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四輪駆動 - Wikipedia

よんりん駆動くどう(よんりんくどう)とは、自動車じどうしゃなどの駆動くどう方法ほうほう一種いっしゅである。4つある車輪しゃりんすべてに駆動くどうりょくつたえて駆動くどうとしてもちいる方法ほうほうのこと。

三菱みつびし・ジープ

りん駆動くどうろくりん駆動くどうなどとたいになる言葉ことばである。

呼称こしょう

編集へんしゅう
 
このようなタイヤを5つ以上いじょうくるま場合ばあい、「4WD」と「AWD」では意味いみまったことなる
 
フェラーリ・FF前輪ぜんりん駆動くどうではなくよんりん駆動くどうである

よんりん駆動くどう自動車じどうしゃ日本語にほんごではよんりん駆動くどうしゃ(よんりんくどうしゃ)、略称りゃくしょうしてよん(よんく)としょうされる。英語えいごではfour-wheel driveのりゃく4WD、またはall-wheel drive(そう駆動くどうぜん駆動くどうとも) のりゃくAWDとく欧州おうしゅうではよんりんのうちよんりんとも駆動くどうという意味いみ4x4( four-by-four、フォーバイフォー)ともばれる。2ほんじくについたタイヤで駆動くどうするため、とくにトラックの場合ばあいは「じく駆動くどう」とぶこともある。

一般いっぱんてきなタイヤを4つそなえた自動車じどうしゃかた場合ばあい「4WD」と「AWD」は同義どうぎとらえて問題もんだいないが、5りん以上いじょう装備そうびするトラックなどの自動車じどうしゃでは異義いぎとなる。たとえば6りん自動車じどうしゃ場合ばあいは「4WD」は欧州おうしゅうりゅう表記ひょうき6x4、「AWD」は6x6とそれぞれあらわされる。アメリカ国内こくないにかつて「Four Wheel Drive英語えいごばんしゃ存在そんざいし、商標しょうひょう登録とうろくされていたことから、海外かいがいでは「4WD」はけられる傾向けいこうにある。

ふるよんりん駆動くどう関連かんれん用語ようごで「FWD」「FF」という単語たんごてくることがあるが、前者ぜんしゃ上述じょうじゅつした「Four Wheel Drive」しゃ後者こうしゃは「Ferguson Formula」(ファーガソン・リサーチ英語えいごばんしゃよんりん駆動くどうシステム)のりゃくであり、前輪ぜんりん駆動くどうとは一切いっさい関係かんけいがない。

またふる資料しりょうでは「Four driven wheels」という表記ひょうきられる[1]

よん」「4x4」「4WD」などのかたりは、日本にっぽん欧州おうしゅうでは現代げんだいでいうクロスカントリーくるまSUVといったカテゴリを俗称ぞくしょうとして定着ていちゃくしていた時期じきがある。この場合ばあいは4WDは車種しゃしゅ区別くべつ、AWDは駆動くどうメカニズムの区別くべつとなり、言葉ことばとしては比較ひかくできないまったちが概念がいねんとなる。ただし、この時期じき乗用車じょうようしゃがたの4WDしゃ製造せいぞう販売はんばい開始かいしした富士重工ふじじゅうこうげん株式会社かぶしきがいしゃSUBARU)は、ぎゃくにこの車種しゃしゅ製造せいぞうおこなっていない(一時期いちじきいすゞ・ビッグホーンのOEM販売はんばいをしていたのみ)が、同社どうしゃの4WDしゃ車体しゃたい側面そくめん後方こうほうおおきく「4WD」の文字もじ掲示けいじしていた。

概要がいよう

編集へんしゅう

自動車じどうしゃよんりん駆動くどう採用さいようする目的もくてきおおきくけて2つある。

  • 立往生たちおうじょう発生はっせいしやすいゆきどう泥濘でいねいなどのあく走破そうはするため。
  • ハイパワーエンジンの強大きょうだいなトルクをより路面ろめんつたえるため。
 
近代きんだいてきよんりん駆動くどうしゃ先駆さきがけとなったジープ (Bantam BRC40)

一般いっぱんてき乗用車じょうようしゃ商用しょうようしゃ軍用ぐんようしゃ土木どぼく建築けんちくよう機械きかい農業のうぎょうようトラクターなどは前者ぜんしゃ理由りゆうである。とく日本にっぽん世界せかい有数ゆうすう豪雪ごうせつ地域ちいき人口じんこうみつ地域ちいき存在そんざいし、ゆきしつ湿しめっていておもいため、他国たこくくらべてよんりん駆動くどう需要じゅようおおきい。そのため日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーはよんりん駆動くどうを、セダン、およびミニバン小型車こがたしゃけい乗用車じょうようしゃなどひろ設定せっていし、積雪せきせつ寒冷かんれいけの需要じゅようたしている[注釈ちゅうしゃく 1]一方いっぽう海外かいがいでは降雪こうせつりょうおお地域ちいき主要しゅよう都市としすくなく、ゆきしつ乾燥かんそうしてサラサラしているうえ平坦へいたんみち移動いどうおおい。また北欧ほくおうではスパイクタイヤが認可にんかされており、よんりん駆動くどうしゃ需要じゅよう日本にっぽんくら限定げんていてきである[2]

よんりん駆動くどう採用さいようする2つ理由りゆう、スポーツせい重視じゅうししたこう出力しゅつりょく車種しゃしゅ搭載とうさいされる場合ばあい近年きんねんえてきている。アウディクワトロい、メーカー追従ついしょうし、現在げんざい日産にっさん・GT-Rランボルギーニかくモデルなどにいた発想はっそうである。後述こうじゅつの「SPYKER」はこのスポーツせい重視じゅうしした最初さいしょよんりん駆動くどう自動車じどうしゃひとつである。

エンジン搭載とうさい位置いち駆動くどうレイアウト同様どうようほとんどがフロントエンジンで、ぜん車軸しゃじくがエンジン重心じゅうしんよりもうしろにあるものもおお[注釈ちゅうしゃく 2]

センターデフの有無うむによる特性とくせいちが

編集へんしゅう

車体しゃたい旋回せんかいするさい外側そとがわ内側うちがわのタイヤに回転かいてん発生はっせいするが、一般いっぱんてき自動車じどうしゃはデファレンシャルギア(デフ、どう装置そうち)をそなえており、エンジン出力しゅつりょくを2つのことなった回転かいてん速度そくどけ、駆動くどうがスリップをこすことをふせいでいる。二輪にりん駆動くどうしゃ左右さゆういちつい駆動くどうのためにデフを1つそなえているが、よんりん駆動くどうしゃでは前輪ぜんりん一対いっついおよびこう一対いっついのためにすくなくとも2つ必要ひつようになる。前後ぜんごあいだ車体しゃたいれて操舵そうだするけんなどをのぞけば、さらに前輪ぜんりんこうあいだでも内輪うちわしょうじるため、エンジン出力しゅつりょく前後ぜんごのデフにかうまえに、前後ぜんご回転かいてん吸収きゅうしゅうするための機構きこう必要ひつようとなる。

その機構きこう代表だいひょうれいセンターデフである。また現代げんだいでは前輪ぜんりん駆動くどうをベースとするよんりん駆動くどうしゃについては、電子でんし制御せいぎょもちいたカップリング機構きこうによってセンターデフの機能きのう代替だいたいする場合ばあいえている。現代げんだいよんりん駆動くどう乗用車じょうようしゃのほとんどは、このいずれかを装備そうびしている。これらは1つの出力しゅつりょくを4つのことなった回転かいてん速度そくどけている。

ただしこれらの機構きこう設計せっけい複雑ふくざつしやすいことにくわえ、つね動力どうりょくトランスファー直結ちょっけつさせているため、燃費ねんぴ悪化あっかしやすい。そのため燃費ねんぴ経済けいざいせい重視じゅうしする商用しょうようしゃや、メカニカルな雰囲気ふんいき重視じゅうしした趣味しゅみせいつよいクロスカントリーけいのSUVなどは、手動しゅどうスイッチでトランスファーへの直結ちょっけつはなしをすることでりん駆動くどうよんりん駆動くどうえをおこない、センターデフなどをはぶく「パートタイムしき」がおおい。

パートタイムしきでは、舗装ほそうよんりん駆動くどうとして走行そうこうする場合ばあい旋回せんかい前後ぜんご内輪うちわによってどちらかが強制きょうせいてきにスリップをこすため、ブレーキかったような現象げんしょう見舞みまわれ、マニュアルトランスミッションくるまでは低速ていそくエンストすることもある。これは「タイトコーナーブレーキング現象げんしょう」とばれる。また低速ていそく小回こまわりなどをした場合ばあい小刻こきざみにスリップが発生はっせいするため、車体しゃたい全体ぜんたい不快ふかい振動しんどう見舞みまわれることがある。これらは故障こしょう原因げんいんとなりうるため、雪上せつじょうふか砂利じゃりどうのような摩擦まさつひく路面ろめん以外いがいではよんりん駆動くどうとするのは実質じっしつてき不可能ふかのうである。

一般いっぱんてき長所ちょうしょ短所たんしょ

編集へんしゅう

りん駆動くどうくらべた場合ばあい長所ちょうしょ短所たんしょについてべる。

長所ちょうしょ

編集へんしゅう
  • 最大さいだい長所ちょうしょトラクションである。具体ぐたいてきには牽引けんいんりょく英語えいごばんおおきく向上こうじょうする。とく駆動くどうりょくがタイヤのグリップりょく路面ろめんとの摩擦まさつりょく)を上回うわまわり、空転くうてん発生はっせいしやすい路面ろめんでは、かくタイヤのトレッドにかかる駆動くどうりょく分散ぶんさんさせることができる。このためあくでのスタックからの脱出だっしゅつ安定あんていした走行そうこう容易よういとなる。このとき路面ろめんふかりしてらしたりする必要ひつようがないのも美点びてんとなる。また舗装ほそう路上ろじょうりん駆動くどうならタイヤが空転くうてんしそうなほどのこう出力しゅつりょくエンジンでも、タイヤの性能せいのうゆるかぎ地面じめんちからつたえることが可能かのうとなる。
  • エンジンブレーキによる制動せいどうりょくよんりん分散ぶんさんされるため、ホイールロック(タイヤ滑走かっそう)までの限界げんかいたかく、ロックからの回復かいふくはやい。
  • 前輪ぜんりん駆動くどう比較ひかくした場合ばあい、リアの駆動くどうけいおもさのぶんだけ荷重におもまえかたよりすぎず、前輪ぜんりんタイヤの負担ふたん軽減けいげんされる。
  • こう駆動くどう比較ひかくした場合ばあいそうじて直進ちょくしん安定あんていせいすぐれる。
  • トルクベクタリングしき後述こうじゅつ)の場合ばあい前輪ぜんりん駆動くどう比較ひかくしてコーナーリングの性能せいのう質感しつかんすぐれる。

短所たんしょ

編集へんしゅう

駆動くどうけい追加ついかされるぶん構造こうぞう複雑ふくざつさと重量じゅうりょう増加ぞうか由来ゆらいするデメリットがおおい。

  • 製造せいぞうのコストがたかくなるため、二輪にりん駆動くどうモデルにくらべて車両しゃりょう価格かかくもそのぶんたかくなる。
  • 重量じゅうりょう抵抗ていこうえるため燃費ねんぴ悪化あっかする。燃費ねんぴ悪化あっか具合ぐあい重量じゅうりょう増加ぞうか具合ぐあいでは、エコカー減税げんぜい重量じゅうりょうぜいなど税制ぜいせいめん不利ふりとなることもある。
  • ブレーキングでの制動せいどう性能せいのうりん駆動くどう比較ひかくして同等どうとう以下いかで、重量じゅうりょうおもぶん制動せいどう距離きょりびやすい。
  • デフを内蔵ないぞうするライブアクスルでは、ばね重量じゅうりょう増加ぞうかし、路面ろめん追従ついしょうせい心地ごこちにデメリットをしょうじやすい。
  • ドライブシャフトギア追加ついか騒音そうおんめん不利ふりとなる。
  • デフオイルの交換こうかん前後ぜんご2箇所かしょ必要ひつようとなる。
  • 設計せっけい自由じゆうがる。たとえば小型車こがたしゃでは、室内しつない容積ようせき駆動くどうけいのスペースをおさめる都合つごうじょうサスペンションえなければならない場合ばあいもある。

最初さいしょよんりん駆動くどうしゃは、1805ねんにアメリカメリーランドしゅうオリバー・エバンス製作せいさくした浚渫船しゅんせつせん(しゅんせつせん)だとされている。浚渫船しゅんせつせん製造せいぞうした工場こうじょうから陸路りくろ輸送ゆそうするために、ふね車輪しゃりんけられ、蒸気じょうき機関きかん動力どうりょくベルト前後ぜんごつたえることで走行そうこうした。それ以降いこう蒸気じょうき機関きかん使用しようしたよんりん駆動くどうしゃ製造せいぞうされた。1824ねんイギリスロンドンでウィリアム・ヘンリー・ジェームズによってつくられた蒸気じょうき自動車じどうしゃは、よんりんそれぞれにシリンダーち、デフをもちいずにかく回転かいてん吸収きゅうしゅうするようになっていた。

電気でんきモーター使用しようしたよんりん駆動くどうしゃ1900ねんごろつくられている。フェルディナント・ポルシェ開発かいはつした「ローナーポルシェ」は、インホイールモーターばれる、かくハブ駆動くどうようモーターを内蔵ないぞうする方式ほうしきよんりん駆動くどうとしていた[注釈ちゅうしゃく 3][3]

 
ガソリンエンジンをもちいたはつよんりん駆動くどうしゃSPYKER

ガソリンエンジン使用しようしたよんりん駆動くどうしゃは、1902ねんオランダのスパイカー兄弟きょうだいによってつくられた「SPYKER」が最初さいしょである。このくるまは、前進ぜんしん3そく後進こうしん1そくトランスミッションと、2そくトランスファーおよびセンターデフをかいし、よんりん駆動くどうする設計せっけいで、現代げんだいのフルタイムしきよんりん駆動くどうしゃ基本きほんおなじという画期的かっきてきなものであった。

1903ねんには、ダイムラー子会社こがいしゃであるオーストリア・ダイムラーしゃで、よんりん駆動くどう装甲車そうこうしゃ開発かいはつされた。このくるま装甲そうこうと37 mm機関きかんほう装備そうびした砲塔ほうとうち、前進ぜんしん4そく後進こうしん1そくのトランスミッションとトランスファーをかいしてよんりん駆動くどうした。またダイムラー本体ほんたいでも、ドイツの植民しょくみんだったナミビア駐在ちゅうざいいんベルンハルト・デルンブルク生活せいかつあしのために、1907ねんよんりん操舵そうだよんりん駆動くどうしゃ「デルンブルク・ワーゲン」を開発かいはつ。ダイムラー・ベンツとなったのち、1926ねんからトラックや軍用ぐんように4×4や6×4、6×6、8×8などの駆動くどうシステムを開発かいはつして技術ぎじゅつ洗練せんれんさせていった。これが現在げんざいGクラスウニモグにもつながっている[4]

 
ダイムラーのデルンブルグ・ワーゲン

アメリカでは1905ねんトライフォード・モーターカンパニー製造せいぞうしたのが最初さいしょだが、大量たいりょう生産せいさん成功せいこうしたのはフォー・ホイール・ドライブ(FWD)しゃであった。同社どうしゃの3トンの「モデルB」は、だいいち世界せかい大戦たいせんちゅうジェフリー・モーター・カンパニー(ランブラー自動車じどうしゃ当時とうじ社名しゃめい)はよんりん駆動くどうトラック設計せっけい製造せいぞうするクワッド・トラック(Quad Truckまたはジェフリー・クワッド、ナッシュ・クワッド)とともに、欧州おうしゅうたたか連合れんごうぐん提供ていきょうされ、ジョン・パーシング指揮しきした重量じゅうりょうきゅう軍用ぐんよう用途ようともちいられた。四輪よんりん駆動くどうよんりんブレーキ・よんりん操舵そうだまでそなえたナッシュ・クワッドは15ねんわたって4まんだい以上いじょう製造せいぞうされた。

なおフォード・モデルTにおいても1910年代ねんだい以降いこうよんりん駆動くどうキットが販売はんばいされ、よんりん駆動くどうされた車輌しゃりょうがあったが、これは、走破そうはせい向上こうじょうのためというよりも、もっぱら駆動くどうであるのちにしかはたらかないエンジンブレーキ前輪ぜんりんにも作用さようさせるためであった。

 
きゅうしき小型こがた乗用車じょうようしゃ

日本にっぽんにおいては1935ねんころ前年ぜんねん帝国ていこく陸軍りくぐん依頼いらい日本にっぽん内燃ないねん開発かいはつしたきゅうしき小型こがた乗用車じょうようしゃ(くろがねよんおこり)が登場とうじょうした。きゅうしき小型こがた乗用車じょうようしゃアメリカぐんジープ先駆さきがけて開発かいはつ量産りょうさんされた日本にっぽんはつ実用じつようよんりん駆動くどうしゃであり、1936ねんから1944ねんまでけい4,775だい生産せいさんされ、にちちゅう戦争せんそうノモンハン事件じけん太平洋戦争たいへいようせんそうなどで偵察ていさつ伝令でんれい輸送ゆそうよう幅広はばひろ使用しようされた。

1941ねん、アメリカにジープが登場とうじょうした。ドイツぐんキューベルワーゲンりん駆動くどうしゃ1940ねんころ登場とうじょう)に相当そうとうする軍用ぐんよう車両しゃりょうとして、アメリカ陸軍りくぐん仕様しようたい各社かくしゃ試作しさくなかからバンタム英語えいごばんしゃあん採用さいようされたものだった。バンタムしゃ当然とうぜん自社じしゃでの生産せいさんのぞんだが、実際じっさいには生産せいさん設備せつび規模きぼ品質ひんしつからほとんどがウィリス英語えいごばんしゃフォードしゃ発注はっちゅうされ製造せいぞうされた。ジープは戦場せんじょうあく走破そうはするための自動車じどうしゃとして有益ゆうえきであることがだい世界せかい大戦たいせん実証じっしょうされ、大量たいりょう生産せいさん連合れんごうぐん供給きょうきゅうされ世界せかい各地かくち走破そうはした。ジープの活躍かつやくはそのため世界せかい各地かくち注目ちゅうもくんだ。日本にっぽんでも陸軍りくぐん南方なんぽう戦線せんせん鹵獲ろかくしたバンタム・ジープを日本にっぽんかえり、「ボディはせないこと」という注文ちゅうもんきで製作せいさくするようトヨタ自動車とよたじどうしゃ依頼いらいしたが、まもなく敗戦はいせんとなった。この戦争せんそう自体じたい不幸ふこうなものだったが、結果けっかてきにはよんりん駆動くどう必要ひつようなデファレンシャルギアやひとしそくジョイントの技術ぎじゅつおおきく進歩しんぽさせることとなった。

 
フォード・F-150

戦後せんご軍用ぐんようみがかれたよんりん駆動くどうシステムを民間みんかんのトラックや市販しはんしゃ市場いちば流用りゅうようするうごきが活発かっぱつになった。とく米国べいこくではジープが躍進やくしんし、GMとフォードもピックアップトラックやSUVなどでこれに追随ついずい現在げんざいまでつづシボレー・ブレイザーフォード・ブロンコ、Fシリーズなどがまれた。

カイザー・ジープしゃは、ジープのよんりん駆動くどう技術ぎじゅつステーションワゴン搭載とうさいしたジープ・ワゴニアや、そのV8エンジンばんとなるスーパーワゴニアを発売はつばいした。そのもジープは親会社おやがいしゃ転々てんてんつづけながら、米国べいこくのアウトドアブームにってAMC・イーグルジープ・チェロキーといったよんりん駆動くどうしゃのヒット作品さくひんたちをおくすことになる。またビッグ3のロビー活動かつどうによってピックアップトラック税制ぜいせいじょう優遇ゆうぐうされたこともあり、ますます人々ひとびとにとってよんりん駆動くどうしゃ身近みぢかなものになっていった。

 
ルノー・R4をシンパーが改造かいぞうした「レーシングR4」

欧州おうしゅうでは戦後せんごローバーしゃ高級こうきゅうSUVの先駆さきがけとなるランドローバー登場とうじょうさせた。最初さいしょはジープの模倣もほうであったが、1970ねんレンジローバー登場とうじょうし、現在げんざい高級こうきゅうSUVの先駆さきがけとなった。1979ねんにはメルセデス・ベンツ・Gクラス発売はつばいされた。

フランスのシンパーしゃは、1960年代ねんだいからルノー乗用車じょうようしゃよんりん駆動くどうのオフローダーに改造かいぞうする事業じぎょうおこなっており、とくにスイスの山岳さんがく地帯ちたいではスバルが欧州おうしゅう進出しんしゅつするまでのあいだ重宝ちょうほうされた。

1960年代ねんだいBMCアレック・イシゴニスは、当時とうじ発明はつめいしたばかりのイシゴニスしき前輪ぜんりん駆動くどう技術ぎじゅつ流用りゅうようしてよんりん駆動くどうしゃのオースティン・アントを開発かいはつしていたが、1968ねん会社かいしゃ合併がっぺいしてブリティッシュ・レイランドとなったさい、ランドローバーとの共食ともぐいになると做され、計画けいかく自体じたい消失しょうしつした[5][6]

 
三菱みつびし・ジープ

日本にっぽんでも戦後せんご民間みんかんでもあく走破そうはするくるま需要じゅようたかまったが、当初とうしょ軍用ぐんようしゃはらげや、せてつくった国産こくさんジープがた車両しゃりょう程度ていど選択肢せんたくししかなかった。それでも、戦前せんぜん1930年代ねんだい以前いぜん)の自動車じどうしゃしからない当時とうじ日本人にっぽんじんにとって、ジープの技術ぎじゅつ品質ひんしつは、アメリカの技術ぎじゅつてき進歩しんぽつたえるものだった。1953ねんしん三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう(→三菱重工業みつびしじゅうこうぎょう三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょう)は、ウイリスオーバーランドしゃのジープを警察けいさつ予備よびたいけにノックダウン生産せいさんした。自社じしゃ開発かいはつトヨタ・ジープのちにランドクルーザーと改名かいめい)と日産にっさん・パトロール警察けいさつ予備よびたい入札にゅうさつ三菱みつびしやぶれたため、国家こっか地方ちほう警察けいさつけや民需みんじゅみち開拓かいたくした。三菱みつびし・ジープはその日本にっぽんでも開発かいはつしたモデルをくわえていき、防衛庁ぼうえいちょう以外いがいにも販路はんろひろげ、独自どくじ進化しんかげながら1998ねんまで生産せいさんされた。「ジープ」は小型こがたよんりん駆動くどうしゃ全般ぜんぱん代名詞だいめいしとしても使つかわれるようになった。

 
スバル・レオーネ1600 4WD

1967ねんホープ自動車じどうしゃ軽自動車けいじどうしゃ当時とうじは360cc)わく本格ほんかくてきよんりん駆動くどうしゃホープスター・ONがた4WD」を発売はつばいした。この車両しゃりょうの「スズキ・ジムニー」の前身ぜんしんであり、よんりん駆動くどうしゃ=だい排気はいきりょうしゃという形式けいしきいちせきとうじた。そして1979ねんスズキ(1990ねん9がつ以前いぜん鈴木すずき自動車じどうしゃ工業こうぎょう)はアルト、1981ねんダイハツミラにそれぞれパートタイムしきよんりん駆動くどうグレードを設定せっていすることになる。一方いっぽう富士重工業ふじじゅうこうぎょうげんSUBARU)は「ジープより快適かいてきで、通年つうねん使用しよう可能かのう現場げんば巡回じゅんかいよう車輌しゃりょう」という東北電力とうほくでんりょく依頼いらいけ、「スバル・ff-1 1300Gバン」に、日産にっさん・ブルーバードのリヤアクスルを装着そうちゃくしたパートタイム4WDの「スバル・ff-1 1300Gバン4WD」を製作せいさく1972ねんレオーネ1400エステートバン4WDとして発売はつばいされた。これはスバルが、水平すいへい対向たいこうエンジン+よんりん駆動くどうわせをシンボルとするブランドへのみちあゆはじめるきっかけとなった。このように軽自動車けいじどうしゃ規格きかく乗用車じょうようしゃとのわせにより安価あんかよんりん駆動くどうしゃ入手にゅうしゅできるようになり、豪雪ごうせつ地帯ちたい日本にっぽんでも一般人いっぱんじんへの普及ふきゅうすすんだ。

 
マツダ・ファミリア4WDターボ

また1970年代ねんだい米国べいこくカウンターカルチャー影響えいきょうけた日本にっぽんではアウトドアブームがこり、よんりん駆動くどうしゃクロスカントリーカーが流行りゅうこうした。この時点じてんで、RVという日本にっぽん仕様しようのレジャー車両しゃりょう概念がいねん形成けいせいされはじめた。1984ねんにはクロカンしゃとしてのあく走破そうはせい保持ほじしつつ乗用車じょうようしゃとしてのあつかいやすさを両立りょうりつさせ、乗用じょうようクロスカントリーしゃ先駆さきがけとなった三菱みつびし・パジェロ発売はつばいされ、よんりん駆動くどうしゃ一気いっき身近みぢか存在そんざいとなった。1985ねんにはよこきエンジンでは世界せかいはつとなるフルタイムよんりん駆動くどう搭載とうさいした3代目だいめマツダ・ファミリア登場とうじょう[7]、センターデフを常時じょうじよんりん駆動くどう技術ぎじゅつ乗用車じょうようしゃでも一般いっぱんてきになりはじめた。1986ねんには日産にっさん・サニー、1987ねんにはトヨタ・カローラホンダ・シビックでそれぞれフルモデルチェンジにわせて、よこきエンジンのフルタイムまたはスタンバイしきよんりん駆動くどうグレードが追加ついかされ、幅広はばひろ車種しゃしゅへの普及ふきゅう一気いっきすすんだ。

 
ジェンセン・FF
 
日産にっさん・GT-R NISMO

高性能こうせいのうスポーツカーGTけとしては、英国えいこくジェンセン・モーターズしゃが1966ねん量産りょうさんGTカーとしてはじめてフルタイムしきよんりん駆動くどう採用さいようしたFF発売はつばいしたが、オイル・ショック仕様しよう問題もんだいなどもあって、市販しはんしゃのトレンドに影響えいきょうあたえることはできなかった。FFから10ねん以上いじょうの1980ねんアウディ・クワトロ登場とうじょうしたことで、ようやく高性能こうせいのうスポーツカーけのよんりん駆動くどう技術ぎじゅつ普及ふきゅうはじめた。90年代ねんだいまではグループBグループAのような競技きょうぎようホモロゲーションモデルをのぞけば、BMW・ポルシェ・ランボルギーニのごく一部いちぶ採用さいようされるのみであったが、00年代ねんだい以降いこうにはかつてこう駆動くどうをアイデンティティとしていたブランドたちも、高性能こうせいのうのシンボルとしてよんりん駆動くどう搭載とうさいしたモデルを続々ぞくぞく発売はつばいするようになった。

こうしたながれのすえに、現在げんざいでは様々さまざま車種しゃしゅよんりん駆動くどうのグレードが設定せっていされている。四輪よんりん駆動くどう安全あんぜんというイメージをるメーカーのマーケティングの成功せいこうや、すうじゅうねん単位たんいつづSUVブームもあって、2013ねん米国べいこくよんりん駆動くどうしゃ販売はんばい比率ひりつは32%となった[8]日本にっぽん軽自動車けいじどうしゃよんりん駆動くどう比率ひりつ乗用じょうよう商用しょうよう合算がっさんで2〜3わり[9]北海道ほっかいどう乗用車じょうようしゃ全体ぜんたいよんりん駆動くどう比率ひりつは7〜8わりにもおよ[10]。かつてこう駆動くどう(FR)をブランドアイデンティティとしていたBMWは現在げんざい、「X-DRIVE」とよんりん駆動くどうグレードがほぼ全車ぜんしゃにラインナップされており、販売はんばいの1/3をめている[11]

よんりん駆動くどう種類しゅるい機構きこう

編集へんしゅう

※ここにげる名称めいしょうはあくまで便宜べんぎてきなものであり、明確めいかくさだめられているわけではない。

パーマネントしき狭義きょうぎ

編集へんしゅう

永久えいきゅう直結ちょっけつしきともばれる、もっと原始げんしてきよんりん駆動くどう方式ほうしき黎明れいめい試作しさくてきよんりん駆動くどうしゃや、軍用ぐんよう車両しゃりょう農耕のうこうよう車両しゃりょう一部いちぶにのみられる。現代げんだい乗用車じょうようしゃ技術ぎじゅつとしては採用さいようされない方式ほうしきである。

前後ぜんご回転かいてん吸収きゅうしゅうするセンターデフをたないことはもちろん、トランスファーすらたないか、あるいは、っていてもりん駆動くどう状態じょうたいえらべないため、通常つうじょう路面ろめんでの使用しようや、高速こうそく走行そうこうにはまったくてきしていない。

また、建設けんせつ機械きかいなどでは、前輪ぜんりんおなかじかくぎゃく位相いそうこう操舵そうだよんりん操舵そうだ)、あるいは前後ぜんごあいだ車体しゃたいって操舵そうだし、前後ぜんご軌跡きせき一致いっちさせることで、タイトコーナーブレーキング現象げんしょう回避かいひするれい存在そんざいするが、極端きょくたんアンダーステア特性とくせいのために、スピードの向上こうじょうには対応たいおう出来できない。

フルタイムしき(センターデフしき

編集へんしゅう
 
日産にっさん・パトロール
 
ランボルギーニ・ウラカン

パーマネントしき広義こうぎ)、コンスタントしきともばれる。前後ぜんご接続せつぞくする駆動くどうじくあいだにセンターデフとばれるデファレンシャルギア(デフギア)をき、旋回せんかいや、前後ぜんご回転かいてん吸収きゅうしゅうする。常時じょうじぜん適切てきせつにトルクを分配ぶんぱいするため、高速こうそく走行そうこう雨天うてん走行そうこうにおける安定あんていせいすぐれる。

この方式ほうしき採用さいようする黎明れいめいよんりん駆動くどうしゃは、どう制限せいげんたない単純たんじゅんディファレンシャルギア使用しようしていた。その場合ばあいあくなどでいちりんでも空転くうてんはじめると、車輪しゃりんには駆動くどうりょくがほとんどつたわらなくなる。それを回避かいひするために、センターデフに直結ちょっけつ機構きこうデフロック)をそなえているものや、リミテッド・スリップ・デフをもちいるものがおおい。ただし、こうした名称めいしょうにはメーカーあいだ統一とういつされた定義ていぎはなく、後述こうじゅつのスタンバイ方式ほうしきのように前後ぜんご接続せつぞくにデフギアやトランスファーではなく流体りゅうたいクラッチ(カップリング)をもちいるものも一般いっぱんてきにフルタイムしきと(広義こうぎで)ばれている。整備せいびなどのサービスの現場げんばでも、ギアであれクラッチであれ、前後ぜんご接続せつぞく部分ぶぶんすべてセンターデフとんでいる場合ばあいがあるが、走行そうこう性能せいのうについてはおおきながあり、後述こうじゅつのとおりである。

なお、軍用ぐんよう車両しゃりょうやオフロード志向しこうつよクロスカントリーカーやSUV一部いちぶでは、走破そうはせい向上こうじょうのために、センターデフのみならず前後ぜんごのデフ(アクスルデフ)もどう制限せいげんしたり、直結ちょっけつさせることを可能かのうとするものもある。

   
フルタイムしき4WD。エンジン出力しゅつりょくはセンターデフをかいして前後ぜんご配分はいぶんされる。
デフの直結ちょっけつスイッチのしきひだりからじゅんにセンターデフ、フロントデフ、リヤデフを独立どくりつてき直結ちょっけつさせる機能きのうつ。

パートタイムしき

編集へんしゅう
 
こう駆動くどう基本きほんとしたパートタイムしき4WD。前輪ぜんりんへの駆動くどう接続せつぞく運転うんてんしゃ任意にんいおこなう。
 
スズキ・ジムニー
 
マツダ・ボンゴ

セレクティブしきともばれる。通常つうじょうりん駆動くどう基本きほんとし、必要ひつようにのみ動力どうりょくすトランスファを接続せつぞくし、よんりん駆動くどうえる方式ほうしきである。これはタイトコーナーブレーキング現象げんしょう発生はっせいや、ハンドリングや燃費ねんぴ悪化あっかなどのおおくの不具合ふぐあい回避かいひし、舗装ほそう路面ろめんでも使つかえる車両しゃりょうとするのに必須ひっすでもあった。また自動車じどうしゃ製造せいぞうじょう、もともとのりん駆動くどう車両しゃりょうこう構造こうぞうよんりん駆動くどうにできる方式ほうしきとして、いまでも存続そんぞくしている。シンプルな構造こうぞうりん駆動くどう燃費ねんぴさから、とく経済けいざいせい重要じゅうよう商用しょうようしゃでは採用さいようされやすい。

パートタイムの車両しゃりょうにはセンターデフはく、よんりん駆動くどうでは前後ぜんご回転かいてんまった吸収きゅうしゅうされず、タイヤと路面ろめんあいだでの強制きょうせいてきなスリップを発生はっせいすることで回転かいてん吸収きゅうしゅうする。つまり、よんりん駆動くどう走行そうこうは、すべりやすいあくであることが前提ぜんていとなる。

かりに、パートタイムのよんりん駆動くどうかわいた舗装ほそうなどを走行そうこうするとタイヤと路面ろめん摩擦まさつちからおおきくタイヤスリップが発生はっせいできず、タイトコーナーブレーキング現象げんしょうやトルク循環じゅんかん発生はっせいする。駆動くどうけい破損はそん焼損しょうそんする可能かのうせいたか注意ちゅうい必要ひつようである。前後ぜんごのタイヤみちことなる場合ばあいにもトルク循環じゅんかん発生はっせいする。カタログでのタイヤサイズがおなじで、モデルめいことなる程度ていど(トレッドパターンやわずかな直径ちょっけいちがい)でも、タイヤの摩耗まもうてわかる程度ていどちがっていてもこる。また、ハンドルかじかくによらず非常ひじょうたか直進ちょくしんせいをもつことになる。車両しゃりょう操縦そうじゅうせい安定あんていせいおおきくそこなわれることにおおきな注意ちゅうい必要ひつようである。よんえはステアリングを中立ちゅうりつにしてのてい速度そくど、または停止ていし状態じょうたいおこなうことが推奨すいしょうされる。このような車種しゃしゅは、車内しゃないにコーションプレートがけられており、これらのむね注意ちゅういきされている。

あくでの使用しよう前提ぜんていとするなら、比較的ひかくてき機構きこう簡単かんたん信頼しんらいせいたかくパーマネントしきやセンターデフしきのデフロック状態じょうたい利点りてんられるため、砂地すなじ泥濘でいねい岩山いわやまなど、過酷かこくなオフロード走行そうこうクロスカントリースタックからのリカバリーでもちいるのが有効ゆうこうである。そういう本格ほんかくてきオフロード走行そうこう前提ぜんていとしていないとメリットがすくないため、乗用車じょうようしゃにおいて過去かこ採用さいようれいがあったが、いまはほぼすたれている。

また、フリーハブなどをもちいてしたがえ駆動くどう機械きかいてき断続だんぞくすることも一般いっぱんてきで、マニュアルハブ、AUTOフリーハブを車両しゃりょうおおい。ランドローバーシリーズIのように、ワンウェイクラッチなどにより、前進ぜんしんにのみよんりん駆動くどうになる方式ほうしきもある。

パートタイム4WDは、ジープやスズキ・ジムニーのような伝統でんとうてきなクロスカントリーカーにおいてはFRを基盤きばんにしているが、すくなくとも日本にっぽんしゃにおいては、現在げんざい存在そんざいする大半たいはんFF基盤きばんである[注釈ちゅうしゃく 4][注釈ちゅうしゃく 5]ぎゃくに、元来がんらいのFRしゃ大半たいはんはフロントアクスルをくスペースがない(そこはエンジンのスペースである)ため、4WDむずかしい。MRレイアウトの機械きかいしきパートタイム4WDしゃは、日本にっぽんけいトラックおよびキャブオーバースタイルミニバン[12]のうち、RRのサンバーとドミンゴをのぞくほぼ全車ぜんしゃ採用さいようモデルを市販しはんしている。いわゆる「センターミッドシップ」は、ホンダ・アクティふるいモデルのみとなる。RRレイアウトのものについてはスバル・サンバーとその拡大かくだいがたであるスバル・ドミンゴ[注釈ちゅうしゃく 6]以外いがいれいがない。

フルタイム・パートタイムふくごうしき

編集へんしゅう
 
三菱みつびし・パジェロ

パートタイムしきしきトランスファーと、フルタイムしきのセンターデフの双方そうほう搭載とうさいしており、フルタイムしきとしてもパートタイムしきとしても使つかえるというものである。でのしょう燃費ねんぴ、センターデフによる駆動くどうりょく配分はいぶんしての安定あんていした走行そうこう前後ぜんご直結ちょっけつでのあく走破そうはせい、いずれのメリットにもあずかかることができるようにしたもの。

どう吸収きゅうしゅう方式ほうしき駆動くどう配分はいぶん方式ほうしきなどに差異さいがあり、ジープのセレック・トラックでは、トランスミッション直後ちょくごにビスカスによる配分はいぶん変更へんこう、そしてトランスファーをつというデファレンシャルのない方式ほうしき採用さいよう三菱自動車みつびしじどうしゃスーパーセレクト4WDでは、トランスミッション直後ちょくごにデファレンシャル、そのあとにチェーンによるビスカスバイパスと、トランスファを方式ほうしきトヨタのマルチモード4WDでは、スーパーセレクト4WDとおなじゅんだが、バイパスせずに配置はいちする。いずれも、ラダーフレームやリジッドアクスルをそなえる本格ほんかくてきクロスカントリーしゃではあるが、乗用車じょうようしゃパーツを流用りゅうよう心地ごこち装飾そうしょく乗用車じょうようしゃテイストをたせたRVに採用さいようされている。

じゅう三重みえ装備そうびとなり、重量じゅうりょうがかさむという欠点けってんがあるが、くるまかくおおきなクロスカントリーしゃでは、元々もともとトランスファーにローレンジえをふく変速へんそく(※CVTの燃費ねんぴ向上こうじょうようのものではなく、あく走破そうはようのローレンジ)をつため、センターデフをつことによるトランスファケースの大型おおがたや、それにともな重量じゅうりょう増加ぞうかは、走行そうこう性能せいのううえさほどデメリットとはならない車種しゃしゅ採用さいようされている。

オン・デマンドしき/スタンバイしき(パッシブしき

編集へんしゅう
 
スバル・サンバー
 
ダイハツ・ブーン

パートタイムしきには、よんえに戸惑とまどうユーザーもおおく、また直結ちょっけつ状態じょうたいづかないまま舗装ほそう高速こうそく走行そうこうをするなどでくるまこわしたり火災かさいこしたりするトラブルもすくなくなかった。そこで、操作そうさ必要ひつようせず、自動じどうはかったオン・デマンドしき考案こうあんされた。センターデフのわりに流体りゅうたいクラッチ(流体りゅうたい継手つぎてたんにカップリングともばれる)をち、通常つうじょう前後ぜんごどちらかのしゅ駆動くどう走行そうこうし、しゅ駆動くどうのこりのりんしたがえ駆動くどう)に回転かいてんしょうじると、したがえ駆動くどうにも駆動くどうりょく自動的じどうてき伝達でんたつする方式ほうしきしたがえ駆動くどうはたらきは補助ほじょてきであり、長時間ちょうじかんつよ駆動くどうりょく伝達でんたつには不向ふむきである。必要ひつようとなってから駆動くどう配分はいぶんおこなうため、パッシブ(受動じゅどうしきともばれる(実際じっさいにはカップリングはこうねばたびのオイルでたされた湿式しっしきクラッチなので完全かんぜんれることはなく、したがえ駆動くどうにもつねにある程度ていどのトルクがかっている)。したがえ駆動くどう連結れんけつ切断せつだんする必要ひつようがなく、4WDえスイッチなどはほとんどもうけられない。

ビスカスLSDづけセンターデフ方式ほうしき混同こんどうされがちであるが、長時間ちょうじかん耐久たいきゅうせい駆動くどうりょく配分はいぶんでまったくべつ動作どうさしめすもので、センターデフをたないこのスタンバイ方式ほうしきのほうが機構きこうてき単純たんじゅんである。頑丈がんじょう円筒えんとうがたケースにいたクラッチとシリコーン樹脂じゅし封入ふうにゅうし、前後ぜんご回転かいてん発生はっせいする攪拌ねつによるシリコンの膨張ぼうちょういたクラッチを圧着あっちゃくし、どう制限せいげんするビスカスカップリングをリアデフのまえのプロペラシャフトに挿入そうにゅうした方法ほうほうである。電子でんしてき制御せいぎょようのデバイスが一切いっさい不要ふようで、とくフォルクスワーゲン採用さいようした初期しょき大型おおがたのものは、レスポンスやきももうぶんないものであった。その、ビスコドライブしゃへの特許とっきょりょう不要ふようで、なおかつ製造せいぞう簡単かんたん安価あんかなトリブレード(3ようプロペラしきデュアルポンプしき流体りゅうたいクラッチが登場とうじょうしたが、そうじてレスポンスがわるく、つながりが唐突とうとつであるなど、あらい練度れんどにもけるものであった。

とく後者こうしゃのスタンバイしき4WDは、あくすべってこう駆動くどうするまでにはっきりとラグがあり、コーナーなどでフロントがすべったあげくリアに駆動くどうりょくくわわり車体しゃたいおおきな動揺どうよう、スピンにおちいることもしばしばあり、「ほうがマシ」「なんちゃって4WD」などとと揶揄やゆされることもおおい。ただしタイヤや横滑よこすべ防止ぼうし装置そうち発達はったつした現在げんざいでは、その弱点じゃくてん緩和かんわされている。あく走破そうはするためというよりはゆきどうでのスタックからの脱出だっしゅつおも用途ようとであり、「生活せいかつよん」などともばれる。現在げんざい中型ちゅうがたしゃ以上いじょうのカテゴリでの採用さいようめずらしくなったが、ケースない圧力あつりょくたかめるなどの改善かいぜんはかりつつシステムのかるさ・安価あんかさというメリットをかし、排気はいきりょう1500cc未満みまんのコンパクトカー・軽自動車けいじどうしゃではおお採用さいようされている。

ビスカスカップリングしきホンダデュアルポンプしきは、いずれか1つのタイヤが空転くうてんした場合ばあい片方かたがたには駆動くどうりょくつたわらないオープンデフとばれる構造こうぞうであるため、状況じょうきょうによってはさんりん駆動くどうという見方みかたもできる。

なお、ほん項目こうもくではセンターデフしきフルタイム4WDと区別くべつしたが、日本にっぽんにおいては、本田技研工業ほんだぎけんこうぎょういすゞ自動車ずじどうしゃOEM供給きょうきゅうされていた製品せいひんふくむ)が「リアルタイム4WD」の名称めいしょう使つかった以外いがいは、ほぼすべての乗用車じょうようしゃメーカーがビスカスカップリングしき4WDを「フルタイム4WD」と呼称こしょうしている。とくに4WDの代名詞だいめいしであった富士重工業ふじじゅうこうぎょうげんSUBARU)と、三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょうがこれにならったことの影響えいきょうおおきい。また市販しはんベース競技きょうぎしゃとして「スズキ・アルトワークス」「ダイハツ・ミラ TR-XX」が採用さいよう実績じっせきのこしたこともおおきい。

トルク・スプリットしき/アクティブ・トルク・スプリットしき/アクティブ・オン・デマンドしき

編集へんしゅう
 
マツダ・MAZDA3
 
トヨタ・RAV4

オン・デマンドしき発展形はってんけいで、同様どうようしたがえとなるほう駆動くどうじく流体りゅうたいのクラッチ機構きこうつが、電子でんし制御せいぎょのポンプによりクラッチケース油圧ゆあつ増減ぞうげんをコントロールし、前後ぜんご駆動くどうりょく配分はいぶんをアクティブに制御せいぎょする方式ほうしきもちいるもの。現在げんざい中型ちゅうがた以上いじょう乗用車じょうようしゃでは主流しゅりゅうとなっている。

従来じゅうらいのオン・デマンド(スタンバイ)しき機械きかいてき回転かいてんしょうじてからこう駆動くどうりょく配分はいぶんするのにたいして、こちらはかくホイールの回転かいてんやハンドルかく、スロットルひらき、Gセンサーなど車両しゃりょう走行そうこうじょうきょう電子でんしてき演算えんざんして、すべりを予測よそくして駆動くどうするため、よりじつ走行そうこうじょうきょうおうじた走破そうはせい安定あんていせい獲得かくとくすることができる。また発進はっしんやわずかなハンドルの回転かいてんさいしても駆動くどうコントロールがプログラムされており、舗装ほそうでのハンドリングやドライバビリティにも貢献こうけんするものもおおい。なかには運転うんてんしゃ能動のうどうてき乾燥かんそう雨天うてん凍結とうけつなどの路面ろめん状況じょうきょうによる自動じどう演算えんざん傾向けいこう選択せんたく(モード切替きりかえ)できるようにしているものもある。

代表だいひょうてきなものとして、トヨタのダイナミックトルクコントロール、日産にっさんオールモード4X4、ホンダのインテリジェント・コントロール・システムVTM-4、スバルのACT-4三菱みつびしのAWC、スズキのALL GRIP、BMWのxDrive英語えいごばんなどがげられる。またスウェーデンハルデックス・トラクションしゃせいのアクティブしきシステムは評価ひょうかたかく、VWけいボルボフォードGMけいといった海外かいがい他社たしゃのメーカーで採用さいようされている[13]

2WDとのえにおいてもトランスファーはなしなどではなく、電子でんし制御せいぎょのスイッチで配分はいぶんえる方式ほうしきをとるものがほとんどでもある。車種しゃしゅによっては2WDのえスイッチをもうけないものもある。なお2019ねん発売はつばいトヨタ・RAV4では、電子でんし制御せいぎょでありながらトランスファーをはなして2WD走行そうこう燃費ねんぴ悪化あっかふせ機構きこう採用さいようされている[14]

トルクベクタリングしき

編集へんしゅう
 
アキュラ・TLX

前後ぜんご駆動くどうりょく配分はいぶんのアクティブくわえ、ヨーコントロールデフわせ左右さゆう車輪しゃりんあいだでも駆動くどうりょく電子でんしてき可変かへん配分はいぶんさせる高度こうどよんりん駆動くどうシステム。

前後ぜんご左右さゆう駆動くどうりょく自在じざい可変かへん配分はいぶん制御せいぎょすることによって、旋回せんかいちゅうにヨー・モーメント(旋回せんかいりょく)を強制きょうせいてき発生はっせいさせることもでき、従来じゅうらいがたよんりん駆動くどうシステムが物理ぶつりてき障壁しょうへきとしてかかえていた旋回せんかいちゅう走行そうこう特性とくせい安定あんてい低下ていかという弱点じゃくてん克服こくふくした。さらに、旋回せんかい特性とくせい積極せっきょくてき制御せいぎょすることもできるようになり、アクセルりょう制御せいぎょであるトラクションコントロールシステム機能きのうや、個別こべつブレーキ制御せいぎょである横滑よこすべ防止ぼうし装置そうちシステムともわせ、総合そうごうてき制御せいぎょおこなうことで、こう駆動くどうしゃまさ旋回せんかい性能せいのう獲得かくとくした。制御せいぎょプログラムによって、様々さまざま特性とくせい付与ふよさせることができ、スプリット・ミュー路面ろめんなどの整地せいち走行そうこうにおいてもすぐれた走破そうはせい発揮はっきさせることも可能かのうである。三菱自動車工業みつびしじどうしゃこうぎょうS-AWC(Super All Wheel Control)が2001ねん三菱みつびし・ランサーエボリューションシリーズの通称つうしょうエボ7より採用さいようされ、先鞭せんべんをつけた。ホンダではセンターデフをもちいず流体りゅうたいのみで前後ぜんごを、左右さゆうには遊星ゆうせいギアによるディファレンシャルをもちいて、それぞれの駆動くどうをアクティブ(状況じょうきょうおうじてさきんじて電子でんし制御せいぎょしたSH-AWDとよぶシステムをレジェンドアキュラで2004ねん採用さいようした。日産にっさんやトヨタ、BMWやアウディなどのメーカーも追従ついしょうして左右さゆうのアクティブデフシステムを採用さいようしてきている。

左右さゆうべつ駆動くどう前後ぜんご連結れんけつ方式ほうしき

編集へんしゅう

スキッドステアローダー採用さいようそうしきながら操舵そうだ機構きこうく、無限むげん軌道きどうきの車両しゃりょう同様どうよう左右さゆう回転かいてん速度そくど回転かいてん方向ほうこう変化へんか車両しゃりょうすす方向ほうこうえ、ちょうしん旋回せんかい可能かのう。4りん油圧ゆあつ駆動くどうだん変速へんそくだが、左右さゆうそれぞれの前後ぜんご2りんはチェーンでつながれており、デフは存在そんざいしない。

動力どうりょく分散ぶんさんがた

編集へんしゅう
 
シトロエン・2CV 4x4

駆動くどうするひとひとつの車輪しゃりん、または前後ぜんご車軸しゃじくごとに動力どうりょくげんけたもの。

同種どうしゅ原動機げんどうき複数ふくすうそなえたもの

編集へんしゅう

内燃ないねん機関きかん全盛ぜんせいだった20世紀せいきにおいては主流しゅりゅうにはなりえなかったが、それでも歴史れきしふるく、フェルディナント・ポルシェによって試作しさくされたモーター駆動くどう車両しゃりょう1900ねんパリ万国博覧会ばんこくはくらんかい出品しゅっぴんされている。

出力しゅつりょくがほぼそのままタイヤの駆動くどうりょくとなることからエネルギー損失そんしつすくなく、4りん動力どうりょく配分はいぶん自由じゆうめられる反面はんめん既存きそんディーゼルエンジンやガソリンエンジンの場合ばあい小型こがた限界げんかいがあり、また部品ぶひん点数てんすうおおくなる、排気はいき処理しょり面倒めんどうスロットル動作どうさ同調どうちょう高度こうど制御せいぎょ必要ひつようなことから、実験じっけんてきつくられた車両しゃりょう程度ていどしか存在そんざいしなかった。油圧ゆあつモーター駆動くどうよんりん駆動くどうよんりんそう建設けんせつ機械きかいでは普通ふつう存在そんざいする(油圧ゆあつげん動力どうりょくげんたるエンジンは一般いっぱん単発たんぱつ)。

しかし電気でんき自動車じどうしゃ場合ばあい排気はいきく、電力でんりょく配線はいせん延長えんちょうすればいだけなので、損失そんしつすくなく、室内しつないひろれるてんからも有利ゆうりである。三菱自動車みつびしじどうしゃランサーエボリューションMIEVや、「8りん駆動くどうしゃではあるがエリーカがこの方式ほうしき採用さいようしている。シリーズしきハイブリッドでも同様どうよう機構きこう実現じつげん可能かのうなため、電動でんどう現代げんだいにおいては重要じゅうよう技術ぎじゅつになっていく可能かのうせいたかい。

内燃ないねん機関きかんもちいたものでは、競技きょうぎよう車両しゃりょうにツインエンジンのれい複数ふくすうある[注釈ちゅうしゃく 7]が、市販しはんしゃではシトロエン・2CV 4x4、別名べつめいサハラ」がほぼ唯一ゆいいつえる存在そんざいである。本来ほんらい2CVのエンジンとトランスアクスルはフロントにおさまっているが、それとおなじものをもういちくみ、リアのトランクをつぶしてんだものである。くみ連携れんけい単純たんじゅんで、スロットルはワイヤー、トランスミッションはシフトリンケージでつながれているだけで、それ以外いがいではふたつのエンジンは独立どくりつしており、メインスイッチがふたそなわり、どちらかひとつのエンジンだけでも運転うんてん可能かのうであるなど、駆動くどうりょく確保かくほはもちろんのこと、砂漠さばくなどでの冗長じょうちょうせい確保かくほ意味合いみあいがつよ設計せっけいえる。一方いっぽうシトロエン・メアリ 4x4 は、トランスファーふく変速へんそく一般いっぱんてきなパートタイム4WDである。

ことなる原動機げんどうきそなえたもの

編集へんしゅう

エンジンのみによる駆動くどうじくとはべつモーターでもう一方いっぽう車軸しゃじく駆動くどうさせる方式ほうしきである。

前者ぜんしゃ初期しょき生活せいかつ4WDとしてコストめんから採用さいようされた日産にっさんe-4WDのように、ひくμみゅーみちでの発進はっしんのアシストを主眼しゅがんとしたてい出力しゅつりょく(5 psほど)の簡易かんいてきなものが存在そんざいした。一方いっぽうで16代目だいめトヨタ・クラウンの「デュアルブーストハイブリッド」はハイパフォーマンス志向しこうのものとなっており、WEC世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけん)のLMP1LMハイパーカー規定きていのハイブリッドよんりん駆動くどうもこれにたる。

オートマチックトランスミッションとのわせが前提ぜんていだが、エンジン駆動くどうじく回転かいてんすうもしくはそれにかかるトルクにおうじて電動でんどうじく出力しゅつりょく制御せいぎょすれば、かならずしもマニュアルトランスミッションとのわせは不可能ふかのうではない。

競技きょうぎにおけるよんりん駆動くどう

編集へんしゅう

技術ぎじゅつ未熟みじゅくであったころよんりん駆動くどう様々さまざまめんりん駆動くどう見劣みおとりすることがおおく、一部いちぶのぞ敬遠けいえんされがちであった。しかし研究けんきゅう開発かいはつすすんだ1980年代ねんだいから様々さまざまなカテゴリで強力きょうりょく武器ぶきとして認識にんしきされるようになり[注釈ちゅうしゃく 8][15][16]現代げんだいではどういち条件下じょうけんかりん駆動くどう太刀打たちうちするのはむずかしくなった。F1GTLMP1いできた小林こばやしゆめえらは、強力きょうりょくなトラクションゆえのセッティングやドライビングの容易たやすさ・自由じゆうたかさを理由りゆうげて「レーシングカーはよんりん駆動くどうのほうが絶対ぜったいはやい」と断言だんげんしている[17]。このため両者りょうしゃこんはしする場合ばあいよんりん駆動くどうがハンデを背負せおうか、クラスをけるのが一般いっぱんてきである。

ただし実戦じっせんてきには様々さまざま要因よういん[注釈ちゅうしゃく 9]両者りょうしゃのパワーバランスに影響えいきょうあたえており、現代げんだいでもりん駆動くどうがある場合ばあいまれにだが存在そんざいする。

戦前せんぜん

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ブガッティ・タイプ53

確認かくにんできるもっとふるよんりん駆動くどう活躍かつやくは1906ねんで、スパイカーバーミンガムモータークラブが開催かいさいしたヒルクライム優勝ゆうしょうした記録きろくのこっている[18]

1932ねん、すでに前輪ぜんりん駆動くどうくるまインディ500席巻せっけんしていたレースエンジニアのハリー・ミラーは、FWDしゃ共同きょうどう開発かいはつしたよんりん駆動くどうしゃ「FWDスペシャル」をおくんだ。予選よせんではフロントローを獲得かくとくしたり、決勝けっしょうでもなが周回しゅうかいをリードするなどはやさをせたものの信頼しんらいせい問題もんだいおもくのしかかり、1936ねんインディ500でマウリ・ローズにより4はいった以外いがいかんばしい実績じっせきのこせなかった。

ミラーは世界せかいだい恐慌きょうこうあおりをけて1933ねん廃業はいぎょうしたため、FWDスペシャルはロサンゼルスのビジネスマンにわれ、1934ねん大西おおにしひろしわたってF1の前身ぜんしんであるヨーロッパ・ドライバーズ選手権せんしゅけんにもまれた。アメリカじんピート・デパオロがドライブし、トリポリグランプリでデビューし7はいったが、つぎ参戦さんせんしたドイツグランプリでは7走行そうこうちゅうにエンジンが爆発ばくはつしてリタイアとなった。なおその爆発ばくはつとき破片はへんが、観戦かんせんちゅうアドルフ・ヒトラー首相しゅしょうあたまかすめたという逸話いつわがある[19][20]

またおなじく1932ねんに、ブガッティタイプ53誕生たんじょうさせている。1934ねんラ・テュルビーと1935ねんシャトー=ティエリのヒルクライムで優勝ゆうしょうかざっているが、技術ぎじゅつてき問題もんだいと300馬力ばりきというハイパワーなエンジン、ドリフトがむずかしい運転うんてん特性とくせいがドライビングをたいへんむずかしくしており、ドライバーを心身しんしんともに疲労ひろう困憊こんぱいさせた。このマシンは1932ねんモナコグランプリにもエントリーしたが、ドライバーが練習れんしゅう走行そうこうおとげてしまい、本番ほんばんりん駆動くどうのタイプ51で出走しゅっそうしている[21]

だい世界せかい大戦たいせんこうもヒルクライムでよんりん駆動くどうシステムの有用ゆうようせいがしばし注目ちゅうもくされた。

英国えいこくじんアーチー・バターワースは「AJBスペシャル」(S2)を製作せいさくし、1948~1951ねんまで英国えいこくヒルクライム選手権せんしゅけん参戦さんせん優勝ゆうしょうこそできなかったが、しばし「Fastest time of the day」やクラス3獲得かくとくするなどそこそこのはやさをせた。

おおきな事故じこによりバターワースが引退いんたいしたのちは、かねてより同車どうしゃしがっていた米国べいこくじんビル・ミリケンJr.がこれをった。みのおや名前なまえをもじって「バターボールスペシャル」と名付なづけられたこのマシンは、おおくの故障こしょうたたかいながら1952~1957ねんあいだアメリカのヒルクライムを転戦てんせんつづけた[22]

なおAJBスペシャルは1950ねんに、ノンタイトルせんではあるがF1世界せかい選手権せんしゅけんはじめてエントリーしたよんりん駆動くどうしゃでもある。しかし決勝けっしょうではたった1しゅうクランクシャフト破損はそんによりリタイアした[23]

前出ぜんしゅつのFWDスペシャルもヒルクライムに戦場せんじょううつしており、誕生たんじょうから20ねんちかった1950ねん5がつ22にちイクイノックスやまのヒルクライムにて同車どうしゃはつ優勝ゆうしょうげている[24]

1960年代ねんだい

編集へんしゅう
 
ファーガソン・P99

1960年代ねんだいはサーキットもふくめたオープンホイール分野ぶんやにおいて、よんりん駆動くどうおおきな注目ちゅうもくあつめた時期じきである。

ファーガソン・リサーチしゃ空冷くうれいしきV8エンジンをんだよんりん駆動くどうしゃのP99を開発かいはつし、1961ねんF1のノンタイトルせん出場しゅつじょうスターリング・モス大雨おおあめなかをドライブし、3以下いか周回しゅうかいおくれにしてF1史上しじょう唯一ゆいいつとなるよんりん駆動くどうしゃ優勝ゆうしょう記録きろくしている[注釈ちゅうしゃく 10][25]。しかしミッドシップへの移行いこうすす趨勢すうせいなかでP99はフロントエンジンであったため、参戦さんせんはこのいちせんかぎりであった。

ファーガソンはあらたにミッドシップよんりん駆動くどうシステムの開発かいはつおこない、P104をインディ500におくんだ。これをボビー・アンサーがドライブしたが、1964ねんはクラッシュ、1965ねん故障こしょうでリタイアにわっている。1967ねんにはファーガソン・フォーミュラ(ファーガソンしゃよんりん駆動くどうシステム、りゃくして"FF")をんだガスタービンくるまSTP-パクストン・ターボカージョー・レオナルドのドライブで参戦さんせんし、決勝けっしょうで3獲得かくとくした。ガスタービンしゃへの規制きせいがされた1968ねんには同車どうしゃ改良かいりょうがたであるロータス・56が4だい体制たいせい[注釈ちゅうしゃく 11]参戦さんせん。レオナルドはポールポジション獲得かくとくしてトップを快走かいそうするが、のこり8しゅうでコーションがけた直後ちょくご燃料ねんりょうけいのトラブルに見舞みまわれて失速しっそく無念むねんのリタイアをきっした。直後ちょくごさらなるガスタービンしゃ規制きせい強化きょうかよんりん駆動くどう禁止きんしけたため、インディ500での挑戦ちょうせんわりをげた[26]

F1では、1968ねんにハイパワーなDFVエンジン多数たすうのチームに供給きょうきゅうされるようになり、いかにトラクションをかせぐかがマシン設計せっけいおおきな焦点しょうてんとなった。最初さいしょ手軽てがるおおきなダウンフォースかせげるハイマウントしきのリアウイングが流行りゅうこうしたが、安全あんぜんじょう問題もんだいで1969ねんモナコグランプリハイマウントしき禁止きんしされたため、ロータス・63マトラ・MS84マクラーレン・M9Aなどファーガソン・フォーミュラをもちいたよんりん駆動くどうしゃ有力ゆうりょくチームたちから続々ぞくぞく登場とうじょうした。また当時とうじ無敵むてきDFVエンジンでらしていたエンジンビルダーのコスワースも、チームとしての参戦さんせん目論見もくろみよんりん駆動くどうしゃ開発かいはつおこなっていた。

しかしひだりまわりだけのオーバルコースや、路面ろめん摩擦まさつ抵抗ていこうひく公道こうどうとはちがい、よく整備せいびされた舗装ほそう左右さゆうがりつづけるF1では勝手かってちがった。技術ぎじゅつ未熟みじゅくさゆえコーナーリング不安定ふあんてい挙動きょどうひどアンダーステア発生はっせいしてしまい、到底とうていりこなせるものではなく、ドライバーたちからはきわめて不評ふひょうであった[注釈ちゅうしゃく 12]。さらに重量じゅうりょうおもい・マッチするフロントタイヤがい・適切てきせつ重量じゅうりょう配分はいぶんからない・信頼しんらいせいひくとうデメリットも山積やまづみで、ひく固定こていしきリアウィングでダウンフォースをるシンプルなりん駆動くどうしゃたいしてあきらかにおくれをっていた[27]。これらのうち入賞にゅうしょうできたよんりん駆動くどうしゃはMS84(カナダグランプリ6)のみであるが、これは「フロントデフ故障こしょうによりのち駆動くどう状態じょうたいだったから入賞にゅうしょうできた」という皮肉ひにくとしかいようのない真相しんそうがあった[28]

スリックタイヤ導入どうにゅうされた1970ねん以降いこう完全かんぜんにトレンドからはずれ、よんりん駆動くどうしゃロータス・56Bすうせんスポット参戦さんせんしただけにとどまった。唯一ゆいいつ1971ねんオランダグランプリでは、大雨おおあめ決勝けっしょうレースでデイヴ・ウォーカーよんりん駆動くどうつよみを存分ぞんぶんかし、スタートからわずか5しゅうで22番手ばんてから5番手ばんてまでジャンプアップする活躍かつやくせたが、スピンしてリタイアしてしまった。56Bの顛末てんまつ見届みとどけたファーガソンはモータースポーツ事業じぎょうから撤退てったいし、「FFディベロップメント」しゃ改名かいめいして市販しはんしゃ分野ぶんやへと転身てんしんしていった[注釈ちゅうしゃく 13]

このようにサーキットでは失敗しっぱいわるケースがおおかったが、どう時期じき英国えいこくヒルクライム選手権せんしゅけんでは活躍かつやく。P99が1964ねんどう選手権せんしゅけんのタイトルを獲得かくとくしてからしばらくのあいだよんりん駆動くどうしゃがチャンピオンシップの主役しゅやくとなった[注釈ちゅうしゃく 14][29]。F1でははしれなかったBRM・P67も1968ねんにチャンピオンマシンとなっている。しかし1970年代ねんだいはいると、F1同様どうようにタイヤとそらりょくでトラクションを確保かくほできるようになったため[30]重量じゅうりょう増加ぞうか原因げんいんになるよんりん駆動くどうすたれていった。

どう時期じきには北米ほくべいCan-Amでもよんりん駆動くどうしゃ開発かいはつしようといううごきがいくつかあったが、技術ぎじゅつてき問題もんだいによりいずれも決勝けっしょう出場しゅつじょうできずにわっている[31][32]

1970年代ねんだい

編集へんしゅう
 
1971ねんプレス・オン・リガードレス・ラリーのジープ・ワゴニア

上記じょうきとおりレース専用せんようとしては不完全ふかんぜん燃焼ねんしょうわったが、市販しはんしゃとしてのよんりん駆動くどう技術ぎじゅつ身近みぢかになってきたこともあり、これをオフロードけい競技きょうぎかそうといううごきがられた。

1972ねん、WRC(世界せかいラリー選手権せんしゅけん)の前身ぜんしんであるIMC(国際こくさいマニュファクチャラーズ選手権せんしゅけん)の米国べいこくラウンドとなったプレス・オン・リガードレス・ラリーにおいて、ピックアップトラックをベースとするSUVで、400馬力ばりきものエンジンをそなえたジープ・ワゴニア優勝ゆうしょう。これはFIA(国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい)タイトルをかんするラリーでのはつよんりん駆動くどうしゃ優勝ゆうしょうとなった。ただし当時とうじはラリーは乗用車じょうようしゃやスポーツカーでおこなうものであり、トラックやオフロードしゃ活躍かつやくするべきものではないという意識いしきつよかったため反対はんたい運動うんどうこった。そして1973ねん4がつにFIAはよんりん駆動くどうしゃ参戦さんせん禁止きんししてしまったため、しくも歴史れきしえる出来事できごととはならなかった。WRCにおけるよんりん駆動くどう普及ふきゅうは、アウディがFIAを説得せっとくして解禁かいきんされる1980ねん以降いこうつことになる[33]

1970ねんごろに、まだまれたばかりのラリークロスではよんりん駆動くどうしゃは5びょうまたは10びょうのハンデ(「よんりん駆動くどうペナルティ」)をわされることがおおかったが、それにもかかわらずトライアンフフォードDAFよんりん駆動くどうしゃ活躍かつやくした。

いちだいのみが製作せいさくされたよんりん駆動くどうトライアンフ・1300は1968〜69ねん雪上せつじょう英国えいこくリッデンヒルでライバルを圧倒あっとうした。フォードもまたボアハムにより、以前いぜんから警察けいさつがフォードしゃもちいていたファーガソン・システムをんでよんりん駆動くどうカプリ試験しけんてき開発かいはつし、雪上せつじょう勝利しょうりかさねた(ただしおな英国えいこくでも活動かつどう地域ちいきちがい、1300はラリーでクラッシュして退場たいじょうした[34]ため、両者りょうしゃあいえることはなかった)。70ねんにフォードは3だいのカプリで選手権せんしゅけん制圧せいあつし、キャドウェル・パークで1-2-3フィニッシュというだい戦果せんかげるが、最終さいしゅうてきにはよんりん駆動くどうペナルティを克服こくふくできずにタイトルをのがしている。BBC放送ほうそうからりたため、フォードも撤退てったいした[35]。これらは量産りょうさん計画けいかくもされていたが、いずれも頓挫とんざした[注釈ちゅうしゃく 15][注釈ちゅうしゃく 16][36]

DAFの競技きょうぎ部門ぶもんはカプリを参考さんこうに、1971ねんからDAF・55をよんりん駆動くどうしたDAF・555クーペ4x4を投入とうにゅう[注釈ちゅうしゃく 17]のちにツインエンジンのよんりん駆動くどうトラックであるDAF・ターボツインおくす、オランダのヤン・デ・ルーイとおとうとのハリー・デ・ルーイは、これをもちいて国内外こくないがいラリークロスさかいよんりん駆動くどうペナルティをものともしないだいあばれで、オランダ選手権せんしゅけん連覇れんぱした[37][38]。しかし1973ねん以降いこうよんりん駆動くどう自体じたい禁止きんしされ、DAFは競技きょうぎから撤退てったいした[39]

バハ1000パリ・ダカールラリー筆頭ひっとうとする国際こくさいてきなクロスカントリー(ラリーレイド)はこのころはじまったが、こちらではよんりん駆動くどう禁止きんしされることはなく、SUVやトラック、改造かいぞうされた乗用車じょうようしゃなど多数たすうよんりん駆動くどうしゃたちが参加さんかした。

ただしバハ1000のようなべい大陸たいりくのデザートレースでは1969ねんよんりん駆動くどうしゃとしてはつ優勝ゆうしょうしたフォード・ブロンコ[40]以降いこうは、50ねんちかくものあいだ改造かいぞう制限せいげんクラスにかんしてはりん駆動くどう主流しゅりゅうであった。これはよんりん駆動くどうはフロントアクスルの重量じゅうりょうかさむ・フロントのサスペンションストロークりょうおおきくれないなどの理由りゆうにより、1,000~2,000kmちかくの比較的ひかくてき平坦へいたん距離きょりながいダート路面ろめんを、修復しゅうふくしにちょう高速こうそくはしつづければならないデザートレースにおいて、十分じゅうぶん耐久たいきゅうせいをフロントアクスルにたせるのがむずかしかったことや、フロントに十分じゅうぶん最低さいてい地上ちじょうだか確保かくほできないことなどが理由りゆうであった[41][42][43]

1980年代ねんだい

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アウディ・スポーツクワトロS1

1980年代ねんだいアウディ・クワトロ皮切かわきりに欧州おうしゅう一般いっぱん乗用車じょうようしゃにもよんりん駆動くどう普及ふきゅうはじめると、ラリースポーツカーレースのような走破そうはせいよりも敏捷びんしょうせいもとめられる競技きょうぎでもよんりん駆動くどうしゃ主役しゅやくとなりはじめた。

とく印象いんしょうてきなのはWRCでの爆発ばくはつてき普及ふきゅうである。四輪よんりん駆動くどう解禁かいきん参戦さんせん自体じたいは1980ねんスバル・レオーネサファリラリーへのスポット参戦さんせん最初さいしょであるが、選手権せんしゅけん全体ぜんたいひろまったのは1981ねんからのグループ4~グループB規定きていにおけるアウディ・クワトロの活躍かつやくがきっかけであった[注釈ちゅうしゃく 18][44]当初とうしょ信頼しんらいせい不足ふそく強烈きょうれつアンダーステア駆動くどう損失そんしつによる最高さいこう速度そくど鈍化どんかなどの弱点じゃくてん露呈ろていする場面ばめんおおられたが、それ以上いじょうにクワトロのはやさはライバルに強烈きょうれつ印象いんしょうあたえた。グループBの公認こうにん取得しゅとく必要ひつよう最低さいてい生産せいさん台数だいすう実質じっしつ20だいすくないことを利用りようしてプジョー・205ターボ16ランチア・デルタS4フォード・RS200のようなミッドシップエンジンにすることでアンダーステアを解消かいしょうした、過激かげきよんりん駆動くどうしゃ続々ぞくぞく登場とうじょうして覇権はけんあらそいをえんじた。

重大じゅうだい事故じこ相次あいついだ結果けっかWRCではグループBは廃止はいしとなるが、いだグループAでもランチア・デルタのマニュファクチャラーズ6連覇れんぱによってよんりん駆動くどうしゃ不動ふどう地位ちい確立かくりつし、結局けっきょくりん駆動くどうしゃがWRCタイトルを獲得かくとくしたのは1983ねん、イベント総合そうごう優勝ゆうしょう記録きろくしたのは1988ねんアイボリーコースト・ラリーがそれぞれ最後さいごとなった[注釈ちゅうしゃく 19]。またラリークロスパイクスピーク・ヒルクライムにはWRCで活躍かつやくうしなったグループB車両しゃりょう流入りゅうにゅうし、これらのカテゴリでもよんりん駆動くどう一躍いちやく主役しゅやくへとおどた。

サーキットレースでもよんりん駆動くどう採用さいようられた。先進せんしんてきな『可変かへんトルクスプリット』しきよんりん駆動くどうそなえるポルシェ・961ル・マン24あいだレースに2かい参戦さんせん。アンダーステアがつよ予選よせんではグループC(C1)いきおいより一周いっしゅうあたり20びょうおそかったが、1986ねん決勝けっしょうでは荒天こうてんよんりん駆動くどう存分ぞんぶんきる展開てんかいとなり、予選よせん総合そうごう26から総合そうごう7までポジションをげた。

1988ねん北米ほくべいのトランザム・シリーズと1989ねんIMSA-GTOでは、WRCから転身てんしんしたアウディの90クワトロシステム猛威もういるった。トランザムではチャンピオンを獲得かくとくし、IMSAでも序盤じょばんデイトナ24あいだ/セブリング12あいだ欠場けつじょうさえしなければチャンピオンといういきおいだった[45]

F1ではウィリアムズが1982ねんうしりんろくりんしゃによるよんりん駆動くどうしゃFW08Bをテストし、こうタイムをたたしていた。しかしかねてよりのグランド・エフェクト・カーをめぐる議論ぎろん速度そくど安全あんぜん問題もんだい過敏かびんになっていたFISAは、1983ねんにグランド・エフェクトの禁止きんしあわせてタイヤ本数ほんすう制限せいげんよんりん駆動くどう禁止きんし明文化めいぶんかしてしまったため、実戦じっせん投入とうにゅうされずにわっている。

1990年代ねんだい

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日産にっさん・スカイラインGT-R(R32)

電子でんし制御せいぎょ技術ぎじゅつ発達はったつした1990年代ねんだいになると、ツーリングカーレース分野ぶんやでもよんりん駆動くどう黄金おうごん時代じだいむかえる。グループAレースにおいて日産にっさん・スカイラインGT-R(R32がた)が『アテーサE-TS』なるアクティブ・トルク・スプリットしきよんりん駆動くどう技術ぎじゅつ搭載とうさいし、JTC(全日本ぜんにほんツーリングカー選手権せんしゅけん)やN1耐久たいきゅうげんスーパー耐久たいきゅう)でワンメイクレース状態じょうたいきずき、海外かいがいでもスパ・フランコルシャン24あいだやバサースト12あいだなど各地かくちのレースを制圧せいあつ。グループA規定きてい終了しゅうりょうむほどにつづけた。ドイツでもグループAベースの独自どくじ規定きていもちいていたDTM(ドイツツーリングカー選手権せんしゅけん)において、北米ほくべいからもどったアウディが、クワトロシステムを使用しようするV8で1990・1991ねんとシリーズを連覇れんぱしている。

1993ねんからはじまった『クラス1』のDTM→ITC(国際こくさいツーリングカー選手権せんしゅけん)では、アルファロメオ・155 V6 TIオペル・カリブラV6 4X4よんりん駆動くどうしゃとして活躍かつやく。しかし両者りょうしゃのリソース不足ふそく信頼しんらいせい問題もんだいもあり、先進せんしんてきそらりょく設計せっけいった電子でんしデバイス[注釈ちゅうしゃく 20]武装ぶそうした二輪にりん駆動くどうメルセデス・CクラスV6とは互角ごかく戦績せんせきわっている。

おなじく1993ねんからの『クラス2』(スーパーツーリング規定きてい各国かっこくのレースにもアウディがクワトロシステムをんだ。1996ねんにはA4クワトロえいどくふくむ6カ国かこく[注釈ちゅうしゃく 21]同時どうじ制覇せいはするという無敵むてきぶりをしめした[注釈ちゅうしゃく 22]

このように一部いちぶのぞくほとんどのカテゴリで圧倒的あっとうてき戦闘せんとうりょくしめすようになったよんりん駆動くどうだが、一方いっぽうよんりん駆動くどう技術ぎじゅつ得手えて不得手ふえてがメーカーごとにハッキリかれたり、参戦さんせんコスト高騰こうとう原因げんいんになったりと、運営うんえいにとってはエントラント招致しょうち障害しょうがいにもなりはじめた。そのためよんりん駆動くどう規制きせい強化きょうか禁止きんし、もしくはりん駆動くどう優遇ゆうぐうするうごきがひろまった。

よんりん駆動くどう多数たすうとなったラリーかいでは、二輪にりん駆動くどうしゃ優遇ゆうぐうおこなわれた。WRCではフランスしゃメーカーのロビー活動かつどうにより導入どうにゅうされた二輪にりん駆動くどうしゃ規定きていF2キットカー」が施行しこうされ、1999ねんにターマックイベント限定げんていだがシトロエン・クサラ[注釈ちゅうしゃく 23]のF2キットカーが2かい総合そうごう優勝ゆうしょう記録きろくしている。またダカール・ラリーでもプライベーターけのりん駆動くどう規定きてい大幅おおはば緩和かんわした結果けっか、1999・2000ねんりん駆動くどうシュレッサー・バギー[注釈ちゅうしゃく 24][46]総合そうごう優勝ゆうしょうたした。ただしこれらはメーカーの不満ふまんこえおおきかったこともあり、一時いちじてきなものにわっている。

一方いっぽうりん駆動くどう多数たすうであったサーキットレースでは、よんりん駆動くどうがわへの規制きせい強化きょうか禁止きんし優先ゆうせんてきおこなわれた。上述じょうじゅつしたDTMのアウディ・V8はその巨大きょだいくるまかく原因げんいんとはいえ最大さいだいで300kgという最低さいてい重量じゅうりょうをつけられた。クラス2規定きていのA4クワトロも1997ねんから100kgのウェイトを背負しょわされ、よく1998ねんにはよんりん駆動くどうそのものが禁止きんしされてしまった[47]。スーパーツーリングの後継こうけいとなったスーパー2000規定きていのツーリングカー規則きそくFIA-GT、さらにはル・マンとデイトナでもよんりん駆動くどう禁止きんし明文化めいぶんかされたため、メジャーなサーキットレースではほぼ完全かんぜんされる格好かっこうになってしまった。

日本にっぽんではJTC消滅しょうめつの1994ねんからR32がたスカイラインGT-Rが大挙たいきょしてJGTC(全日本ぜんにほんGT選手権せんしゅけんげんSUPER GT)へと転戦てんせんしたが、そこではJTCよりふといタイヤや大型おおがたウィングの装着そうちゃく・サスペンションのだい規模きぼ改造かいぞうなどがおこなえたため、二輪にりん駆動くどうでも十分じゅうぶんなトラクション性能せいのうることができた。またりん駆動くどうへの改造かいぞうエアリストリクター装着そうちゃくされてパワーダウンをいられるものの、よんりん駆動くどうよりもふとめのタイヤをける・設計せっけい自由じゆうたかい・信頼しんらいせい確保かくほしやすい・軽量けいりょうできる・ハンドリングが軽快けいかいになるなどのメリットのほう圧倒的あっとうてきおおきく、1995ねんのR33がた投入とうにゅう以降いこうはたちまちりん駆動くどうするのが常識じょうしきとなった[注釈ちゅうしゃく 25][16][48][49]。R33がたでも少数しょうすうながらよんりん駆動くどうのままたたかうチームもおり、ウェットコンディションで競争きょうそうりょく発揮はっきしたが、舗装ほそう路面ろめんではほそめのタイヤのライフのみじかさになやまされ、ほどなくして姿すがたした。[50]

21世紀せいき

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ポルシェ・919 HYBRID

2012ねんからはじまったWEC(世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけん、ル・マン24あいだふくむ)のLMP1規定きていハイブリッド車両しゃりょうかぎよんりん駆動くどう認可にんかされた。アウディ・R18トヨタ・TS050 HYBRIDポルシェ・919 HYBRIDが、通常つうじょうこう駆動くどうで、モーターの出力しゅつりょくのみ前輪ぜんりん駆動くどうするスタンバイしきよんりん駆動くどうシステムをそなえ、200kgかるいF1マシンにもせまはやさを一時いちじ人気にんきあつめた。LMP1はコスト高騰こうとう原因げんいん衰退すいたいするが、2018ねん以降いこうのLMP1およびこれにわったLMハイパーカー規定きていでは性能せいのう調整ちょうせい(BoP)をほどこすことを前提ぜんていにハイブリッド車両しゃりょうよんりん駆動くどう採用さいようつづ認可にんかされ、トヨタ・GR010 HYBRIDプジョー・9X8フェラーリ・499Pなどがよんりん駆動くどうしゃとして参戦さんせんしている。ただしこれらBoP規定きていではりん駆動くどうしゃとの共存きょうぞん前提ぜんていに、ごくかぎられた速度そくどいきでしかモーターの出力しゅつりょくみとめられないため、うえげてきたようなよんりん駆動くどうしゃたちのようなメリットを享受きょうじゅできないてんには注意ちゅうい必要ひつようである。

それ以外いがいのメジャーなサーキットレースでは、よんりん駆動くどう認可にんか事例じれいきわめてすくない。SUPER GTでは重量じゅうりょうハンデを条件じょうけん特認とくにんよんりん駆動くどうしゃとしてGT300クラスに参戦さんせんしたスバル・インプレッサが2008ねん優勝ゆうしょうげたれいがあるが、開幕かいまくから175kgもおもくされるという規制きせい強化きょうかけて撤退てったいにあっている[51]おもだったGT/ツーリングカー規定きてい[注釈ちゅうしゃく 26]たちは軒並のきなよんりん駆動くどう禁止きんしされており、スーパー耐久たいきゅうニュルブルクリンク24あいだなどの、アマチュアしょくつよいレースの下位かいクラスでみとめられる程度ていどとどまっている。現在げんざい市販しはんスーパーカー高性能こうせいのうなスポーツよんりん駆動くどうシステムをりにするのがトレンドとなっているにもかかわらず、そういった事情じじょうから自慢じまんよんりん駆動くどうろさなければ主要しゅようレースに参戦さんせんできない、というジレンマが存在そんざいする。とはいえそれにたいする不満ふまんこえはあまりかれず、メーカー・ファンともに業界ぎょうかい慣習かんしゅうとしてれているような状況じょうきょうにある。

F1でも電動でんどう技術ぎじゅつもちいたよんりん駆動くどうについての議論ぎろんがしばしきているが、安全あんぜん問題もんだいやメーカー同士どうし思惑おもわく衝突しょうとつなどもあり、いまのところは実現じつげんしていない[52][53]

サーキット以外いがいでの競技きょうぎ(ラリー、ラリーレイド、ヒルクライム[注釈ちゅうしゃく 27]ジムカーナダートトライアルなど)ではプロ・アマわずよんりん駆動くどう認可にんかされており、多数たすうのエントラントが総合そうごう優勝ゆうしょう目指めざしてよんりん駆動くどう採用さいようしている。

2013~2021ねんのダカール・ラリーでは、プライベーターけにふたた規定きていりん駆動くどう有利ゆうりになったため、ワークスもふくめた各社かくしゃこぞってりん駆動くどうしゃ開発かいはつ投入とうにゅうしていたが[注釈ちゅうしゃく 28]、メーカーたちの協議きょうぎすえ、2022ねん以降いこうよんりん駆動くどう優位ゆうい規則きそくもどされている。ながらくりん駆動くどう支配しはいしていたSCOREのトロフィー・トラックも、創意そうい工夫くふうによって十分じゅうぶんなサスペンションストロークりょう信頼しんらいせい[注釈ちゅうしゃく 29][54]確保かくほしたマシンが、2010年代ねんだい後半こうはんからトップコンストラクターたちのによってされはじめ、時代じだい変化へんかむかえている[注釈ちゅうしゃく 30][55]

電動でんどう技術ぎじゅつよんりん駆動くどうわせるタイムアタックマシンもえている。モーターは一瞬いっしゅんすさまじいトルクをせることや、設計せっけい自由じゆうたかいことからよんりん駆動くどうとの相性あいしょう抜群ばつぐんで、両者りょうしゃわせたフォルクスワーゲン・ID.Rポルシェ・919 HYBRID Evo各地かくちのタイムアタックの最速さいそく記録きろく人知じんちえたはやさでえていった。

特殊とくしゅ車両しゃりょう競技きょうぎ場合ばあい

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車両しゃりょうすべらせることがもとめられるドリフト競技きょうぎではこう駆動くどうFRレイアウト)につのはきわめてむずかしく、さらに速度そくどいきによっては危険きけんともなうため、D1グランプリフォーミュラ・ドリフトでは禁止きんしされている。それどころか(FRしゃそのものの減少げんしょうという事情じじょうもあって)「4WDしゃ前輪ぜんりん駆動くどうをキャンセルしFRする」と改造かいぞうおこなわれることすらある。

ドラッグレース市販しはんしゃクラスではよんりん駆動くどう有利ゆうりだが、トップカテゴリの「ドラッグスター」では極端きょくたん駆動くどう荷重かじゅうをかけられる設計せっけい可能かのうなためよんりん駆動くどうのメリットはく、軽量けいりょう駆動くどう損失そんしつすくないりん駆動くどう一辺倒いっぺんとうとなっている。

ダカールやモトクロスなどでもちいられるスポーツようATV(ぜん地形ちけい対応たいおうしゃよんりんバイク)は軽量けいりょうりん駆動くどう基本きほんとなっている。とくにダカールではたん気筒きとうエンジン+二輪にりん駆動くどうという軽量けいりょうパッケージのヤマハ・ラプター700R部門ぶもん創設そうせつから2022ねん現在げんざいまで無傷むきずの14連覇れんぱ達成たっせいしており、ポラリスCan-Amの2気筒きとう+よんりん駆動くどうの850ccぜいすき状態じょうたいとなっている[注釈ちゅうしゃく 31][56][57]

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ Appendix J Technical lists Drawings Ust of homologated vehicles and engines
  2. ^ 世界せかい有数ゆうすう豪雪ごうせつ地帯ちたいかかえる日本にっぽん風土ふうどそだてた「4WD」のえらかた 2016.2.22 森口もりぐち将之まさゆき
  3. ^ ポルシェ博士はかせ電気でんき自動車じどうしゃ
  4. ^ The Legend of MERCEDES-BENZ 4×4(前編ぜんぺん
  5. ^ The secret story of Ford’s four-wheel drive Capri
  6. ^ Austin Ant: Ant Hill Mob
  7. ^ 日本にっぽんはつのフルタイムよんはマツダだった!AWDとえばマツダとなる可能かのうせいたかい2つの理由りゆう cliccar 2016ねん1がつ7にち
  8. ^ All-Wheel-Drive Vehicles Grow in Popularity With Car Shoppers
  9. ^ 4WDけいよんりんしゃ販売はんばい台数だいすう月別つきべつ車種しゃしゅべつ推移すいい
  10. ^ 16ねん道内どうない乗用車じょうようしゃ登録とうろく、4WDしゃ比率ひりつ8わりせま
  11. ^ BMW all-wheel drive is older than you think
  12. ^ かつて「ワンボックスカー」とばれた車種しゃしゅ
  13. ^ 輸入ゆにゅうしゃのフルタイム4WDってどうなの? さまざまな制御せいぎょ個性こせいはあるか 2017.10.03 / エンタメ ベストカーWeb編集へんしゅう
  14. ^ トヨタ新型しんがたRAV4の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」はなに世界せかいはつなのか
  15. ^ サーキットで無双むそうしたR32GT-Rの4WD「アテーサE-TS」! なんとおな仕組しくみをきょうしょうのラジコンがさき採用さいようしていた
  16. ^ a b 『Racing On Archives Vol.16』P124 三栄書房さんえいしょぼう刊行かんこう
  17. ^ 川井かわいちゃん、右京うきょうさん、これがWECでたたかってるクルマ(TS050 HYBRID)なんですよ! TOYOTA GAZOO Racing公式こうしきサイト 2021ねん8がつ1にち閲覧えつらん
  18. ^ Marque Time THE IRISH TIMES 2022ねん1がつ22にち閲覧えつらん
  19. ^ 1932 Miller FWD Special Roadster Vehicle Profile CONCEPTCARS 2022ねん1がつ26にち閲覧えつらん
  20. ^ [1] SPEEDWAY MOTORS MUSEUM OD AMERICAN SPEED 2022ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  21. ^ René and the Beast – the Bugatti Type 53 Collier 2022ねん2がつ1にち閲覧えつらん
  22. ^ FWD Butterball Special Race Car Share Tweet SPEED VILLE 2022ねん1がつ22にち閲覧えつらん
  23. ^ Archie Butterworth Hr'22 2022ねん1がつ16にち
  24. ^ 1932 Miller FWD Special Roadster Vehicle Profile CONCEPTCARS 2022ねん2がつ1にち閲覧えつらん
  25. ^ 英国えいこく史上しじょう最高さいこうのドライバー、スターリング・モスの軌跡きせきたどる マセラティとともに ライブドアニュース 2022ねん1がつ16にち閲覧えつらん
  26. ^ ヘリようのガスタービンエンジンを搭載とうさい!?時代じだいんだ異色いしょくのレーシングカーにせま Motorz 2021ねん8がつ1にち閲覧えつらん
  27. ^ F1では禁止きんしよんりん駆動くどう トーチュウF1エクスプレス 2010ねん7がつ26にち
  28. ^ The Cosworth F1 car and the history of four-wheel-drive in motor racing
  29. ^ 2021ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  30. ^ Do you notice anything unusual here?
  31. ^ 伝説でんせつ野心作やしんさく!2ストエンジンを4んだ4WD「マックスイットスペシャル」が色々いろいろとスゴい! Motorz 2021ねん11月5にち閲覧えつらん
  32. ^ Vintage American Road Racing Cars 1950-1969
  33. ^ HOW A JEEP LED TO THE FIA’S INFAMOUS 4WD BAN
  34. ^ TRIUMPH 1300
  35. ^ Rallycrossing a 4WD DAF
  36. ^ The secret story of Ford’s four-wheel drive Capri
  37. ^ DAF-Club Deutschland e.V. (DCD)
  38. ^ DAF 555 Sportcoupe Het experiment met motorvermogens en sterkere variomatic
  39. ^ 50 jaar terug in de tijd met Jan de rooj
  40. ^ FORD'S BAJA TRUCK HISTORY HELPED BUILD THE F-150 RAPTOR INTO THE OFF-ROAD WEAPON IT IS TODAY
  41. ^ BUILDING THE PERFECT TROPHY TRUCK WITH JERRY ZAIDEN
  42. ^ This Stupidly Strong Truck Might Bring 4WD Back To Off-Road Racing
  43. ^ 2WD Prerunners or 4WD Prerunners Which is Better
  44. ^ かつてラリーで無敵むてきほこったアウディの4WDシステム「クワトロ」の秘密ひみつとは
  45. ^ THE FORGOTTEN RELATIVE OF THE LEGENDARY AUDI 90 QUATTRO IMSA GTO DRIVETRIBE 2021ねん11月5にち閲覧えつらん
  46. ^ Dakar Rally ダカール・ラリー 1998
  47. ^ 『サンエイムック にちおうツーリングカーのすべて』 2020ねん7がつ1にち 三栄書房さんえいしょぼう刊行かんこうより
  48. ^ JGTC RACE ARCHIVE
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  51. ^ もはやGT400!?スーパーGT、GT300クラスにおいて、はやすぎたマシンたちをご紹介しょうかいします!Motorz 2022ねん9がつ26にち閲覧えつらん
  52. ^ 【F1】 F1マシンの4WD議論ぎろん F1-Gate 2021ねん8がつ1にち閲覧えつらん
  53. ^ F1に4りん駆動くどう方式ほうしき採用さいようのぞむフォルクスワーゲン Top News 2021ねん8がつ1にち閲覧えつらん
  54. ^ Team Australia switches to AWD for Baja 1000
  55. ^ 8 TRENDS TO TRACK IN OFF-ROAD RACING
  56. ^ YAMAHA RAPTOR 700 vs. POLARIS SCRAMBLER 850
  57. ^ Why Aren’t All ATVs Four Wheel Drive? 2wd vs. 4wd

注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ 積雪せきせつ多数たすう販売はんばいされるという性格せいかくじょうよんりん駆動くどうモデルには寒冷かんれい仕様しよう標準ひょうじゅん装備そうびする車種しゃしゅ・メーカーも存在そんざいする(日産にっさん・セレナなど)。
  2. ^ リアエンジン4WDポルシェ・911スバル・サンバー(3代目だいめ - 6代目だいめ)、シュタイア・プフしゃのハフリンガーなどに存在そんざいする。またミッドシップ4WDは、三菱みつびし・パジェロトヨタ・エスティマ初代しょだい)、ホンダ・アクティスズキ・エブリイ(3代目だいめ)、ランボルギーニかくモデル、ブガッティ・ヴェイロンアウディ・R8などのれいがある
  3. ^ 同車どうしゃりん駆動くどう仕様しよう存在そんざいしている。発表はっぴょうりん駆動くどう仕様しようほうさきであった
  4. ^ 嚆矢こうしであるスバル・レオーネが、FFの駆動くどう系統けいとう延長えんちょうしてトランスファーをかいしてこう駆動くどうしたものである。なお、富士重工業ふじじゅうこうぎょうげんSUBARU)は初代しょだいレオーネ4WD発売はつばい当時とうじ、FRしゃ生産せいさんしていなかったためリアアクスルの生産せいさんノウハウがなく、当時とうじ系列けいれつ企業きぎょうだった日産自動車にっさんじどうしゃからブルーバードのものをOEM供給きょうきゅうけていた。他社たしゃトヨタ・スプリンターカリブなどこれにならった。
  5. ^ いわんや三菱みつびし・ミニカ(4代目だいめまで)とスズキ・カプチーノ、それにスズキのOEM部品ぶひん製造せいぞうされているケータハムけいモデルぐらいしかFRのれいのないけい乗用車じょうようしゃにおいてはジムニー以外いがい存在そんざいしていない
  6. ^ サンバーをベースにエンジンを1000ccとし、3れつシート7にん乗用車じょうようしゃとした車種しゃしゅこう1200ccとなったさいにはワンウェイクラッチしきとなったが、そののフルモデルチェンジで後述こうじゅつのビスカスカップリングしきとなった。
  7. ^ 1970年代ねんだい北米ほくべいCan-amでふなひろしがドライブした「マックスイットスペシャル」、パイクスピーク・ヒルクライム田嶋たじま伸博のぶひろもちいたスズキ・エスクードパリ-ダカール・ラリーでヤン・デ・ローイがもちいたDAF・ターボツイン北米ほくべいデザートレースにおけるガイザー・ブラザーズのトロフィートラックなどの採用さいようれいがある
  8. ^ 星野ほしの一義かずよし長谷見はせみ昌弘まさひろはJTC(全日本ぜんにほんツーリングカー選手権せんしゅけん)の1989ねんシーズンけに日産にっさん開発かいはつしたR32がたスカイラインGT-Rを最初さいしょにしたさいに「ラリーカーじゃあるまいし、サーキットでよんりん駆動くどうなんてなにかんがえているんだ」と正面しょうめんから否定ひていしたが、ひとたびドライブをするとこれは間違まちがいなく最強さいきょうくるまだとてのひらかえして絶賛ぜっさんしたとわれている。ただし長谷見はせみは、アンダーステアつよくコーナーでアクセルがめない特性とくせいゆえにたのしくはなかったとも後年こうねんかたっている。
  9. ^ 改造かいぞう範囲はんいひろさ、コース特性とくせい路面ろめん環境かんきょう勝利しょうり条件じょうけん、コストや技術ぎじゅつ水準すいじゅん、タイヤの規格きかく性能せいのう速度そくどいきなど
  10. ^ フロントエンジンしゃとしてもF1史上しじょう最後さいご優勝ゆうしょう記録きろくである。モスはこのマシンをいたくっており、引退いんたいに「またりたいくるま」としてこのP99をげている
  11. ^ このうち1だいのマイク・スペンスは予選よせん事故じこ死亡しぼうしたため、決勝けっしょうは3だい体制たいせいであった
  12. ^ ブルース・マクラーレンはM9Aの感触かんしょくを、「だれかにひじ小突こづかれながら、ききてではないほうでサインをしているようなものだ」と表現ひょうげんしている。コーナーリングで内輪うちわがってしまうのをおさえようにも、フロントへの駆動くどうけい追加ついかしたせいでサスペンションストロークりょう制限せいげんされていたため、課題かだい解決かいけつできなかった
  13. ^ のちジェンセン・モーターズしゃとの提携ていけいによるジェンセン・FFで、よんりん駆動くどうセダン市販しはん実現じつげんしている
  14. ^ もとF1ドライバーのトニー・マーシュは、直進ちょくしんよんりん駆動くどうでコーナーリングだけこう駆動くどうになるというきわめて画期的かっきてきよんりん駆動くどうシステムをヒューランド共同きょうどう開発かいはつし、1967ねんのチャンピオンシップを制覇せいはした。しかしマーシュは、「実際じっさいにはこのシステムは作動さどうせず、わたし電磁でんじクラッチをっているという事実じじつ人々ひとびとらしめただけだった」とのちかたっている。2選手権せんしゅけん3連覇れんぱ達成たっせいしたマーシュはモチベーションをうしなって撤退てったいしたため、この1ねんかぎりの参戦さんせんとなった
  15. ^ 1300は元々もともとよんりん駆動くどう前提ぜんてい設計せっけいされていた。1300ではかなわなかったが、よんりん駆動くどう基本きほん部品ぶひんおおくを共通きょうつうするポニーピックアップへとがれた。
  16. ^ カプリの場合ばあいおなじカプリでもFRグレード(RS2600とRS3100)によるサーキットでの活躍かつやくほう注目ちゅうもくされたこと、フォードは当時とうじ製造せいぞうするすべてのFRクーペを十分じゅうぶんけていたことから、よんりん駆動くどうばんカプリは需要じゅようやコストのうえ余計よけいなものと做され、量産りょうさんにはいたらなかった。四輪よんりん駆動くどう量産りょうさんにはあらたな製造せいぞうラインが必要ひつようとなるのもネックであった。しかし熱意ねついある支持しじしゃがファーガソン・リサーチと契約けいやくし、ごく少数しょうすう改造かいぞうというかたち製造せいぞうされた。
  17. ^ ベース車両しゃりょうはDAF・55。3つめの5は、グループ5規定きてい意味いみするものとしてつけられた
  18. ^ アウディとスバルはともよんりん駆動くどう乗用車じょうようしゃ先駆さきがけでもあるが、どちらもたてきエンジン前輪ぜんりん駆動くどう構造こうぞうったくるま市販しはんしていたため、たてきのギアボックスから駆動くどうじく後方こうほうどう装置そうちこうドライブシャフトを追加ついかするなどの加工かこうみ、比較的ひかくてきよんりん駆動くどうしやすい構造こうぞうであった。なおアウディのクワトロシステムは、センターにトルセンデフをもちいた「セルフロッキング・ディファレンシャル」による機械きかいしき制御せいぎょで、通常つうじょうは50:50のトルク配分はいぶんとなっていた。
  19. ^ 日産にっさん・200SX(シルビア)による。グループB時代じだいもターマックでルノー・5ターボ、アフリカイベントでトヨタ・セリカツインカムターボなど、二輪にりん駆動くどうしゃふくすうかいのイベント総合そうごう優勝ゆうしょう記録きろくしている
  20. ^ バラストを電子でんし制御せいぎょもちいてうごかし、加速かそく後方こうほう移動いどうさせてトラクションをかせいだり、コーナーリングでも左右さゆううごかしてロールをおさえる「ムービングバラスト」がられる。「これがければよんりん駆動くどうぜいにはてなかった」とわれるほどに威力いりょく発揮はっきした。
  21. ^ イギリス・ドイツ・イタリア・スペイン・ベルギー・みなみアフリカ
  22. ^ このほか、フォードもよんりん駆動くどうモンデオで1995ねんのSTW(ドイツ・スーパーツーリング選手権せんしゅけん)に参戦さんせんしたが、資金しきん不足ふそく開発かいはつがままならず、1ねん撤退てったいしている。
  23. ^ 軽量けいりょうシャシーとワイドボディ、吸気きゅうきリストリクター装着そうちゃく義務ぎむいエンジン、さらにアクティブデフやトラクションコントロールなどの電子でんしデバイスで武装ぶそうしていた。
  24. ^ りん駆動くどうバギーにはサスペンションストロークりょう制限せいげんかった。また最低さいてい重量じゅうりょうよんりん駆動くどうぜいより300kgかるく、吸気きゅうきリストリクターみちおおきめに設定せっていされた。くわえてメーカーのプロトタイプ車両しゃりょうによる参戦さんせんが1997ねんから2001ねんまで禁止きんしされていたのも躍進やくしんおおきな要因よういんであった。走破そうはせいではよんりん駆動くどういちゆずるが、フラットな高速こうそくステージで圧倒的あっとうてきはやさをしめした。
  25. ^ そもそもスカイラインGT-Rがよんりん駆動くどう採用さいようしたのは、出力しゅつりょくたいしてタイヤがほそい(265mm)グループAのレギュレーションに対応たいおうするためであり、ふといタイヤ(300mm以上いじょう)がければおのずと必要ひつようせいがることになる。なお長谷見はせみ昌弘まさひろためしにR32の前輪ぜんりんへの駆動くどうってりん駆動くどう状態じょうたいはしってみたらスポーツランドSUGOで1びょうはやくなったとかしており、事実じじつ1994ねんのR32ぜい予選よせんでは5戦中せんちゅう4せんりん駆動くどうよんりん駆動くどう上回うわまわった。しかし決勝けっしょうぜんせんドライコンディションながら、よんりん駆動くどう影山かげやま正彦まさひこ安定あんていしてたか順位じゅんいでポイントをかせぎチャンピオンとなった。
  26. ^ グループGT3/GT4TCR/eTCR、LM-GTEクラス1、NGTC(BTCC独自どくじ規定きてい)など
  27. ^ ただし元々もともとのぼりはこうへの荷重かじゅうつよいこともあり、欧州おうしゅうのヒルクライムのオープンホイールやプロトタイプスポーツカーは、フロントをかるくでき駆動くどう損失そんしつすくないりん駆動くどう主流しゅりゅうである。高地こうちそらりょく効果こうかうすいパイクスピーク・ヒルクライムではよんりん駆動くどうのメリットがきやすいが、2012ねん全面ぜんめん舗装ほそう影響えいきょうもあって、勢力せいりょく次第しだいではちょう軽量けいりょうりん駆動くどうしゃ総合そうごう優勝ゆうしょうおさめるケースもおお
  28. ^ ワークスかくではプジョー・スポールX-raid MINIトヨタ・みなみアフリカ双竜そうりゅう自動車じどうしゃ吉利よしとし汽車きしゃ。このうちトヨタは開発かいはつのみで実戦じっせん投入とうにゅうはしなかった。
  29. ^ トラクションにすぐれるよんりん駆動くどうであれば80%の全開ぜんかいりつ、あるいは多少たしょうのミスがあってもりん駆動くどうの100%と同等どうとうのペースが実現じつげんできることから、信頼しんらいせいじょうむしろすぐれている可能かのうせいがあることがかっている
  30. ^ トップコンストラクターのひとつであるメイソン・モータースポーツはひとしそくジョイントを垂直すいちょく配置はいちする独自どくじ機構きこうでサスペンションストロークりょう確保かくほした。基本きほんりん駆動くどうで、加速かそくこうのスリップを検知けんちすることで前輪ぜんりん駆動くどうするスタンバイしきである
  31. ^ ラプター700Rは出力しゅつりょく45馬力ばりき/乾燥かんそう重量じゅうりょう425ポンドにたいして、ポラリス・スクランブラーは70馬力ばりき/745ポンドでパワーウェイトレシオおおきなく、ホイールトラベルりょう両者りょうしゃほぼおなながさに設定せっていされている。軽量けいりょう敏捷びんしょうなボディとりん駆動くどうゆえの軽快けいかいなハンドリング、最小さいしょう回転かいてん半径はんけいちいささなどにより駆動くどうすくなさをおぎなえているれいである。

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