パエリア

パエリア、パエリャもしくはジェイスモでパエーヤ、パエージャ（バレンシア語ご: paella）とは、スペイン東部とうぶ・バレンシア州しゅうのバレンシア地方ちほう発祥はっしょうの米べい料理りょうり。世界せかい的てきに人気にんきのあるスペイン料理りょうりの1つで、本場ほんばバレンシア地方ちほうではパエリアの祭まつりなどもある。

名称めいしょう

「パエリア」という言葉ことばは、本来ほんらいバレンシア語ごでフライパンを意味いみする。バレンシア地方ちほうの外そとにこの調理ちょうり器具きぐを用もちいた料理りょうり法ほうが伝つたわるうちに、調理ちょうり器具きぐよりも料理りょうりの名称めいしょうとしてスペイン人じん全体ぜんたいや他た国民こくみんに浸透しんとうしていった。

パエリアを炊たく人ひとのことを、女性じょせいなら「パエジェーラ」(paellera), 男性だんせいなら「パエジェーロ」(paellero) と呼よぶ。

歴史れきし

パエリアの起源きげんは、スペインに稲作いなさくをもたらしたアラブ人じんに由来ゆらいする。紀元きげん9世紀せいき以後いご、アル＝アンダルスのムスリムの間あいだで作つくられてきた。ピラフと同様どうようにその歴史れきしは古ふるい。

つい近年きんねんまでは^[いつ?]、オレンジの果樹かじゅ園えんで働はたらく農民のうみんたちが、オレンジの木この下したでパエリアを昼食ちゅうしょくとして調理ちょうりする姿すがたが頻繁ひんぱんに見みかけられたという。

製法せいほう

パエジェーラと呼よばれる専用せんようのパエリア鍋なべ（両側りょうがわに取とっ手てのある平底ひらぞこの浅あさくて丸まるいフライパン）で調理ちょうりする米べい料理りょうりで、野菜やさい、魚介ぎょかい類るい、肉にくなどの具ぐ材ざいをたっぷりと入いれて炒いため、それにジャバニカ米まい、水みず、黄色おうしょくの着色ちゃくしょく料りょうとしてサフランを加くわえて炊たき上あげる。その際さいに蓋ぶたをし、いわば具ぐ材ざいを蓋ぶたの代かわりにして炊たきあげるのが一般いっぱん的てきである。サフランは高価こうかなため、安価あんかな着色ちゃくしょく料りょうが使つかわれることもある。

パスタのアルデンテと同様どうよう、米べいに僅わずかに芯しんが残のこるように炊たくものという人ひともいるらしいが^{[要よう出典しゅってん]}、本場ほんばバレンシア地方ちほうでは芯しんの残のこったものは炊たき方かたが悪わるいものとして嫌きらわれる。またバレンシアでは汁気しるけが残のこったり、米べいが柔やわらかくなりすぎたものもうまく炊たけていないものとされる^{[要よう出典しゅってん]}。一方いっぽう、バルセロナを中心ちゅうしんとするカタルーニャ地方ちほうなどでは、汁気しるけを飛とばし過すぎないパエリアが一般いっぱん的てきである。

鍋なべの底そこには、ソカラ (socarrat) と呼よばれるお焦こげが出来できるようにする。伝統でんとう的てきな調理ちょうり法ほうでは、ある程度ていど炊たき上あげてからパエリア鍋なべをオーブンに入いれ、加熱かねつして水分すいぶんを飛とばすが、屋外おくがいで薪たきぎを使つかって炊だいたパエリアだけが真しんのパエリアだとする意見いけんもある^{[誰だれによって?]}。いずれにしても「調理ちょうり中ちゅうは混まぜない」ことが重要じゅうようである。

食材しょくざいの種類しゅるい

タコ、エビ、ムむール貝るがい（ムラサキイガイ）、ヨーロッパアカザエビ、イカ、白身しろみ魚ぎょを用もちいた魚介ぎょかい系けいのパエリアが有名ゆうめいだが、バレンシアの猟師りょうしが獲物えものを米べいと一緒いっしょに煮込にこんだのが始はじまりと言いわれる^{[誰だれによって?]}バレンシア風ふうパエリア (paella valenciana) は、ウサギ肉にく、鶏肉とりにく、カタツムリ、インゲンマメ、ピメント（パプリカ）などの山やまの幸さちを中心ちゅうしんにして作つくる。基本きほん的てきに塩しおとサフラン以外いがいの調味ちょうみ料りょう・香辛料こうしんりょうは入いれないため、材料ざいりょうの風味ふうみを生いかした素朴そぼくな味あじわいになる。魚介ぎょかい類るいも肉にくも入いれたパエリアをパエージャ・ミスタ（paella mixta, ミックスパエリア）と呼よぶが、比較的ひかくてき新あたらしい種類しゅるいのパエリアであり、邪道じゃどうと考かんがえるスペイン人じんもいる^{[要よう出典しゅってん]}。