Particle-in-Cell (PIC 、セル内 ない 粒子 りゅうし ) 法 ほう とは、特定 とくてい の問題 もんだい における偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき を解 と く方法 ほうほう の1つである。この方法 ほうほう では、個々 ここ の粒子 りゅうし (または流体 りゅうたい 要素 ようそ ) が連続 れんぞく な相 あい 空間 くうかん で追跡 ついせき される。一方 いっぽう で、密度 みつど や電流 でんりゅう といった分布 ぶんぷ の積 せき 率 りつ や電磁場 でんじば が計算 けいさん 格子 こうし 上 うえ で計算 けいさん される。粒子 りゅうし の追跡 ついせき はラグランジュ描像 で、積 せき 率 りつ と電磁場 でんじば の計算 けいさん はオイラー描像 で記述 きじゅつ される。
PIC法 ほう は1955年 ねん には既 すで に使用 しよう されていた[ 1] 。これは最初 さいしょ のFortranコンパイラが利用 りよう 可能 かのう になるよりも昔 むかし の事 こと である。当時 とうじ の方法 ほうほう は、Buneman (英語 えいご 版 ばん ) 、Dawson (英語 えいご 版 ばん ) 、Hockney、Birdsall、Morseらにより、1950年代 ねんだい 後半 こうはん から1960年代 ねんだい 初頭 しょとう にかけてプラズマ シミュレーションで人気 にんき を博 はく した。プラズマシミュレーションにおけるPIC法 ほう では、固定 こてい 格子 こうし 上 じょう で計算 けいさん されたセルフコンシステント な電磁場 でんじば (または静 せい 電場 でんじょう ) 内 ない の荷電 かでん 粒子 りゅうし の軌道 きどう を追跡 ついせき する[ 2] 。
Buneman、Dawson、Hockney、Birdsall、Morseらにより発明 はつめい された古典 こてん 的 てき なPIC法 ほう は、多種 たしゅ の問題 もんだい について直感 ちょっかん 的 てき であり、かつ簡単 かんたん に実装 じっそう できるという長所 ちょうしょ を持 も つ。これらの長所 ちょうしょ があったために、特 とく にプラズマシミュレーションにおける分野 ぶんや でPIC法 ほう が成功 せいこう したと考 かんが えられている。古典 こてん 的 てき なPIC法 ほう には、通常 つうじょう 、次 つぎ の手順 てじゅん が含 ふく まれる。
運動 うんどう 方程式 ほうていしき の積分 せきぶん
電荷 でんか と電流 でんりゅう の、場 ば の格子 こうし への分配 ぶんぱい
格子 こうし 上 じょう での場 ば の計算 けいさん
格子 こうし から粒子 りゅうし の位置 いち への場 ば の内 うち 挿
平均 へいきん 場 じょう を介 かい した粒子 りゅうし 間 あいだ 相互 そうご 作用 さよう のみを含 ふく むモデルは PM (Particle-Mesh) と呼 よ ばれ、直接的 ちょくせつてき な二 に 体 たい 相互 そうご 作用 さよう を含 ふく むモデルは PP (Particle-Particle) と呼 よ ばれる。 また、それらの両方 りょうほう を含 ふく むモデルは PP-PM もしくは P3 M と呼 よ ばれる。
PIC法 ほう は初期 しょき の頃 ころ から、いわゆる 離散 りさん 粒子 りゅうし ノイズ による誤差 ごさ の影響 えいきょう を受 う けやすい、と認識 にんしき されてきた[ 3] 。
この誤差 ごさ は本質 ほんしつ 的 てき には離散 りさん 粒子 りゅうし が持 も つ統計 とうけい 的 てき 性質 せいしつ に起因 きいん するものである。オイラー法 ほう やセミラグランジュ法 ほう などの従来 じゅうらい の固定 こてい 格子 こうし による手法 しゅほう と比 くら べると、今 いま でも理解 りかい が進 すす んでいるとは言 い い難 がた い。
現代 げんだい の幾何 きか 学 がく 的 てき PIC法 ほう のアルゴリズムは、非常 ひじょう に多 おお くの理論 りろん 的 てき 枠組 わくぐ みに基 もと づいている。これらのアルゴリズムでは、離散 りさん 多様 たよう 体 たい 、微分 びぶん 形式 けいしき の補間 ほかん 、正 せい 準 じゅん または非 ひ 正 せい 準 じゅん のシンプレクティック数値 すうち 積分 せきぶん 法 ほう の手法 しゅほう を使用 しよう して、ゲージ不変 ふへん 性 せい 、電荷 でんか 保存 ほぞん 則 そく 、エネルギー-運動 うんどう 量 りょう 保存 ほぞん 則 そく が保証 ほしょう されると同時 どうじ に、さらに重要 じゅうよう な粒子 りゅうし -場 ば 系 けい の無限 むげん 次元 じげん シンプレクティック構造 こうぞう も保証 ほしょう される[ 4] [ 5] 。これらの優 すぐ れている点 てん は、幾何 きか 学 がく 的 てき PIC法 ほう のアルゴリズムが場 ば の理論 りろん の基本 きほん 的 てき な枠組 わくぐ みに基 もと づいて構築 こうちく されており、完全 かんぜん 形式 けいしき 、つまり物理 ぶつり 学 がく の変 へん 分 ぶん 原理 げんり と直接 ちょくせつ 結 むす びついている事 こと である。
PICプラズマシミュレーション技術 ぎじゅつ の基礎 きそ [ 編集 へんしゅう ]
プラズマの研究 けんきゅう では、様々 さまざま な粒子 りゅうし 種 しゅ (電子 でんし 、イオン、中性 ちゅうせい の原子 げんし 、分子 ぶんし 、ダスト粒子 りゅうし など)の系 けい について調査 ちょうさ される。PICコードに関連 かんれん する方程式 ほうていしき の組 くみ には、ローレンツ力 つとむ を含 ふく む運動 うんどう 方程式 ほうていしき と、電場 でんじょう (電界 でんかい )および磁場 じば (磁界 じかい )を解 と くためのマクスウェル方程式 ほうていしき がある。運動 うんどう 方程式 ほうていしき を解 と くコードとマクスウェル方程式 ほうていしき を解 と くコードは分 わ かれており、それぞれ particle mover (または pusher ) 、field solver と呼 よ ばれる場合 ばあい もある。
多 おお くの場合 ばあい 、取 と り扱 あつか う系 けい には膨大 ぼうだい な数 かず の粒子 りゅうし が含 ふく まれており、実行 じっこう 不可能 ふかのう な計算 けいさん 量 りょう となってしまう。シミュレーションを効率 こうりつ 的 てき に行 おこな うために、いわゆる「超 ちょう 粒子 りゅうし (super particle、または macro-particle)」が使用 しよう される。超 ちょう 粒子 りゅうし とは、多数 たすう の現実 げんじつ の粒子 りゅうし が集約 しゅうやく された、計算 けいさん 上 じょう で扱 あつか う粒子 りゅうし の事 こと である。例 たと えばプラズマシミュレーションの場合 ばあい 、1つの超 ちょう 粒子 りゅうし は数 すう 百 ひゃく 万 まん の電子 でんし またはイオンに対応 たいおう する。また、流体 りゅうたい シミュレーションの場合 ばあい 、超 ちょう 粒子 りゅうし は渦 うず 要素 ようそ などに対応 たいおう する。ローレンツ力 りょく から受 う ける加速 かそく は電荷 でんか 質量 しつりょう 比 ひ のみに依存 いぞん するため、たとえ超 ちょう 粒子 りゅうし の数 かず をリスケーリングしたとしても、超 ちょう 粒子 りゅうし が現実 げんじつ の粒子 りゅうし と同 おな じ軌跡 きせき を辿 たど るようにする事 こと が可能 かのう である。
超 ちょう 粒子 りゅうし に対応 たいおう させる現実 げんじつ の粒子 りゅうし の数 かず (これを 超 ちょう 粒子 りゅうし の重 おも み という) は、超 ちょう 粒子 りゅうし の運動 うんどう について十分 じゅうぶん な統計 とうけい を収集 しゅうしゅう できるように決 き める必要 ひつよう がある。系 けい 内 ない の異種 いしゅ 粒子 りゅうし 間 あいだ (例 たと えばイオンと中性 ちゅうせい 粒子 りゅうし の間 あいだ ) に大 おお きな密度 みつど 差 さ がある場合 ばあい 、粒子 りゅうし 種 しゅ ごとに別々 べつべつ の重 おも みを適用 てきよう する場合 ばあい もある。
超 ちょう 粒子 りゅうし を用 もち いる場合 ばあい でも、通常 つうじょう シミュレートする超 ちょう 粒子 りゅうし の数 かず は105 個 こ 以上 いじょう と非常 ひじょう に多 おお い。運動 うんどう については各 かく 粒子 りゅうし について個別 こべつ に計算 けいさん する必要 ひつよう があるため、多 おお くの場合 ばあい においてPICシミュレーションで最 もっと も時間 じかん がかかる部分 ぶぶん は particle mover コードである。従 したが って、この部分 ぶぶん は高 たか い精度 せいど と速度 そくど をもつ必要 ひつよう があり、様々 さまざま なスキームの最適 さいてき 化 か に多大 ただい な労力 ろうりょく が費 つい やされている。
運動 うんどう 方程式 ほうていしき を解 と く際 さい に使用 しよう されるスキームは、陰 かげ 解法 かいほう と陽解 ようかい 法 ほう の2つに分類 ぶんるい される。陰 かげ 解法 かいほう (例 たと えば修正 しゅうせい オイラー法 ほう ) では、同 おな じ時間 じかん ステップ内 ない で更新 こうしん される場 じょう の情報 じょうほう から粒子 りゅうし 速度 そくど を計算 けいさん するが、陽解 ようかい 法 ほう では、前回 ぜんかい の時刻 じこく における力 ちから の情報 じょうほう のみを使用 しよう するため、ソルバーは比較的 ひかくてき 単純 たんじゅん で高速 こうそく に動作 どうさ する。ただしその代 か わりに、陽解 ようかい 法 ほう では小 ちい さい時間 じかん ステップ幅 はば が必要 ひつよう となる。PICシミュレーションでは、リープ・フロッグ法 ほう がよく使用 しよう される。これは、2次 じ の陽解 ようかい 法 ほう に分類 ぶんるい される[ 6] 。また、ローレンツ力 つとむ のうちの電場 でんじょう による加速 かそく と磁場 じば による加速 かそく を半 はん ステップごとに分離 ぶんり して計算 けいさん するボリス法 ほう もよく使用 しよう される[ 7] [ 8] 。
プラズマへ適用 てきよう させた場合 ばあい の典型 てんけい 的 てき なリープ・フロッグ法 ほう は、次 つぎ の形式 けいしき をとる:
x
k
+
1
−
x
k
Δ でるた
t
=
v
k
+
1
/
2
{\displaystyle {\frac {{\boldsymbol {x}}_{k+1}-{\boldsymbol {x}}_{k}}{\Delta t}}={\boldsymbol {v}}_{k+1/2}}
v
k
+
1
/
2
−
v
k
−
1
/
2
Δ でるた
t
=
q
m
(
E
k
+
v
k
+
1
/
2
+
v
k
−
1
/
2
2
×
B
k
)
{\displaystyle {\frac {{\boldsymbol {v}}_{k+1/2}-{\boldsymbol {v}}_{k-1/2}}{\Delta t}}={\frac {q}{m}}\left({\boldsymbol {E}}_{k}+{\frac {{\boldsymbol {v}}_{k+1/2}+{\boldsymbol {v}}_{k-1/2}}{2}}\times {\boldsymbol {B}}_{k}\right)}
ここで、添 そ え字 じ
k
{\displaystyle k}
は前回 ぜんかい の時刻 じこく における量 りょう である事 こと を示 しめ し、
k
+
1
{\displaystyle k+1}
はその次 つぎ の時刻 じこく における量 りょう である事 こと を示 しめ す(つまり、
t
k
+
1
=
t
k
+
Δ でるた
t
{\displaystyle t_{k+1}=t_{k}+\Delta t}
である)。速度 そくど は、通常 つうじょう の時刻 じこく
t
k
,
t
k
+
1
,
.
.
.
{\displaystyle t_{k},t_{k+1},...}
ではなく、それらの中間 ちゅうかん の時刻 じこく
t
k
−
1
/
2
,
t
k
+
1
/
2
,
.
.
.
{\displaystyle t_{k-1/2},t_{k+1/2},...}
で計算 けいさん される。
速度 そくど (
v
k
+
1
/
2
{\displaystyle {\boldsymbol {v}}_{k+1/2}}
等 ひとし ) はボリス法 ほう から求 もと める事 こと ができる。典型 てんけい 的 てき なボリス法 ほう は次 つぎ の形式 けいしき をとる:
x
k
+
1
=
x
k
+
Δ でるた
t
v
k
+
1
/
2
{\displaystyle {\boldsymbol {x}}_{k+1}={\boldsymbol {x}}_{k}+{\Delta t}\,{\boldsymbol {v}}_{k+1/2}}
v
k
+
1
/
2
=
u
′
+
q
′
E
k
{\displaystyle {\boldsymbol {v}}_{k+1/2}={\boldsymbol {u}}'+q'{\boldsymbol {E}}_{k}}
ここで、
u
′
=
u
+
(
u
+
(
u
×
h
)
)
×
s
{\displaystyle {\boldsymbol {u}}'={\boldsymbol {u}}+({\boldsymbol {u}}+({\boldsymbol {u}}\times {\boldsymbol {h}}))\times {\boldsymbol {s}}}
u
=
v
k
−
1
/
2
+
q
′
E
k
{\displaystyle {\boldsymbol {u}}={\boldsymbol {v}}_{k-1/2}+q'{\boldsymbol {E}}_{k}}
h
=
q
′
B
k
{\displaystyle {\boldsymbol {h}}=q'{\boldsymbol {B}}_{k}}
s
=
2
h
/
(
1
+
h
2
)
{\displaystyle {\boldsymbol {s}}=2{\boldsymbol {h}}/(1+h^{2})}
q
′
=
Δ でるた
t
×
(
q
/
2
m
)
{\displaystyle q'=\Delta t\times (q/2m)}
である。
ボリス法 ほう は長期 ちょうき 的 てき に優 すぐ れた精度 せいど を持 も つため、荷電 かでん 粒子 りゅうし を追跡 ついせき する際 さい の事実 じじつ 上 じょう の標準 ひょうじゅん となっている。非 ひ 相対 そうたい 論 ろん 的 てき なボリス法 ほう が長期 ちょうき 的 てき に優 すぐ れた精度 せいど を持 も つ理由 りゆう としては、シンプレクティック性 せい を持 も たないにもかかわらず、相 あい 空間 くうかん の体積 たいせき が保存 ほぞん されるためである事 こと が分 わ かっている。一般 いっぱん にシンプレクティック多様 たよう 体 たい 上 うえ のハミルトンフロー の性質 せいしつ はボリススキームにも当 あ てはまり、プラズマのマルチスケール (英語 えいご 版 ばん ) ダイナミクスの解析 かいせき には効果 こうか 的 てき である。また相対 そうたい 論 ろん 的 てき なボリス法 ほう についても、相 あい 空間 くうかん の体積 たいせき が保存 ほぞん するように修正 しゅうせい する事 こと で、交差 こうさ した電磁場 でんじば の中 なか で一定 いってい 速度 そくど の解 かい が得 え られる事 こと が分 わ かっている[ 9] 。
マクスウェル方程式 ほうていしき (または、より一般 いっぱん 的 てき な偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき ) を解 と くためによく使用 しよう される方法 ほうほう は、次 つぎ の3つのいずれかに分類 ぶんるい される。
有限 ゆうげん 差分 さぶん 法 ほう では、連続 れんぞく 領域 りょういき が点 てん の離散 りさん 格子 こうし に置 お き換 か えられ、電場 でんじょう および磁場 じば が計算 けいさん される。微分 びぶん は隣接 りんせつ 格子 こうし 点 てん における値 ね の差 さ で近似 きんじ されるため、偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき は代数 だいすう 方程式 ほうていしき に変換 へんかん される事 こと になる。
有限 ゆうげん 要素 ようそ 法 ほう では、連続 れんぞく 領域 りょういき が要素 ようそ の離散 りさん 格子 こうし に分割 ぶんかつ される。偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき は固有値 こゆうち 、固有 こゆう ベクトルおよび固有 こゆう 空間 くうかん として扱 あつか われ、最初 さいしょ に、各 かく 要素 ようそ に局所 きょくしょ 的 てき な基底 きてい 関数 かんすう を使用 しよう して試行 しこう 解 かい が計算 けいさん される。次 つぎ に、必要 ひつよう な精度 せいど に達 たっ するまで最適 さいてき 化 か する事 こと で最終 さいしゅう 解 かい が得 え られる。
スペクトル法 ほう も、偏 へん 微分 びぶん 方程式 ほうていしき を固有値 こゆうち 問題 もんだい に変換 へんかん する。ただし、ここでは基底 きてい 関数 かんすう が高次 こうじ であり、かつ領域 りょういき 全体 ぜんたい で定義 ていぎ される。この場合 ばあい 、領域 りょういき 自体 じたい は離散 りさん 化 か されず、連続 れんぞく 領域 りょういき のまま扱 あつか われる。あとは有限 ゆうげん 要素 ようそ 法 ほう と同様 どうよう に、固有値 こゆうち 方程式 ほうていしき に基底 きてい 関数 かんすう を代入 だいにゅう する事 こと で試行 しこう 解 かい が見 み つかり、最適 さいてき 化 か する事 こと で最終 さいしゅう 解 かい が得 え られる。
「particle-in-cell」という名前 なまえ は、プラズマのもつ巨視的 きょしてき な物理 ぶつり 量 りょう (数 かず 密度 みつど 、電流 でんりゅう 密度 みつど 等 ひとし ) が粒子 りゅうし に割 わ り当 あ てられている事 こと に由来 ゆらい する。粒子 りゅうし は連続 れんぞく 領域 りょういき 上 じょう の任意 にんい の位置 いち を取 と り得 え るが、一方 いっぽう で巨視的 きょしてき 物理 ぶつり 量 りょう は電磁場 でんじば と同 おな じように格子 こうし 点 てん でのみ計算 けいさん される。そのため巨視的 きょしてき 物理 ぶつり 量 りょう を得 え るためには、格子 こうし 点 てん への「粒子 りゅうし の重 おも み付 づ け 」を行 おこな う必要 ひつよう がある。そこで、1つの粒子 りゅうし はある「形 かたち 」を持 も っていると考 かんが えて、その「形 かたち 」が次 つぎ の形状 けいじょう 関数 かんすう で定 さだ められているという仮定 かてい を置 お く:
S
(
x
−
X
)
{\displaystyle S({\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {X}})}
ここで、
x
{\displaystyle {\boldsymbol {x}}}
は粒子 りゅうし の位置 いち であり、
X
{\displaystyle {\boldsymbol {X}}}
は格子 こうし 点 てん の位置 いち である。形状 けいじょう 関数 かんすう には通常 つうじょう 、最 もっと も単純 たんじゅん で簡単 かんたん な、一 いち 次 じ (線形 せんけい ) の重 おも み付 づ けスキームが選択 せんたく される。この手法 しゅほう は、いわゆるセル内 ない クラウド (cloud-in-cell、CIC) 法 ほう と呼 よ ばれる。どのようなスキームであれ、形状 けいじょう 関数 かんすう は空間 くうかん の等 ひとし 方 かた 性 せい 、電荷 でんか の保存 ほぞん 、および高 こう 次項 じこう の精度 せいど 向上 こうじょう (収束 しゅうそく 性 せい ) の条件 じょうけん を満 み たす必要 ひつよう がある[ 10] 。
電場 でんじょう と磁場 じば は格子 こうし 点 てん でのみ計算 けいさん されるため、粒子 りゅうし に作用 さよう する力 ちから の計算 けいさん には直接 ちょくせつ 使用 しよう できない。そのため、「電場 でんじょう と磁場 じば の重 おも み付 づ け 」によって内 うち 挿 する必要 ひつよう がある:
E
(
x
)
=
∑
i
E
i
S
(
X
i
−
x
)
{\displaystyle {\boldsymbol {E}}({\boldsymbol {x}})=\sum _{i}{\boldsymbol {E}}_{i}S({\boldsymbol {X}}_{i}-{\boldsymbol {x}})}
ここで、添 そ え字 じ
i
{\displaystyle i}
は格子 こうし 点 てん のラベルである。粒子 りゅうし に作用 さよう する力 ちから がセルフコンシステントに得 え られるためには、粒子 りゅうし から格子 こうし 点 てん への数 すう 密度 みつど および電流 でんりゅう 密度 みつど を割 わ り当 あ てる方法 ほうほう と、格子 こうし 点 てん から粒子 りゅうし への電磁場 でんじば の補間 ほかん 方法 ほうほう との間 あいだ に矛盾 むじゅん があってはならない。なぜなら、いずれの物理 ぶつり 量 りょう もマクスウェル方程式 ほうていしき の中 なか に現 あらわ れているからである。特 とく に、電磁場 でんじば の補間 ほかん スキームでは運動 うんどう 量 りょう が保存 ほぞん される必要 ひつよう がある。これは、粒子 りゅうし と電磁場 でんじば に同 おな じ重 おも み付 づ けスキームを選択 せんたく し、かつ適切 てきせつ な空間 くうかん 対称 たいしょう 性 せい を保証 ほしょう する (すなわち、自己 じこ 力 りょく が無 な く、作用 さよう ・反作用 はんさよう の法則 ほうそく を満 み たす) 事 こと で実現 じつげん 可能 かのう である。
電磁場 でんじば の計算 けいさん では自己 じこ 力 りょく を含 ふく まない事 こと が必要 ひつよう であるため、セル内 ない では粒子 りゅうし の生 う み出 だ す電磁場 でんじば が粒子 りゅうし から遠 とお ざかるにつれて小 ちい さくなる必要 ひつよう がある。すると、セル内 ない での粒子 りゅうし 間 あいだ 力 りょく が過小 かしょう 評価 ひょうか されてしまうが、これは荷電 かでん 粒子 りゅうし 間 あいだ のクーロン衝突 しょうとつ (英語 えいご 版 ばん ) を加 くわ える事 こと でうまくバランスを取 と る事 こと ができる。大 おお きな系 けい で全 すべ ての組 くみ の相互 そうご 作用 さよう を考慮 こうりょ しようとすると計算 けいさん 負荷 ふか が高 たか くなりすぎる事 こと から、代 か わりにいくつかのモンテカルロ法 ほう が開発 かいはつ された。その中 なか でも広 ひろ く使用 しよう されるものは2体 たい 衝突 しょうとつ モデルである[ 11] 。2体 たい 衝突 しょうとつ モデルでは、同 どう 一 いち セル内 ない にある粒子 りゅうし の中 なか から無作為 むさくい にペアが抽出 ちゅうしゅつ され、ペアの粒子 りゅうし 同士 どうし が衝突 しょうとつ する。
実際 じっさい のプラズマでは、荷電 かでん 粒子 りゅうし -中性 ちゅうせい 粒子 りゅうし 間 あいだ の弾性 だんせい 衝突 しょうとつ 、電子 でんし -中性 ちゅうせい 粒子 りゅうし 間 あいだ の電離 でんり 衝突 しょうとつ などを含 ふく む非 ひ 弾性 だんせい 衝突 しょうとつ から化学 かがく 反応 はんのう に至 いた るまで、クーロン衝突 しょうとつ 以外 いがい の衝突 しょうとつ も重要 じゅうよう な要素 ようそ となる場合 ばあい があり、各 かく 衝突 しょうとつ は区別 くべつ して扱 あつか われる必要 ひつよう がある。荷電 かでん 粒子 りゅうし -中性 ちゅうせい 粒子 りゅうし 間 あいだ の衝突 しょうとつ を処理 しょり する衝突 しょうとつ モデルの殆 ほとん どは、全 すべ ての粒子 りゅうし の衝突 しょうとつ 確 かく 率 りつ を直接 ちょくせつ 計算 けいさん するDSMC法 ほう か、荷電 かでん 粒 つぶ 子種 こだね ごとの最大 さいだい 衝突 しょうとつ 確 かく 率 りつ で処理 しょり するヌル衝突 しょうとつ 法 ほう を使用 しよう する[ 12] [ 13] 。
他 た のシミュレーション手法 しゅほう と同様 どうよう に、PIC法 ほう でも時間 じかん ステップと格子 こうし サイズの幅 はば を適切 てきせつ に選択 せんたく する必要 ひつよう がある。これらは、興味 きょうみ のある現象 げんしょう が時間 じかん と長 なが さのスケールで適切 てきせつ に解 と かれるようにするだけでなく、コードの処理 しょり 速度 そくど と精度 せいど にも影響 えいきょう する。
陽 ひ 的 てき 時間 じかん 積分 せきぶん スキーム (例 たと えば、広 ひろ く普及 ふきゅう しているリープフロッグ法 ほう 等 とう ) を使用 しよう した静 せい 電 でん プラズマシミュレーションに対 たい しては、解 かい の安定 あんてい 性 せい を確保 かくほ するために、時刻 じこく ステップ幅 はば
Δ でるた
t
{\displaystyle \Delta t}
および格子 こうし サイズ幅 はば
Δ でるた
x
{\displaystyle \Delta x}
について、次 つぎ の2つの重要 じゅうよう な条件 じょうけん を満 み たす必要 ひつよう がある。
Δ でるた
x
<
3.4
λ らむだ
D
{\displaystyle \Delta x<3.4\,\lambda _{D}}
Δ でるた
t
≤
2
ω おめが
p
e
−
1
{\displaystyle \Delta t\leq 2\,\omega _{pe}^{-1}}
これらの条件 じょうけん は、非 ひ 磁化 じか の1次元 じげん プラズマ調和 ちょうわ 振動 しんどう を考 かんが えると導 みちび かれる。後者 こうしゃ の条件 じょうけん は厳密 げんみつ に満 み たされる必要 ひつよう があり、シミュレーションを実施 じっし する上 じょう では、エネルギーを保存 ほぞん させる目的 もくてき でより厳 きび しい制約 せいやく が要求 ようきゅう される。そこで係数 けいすう 2の部分 ぶぶん は1桁 けた 小 ちい さい数値 すうち に置 お き換 か えられ、一般 いっぱん 的 てき には
Δ でるた
t
≤
0.1
ω おめが
p
e
−
1
{\displaystyle \Delta t\leq 0.1\,\omega _{pe}^{-1}}
が使用 しよう される[ 14] 。このように、プラズマの自然 しぜん な時間 じかん スケールは逆 ぎゃく プラズマ周波数 しゅうはすう
ω おめが
p
e
−
1
{\displaystyle \omega _{pe}^{-1}}
によって、長 なが さスケールはデバイ長 ちょう
λ らむだ
D
{\displaystyle \lambda _{D}}
によって与 あた えられる。
また、陽 ひ 的 てき な電磁 でんじ プラズマシミュレーションでは、時間 じかん ステップ幅 はば はCFL条件 じょうけん も満 み たす必要 ひつよう がある。
Δ でるた
t
<
Δ でるた
x
/
c
{\displaystyle \Delta t<\Delta x/c}
ここで、
Δ でるた
x
∼
λ らむだ
D
{\displaystyle \Delta x\sim \lambda _{D}}
であり、
c
{\displaystyle c}
は光速 こうそく である。
プラズマ物理 ぶつり 学 がく の分野 ぶんや では、PICシミュレーションは、レーザー-プラズマ相互 そうご 作用 さよう 、オーロラ を発生 はっせい させる電離層 でんりそう 内 うち の電子 でんし 加速 かそく とイオン加熱 かねつ 、磁気 じき 流体 りゅうたい 力学 りきがく 、磁気 じき リコネクション 、トカマク 中 なか のイオン温度 おんど 勾配 こうばい 不安定 ふあんてい 性 せい やその他 た の微視的 びしてき 不安定 ふあんてい 性 せい 、真空 しんくう アーク(英語 えいご 版 ばん ) 、およびダストプラズマ の研究 けんきゅう で役立 やくだ っている。
純粋 じゅんすい なPIC法 ほう だけでなく、流体 りゅうたい モデル とのハイブリッドモデルが使用 しよう されることもある。ハイブリッドモデルでは、いくつかの粒子 りゅうし 種 しゅ の運動 うんどう の処理 しょり にはPIC法 ほう が使用 しよう され、他 た の粒子 りゅうし 種 しゅ は流体 りゅうたい モデルでシミュレートされる。流体 りゅうたい モデルで扱 あつか う粒子 りゅうし 種 しゅ は、特定 とくてい の速度 そくど 分布 ぶんぷ (通常 つうじょう はマクスウェル-ボルツマン分布 ぶんぷ )に従 したが うと仮定 かてい される。
また、PICシミュレーションはプラズマ物理 ぶつり 学 がく 以外 いがい の固体 こたい 力学 りきがく および流体 りゅうたい 力学 りきがく の分野 ぶんや でも利用 りよう されている[ 15] [ 16] 。
Charles K. Birdsall and A. Bruce Langdon, 'Plasma Physics via Computer Simulation', McGraw-Hill (1985), ISBN 0-07-005371-5
Roger W. Hockney and James W. Eastwood, 'Computer Simulation Using Particles', CRC Press (1988), ISBN 0-85274-392-0
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