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Fate/dragon’s dream

Fate/dragon’s dream

ドラグーン(かり)

ズズズズズズ、と、それはまるで遠雷えんらいのようにひびいてきた。
「――! シロウ、をつけて!」
「な、なんだ――!?」

可能かのうかぎりの身支度みじたくととのえ、しかし迅速じんそくまもるみやていやなぎほらてらへとんだおれたちが、大聖たいせいはいへとつづくのであろう洞窟どうくつくち発見はっけんするのに時間じかんはさほどかからなかった。

なにせくち付近ふきんいわばされ、本来ほんらいあったであろう魔術まじゅつてき目眩めまいましがまるごと消失しょうしつしていたうえ、これよがしな魔力まりょく残滓ざんしがまるでみちしるべのようにそこへとつづいていたからだ。
 さそむためのわな――? たりまえだ、わなまってる。

――大聖たいせいはい。ジークフリートは遠坂とおさかともない、そこへかっているという。だが、その場所ばしょ復讐ふくしゅうしゃアンリマユという、魔王まおうしたサーヴァントによって占拠せんきょされているはずだ。
 何故なぜ、そんなところにジークフリートはかったのか。そして――あのろくじゅうおくすべての人間にんげんまじなころどろみなもとたいし、なにをしようとしているのか。

くらそこへとつづあなむことすうじゅうふんどおしだったおれろうわろうと、まえくセイバーが速度そくどゆるめたその瞬間しゅんかん――まず最初さいしょにやってきたのは、周囲しゅういいちめんすべてのやみしのけるひかり洪水こうずい

瞬時しゅんじにハーゲンがわり、さけんだ。
「こ、れは――グラムのひかり!?」
「――これが――グラム――!?」

「……間違まちがいない。くちからこっち、ずっとこえていた不気味ぶきみこええた――おそらくその、復讐ふくしゅうしゃアンリマユとかいうあくりゅうがグラムによって消滅しょうめつしたのだろう」
――な――
「なんだって!? アンリマユが――消滅しょうめつ!?

「――しんじられませんが――間違まちがいなく、このよどませていた気配けはいえています。みるみる浄化じょうかされている――なにというちからだ、わたしたちがあれほどいたのろいを、ここまで完全かんぜんに――!
「ハーゲン、一体いったいなにがどうなっているんだ? どうしてジークフリートは遠坂とおさかを――」

「……事態じたいおれかんがえたとおりであれば、おそらく――」
 ハーゲンがそうった矢先やさきだった。
 ――彼方かなたから、不吉ふきつ地響じひびきがこえてきたのは。
「いかん!! 士郎しろう殿どのただちにおれとの契約けいやく破棄はきしろ!! ――ええい、わんか!」

「な、突然とつぜんなにを――が…ぐ――!?」
「――こ、これは――!? 身体しんたいが、きゅうおもく――!」

「―――か、は――ぐ……があ……っ」
 いきが――できない。
 ――いや、それは錯覚さっかくだ。これは――魔力まりょくが、なにか、に、げ、られ……!

われらサーヴァントをげんかいさせておく機構きこうくずれたのだ――士郎しろう殿どの魔力まりょく容量ようりょうだけではおれをこの世界せかいつなめておくことができん! ――このままでは、おれ士郎しろう殿どの魔力まりょくくしてしまう――!
 士郎しろう殿どのれいのろい破棄はきし、おれとの契約けいやくれ!
 いたかたないがそれしか方法ほうほうがない。まだあと数刻すうこく程度ていどならば、おあるじからの魔力まりょく供給きょうきゅうってもえられよう!

 ――な、ん、だって――? つまり――それ、は
「……は――づ……っ――!」
 つったって――契約けいやく破棄はきって、どうすりゃいいんだ――!? れいのろいるにしたって、……このれいのろい、アタマ(がく)に顕現けんげんしてるんだぞ……!? くびとせってか!?

「シロウ! ハーゲン殿どのとおりだ! ただちに契約けいやく破棄はきしてください! このままではあなたの身体しんたいがもた―――!?」

ボォ―――――――――――――ゥ  ボォ――――――――――――ゥ……
 とおくから、みょうにくぐもった、しかし力強ちからづよひびきのおとひびいてくる。
 なんだ、これ……? ふねらす汽笛きてきのような――いや、それよりもなにかもっと、空気くうき共鳴きょうめいして振動しんどうしているようなおとだ。――木管もっかん楽器がっきのような――角笛つのぶえ、か――?

――そして、かんがえるあいだもなく。間髪かんぱついれずに『それ』がた。

「――!?」
「な――っ!?」

 セイバーでさえ反応はんのうできなかった。いや、たと反応はんのうできたところでどうなるだろう。

世界せかいが、一瞬いっしゅん虹色にじいろになった――そうとしか形容けいようができない。虹色にじいろ津波つなみが、洞窟どうくつおくからあふれだし、一瞬いっしゅんおれたちをんだ。
「こ、これは一体いったい――!? シロウ!? 大丈夫だいじょうぶですかシロウ!?」

「う――げ、ぐえぇぇぇッ!」
 か――は―――!? まわる――!?

まるで万華鏡まんげきょうなかほうまれ、めちゃくちゃにすぶられているような――肺腑はいふわずわず、身体しんたいなかまれて内臓ないぞうをぐるぐるかきまわされているような感覚かんかく……!

のうがこのくるった視界しかい強烈きょうれつ拒否きょひ反応はんのうこした。れずもどし、くちなかにがあじひろがる。そのときになってようやくづいた。

――いつのにか、ハーゲンにげられて干上ひあがった魔術まじゅつ回路かいろ
 ――魔力まりょくたされている。いや、たされているどころじゃない。だい洪水こうずい状態じょうたいだ。さっきまで真空しんくう状態じょうたいにいたところが、いきなりこう濃度のうど酸素さんそなかほうまれたような――

「――おなじだ……あのときと……」
 ハーゲンがうめく。
「ハーゲン殿どの、この現象げんしょう一体いったい!? とてつもないマナ(魔力まりょく)の濃度のうど――これほどのマナであれば、サーヴァント(わたしたち)といえどマスター(憑代)なしでさえげんかいできる! どこからこれほどのマナが……!?」

ハーゲンは、ペッとおれくちなかのこ胃液いえきし、った。

「おそらく大聖たいせいはいとやらが破壊はかいされ、まれていたマナが一気いっきあふしたのだ。この現象げんしょう見覚みおぼえがある――僥倖ぎょうこうだぞ士郎しろう殿どの! これならばおあるじ魔力まりょく回路かいろからあふれたぶん魔力まりょくだけでも、おれはおおも契約けいやくつづけられる! 身体しんたいつらいだろうがさきほどよりはマシであろう。この現象げんしょうおさまるまえにやつをたおす!

「だ……大聖たいせいはいを――破壊はかい!? ――まさか、ジークフリートは最初さいしょからそれが目的もくてきだったのですか!?

間違まちがいないだろうよ――おれへのけもあるのだろうがな。
 これで確信かくしんできた。シグルドはおそらく、大聖たいせいはい破壊はかいもしばらくげんかいできるように魔力まりょく確保かくほしているにちがいない――おおもたたかうためにな。
 だが、目的もくてき大聖たいせいはい破壊はかいだとられてしまえば、おあるじたちが確実かくじつたすかるみちひとつある――シグルドの確保かくほしていた魔力まりょくきるまで、ヤツからつづけることだ」

そう、か――それで、遠坂とおさかは、伝言でんごんおれとセイバーに冬木ふゆきはなれろと――
 そして、ジークフリートたちが、おれたちに、それをさせないためには――
「そのために、りんを――!」

人質ひとじちとしてあつかであるにせよ、ないにせよ、彼女かのじょともなってくとなれば、そこがただならぬ危険きけん只中ただなかであるとっている以上いじょう、おあるじたちはかならもどしにシグルドをう。
 ――はかられたな、おうよ。ヤツはどうあっても、おあるじらずにはいられないらしい」

「――かまいません。いずれどうあれ、かれとはなんらかのかたち決着けっちゃくしなければならない。
 ……わたし一人ひとりではかれにはてない。それは英霊えいれいとしての相性あいしょうだとか、力不足ちからぶそくだとか、そういう次元じげんはなしではないことはグラムのきずけたときによくかっています。
 ――ハーゲン殿どの、どうかお力添ちからぞえを。そのちからわたし士郎しろうに――!

おれがこんながたでここにこうして存在そんざいしているということは、つまりはそういうことなのだろうさ。士郎しろう殿どの魔力まりょくいしているひまはないぞ。身体しんたいいたか?」
 苦笑くしょう気味ぎみうハーゲンに、おれは、
「トレース(投影とうえい)、オン(開始かいし)!」

「それは――!」
「――アイツ相手あいてには、これじゃなきゃダメなんだ」
 投影とうえいした、グラムをかかげてせる。

――なんてこった。魔力まりょくがありあまぎていて、消費しょうひしたそばから補充ほじゅうされ、さらにあふく。むしろ、つね魔力まりょく使つかつづけておけばぎゃく身体しんたい調子ちょうしくなりそうだ――!
 まさ全開ぜんかい御免ごめんだい開放かいほう状態じょうたい。これならアンリミテッド・ブレイドワークス(固有こゆう結界けっかい)の発動はつどうもまったく問題もんだいないだろう。

――けんグラム。ありとあらゆる神秘しんぴく、はん幻想げんそう――けん。このけんまえには、ゆがみである『』は、ことごとく意味いみうしなう。呪詛じゅそ魔術まじゅつ幻想げんそうしゅ――このけんは、それら本来ほんらい存在そんざいしえないモノたち天敵てんてきである。

そもそも『』とは、本来ほんらいこの存在そんざいしないモノ、通常つうじょういとなみをげ、逆行ぎゃっこうさせるモノをす。グラムはそのような『』を、強制きょうせいてき正常せいじょう宇宙うちゅう運行うんこうもどしてしまうのだ。
 それが、グラムというけん形成けいせいする幻想げんそう骨子こっし物事ものごと分析ぶんせき解体かいたいする切断せつだん概念がいねん原理げんりはしはっする、究極きゅうきょくのマジックキャンセル(幻想げんそう否定ひてい)能力のうりょく

幻想げんそう破壊はかいするための幻想げんそう」――それは「肯定こうていのための否定ひてい」をすためのモノ。あいするがゆえりゅうる、りゅうころしジークフリートのための武器ぶきなのだ。

ゆえに、その刀身とうしんにつけられたきずはどんなちいさいものであっても、つけられたモノが『』にるいするものであるならば、それはそのまま存在そんざいのほころびを意味いみすることとなり、最終さいしゅうてきには崩壊ほうかいさせられる。

グラムにこうする魔力まりょくつものであるならば、傷口きずぐちからどくながまれつづけるような苦痛くつうることになるだろう。
 したがって、いかなるたから投影とうえいしても、幻想げんそう骨子こっしとしている以上いじょう、グラムはいちげきでそれをち、無力むりょくしてしまう。

そんなグラム(けん)に、こうしうる幻想げんそうがあるとすればただひとつ。おなはん幻想げんそう骨子こっしゆうする――おなじグラム(けん)のみ。それとて、一回いっかい投影とうえいけんげきけきれるのはくて3かい限界げんかいだろう――

だが、このにじ世界せかいならばなん投影とうえいしようが問題もんだいない。こわれたらつくなおせばいいだけのこと――!

くぞハーゲン、セイバー!」
「はい!」

 ふたたす。彼方かなたよりこえてくる角笛つのぶえのようなおとは、おそらく破壊はかいされた大聖たいせいはいから噴出ふんしゅつするマナが大気たいき共鳴きょうめいしているのだろう。ならば――

「あのおとのするほうに、ジークフリートがいる――!」
「こっちです、シロウ!」

 せま洞窟どうくつなか反響はんきょうするおと方向ほうこうをききわけるのは至難しなんわざだ。それにしても、
「ハァ――ハァ――!」

「シロウ、頑張がんばってください――この現象げんしょうはあなたの身体しんたいには負担ふたんかもしれないですが、魔術まじゅつてきにはなん制約せいやくもなくなります。それをかんがえれば――」

「うむ、へばっているひまはないぞ」
かってる。――とはっても――そうだ」
 とにかくこの魔術まじゅつ回路かいろ飽和ほうわさせている魔力まりょくだけでもなにとか使つかいきればいい。なら――
 キィィイィィィィ………ン―――

「む、これは」
「そうか、あま魔力まりょく使つかって強化きょうかおこなったのですね」
「ああ、全身ぜんしんにかけといた。これで多少たしょうはハーゲンにも使つかいやすくなるだろうし、ジークフリートとの戦闘せんとうしになるだろう。あとはもう、かたぱしからあたらしいグラムを投影とうえいしていけば――」

そして、はしる。
さきほどの身体しんたいおもさ……やはり、大聖たいせいはい機能きのう停止ていししていたとはいえ、わずかにてくる魔力まりょく身体しんたい維持いじてられていたということ、か――
 ――それがなくなったということは――今後こんごわたし存在そんざいにんたいしてさらなる負担ふたん強要きょうようすることに――)

「――? どうしたんだセイバー?」
「――い、いえ、なんでもありませんシロウ。それよりも注意ちゅういを。もうすぐそこです」
 いく度目どめかもからないかくがったとき、おと一段いちだんおおきくなり、そして――

「これは―――!」
「うわ……!」

 突然とつぜん視界しかいけた。もはやそこは、洞窟どうくつなんてものじゃない。地下ちか世界せかい――広大こうだい空間くうかんだい空洞くうどう

その広大こうだい空洞くうどうは、まるで巨大きょだい万華鏡まんげきょう内部ないぶさながらに、ひっきりなしにいろえる空間くうかんしており――そして、視界しかいおおうすさまじい砂埃すなぼこりちこめていた。

ボォ――――――――――――――――――ゥ
ボォ――――――――――――――――――ゥ……

その彼方かなた岩山いわやまのようなかげえる。おそらくもとはいわかべだったのだろう、あちこちがくだけて崩落ほうらくしているが、よこいちれつ山脈さんみゃくのようにつづいているようだ。この奇妙きみょうおといわかべこうがわからひびいており、おとたび虹色にじいろの煌きがあふし、砂埃すなぼこりによって乱反射らんはんしゃしているのがえる。

そうしているあいだにも、ガラガラといわくずちるおとこえる。
 ――そう。そこは、終焉しゅうえんという破壊はかい只中ただなか

このだい空洞くうどう支配しはいしていたのであろうアンリマユは、すでにグラムによってられ、そして大聖たいせいはいであったであろう装置そうち崩壊ほうかいし、瓦礫がれきやまとなりつつある。200年間ねんかん冬木ふゆきつづけ、おおくの魔術まじゅついのちうばってきたきよしはい戦争せんそう――アインツベルンのもとめたきよしはいは、もう二度にどあらわれることはないのだ。

200ねんゆめわり。イリヤがこの光景こうけいたら――なんとおもっただろう。
 「――!! シロウ!!」
 そのとき

士郎しろう―――――――――――――――ッ!!!  セイバ―――――――――――――――ッ!!!」

――あ
 そのこえいた瞬間しゅんかん、 安堵あんどで、こしけそうになった。
 ――なんだ。……はは。全然ぜんぜん元気げんきじゃん――
 あんないかにもヤバそうなメッセージなんて寄越よこしてくるから、じゃなかったのにさ――

彼方かなた崩壊ほうかいするいわかべ一角いっかく。そこだけは比較的ひかくてきしっかりとしたいわのこっており、崩壊ほうかいすでわっている。
 その、中腹ちゅうふく――砂埃すなぼこりなかでもはっきりとかる、あわ赤色あかいろ球体きゅうたい岩肌いわはだにめりんでいる。中腹ちゅうふくにあるテラスのような部分ぶぶん中心ちゅうしんに、結界けっかいられているのだろう。
 ――そのあかひかりこうがわに――

「ほんっっっっっとバカバカバカバカバカ!!! なんでわざわざわなはまりにくるのよこのバカ弟子でし――――――!!!」

大声おおごえでわめきらしている遠坂とおさか姿すがたがあった。
「――は、はは……ははははは……はぁ」
 一気いっきけた。かった。あれぐらい元気げんきなら、遠坂とおさか安否あんぴについてはもう不安ふあんはない。あいつはいつものアイツだ。それなら――

「シロウ! あそこにりんが!」
かってる。でも――」
「おっと、どこくつもりだてめぇら。そいつぁいまはオレのもんだ。勝手かってぬすすたぁ感心かんしんしねぇな」

朗々ろうろうたるこえひびく。ハーゲンはさっきから、こちらにかってくるそれの気配けはいたいしてだけ注意ちゅういけていた。
 ゆらりと。砂塵さじんなかに、異形いぎょうかげらいだ。

――そう、それは異形いぎょうだった。上半身じょうはんしんふくがり、左右さゆういちついかげつばさあたま鋭角えいかくてきなフォルムをしており、人間にんげん下半身かはんしんりゅう上半身じょうはんしんわせたようなはんにんはんりゅう――
 すな足音あしおとちかづき、そして――砂埃すなぼこりなかから、ヤツがその姿すがたあらわす。

「ジーク……フリート――!」
「よう、アルトリア。それに小僧こぞうと――ハーゲン。あいだったみてぇだな、おたがいに」

――それは。
おう。あなたがわたしのマスターか』
 いつかどこかでた、
かった。本当ほんとうに、かった――』
 月光げっこうと、煉獄れんごくの、まぼろし――

そこには――ゆめがいた。
 しろいライトメイル(軽装けいそうよろい)をけ、あおひか幾何きかがく模様もようがジークフリートの全身ぜんしんている。そして――まるで背後はいごからかれきしめるかのように、あおりゅう上半身じょうはんしんがそのにあった。

ファフニール――ジークフリートとグラムによってほろぼされた、ニーベルンゲンの財宝ざいほうまもりゅう
 りゅうのこしたのろいは、みずからをほろぼした英雄えいゆう不死ふしあたえ、財宝ざいほうのもたらす短命たんめいのろいとともにありつづけた。

りゅうによって守護しゅごされる、りゅうごろしの英雄えいゆう。その二律背反にりつはいはん宿しゅくす、自己じこ矛盾むじゅん英霊えいれい
 あらゆるきずからまもられるはずのその英雄えいゆうはしかし、いまはなぜか全身ぜんしんをわずかにあかよごしていた。よろいしたからじわりとにじむ血液けつえき。それはりゅうからも、わずかにしたたちている。

――なにがあったのか。直感ちょっかんてきに、アンリマユとの戦闘せんとうによってついたきずではないな、とおもった。かれきずわせられるものは、おのれ自身じしんるうけんのみ。

すべての幻想げんそう破壊はかいする切断せつだん原理げんり――けん。ぶん、と、ジークフリートが、むきしとなったそのけんるう。そのぎん軌跡きせきを、見惚みほれるようにつめたその瞬間しゅんかん
 ――まったく唐突とうとつに。おれ意識いしきやみちた。

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