(Translated by https://www.hiragana.jp/)
BMW・Z1 - Wikipedia コンテンツにスキップ

BMW・Z1

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
BMW・Z1
E30
リアビュー
概要がいよう
販売はんばい期間きかん 1989 - 1991ねん
デザイン ハーム・ラガーイ
ボディ
乗車じょうしゃ定員ていいん 2人ふたり
ボディタイプ 2ドアオープン
駆動くどう方式ほうしき FR
パワートレイン
エンジン M20B25 2.5L 直列ちょくれつ6気筒きとうSOHC
変速へんそく 5そくMT
車両しゃりょう寸法すんぽう
ホイールベース 2,447mm
全長ぜんちょう 3,921mm
全幅ぜんぷく 1,690mm
ぜんこう 1,227mm
車両しゃりょう重量じゅうりょう 1,250kg(乾燥かんそう
1,460kg
その
生産せいさん台数だいすう 8,000だい
系譜けいふ
後継こうけい BMW・Z3
テンプレートを表示ひょうじ

Z1(ズィー・ワン、ツェット・アインス)は、ドイツ自動車じどうしゃメーカーBMW製造せいぞうしていたオープンタイプのスポーツカーである。

歴史れきし

[編集へんしゅう]

1986ねんはつ公開こうかいされ、よく1987ねんフランクフルトモーターショー公式こうしき発表はっぴょうされた。

発表はっぴょう当初とうしょおおきな注目ちゅうもくあつめ、生産せいさんまえにもかかわらず35,000だいのオーダーがあったと発表はっぴょうしていたが、実際じっさいには8,000だい製造せいぞうまり、1991ねん生産せいさん終了しゅうりょうした。後年こうねん、この人気にんき下降かこうメルセデス・ベンツ・SLクラス登場とうじょう[1]によるものと、当初とうしょたか人気にんき投機とうき目的もくてき過熱かねつによるものであったと推測すいそくされている[2]

設計せっけい社内しゃない事業じぎょうのBMW・フォルシュング&テヒニークでおこなわれ、開発かいはつそう指揮しきにはウルリッヒ・ベッツ (Dr. Ulrich Bez) が選出せんしゅつされた。1988ねんのベッツのポルシェ移籍いせきはクラウス・ファウスト (Dr. Klaus Faust) に交代こうたいした。

よんりん駆動くどうモデルの製造せいぞう検討けんとうされていたが、実現じつげんしなかった[1]。また、ひだりハンドル仕様しようのみが生産せいさんされた。

くるまめい由来ゆらい

[編集へんしゅう]

Z1のZは元々もともと「Zukunft」(ドイツで「未来みらい」)を意味いみし、ほんしゃのほかZ3Z4Z8使用しようされている。これらの車種しゃしゅはすべて2シーターオープンカーである。

構造こうぞう

[編集へんしゅう]

シャーシ

[編集へんしゅう]
BMW・Z1

シャシ専用せんよう設計せっけいで、着脱ちゃくだつしきのボディパネル、連続れんぞく亜鉛あえんシーム溶接ようせつふくごうざいせいアンダートレーがたゆか構造こうぞうといった革新かくしんてき技術ぎじゅつまれている。一部いちぶ部品ぶひん(エンジン、トランスミッション前輪ぜんりんサスペンションなど)はE30がた325iからの流用りゅうようひんである。

ボディはプラスチックせいで、サイドパネルとドアはゼネラル・エレクトリックせいねつ可塑かそせいプラスチック、ボンネットとトランク、屋根やねカバーは繊維せんい強化きょうかプラスチックをそれぞれ採用さいようしている。塗装とそうには、AKZOコーティングとBMWテヒニクが共同きょうどう開発かいはつした特製とくせい柔軟じゅうなんラッカーもちいている。

ボディ本体ほんたいはシャシからはずすことができ、すべてのボディパネルをはずした状態じょうたいでも走行そうこうすることが可能かのうである。また、発表はっぴょう当初とうしょには『予備よびのボディパネルを購入こうにゅうすればこのみにおうじてボディカラーを変更へんこうできる』という宣伝せんでんもなされていた。BMWの発表はっぴょうでは40ふん以内いないでの交換こうかん可能かのうであるとしていたが、実際じっさいにはそれ以上いじょう時間じかんようするとされている[3]

車体しゃたい全体ぜんたいそらりょく考慮こうりょして設計せっけいされた。アンダートレーがたゆか構造こうぞう全体ぜんたい平滑へいかつになるように整形せいけいされ、マフラー後部こうぶさえぎふうばんらんりゅう発生はっせいによる後部こうぶうわがりをふせぐため、そらりょく特性とくせい考慮こうりょして設計せっけいされている。車体しゃたいぜんはしこうあついきがちょうど前輪ぜんりん真上まうえになり、接地せっちあつたかめる形状けいじょうとなっている[4]抗力こうりょく係数けいすう(Cd)はほろ展開てんかいで0.36、ほろ格納かくのうで0.43である。

Z1でもっと特徴とくちょうてき装備そうびひとつ。ドア本体ほんたいがボディ内部ないぶ下向したむきにまれるというきわめて特異とくい構造こうぞうとなっている。この構造こうぞう黎明れいめいのオープンカーにられた脱着だっちゃくしき金属きんぞくせい布製ぬのせいのドアに着想ちゃくそうており、Z1のデザインと通常つうじょうよこびらきドアの相性あいしょうわるいと判断はんだんされたために採用さいよういたったものである。

たかいドアシルをつボディのため、ドアの有無うむとは関係かんけいなしに衝突しょうとつ安全あんぜんせい確保かくほされており、ドアをげている状態じょうたい(=開放かいほう状態じょうたい)でも合法ごうほうかつ安全あんぜん走行そうこうすることができたが、アメリカではドアをげた状態じょうたい走行そうこうすることは違法いほうとなった。

ドアまどはドアの位置いちとは独立どくりつして操作そうさできたが、ドアががっている(=ひらいている)状態じょうたいでは自動的じどうてきがる構造こうぞうとなっている。パワーウィンドウ双方そうほうともにコグドベルトかいして電動でんどうモーターで動作どうさするが、緊急きんきゅうには手動しゅどうでの操作そうさ可能かのう[5]

駆動くどうけい

[編集へんしゅう]

エンジンは2,494cc 直列ちょくれつ6気筒きとうSOHCM20B25がた) を搭載とうさいし、トランスミッションゲトラグせいの5そくMTのみがわせられる。いずれもE30がた325iからの流用りゅうようひんである。ひくいボンネットのしたにエンジンをおさめるため、20ほどみぎかたむけて搭載とうさいされている[6]

サスペンション

[編集へんしゅう]

Z1専用せんよう設計せっけいの「Zアクスル」とばれるのちサスペンションが採用さいようされた。[7]。これはBMWはつマルチリンクしきサスペンションである[8]。タイヤサイズは前後ぜんごともに205/55VR15[9]

テクニカルデータ

[編集へんしゅう]

内装ないそう

[編集へんしゅう]

特徴とくちょうてきなドアは革新かくしんてきであったが、おおくのユーザーからたかいドアシルが乗降じょうこうしにくいと指摘してきされ、くわえて手作業てさぎょうてられた内装ないそう経年けいねんによる劣化れっか顕著けんちょなものであった[11]

ダッシュボード非常ひじょうちいさく、ヒーターと冷房れいぼうユニットを収納しゅうのうする空間くうかんがなかったためにカーエアコン装備そうびしていない。ただし、E30がた3シリーズの部品ぶひん流用りゅうようしてエアコンをこうけしたれい存在そんざいする。

販売はんばい

[編集へんしゅう]

そう生産せいさん台数だいすうは8,000だいで、1にちあたり10だい〜20だい製造せいぞうされた[12]。8,000だいのうち6,443だいはBMWの本拠地ほんきょちであるドイツ販売はんばいされ[13]新車しんしゃ価格かかくは83,000〜89,000マルク[12][14]日本円にほんえんで554〜587まんえん)であった。また、イタリアフランスなどでも販売はんばいされた。ひだりハンドル仕様しようのみであったがイギリスでも販売はんばいされた。

日本にっぽんでは正規せいき輸入ゆにゅうされなかったが、アルピナがけたチューニングカーにかぎ正規せいき輸入ゆにゅうされていた(次項じこう解説かいせつ)。

カラーバリエーションは6しょく外装がいそうしょくと4しょく内装ないそうしょくから選択せんたくできたが、その大半たいはんあかくろみどり外装がいそうしょく灰色はいいろ内装ないそうわせであった[15]あかるい黄色おうしょく(ドイツfun-gelb)の外装がいそうしょくあか内装ないそうしょくとく希少きしょうなカラーリングとされる。

フランス販売はんばいされたZ1には現地げんち法規ほうきもとづき、黄色おうしょくヘッドライト装着そうちゃくされていた[16]

アルピナ仕様しよう

[編集へんしゅう]

BMWの公認こうにんチューナーとしてられるアルピナは、ほんしゃをベースとしたチューニングカーアルピナ・ロードスター リミテッドエディション (Roadster Limited Edition,RLE) を開発かいはつした。2.7Lエンジンにかわそうされ、0–100 km/hの加速かそくは8.4びょうから7.1びょう短縮たんしゅく最高さいこう速度そくども228km/hをマークしていた。販売はんばい価格かかくは116,000マルク(日本円にほんえんやく774まんえん)で[12]世界せかい限定げんていで66だい製造せいぞうされた。

日本にっぽんではアルピナの国内こくないそう代理だいりてんであるニコル・オートモビルズによって正規せいきあつかいで販売はんばいされた。

関連かんれん商品しょうひん情報じょうほう

[編集へんしゅう]

ミニチャンプスレベルヘルパひとしがZ1のダイキャストせいプラスチックせいモデルを製造せいぞうしていた。フランスでは1992ねん1997ねんにわたり、テレフォンカードにZ1の図柄ずがら採用さいようされた[17]

また、ジャッキー・チェン主演しゅえん映画えいがプロジェクト・イーグル』にも登場とうじょうしている[18]

出典しゅってん

[編集へんしゅう]
  1. ^ a b Brossaud, 1.
  2. ^ http://www.ultimatecarpage.com/frame.php?file=car.php&carnum=52
  3. ^ http://www.bmwz1.co.uk/z1const.htm
  4. ^ http://www.bmwz1.co.uk/z1aero.htm
  5. ^ http://www.bmwz1.co.uk/
  6. ^ http://www.ultimatecarpage.com/frame.php?file=car.php&carnum=52
  7. ^ http://www.bmwz1.co.uk/z1home.htm
  8. ^ http://www.bmwworld.com/models/z1.htm
  9. ^ http://www.supercars.net/cars/1986@$BMW@$Z1x.html
  10. ^ Oswald, Werner (1. Auflage 2001). Deutsche Autos 1945-1990, Band 4. Stuttgart: Motorbuch Verlag. ISBN 3-613-02131-5 
  11. ^ Brossaud, 16.
  12. ^ a b c http://www.z1z1.de/frames/z1-artikel_fs.html
  13. ^ http://www.bmw-z1.de/English/body_numbers.html
  14. ^ http://www.z1z1.de/artikel/zeitung/cabriorevue7_92.html
  15. ^ http://www.bmw-z1.org/marge.htm
  16. ^ Brossaud, 8.
  17. ^ Brossaud, 26-28
  18. ^ http://www.bmwworld.com/bmw/importing.htm

参考さんこう文献ぶんけん

[編集へんしゅう]
  • Brossaud, Frederic (2001). "BMW Z1." Accessed on January 2, 2005.
  • Kittler, Eberhard (1996). Essential Bmw Roadsters & Cabriolets: The Cars and Their Story from 328 to Z3. Bay View Books. ISBN 978-1870979771 
  • Zeichner, Walter; BMW (1998). Typenkompaß BMW Personenwagen seit 1952 Erstauflage. Motorbuch Verlag. ISBN 978-3613018730 
  • Mueller, Thomas G.; BMW | DIE GROSSE BMW Z1 CHRONIK Erstauflage | publisher = www.edition-weiss-blau.de | year = 2002 |

外部がいぶリンク

[編集へんしゅう]