歯車はぐるま

歯車はぐるま（はぐるま、英えい: gear）とは、伝動でんどう車しゃの周囲しゅういに歯形はがたを付つけて確実かくじつな動力どうりょく伝達でんたつを可能かのうにした機械きかい要素ようそである。英語えいごでは「gear」で、日本語にほんごではギア、ギアーと表記ひょうきされることもあるが、JISでの表記ひょうきはギヤである。減速げんそくや増ぞう速そく、回転かいてん軸じくの向むきや回転かいてん方向ほうこうを変かえたり、動力どうりょくの分割ぶんかつなどに用もちいる。

歯車はぐるま

インボリュート歯車はぐるまによる力ちからの伝達でんたつ

概要がいよう

遊星ゆうせい歯車はぐるま

歯車はぐるまは平ひらたベルト等ひとしと異ことなり滑すべりが無ないので、タイミング機構きこうには不可欠ふかけつである。軸じくと一体いったいのものや軸受じくうけを仕込しこんだもの、キー溝みぞやスプラインを設もうけたものがある。

歯は数すうの組くみ合あわせは自由じゆうであるが、大おおきな力ちからを伝達でんたつするときや、滑なめらかさを必要ひつようとするときは、いつも同おなじ歯ぱ同士どうしが当あたると、微小びしょうな傷きずが大おおきくなったり、特定とくていの箇所かしょで音おとが発生はっせいするため、無駄むだ歯ぱを設もうけて歯は数すうが互たがいに素もとになるように設計せっけいされる場合ばあいがある。互たがいに素そである組くみ合あわせでは全体ぜんたいが均一きんいつに磨耗まもうし、歯は当あたりが滑なめらかになる。これを英語えいごではharmonic wearという。ほとんどの工業こうぎょう製品せいひんはこの組くみ合あわせで作つくられるが、減速げんそく比ひの都合つごうなどによってそうできない場合ばあいもある。歯車はぐるまの材質ざいしつが同種どうしゅの組くみ合あわせは摩擦まさつ係数けいすう、耐たい摩耗まもう性せい、焼付やきつき耐たい性せいが劣おとるため異ことなる材質ざいしつか表面ひょうめん処理しょりを行おこなった歯車はぐるまの組くみ合あわせが好このましい。また、小しょう歯車はぐるまは硬かたい材料ざいりょうにしておかないと先さきに磨耗まもうする。

代表だいひょう的てきな歯車はぐるま装置そうちには以下いかのようなものがある。

• 遊星ゆうせい歯車はぐるま機構きこう
• 差さ動どう装置そうち - ディファレンシャル、略りゃくしてデフとも呼よばれる。
• 減速げんそく機き、変速へんそく機き
• ラック・アンド・ピニオン

平行へいこうして有ある2本ほんの軸じく上じょうに2種類しゅるいずつ（計けい4枚まい）のギヤを接続せつぞくしループを作つくった場合ばあい、2本ほんの軸じく上じょうにあるギヤの比率ひりつが一定いっていである場合ばあいを除のぞいて、軸じくは回転かいてんをしない。

減速げんそく・増ぞう速そく

歯は数すうのちがう歯車はぐるまを組くみ合あわせて減速げんそくや増ぞう速そくに用もちいる。ウォームギヤ以外いがいの歯車はぐるま2つがかみ合あっている場合ばあい、回転かいてん角度かくどおよび角速度かくそくどの比ひは歯は数すうの比ひの逆数ぎゃくすうになる。トルクの比ひは、摩擦まさつ力りょくを除のぞけば、てこの原理げんりにより、ピッチ円えん半径はんけいの比ひになる。歯は数すうの比ひとピッチ円えん径みちの比ひは等ひとしくなるため、駆動くどう歯車はぐるまをD、従したがえ動どう歯車はぐるまをPとして式しきで表あらわすと次つぎのようになる。

• j=1/u=Pの歯は数すう/Dの歯は数すう=Pのピッチ円えん径みち/Dのピッチ円えん径みち=Dの回転かいてん角度かくど/Pの回転かいてん角度かくど=Dの角速度かくそくど/Pの角速度かくそくど=Pのトルク/Dのトルク

3つ以上いじょうの歯車はぐるまが順じゅんにかみ合あっているとき、最初さいしょと最後さいごの歯車はぐるまのそれらの比ひは、最初さいしょと最後さいごの歯車はぐるまが直接ちょくせつかみ合あっている場合ばあいと同おなじで、間あいだの歯車はぐるまの歯は数すうに関係かんけいない。（3つの平ひら歯車はぐるまで入力にゅうりょくと出力しゅつりょくの回転かいてん方向ほうこうを同おなじにする場合ばあい等とう。）

• 駆動くどう歯車はぐるまの歯は数すう<従したがえ動どう歯車はぐるまの歯は数すう

の場合ばあい、減速げんそくとなってトルクが増まし、逆ぎゃくの場合ばあい増ぞう速そくとなってトルクが減へる。

• Pのトルク×Pの回転かいてん角度かくど＝Dのトルク×Dの回転かいてん角度かくど
• Pのトルク×Pの角速度かくそくど＝Dのトルク×Dの角速度かくそくど

となり、摩擦まさつ損失そんしつを除のぞけば、エネルギーおよび仕事率しごとりつは変かわらない。

例たとえば、歯は数すう90の大おおきい歯車はぐるまと、歯は数すう20の小ちいさい歯車はぐるまがかみ合あっている場合ばあい、小ちいさい歯車はぐるまの角速度かくそくどは大おおきい歯車はぐるまの4.5倍ばい、大おおきい歯車はぐるまのトルクは小ちいさい歯車はぐるまの4.5倍ばいとなり、小ちいさい歯車はぐるまが3回転かいてんすると大おおきい歯車はぐるまは240度ど回転かいてんする。

動力どうりょくの分割ぶんかつ等とう

動力どうりょくの分割ぶんかつ、分配ぶんぱい、取とり出だしや、入力にゅうりょく、統合とうごうに用もちいられている。例たとえば自動車じどうしゃはデファレンシャルギヤによって、1つの原動機げんどうきで左右さゆう両輪りょうりんを回転かいてんさせる。さらに、一部いちぶの四よん輪りん駆動くどう車くるまではセンターデフで動力どうりょくを前後ぜんご輪わに分割ぶんかつするものもある。また、オイルポンプなどの補ほ機きを回転かいてんさせるために出力しゅつりょくを取とり出だしたり、逆ぎゃくにスターターモーターの回転かいてん力りょくを入力にゅうりょくしている。

種類しゅるい

歯はすじの形状けいじょう等とうで分類ぶんるいされる。2つの歯車はぐるまを組くみ合あわせた際さいに、それぞれの軸じくの位置いち関係かんけいは平行へいこうとなるもののほか、交差こうさするものや食くい違ちがいとなるものがある。

平ひら歯車はぐるま

ひら歯車はぐるま、ひらはぐるま、英語えいご: spur gear

平ひら歯車はぐるまの動うごき

ラック（下した）とピニオン

歯はを回転かいてん軸じくと平行へいこうに切きった歯車はぐるま。製作せいさくが容易よういであるため動力どうりょく伝達でんたつ用よう（駆動くどう列れつ）に最もっとも多おおく使つかわれている。歯車はぐるま同士どうしが外接がいせつする外そと歯車はぐるまと、小しょう歯車はぐるまが円筒えんとうの内面ないめんに歯は筋すじを設もうけた大だい歯車はぐるまに内接ないせつする内うち歯車はぐるまがある。

大小だいしょう2つの平ひら歯車はぐるまを組くみ合あわせる時ときに、大おおきい方ほうをギヤといい、小ちいさい方ほうをピニオンという。ピニオンに組くみ合あわされる大だい歯車はぐるまは外そと歯車はぐるまに限定げんていされず、内うち歯車はぐるまや、直径ちょっけいを無限むげん大だいにしたラック（英語えいご: rack）とも組くみ合あわされる。

回転かいてん運動うんどうを直線ちょくせん運動うんどうに変かえるには、ラックと小しょう歯車はぐるまを組くみ合あわせたラック・アンド・ピニオンが用もちいられる。ラック・アンド・ピニオンは工作こうさく機械きかいの位置いち送おくりや自動車じどうしゃのステアリング装置そうちに用もちいられている。

内うち歯車はぐるま・内うち歯は歯車はぐるま

うちはぐるま、うちばはぐるま

内うち歯車はぐるま

平ひら歯車はぐるまの一種いっしゅで、読よんで字じのごとく内側うちがわに歯はがついている歯車はぐるま。

内側うちがわに噛かませるため小径しょうけいの歯車はぐるまとしか組くみ合あわせられない。遊星ゆうせい歯車はぐるま機構きこうのようにこの歯車はぐるまが無なければ成立せいりつしない構造こうぞうのものも存在そんざいする。

はすば歯車はぐるま

斜はす歯ぱ歯車はぐるま、英語えいご: helical gear

はすば歯車はぐるま（上うえ）とねじ歯車はぐるま（下した）

平ひら歯車はぐるまの歯はを軸じく線せんに対たいして斜ななめ（はす）に切きって、螺旋らせん状じょうとした歯車はぐるま。

同時どうじにかみ合あう歯は数すうを増ふやし、歯は当あたりが分散ぶんさんされるので音おとが静しずかで、トルクの変動へんどうが少すくない。トルクがかかると推力すいりょく（スラスト）が発生はっせいするので、何なんらかの形かたちのスラスト軸受じくうけが必要ひつようになる。

減速げんそく機構きこうでは原動機げんどうき側がわのトルクは小ちいさいので傾かたむきを大おおきく、最終さいしゅう段だんではトルクが大おおきいので傾かたむきを小ちいさくする。

ねじ歯車はぐるま

はすば歯車はぐるまと同おなじ形がたの歯車はぐるまを組くみ合あわせて、2軸じくの間あいだに平行へいこう以外いがいの角度かくどで動力どうりょくの伝達でんたつを行おこなう歯車はぐるまである。

やまば歯車はぐるま

山やま歯ぱ歯車はぐるま、英語えいご: Herringbone gear、double helical gear

やまば歯車はぐるま

同おなじ傾斜けいしゃでねじれ方向ほうこうが逆ぎゃく向むきのはすば歯車はぐるまを2つ組くみ合あわせた形かたちをしていて、はすば歯車はぐるまの軸じく方向ほうこうに発生はっせいする推力すいりょくを互たがいに打うち消けしあう構造こうぞうとした歯車はぐるまである。

フランスの自動車じどうしゃメーカー、シトロエンのダブルシェブロンとも呼よばれるエンブレムは、この歯車はぐるまをモチーフにしている。

かさ歯車はぐるま

傘かさ歯車はぐるま、ベベルギヤ、ベベルギア、英語えいご: Bevel gear

かさ歯車はぐるま

円錐えんすい面めん上じょうに歯はを刻きざんだ歯車はぐるまで、広ひろげた傘かさのような形状けいじょうをしていることからこのように呼よばれる。 平行へいこうではなく角度かくどがついた軸じくの間あいだで動力どうりょくを伝達でんたつする際さいに用もちいられる。

一般いっぱん的てきには入出力にゅうしゅつりょくの2軸じくを同どう一いち平面へいめん上じょうとし、平ひら歯車はぐるまを円錐えんすい状じょうに窄すぼめた形かたちのすぐばかさ歯車はぐるま、はすば歯車はぐるまを円錐えんすい状じょうに窄すぼめた形かたちのはすばかさ歯車はぐるま、歯形はがたが曲線きょくせん（円弧えんこ）状じょうのまがりばかさ歯車はぐるまがある。

さらに、入出力にゅうしゅつりょくの2軸じくを同どう一いち平面へいめん上じょうではなくねじれの位置いちとしたハイポイドギヤ（英語えいご: hypoid gears）があり、 自動車じどうしゃの駆動くどう系けい、特とくに縦たて置おきエンジン車くるまの差さ動どう装置そうちはかさ歯車はぐるまの応用おうようの1例れいである。

冠かんむり歯車はぐるま

かんむりはぐるま、クラウンギヤ、クラウンギア、英語えいご: Crown gear

冠かんむり歯車はぐるま

冠かんむり歯車はぐるまはかさ歯車はぐるまの一種いっしゅで、歯はが回転かいてん軸じくに対たいし垂直すいちょくにつけられたもの。歯車はぐるまの形状けいじょうは王冠おうかんに似にる。

かさ歯車はぐるまと組くみ合あわせのほか、小径しょうけいの平ひら歯車はぐるま（ピニオン）とも組くみ合あわされる。

ウォームギヤ

詳細しょうさいは「ウォームギヤ」を参照さんしょう

英語えいご: worm gears

ウォームギヤ

ウォームとウォームホイールを、互たがいの軸じくが直角ちょっかくで交まじわらない位置いちで組くみ合あわせたものをウォームギヤと呼よぶ。1段だんで大おおきな減速げんそく比ひが得えられ、他たの歯車はぐるま機構きこうに比くらべて騒音そうおんが少すくない。

オルゴールの調しらべ速そく機き（ガバナー）、自動車じどうしゃのステアリングギア（ウォームアンドローラー）、天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうの赤道あかみち儀ただし、鉄道てつどう模型もけいの駆動くどうなどに採用さいようされている。

球状きゅうじょう歯車はぐるま

きゅうじょう歯車はぐるま、英語えいご: Cross spherical gear

球体きゅうたいの表面ひょうめんに、2軸じくが直交ちょっこうした歯はを持もつもの。

回転かいてん3自由じゆう度どの運動うんどうを可能かのうとする歯車はぐるま機構きこうの中なかでも小型こがた、軽量けいりょう、伝達でんたつ効率こうりつの高たかさを特徴とくちょうとする。

円盤えんばん・円柱えんちゅうの直径ちょっけい方向ほうこうに軸じくを持もつモノポールギヤとの組くみ合あわせで、ロボットアームの関節かんせつやドローン用ようカメラのジンバル制御せいぎょなどへの利用りようが期待きたいされている。

スプロケット

詳細しょうさいは「スプロケット」を参照さんしょう

スプロケットと
ローラーチェーン

1枚まいの歯車はぐるまとローラーチェーンをかみ合あわせて回転かいてんの伝達でんたつを行おこなう機構きこう、あるいはその歯車はぐるまをスプロケットと呼よぶ。

2つ歯車はぐるまによる機構きこうではないので歯車はぐるま機構きこうという意味いみでは歯車はぐるまとは呼よばれない。

歯形はがた

歯車はぐるまの歯はの形状けいじょうは数学すうがく的てきな計算けいさんから求もとめられる曲線きょくせんとなっていて、歯車はぐるまを製造せいぞう、利用りようする視点してんからは歯形はがた曲線きょくせんとよばれる。伝動でんどう用ようの歯車はぐるまとしてはインボリュート曲線きょくせんとサイクロイド曲線きょくせんの2種類しゅるいが基本きほんとされるが、一般いっぱんにはインボリュート曲線きょくせんが用もちいられる。

インボリュート歯形はがた

インボリュート曲線きょくせんで形作かたちづくられた歯形はがたで、歯車はぐるまの中心ちゅうしん距離きょりが若干じゃっかん変化へんかしてもかみ合あいが正まさしく保たもたれる。ホブ盤ばんで容易よういに製作せいさくでき、また滑すべりも少すくないため一般いっぱんに多おおく用もちいられている。

サイクロイド歯形はがた

サイクロイド曲線きょくせんで形作かたちづくられた歯形はがたで、インボリュート歯形はがたと比較ひかくすると歯はの干渉かんしょうも滑すべりも少すくなく、また滑すべりがより均一きんいつだが、製作せいさくが難むずかしい。時計とけいの機構きこうに用もちいられる。

トロコイド歯形はがた

トロコイド曲線きょくせんで形作かたちづくられた歯形はがたで、内接ないせつ歯車はぐるまポンプに使つかわれる。

歯車はぐるま用語ようご

歯は（tooth）

歯車はぐるまの突起とっき部分ぶぶん。

歯は数すう $z$

歯はの枚数まいすう。

ピッチ円えん（pitch circle）

歯車はぐるまのかみ合あう位置いちから、中心ちゅうしんまでの距離きょりの2倍ばいがピッチ円えん径みちである。ピッチ円えん直径ちょっけいを $d$ で表あらわす。

歯は面めん（tooth surface）

歯はの輪郭りんかく。歯は面めんのうちピッチ円えんより外側そとがわを歯は末まつの面めん（tooth face）、内側うちがわを歯は元もとの面めん（tooth flank）という。

歯は先さき円えん（addendum circle）

歯はの先端せんたんを通とおり、ピッチ円えんと同心どうしんの円えん。歯は先さき円えん直径ちょっけいを $d_{k}$ で表あらわす。

歯は底そこ円えん（dedendum circle,root circle）

歯はの根元ねもとを通とおり、ピッチ円えんと同心どうしんの円えん。歯は底そこ円えん直径ちょっけいを $d_{f}$ で表あらわす。

歯は末まつのたけ（addendum） $h_{k}$

歯は先さき円えん半径はんけいとピッチ円えん半径はんけいとの差さ。

歯は元もとのたけ（dedendum） $h_{f}$

ピッチ円えん半径はんけいと歯は底そこ円えん半径はんけいとの差さ。

全ぜん歯はたけ（whole depth） $h$

歯は末まつのたけと歯は元もとのたけの和わ。すなわち、$h=h_{k}+h_{f}$ である。

頂いただきげき（top clearance）

歯は元もとのたけ $h_{f}$ と相手あいて歯車はぐるまの歯は末まつのたけ $h_{k}'$ との差さ。すなわち、$h_{f}-h_{k}'$ である。

ピッチ（pitch）・円えんピッチ（circular pitch） $t$

ピッチ円上えんじょうの1歯はの上うえの点てんと隣となりの歯はの上うえの点てんとの距離きょりをピッチ円えんに沿そって測はかったもの。$t=s+w$ である。

法線ほうせんピッチ（normal pitch）

インボリュート歯形はがたにおいて、インボリュートの法線ほうせんが隣となりのインボリュートによって切きり取とられる長ながさ。

歯は幅はば（face width）

歯車はぐるまの軸じく方向ほうこうに測はかった歯はの長ながさ。

歯は厚あつし（tooth thickness） $s$

ピッチ円上えんじょうで測はかった歯はの厚あつさ。

歯は溝みぞの幅はば（space thickness） $w$

ピッチ円上えんじょうで測はかった歯はと隣となりの歯はとの隙間すきまの長ながさ。

バックラッシュ（backlash）

2つのかみ合あう歯車はぐるまにて、互たがいのピッチ円えん間あいだにある隙間すきまのこと。歯はの両面りょうめん（腹はらと背せ）の接触せっしょくを防ふせぎ、性能せいのうが低下ていかすることを防ふせぐために設もうけられる「必要ひつよう悪あく」。

モジュール（module）

歯はの大おおきさを表あらわす規格きかく値ち。一般いっぱんに用もちいられている標準ひょうじゅん寸法すんぽうの歯はを並なみ歯ぱ（full depth tooth）というが、並なみ歯ぱでは歯は末まつのたけとモジュールを等ひとしくする。

クラウニング（crowning）

歯車はぐるま同士どうしがかみ合あっているとき、全体ぜんたい的てきになめらかさを出だすことで相手あいての歯はをしっかりかみ合あわせることができる。このなめらかさを出だすことをいう。

速はや比ひ $u$

速はや比ひは、次つぎ式しきで表あらわされる。

• $u=$ 駆動くどう歯車はぐるまの歯は数すう / 従したがえ動どう歯車はぐるまの歯は数すう $=$ 従したがえ動どう歯車はぐるまの角速度かくそくど / 駆動くどう歯車はぐるまの角速度かくそくど

伝達でんたつ比ひ $j$

伝達でんたつ比ひは、速はや比ひの逆数ぎゃくすうで表あらわされる。

• $j={\frac {1}{u}}$

規格きかく

歯車はぐるまには以下いかの規格きかくが用もちいられる。

• 国際こくさい規格きかく
  • ISO規格きかく（国際こくさい標準ひょうじゅん化か機構きこう）
• 日本にっぽん規格きかく
  1. JGMA規格きかく（一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん歯車はぐるま工業こうぎょう会かい）
  2. JIS規格きかく（一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじん日本にっぽん規格きかく協会きょうかい）

上記じょうき、規格きかくは各かく団体だんたいで購入こうにゅう可能かのう（3.は日本にっぽん規格きかく協会きょうかいでも購入こうにゅう可能かのう）

歴史れきし

ランタン歯車はぐるま伝導でんどう装置そうち

歯車はぐるまの歴史れきしは古ふるく、1901年ねんには地中海ちちゅうかいに沈しずんでいた古代こだいギリシア時代じだいのアンティキティラの沈没ちんぼつ船せん（英語えいご版ばん）から回収かいしゅうされたアンティキティラ島とうの機械きかいは紀元前きげんぜん150 - 100年ねんに製作せいさくされたと考かんがえられているが、これは歯車はぐるまを利用りようした天体てんたい運行うんこう計算けいさん機きだった。しかしこの機械きかいと同様どうようの複雑ふくざつさを持もった技術ぎじゅつ工芸こうげい品ひんはその1000年ねん後ごまで現あらわれることはなかった。 ウィトルウィウスは『建築けんちくについて』の中なかで縦たてに回転かいてんする水車みずぐるまについて論ろんじたが、縦たてに回転かいてんする動力どうりょくを横よこ方向ほうこうの回転かいてんに変換へんかんするランタン歯車はぐるまと呼よばれる木製もくせいのピンを組くみ合あわせる歯車はぐるまが1世紀せいき頃ころのロろーマ帝国まていこくで普及ふきゅうし、18世紀せいき末まつまで日常にちじょう的てきな歯車はぐるまとして利用りようされ続つづけた。全ぜん金属きんぞく製せいの歯車はぐるまは11 - 12世紀せいき頃ごろに登場とうじょうしたが、産業さんぎょう用ようではなく専せんら時計とけいなどの精密せいみつ装置そうちに用もちいられた。

シンボルとしての「歯車はぐるま」

さまざまな国家こっかや企業きぎょう（特とくに製造せいぞう業ぎょう）、団体だんたいの旗はた・記章きしょう等ひとしにおいて、「工業こうぎょう」あるいは「労働ろうどう者しゃ」を象徴しょうちょうする意匠いしょうとして歯車はぐるまが用もちいられており、ミャンマー、アンゴラの国旗こっきおよび国くに章あきら、イタリア、中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく（中国ちゅうごく）、ベトナム、ラオスの国くに章あきら、日本にっぽん共産党きょうさんとうの党とう章あきら、日本にっぽん国こくの五ご円えん硬貨こうか、工場こうじょうを表あらわす日本にっぽんの地図ちず記号きごう等ひとしが例れいとして挙あげられる。

フィクションでは、古ふるくはチャールズ・チャップリン監督かんとく作品さくひん『モダン・タイムス』が人間にんげんが機械きかいの一部分いちぶぶんのように扱あつかわれる象徴しょうちょうとして歯車はぐるまを用もちいており、日本にっぽんの漫画まんが・アニメーション作品さくひんでも『銀河ぎんが鉄道てつどう999』の機械きかい帝国ていこくが使用しようしている。

• 
  1974年ねんから2010年ねんまでのミャンマーの国旗こっき。
• 
  1975年ねんに制定せいていされたアンゴラの国旗こっき。
• 
  1948年ねんに制定せいていされたイタリア共和きょうわ国こくの国くに章あきら。
• 
  1950年ねんに制定せいていされた中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくの国くに章あきら。
• 
  1976年ねんに制定せいていされたベトナム社会しゃかい主義しゅぎ共和きょうわ国こくの国くに章あきら。
• 
  1992年ねんに制定せいていされたラオス人民じんみん民主みんしゅ共和きょうわ国こくの国くに章あきら。
• 
  日本にっぽん共産党きょうさんとうの党とう旗き。
• 
  1949年ねんより発行はっこうされている日本にっぽん国こくの五ご円えん硬貨こうかの表ひょうには、歯車はぐるまがデザインされている。
• 
  工場こうじょうを表あらわす日本にっぽんの地図ちず記号きごう。

生体せいたい歯車はぐるま

ウンカの幼虫ようちゅうには後うしろ足あしに正確せいかくな跳躍ちょうやくのため歯車はぐるまを備そなえている種たねがある。この種たねの成虫せいちゅうは摩擦まさつを用もちい跳躍ちょうやくする。

脚注きゃくちゅう

参考さんこう文献ぶんけん

書籍しょせき

• 大西おおにし清きよし『JISにもとづく機械きかい設計せっけい製図せいず便覧びんらん』理工りこう学がく社しゃ、1997年ねん。ISBN 978-4-8445-2024-5。 
• ジャパンマシニスト社しゃ編集へんしゅう部ぶ『歯車はぐるま』ジャパンマシニスト社しゃ、1969年ねん。ISBN 4-88049-001-6。 

関連かんれん項目こうもく

• スラスト
• ギヤトレーン
• トライボロジー
• 歯は切ぎり盤ばん
• ホブ盤ばん
• ホブ
• ジェネバ機構きこう
• 無駄むだ歯ぱ
• 滑車かっしゃ
• トランスミッション
• 摩擦まさつ車しゃ

外部がいぶリンク

• KHK歯車はぐるま大学だいがく - 歯車はぐるまについての技術ぎじゅつ解説かいせつページ
• 日本にっぽん大だい百科全書ひゃっかぜんしょ(ニッポニカ)『歯車はぐるま』 - コトバンク