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トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ - Wikipedia

トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ

欧州おうしゅう拠点きょてんとしたトヨタのモータースポーツチーム

トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ(TOYOTA GAZOO Racing Europe GmbH、略称りゃくしょう: TGR-E)は、トヨタ自動車とよたじどうしゃ完全かんぜん子会社こがいしゃ本社ほんしゃ所在地しょざいちドイツケルン敷地しきちひろさは30,000平方へいほうメートルで、従業じゅうぎょういん日本人にっぽんじんふくめたやく300めいはたらいている[1][2]

トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ
国籍こくせき 日本の旗 日本にっぽん
本拠地ほんきょち
WEC
WRC
 フィンランド ユヴァスキュラ
創設そうせつしゃ オベ・アンダーソン
チーム代表だいひょう
関係かんけいしゃ
WEC
  • 日本の旗 平井ひらい正人まさと社長しゃちょう
  • 日本の旗 佐藤さとう恒治つねじ会長かいちょう
  • 日本の旗 中嶋なかじま一貴かずたかふく会長かいちょう
  • フランスの旗 パスカル・バセロンふく社長しゃちょう
  • 日本の旗 すみ賢治けんじ(パワートレーン開発かいはつしゃ
  • 日本の旗 北條ほうじょうあきらひらめそらりょく開発かいはつ責任せきにんしゃ
  • 日本の旗 佐藤さとう真之まさゆきかい(ハイブリッドパワートレーンマネージャー)
  • 日本の旗 春名はるな雄一郎ゆういちろう(プロジェクトディレクター)
  • 日本の旗 小島こじまただしきよし(GRパワトレ開発かいはつ部長ぶちょう
  • 日本の旗 山崎やまざき大地だいち(GRパワトレ開発かいはつ
  • オランダの旗 ジョン・リッチェンス(車両しゃりょう開発かいはつプロジェクトリーダー)
  • オランダの旗 ロブ・ロイペン(チームディレクター)
  • 不明の旗 デビッド・フローリー(テクニカルディレクター)
WRC
  • 日本の旗 青木あおきいさおせい(エンジン・プロジェクト・リーダー)
  • 日本の旗 豊田とよだ章男あきお(チームオーナー)
  • 日本の旗 春名はるな雄一郎ゆういちろう(プロジェクトリーダー)
  • ドイツの旗 トム・ファウラー(テクニカルディレクター)
  • フィンランドの旗 カイ・リンドストローム(スポーティングディレクター)
活動かつどう期間きかん 1975ねん -
カテゴリ
チームズ
タイトル
ドライバーズ
タイトル
公式こうしきサイト Toyota Gazoo Racing Europe GmbH
2024ねんのFIA 世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけん
エントリーめい TOYOTA GAZOO Racing
レーサー
7号車ごうしゃ
8号車ごうしゃ
マシン 7 & 8. トヨタ・GR010 HYBRID
タイヤ ミシュラン
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概要がいよう 編集へんしゅう

きゅう社名しゃめいトヨタ・モータースポーツ有限ゆうげん会社かいしゃ(Toyota Motorsport GmbH、略称りゃくしょう: TMG)。1993ねんに、それまでトヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)としてWRC活動かつどうをオペレーションしていたオベ・アンダーソン・モータースポーツGmbH買収ばいしゅうして誕生たんじょうした。それ以降いこうもトヨタの欧州おうしゅうにおけるワークスチームとして、モータースポーツ活動かつどうにない、世界せかいラリー選手権せんしゅけん(WRC)、ル・マン24あいだフォーミュラ1(F1)などに参戦さんせんした。これまでにWRCとFIA 世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけん(WEC)でドライバーズ・マニュファクチャラーズ王者おうじゃ達成たっせいし、ル・マン24あいだ制覇せいはした実績じっせきがある。

2021ねん現在げんざいTOYOTA GAZOO RacingでWECにル・マン・ハイパーカー(LMH)で、ならびにWRCにチームとして参戦さんせんしている。また、世界せかい選手権せんしゅけんカテゴリでつちかった技術ぎじゅつ最先端さいせんたん設備せつびかして外部がいぶ企業きぎょうけのエンジニアリングサービスをおこない、その利益りえきをレース活動かつどう資金しきんまわしている。

企業きぎょう理念りねんは“Creating excitement through team spirit and advanced technology”(チーム精神せいしん技術ぎじゅつ進歩しんぽによる興奮こうふん創造そうぞう[3]

2020ねん4がつ社名しゃめいトヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ(TOYOTA GAZOO Racing Europe GmbH)に変更へんこうしたと発表はっぴょうした[4]

業務ぎょうむ内容ないよう 編集へんしゅう

公式こうしきホームページでは[5]自動車じどうしゃ以外いがい業種ぎょうしゅふくむ6つの部門ぶもんによる幅広はばひろ業務ぎょうむ紹介しょうかいされている。求人きゅうじん、インターンシップも随時ずいじ募集ぼしゅうされている。

モータースポーツ部門ぶもん 編集へんしゅう

レーシングチーム(TOYOTA GAZOO Racing)
TGR-Eのメインでありもっと有名ゆうめい業務ぎょうむ。トヨタの欧州おうしゅうにおけるワークスチームで、レース活動かつどう実働じつどう部隊ぶたいとして活動かつどうする。WRC、F1とう現在げんざいはWECのハイパーカークラスに参戦さんせんしている。また、ニュルブルクリンク24あいだレースやWRC3、ERCなどにも参戦さんせんすることがある。本稿ほんこうべる。プライベーターけにレーシングカーやラリーカーの販売はんばいおこなっている。後述こうじゅつ

TMGが販売はんばいするレーシングカー 編集へんしゅう

  • トヨタ・ヤリス R1(グループR1規定きていラリーカー)
  • トヨタ・GT86 CS-V3(耐久たいきゅうレースけレーシングカー)
  • トヨタ・GT86 CS-R3(グループR3規定きていラリーカー)
  • トヨタ・GRスープラ GT4(グループGT4規定きていレーシングカー)

シャーシ設計せっけい部門ぶもん 編集へんしゅう

レーシングカーなどのシャーシサスペンションなどの設計せっけい数値すうち流体りゅうたい力学りきがく(CFD)と計算けいさんによるそらりょく開発かいはつ、テスト、解析かいせき油圧ゆあつシステムの開発かいはつなどをおこなう。

F1参戦さんせんちゅう機密きみつ保持ほじのためトヨタ社内しゃない部門ぶもんとの交流こうりゅうすくなかったが、F1撤退てったい日本にっぽん研究けんきゅう開発かいはつ機関きかん連携れんけいして車台しゃだい実験じっけんなどの機能きのう補完ほかんすることになった[6]。F1撤退てったい直後ちょくごのTMGのシミュレーション計算けいさん技術ぎじゅつはトヨタ本社ほんしゃのそれをはるかにしのいでおり、当時とうじ社長しゃちょうだった木下きのした美明よしあきは「つくったことのないひと計算けいさんだけにもとづいてつくったのに、そこそこはしります」とべている[7]

市販しはんしゃでは、2012ねんにエッセンモーターショーにてレクサス・LSをチューニングしたコンセプトカーの「TMG Sports 650」を発表はっぴょうしたものの、市販しはんにはいたらなかった[8][9]

2018ねんにはジュネーブモーターショー発表はっぴょうされたGRスープラ・レーシングコンセプト制作せいさく担当たんとうした[10]

エンジン設計せっけい部門ぶもん 編集へんしゅう

シャーシと同様どうよう設計せっけいから解析かいせきほかねつ摩擦まさつ分析ぶんせき排気はいきガス分析ぶんせき潤滑油じゅんかつゆテストなどもふくめてエンジンの開発かいはつおこなう。2014ねんにF1にエンジンコンストラクターとして参入さんにゅうする計画けいかくすすめていたP.U.R.E.は、TMG施設しせつにおいてV6ターボエンジンを開発かいはつする契約けいやくむすんだ[11]。2017ねんからはヤリスWRCのGREエンジンの開発かいはつおこなう。ただしLMP1マシンのエンジンはTMGせいではなく、日本にっぽん東富士研究所ひがしふじけんきゅうじょ開発かいはつによるものである[12]

R&D部門ぶもん 編集へんしゅう

ドライビングシミュレータ
F1、LMP1、SUPER GTGP2市販しはんしゃなど様々さまざまなマシンで、現実げんじつ各種かくしゅデータとわせたシミュレーションドライブができる。
セブンポストリグ
正確せいかく剛性ごうせいプッシュロッド垂直すいちょく荷重におも測定そくてい摩擦まさつ調査ちょうさダンパートーションバースプリングなどのリアルなうごきを測定そくていできる。
コンポーネントテストリグ
サスペンションステアリングブレーキエンジンドライブシャフト国際こくさい自動車じどうしゃ連盟れんめい(FIA)のホモロゲ―ションテストなどあらゆる自動車じどうしゃ部品ぶひん構造こうぞうたいについてのテスト・解析かいせきおこなうことができる。
トランスミッション潤滑油じゅんかつゆテストシステム
あらゆる路面ろめん状況じょうきょうにおける、トランスミッションうち潤滑油じゅんかつゆながれとうごきをシミュレーションし測定そくてい解析かいせきする。この施設しせつ燃料ねんりょう噴射ふんしゃ装置そうちオイルポンプオイルクーラーなどの実験じっけんにも使つかえる。
風洞ふうどう設備せつび
F1時代じだいだい規模きぼ投資とうしにより、TMGの施設しせつないにはすぐれたエアロダイナミクスよう大型おおがた風洞ふうどう設備せつびやCFDコンピュータなどが存在そんざいしている。フェラーリウィリアムズ自社じしゃ風洞ふうどう以外いがいにTMGの風洞ふうどうをレンタルして2011ねんようマシンを開発かいはつした[13]。また、2014ねんケータハム[14]や2014~現在げんざいフォースインディア[15]、2018ねん現在げんざいマクラーレン[16]トロ・ロッソもTMGの風洞ふうどうでシャーシを開発かいはつしており、F1かいでは「業界ぎょうかい標準ひょうじゅん」とのこえもある[17]。ヤリスWRCの一部いちぶのパーツの風洞ふうどう実験じっけんもここでおこなう。

EV部門ぶもん 編集へんしゅう

F1では投入とうにゅうされなかった運動うんどうエネルギー回生かいせいシステム (KERS) の小型こがたバッテリー技術ぎじゅつ応用おうようし、電動でんどうパワートレインの設計せっけいから統合とうごう、バッテリー管理かんり車両しゃりょう制御せいぎょ、エネルギー管理かんりシステムなどの個々ここのコンポーネントにいたるまでをおこなうことができる。これまでにガソリンくるまのエンジンを電動でんどうするコンバートEVを、外部がいぶ企業きぎょうより「e-WOLF」というブランドで市販しはんしたほか[6][18]急速きゅうそくEV充電じゅうでん販売はんばいなどもおこなった。

製造せいぞう部門ぶもん 編集へんしゅう

自動車じどうしゃかぎらず医療いりょう建築けんちくなどの幅広はばひろ分野ぶんや応用おうようできる素材そざい技術ぎじゅつ研究けんきゅうや、それをかした製造せいぞうぎょうにもちかられている。2017ねんには化学かがく企業きぎょうDSMしゃと、従来じゅうらい付加ふか製造せいぞう技術ぎじゅつくわえてエンジニアリングプラスチックちょう高分子こうぶんしりょうポリエチレン繊維せんいなどの分野ぶんや技術ぎじゅつ提携ていけいむすんだ[19]

付加ふか製造せいぞう(AM)
2013ねんからDSMしゃとともにちかられてきた分野ぶんや[20]。8だいのステレオリソグラフィーと2だい大型おおがたレーザーしょうゆい駆使くしし、3D CADきゃどモデルからの迅速じんそくかつ精密せいみつ製造せいぞうおこなう。TMGスタッフは自動車じどうしゃ以外いがい業種ぎょうしゅ経験けいけんしてきているものそろっており、業種ぎょうしゅわずあらゆる分野ぶんや部品ぶひん製造せいぞう可能かのうとしている。
コンポジット
ケブラーガラスカーボンあるいはふくあい繊維せんいなどの化学かがく素材そざいおよ製品せいひん開発かいはつ製造せいぞうおこなう。製品せいひんちいさな部品ぶひんからいちだいくるままで、あらゆるおおきさのものが可能かのう。この分野ぶんや技術ぎじゅつ利用りようして開発かいはつされたハンドサイクルシットスキーで、ドイツのアンドレア・エズカウ選手せんしゅパラリンピックきんメダルを獲得かくとくした実績じっせきがある[21]
CNC
5じくフライス盤ふらいすばん15だい、CNCターニングマシン2だい、ターンミルセンター1だい用意よういし、かく項目こうもく1ミクロン単位たんい正確せいかくさのCNC(コンピュータ数値すうち制御せいぎょ)システムの開発かいはつおよ製造せいぞうおこなう。

WRC 編集へんしゅう

 
オベ・アンダーソン

オベ・アンダーソンの時代じだい 編集へんしゅう

1970年代ねんだいにモータースポーツ活動かつどう担当たんとうしていたトヨタだい7技術ぎじゅつ企画きかく部長ぶちょう難波江なばえのべは、まいせん日本にっぽんからチームをすのはコストがかかるため、安易あんい上層じょうそう撤退てったいめてしまわないよう、欧州おうしゅうチームと契約けいやく支援しえんするかたち参戦さんせんすることをおもいついた[22]。そこでスウェーデン出身しゅっしんラリードライバー、オベ・アンダーソンのプライベートチームである「アンダーソン・モータースポーツ」の活躍かつやくをつけ、1972ねんより資金しきん技術ぎじゅつ支援しえん開始かいし。「チーム・トヨタ・アンダーソン」と名乗なのり、1973ねん開幕かいまくしたWRC(世界せかいラリー選手権せんしゅけん)に参戦さんせんした[23]

しかしよく1974ねんオイル・ショック影響えいきょうでトヨタはモータースポーツ活動かつどう休止きゅうし決定けってい[24]だいなな技術ぎじゅつ解散かいさんい、アンダーソンも最後さいご通告つうこくけるため日本にっぽん招致しょうちされた[24]。しかし面会めんかい直前ちょくぜん欧州おうしゅうでトヨタのラリー活動かつどう推進すいしんしてきた福井ふくい敏雄としお説得せっとく社長しゃちょう豊田とよだ英二えいじ翻意ほんいし、アンダーソンにトヨタこう資材しざいたくし、自販じはん資金しきん提供ていきょうするというかたちで参戦さんせん継続けいぞくすることになった[25]。さらにベルギーからドイツ・トヨタのお膝元ひざもと工場こうじょう用地ようち用意よういし、より手厚てあつ支援しえんおこなった。

1975ねんより正式せいしきにトヨタの公認こうにんけ、チームめいを「トヨタ・チーム・ヨーロッパ (TTE) 」と名乗なの[26]カローラレビン参戦さんせんし、同年どうねん1000ラリーでトヨタワークスとしてのWRCはつ優勝ゆうしょう獲得かくとくした(トヨタしゃ自体じたいはつ優勝ゆうしょうは1973ねんアメリカで、プライベーターのウォルター・ボイスが記録きろく)。

1979ねん、チームの拠点きょてんベルギーブリュッセルからドイツのケルン移転いてんし、「アンダーソン・モータースポーツGmbH」を設立せつりつする。レビンののちセリカ使用しようし、年数ねんすうせんのWRC参戦さんせんつづけた。

黄金おうごん時代じだい、そして撤退てったい 編集へんしゅう

1983ねん、トヨタのモータースポーツ活動かつどう再開さいかいにより、本格ほんかくてきワークス活動かつどう開始かいしする。当時とうじのWRCのグループB規定きてい車両しゃりょうでは苦戦くせんしたがサファリラリーでは1984ねんから3連覇れんぱ達成たっせいする[27]1987ねんグループA規定きてい導入どうにゅうされると、よく1988ねんより4りん駆動くどうセリカ GT-Four投入とうにゅうする。またこのころ、TTEは活動かつどう範囲はんいひろげ、MERC(中東ちゅうとうラリー選手権せんしゅけん)でモハメド・ビン・スライエムを4のタイトルにみちびいている[28]

1987ねん、トヨタが香港ほんこん-北京ぺきんラリーをせいした数日すうじつにアイボリーコーストできた飛行機ひこうき墜落ついらく事故じこにより、ラリーコーディネーターのヘンリー・リドンが事故死じこしした[29]。この事故じこはTTEの体質たいしつおおきく変貌へんぼうさせたといわれている。

1990年代ねんだいはいるとその活動かつどう黄金おうごんむかえる。1990ねんカルロス・サインツ宿敵しゅくてきランチアやぶり、FIA世界せかい選手権せんしゅけん日本にっぽんしゃメーカーとしてはじめてドライバーズチャンピオンとなった。なお、サインツとセリカは同年どうねんアジアパシフィックラリー選手権せんしゅけん (APRC) でもドライバーズタイトルを獲得かくとくしている。

 
トヨタ・セリカ GT-Four (ST185)、1995ねんサファリラリー優勝ゆうしょうしゃ

1992ねんにもサインツがWRCのドライバーズタイトルを獲得かくとく1993ねんにはユハ・カンクネンのドライバーズタイトルにくわえ、日本にっぽんメーカーとしてはつのマニュファクチャラーズタイトルを獲得かくとくした[30]よく1994ねんもドライバーズ(ディディエ・オリオール)とメイクスの2かん達成たっせいした[30]王者おうじゃランチアの牙城がじょうくずしたチームは、TTEの拠点きょてんにちなんでケルン・コマンド異名いみょうをとった。

このようにST165がた以降いこうのセリカGT-Fourは成功せいこうおさめる一方いっぽう新型しんがた投入とうにゅうのたびベース車両しゃりょう肥大ひだいいちじるしいことを懸念けねんしたTMGがわは、1992ねん11月にセリカST185がたカローラFXのボディをもちいた種類しゅるいのIS(Ideal Successor、『理想りそうてき後継こうけいしゃ』の)とばれる、ラリーでつことを目標もくひょうとした量産りょうさんしゃのコンセプトカーを作成さくせいし、トヨタ本社ほんしゃ提案ていあんした。しかしバブル崩壊ほうかい直後ちょくごであったため、採用さいようされることはなかった[31]

1993ねん7がつにはトヨタがアンダーソン・モータースポーツGmbHを買収ばいしゅうし、ここに「トヨタ・モータースポーツ有限ゆうげん会社かいしゃ (TMG) 」が誕生たんじょうした(チームめいはTTEを継続けいぞく)。

しかし1995ねん、TTEはシーズンちゅうリストリクターかんするレギュレーション違反いはん発覚はっかくし、シーズンぜんポイントの剥奪はくだつ、およびよく1996ねんシーズンの1年間ねんかん出場しゅつじょう停止ていしという処分しょぶんける[30]。これはトヨタ本社ほんしゃでは関知かんちしていなかったことで、事件じけんTMGの存続そんぞくやアンダーソンの責任せきにん問題もんだい議論ぎろんされたが、1997ねんもWRC参戦さんせん自粛じしゅくするかたちで決着けっちゃくした。TTEは2年間ねんかん休止きゅうし期間きかんちゅうしん規定きていの「ワールドラリーカー」(WRカー)としてカローラWRC開発かいはつした[32](1997ねんにはテスト参戦さんせん[33])。また、1996ねんにST205はヨーロッパラリー選手権せんしゅけん(ERC)のアルミン・シュヴァルツ供給きょうきゅうされ、総合そうごうチャンピオンを獲得かくとくしている。

1998ねんより正式せいしき復帰ふっきし、1999ねんには3度目どめのメイクスタイトルを獲得かくとくする[34]。しかし1999ねん初頭しょとうにトヨタがF1への参戦さんせん決定けっていしていたため、同年どうねんかぎりで27年間ねんかんのWRC活動かつどう終止符しゅうしふった。

ラリーへの復帰ふっき 編集へんしゅう

F1参戦さんせん撤退てったい経験けいけんしたのち世界せかい選手権せんしゅけん再度さいど参戦さんせんすることを夢見ゆめみたTMGの有志ゆうしたちが業務ぎょうむ時間じかんがいあつまって、スーパー2000規定きていのヤリスの開発かいはつおこなった。このヤリスはエンジンに3ねん、シャシーに2ねんをかけて開発かいはつされたが、スーパー2000規定きていは2013ねんもっ廃止はいしになることがアナウンスされたためることはかなわなかった。しかしかれらはあきらめず、WRカーの開発かいはつ細々こまごまつづけていた[35][36]

2015ねんにトヨタは2017ねんから「TOYOTA GAZOO Racing WRT」(トヨタ・ガズー・レーシング・ワールド・ラリー・チーム、TGR WRT)として18ねんぶりにWRCへ復帰ふっきすることを表明ひょうめい[37]トミ・マキネンがチーム代表だいひょう就任しゅうにんし、トミ・マキネン・レーシング (TMR) がWRカー、ヤリスWRC車体しゃたい開発かいはつ走行そうこうテストおよびチーム運営うんえい担当たんとうし、TMGはGREエンジン開発かいはつ一部いちぶのパーツの風洞ふうどう実験じっけん担当たんとうすることとなった[38]。マキネンの要求ようきゅうにより24あいだ体制たいせいでエンジンを4かいつくなお執念しゅうねんみのらせ、2017ねん復帰ふっき2せん優勝ゆうしょう、2018ねんにははやくもマニュファクチャラーズタイトルを獲得かくとくしている。

2021ねんからは体制たいせい変更へんこうになり、トミ・マキネン・レーシングがチーム運営うんえいからはずれ、TGR-Eが全面ぜんめんてきにオペレーションをになうことになった[39]。これにともないマキネンがアドバイザーに退しりぞき、後任こうにんのチーム代表だいひょうヤリ=マティ・ラトバラ就任しゅうにんする[40]。また、フィンランドのユバスキュラしんファクトリー(通称つうしょうユスカ)を建設けんせつし、エストニア支社ししゃ機能きのう集約しゅうやくし、WRC活動かつどうのベースとした[41]

2022ねん12月、TGR-Eのラリー部門ぶもん分社ぶんしゃし、しん会社かいしゃとして「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)」を設立せつりつした。本社ほんしゃはユバスキュラのファクトリーにかれ、豊田とよだ章男あきお会長かいちょう、ラトバラがチーフ・ラリー・スポーティング・オフィサー(CRSO)、トム・フォウラーが最高さいこう技術ぎじゅつ責任せきにんしゃ(CTO)をつとめる[42][43]

スポーツカーレース 編集へんしゅう

サーキットレースデビュー 編集へんしゅう

1990年代ねんだい後半こうはんTTEはWRC活動かつどうのかたわら、ル・マン24あいだレースひとし耐久たいきゅうレース参戦さんせんするため、トヨタ・GT-One TS020開発かいはつおこなった。アンダーソンによると、1996ねんまつにカローラWRCの開発かいはつ中止ちゅうしし、ル・マンプロジェクトにむようトヨタ本社ほんしゃから通達つうたつされたという。しかし海外かいがい営業えいぎょうもう反対はんたいにより、WRC復帰ふっきとル・マン参戦さんせん並行へいこうしてすすめることになった[44]。1998ねんと1999ねんにはル・マン24あいだレースに出場しゅつじょうし、1999ねんには土屋つちやけい/片山かたやま右京うきょう/鈴木すずき利男としお日本人にっぽんじんトリオが総合そうごう2(LMGTPクラス優勝ゆうしょう)にはいったものの、目標もくひょうとした総合そうごう優勝ゆうしょうにはとどかなかった。じつはこのプロジェクトはサーキットレース経験けいけんのなかったTMGに、F1に参戦さんせんするための経験けいけんませるために本社ほんしゃがわ企図きとしたものであるが、それがTMGがわつたえられたのは1998ねんのル・マンがわってからであった[45]

WECへの挑戦ちょうせん 編集へんしゅう

 
木下きのした美明よしあきもと社長しゃちょう(2014ねん

F1撤退てったい、トヨタは市販しはんハイブリッド技術ぎじゅつ活用かつようふくあらたな活動かつどう模索もさくしていた。そして2011ねん、ル・マン24あいだレースに参戦さんせんするレベリオン・レーシングたいしエンジン供給きょうきゅうおこな[46]耐久たいきゅうレースへの復帰ふっき路線ろせん濃厚のうこうになる。なお、このエンジンはフォーミュラ・ニッポンやSUPER GT (GT500) ようRV8KをLMP1規定きていにチューニングしたもので、新規しんき開発かいはつではない[6]

2012ねんあらたにLMP1クラスようのハイブリッドマシンであるTS030 HYBRID開発かいはつオレカとジョイントし「トヨタ・レーシング」としてWECに参戦さんせんすることを表明ひょうめいした[47]。デビュー3せんとなるだい5せんサンパウロ6あいだレースでは、トヨタとしては1992ねん以来いらいとなる優勝ゆうしょうたした。

2014ねんにはLMP1クラスのレギュレーション変更へんこうともな新型しんがたしゃTS040 HYBRIDをデビューさせた。悲願ひがんとしていたル・マンこそてなかったものの、シリーズではアウディポルシェやぶり、日系にっけいメーカーとしてはじめてスポーツカーレース世界せかい選手権せんしゅけん制覇せいはした。

 
TS050 HYBRIDともつTMGの役員やくいんとドライバー(2016ねん

2016ねんにトヨタのモータースポーツ事業じぎょう再編さいへんにより、チームめいTOYOTA GAZOO Racingあらためた。ル・マンではサルト・サーキットとくして開発かいはつしたTS050 HYBRID最終さいしゅうばんまで有利ゆうりすすめていたが、小林こばやしのスピンにくわえてのこり6ふん異常いじょう発生はっせいし、3ふんでストップするというスポーツのこ歴史れきしてき悲劇ひげき敗北はいぼくきっした。

2017ねんのル・マンは復帰ふっき以来いらいはつの3だい体制たいせいいどんだが、オペレーションのミスにくわえて「にせマーシャル」事件じけんというこれまたるいまれ不運ふうんにより、夜明よあまえ全車ぜんしゃ勝負しょうぶけんうしなった。選手権せんしゅけんではポルシェを上回うわまわる5しょうをあげたものの、ル・マンでの大敗たいはいおおきくひびいて最終さいしゅう戦前せんぜんにタイトルをうばわれた。

2018ねん現役げんえきF1王者おうじゃフェルナンド・アロンソくわえ、トラブルシミュレーションを徹底てっていして万全ばんぜん準備じゅんびで2だい体制たいせい参戦さんせん。ポルシェの撤退てったいによりワークスチームがトヨタのみという状況じょうきょうではあったが、トヨタの30ねんしの悲願ひがんであるル・マン制覇せいはたした。2019ねん・2020ねんもル・マンを制覇せいはし3連覇れんぱ

2021ねんはLMP1規定きてい廃止はいしされル・マン・ハイパーカー(LMH)規定きてい移行いこうしたため、LMH車両しゃりょうとしてGR010 HYBRID開発かいはつ。ル・マンでは燃料ねんりょうけいにトラブルをかかえ、グリッケンハウスアルピーヌなどにせまられるシーンもあったものの、最終さいしゅうてき小林こばやしようする7号車ごうしゃ悲願ひがんはつ優勝ゆうしょうたし、4連覇れんぱ達成たっせいした。

2022ねん引退いんたいした中嶋なかじま一貴かずたかわり平川ひらかわあきら加入かにゅうし、小林こばやしゆめえらがチーム代表だいひょう兼任けんにん。ル・マンでは平川ひらかわようする8号車ごうしゃ優勝ゆうしょうし、5連覇れんぱ達成たっせい。シリーズも最終さいしゅうせんまでアルピーヌとあらそいながらもドライバーズ、マニュファクチャラーズのりょうタイトルを獲得かくとくし、シリーズ4連覇れんぱ達成たっせいした。

年表ねんぴょう 編集へんしゅう

  • 1972ねん - トヨタがオベ・アンダーソンを支援しえんする契約けいやくむすぶ。
  • 1974ねん - オイル・ショックのあおりをけるも、体制たいせい変更へんこうしてアンダーソンへの支援しえん継続けいぞく
  • 1975ねん - カローラレビンをハンヌ・ミッコラ1000ラリーにてWRCはつ優勝ゆうしょうかざる。
  • 1979ねん - チームの本拠地ほんきょちをベルギーからドイツへ移転いてんし、アンダーソン・モータースポーツGmbHを設立せつりつ
  • 1983ねん - トヨタが本格ほんかくてき支援しえん復活ふっかつさせる。
  • 1990ねん - セリカGT-Fourをカルロス・サインツはつのWRCドライバーズチャンピオンをもたらす。
  • 1992ねん - はつのWRCマニュファクチャラーズチャンピオン獲得かくとく。カルロス・サインツが2度目どめのドライバーズチャンピオン。
  • 1993ねん - アンダーソン・モータースポーツGmbHを買収ばいしゅうしてトヨタ・モータースポーツGmbHとなる。WRCマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオン連覇れんぱ
  • 1994ねん - WRCマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオン3連覇れんぱ
  • 1995ねん - セリカのエアリストリクターへの違法いほう改造かいぞう発覚はっかく。ポイント剥奪はくだつ、そして1年間ねんかん出場しゅつじょう停止ていし処分しょぶんとなる。
  • 1997ねん - WRCの活動かつどうをもう1ねん自粛じしゅく。この期間きかんちゅうにTS020の開発かいはつがすすめられる。
  • 1998ねん - カローラWRCで本格ほんかく復帰ふっき。サーキットデビューをたし、ル・マン24あいだにもはつ参戦さんせん
  • 1999ねん - WRCのマニュファクチャラーズチャンピオン獲得かくとく。ル・マンで2表彰台ひょうしょうだい獲得かくとく同年どうねんもっりょう活動かつどう停止ていし
  • 2002ねん - 2年間ねんかん準備じゅんび期間きかんてF1デビュー。
  • 2005ねん - マレーシアGPにてヤルノ・トゥルーリがはつ表彰台ひょうしょうだい(2)を獲得かくとく。アメリカGPでもトゥルーリがPPを獲得かくとく
  • 2009ねん - リーマン・ショックのあおりをけてF1撤退てったい
  • 2011ねん - TMG EV P001を開発かいはつし、ニュルのEVのコースレコードを樹立じゅりつ
  • 2012ねん - WEC参戦さんせん・ル・マン復帰ふっき。ヤリスR1の販売はんばい開始かいしし、ラリーへも復帰ふっき
  • 2014ねん - WECのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく
  • 2017ねん - エンジン開発かいはつかたちでWRCにも復帰ふっき
  • 2018ねん - ル・マンはつ制覇せいは。WRCマニュファクチャラーズタイトル獲得かくとく
  • 2019ねん - ル・マン2連覇れんぱ。WECのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく。また、WRCのドライバーズチャンピオンを獲得かくとく
  • 2020ねん - ル・マン3連覇れんぱ。2ねん連続れんぞくでWECのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく。また、WRCのドライバーズチャンピオンを獲得かくとく
  • 2021ねん - ル・マン4連覇れんぱ。3ねん連続れんぞくでWECのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく。また、WRCのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく
  • 2022ねん - ル・マン5連覇れんぱ。4ねん連続れんぞくでWECのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく。また、2ねん連続れんぞくでWRCのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく
  • 2023ねん - 5ねん連続れんぞくでWECのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく。また、3ねん連続れんぞくでWRCのマニュファクチャラーズ・ドライバーズチャンピオンを獲得かくとく

F1 編集へんしゅう

1999ねんもってトヨタはル・マンとWRCから撤退てったいし、2000ねんにはトヨタ常務じょうむ取締役とりしまりやく冨田とみたつとむがTMG会長かいちょう、オベ・アンダーソンがTMG社長しゃちょう就任しゅうにんした[48]。ケルンのファクトリーは140おくえんとうじてゆか面積めんせきやく3ばい(37,000平方へいほうメートル)に拡張かくちょう[48]日本にっぽんのトヨタ東富士研究所ひがしふじけんきゅうじょ連携れんけいしてF1マシン開発かいはつおこなうことになる。TS020はテストカーTF101完成かんせいするまでのあいだ、エンジンテストとう利用りようされた。

1ねんのテスト期間きかんて、2002ねんより「パナソニック・トヨタ・レーシング」としてF1に参戦さんせん開始かいしする。2003ねんにはジョン・ハウェットがTMGしん社長しゃちょう就任しゅうにん創始そうししゃのアンダーソンは2004ねんにチーム代表だいひょうしてだい一線いっせん退しりぞく(2008ねん事故死じこし)。2007ねんには冨田とみたわり、山科やましなただしがTMG会長かいちょうけんチーム代表だいひょう就任しゅうにんする。

2009ねんシーズン終了しゅうりょう、トヨタ本社ほんしゃリーマン・ショックによる業績ぎょうせき不振ふしん理由りゆうにF1撤退てったい発表はっぴょう。8年間ねんかんのF1活動かつどうで3のポールポジションと13の表彰台ひょうしょうだい獲得かくとくし、コンストラクターズ最高さいこう成績せいせきは42005ねん)。潤沢じゅんたく運営うんえい資金しきんさい新鋭しんえい設備せつびほこりながら優勝ゆうしょうたせなかった。

F1撤退てったい、TMGはチームへの売却ばいきゃくMBOうわさされたが、ふたたびヨーロッパにおけるトヨタのレース活動かつどう拠点きょてんとして、事業じぎょう転換てんかんすすめることになる[49]。シャシー部門ぶもん責任せきにんしゃパスカル・バセロンらは残留ざんりゅうしたが、スタッフ500めい解雇かいこし、ファクトリーの規模きぼを150めい体制たいせい縮小しゅくしょうした[50]

F1撤退てったい決定けっていも、2010ねんようマシンとして準備じゅんびしていたTF110開発かいはつ継続けいぞく。2010ねんにF1参入さんにゅう目指めざステファンGPとのあいだでマシンの譲渡じょうと人員じんいん移籍いせき施設しせつ利用りようなどの提携ていけい交渉こうしょうすすめたが、ステファンGPのエントリーがみとめられず契約けいやく終了しゅうりょうした[51]。その新規しんき参戦さんせんするヒスパニアとの交渉こうしょう不調ふちょうわった[52]

2009ねん使用しようしたTF109は、2011ねんからF1のタイヤサプライヤーとなるピレリにテストカーとしてレンタルされた。

ニュルブルクリンク24あいだレース 編集へんしゅう

2013ねんから、TMGの開発かいはつ販売はんばいするGT86 CS-V3がニュルブルクリンク24あいだレースのV3クラスに参戦さんせん。2013〜2015ねんまでトヨタ・スイス・レーシングがクラス優勝ゆうしょうかざっている。

2018ねんにはTMGの有志ゆうしたちにより結成けっせいされた『TMG United』[53]がSP3クラスに参戦さんせん。マシンは市販しはんしゃの86で、総合そうごう81・クラス3完走かんそうした[54]

2019ねんもSP3クラスに参戦さんせん今度こんどはGT86 CS-V3にマシンをスイッチし、クラス優勝ゆうしょうたした[55]

EVレース 編集へんしゅう

2011ねん、ラディカル・スポーツカーせいシャシーにTMGの開発かいはつしたパワートレインを搭載とうさいする「TMG EV P001」が、公道こうどうようタイヤでニュルブルクリンクきたコース(ノルドシュライフェ)において7ふん47びょう794というラップタイムを記録きろく。それまでのEVの記録きろくであった9ふん1びょう338を1ふん以上いじょうちぢめた[56]

2012ねんパイクスピーク・ヒルクライムにはP001を改良かいりょうしたP002[57]もちいて俳優はいゆう哀川あいかわしょうひきいる「Team SHOW」が参戦さんせんやつ田原たはら文雄ふみおがステアリングをにぎり、EVクラスで増岡ますおかひろし三菱みつびし・MiEV Evolution田嶋たじま伸博のぶひろのE-RUNNERをやぶって優勝ゆうしょう総合そうごう6)をたし、さらにEVのコースレコード(10ふん15びょう380)も樹立じゅりつした[58]。またノルドシュライフェにもさい登場とうじょうし、ヨッヘン・クルムバッハのドライブで7ふん22びょう329をたたし、P001の記録きろくをさらに25びょうちかちぢめた[59]

2013ねんTRD USAがP002を運用うんようしてパイクスピークに登場とうじょう。ドライバーは90年代ねんだいにセリカとタコマで総合そうごう優勝ゆうしょうたしたロッド・ミレンであったが、こう駆動くどうゆえに雨天うてん影響えいきょうおおきくけたこともあり、昨年さくねんやつ田原たはら下回したまわるタイム(10ふん24びょう301)でEVクラス4わった[60]

プライベーターけマシンの販売はんばい 編集へんしゅう

2012ねん8がつトヨタ・86をベースにしたプライベーターよう耐久たいきゅうマシン「GT86 CS-V3」と、入門にゅうもんようラリーマシンであるグループR1A規定きていトヨタ・ヤリス販売はんばい開始かいし[61][62]。VLN(ニュル耐久たいきゅうシリーズ)では2013ねん以降いこう、このCS-V3を対象たいしょうとした「GT86カップ」をTMGが独自どくじ設定せっていし、優勝ゆうしょうしゃ賞金しょうきんしている[63]。CS-V3は2016ねんにモデルチェンジされ、名称めいしょうも「CSカップ」へと変更へんこうされた[64]。また、ヤリスR1は、F1参戦さんせん以来いらいのラリーへの正式せいしき復帰ふっきとなるいちだいであった。

2015ねんにはグループR3規定きていはつとなるこう駆動くどうのラリーカー、「GT86 CS-R3」をプライベーターにけて発売はつばい[65]。2018ねんからはCS-V3・CSカップ・CS-R3で参戦さんせんできるワンメイクレースの「TOYOTA GAZOO Racingトロフィー」を開催かいさいしている[66]。2017ねんにはERC王者おうじゃのルカ・ロセッティとGT86 CS-R3をようして、ERC3にワークス参戦さんせん体制たいせいでスポット参戦さんせんしている。

2019ねんにはグループGT4仕様しようGRスープラ開発かいはつ正式せいしき発表はっぴょうよく2020ねんから販売はんばいすることを発表はっぴょうしている。

余談よだん 編集へんしゅう

  • TTE/TMGのファクトリーで制作せいさくされたトヨタのワークスマシンには、『K-AM』(K=ケルン、AM=アンダーソン・モータースポーツ)がはいっているナンバープレート装着そうちゃくされており[67]欧州おうしゅうラリー愛好あいこうからの人気にんきたか[よう出典しゅってん]。また、WRCプロジェクト最初さいしょにTMGでつくられたヤリスのWRCテストカーにもK-AMではじまるナンバープレートが装着そうちゃくされている[67]
  • ファクトリー内部ないぶにはTTE時代じだいから現在げんざいいたるまでTMGが製造せいぞうしたレーシングカーとコンセプトカーすべてが保管ほかんされているが、一般いっぱんには公開こうかいされていない[68]
  • 2016ねんニュルブルクリンク24あいだ参戦さんせんした日本にっぽんGAZOO Racingは、レクサス・RCの「あるパーツ」に不安ふあんかかえていたが、日本人にっぽんじんスタッフたちはそれをつくなおすのにつき単位たんい時間じかんがかかるとていた。しかし現場げんばにいた専務せんむ嵯峨さが宏英ひろひでがTMGに依頼いらいしたところ、その部分ぶぶん対策たいさくパーツをいちばん開発かいはつ製造せいぞうしてとどけ、日本人にっぽんじんスタッフたちにつよ衝撃しょうげきあたえた[69][70]決勝けっしょうでもトラブルなくクラス2完走かんそうたした。
  • ル・マン24あいだではガレージないのスタッフほぼ全員ぜんいん体操たいそうをしている様子ようすがよくうつされており、風物詩ふうぶつしひとつとなっている。

パートナー 編集へんしゅう

WEC 編集へんしゅう

詳細しょうさいはTOYOTA GAZOO Racing公式こうしきサイト[71]参照さんしょう

WRC 編集へんしゅう

詳細しょうさいはTOYOTA GAZOO Racing公式こうしきサイト[72]参照さんしょう

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

  1. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH about us
  2. ^ トヨタの欧州おうしゅう研究けんきゅう開発かいはつ拠点きょてん会社かいしゃめい変更へんこう”. TOYOTA GAZOO Racing. トヨタ自動車とよたじどうしゃ株式会社かぶしきがいしゃ. 2020ねん4がつ20日はつか閲覧えつらん
  3. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH about us vision
  4. ^ つためのプロ集団しゅうだんへ」トヨタ、TMGの社名しゃめいを『TOYOTA GAZOO Racing Europe』に変更へんこう - オートスポーツ・2020ねん4がつ20日はつか
  5. ^ Home Page”. OYOTA GAZOO Racing Europe. 2022ねん11月21にち閲覧えつらん
  6. ^ a b c 『オートスポーツ 2011ねん8がつ4にちごう』(つうごう1309) イデア、2011ねん、pp.31 - 33。
  7. ^ 研究けんきゅう開発かいはつを「フィクション」でやりがちな日本にっぽんしゃメーカー、「ノンフィクション」にする欧州おうしゅう連載れんさい:世良せらこうふとし⑲】
  8. ^ [1]
  9. ^ TMG Unlikely To Build Hotter Toyota And Lexus Road Cars
  10. ^ GR Supra Racing Concept
  11. ^ “ピュア、TMGにファクトリーを移転いてん. ESPN Sports Media (ESPN F1). (2012ねん3がつ8にち). https://web.archive.org/web/20180708020154/ja.espnf1.com/f1/motorsport/story/72391.html 2012ねん3がつ16にち閲覧えつらん 
  12. ^ TOYOTA GAZOO RACING 2017ねんWEC車両しゃりょう解説かいせつ
  13. ^ “ウィリアムズもトヨタの風洞ふうどう利用りよう. F1-Gate.com. (2011ねん2がつ1にち). http://f1-gate.com/williams/f1_10574.html 2012ねん3がつ16にち閲覧えつらん 
  14. ^ ケータハムF1、トヨタの風洞ふうどう使用しよう
  15. ^ フォース・インディアがトヨタの風洞ふうどう
  16. ^ マクラーレン、マシンの弱点じゃくてん風洞ふうどう特定とくていできず、トラックで"実験じっけん"? - motorsport.com・2018ねん6がつ24にち
  17. ^ フェラーリなど複数ふくすうのチームが利用りようしている風洞ふうどう実験じっけんしつは、日本にっぽん自動車じどうしゃメーカーの施設しせつだった!【F1速報そくほう×F1女子じょし~F1メカニズム最前線さいぜんせん2018~】 - ニコニコニュース・2018ねん2がつ23にち
  18. ^ e-WOLF 2012ねん3がつ27にち閲覧えつらん
  19. ^ DSM signs technology partnership agreement with Toyota Motorsport GmbH
  20. ^ DSM joins Toyota Motorsport GmbH to feature Somos capabilities at 2013 Le Mans
  21. ^ トヨタのレースカー技術ぎじゅつがソチパラリンピックのきんメダルに貢献こうけん
  22. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, p. 4.
  23. ^ ラリープラス 2017ねんラリーモンテカルロ速報そくほうごう 2017ねん3がつ12日刊にっかん 三栄書房さんえいしょぼう [ようページ番号ばんごう]
  24. ^ a b 中山なかやまじゅん哉 2018, p. 23.
  25. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, pp. 23–24.
  26. ^ 赤井あかい邦彦くにひこ 2003, p. 101.
  27. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, p. 110.
  28. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH HERITAGE
  29. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, pp. 61–62.
  30. ^ a b c 中山なかやまじゅん哉 2018, p. 39.
  31. ^ レーサーズ外伝がいでん 2019, pp. 16–19.
  32. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, pp. 41–43.
  33. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, pp. 43–45.
  34. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, p. 45.
  35. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, p. [ようページ番号ばんごう], 世界せかいみちきざまれた栄光えいこう苦闘くとう.
  36. ^ “トヨタ、WRC復帰ふっきへ? ドイツでしんエンジンを開発かいはつちゅう. RALLY+.net. (2012ねん3がつ26にち). http://as-web.jp/rallyplus/news/info.php?no=25149 2012ねん3がつ27にち閲覧えつらん 
  37. ^ 中山なかやまじゅん哉 2018, p. 77.
  38. ^ "トヨタWRCチームの主要しゅようメンバーがあきらかに". RALLYPLUS.NET. (2015ねん12月4にち) 2016ねん2がつ3にち閲覧えつらん
  39. ^ トヨタ、WRC活動かつどうをTGRヨーロッパへ移管いかん。トミ・マキネンはアドバイザーに就任しゅうにん - オートスポーツ・2020ねん9がつ22にち
  40. ^ WRC:トヨタ、2021ねん参戦さんせん体制たいせい発表はっぴょう。ヤリ-マティ・ラトバラがしんチーム代表だいひょう就任しゅうにん - オートスポーツ・2020ねん12月18にち
  41. ^ トヨタ、ユヴァスキュラしん拠点きょてんにチーム機能きのう集中しゅうちゅう RallyXモバイル(2021ねん6がつ11にち
  42. ^ 豊田とよだ章男あきお優勝ゆうしょうおめでとう」しん会社かいしゃ始動しどうかばのぐんのラリーイベントにも言及げんきゅう。WRCモンテコメント全文ぜんぶん - オートスポーツ・2023ねん1がつ23にち
  43. ^ WHO WE ARE - TGR-WRT
  44. ^ 赤井あかい邦彦くにひこ 2003, p. 108.
  45. ^ レーサーズ外伝がいでん 2019, p. 19.
  46. ^ TMG、レベリオンとの提携ていけい発表はっぴょう トヨタエンジンがル・マンへ - オートスポーツ・2010ねん12月3にち
  47. ^ トヨタ、2012ねんのWEC参戦さんせん計画けいかく発表はっぴょう』(プレスリリース)トヨタ自動車とよたじどうしゃ、2012ねん1がつ25にちhttps://web.archive.org/web/20160305092528/http://ms.toyota.co.jp/jp/news/other/120125_news.html2012ねん3がつ16にち閲覧えつらん 
  48. ^ a b 赤井あかい邦彦くにひこ 2003, p. 110.
  49. ^ “TMG、今後こんごはヨーロッパにおけるトヨタの活動かつどう拠点きょてんに F1チームへの売却ばいきゃくし”. オートスポーツweb. (2009ねん11月4にち). http://www.as-web.jp/news/info.php?c_id=1&no=23201 2012ねん3がつ16にち閲覧えつらん 
  50. ^ “トヨタ、500めいのスタッフを解雇かいこへ”. ESPN Sports Media (ESPN F1). (2009ねん12月6にち). オリジナルの2017ねん11月7にち時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20171107020310/ja.espnf1.com/f1/motorsport/story/4616.html 2012ねん3がつ16にち閲覧えつらん 
  51. ^ “ステファンGP、トヨタとの提携ていけい終了しゅうりょう正式せいしき発表はっぴょう. F1-Gate.com. (2010ねん3がつ22にち). http://f1-gate.com/stefangp/f1_6901.html 2012ねん3がつ16にち閲覧えつらん 
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  53. ^ Toyota Motorsport [@tmgofficial] (2019ねん6がつ24にち). "Another week, another 24-hour winning car coming back to our home base". X(きゅうTwitter)より2019ねん6がつ24にち閲覧えつらん
  54. ^ Official Result Race by class 46. ADAC Zurich 24h-Rennen
  55. ^ Results Race 2019
  56. ^ 【トヨタ】トヨタモータースポーツしゃ(TMG)が製作せいさくしたEVがニュルで7ふん47びょう794を記録きろく
  57. ^ TMG@ポール・リカール マシン紹介しょうかいへん”. TEAM SHOW (2012ねん5がつ31にち). 2012ねん9がつ17にち閲覧えつらん
  58. ^ “「パイクスピーク」で、トヨタのEVレースカーにやつ田原たはら文雄ふみお選手せんしゅが、EVクラス優勝ゆうしょう!”. autoblog 日本語にほんごばん. (2012ねん8がつ14にち). http://jp.autoblog.com/2012/08/13/2012-pikes-peak-hill-climb/ 2012ねん9がつ17にち閲覧えつらん 
  59. ^ ニュル最速さいそくEVが、さらに記録きろく更新こうしん!!
  60. ^ Rod Millen finished fourth in the Electric Class at Pikes Peak
  61. ^ 森脇もりわきみのる (2012ねん8がつ22にち). “トヨタ 86 に入門にゅうもん耐久たいきゅうレーサー、ドイツで発売はつばい. レスポンス. http://response.jp/article/2012/08/22/180047.html 2012ねん9がつ17にち閲覧えつらん 
  62. ^ TOYOTA MOTORSPORT GmbH TMG LAUNCHES YARIS R1A
  63. ^ http://autoprove.net/2012/12/27276.html AutoProve 【トヨタ】ニュルブルクリンクVLNレースを舞台ぶたいにトヨタGT86カップがスタート レース仕様しよう販売はんばい開始かいし
  64. ^ CS-Cup: The Better Package
  65. ^ トヨタ、「86」のラリー仕様しようしゃ「GT86 CS-R3」の最終さいしゅうスペックを発表はっぴょう
  66. ^ トヨタ 86、欧州おうしゅうあらたなレース開催かいさいへ!レーサーとラリーがどうステージで参戦さんせん
  67. ^ a b “TMGからERC参戦さんせんのロセッティ「ナンバーK-AMのトヨタからWRCへのゆめはじまった」”. Rally+.net. https://www.rallyplus.net/40080 2022ねん11月27にち閲覧えつらん 
  68. ^ Toyota’s incredible motorsport secret stash
  69. ^ DAY1-3 Yaris WRCエンジン開発かいはつ秘話ひわ
  70. ^ 「TGR ニュルブルクリンク24あいだ耐久たいきゅうレースでの経験けいけんトヨタ自動車とよたじどうしゃあらたなかぜむ」 わきばん寿一ひさいちはしらなアカン! 2017ねん6がつ7にち
  71. ^ オフィシャルパートナー
  72. ^ オフィシャルパートナー

参考さんこう資料しりょう 編集へんしゅう

  • 赤井あかい邦彦くにひこ『F1 トヨタの挑戦ちょうせん文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、2003ねんISBN 4163595201 
  • 中山なかやまじゅんへん『トヨタWRCのすべて』三栄書房さんえいしょぼう、2018ねんISBN 978-4779635403 
  • 『レーサーズ外伝がいでん 特集とくしゅう TOYOTA GT-One』三栄書房さんえいしょぼう、2019ねんISBN 9784779639357 

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう

外部がいぶリンク 編集へんしゅう