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PhysX

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
PhysX
開発元かいはつもと NVIDIA Corporation
最新さいしんばん
9.18.0907 / 2018ねん9がつ18にち (5ねんまえ) (2018-09-18)
リポジトリ ウィキデータを編集
対応たいおうOS Microsoft Windows, macOS, Linux, PlayStation 2, PlayStation 3, PlayStation 4, Xbox 360, Xbox One, Wii, iOS, Android
種別しゅべつ 物理ぶつり演算えんざんエンジン
ライセンス 3条項じょうこうBSDライセンス
公式こうしきサイト Nvidia PhysX developer site
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PhysX(フィジックス/フィジクス[1])とはNVIDIA開発かいはつ提供ていきょうしている、リアルタイムの物理ぶつり演算えんざんエンジン

概要がいよう[編集へんしゅう]

ソフトウェアがPhysXのハードウェアアクセラレーション対応たいおうしている場合ばあいCUDA使用しよう可能かのうGeForce8シリーズ以降いこう製品せいひん)のうち、32以上いじょうのコア、256MB以上いじょうのグラフィックスメモリを搭載とうさいする製品せいひんでハードウェアアクセラレートが可能かのうである[2]

PhysXのハードウェアアクセラレーションは、日夜にちや進化しんかつづけるコンピュータゲームにおける物理ぶつり演算えんざんCPUから肩代かたがわりすること動作どうさスピードの上昇じょうしょう目指めざしたものである。汎用はんようプロセッサであるCPUのパフォーマンスでは不可能ふかのうちかい「爆発ばくはつによってった破片はへん毎回まいかいランダムに演算えんざんする」とう複雑ふくざつかつこう負荷ふか描写びょうしゃを、事前じぜん作成さくせい動画どうがしなどではなく、実際じっさいにその演算えんざんしてリアルタイムに描写びょうしゃすることが可能かのうになるとされている。対抗たいこうとされる物理ぶつり演算えんざんシステムとしてはHavokげられる。

PhysXは様々さまざまなプラットフォームで500以上いじょうのゲームに使つかわれている[3]

歴史れきし[編集へんしゅう]

開発元かいはつもとこめカリフォルニアしゅう本拠ほんきょいていたAgeia英語えいごばんしゃ2008ねん2がつ4にちに、NVIDIA GeForceシリーズを開発かいはつするNVIDIAがAgeiaを買収ばいしゅうし、PhysXとGeForceシリーズの統合とうごう発表はっぴょうされた[4]。NVIDIAによる買収ばいしゅうは、専用せんようチップおよび専用せんようボードは生産せいさんされていない。

PhysX SDK 2.8.3からPhysics processing unit英語えいごばん(PPU)のサポートがられた[5]

対応たいおうプラットフォーム[編集へんしゅう]

PhysXは以下いかのプラットフォームじょう動作どうさする[6]

いずれのプラットフォームようSDKも無料むりょう配布はいふされている。これらのうち、PCようのSDKはNVIDIAしゃのPhysX SDK ダウンロードページ[7]より直接ちょくせつ入手にゅうしゅすることができる。NVIDIAしゃスタッフによるサポートおよ開発かいはつ支援しえんツールが有償ゆうしょう提供ていきょうされているが、これらを利用りようしないかぎりは商用しょうよう利用りようふくめて無料むりょうである。

PhysXはUnreal EngineUnity (ゲームエンジン)にも統合とうごうされている。

PhysXの機能きのう[編集へんしゅう]

PhysXでは2023ねん現在げんざい[いつ?]以下いか機能きのうがサポートされている。

  • 剛体ごうたい物理ぶつり
    • 衝突しょうとつ判定はんてい
    • 各種かくしゅ関節かんせつ
    • ラグドール
    • 摩擦まさつりょく考慮こうりょ
    • 衝突しょうとつ検知けんち
    • オブジェクトをグループし、衝突しょうとつ判定はんていのON・OFF
    • 1じく方向ほうこうのみに物理ぶつり作用さよう限定げんてい
    • 接触せっしょく通知つうち
  • 先進せんしんてきなキャラクタコントロール
  • もののための動力どうりょくがく
  • マルチスレッドマルチプラットフォーム
  • 流体りゅうたいシミュレーション
  • ぬのシミュレーション
  • 軟体の表現ひょうげん
  • フォースフィールドの表現ひょうげん

問題もんだいてん今後こんご[編集へんしゅう]

PhysXの発表はっぴょう当初とうしょ以下いかのような問題もんだいがあった。

  • 導入どうにゅうしても対応たいおうしているゲームの挙動きょどう影響えいきょうがあるだけでPC自体じたいのパフォーマンス向上こうじょうには関係かんけいないこと
  • ゲームが対応たいおうしていなければPhysXチップの導入どうにゅうには意味いみいこと
  • ゲームはPhysXに「対応たいおうしている」以上いじょうのことができないこと

たとえば、PhysXによって爆発ばくはつ破片はへんによるダメージ判定はんていなども出来できるが、それはネット対戦たいせんなどにおいてはすべてのプレーヤーがPhysXを導入どうにゅうしていなければ対応たいおうむずかしい。(ゲームソフトとはべつ物理ぶつり演算えんざんボードを購入こうにゅうする必要ひつようがあった。)

  • かぎられたユーザーしか利用りよう可能かのうでないため、デベロッパは安易あんいにPhsyXを必須ひっす動作どうさ条件じょうけんれることができない。

これらの問題もんだいてんはNVIDIAがAGEIAを買収ばいしゅうしたことにより一定いってい解決かいけつる。ただしそれによってあらたなデメリットもしょうじた。

  • メリット
    • ひろいシェアをつGeForceシリーズのグラフィックボードで動作どうさするようになったため、利用りよう可能かのうユーザーが爆発ばくはつてき増加ぞうかした。
    • 専用せんようボードを別途べっと購入こうにゅうする必要ひつようがなくなった。
      • ふるいビデオカードの更新こうしん再生さいせい支援しえんHDCP利用りようしてブルーレイデジたのしむといったべつ用途ようと購入こうにゅうしたとしてもPhysX対応たいおうとなる。
  • デメリット
    • 本来ほんらい、グラフィック描画びょうがもちいられるはずのユニファイドシェーダーの一部いちぶ物理ぶつり演算えんざんことになるため、結果けっかとしてグラフィックパフォーマンスが低下ていかする。また、NVIDIAしゃ提唱ていしょうするPhysXエフェクトの採用さいようはそのまま破片はへん水滴すいてきなど描画びょうが対象たいしょう爆発ばくはつてき増殖ぞうしょく一体いったいである。そのため物理ぶつり効果こうかあらわれれば同時どうじ膨大ぼうだい描画びょうが負荷ふかやリソース消費しょうひ発生はっせいすることになり、やはりパフォーマンスはおおきく低下ていかしてしまう。以上いじょうてんから、現実げんじつ問題もんだいとして、単独たんどくVGAでのPhysX利用りようはフレームレート維持いじ観点かんてんから実用じつようてきではない(演算えんざん専用せんようのサブグラフィックスデバイスを別途べっと用意よういしなければならない)。これはPhysX本格ほんかく採用さいようタイトルのCryostasisとうとく顕著けんちょである。
    • AGEIA買収ばいしゅう当時とうじにおいても、NVIDIAしゃAMDしゃ関係かんけいじょう、またPhysXとHavokの関係かんけいじょうAMD RadeonのようなAMDせいGPUに対応たいおうする可能かのうせいいちじるしくひくかったが、AGEIAしゃのPPU、あるいは8X00以降いこうのNVIDIAせいVGAを別途べっと搭載とうさいすることにより、ハードウェアPhysXをAMDしゃせいVGA搭載とうさいでも利用りようすること出来できた。だが、同社どうしゃがリリースした186番台ばんだい以降いこうのデバイスドライバは、AMDしゃせいグラフィックシステムを検知けんちすると、たとえPhysX対応たいおうハードウェアがPCにインストールされていても、それらの物理ぶつり演算えんざん機能きのう強制きょうせいてき停止ていしさせてしまう [1]。これにはAGEIAしゃのPPUもふくまれる。
  • 2009ねん10がつ現在げんざい、MODドライバーや公認こうにんパッチによって、AMDけいVGA搭載とうさいシステムでもPhysXの利用りよう変則へんそくてきにではあるものの、可能かのうとなっている。[2]

しかし、AMDはIntelしゃHavok提携ていけい[3]、なおかつ独自どくじにオープンソースベースの物理ぶつりエンジンBullet Physicsにも着手ちゃくしゅしているため [4]物理ぶつりエンジンにおけるAMDとNVIDIAのあゆりは、すで現実げんじつてきなものとなりつつある。

en:List of games with hardware-accelerated PhysX supportのリストのとおり、ハードウェアによるPhysXアクセラレーションに対応たいおうしたゲームタイトルのかずはソフトウェアによるPhysX利用りようタイトルのかずくらべると限定げんていてきである。

APEX[編集へんしゅう]

APEX (Applied PhysX Extension) はツールによるオーサリングを前提ぜんていとしたPhysXの拡張かくちょうであり[8]、その APEX SDK では Clothing(ぬの)、Destruction(破壊はかい)、Particles(パーティクル)、Turbulence(らんりゅう)、ForceField(ちからじょう)のモジュールを搭載とうさいしていた[9]。APEX は Unreal Engine などの一般いっぱんてきなゲームエンジンにも採用さいようされていた[10]現在げんざい独自どくじのChaos Destructionなどに移行いこう)。

その APEX SDK は1.4.1で推奨すいしょうとなり[11]、GameWorks PhysXも解体かいたいされ、破壊はかいは NVIDIA Blast に、ぬのは NVIDIA Clothに、パーティクルは NVIDIA FleX と NVIDIA Flow にえられた[12]

APEXのオーサリングツールには破壊はかいモジュール単体たんたいツールの APEX FractureTool[13]および APEX PhysXLab [10]ぬのモジュール単体たんたいツールの APEX Clothing Tool[14]、DCC統合とうごうプラグインの PhysX DCC Plug-Ins が存在そんざいした[15]。PhysXLab の後継こうけいには NVIDIA Blast けの Blast Authoring Tool がある[16]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]