意味いみである。

以降いこう、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく政府せいふの外務省がいむしょう報道局ほうどうきょくは、各社かくしゃの報道ほうどう内容ないようをチェックして、「政治せいじ三さん原則げんそく」に抵触ていしょくすると判断はんだんした場合ばあいには抗議こうぎを行おこない、さらには記者きしゃ追放ついほうの処置しょちもとった。記者きしゃ交換こうかん協定きょうていの改定かいていに先立さきだつ1967年ねんには、毎日新聞まいにちしんぶん・産経新聞さんけいしんぶん・西日本にしにほん新聞しんぶんの3社しゃの記者きしゃが追放ついほうされ、読売新聞よみうりしんぶんと東京放送とうきょうほうそうの記者きしゃは常駐じょうちゅう資格しかくを取とり消けされた。

→詳細しょうさいは「日にち中ちゅう記者きしゃ交換こうかん協定きょうてい」を参照さんしょう

事件じけんの発端ほったん

ウルムチ市しにおけるウイグル人じん大学生だいがくせいのデモは、広東かんとん省しょう韶関市しの旭日きょくじつ玩具おもちゃ工場こうじょうで漢かん族ぞくによるウイグル人じん従業じゅうぎょう員いんに対たいする暴行ぼうこう殺害さつがい事件じけんが発生はっせいし、2名めいのウイグル人じんが死亡しぼうした事件じけんの数日すうじつ後ごに発生はっせいした。ボイス・オブ・アメリカの記者きしゃである浩ひろし祥さちによると、この事件じけんは、工場こうじょうの従業じゅうぎょう員いん寮りょうにて、漢かん族ぞくの女性じょせい従業じゅうぎょう員いんがウイグル人じんの男性だんせい同僚どうりょうから性的せいてき暴行ぼうこうを受うけたとの根拠こんきょのない噂うわさがきっかけとなっており、噂うわさは6月がつの末すえごろから工場こうじょう内ないに流ながれていたとされている。

6月25日にち、26日にちの夜間やかんに、漢かん族ぞくによるウイグル人じん従業じゅうぎょう員いんに対たいする襲撃しゅうげきが行おこなわれ、2名めいのウイグル人じんが殺害さつがいされ、ウイグル人じん118名めいが負傷ふしょうした。

最初さいしょの噂うわさは同どう工場こうじょうを解雇かいこされた元もと従業じゅうぎょう員いんにより広ひろめられていたとみられており、警察けいさつ当局とうきょくは、その後ごの捜査そうさでも性的せいてき暴行ぼうこうが発生はっせいしたという明確めいかくな証拠しょうこを見みつけることができなかった。

亡命ぼうめいウイグル人じん組織そしきの指導しどう者しゃは、広東かんとん省しょうでの事件じけんの犠牲ぎせい者しゃ数すうは、当局とうきょくの報告ほうこくよりも多おおいと主張しゅちょうしている。

新華社しんかしゃはこの噂うわさを広ひろめた人物じんぶつが警察けいさつに逮捕たいほされたと伝つたえているが、ウイグル人じんは当局とうきょくがウイグル人じんの保護ほごに失敗しっぱいし、事件じけんに関かかわった漢かん族ぞくを逮捕たいほしていないと主張しゅちょうしている。

韶関事件じけんの直後ちょくごには、事件じけんの凄惨せいさんな状況じょうきょうを撮影さつえいした映像えいぞうが、YouTube等ひとしの投稿とうこうサイトに掲載けいさいされ、新しん疆のウイグル人じんの間あいだでも、事件じけんへの政府せいふの対応たいおうに不満ふまんが蓄積ちくせきしていった。多おおくのウイグル人じんは政府せいふの事件じけんへの対応たいおうに満足まんぞくせず、7月がつ5日にちにウルムチ市しの街頭がいとうで抗議こうぎ活動かつどうを始はじめた。

一方いっぽうで、中国ちゅうごく当局とうきょくはウルムチ市しでの事件じけんが「事前じぜんに計画けいかくされ、組織そしきされた暴力ぼうりょく犯罪はんざいであり、外国がいこくから煽動せんどうされ、国内こくないの非合法ひごうほう組織そしきにより実行じっこうされた」と主張しゅちょうしている。新疆しんきょうウイグル自治じち区くのヌル・ベクリ主席しゅせきは、7月がつ6日にちの朝あさの声明せいめいで、一部いちぶの海外かいがいの反はん体制たいせい派はが、国家こっかの分裂ぶんれつを意図いとして、民族みんぞくの団結だんけつと社会しゃかいの安定あんていを破壊はかいするために、広東かんとん省しょうの事件じけんを利用りようして、7月がつ5日にちの暴動ぼうどうを煽動せんどうしたと主張しゅちょうした。当局とうきょくの主張しゅちょうによれば、亡命ぼうめいウイグル人じんの組織そしき「世界せかいウイグル会議かいぎ」がインターネットを使つかって暴動ぼうどうを煽動せんどうしたとしている。これに対たいし、世界せかいウイグル会議かいぎの議長ぎちょうラビア・カーディルも自みずからが暴動ぼうどうを煽動せんどうしたことを否定ひていし、「当初とうしょ平和へいわ的てきな集会しゅうかいとして始はじまったデモは、群衆ぐんしゅうの一部いちぶが、当局とうきょくの過剰かじょうな警備けいびに反応はんのうし、暴徒ぼうと化かした。私わたしは、ウイグル人じんが行おこなった暴力ぼうりょくにも、中国ちゅうごく当局とうきょくがウイグル人じんに行いった過剰かじょうな実力じつりょく行使こうしにも明確めいかくに批判ひはんをする。

現在げんざいウイグル人じんが抱だいている不満ふまんの原因げんいんは、中国ちゅうごく政府せいふがウイグル人じんに対たいして法ほうの支配しはいを徹底てっていしないことにある」と述のべている。

事件じけんの経緯けいい

最初さいしょのデモ

事件じけん直後ちょくごのウルムチ市内しない(7月がつ6日にちのVOA報道ほうどう)

最初さいしょのデモは、7月がつ5日にちの夕方ゆうがたから始はじまった。

デモの参加さんか者しゃたちは広東かんとん省しょうの事件じけんへの政府せいふの対応たいおうを批判ひはんし、徹底てっていした事件じけんの調査ちょうさを要求ようきゅうして国際こくさい大だいバザール付近ふきんで抗議こうぎ活動かつどうを始はじめた。

別べつの目撃もくげき情報じょうほうでは、ウルムチ市し中心ちゅうしん部ぶの人民じんみん広場ひろば周辺しゅうへんでも同様どうようのデモが発生はっせいしていた。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙かみは、最初さいしょの抗議こうぎ活動かつどうに参加さんかした外資がいし系けい企業きぎょうで働はたらく32歳さいの女性じょせいの証言しょうげんを引用いんようしている。

これによれば、広東かんとん省しょうの事件じけんの調査ちょうさを求もとめる人々ひとびとが300名めい程ほど人民じんみん広場ひろばに集あつまっていたが集会しゅうかい参加さんか者しゃが1,000名めいを超こえ、当局とうきょくからの解散かいさん指示しじを参加さんか者しゃたちが拒否きょひした頃ころに暴力ぼうりょくが始はじまったという。

7月がつ6日にち、新疆しんきょうウイグル自治じち区くのヌル・ベクリ主席しゅせきは、公式こうしき発表はっぴょうとして騒乱そうらん発生はっせいまでの詳細しょうさいな状況じょうきょうを発表はっぴょうしている。

これによると、7月がつ5日にちの17時じごろに200名めい以上いじょうのデモ参加さんか者しゃが人民じんみん広場ひろばに集あつまったが、警察けいさつは約やく70名めいの集会しゅうかい指導しどう者しゃを逮捕たいほし、迅速じんそくに状況じょうきょうを統制とうせいしたとされる。

その後ご、群衆ぐんしゅうは解放かいほう南みなみ路ろ、二道ふたみち橋きょう、山西さんせい巷ちまた周辺しゅうへんのウイグル人じん居住きょじゅう地区ちくに集あつまり、19時じ30分ふんには1,000名めい以上いじょうが山西さんせい巷ちまたの病院びょういん前まえに集合しゅうごうし、19時じ40分ふんには300名めい以上いじょうが人民じんみん路ろ、南みなみ門もん地区ちくで道路どうろを封鎖ふうさした。

警察けいさつはこの群衆ぐんしゅうを解散かいさんさせたとしている。

デモが発生はっせいした経緯けいいについては、様々さまざまな見解けんかいがある。7月がつ7日にちに記者きしゃ会見かいけんしたウルムチ市しのジルラ・イサムッディン市長しちょうは、“暴動ぼうどう”参加さんか者しゃはテンセントQQのようなインスタントメッセンジャーを通とおしてオンラインで組織そしきされたと主張しゅちょうした。

タイムズ紙かみも、事件じけんの数日すうじつ前まえからタクシーの窓まどに秘密ひみつのサインが現あらわれ出だしたとして、抗議こうぎ活動かつどうが事前じぜんに計画けいかくされたものであると示唆しさした。

一方いっぽうで、世界せかいウイグル会議かいぎの議長ぎちょうカーディルは「デモは差別さべつに対たいする抗議こうぎと、広東かんとん省しょうの事件じけんの「説明せつめいを求もとめる」ものであり、平和へいわ裏うらに始はじまっている」と主張しゅちょうしており、この事実じじつはウルムチ市し当局とうきょくも認みとめている。これに対たいして、カーディルは当局とうきょく者しゃによる挑発ちょうはつ行為こういがあったとして、中国ちゅうごく当局とうきょくの発表はっぴょうを批判ひはんしている。

事件じけんの過激かげき化かと拡大かくだい

ニューヨーク・タイムズ紙かみは、ウイグル人じんの抵抗ていこうが7月がつ5日にちの18時じ以降いこうに始はじまったとする目撃もくげき情報じょうほうを伝つたえている。デモ隊たいと警察けいさつが対峙たいじし、デモ隊たいと警察けいさつの衝突しょうとつにより、各地かくちで放火ほうか、車輌しゃりょう破壊はかいが発生はっせいした。抵抗ていこう発生はっせい時じには、少すくなくとも1,000名めいが加くわわっており、その後ご抵抗ていこう者しゃの数かずは約やく3,000名めいに膨ふくれ上あがった。

AFP通信つうしんが目撃もくげき者しゃの証言しょうげんとして伝つたえるところでは、約やく3,000名めいのデモ隊たいと警察けいさつが対峙たいじし、デモ隊たいの中なかには棍棒こんぼうやナイフで武装ぶそうしている者ものもいたとしている。

スタンガンと武器ぶきで武装ぶそうした約やく1,000名めいの警官けいかん隊たいが配備はいびされ、群衆ぐんしゅうへの警告けいこくのために威嚇いかく射撃しゃげきを行おこなった。

世界せかいウイグル会議かいぎは、デモ隊たいが暴徒ぼうと化かしたのは、警察けいさつが群衆ぐんしゅうに向むけて無差別むさべつに発砲はっぽうした蛮行ばんこうのためであると主張しゅちょうしている。ラジオ・フリー・アジアが現場げんばの目撃もくげき情報じょうほうとして伝つたえるところでは、デモ隊たいが人民じんみん広場ひろばに到達とうたつしたときに、武装ぶそう警察けいさつが電気でんきショックを与あたえる武器ぶきを使用しようしてデモ隊たいを制圧せいあつし、その後ご他たのデモ隊たいがウイグル人じん居住きょじゅう地区ちくで暴徒ぼうと化かした、としている。

ウルムチ市しのイサムッディン市長しちょうも、記者きしゃ会見かいけんにて暴動ぼうどうの広ひろがりを以下いかのように説明せつめいしている。

これによると、一部いちぶのデモ参加さんか者しゃが、20時じ15分ふん頃ごろにガードレールをひっくり返かえし、3台だいのバスを破壊はかいし始はじめた。抵抗ていこうは20時半じはんには、解放かいほう南みなみ路ろ、竜泉りゅうせん街がい周辺しゅうへんまで拡大かくだいし、抵抗ていこう者しゃは警察けいさつ車輌しゃりょうに放火ほうかし、通行人つうこうにんを襲撃しゅうげきし始はじめた。21時半じはんには3名めいの死亡しぼう者しゃ、6名めいの警官けいかんを含ふくむ26名めいの負傷ふしょう者しゃが政府せいふにより確認かくにんされた。

武装ぶそう警察けいさつ部隊ぶたいは、発砲はっぽうしながら大量たいりょうにウイグル人じんを殺ころすことにより22時じには市内しないの主要しゅよう幹線かんせん道路どうろと商業しょうぎょう地区ちくを確保かくほした。

警察けいさつはその後ご小ちいさなチームを組くみ、事件じけん後ご2日間にちかんで全市ぜんしを徹底てっていして巡回じゅんかいし、7月がつ7日にちにはウルムチ市内しないは正常せいじょう化かしたという。当局とうきょくは「更さらなる混乱こんらんを避さけるため」として、木曜日もくようびの21時じから水曜日すいようびの8時じまで、「広範囲こうはんいの交通こうつう規制きせい」を敷しき、夜間やかんの外出がいしゅつを禁止きんしした。

新華社しんかしゃが報ほうじるところでは、警察けいさつはウイグル人じんの人口じんこうの多おおいアクスやグルジャ、カシュガルといった新しん疆の他ほかの地域ちいきで、ウイグル人じんがデモを組織そしきすることを警戒けいかいしていた。新華社しんかしゃが伝つたえるところでは、カシュガル中心ちゅうしん部ぶのエイティガール・モスクに約やく200名めいの人々ひとびとが集会しゅうかいを計画けいかくしていたが、警察けいさつにより月曜日げつようびの夕方ゆうがたには混乱こんらんなく解散かいさんしたという。

一方いっぽう、サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙かみはカシュガルでは多おおくの店舗てんぽが閉鎖へいさされ、モスク周辺しゅうへんは人民じんみん解放かいほう軍ぐんの小隊しょうたいにより封鎖ふうさされていると報ほうじており、治安ちあん部隊ぶたいの攻撃こうげきにより、約やく50名めいのウイグル人じんが逮捕たいほされたとして、治安ちあん部隊ぶたいの過剰かじょうな実力じつりょく行使こうしを批判ひはんする現地げんちのウイグル人じんの声こえを報ほうじている。モスク周辺しゅうへんでは7月がつ7日にち火曜日かようびにも衝突しょうとつが発生はっせいし、約やく50名めいが逮捕たいほされたと報ほうじられている。

同紙どうしによると、学生がくせいの多おおくが7月がつ5日にちのウルムチでのデモに参加さんかしたカシュガル師範しはん学院がくいんでは、学生がくせい12,000名めいがキャンパス内ないに幽閉ゆうへいされたとされ、約やく2,000名めいの部隊ぶたいがカシュガル市内しないを巡回じゅんかいしていたという。

7月がつ5日にち以降いこう

7月がつ7日にちのウイグル人じんによる抗議こうぎ活動かつどう(VOA)

7月がつ5日にち以降いこうも、ウルムチ市内しないの緊張きんちょうは続つづき、外国がいこく人じん記者きしゃ団だんの目前もくぜんで事件じけん後ご当局とうきょくに逮捕たいほされた家族かぞくの解放かいほうを求もとめるウイグル人じんの集団しゅうだんと治安ちあん部隊ぶたいが対峙たいじする場面ばめんも見みられ、世界せかいに大おおきく報道ほうどうされた。

デモに参加さんかしたウイグル人じん女性じょせいがデイリー・テレグラフ紙かみに語かたったところでは、7月がつ6日にちの夜よるに、警察けいさつがウイグル人じん居住きょじゅう地ちに侵入しんにゅうし、家宅かたく捜索そうさくを行おこない、100名めい以上いじょうの男性だんせいを連行れんこうしていったという。

これに対たいして、中国ちゅうごく当局とうきょく者しゃは、7月がつ7日にちに暴動ぼうどうに関与かんよしたとされる1,434名めいの容疑ようぎ者しゃを逮捕たいほしたと発表はっぴょうした。

7月がつ7日にちには、ウルムチ市内しないで武装ぶそうした漢かん族ぞくの住民じゅうみんが大だい規模きぼな示威じい行動こうどうを行おこなった。

漢かん族ぞくのデモ参加さんか者しゃは、西側にしがわメディア各社かくしゃが報ほうじるところでは300名めいから1,000名めいと見みられる。タイムズ紙かみは漢かん族ぞく住民じゅうみんとウイグル人じん住民じゅうみんの間あいだで小競こぜり合あいがあったとし、漢かん族ぞくの集団しゅうだんがウイグル人じんへの復讐ふくしゅうをするために組織そしきされたと報ほうじている。警察けいさつは催涙さいるいガスと交通こうつうブロックを使つかい漢かん族ぞくのデモ隊たいを解散かいさんさせ、拡声かくせい器きを使つかい平静へいせいを呼よびかけた。ウルムチ市し党とう委い書記しょきの栗ぐり智さとしは警察けいさつ車輌しゃりょうの屋根やねの上うえに立たち、拡声かくせい器きを使つかってデモ隊たいに解散かいさんするよう呼よびかけた。またこの同日どうじつには、ウルムチ事件じけんの発端ほったんとなった広東かんとん省しょう韶関市しでの乱闘らんとう事件じけんについて、乱闘らんとう参加さんか者しゃ13名めい（新しん疆籍が3名めい、それ以外いがいが10名めい）が逮捕たいほされたことが新華社しんかしゃにより報ほうじられた。

7月がつ8日にちまでには散発さんぱつ的てきな暴力ぼうりょく事件じけんが報告ほうこくされたが、集団しゅうだんでの抗議こうぎ活動かつどうは鎮しずめられた。人民日報じんみんにっぽうの記者きしゃが乗のった車くるまが、ナイフや斧おの、鉄棒てつぼうで武装ぶそうした身元みもと不明ふめいの暴徒ぼうとによって攻撃こうげきされる事件じけんが起おきたが死傷ししょう者しゃは発生はっせいしなかった。

また同日どうじつ、ラジオ・フリー・アジアは、北京ぺきんの中央ちゅうおう民族みんぞく大学だいがく教授きょうじゅでウイグル人じん経済けいざい学者がくしゃのイリハム・トフティが当局とうきょくに拘束こうそくされたと報ほうじた。

トフティは、ウルムチ市しの事件じけんが起おきる前まえから自身じしんのウェブサイト「維吾爾なんじ在ざい線せん（ウイグル・オンライン）」上じょうで、新しん疆当局きょくへの批判ひはんを行おこなっており、これがウルムチでの暴動ぼうどうを煽動せんどうしたとみなされて拘束こうそくされたという。

7月がつ10日とおかには、回かい族ぞくとウイグル人じんの要求ようきゅうにより事件じけん以降いこう閉鎖へいさされていた市内しないのモスクのうち少すくなくとも2つが再開さいかいされた。

市内しないのモスク白しろ大寺おおてらでの礼拝れいはい後ご、数すう百ひゃく名めいが拘留こうりゅう中ちゅうのウイグル人じんの解放かいほうを求もとめてデモを行おこなったが、警察けいさつにより解散かいさんさせられ、5-6名めいが逮捕たいほされた。一方いっぽうで、身みの危険きけんを感かんじ、ウルムチ市しから地方ちほうに逃のがれようと、多おおくの住民じゅうみんがバスターミナルに集あつまる様子ようすも見みられた。

7月がつ12日にち、トルコの外相がいしょうアフメト・ダウトオールは中国ちゅうごくの楊潔篪外相がいしょうとの1時じ間あいだ15分ふんに及およぶ電話でんわ会談かいだんの中なかで、事件じけんに対たいする懸念けねんを表明ひょうめいし、中国ちゅうごく側がわに迅速じんそくかつ透明とうめいな調査ちょうさを行おこなうよう求もとめた。

楊潔篪は、「地域ちいきの平穏へいおんは保たもたれており、どの民族みんぞくであれ犯罪はんざい者しゃは法廷ほうていに送おくられると確信かくしんしている」と述のべた。

7月がつ13日にちには、2名めいのウイグル人じんが死亡しぼうする事件じけんが発生はっせいした。

警察けいさつの発表はっぴょうによれば、人民じんみん病院びょういんの付近ふきんで通常つうじょうの警備けいび中ちゅうであった警察けいさつが、ナイフや棍棒こんぼうを持もって別べつのウイグル人じんを襲撃しゅうげきしている3名めいのウイグル人じんを発見はっけんし、投降とうこうの呼よびかけに応おうじなかった2名めいを射殺しゃさつしたとする。

一方いっぽうで、複数ふくすうの目撃もくげき者しゃは当局とうきょくの公式こうしき見解けんかいと異ことなる証言しょうげんをしている。

8月がつ27日にち、カーディルはウルムチ南部なんぶの監獄かんごくで拘束こうそくされたウイグル人じんのうち196人にんが拷問ごうもんによって死亡しぼうしたとの情報じょうほうを「新しん疆のある警官けいかん」から得えたと主張しゅちょうした。

中国ちゅうごく国内こくないでの反応はんのう

通信つうしん会社かいしゃ

中国ちゅうごくの2大だい携帯けいたい電話でんわ事業じぎょう者しゃは、事件じけんに対たいしてそれぞれ異ことなる対応たいおうを見みせた。

中国ちゅうごく移動いどう通信つうしんは「事件じけんの拡大かくだい防止ぼうしを助たすけるため」として、現地げんちでの通信つうしんサービスを停止ていしした。

一方いっぽう、中国ちゅうごく聯合通信れんごうつうしんは新しん疆での通信つうしんサービスは停止ていししていないと発表はっぴょうした。

新しん疆地域ちいきからの国際こくさい電話でんわはブロックされており、インターネットも接続せつぞくできない状態じょうたいが続つづいた。

Googleや他たの投稿とうこうサイトは政府せいふの政策せいさくに協調きょうちょうして、デモや暴動ぼうどうの画像がぞうや映像えいぞうを検閲けんえつしたが、こうした情報じょうほうは、すぐにTwitterや、YouTube、Flickrといったサービスを使つかって流通りゅうつうするようになった。

新疆しんきょうウイグル自治じち区くやウルムチ市しの公式こうしきサイトは、事件じけんの発生はっせい以降いこう、海外かいがいからのアクセスができないようになった。

政府せいふ

中国ちゅうごくのテレビは事件じけん以降いこう、破壊はかいされた車くるまや負傷ふしょうした市民しみんの姿すがたを放映ほうえいした。新疆しんきょうウイグル自治じち区くのベクリ主席しゅせきは、ウルムチ市しでの騒擾そうじょう事件じけんの原因げんいんが、広東かんとん省しょうで発生はっせいした事件じけんであり、広東かんとん省しょうと新疆しんきょうウイグル自治じち区くの両りょう政府せいふが死亡しぼうした従業じゅうぎょう員いんに対たいして適切てきせつかつ敬意けいいを持もって対処たいしょしたと主張しゅちょうした。ベクリ主席しゅせきは、党とうの公的こうてき見解けんかいを繰くり返かえし、さらに暴動ぼうどうが事前じぜんに計画けいかくされたものであると非難ひなんした。

中国ちゅうごくのメディアは、新華社しんかしゃおよび国営こくえいテレビの現地げんち支局しきょくからの情報じょうほうに基もとづき、暴動ぼうどうの状況じょうきょうを広範こうはんに報道ほうどうしている。 治安ちあん部隊ぶたいが暴動ぼうどうを鎮圧ちんあつしてから数時間すうじかん後ご、当局とうきょくは外国がいこく人じん記者きしゃ向むけの市内しない取材しゅざいツアーをアレンジした。100社しゃ以上いじょうの海外かいがいメディアは、市し中心ちゅうしん部ぶのホテル海うみ徳とく酒しゅ店てんに集あつめられ、専用せんように用意よういされた30本ほんのインターネット回線かいせんを共用きょうようした。記者きしゃは事件じけん発生はっせい現場げんばや、負傷ふしょう者しゃが搬送はんそうされた病院びょういんへの取材しゅざいを認みとめられた。フィナンシャル・タイムズ紙かみは、こうした海外かいがいメディアへの待遇たいぐう改善かいぜんを、中国ちゅうごくが広報こうほう戦略せんりゃくに失敗しっぱいした2008年ねんのチベット騒乱そうらんと比較ひかくしている。

胡錦濤こきんとう党とう総そう書記しょき（国家こっか主席しゅせき）は、イタリアのラクイラで開催かいさいされる予定よていだったG8サミットへの出席しゅっせきを取とりやめ、党とう政治せいじ局きょくの緊急きんきゅう会議かいぎを招集しょうしゅうし、「新しん疆における安定あんてい回復かいふく」のための特使とくしとして、治安ちあん部門ぶもんのトップである政治せいじ局きょく常務じょうむ委員いいんの周しゅう永えい康やすしと、公安こうあん相しょうの孟はじめ建たて柱はしらの二人ふたりを現地げんちに派遣はけんした。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙かみは、中国ちゅうごく指導しどう部ぶが、10月に行おこなわれる予定よていだった建国けんこく60周年しゅうねんの記念きねん式典しきてんの準備じゅんび作業さぎょうへの影響えいきょうを検討けんとうしていると報ほうじている。

インターネット上じょうでの反応はんのう

中国ちゅうごくのブログ界かいにおける事件じけんへの反応はんのうには、様々さまざまな立場たちばが見みられた。当局とうきょくによる通信つうしん妨害ぼうがいや検閲けんえつがあったにも関かかわらず、多おおくのネチズンが、事件じけんの原因げんいんに関かんする自身じしんの考かんがえを表明ひょうめいしたり、事件じけんに対たいする怒いかりをぶつけたりした。政府せいふの立場たちばを支持しじするブロガーがいる一方いっぽう、事件じけんの原因げんいんを慎重しんちょうに分析ぶんせきするブロガーもいた。多おおくの投稿とうこうは、民族みんぞく的てきな感情かんじょうを煽あおるものであり、投稿とうこうは即座そくざに削除さくじょされた。ネット上じょうでの一般いっぱん的てきな論調ろんちょうは、事件じけんに関与かんよした者ものへの処罰しょばつを求もとめるものであったが、ナショナリズムの感情かんじょうを煽あおり、1950年代ねんだいに新しん疆の民族みんぞく運動うんどうを弾圧だんあつした王おう震しんの名前なまえを出だしてウイグル人じんへの報復ほうふくを求もとめるものもあった。

中国ちゅうごく国外こくがいでの反応はんのう

国際こくさい機関きかんの反応はんのう

• 国際こくさい連合れんごう

国連こくれん人権じんけん高等こうとう弁務べんむ官かんのナヴィ・ピレイは、「暴動ぼうどうが起おきた1日にちの間あいだに発生はっせいした死傷ししょう者しゃ数すうとしては、非常ひじょうに多おおい」として、死傷ししょう者しゃの数かずに「驚おどろいている」と述のべ、中国ちゅうごくが拘留こうりゅう者しゃに対たいして人道的じんどうてきで国際こくさい的てきな基準きじゅんに則のっとった処遇しょぐうを与あたえることを求もとめた。

国連こくれん事務じむ総長そうちょうの潘はん基はじめ文ぶんは、「全すべての当事とうじ者しゃに自制じせいを求もとめ、中国ちゅうごくに対たいして、言論げんろん、集会しゅうかい、情報じょうほうについての自由じゆうを含ふくむ、市民しみんの自由じゆうを尊重そんちょうする」と同時どうじに、市民しみんの保護ほごに対策たいさくを取とるように要請ようせいした。

• 上海しゃんはい協力きょうりょく機構きこう

上海しゃんはい協力きょうりょく機構きこうは声明せいめいを発表はっぴょうし、暴動ぼうどうで死亡しぼうした人々ひとびとの家族かぞくに、心しんより哀悼あいとうの意いを表明ひょうめいするとした。一方いっぽうで、声明せいめいは、新しん疆は中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの不可分ふかぶんの領域りょういきであり、事件じけんは中国ちゅうごくの内政ないせい問題もんだいであることを確認かくにんし、中国ちゅうごく政府せいふが同国どうこくの法ほうに則のっとり処理しょりをすることで、地域ちいきの平和へいわと秩序ちつじょを回復かいふくすることができると信しんじるとした。

• イスラム諸国しょこく会議かいぎ機構きこう

イスラム諸国しょこく会議かいぎ機構きこうは、中国ちゅうごく当局とうきょくによる「不適切ふてきせつな実力じつりょく行使こうし」を非難ひなんし、中国ちゅうごく当局とうきょくに対たいし、事件じけんに関与かんよした者ものを迅速じんそくに裁判さいばんにかけると共ともに、事件じけんの原因げんいんを調査ちょうさし、事態じたいの解決かいけつ策さくを見出みいだすように要請ようせいした。 機構きこうの事務じむ総長そうちょうを務つとめるエクメレッディン・イフサンオールも、加盟かめい国こくであるトルコのアフメト・ダウトオール外相がいしょうとこの問題もんだいについて協議きょうぎした。

• 欧州おうしゅう連合れんごう

欧州おうしゅう連合れんごうは衝突しょうとつに対たいする懸念けねんを表明ひょうめいし、中国ちゅうごく政府せいふに対たいし、抗議こうぎ活動かつどうへの対応たいおうを自制じせいするよう要請ようせいした。

• 主要しゅよう国こく首脳しゅのう会議かいぎ(G8)

事件じけんの直後ちょくごにイタリアのラクイラで開催かいさいされた第だい35回かい主要しゅよう国こく首脳しゅのう会議かいぎには、当初とうしょ同どう会議かいぎの拡大かくだい会議かいぎに出席しゅっせき予定よていだった胡錦濤こきんとう党とう総そう書記しょき（国家こっか主席しゅせき）が騒乱そうらんへの対応たいおうを協議きょうぎするため急遽きゅうきょ帰国きこくしたため、代理だいりとして戴秉国こく国務こくむ委員いいんが出席しゅっせきすることになった。会議かいぎの場ばでは、中国ちゅうごくへの配慮はいりょから、ウルムチでの騒乱そうらんについては主要しゅような議題ぎだいとされなかった。 その一方いっぽうで、中国ちゅうごくの不在ふざいにより経済けいざい危機ききへの対応たいおう・地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさく・北朝鮮きたちょうせん核かく問題もんだい・核軍縮かくぐんしゅくなどの世界せかい規模きぼの課題かだいに対たいして、会議かいぎは踏ふみ込こんだ結論けつろんを出だすことができなかった。

各国かっこくでの反応はんのう

国名こくめい	各国かっこくでの反応はんのう
アフガニスタン	アフガニスタン政府せいふは、「中国ちゅうごくの領域りょういき的てき統合とうごうと主権しゅけんを支持しじし、中国ちゅうごくが国益こくえきに基もとづき事態じたいを処理しょりすることができると信しんじる」とする外務省がいむしょう声明せいめいを発表はっぴょうした。
オーストラリア	オーストラリアのラッド首相しゅしょうは、平和へいわ的てきな問題もんだい解決かいけつのために、中国ちゅうごくに自制じせいを求もとめた。
ベラルーシ	ベラルーシ外務省がいむしょうは、事件じけんの犠牲ぎせい者しゃに対たいして哀悼あいとうの意いを表明ひょうめいし、中国ちゅうごく当局とうきょくにより事態じたいが正常せいじょう化かするのを希望きぼうすると表明ひょうめいした。
カンボジア	カンボジア政府せいふは、事件じけんは中国ちゅうごくの内政ないせい問題もんだいであり、中国ちゅうごくが適切てきせつな方法ほうほうを取とることを信しんじていると表明ひょうめいした。
カナダ	カナダのカノン外相がいしょうは、「不満ふまんを解決かいけつし、事態じたいの更さらなる悪化あっかを防ふせぐ助たすけとするために、対話たいわと善意ぜんいが求もとめられている」と語かたった。
フランス	フランス外務省がいむしょうのシュヴァリエ報道ほうどう官かんは、事件じけんに対たいする懸念けねんを表明ひょうめいした。
ドイツ	ドイツのメルケル首相しゅしょうは、事件じけんの平和へいわ的てき解決かいけつを求もとめると共ともに、ドイツ政府せいふは「一ひとつの中国ちゅうごく」政策せいさくを尊重そんちょうするが、これは少数しょうすう民族みんぞくの権利けんりへの尊重そんちょうも意味いみするのだと語かたった。
イラン	イランのモッタキー外相がいしょうは、事件じけんに対たいする憂慮ゆうりょをトルコ、イスラム諸国しょこく会議かいぎ機構きこうと共有きょうゆうし、新しん疆におけるムスリム住民じゅうみんの権利けんりを尊重そんちょうするよう中国ちゅうごく政府せいふに要請ようせいしたと表明ひょうめいした。
イタリア	イタリアのナポリターノ大統領だいとうりょうは、イタリア訪問ほうもん中ちゅうの胡錦濤こきんとう国家こっか主席しゅせきとの記者きしゃ会見かいけんの場ばで、人権じんけんについて取とり上あげ、「中国ちゅうごくにおける経済けいざい面めん、社会しゃかい面めんでの発展はってんは、人権じんけんに関かんする新あたらしい要求ようきゅうを引ひき起おこしている」ということを、イタリア、中国ちゅうごくの両国りょうこくが合意ごういしたと発表はっぴょうした。
日本にっぽん	日本にっぽんの外務省がいむしょうの薮やぶ中ちゅう三さん十じゅう二に事務次官じむじかんは、7月がつ6日にちの記者きしゃ会見かいけんで「極きわめて多数たすうの死傷ししょう者しゃが出でているということで日本にっぽん政府せいふとしても懸念けねんしている。今後こんごの事態じたいを注視ちゅうししていきたい」と述のべた。また、河村かわむら建夫たけお官房かんぼう長官ちょうかんは、7月がつ7日にちの記者きしゃ会見かいけんで、「市民しみんと当局とうきょくの衝突しょうとつで多数たすうの死傷ししょう者しゃが出でており非常ひじょうに遺憾いかんだ。状況じょうきょうを懸念けねんしている。事態じたいの推移すいいを注視ちゅうししている」と述のべた。
カザフスタン	カザフスタン政府せいふ当局とうきょく者しゃは、中国ちゅうごくとの取とり決きめに基もとづき、新しん疆に向むかう自国じこく民みんに対たいして中国ちゅうごくからの査証さしょう発給はっきゅうが停止ていしされたことを発表はっぴょうし、現地げんちで暴動ぼうどうから避難ひなん中ちゅうのカザフ人じん約やく1,000名めいの支援しえんに当あたっていると表明ひょうめいした。一方いっぽう、アルマトゥでは、7月がつ19日にちに、5,000名めいを超こえる在留ざいりゅうウイグル人じんがデモを行おこなった。
キルギス	キルギス政府せいふは、「難民なんみんの流入りゅうにゅう」に対たいする準備じゅんびは整ととのっており、国境こっきょうの管理かんりを強化きょうかしていると発表はっぴょうした。
ミクロネシア連邦れんぽう	ミクロネシア連邦れんぽうのアリク・アリク副ふく大統領だいとうりょうは、ウルムチでの暴動ぼうどうを「テロ行為こうい」として非難ひなんし、犠牲ぎせい者しゃへの哀悼あいとうの意いを表明ひょうめいした。
オランダ	オランダでは、中国ちゅうごく大使館たいしかんがウイグル独立どくりつ運動うんどうの活動かつどう家か、支援しえん者しゃらに襲撃しゅうげきされ、窓まどガラスの破損はそん、中国ちゅうごく国旗こっきが燃もやされる等とうの被害ひがいが出でるなど、142名めいの活動かつどう家かが逮捕たいほされた。中国ちゅうごくは駐ちゅうオランダ大使館たいしかんを当面とうめん閉鎖へいさすると発表はっぴょうした。
ノルウェー	ノルウェーでは中国ちゅうごく大使館たいしかん前まえで約やく100名めいのウイグル人じんが抗議こうぎ活動かつどうを行おこない、外壁がいへきを登のぼって大使館たいしかんの敷地しきちに侵入しんにゅうしようとした1名めいを含ふくむ11名めいが逮捕たいほされたが、全員ぜんいんが釈放しゃくほうされている。ノルウェー政府せいふは、ウルムチでの事件じけんに憂慮ゆうりょを表明ひょうめいし、全すべての当事とうじ者しゃに暴力ぼうりょくの自制じせいを求もとめると共ともに、対話たいわの重要じゅうよう性せいを強調きょうちょうした。
パキスタン	パキスタン外務省がいむしょうのアブドゥル・バシト報道ほうどう官かんはパキスタンと中国ちゅうごくとの関係かんけいを悪化あっかさせようとする一部いちぶの分子ぶんしが存在そんざいするが、事件じけんが両国りょうこくの関係かんけいに影響えいきょうを与あたえることはないと確信かくしんしていると表明ひょうめいした。
中華民国ちゅうかみんこく	台湾たいわん政府せいふは、暴力ぼうりょくを煽動せんどうした全すべての者ものを非難ひなんし、「最もっとも強つよい非難ひなん」に値あたいすると表明ひょうめいした。また、劉りゅう兆ちょう玄げん行政ぎょうせい院長いんちょうは、全すべての当事とうじ者しゃに自制じせいを求もとめ、大陸たいりく当局とうきょくが「事態じたい収拾しゅうしゅうに寛容かんようさを持もってあたり、少数しょうすう民族みんぞくの権利けんりを尊重そんちょうする」ことを希望きぼうするとする声明せいめいを発表はっぴょうした。
ロシア	ロシアのラヴロフ外相がいしょうは事件じけんが中国ちゅうごくの内政ないせい問題もんだいであるとした上うえで、「分離ぶんり主義しゅぎ的てきスローガンを掲かかげて、民族みんぞく間あいだの不ふ寛容かんようを煽あおりながら、暴動ぼうどうの計画けいかく者しゃたちは、市民しみんを攻撃こうげきし、車輌しゃりょうを破壊はかいし、略奪りゃくだつした店舗てんぽや建物たてもの、車輌しゃりょうに放火ほうかした」と付つけ加くわえた。この声明せいめいは、中国ちゅうごく当局とうきょくからの要請ようせいに基もとづき、中国ちゅうごく政府せいふの立場たちばを支持しじするために出だされたとする指摘してきもある。
セルビア	セルビア外務省がいむしょうは、新しん疆における秩序ちつじょ回復かいふくのために中国ちゅうごく当局とうきょくが取とっている努力どりょくを支持しじし、分離ぶんり主義しゅぎに反対はんたいすると共ともに、「平和へいわ的てき手段しゅだんによる紛争ふんそう解決かいけつ」を支持しじするとする声明せいめいを発表はっぴょうした。
シンガポール	シンガポール外務省がいむしょうは、暴力ぼうりょくと犠牲ぎせい者しゃの発生はっせいに対たいして遺憾いかんの意いを表あらわし、関係かんけい者しゃに対たいして自制じせいを呼よびかけると同時どうじに、対話たいわを通とおして事態じたいが解決かいけつされることを希望きぼうすると表明ひょうめいした。
スリランカ	スリランカ政府せいふは、事態じたいに対たいする憂慮ゆうりょを表明ひょうめいし、事件じけんが中国ちゅうごくの内政ないせい問題もんだいであるとして、中国ちゅうごく当局とうきょくによる努力どりょくが事態じたいを正常せいじょう化かすることを確信かくしんしていると声明せいめいを発表はっぴょうした。
スイス	スイス外務省がいむしょうは、事件じけんに対たいする憂慮ゆうりょを表明ひょうめいし、両者りょうしゃに自制じせいを求もとめると共ともに、事件じけんの犠牲ぎせい者しゃの遺族いぞくに弔辞ちょうじを送おくり、中国ちゅうごく当局とうきょくに表現ひょうげん、言論げんろんの自由じゆうを尊重そんちょうするよう要請ようせいした。
トルコ	トルコ外務省がいむしょうは、事件じけんに「深ふかい悲かなしみ」を表明ひょうめいし、中国ちゅうごく政府せいふに容疑ようぎ者しゃの捜査そうさと、裁判さいばんを求もとめる声明せいめいを発表はっぴょうした。一方いっぽうで、エルドアン首相しゅしょうは事件じけんが「まるでジェノサイドのようだ」と発言はつげんし、中国ちゅうごくのメディアから抗議こうぎを受うけることとなった。また、エルグン商工しょうこう相しょうは、中国ちゅうごく製品せいひんへのボイコットを提起ていきした。
イギリス	イギリスのブラウン首相しゅしょうは、両者りょうしゃの自制じせいを要請ようせいした。
アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく	アメリカのホワイトハウスのギブズ報道ほうどう官かんは、アメリカは新しん疆で人命じんめいが失うしなわれたことに遺憾いかんの意いを表明ひょうめいし、事態じたいを深ふかく憂慮ゆうりょしており、全すべての当事とうじ者しゃに暴力ぼうりょくを控ひかえるよう要請ようせいする、とする声明せいめいを発表はっぴょうした。アメリカ国務省こくむしょうのケリー報道ほうどう官かんは、中国ちゅうごく当局とうきょくが秩序ちつじょを回復かいふくし、更さらなる暴力ぼうりょくの応酬おうしゅうを防ふせぐことが重要じゅうようであるとの声明せいめいを発表はっぴょうした。国務こくむ長官ちょうかんのヒラリー・クリントンも7月がつ7日にちの定例ていれい記者きしゃ会見かいけんで、「事態じたいを深ふかく懸念けねんしており、多おおくの死傷ししょう者しゃが出でていることは残念ざんねん」と語かたり、中国ちゅうごく当局とうきょくとウイグル側がわ双方そうほうの自制じせいを求もとめるコメントを発表はっぴょうした。
ベトナム	ベトナム外務省がいむしょうのレ・ズン報道ほうどう官かんは、ベトナム政府せいふが事態じたいを注視ちゅうししており、中国ちゅうごく政府せいふが適切てきせつな方法ほうほうで公共こうきょうの秩序ちつじょと安定あんていを回復かいふくすることを信しんじるとする声明せいめいを発表はっぴょうした。

その他たの組織そしきの反応はんのう

• アムネスティ・インターナショナルは、「公正こうせいかつ独立どくりつの」事件じけん調査ちょうさを要求ようきゅうし、「平和へいわ的てき手段しゅだんで意見いけんを表明ひょうめいし、表現ひょうげん、結社けっしゃ、集会しゅうかいの自由じゆうを行使こうしした」ことを理由りゆうに拘留こうりゅうされている者ものを直ただちに釈放しゃくほうし、その他たの者ものに対たいしても公正こうせいな裁判さいばんを行おこなうよう中国ちゅうごく政府せいふに求もとめた。

• ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国ちゅうごくに自制じせいと、事件じけんに対たいする独立どくりつした調査ちょうさを認みとめるよう要求ようきゅうし、中国ちゅうごくが国際こくさい的てきな基準きじゅんを尊重そんちょうして抗議こうぎ活動かつどうに対応たいおうし、実力じつりょく行使こうしは必要ひつよう最小限さいしょうげんに留とめるべきであると表明ひょうめいした。

• チベット亡命ぼうめい政府せいふのダライ・ラマ14世せいは、「悲劇ひげき的てきな人命じんめいの損失そんしつ」に懸念けねんを表明ひょうめいし、中国ちゅうごく当局とうきょくに自制じせいを求もとめる声明せいめいを発表はっぴょうした。

• 「イスラーム・マグレブのアルカーイダ」を名乗なのるアルジェリアの組織そしきが、新しん疆のムスリムへの弾圧だんあつへの報復ほうふくとして、マグレブ在住ざいじゅうの中国人ちゅうごくじんに対たいして攻撃こうげきを加くわえると発表はっぴょうした。これに対たいし、世界せかいウイグル会議かいぎの議長ぎちょうラビア・カーディルは、「暴力ぼうりょくがすべての問題もんだいを解決かいけつするとは思おもわない。世界せかいのテロ組織そしきは、ウイグル人じんの合法ごうほう的てきな願ねがいや、現在げんざいの東ひがしトルキスタンの惨劇さんげきを利用りようすべきではない」との声明せいめいを発表はっぴょうし、中国ちゅうごく当局とうきょくが在外ざいがいウイグル人じん運動うんどうを国際こくさいテロ組織そしきと結むすび付つけようとするのを牽制けんせいした。

メディアの取とり扱あつかい

事件じけんの報道ほうどうにおいて、中国ちゅうごく当局とうきょくはこれまでの閉鎖へいさ的てきな情報じょうほう管理かんり姿勢しせいから一転いってんしてオープンな態度たいどに転てんじ、積極せっきょく的てきに情報じょうほう開示かいじを行おこなっている。

BBCワールドサービスの論説ろんせつ員いんである陳ちん世よ栄さかえは、新華社しんかしゃの報道ほうどうが、「より報道ほうどうの信頼しんらい度どを高たかめるために、事件じけん発生はっせいから数時間すうじかん後ごにはビデオ映像えいぞうを配信はいしんした」として、中国ちゅうごくのメディア管理かんりに改良かいりょうが見みられた点てんに着目ちゃくもくしている。デイリー・テレグラフ紙かみのピーター・フォスターも、「（海外かいがいの）中国ちゅうごく専門せんもん家かたちは、北京ぺきんの当局とうきょく者しゃがニュースの主題しゅだいを掌握しょうあくするスピードに驚おどろかされた」と述のべている。ニューヨーク・タイムズ紙かみは、「中国ちゅうごくの専門せんもん家かは、明あきらかに、グルジアとウクライナで起おきたいわゆる「色いろの革命かくめい」や、2009年ねんのイラン大統領だいとうりょう選挙せんきょについて調査ちょうさをしており、インターネットや携帯けいたい電話でんわが、抗議こうぎ活動かつどうの組織そしき化かや、国外こくがいとの連絡れんらくに大おおきく役立やくだったこと、各国かっこく政府せいふがこれに対処たいしょしようとしたことを知しっていた。」と伝つたえている。カリフォルニア大学だいがくバークレー校こうのある研究けんきゅう者しゃは、中国ちゅうごく当局とうきょくが過去かこの失敗しっぱいから学習がくしゅうし、より洗練せんれんされたやり方かたを取とるようになったと述のべた。

一方いっぽうで、こうした情報じょうほう開示かいじが限定げんてい的てきなものであり、中国ちゅうごく当局とうきょくに都合つごうの悪わるい情報じょうほうが外部がいぶに出でないよう情報じょうほう統制とうせいが徹底てっていして行おこなわれているとする指摘してきもある。

ジェームズタウン財団ざいだんフェローのウィリー・ラムも、中国ちゅうごく当局とうきょくの情報じょうほう開示かいじに懐疑かいぎ的てきであり、「中国ちゅうごく当局とうきょくはちょうどテストをしているのであり、もしも結果けっかが思おもわしくない場合ばあいは、2008年ねん5月の四川しせん大だい地震じしんの際さいの報道ほうどうのように、ブレーキをかけるだろう」と述のべている。

実際じっさい、外国がいこく人じん記者きしゃが当局とうきょくに拘束こうそくされる例れいがあったほか、7月がつ10日とおかには、「記者きしゃの安全あんぜんのため」として外国がいこくメディアにカシュガルから退去たいきょするよう当局とうきょくから指示しじがあった。

中国共産党ちゅうごくきょうさんとうの機関きかん紙しである人民日報じんみんにっぽうは特定とくていの西側にしがわメディアのもつ、偏向へんこうしたダブルスタンダードを批判ひはんする社説しゃせつを掲載けいさいし、中国ちゅうごくはオープンかつ透明とうめいな態度たいどを取とったにも関かかわらず、特定とくていの政治せいじ勢力せいりょくやメディアからは、公正こうせいな「見返みかえり」を得えることができなかったと主張しゅちょうした。

「かなりの数かずのメディアが、故意こいに、あるいは不注意ふちゅういに、暴徒ぼうとの暴力ぼうりょく行為こういを過小かしょうに報道ほうどうし、いわゆる民族みんぞく紛争ふんそうに焦点しょうてんを当あてようとしていた」と社説しゃせつは述のべている。

誤報ごほう

7月がつ6日にち、ロイタろいたー通信つうしんは、7月がつ5日にちのウルムチ市内しないでの暴動ぼうどうの様子ようすを写うつしたとする写真しゃしんを配信はいしんした。写真しゃしんは、多おおくの武装ぶそう警察けいさつの部隊ぶたいと住民じゅうみんが対峙たいじする様子ようすを写うつしたものだったが、この写真しゃしんは、2009年ねん6月の湖北こほく省しょう石いし首くび市しでの暴動ぼうどう（en:2009 Shishou incident）の様子ようすを写うつしたものであり、6月26日にちに中国ちゅうごくの南都なんと周しゅう刊かん紙かみが報ほうじたものだった。

この写真しゃしんは、ロイター以外いがいの通信つうしん社しゃでも誤あやまって配信はいしんされ、デイリー・テレグラフ紙かみのウェブサイトでも、一時いちじ写真しゃしんが掲載けいさいされたが、その後ご削除さくじょされた。7月がつ7日にちに、世界せかいウイグル会議かいぎ議長ぎちょうのラビア・カーディルが、アル・ジャズィーラのインタビューに出演しゅつえんした際さいに、ウルムチのウイグル人じんの窮状きゅうじょうを訴うったえるためにこの写真しゃしんを使用しようした。

この件けんは中国ちゅうごくメディアに批判ひはんされたため、世界せかいウイグル会議かいぎは、意図いとしない誤あやまりであったとして、この件けんについて遺憾いかんの意いを表明ひょうめいした。

参考さんこう文献ぶんけん

• イリハム・マハムティ『7.5ウイグル虐殺ぎゃくさつの真実しんじつ―ウルムチで起おこったことは、日本にっぽんでも起おきる』宝島社たからじましゃ〈宝島社たからじましゃ新書しんしょ〉、2010年ねん1月がつ。ISBN 978-4796674553。 
• ルース・イングラム『2009年ねん7月がつ5日にちのウイグル族ぞくの虐殺ぎゃくさつ: 生存せいぞん者しゃが語かたるあの日ひのウルムチ』 Bitter Winter（日本語にほんご）、2019年ねん7月がつ10日とおか。

関連かんれん項目こうもく

• 東ひがしトルキスタン独立どくりつ運動うんどう
• ウイグル
• 2008年ねんのチベット騒乱そうらん
• 保護ほごする責任せきにん（Responsibility to Protect）
• 暴力ぼうりょく的てきテロ猛撃もうげきキャンペーン

外部がいぶリンク

• 事件じけんに関かんするウルムチ市しの報道ほうどう発表はっぴょう(新華社しんかしゃネット) - ウェイバックマシン（2009年ねん7月がつ10日とおかアーカイブ分ぶん） （中国ちゅうごく語ご）
• 北京ぺきん当局とうきょくによる批判ひはんに世界せかいウイグル会議かいぎが反論はんろん(新しん世紀せいき新聞しんぶんネット) （中国ちゅうごく語ご）
• 新しん疆ウルムチ重大じゅうだい暴力ぼうりょく事件じけんが発生はっせい(人民日報じんみんにっぽう日本語にほんご版ばん)（日本語にほんご）