隨ずい眠ねむ

隨ずい眠ねむ（巴ともえ利とし語ご：Anusaya，梵語ぼんご：anuśaya），又また譯わけ為ため使つかい、使つかい煩惱ぼんのう，佛教ぶっきょう術語じゅつご，「煩惱ぼんのう」之の異名いみょう，但ただし煩惱ぼんのう的てき意い涵較廣ひろ(包含ほうがん煩惱ぼんのう現行げんこう與あずか煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり，但ただし通常つうじょう多た指ゆび煩惱ぼんのう現行げんこう)，隨ずい眠ねむり則のり只ただ限定げんてい在ざい為ため現行げんこう的てき煩惱ぼんのう，潛伏せんぷく在ざい內心深ふか處しょ如影「隨ずい」形かたち，幽かそけ微ほろ難なん知ち如「眠ねむり」，故こ稱しょう為ため「隨ずい眠ねむり」。

隨ずい眠ねむり是ただし所有しょゆう表層ひょうそう煩惱ぼんのう之の根源こんげん。隨ずい眠ねむり可分かぶん為ため「貪むさぼ隨ずい眠ねむり」「瞋隨眠ねむり」「癡ち隨ずい眠ねむり」，它是心しん的てき內在習性しゅうせい，潛伏せんぷく於意識いしき流りゅう中ちゅう，一旦有外境的刺激，例れい如：踫到可か意い者しゃ，則のり貪むさぼ隨ずい眠ねむ即そく生起せいき，踫到不可ふか意い者しゃ，瞋隨眠ねむ即そく生起せいき。根據こんきょ十じゅう二に因緣いんねん的てき理論りろん，「感受かんじゅ」是ぜ「貪むさぼ」生起せいき的てき直接ちょくせつ原因げんいん(近因きんいん)，因いん此，唯ただ有ゆう透過とうか四よん念ねん住じゅう，尤ゆう其是受念住じゅう的てき練習れんしゅう，才能さいのう逐漸擺脫對たい「苦く受」以瞋反應はんのう，對たい「樂らく受」以貪反應はんのう的てき習性しゅうせい。

隨ずい眠ねむ的てき斷だん除じょ

隨ずい眠ねむり根深ねぶか蒂固，戒和わ定じょう都と不能ふのう克かつ制せい它，只ただ有ゆう靠もたれ內觀智さとし，才ざい可か以發現はつげん並なみ滅めつ除じょ之の，按南みなみ傳でん佛教ぶっきょう的てき觀點かんてん，三果みか阿おもね那な含徹底てってい滅めつ除じょ瞋隨眠ねむり和大かずひろ部ぶ份的貪むさぼ隨ずい眠ねむり，四よん果はて阿羅漢あらかん完かん全滅ぜんめつ除じょ剩あま下した的てき貪むさぼ隨ずい眠ねむり和かず所有しょゆう的てき癡ち隨ずい眠ねむり。

隨ずい眠ねむり種類しゅるい

依よ《顯揚けんよう聖教せいきょう論ろん》所說しょせつ煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむ共有きょうゆう二に十じゅう種しゅ：

一いち不定ふてい地ち隨ずい眠ねむ
二に定じょう地ち隨ずい眠ねむ
三隨自境隨眠
四隨他境隨眠
五ご被ひ損そん隨ずい眠ねむ
六ろく未み被ひ損そん隨ずい眠ねむ
七なな隨順ずいじゅん隨ずい眠ねむ
八はち不ふ隨順ずいじゅん隨ずい眠ねむ
九きゅう具ぐ滿まん隨ずい眠ねむ
十じゅう缺かけ減げん隨ずい眠ねむ
十じゅう一いち可か害がい隨ずい眠ねむ
十じゅう二に不可ふか害がい隨ずい眠ねむ
十じゅう三さん增ぞう上じょう隨ずい眠ねむ
十じゅう四よん平等びょうどう隨ずい眠ねむ
十じゅう五ご微ほろ薄うす隨ずい眠ねむ
十じゅう六有覺隨眠
十じゅう七なな無む覺さとし隨ずい眠ねむ
十じゅう八生多苦隨眠
十じゅう九生少苦隨眠
二に十不生苦隨眠^[1]

比較ひかく煩惱ぼんのう現行げんこう的てき種類しゅるい亦また有ゆう二に十じゅう種しゅ：

一いち隨所ずいしょ欲よく纏まとい現行げんこう。謂いい在家ざいけ者しゃ。
二に不隨ふずい所しょ欲よく纏まとい現行げんこう。謂いい出家しゅっけ者しゃ。
三さん無む所ところ了りょう別べつ。謂いい處しょ惡あく說法せっぽう者しゃ。
四よん有ゆう所しょ了りょう別べつ。謂いい處しょ善ぜん說法せっぽう者しゃ。
五ご互增上じょう。謂いい貪むさぼ等とう行者ぎょうじゃ。
六ろく皆みな平等びょうどう。謂いい等分とうぶん行者ぎょうじゃ。
七なな微ほろ薄すすき。謂いい薄うす塵ちり行者ぎょうじゃ。
八はち外門ともん纏まとい現行げんこう。謂いい未み離はなれ欲よく者しゃ。
九きゅう內門纏まとい現行げんこう。謂いい由よし世間せけん道どう離はなれ欲よく者しゃ。
十じゅう增ぞう上じょう纏まとい現行げんこう。謂いい諸しょ異こと生せい。
十じゅう一いち失念しつねん纏まとい現行げんこう。謂いい諸しょ有ゆう學がく。
十じゅう二に分別ふんべつ纏まとい現行げんこう。謂いい堅けん執と著者ちょしゃ。
十じゅう三さん俱生纏まとい現行げんこう。謂いい不ふ堅けん執と著者ちょしゃ。
十じゅう四よん觀察かんさつ現行げんこう。謂いい憙觀察かんさつ者しゃ。
十じゅう五ご不ふ自在じざい現行げんこう。謂いい睡眠すいみん者しゃ。
十じゅう六ろく自在じざい現行げんこう。謂いい覺悟かくご者しゃ。
十じゅう七なな不可ふか救すくい現行げんこう。謂いい無む涅槃ねはん法ほう者しゃ。
十じゅう八はち可か救すくい現行げんこう。謂いい有ゆう涅槃ねはん法ほう者しゃ。
十じゅう九きゅう取と相あい現行げんこう。謂いい尋ひろ思おもえ彼かれ隨ずい法ほう而取相貌そうぼう者しゃ。
十じゅう不ふ取と相貌そうぼう現行げんこう。謂いい不ふ尋ひろ思おもえ彼かれ隨ずい法ほう不ふ取と相貌そうぼう者しゃ。^[2]

十じゅう使つかい

天台宗てんだいしゅう以煩惱ぼんのう得え去ざ的てき難易なんい漸やや迅而細分さいぶん為ため五ご鈍どん使し（思惑おもわく）：貪むさぼ、嗔、痴ち、慢、疑うたぐ。與あずか五ご利り使し（見み惑）：身み見み、邊見へんみ、邪見じゃけん、見取みとり見み、戒禁取と見み。合ごう稱しょう十じゅう使つかい，利鈍りどん之の分ぶん在ざい於難易なんい，利者きけもの易やす生易なまやさし斷だん，鈍どん者しゃ漸やや生なま難なん斷だん，屬ぞく於集しゅう諦たい。

參考さんこう

煩惱ぼんのう差別さべつ^[3]
煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり v.s. 煩惱ぼんのう現行げんこう^[4]^[5]

參考さんこう文獻ぶんけん

^ 《顯揚けんよう聖教せいきょう論ろん》卷まき19〈11 攝と勝かち決けつ擇よ品しな〉：「煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。有ゆう二に十じゅう種しゅ者しゃ。一いち不定ふてい地ち隨ずい眠ねむり。二に定じょう地ち隨ずい眠ねむり。三隨自境隨眠。四隨他境隨眠。五ご被ひ損そん隨ずい眠ねむり。六ろく未み被ひ損そん隨ずい眠ねむり。七なな隨順ずいじゅん隨ずい眠ねむり。八はち不ふ隨順ずいじゅん隨ずい眠ねむり。九きゅう具ぐ滿まん隨ずい眠ねむり。十じゅう缺かけ減げん隨ずい眠ねむり。十じゅう一いち可か害がい隨ずい眠ねむり。十じゅう二に不可ふか害がい隨ずい眠ねむり。十じゅう三さん增ぞう上じょう隨したがえ眠ねむり。十じゅう四よん平等びょうどう隨したがえ眠ねむり。十じゅう五ご微ほろ薄うす隨ずい眠ねむり。十じゅう六有覺隨眠。十じゅう七なな無む覺さとし隨ずい眠ねむり。十じゅう八生多苦隨眠。十じゅう九生少苦隨眠。二に十不生苦隨眠。」(CBETA, T31, no. 1602, p. 573, b2-9)
^ 《顯揚けんよう聖教せいきょう論ろん》卷まき19〈11 攝と勝かち決けつ擇よ品しな〉：「現行げんこう有ゆう二に十じゅう種しゅ者しゃ。一いち隨所ずいしょ欲よく纏まとい現行げんこう。謂いい在家ざいけ者しゃ。二に不隨ふずい所しょ欲よく纏まとい現行げんこう。謂いい出家しゅっけ者しゃ。三さん無む所ところ了りょう別べつ。謂いい處しょ惡あく說法せっぽう者しゃ。四よん有ゆう所しょ了りょう別べつ。謂いい處しょ善ぜん說法せっぽう者しゃ。五ご互增上じょう。謂いい貪むさぼ等とう行者ぎょうじゃ。六ろく皆みな平等びょうどう。謂いい等分とうぶん行者ぎょうじゃ。七なな微ほろ薄すすき。謂いい薄うす塵ちり行者ぎょうじゃ。八はち外門ともん纏まとい現行げんこう。謂いい未み離はなれ欲よく者しゃ。九きゅう內門纏まとい現行げんこう。謂いい由よし世間せけん道どう離はなれ欲よく者しゃ。十じゅう增ぞう上じょう纏まとい現行げんこう。謂いい諸しょ異こと生せい。十じゅう一いち失念しつねん纏まとい現行げんこう。謂いい諸しょ有ゆう學がく。十二分じゅうにぶん別べつ纏まとい現行げんこう。謂いい堅けん執と著者ちょしゃ。十じゅう三さん俱生纏まとい現行げんこう。謂いい不ふ堅けん執と著者ちょしゃ。十じゅう四よん觀察かんさつ現行げんこう。謂いい憙觀察かんさつ者しゃ。十じゅう五ご不ふ自在じざい現行げんこう。謂いい睡眠すいみん者しゃ。十じゅう六ろく自在じざい現行げんこう。謂いい覺悟かくご者しゃ。十じゅう七なな不可ふか救すくい現行げんこう。謂いい無む涅槃ねはん法ほう者しゃ。十じゅう八はち可か救すくい現行げんこう。謂いい有ゆう涅槃ねはん法ほう者しゃ。十じゅう九きゅう取と相あい現行げんこう。謂いい尋ひろ思おもえ彼かれ隨ずい法ほう而取相貌そうぼう者しゃ。二に十じゅう不ふ取と相貌そうぼう現行げんこう。謂いい不ふ尋ひろ思おもえ彼かれ隨ずい法ほう不ふ取と相貌そうぼう者しゃ。」(CBETA, T31, no. 1602, p. 573, a11-25)
^ 《瑜伽ゆが師し地ち論ろん》卷まき8：「煩惱ぼんのう差別さべつ者しゃ。多種たしゅ差別さべつ應おう知ち。謂いい結ゆい。縛ばく。隨ずい眠ねむり。隨ずい煩惱ぼんのう。纏まとい。暴流。軛くびき。取と。繫。蓋ぶた。株かぶ杌。垢あか。常つね害がい。箭や。所有しょゆう。根ね。惡行あくぎょう。漏も。匱。燒やき。惱。有ゆう諍いさかい。火ひ。熾おき然しか。稠林。拘かかわ礙。如是にょぜ等とう類るい煩惱ぼんのう差別さべつ當知とうち。此中能のう和合わごう苦く故ゆえ。名めい為ため結ゆい。令れい於善行ぜんこう不ふ隨所ずいしょ欲ほし故こ名めい為ため縛ばく。一切世間增上種子之所隨逐故名隨眠。倒たおせ染しみ心こころ故こ名めい隨ずい煩惱ぼんのう。數かず起おこり現行げんこう故こ名めい為ため纏まとい。深ふか難なん渡わたり故ゆえ。順流じゅんりゅう漂故故こ名めい暴流。邪よこしま行方ゆくえ便びん故こ名めい為ため軛くびき。能取のとろ自身じしん相續そうぞく不ふ絕ぜっ故こ名めい為ため取と。難なん可か解脫げだつ故こ名めい為ため繫。覆くつがえ真實しんじつ義よし故こ名めい為ため蓋ぶた。壞善稼田故こ名めい株かぶ杌。自性じしょう染しみ污故名めい為ため垢あか。常つね能のう為ため害がい故こ名めい為ため常つね害がい。不ふ靜せい相しょう故こ遠所えんじょ隨ずい故ゆえ。故こ名めい為ため箭や。能のう攝と依よ事故じこ名めい所有しょゆう。不ふ善所ぜんしょ依よ故こ名めい為ため根ね。邪よこしま行ぎょう自性じしょう故こ名めい惡行あくぎょう。流動りゅうどう其心故こ名めい為ため漏も。能のう令れい受用じゅよう無む有ゆう厭いや足あし故こ名めい為ため匱。能のう令れい所しょ欲よく常つね有ゆう匱乏故こ名めい為ため燒しょう。能のう引衰損そん故こ名めい為ため惱。能のう為ため鬪たたかえ訟諍競きおい之の因いん故こ名めい有ゆう諍いさかい。燒やき所しょ積せき集しゅう諸しょ善根ぜんこん薪たきぎ故こ名めい為ため火ひ。如大熱病ねつびょう故こ名めい熾おき然しか。種種しゅじゅ自身じしん大樹たいじゅ聚集故こ名めい稠林。能のう令れい眾生樂らく著ちょ種種しゅじゅ妙みょう欲よく塵ちり故ゆえ。能のう障さわ證あかし得とく出世しゅっせ法ほう故こ名めい為ため拘かかわ礙。諸しょ如是にょぜ等とう煩惱ぼんのう差別さべつ。佛ふつ薄うす伽とぎ梵隨所しょ增強ぞうきょう。於彼種種しゅじゅ煩惱ぼんのう門もん中ちゅう。建立こんりゅう差別さべつ。結ゆい者しゃ九きゅう結ゆい。謂いい愛あい結ゆい等とう。廣こう說せつ如前。縛ばく者しゃ三さん縛ばく。謂いい貪むさぼ瞋癡。隨ずい眠ねむり者しゃ七なな種しゅ隨したがえ眠ねむり。謂いい欲ほし貪むさぼ隨ずい眠ねむり等ひとし。廣こう說せつ如前。隨ずい煩惱ぼんのう者しゃ。三さん隨ずい煩惱ぼんのう。謂いい貪むさぼ瞋癡。纏まとい者しゃ八はち纏まとい。謂いい無む慚無愧。惛沈睡眠すいみん。掉舉惡あく作さく。嫉妬しっと慳悋暴流者しゃ四よん暴流。謂いい欲よく暴流。有ゆう暴流。見み暴流。無明むみょう暴流。如暴流りゅう軛くびき亦また爾なんじ。取と者しゃ四よん取と。謂いい欲ほし取と。見取みとり。戒禁取と。我が語ご取と。繫者四繫謂貪身繫。瞋身繫。戒禁取と身み繫。此實執と取ど身み繫。蓋ぶた者しゃ五ご蓋ぶた。謂いい貪欲どんよく蓋ぶた。瞋恚しんに蓋ぶた。惛沈睡眠すいみん蓋ぶた。掉舉惡あく作さく蓋ぶた。疑うたぐ蓋ぶた。株かぶ杌者三さん株かぶ杌。謂いい貪むさぼ瞋癡。如株杌如是ぜ垢あか常つね害がい箭や。所有しょゆう惡行あくぎょう亦また爾なんじ。根ね者しゃ三さん不ふ善根ぜんこん。謂いい貪むさぼ不ふ善根ぜんこん。瞋不善根ぜんこん。癡ち不ふ善根ぜんこん。漏も者しゃ三さん漏も。謂いい欲ほし漏も有ゆう漏も無明むみょう漏も。匱者三さん匱。謂いい貪むさぼ瞋癡。如匱如是にょぜ燒しょう惱有諍いさかい。火ひ熾おき然しか稠林亦また爾しか拘かかわ礙者有ゆう五ご拘かかわ礙。一顧いっこ戀こい其身。二に顧戀諸しょ欲ほっ。三樂さんらく相しょう雜ざつ住じゅう。四よん闕隨順ずいじゅん教きょう。五得微少善便生喜足。」(CBETA, T30, no. 1579, p. 314, b20-p. 315, a1)
^ 《瑜伽ゆが師し地ち論ろん》卷まき58：「云うん何なん建立こんりゅう煩惱ぼんのう雜ざつ染しみ染しみ淨きよし差別さべつ。謂いい如所說せつ本ほん隨ずい二に惑。略りゃく二緣故染惱有情。一いち由よし纏まとい故ゆえ。二に隨ずい眠ねむ故ゆえ。現行げんこう現げん起おこり煩惱ぼんのう名めい纏まとい。即そく此種子しゅし未み斷だん未み害がい。名めい曰隨眠ねむ亦また名めい麁重。又また不覺ふかく位い名めい曰隨眠ねむり。若わか在ざい覺さとし位い說せつ名めい為ため纏まとい。若わか諸しょ具ぐ縛ばく補ほ特とく伽羅きゃら生せい在ざい欲界よくかい。成就じょうじゅ三界さんがい煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。若わか生色せいしょく界かい所有しょゆう異こと生せい。成就じょうじゅ欲界よくかい被ひ奢おご摩ま他た之これ所しょ損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。成就じょうじゅ色しょく界かい及無色しょく界かい所しょ未み損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。若生わこう無色むしょく所有しょゆう異こと生せい。成就じょうじゅ欲界よくかい及與色しょく界かい被ひ奢おご摩ま他た之これ所しょ損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。成就じょうじゅ無色むしょく所しょ未み損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。如界道理どうり隨ずい地ち亦また爾なんじ。諸しょ煩惱ぼんのう纏まとい未み離はなれ自じ地ち煩惱ぼんのう欲ほっ者しゃ自じ地ち現げん起おこり。已やめ離はなれ欲よく者しゃ即そく不ふ現げん起おこり。若わか在ざい下地したじ。上地うえち諸しょ纏まとい亦また得とく成就じょうじゅ。非ひ在ざい上地じょうち得とく說せつ成就じょうじゅ下地したじ諸しょ纏まとい。」(CBETA, T30, no. 1579, p. 623, a20-b5)
^ 《顯揚けんよう聖教せいきょう論ろん》卷まき4〈1 攝と事こと品ひん〉：「現行げんこう者しゃ。謂いい煩惱ぼんのう纏まとい。睡眠すいみん者しゃ。謂いい煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。」(CBETA, T31, no. 1602, p. 501, b2-3)

外部がいぶ連結れんけつ

[1] 《顯揚けんよう聖教せいきょう論ろん》卷まき19〈11 攝と勝かち決けつ擇よ品しな〉：「煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。有ゆう二に十じゅう種しゅ者しゃ。一いち不定ふてい地ち隨ずい眠ねむり。二に定じょう地ち隨ずい眠ねむり。三隨自境隨眠。四隨他境隨眠。五ご被ひ損そん隨ずい眠ねむり。六ろく未み被ひ損そん隨ずい眠ねむり。七なな隨順ずいじゅん隨ずい眠ねむり。八はち不ふ隨順ずいじゅん隨ずい眠ねむり。九きゅう具ぐ滿まん隨ずい眠ねむり。十じゅう缺かけ減げん隨ずい眠ねむり。十じゅう一いち可か害がい隨ずい眠ねむり。十じゅう二に不可ふか害がい隨ずい眠ねむり。十じゅう三さん增ぞう上じょう隨したがえ眠ねむり。十じゅう四よん平等びょうどう隨したがえ眠ねむり。十じゅう五ご微ほろ薄うす隨ずい眠ねむり。十じゅう六有覺隨眠。十じゅう七なな無む覺さとし隨ずい眠ねむり。十じゅう八生多苦隨眠。十じゅう九生少苦隨眠。二に十不生苦隨眠。」(CBETA, T31, no. 1602, p. 573, b2-9)

[2] 《顯揚けんよう聖教せいきょう論ろん》卷まき19〈11 攝と勝かち決けつ擇よ品しな〉：「現行げんこう有ゆう二に十じゅう種しゅ者しゃ。一いち隨所ずいしょ欲よく纏まとい現行げんこう。謂いい在家ざいけ者しゃ。二に不隨ふずい所しょ欲よく纏まとい現行げんこう。謂いい出家しゅっけ者しゃ。三さん無む所ところ了りょう別べつ。謂いい處しょ惡あく說法せっぽう者しゃ。四よん有ゆう所しょ了りょう別べつ。謂いい處しょ善ぜん說法せっぽう者しゃ。五ご互增上じょう。謂いい貪むさぼ等とう行者ぎょうじゃ。六ろく皆みな平等びょうどう。謂いい等分とうぶん行者ぎょうじゃ。七なな微ほろ薄すすき。謂いい薄うす塵ちり行者ぎょうじゃ。八はち外門ともん纏まとい現行げんこう。謂いい未み離はなれ欲よく者しゃ。九きゅう內門纏まとい現行げんこう。謂いい由よし世間せけん道どう離はなれ欲よく者しゃ。十じゅう增ぞう上じょう纏まとい現行げんこう。謂いい諸しょ異こと生せい。十じゅう一いち失念しつねん纏まとい現行げんこう。謂いい諸しょ有ゆう學がく。十二分じゅうにぶん別べつ纏まとい現行げんこう。謂いい堅けん執と著者ちょしゃ。十じゅう三さん俱生纏まとい現行げんこう。謂いい不ふ堅けん執と著者ちょしゃ。十じゅう四よん觀察かんさつ現行げんこう。謂いい憙觀察かんさつ者しゃ。十じゅう五ご不ふ自在じざい現行げんこう。謂いい睡眠すいみん者しゃ。十じゅう六ろく自在じざい現行げんこう。謂いい覺悟かくご者しゃ。十じゅう七なな不可ふか救すくい現行げんこう。謂いい無む涅槃ねはん法ほう者しゃ。十じゅう八はち可か救すくい現行げんこう。謂いい有ゆう涅槃ねはん法ほう者しゃ。十じゅう九きゅう取と相あい現行げんこう。謂いい尋ひろ思おもえ彼かれ隨ずい法ほう而取相貌そうぼう者しゃ。二に十じゅう不ふ取と相貌そうぼう現行げんこう。謂いい不ふ尋ひろ思おもえ彼かれ隨ずい法ほう不ふ取と相貌そうぼう者しゃ。」(CBETA, T31, no. 1602, p. 573, a11-25)

[3] 《瑜伽ゆが師し地ち論ろん》卷まき8：「煩惱ぼんのう差別さべつ者しゃ。多種たしゅ差別さべつ應おう知ち。謂いい結ゆい。縛ばく。隨ずい眠ねむり。隨ずい煩惱ぼんのう。纏まとい。暴流。軛くびき。取と。繫。蓋ぶた。株かぶ杌。垢あか。常つね害がい。箭や。所有しょゆう。根ね。惡行あくぎょう。漏も。匱。燒やき。惱。有ゆう諍いさかい。火ひ。熾おき然しか。稠林。拘かかわ礙。如是にょぜ等とう類るい煩惱ぼんのう差別さべつ當知とうち。此中能のう和合わごう苦く故ゆえ。名めい為ため結ゆい。令れい於善行ぜんこう不ふ隨所ずいしょ欲ほし故こ名めい為ため縛ばく。一切世間增上種子之所隨逐故名隨眠。倒たおせ染しみ心こころ故こ名めい隨ずい煩惱ぼんのう。數かず起おこり現行げんこう故こ名めい為ため纏まとい。深ふか難なん渡わたり故ゆえ。順流じゅんりゅう漂故故こ名めい暴流。邪よこしま行方ゆくえ便びん故こ名めい為ため軛くびき。能取のとろ自身じしん相續そうぞく不ふ絕ぜっ故こ名めい為ため取と。難なん可か解脫げだつ故こ名めい為ため繫。覆くつがえ真實しんじつ義よし故こ名めい為ため蓋ぶた。壞善稼田故こ名めい株かぶ杌。自性じしょう染しみ污故名めい為ため垢あか。常つね能のう為ため害がい故こ名めい為ため常つね害がい。不ふ靜せい相しょう故こ遠所えんじょ隨ずい故ゆえ。故こ名めい為ため箭や。能のう攝と依よ事故じこ名めい所有しょゆう。不ふ善所ぜんしょ依よ故こ名めい為ため根ね。邪よこしま行ぎょう自性じしょう故こ名めい惡行あくぎょう。流動りゅうどう其心故こ名めい為ため漏も。能のう令れい受用じゅよう無む有ゆう厭いや足あし故こ名めい為ため匱。能のう令れい所しょ欲よく常つね有ゆう匱乏故こ名めい為ため燒しょう。能のう引衰損そん故こ名めい為ため惱。能のう為ため鬪たたかえ訟諍競きおい之の因いん故こ名めい有ゆう諍いさかい。燒やき所しょ積せき集しゅう諸しょ善根ぜんこん薪たきぎ故こ名めい為ため火ひ。如大熱病ねつびょう故こ名めい熾おき然しか。種種しゅじゅ自身じしん大樹たいじゅ聚集故こ名めい稠林。能のう令れい眾生樂らく著ちょ種種しゅじゅ妙みょう欲よく塵ちり故ゆえ。能のう障さわ證あかし得とく出世しゅっせ法ほう故こ名めい為ため拘かかわ礙。諸しょ如是にょぜ等とう煩惱ぼんのう差別さべつ。佛ふつ薄うす伽とぎ梵隨所しょ增強ぞうきょう。於彼種種しゅじゅ煩惱ぼんのう門もん中ちゅう。建立こんりゅう差別さべつ。結ゆい者しゃ九きゅう結ゆい。謂いい愛あい結ゆい等とう。廣こう說せつ如前。縛ばく者しゃ三さん縛ばく。謂いい貪むさぼ瞋癡。隨ずい眠ねむり者しゃ七なな種しゅ隨したがえ眠ねむり。謂いい欲ほし貪むさぼ隨ずい眠ねむり等ひとし。廣こう說せつ如前。隨ずい煩惱ぼんのう者しゃ。三さん隨ずい煩惱ぼんのう。謂いい貪むさぼ瞋癡。纏まとい者しゃ八はち纏まとい。謂いい無む慚無愧。惛沈睡眠すいみん。掉舉惡あく作さく。嫉妬しっと慳悋暴流者しゃ四よん暴流。謂いい欲よく暴流。有ゆう暴流。見み暴流。無明むみょう暴流。如暴流りゅう軛くびき亦また爾なんじ。取と者しゃ四よん取と。謂いい欲ほし取と。見取みとり。戒禁取と。我が語ご取と。繫者四繫謂貪身繫。瞋身繫。戒禁取と身み繫。此實執と取ど身み繫。蓋ぶた者しゃ五ご蓋ぶた。謂いい貪欲どんよく蓋ぶた。瞋恚しんに蓋ぶた。惛沈睡眠すいみん蓋ぶた。掉舉惡あく作さく蓋ぶた。疑うたぐ蓋ぶた。株かぶ杌者三さん株かぶ杌。謂いい貪むさぼ瞋癡。如株杌如是ぜ垢あか常つね害がい箭や。所有しょゆう惡行あくぎょう亦また爾なんじ。根ね者しゃ三さん不ふ善根ぜんこん。謂いい貪むさぼ不ふ善根ぜんこん。瞋不善根ぜんこん。癡ち不ふ善根ぜんこん。漏も者しゃ三さん漏も。謂いい欲ほし漏も有ゆう漏も無明むみょう漏も。匱者三さん匱。謂いい貪むさぼ瞋癡。如匱如是にょぜ燒しょう惱有諍いさかい。火ひ熾おき然しか稠林亦また爾しか拘かかわ礙者有ゆう五ご拘かかわ礙。一顧いっこ戀こい其身。二に顧戀諸しょ欲ほっ。三樂さんらく相しょう雜ざつ住じゅう。四よん闕隨順ずいじゅん教きょう。五得微少善便生喜足。」(CBETA, T30, no. 1579, p. 314, b20-p. 315, a1)

[4] 《瑜伽ゆが師し地ち論ろん》卷まき58：「云うん何なん建立こんりゅう煩惱ぼんのう雜ざつ染しみ染しみ淨きよし差別さべつ。謂いい如所說せつ本ほん隨ずい二に惑。略りゃく二緣故染惱有情。一いち由よし纏まとい故ゆえ。二に隨ずい眠ねむ故ゆえ。現行げんこう現げん起おこり煩惱ぼんのう名めい纏まとい。即そく此種子しゅし未み斷だん未み害がい。名めい曰隨眠ねむ亦また名めい麁重。又また不覺ふかく位い名めい曰隨眠ねむり。若わか在ざい覺さとし位い說せつ名めい為ため纏まとい。若わか諸しょ具ぐ縛ばく補ほ特とく伽羅きゃら生せい在ざい欲界よくかい。成就じょうじゅ三界さんがい煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。若わか生色せいしょく界かい所有しょゆう異こと生せい。成就じょうじゅ欲界よくかい被ひ奢おご摩ま他た之これ所しょ損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。成就じょうじゅ色しょく界かい及無色しょく界かい所しょ未み損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。若生わこう無色むしょく所有しょゆう異こと生せい。成就じょうじゅ欲界よくかい及與色しょく界かい被ひ奢おご摩ま他た之これ所しょ損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。成就じょうじゅ無色むしょく所しょ未み損そん伏ふく煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。如界道理どうり隨ずい地ち亦また爾なんじ。諸しょ煩惱ぼんのう纏まとい未み離はなれ自じ地ち煩惱ぼんのう欲ほっ者しゃ自じ地ち現げん起おこり。已やめ離はなれ欲よく者しゃ即そく不ふ現げん起おこり。若わか在ざい下地したじ。上地うえち諸しょ纏まとい亦また得とく成就じょうじゅ。非ひ在ざい上地じょうち得とく說せつ成就じょうじゅ下地したじ諸しょ纏まとい。」(CBETA, T30, no. 1579, p. 623, a20-b5)

[5] 《顯揚けんよう聖教せいきょう論ろん》卷まき4〈1 攝と事こと品ひん〉：「現行げんこう者しゃ。謂いい煩惱ぼんのう纏まとい。睡眠すいみん者しゃ。謂いい煩惱ぼんのう隨ずい眠ねむり。」(CBETA, T31, no. 1602, p. 501, b2-3)

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