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Microsoft Windows Embedded CE

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Windows CEから転送てんそう
Microsoft > Microsoft Windows > Windows CE / Windows Embedded CE / Windows Embedded Compact
Microsoft Windows Embedded Compact
開発かいはつしゃ Microsoft
OSの系統けいとう Windows CE
ソースモデル Closed source
MS-SSI
最新さいしん安定あんていばん 2013 / 2013ねん6がつ
プラットフォーム ARMv7, x86
カーネル種別しゅべつ ハイブリッドカーネル
ライセンス Microsoft EULA
ウェブサイト Windows Embedded Compact 2013
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Windows Embedded Compact (ウィンドウズ エンベデッド コンパクト)は、マイクロソフト開発かいはつした機器ききけの32ビットマルチタスク/マルチスレッドリアルタイムオペレーティングシステム (RTOS) 。一般いっぱんにはHandheld PCやPocket PC、Dreamcast、SHARP BrainなどのPDA使つかわれているオペレーティングシステム (OS) としてられている。1996ねん11月発表はっぴょうされている。近年きんねんPNDにも採用さいようされている[ちゅう 1]。バージョン 6.0 では Windows Embedded CE 、バージョン 5.0 までは Windows CE(ウィンドウズ シーイー[1])とばれていた。

概要がいよう

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Windows 9xけいWindows NTけいひとしともに、Windowsファミリーにぞくする。パーソナルコンピュータ (PC) ようWindowsことなりOSのみで一般いっぱん販売はんばいされることはなく、対象たいしょうとなる装置そうちんで使用しようすることを前提ぜんていとしている。また、ようOSとしてWindows Embeddedファミリーにも位置いちする。かつてのPCようWindows NTのように、複数ふくすうCPUアーキテクチャ対応たいおうする。

OSとしてはWindows NT 2.Xから仮想かそう記憶きおくやメモリーりょう制限せいげんし、APIや機能きのうしぼむなど徹底的てっていてき軽量けいりょうされたものに必要ひつよう機能きのうのみを付加ふかするシステムになっており、x86けいとくしたノンプリエンプティブなWindows 9xけいことなりWindows NTと同様どうよう完全かんぜんプリエンプティブマルチタスクマルチスレッドリアルタイムOSである。このため一部いちぶのダイアログがWindows NT 2.Xのものと類似るいじしている[よう出典しゅってん]

初期しょきのWindows NTの特色とくしょくであるたか移植いしょくせいたもたれており、ARMSuperHをはじめとした様々さまざまなCPUアーキテクチャーに対応たいおうしている。Windows CE 6.Xからはカーネルが近代きんだいされ、メモリーは2GB、プロセスすうは32000までに拡張かくちょうされ、プロセスのカーネル階層かいそうへの移動いどうなど負荷ふかおもいタスクへの対応たいおう高速こうそくはかられている。

ようという性格せいかくじょう機器きき開発かいはつするメーカがその機器きき不要ふよう機能きのう削除さくじょ必要ひつよう機能きのうのみをえらんで搭載とうさいすることも可能かのうである。このため、利用りようしゃからは、Windows CEが搭載とうさいされていることを意識いしきすることなく使つかえる機器ききつくることもできる。業務ぎょうむよう専用せんよう端末たんまつや、セットトップボックスとうもちいる場合ばあいは、このようにして必要ひつよう機能きのう搭載とうさいする。また、実装じっそうした機能きのうによって対価たいかロイヤリティ変動へんどうする。

必要ひつよう機能きのうのみを選択せんたくして搭載とうさいすることができるという特徴とくちょうかして、Windows CEを搭載とうさいするPOSレジや、ビデオプロジェクタカーナビ (Windows CE for Automotive)、ゲームドリームキャスト)、ポータブルAVプレーヤー (Portable Media Center)、シンクライアントはしまつ (Windows-based Terminal、Smart Display) なども存在そんざいする。これらにはPDAにられるようなOSとしてのGUI実装じっそうしていないものもおおいが、レジでは最近さいきんタッチパネルを搭載とうさいしてボタンとみOS操作そうさ作業さぎょう効率こうりつはか傾向けいこうがある。

なお、これらの端末たんまつにもパーソナルコンピュータ (PC) ようWindows同様どうようWindowsのライセンスシールがけられる。

名称めいしょう

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「CE」の名称めいしょう家電かでん意味いみするConsumer Electronicsのりゃくわれているが、マイクロソフトによると、「CEはなにかしらの略語りゃくごではないが、"Compact," Connectable," Compatible," "Companion," and "Efficient."(ちいさく、つなぎやすく、互換ごかんせいのある、つきあえる、効率こうりつてきなもの)の意味合いみあいがある」と説明せつめいしている[2]

バージョン

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Timeline of Windows CE Development
Timeline of Windows CE Development

改良かいりょうにより、機能きのう追加ついかのほか、リアルタイムイベントでの応答おうとう速度そくど向上こうじょうなどがおこなわれている。

  • Windows CE 1.0 (Pegasus)
  • Windows CE 2.0, 2.11, 2.12 (Mercury)
  • Windows CE 3.0 (Cedar)
  • Windows CE .NET 4.0 (Talisker)
    • Windows CE .NET 4.1 (Jameson)
    • Windows CE .NET 4.2 (McKendric)
  • Windows CE 5.0 (Macallan)
  • Windows Embedded CE 6.0 (Yamazaki)
  • Windows Embedded Compact 7 (Chelan)
  • Windows Embedded Compact 2013

CE 4.0 から CE 6.0 までのコードネームは有名ゆうめいウィスキー名前なまえよりられている。

Windows Embedded CE 6.0

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次世代じせだいバージョンとして、Version 6.0が開発かいはつされた。5.0までは、プロセスすう最大さいだい32制限せいげんされ、そしてかくプロセスの仮想かそうアドレス空間くうかんは32MBに制限せいげんされていた。6.0ではプロセスすう制限せいげん最大さいだい32000までに拡張かくちょうされ、かくプロセスの仮想かそうアドレス空間くうかんは2GBまでにひろげられる。これにより大量たいりょうのメモリを消費しょうひするアプリケーション実現じつげん可能かのうになる。またカーネルは上位じょうい2GBのアドレス空間くうかんかれ、従来じゅうらいユーザープロセスだったGWESファイルシステムデバイスドライバはカーネル空間くうかん統合とうごうされる。これにより従来じゅうらいプロセスオーバーヘッドがAPIしにともなっていたが、これもシステムコールというかたちになり高速こうそくされる。とくにネットワークへのアクセス速度そくど大幅おおはば高速こうそくされるとしている。

Windows Embedded Compact 7

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CE 6.0 の発展はってんバージョンとして開発かいはつされたWindows Embedded Compact 7 は 8物理ぶつりコアまでの対称たいしょうがたマルチプロセッシング、3GBまでの物理ぶつりメモリ空間くうかんサポート、NDIS 6.1ベースのネットワークスタック、.NET Compact Framework v3.5 が特徴とくちょうである。また Silverlight for Windows Embedded によるUI開発かいはつ可能かのうになった[3][4]

Windows Embedded Compact 2013

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Compact 7の後継こうけいとして、2013ねん6がつ一般いっぱん利用りよう可能かのうとなった。 サポートするCPUの種類しゅるいとしてはx86およびARMv7T2が必要ひつようとされ、MIPSけい、およびARMv5、ARMv6までのアーキテクチャサポートは削除さくじょされた。

開発かいはつ環境かんきょうとして Visual Studio 2012 update2 以降いこうおよび Visual Studio 2013 Visual Studio 2015 利用りよう可能かのうである。ARMコンパイラは Windows RT よう用意よういされたものとおなじARMコンパイラが利用りようされる。そのため(ARMでもx86でも) C++0x 拡張かくちょう利用りよう可能かのうである。

UI開発かいはつ手法しゅほうとして上記じょうきVisual Studio どうこりのRAD開発かいはつツール、Blend for Visual Studio利用りよう推進すいしんされた一方いっぽうで、これまでのHPC Shell機能きのうやコントロールパネルUIはサポートが削除さくじょされた。.NET Compact Frameworkとしては v3.9がサポートされている。

アプリケーション開発かいはつ環境かんきょう

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Windows Embedded CEのアプリケーション開発かいはつは、現在げんざいではネイティブコード開発かいはつとマネージドコード開発かいはつの2とおり開発かいはつ手法しゅほう用意よういされている。

ネイティブコード開発かいはつ

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CPUのネイティブコードでプログラムの実行じっこうファイル(DLLまたはEXE)を作成さくせいする方法ほうほうがネイティブコード開発かいはつである。ネイティブコード開発かいはつではデスクトップPCようWin32 APIのサブセットが利用りよう可能かのうである。またデータベースやリモートツール関連かんれんでCE独自どくじのAPIも用意よういされている。文字もじれつ使用しようするAPIはほとんどの場合ばあいUNICODEバージョンのみが用意よういされ、ANSIバージョンも用意よういされているAPIはCランタイムけいWinsock関連かんれんなど一部いちぶにとどまる。


Windows CEではこれまでに以下いかのCPUアーキテクチャがサポートされていたことがある。

  • MIPSけいCPU - MIPS32、MIPSII、MIPSIIFPなど
  • ARMけいCPU - ARMv4、ARMv4I、ARMv5、ARMv6、ARMv7
  • SuperHシリーズCPU - SH3、SH3DSP、SH4
  • PowerPC
  • x86 - x86、x86EM

これ以外いがいに、CEFとばれる仮想かそうマシンコードを利用りようした開発かいはつ一時いちじサポートされていたが[5]、このコンセプトはCE 4.0以降いこうのマネージドコード開発かいはつへとがれていった。

ネイティブコード開発かいはつツールとしては当初とうしょ Visual Studio 6.0にアドオンして使用しようする Windows CE Toolkit for Visual C++/Visual Basic 5.0や2003 が使用しようされたが、Windows CE 3.0以降いこうでは無償むしょう入手にゅうしゅできる eMbedded Visual Tools 3.0 / eMbedded Visual C++ 4.0 が利用りようされるようになった。CE5 / 6.0 / Compact7 では Visual Studio 2005 / Visual Studio 2008 Pro以上いじょうでネイティブコード開発かいはつおこなわれるようになったが、これらの開発かいはつ製品せいひん有償ゆうしょう入手にゅうしゅする必要ひつようがあった。

Compact 2013 の場合ばあい、Visual Studio 2012/2013/2015 のPro以上いじょう、または無償むしょう入手にゅうしゅできる Community Editionに、Application BuilderをAdd On して利用りようする。

マネージドコード開発かいはつ

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マイクロソフトの.NET Framework構想こうそうじゅんじたアプリケーション開発かいはつ手法しゅほうをマネージドコード開発かいはつという。Windows CEのマネージドコード実行じっこう環境かんきょう.NET Compact Frameworkばれる。これはデスクトップPC.NET Frameworkのサブセットであり、一部いちぶ共通きょうつうのクラスライブラリが用意よういされる[ちゅう 2]開発かいはつ言語げんごとしては C#および Visual Basic(.NET)がサポートされている。

  • .NET Compact Framework v1.0
  • .NET Compact Framework v2.0
  • .NET Compact Framework v3.5

当初とうしょはマネージドコード開発かいはつのみのためにVisual Studio ( Visual C# / Visual Basic ) 2003 が利用りようされた(ネイティブコード開発かいはつはできなかった)が、そのの Visual Studio 2005 および Visual Studio 2008 ではひとつの環境かんきょうでネイティブコード開発かいはつとマネージドコード開発かいはつ両方りょうほう可能かのうになった。

RAD開発かいはつ

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Windows Embedded CE 6.0 R3 や Compact 7 / 2013 ではアプリケーション開発かいはつ手法しゅほうとして Silverlight for Windows Embedded が利用りよう可能かのうである。これはExpression Blend または Blend for Visual Studio利用りようして作成さくせいしたデザインにC++で開発かいはつした処理しょりコードをわせるという、ハイブリッドな開発かいはつ手法しゅほうである。

デバッグ手法しゅほう

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作成さくせいしたアプリケーションの動作どうさ確認かくにんは、PCじょう実行じっこうするCEエミュレータ、またはシリアルケーブルやLAN経由けいゆActiveSyncWindows Mobile Device Centerにより接続せつぞくしたターゲットにリモートで、それぞれダウンロードしておこなう。

Windows CE 2.x/3.0の時代じだいには、Windows PCじょうのWin32 APIに変換へんかんするかたち動作どうさするWindows CEエミュレータが用意よういされていた。このAPIエミュレータを利用りようするには、デバッグ一時いちじてきにx86コードを生成せいせいする必要ひつようがあった。

Windows CE 5.0/6.0 や Windows Mobile 5.0/6.xの世代せだいでは ARMコードで動作どうさするエミュレータが用意よういされ、ARM実機じっきようおなじバイナリをエミュレータでそのままうごかすことができた。

Compact7 や Compact 2013ではWindows Virtual PC利用りようして動作どうさするデバッグようOSイメージ作成さくせいようのBSP(VCEPC)が提供ていきょうされ、実機じっき接続せつぞくするのとおなじイーサネット接続せつぞく利用りようしてデバッグすることができる。ただしWindows Virtual PCで動作どうさするデバッグようOSをビルドするためにもそれなりのスキルが要求ようきゅうされるため、あまり一般いっぱんてきとはえない。

その開発かいはつ製品せいひん

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  • Visual CE:データベース・アプリケーション開発かいはつツール。ソフトウエアマネジメントから1998ねん5がつ12にち発売はつばい[6]開発元かいはつもとは、アメリカの SYWARE の製品せいひん

プラットフォーム開発かいはつ環境かんきょう

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Windows CE はその初期しょきよりマイクロソフトのけOS製品せいひんとしての利用りよう計画けいかくされていた。やがて出荷しゅっかされた以下いかのツールキットを使用しようすると、ユーザーは独自どくじのWindows CE OSを開発かいはつしカスタム機器ききけのみOSとして利用りようすることができるようになった[7]

  • Windows CE 2.11 ETK (Embedded Tool Kit)

最初さいしょけCE開発かいはつ環境かんきょう、ベータばんとして提供ていきょう

  • Windows CE 2.12 Platform Builder

最初さいしょ製品せいひんばんけ CE開発かいはつ環境かんきょう独自どくじIDEでOSビルドが可能かのう (れい)Pocket Post Pet

  • Windows CE 3.0 Platform Builder

IDEで使用しようするコンポーネントを選択せんたくできるようになった(れい)Windows Based Terminal、WebPad

  • Windows CE.NET 4.0 Platform Builder

大幅おおはば機能きのう向上こうじょう。NDIS5.1ネットワーク、MUI機能きのう、VoIP機能きのうなど(れい)Set Top Box

  • Windows CE.NET 4.1 Platform Builder
  • Windows CE.NET 4.2 Platform Builder

れい)Portable Media Center

  • Windows CE 5.0 Platform Builder

れい)Network Media Device[8]Nav Readyなどの派生はせい製品せいひんがある

  • Windows Embedded CE 6.0

これまでの独自どくじIDEからVisual Studio 2005のアドオンへと変更へんこうされた

  • Windows Embedded CE 6.0 R2
  • Windows Embedded CE 6.0 R3

れい)ネットワークプロジェクタ、PND、カラオケ端末たんまつ

  • Windows Embedded Compact 7

Visual Studio 2008のアドオンとして提供ていきょう (れい)タブレット

  • Windows Embedded Compact 2013

Visual Studio 2012/2013/2015のアドオンとして提供ていきょう

近年きんねんではこれらのプラットフォーム開発かいはつツールはVisual Studio Professional with MSDNのダウンロード特典とくてん利用りようして入手にゅうしゅする方法ほうほう一般いっぱんてきである。 2015ねん12がつ現在げんざいMSDN Subscriber Downloadサイトを利用りようして CE.NET 4.1 から Compact 2013までのすべてのリリースを入手にゅうしゅ可能かのうである。

Export SDK機能きのう

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上記じょうきツールキットを使用しようすると、OEMのニーズにおうじたOS機能きのうのみを搭載とうさいしたカスタムWindows CE OSを作成さくせいすることができるが、これらカスタム機器きき通常つうじょうよりも使用しよう可能かのうAPIすくない)で正常せいじょう動作どうさするネイティブコードアプリケーション開発かいはつをサポートするために、ツールキットにはカスタム機器きき使用しよう可能かのうなヘッダーファイルとライブラリのみをまとめて出力しゅつりょくする、カスタムSDK作成さくせい機能きのうそなわっている。この機能きのうもちいて作成さくせいされたカスタムSDK は eMbedded Visual C++ やVisual Studio 2005/2008、Visual Studio 2012/2013/2015 + Application Builder環境かんきょう使用しようすることができる。

Shared Source

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最近さいきんのPlatform Builder にはさいビルド可能かのうなCEカーネルほかいくつかの中心ちゅうしんモジュールのソースコードが付属ふぞくしており、ツールキットインストール簡単かんたんなEULAに同意どういすることでOSのビルドツリーないにインストールされる。これを利用りようしてカーネルの処理しょり内容ないよう理解りかいしたりデバッグにカーネルデバッガから参照さんしょうしたりすることができる。

ライセンスりょう

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Windows CE Platform Builderを利用りようしてカスタムWindows CE OSを開発かいはつしこれを機器きき搭載とうさいして製品せいひん出荷しゅっかする場合ばあいみOSとしての使用しようりょうをマイクロソフトに支払しはら必要ひつようがある。そのさいには代理だいりてん経由けいゆ契約けいやく締結ていけつし、COAとばれるシールを製品せいひん貼付ちょうふして出荷しゅっかする。Windows CEのみOSとしてのライセンスりょう使用しようOSコンポーネントによりいくつかのカテゴリにけられるが、およそ1だいあたりUS $3 から US$16の範囲はんいとされている[9]

PDAでの利用りよう

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PDAばれる製品せいひんぐんにはWindows CEをOSとするものがあり、これらPDAよう必要ひつようデバイスドライバウェブブラウザなどの機能きのうをマイクロソフトがまとめた製品せいひんが「Handheld PC」や「Pocket PC」である。「Handheld PC」や「Pocket PC」はOSをしめすものではない。たとえば、NECの「モバイルギア」の「MC-R530」という製品せいひん場合ばあいは、Windows CE Ver.2.11を搭載とうさいした、Windows CE Handheld PC Edition Ver.3.01仕様しよう製品せいひんというようになる。

初期しょきころ、Windows CEの利用りよう形態けいたいひとつとして、携帯けいたいよう端末たんまつでの使用しよう検討けんとうされ、その結果けっかx86ベースのノートパソコンよりも小型こがたされたキーボードきの形状けいじょうのものと、タッチパネルへのペン(スタイラス)による入力にゅうりょく操作そうさ基本きほんとするキーボードをたない小型こがたのものが登場とうじょうした。前者ぜんしゃを「Handheld PC」(ハンドヘルド・ピーシー=H/PC)、後者こうしゃを「Pocket PC」(ポケット・ピーシー)とぶ。

どちらの場合ばあいも、Windows 95以降いこうでウィンドウを「最大さいだい表示ひょうじ」で使用しようした状態じょうたいユーザインタフェースとなっており、Windowsユーザであれば、あまり違和感いわかんなく操作そうさすることができるよう配慮はいりょされている。また、携帯けいたいようというてん重視じゅうしし、小型こがた軽量けいりょう電池でんち(バッテリ)による長時間ちょうじかん駆動くどう可能かのうである。キーボードきのものでもペン操作そうさ出来できるものがおおい。おおくはハードディスクたず、メモリカードスロットを実装じっそうする。

キーボードがたやペンがたPDAであっても、マイクロソフトが提供ていきょうする上記じょうきのプラットフォームを使つかわず、Windows CEカーネルじょう独自どくじのユーザモードそう構築こうちくした製品せいひんもある。カシオのl'agenda(ラジェンダ)、NTTドコモのポケットポストペットやシグマリオンIII、日立ひたちのNPD-10JWL/20JWL、auKDDI沖縄おきなわセルラー電話でんわ)のトリコメール、サイバーバンクジャパンのPC-EPhoneIIなどがこれにたる。その理由りゆうとして、GUIを独自どくじ実装じっそうすることでロイヤリティげられることがげられる。また、キーボードがた製品せいひんではH/PCの開発かいはつすで終息しゅうそくしていること、ペンがた製品せいひんではARM以外いがいのCPUのサポートを中止ちゅうししたこともげられる。これらの機種きしゅ一部いちぶでは、りないモジュールを独自どくじ補完ほかんしてPocket PCようなどのアプリケーションを動作どうささせるこころみが、ユーザーのあいだおこなわれている。

キーボードがた製品せいひん名称めいしょう推移すいい

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Handheld PC 1.0
1997ねん6月25にち発表はっぴょう。Windows CE 1.0ベース。
Handheld PC 2.0
1998ねん3月11にち発表はっぴょう。Windows CE 2.0ベース。
Handheld PC 3.0 (Handheld PC Professional Edition)
1999ねん2がつ22にち発表はっぴょう。Windows CE 2.11ベース。
Handheld PC 2000
2000ねん10がつ10日とおか発表はっぴょう。Windows CE 3.0ベース。

ペンオペレーション製品せいひん名称めいしょう遷移せんい

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Palm PC
1998ねん発表はっぴょうしたさい名称めいしょう
Palm-size PC 1.1
1998ねん12月3にち発表はっぴょうPalm OS酷似こくじするということで改称かいしょう白黒しろくろインタフェース。(み:パームサイズPC)(略称りゃくしょう:PsPC)
Palm-size PC 1.2
1999ねん2がつ22にち発表はっぴょう。カラー表示ひょうじ対応たいおう
G-FORT・カシオせい 2000ねん
Pocket PC (2000)
2000ねん7がつ13にち発表はっぴょう。Windows CE 3.0ベースになったことを改称かいしょう。ウェブブラウザ (Pocket Internet Explorer)、ファイルエクスプローラ搭載とうさい左下ひだりしたにあった「スタート」ボタンが廃止はいしされ、左上ひだりうえのプルダウンボタンからタスクをひら形態けいたいとなった。プラットフォーム準拠じゅんきょのアプリには終了しゅうりょうボタンがかなくなった。略称りゃくしょう:PPC。
Pocket PC 2002
2001ねん10月5にち発表はっぴょう。Windows XPにじゅんじた インタフェースを採用さいようし、若干じゃっかん高速こうそくした。これ以降いこうARMけいCPUのみをサポートするようになった。アプリに終了しゅうりょうボタンがくようになったが、実際じっさいには終了しゅうりょうせず、Windowsの最小さいしょうボタンにちかい。
Pocket PC 2003
2003ねん6月30にち発表はっぴょう。Windows Mobile 2003 software for Pocket PCが正式せいしき名称めいしょう。Windows CE.NET 4.2ベース。
Pocket PC 2003 Second Edition
2004ねん7がつ6にち発表はっぴょう。Windows Mobile 2003 Second Edition software for Pocket PCが正式せいしき名称めいしょうVGA画面がめんをサポート。
Windows Mobile 5.0
2005ねん8がつ23にち発表はっぴょう。インタフェースを若干じゃっかん変更へんこう。Officeアプリケーションの機能きのう向上こうじょう。Windows Media Player 10 Mobile搭載とうさいなど。.NET Frameworkのサブセットである.NET Compact Frameworkの実行じっこう環境かんきょう搭載とうさいされている。
Windows Mobile 6
2007ねん2がつ12にち発表はっぴょう。インタフェースを刷新さっしんし、Vistaふうデザインとなる。Officeスイートを改良かいりょう。HTMLメールをサポートしWindows Live Mailに対応たいおう。このバージョンからWindows Mobile StandardとWindows Mobile Professional、そして機能きのうめんではWindows Mobile Professionalとおなじだが、通信つうしん機能きのうがオプションあつかいのおもにPDAけのWindows Mobile Classicのみっつのエディションにけられる。バージョン番号ばんごうはCE 5.2で、CE 6.0カーネルの搭載とうさい見送みおくられた。

Pocket PC 2002以降いこうはARMけいCPUのみサポートされている。

PDAの発展はってん終息しゅうそく

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Pocket LOOX 600

H/PCについては、かつてはNECの「モバイルギア」、シャープの「テリオス」、日本にほんビクターの「インターリンク」、日立製作所ひたちせいさくしょの「ペルソナ」、ヒューレット・パッカードの「Jornada」、NTTドコモ販売はんばいする「シグマリオン」などの機種きしゅがあったが、いずれも生産せいさん終了しゅうりょうしている。マイクロソフトもH/PCけの製品せいひんをリリースしておらず、H/PC市場いちば事実じじつじょう終息しゅうそくしている。

Pocket PCについては、国内こくないメーカではカシオ計算機かしおけいさんきの「カシオペア」や東芝とうしばの「GENIO e」、NECの「ポケットギア」、富士通ふじつうの「Pocket LOOX」、NTTドコモが販売はんばいする「muséa」とうがある。このほかに、ヒューレット・パッカード(きゅうコンパック)の「iPAQ」やデルの「Axim」など海外かいがいメーカー製品せいひんもあり、かつては選択せんたくはばひろかったが、かくメーカとも法人ほうじん用途ようとけに注力ちゅうりょくするようになったことや、通信つうしん販売はんばいでのみ販売はんばいする手法しゅほうえたこともあり、店頭てんとうでこのタイプの端末たんまつることもすくなくなっている。

携帯けいたい電話でんわ高機能こうきのうがPDA全体ぜんたい販売はんばいすう減少げんしょうした一因いちいん、という意見いけんもある。Windows CEはスマートフォンけのWindows Mobile for Smartphone(日本にっぽん発売はつばい)やWindows Mobile for Pocket PC Phone Editionというバージョンをし、携帯けいたい電話でんわへのシフトをつよめている。

NTT docomo HT-01A(Windows Mobile 6.1)

PDAの現状げんじょう

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日本にっぽん国内こくないでの各種かくしゅ携帯けいたい端末たんまつへの採用さいよう

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関連かんれん項目こうもく

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  • Windows Mobile
  • Pocket PC - 主流しゅりゅうWindows Mobile搭載とうさいスマートフォンにタッチパネルをわせたもの。
  • Windows Automotive - カーナビゲーションシステムにおける採用さいようれいPioneerサイバーナビ」「らくナビ」、Panasonic*Strada」、Clarion「Smoonavi」など)がある。
  • Microsoft Zune - OSとしてWindows CEベースのPortable Media Centerを採用さいようしている。
  • ドリームキャスト - Windows CE搭載とうさいゲームコンソール。
  • タブレットPC
  • iPhoneiPod touch - Pocket PCおよびZuneの競合きょうごう商品しょうひんMac OS Xから派生はせいしたOSを搭載とうさい
  • BlackBerry - カナダ Research in Motionしゃのスマートフォン。マイクロソフトによる買収ばいしゅううわさもあった[10]
  • Android
  • Palm - 上記じょうきPocket PCの競合きょうごう商品しょうひん。Treoの一部いちぶ機種きしゅではWindows Mobileを搭載とうさいしていた。現在げんざいでは終息しゅうそくしつつあり、後継こうけいWebOS段階だんかいである。
  • Zaurus - Pocket PCのかつての競合きょうごう製品せいひん現在げんざい終息しゅうそく
  • ITRON
  • REX OS

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 採用さいようれいとしてユピテル製造せいぞう販売はんばいする「YERA」「MOGGY」「drive navi」「LeiNavi/LeiNavi+」などがある。なお「オリジナル・コンテンツ・ナビゲーション」とはユピテルにおけるPND製品せいひんぐん通称つうしょうである。
  2. ^ .NET Compact Frameworkで作成さくせいされたWinFormベースのアプリケーションは、さいコンパイルせずにそのままデスクトップじょうの.NET Frameworkでうご場合ばあいおおい。

出典しゅってん

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  1. ^ 日経にっけいパソコン (2008-10-20), 日経にっけいパソコン用語ようご事典じてん (2009年版ねんばん), 日経にっけいBPしゃ, ISBN 9784822233907 
  2. ^ The Meaning of "CE" in Windows CE, マイクロソフト, 2002ねん9がつ3にち
  3. ^ マイクロソフト、Windows Embedded Compact 7のCTPを公開こうかい, PC Watch, 2010ねん6がつ4にち
  4. ^ Microsoft、Windows CE後継こうけいOS「Windows Compact 7」の提供ていきょう開始かいし, PC Watch, 2011ねん3がつ4にち
  5. ^ Windows CE FAN, MIPSよう? SHよう? ひとつの実行じっこうファイルで大丈夫だいじょうぶ 期待きたいしん技術ぎじゅつ CEF とは?, Windows CE FAN, 1999ねん6がつ10日とおか
  6. ^ 「Windows CE対応たいおうの DBアプリケーション開発かいはつツールが登場とうじょう」『日経にっけいソフトウエア(創刊そうかんごう 1998/7)』だい1かんだい1ごう日経にっけいBP、1998ねん6がつ24にち、11ぺーじ 
  7. ^ History of Windows Embedded Compact 7, Microsoft
  8. ^ マイクロソフト、「Windows CE」開発かいはつしゃ機能きのうパックの提供ていきょう開始かいし”. マイクロソフト (2006ねん4がつ5にち). 2007ねん6がつ15にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2012ねん1がつ27にち閲覧えつらん
  9. ^ Windows Embedded Compact 7 Product Information and Pricing, Microsoft
  10. ^ エリザベス・モンタルバノ (2007ねん9がつ3にち). “マイクロソフト、「BlackBerry」のリサーチ・イン・モーションを買収ばいしゅう”. Computerworld.jp. IDGジャパン. 2009ねん5がつ24にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2010ねん4がつ14にち閲覧えつらん

外部がいぶリンク

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